農業向け農薬使用管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

農業向け農薬使用管理システムの費用は、機能の範囲、拠点数、外部連携によって、100万〜300万円から800万〜2,000万円以上まで変わります。

料金の目安、費用の内訳、見積もりの要因を、発注する側の視点で並べました。全体像は完全ガイドもご覧ください。

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・農業向け農薬使用管理システム開発の完全ガイド

農業向け農薬使用管理システムの費用を左右する全体像

費用は画面数だけでは決まりません。圃場から出荷履歴まで、どこまでつなぐかが見積もりに影響します。つなぐ対象は、作物と農薬の記録、散布、在庫、収穫などです。また、法令や取引先の基準をどこまで確認対象にするかでも、必要な機能と費用の構成が変わります。

既成SaaSやパッケージの導入費用

既成SaaSやパッケージには、圃場管理や作業記録、農薬管理、帳票出力などの機能が用意されています。ゼロから開発する場合に比べて、初期費用を抑えやすい選択肢です。

登録料や利用料が無料のサービスもあります。特に、まずスマートフォン入力が現場に定着するかを確かめたい場合に向いています。

一方で、独自の作物ルールやJAごとの帳票、複雑な承認は、標準機能だけでは対応できない場合があります。販売管理との連携も、標準機能の範囲を超えることがあります。

業務に合わせた専用開発の費用

専用開発では、圃場の構成や作物、農薬の運用に合わせて業務フローを設計できます。さらに、担当者や承認者、提出帳票にも合わせられます。

オフライン入力や農薬データの定期更新、農機やJAシステムとのAPI連携も実装できます。その分、要件定義やテスト、保守の範囲も広がります。

農薬の適正使用を自動で判定する機能を入れる場合は、判定ルールの根拠と更新の責任も、発注側と開発会社で決めておく必要があります。

以下の金額は要件確定前の企画初期の推定

ここで示す専用開発費は、類似する農業システムの機能量に加え、農薬マスタと作物別ルール、現場アプリと帳票の工数から推定したものです。公的な農薬使用管理システムの開発費統計をもとにしたものではありません。

費用は、圃場数や作物数、利用者数などの規模で変わります。既存データの品質や連携先によっても差が出ます。

セキュリティ要件と保守契約の範囲も、費用に響きます。そのため、発注前には同じ条件で複数社から見積もりを取ります。

ポイント

費用は、圃場から出荷履歴までをどこまでつなぐか、法令や取引先の基準をどこまで確認対象にするかで左右されます。見積もりを比べる前に、この2つの範囲を発注側で決めておくと、金額の差を読み取りやすくなります。

農業向け農薬使用管理システムの料金相場

記録と帳票が中心なら、無料から年額数万円の既成サービスがあります。一方で、専用開発は100万〜300万円程度からが検討の目安です。

複数拠点の権限や在庫、承認、オフライン同期、外部連携を含むと、300万〜800万円程度です。高度な連携型では、800万〜2,000万円以上になる可能性があります。

公開料金と個別開発費は前提が異なるため、同じ表に並べて単純に比べないことが大切です。

公開料金のあるSaaSは無料から年額数万円が基準

アグリノートの公式料金は、1組織・1年間でSが11,000円、Mが22,000円、Lが33,000円です(出典:アグリノート公式「料金プラン」、2026年8月確認)。

  • 圃場数と機能:無料は100圃場・20記録、Sは100圃場、Mは400圃場、Lは無制限ですが、機能は同じです。
  • AGRIHUBの料金:登録料・利用料・解約料が0円で、全機能が無料です(出典:株式会社Agrihub「AGRIHUB」、2026年8月確認)。
  • AGRIHUBの機能:使用回数、希釈倍率、投入量、収穫前日数の管理と、帳票作成に対応しています。

アグリノートの料金は、営農記録SaaSを比べる際の基準として使える数字です。農薬専用システムの料金ではありません。

AGRIHUBの法人向け連携や個別帳票、データ移行、受託開発は別途相談です。ただし、無料と表示されていても、総費用が0円になるとは限りません。

農機連携の月額と追加費用の分け方

クボタKSASの利用規約では、圃場登録枚数100枚以下の無料プランと有料プランが示されています。

有料プランは圃場数に制限がなく、利用料は税込2,200円/月です(出典:株式会社クボタ「KSASサービス利用契約に関する会員規約」、2026年8月確認)。

この利用料には、農機や端末、通信の費用が含まれるとは限りません。外部サービスや個別連携の費用も、別に見積もる必要があります。

KSAS APIでは、農機連携で扱う情報をOAuth2.0で連携できます。

  • API連携対象:圃場、機械、農薬、肥料、作付、作業日誌が対象です。
  • 確認事項:APIの利用条件と開発費は、個別に確かめる必要があります。

専用開発は100万〜2,000万円以上の幅

小規模MVPは100万〜300万円、開発期間は2〜4か月が目安です。対象は、圃場・作物・農薬マスタ、散布記録、簡易警告、CSV出力です。

  • 標準的な法人向け:300万〜800万円、期間は4〜8か月程度です。
  • 標準的な対象:複数ユーザーの権限、承認、地図、作物別ルールを含みます。さらに、在庫、帳票、移行、監査ログ、バックアップ、オフライン同期が加わります。
  • 高機能・連携型:800万〜2,000万円以上、期間は8〜12か月以上の推定です。

小規模MVPでは農薬マスタを限定的に取り込みます。一方で、高機能型は複数拠点を扱い、JAや販売先、農機との連携を含みます。さらに、GNSSやドローン、センサーとの連携も加わります。

外部農薬データの定期更新や連携では、仕様、データ品質、異常系テストに工数がかかります。ここまでの金額は、確定見積もりではありません。

対象範囲を狭めると費用は下がり、品質保証や連携範囲を広げると上がると推定されます。

ポイント

公開料金のSaaSと専用開発は前提が違うため、金額を同じ表に並べて単純に比べないことが大切です。対象範囲の違いを確かめたうえで、金額を読みます。

農薬使用管理システム開発の費用内訳

設計と実装、移行と連携、導入後の運用に分けた農薬使用管理システム開発の費用内訳図
見積書を作業のまとまりごとに読み分けられます。

見積書は総額だけでなく、作業のまとまりごとに分けて読みます。費用は、設計と実装、移行と連携、導入後の運用の3つに分けると比べやすくなります。

  • 設計と実装:要件定義、画面、データ、判定ロジック
  • 移行と連携:既存データの移行、外部システムとの接続
  • 導入後の運用:テスト、教育、保守

要件定義と画面・データ設計の費用

要件定義では、誰がいつどの端末で入力するかを決めます。散布前後の警告や承認者、帳票の種類と出力時期も、この段階で整理します。ここが曖昧だと、後から画面や権限を足す作業が出やすくなります。

  1. 作業者が圃場で散布し、管理者が事務所で確認し、出荷担当が生産履歴書を出力する場合は、役割ごとに必要な画面と権限が異なります。
  2. 現行の紙帳票やExcelを見ずに開発を進めると、帳票や入力項目が後から増えて、追加費用につながりやすいです。
  3. 設計では、圃場IDや作付、農薬、成分、使用量の関係を定めます。希釈倍率や散布日、収穫予定日、作業者、ロットについても、関係を整理します。
  4. 履歴を変更できるか、訂正履歴を残すか、承認済みのデータを誰が再編集できるかによって、監査ログの作り方が変わります。
  5. 要件定義と設計は初期費用が増えますが、開発中の手戻りを減らし、総費用を抑える効果があります。

機能開発・データ移行・連携の費用

機能開発では、農薬マスタや圃場地図、作業記録を実装します。使用回数や使用量、収穫前日数の警告も実装します。在庫や帳票、通知、管理画面も含まれます。

  • 判定ロジック:農薬使用基準に沿った判定を実装します。
  • 判定結果の表示:根拠データと判定結果を表示できる設計が必要です。
  • 紙・Excelからの移行:圃場名の表記ゆれや作物名の違い、単位の混在、過去データの欠損が手間になります。
  • 移行範囲:全期間を移行するか、直近年度だけにするか、過去データを参照専用にするかで工数が変わります。
  • 連携先:農機、販売管理、在庫、JAなどと連携する場合は、API、認証方式、更新頻度を確かめます。

連携先では、気象や取引先も含めて、エラー時の再送やデータ所有者を確かめます。

判定で確認する項目は、適用作物や使用量、希釈倍数、使用時期、総使用回数などです(出典:農林水産省「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」、2026年8月確認)。ただし、最終的にはラベルや最新情報を人が確認する運用も残します。

初期費用と分けたクラウド・教育・保守の費用

クラウド利用料は、ユーザー数やデータ容量、画像や位置情報で変わります。通知量やバックアップ世代数、監視レベルによっても変わります。

  • 保守項目:問い合わせや障害監視、脆弱性対応、農薬マスタ更新、帳票変更が対象です。
  • 導入教育:管理画面とスマートフォンの研修、入力マニュアル、窓口、現場立ち会いを含みます。
  • 定着支援:入力率や記録漏れを見ながら、操作説明だけで終わらないよう相談します。

小規模構成のクラウド利用料は、月1万〜5万円程度と仮置きする場合があります。ただし、これは企画段階の想定で、特定サービスの料金を保証するものではありません。

保守を初期費用に含めるのか、月額や年額に分けるのかは、見積書で明記してもらいます。記録が入力されなければ、農薬管理の効果は出ません。

ポイント

見積書は総額だけでなく、設計と実装、移行と連携、導入後の運用に分けて読みます。区分ごとに金額と内容を見比べると、どこで費用が膨らんでいるかを把握しやすくなります。

農薬使用管理システムの費用が変動する5つの要因

農薬マスタと判定ルール、オフライン入力と現場端末、拠点数・外部連携・セキュリティの3領域を示す図
業務範囲を決めるときの確認先を整理できます。

同じ農薬管理でも、業務の範囲が違えば見積もりは変わります。費用を抑えるには、費用を押し上げる要因と、後回しにできる要件を分けて考えます。費用を押し上げる要因は5つあり、最初の2つは農薬マスタと判定ルールの品質、オフライン入力と現場端末への対応です。残る3つは、拠点数、外部連携、セキュリティ要件です。

農薬マスタと判定ルールの品質

農薬の情報は、作物や病害虫ごとに、使用時期や希釈倍率、使用回数、収穫前日数を組み合わせて管理します。

  1. 更新元と確認対象を定め、利用作物や収穫前日数を照合します。
  2. 昨年使えた農薬が、今年は使えなくなる可能性があります。そのため、更新頻度や更新元、確認者、反映履歴を設計すると、その分だけ費用が増えます。
  3. 発注者がCSVでマスタを整備し、対象作物を主要1〜2品目に絞り、警告と記録に限定すれば、初期整備費を抑えられます。
  4. ただし、社内で更新を担えるか、古いマスタを使ったときにどう警告するかを決めないまま削ると、運用リスクが高まります。

一例として、株式会社アグリコミュニケーションズは、最新の農薬データを取り込み、利用作物や収穫前日数を確かめる仕組みを説明しています(出典:「圃場管理」、2026年8月確認)。

オフライン入力と現場端末への対応

圃場の通信が不安定な場合は、入力内容を端末に保存し、通信が戻ったときに同期する機能が必要になります。

  1. 二重登録や複数人による同じ圃場の更新、マスタ更新時の競合処理まで考えると、単純な入力フォームより開発費が上がります。
  2. 写真添付やGPS、音声入力、端末紛失時の遠隔無効化は、必要性と費用のバランスを見て決めます。
  3. 現場への定着を優先するなら、多機能な画面より、数回のタップで散布記録を終えられる導線を重視します。
  4. 農薬記録の入力速度を、画面設計の判断材料にします。
  5. 入力の速さは、機能の多さと並んで、導入効果と費用対効果を左右します。

農林水産省のDX事例では、Excelへの事後入力からスマートフォン記録へ移る考え方が紹介されています。これは記録の負担を減らす方法です(出典:農林水産省「スマホを使った農作物生産記録・農薬利用記録管理」、2021年公開・2026年8月確認)。

拠点数・外部連携・セキュリティ要件

単一農場と複数農場では、必要な権限の作りが異なります。農場や圃場、作業班、JA、取引先ごとに、閲覧や入力、承認の範囲を分けます。

  1. 外部システムと農薬や作業日誌をつなぐ場合は、認可の方式や利用者の同意、データの同期方向も定めます。
  2. 圃場位置や収量、作業者、栽培ノウハウを扱う場合は、役割別のアクセス制御や多要素認証を見積もりに含めます。
  3. 法令やGAP、取引先の基準ごとに、支援する画面を分けます。

通信と保存データの暗号化、世代バックアップ、障害時の復旧手順も、見積もる対象になります。これらの要件は、後から付けると再設計になりやすいため、初期の段階で最低限の範囲を定めておきます。

ポイント

費用は、マスタと判定ルールの品質、現場端末への対応、拠点数や外部連携の範囲で大きく変わります。費用を押し上げる要件と後回しにできる要件を分けて考えると、予算に合う範囲を決めやすくなります。

費用を抑えながら進める開発ステップ

業務とデータの棚卸しから小さなPoC、小規模MVP、代表圃場からの展開へ進む図
小さく確かめた結果を次の投資判断につなげます。

予算内で導入するには、記録、管理者の確認、帳票出力までを最小の流れとして作ります。そのうえで効果を測り、在庫や取引先、農機、分析へ広げていきます。

業務とデータの洗い出しと小さなPoC

まず、対象の圃場数や作物数、農薬、作業者を一覧にします。端末や通信状況、現行のExcel、提出帳票、既存システムも書き出します。

  1. 散布前の計画から散布中の入力、散布後の警告、承認、生産履歴の出力までを図にすると、必要な機能を見分けやすくなります。
  2. 代表的な圃場1〜3か所、主要作物1〜2品目、作業者と管理者を対象に、数週間のPoCを行います。
  3. 評価指標は、1件の記録時間や記録漏れ件数、警告内容を確認できた割合、帳票作成時間です。こうした数値が、追加投資の根拠になります。

MVPで絞る記録・警告・帳票

小規模MVPでは、圃場・作物・農薬マスタ、スマートフォンでの散布記録、作物別の基本警告、CSVまたは帳票出力を優先します。

  • 権限:作業者、管理者、閲覧者の3種類程度に整理します。
  • 後回しにする機能:自動発注、AI栽培予測、ドローン連携、複雑な分析が該当します。
  • 履歴と出力:改ざん防止、CSV出力、項目の明確化、訂正履歴を確保します。
  • 拡張性:将来の連携に備え、項目を追加できるデータ設計です。

この範囲が、小規模MVPの100万〜300万円という推定の前提になります。ただし、対象範囲によって実際の費用は変わります。

テストと段階展開による追加費用のリスク管理

テストでは、適用外の作物や使用回数の超過、収穫前日数の不足を確認します。希釈倍率の範囲外や単位違い、二重登録も、確認の対象です。

  • オフライン試験:通信が切れている間の保存と、回復後の同期を確認します。
  • 警告根拠を表示:参照した農薬データの項目を利用者に示します。
  • 代表圃場から展開:ラベルと責任者の確認を残し、入力率と帳票作成時間を見て拠点を増やします。

全農場へ一度に配ると、マスタや端末の問題も一気に広がり、修正と教育の費用が膨らむことがあります。段階展開で開発期間が必ず短くなるとは限りませんが、不要な機能や使われないシステムを作るリスクは抑えられます。

農薬使用管理システムのコストを最適化するポイント

コストの最適化では、開発費を最低にすること自体を目的にしません。入力されない、警告の根拠が分からない、データを持ち出せない、マスタが古いといった状態になると、再開発や手作業が発生します。

発注側と開発会社は、現場で使い続けられる品質を保ち、後回しにできる機能を明確にします。

標準機能の活用と入力項目の絞り込み

既成SaaSやクラウドの標準機能を比較します。圃場や作付、作業日誌、農薬記録で足りる部分は、開発しません。帳票やCSV出力も、標準機能で足りるなら開発は要りません。

  • 追加開発:独自帳票や承認の追加は、標準機能と専用開発の中間案です。
  • 業務の見直し:標準画面に合わせられる範囲も、開発費を抑える判断材料になります。
  • 入力項目:法令・取引先への説明や後日の確認に必要な項目を優先します。
  • 画面の役割:作業者は選択式、管理者は詳細項目を使い、証跡を保ちます。

クラウドにカスタマイズを組み合わせる方式は、費用と柔軟性のバランスを取りやすいです。一方で、使われない自由記述欄や複雑な分類は、費用を増やします。

段階導入による投資効果の確認と拡張

初期投資で狙う成果は、「散布記録の漏れを減らす」「生産履歴書を早く出す」「使用基準を確認しやすくする」など2〜3個に絞ります。

  1. 効果を確かめてから、在庫や仕入れ、作業計画、気象、農機、分析へ広げれば、使われない機能への先行投資を避けられます。
  2. AI予測やセンサー連携は、基本データが蓄積されてから導入すると評価しやすくなります。
  3. データ所有権、CSV/API出力、認証、監査ログ、バックアップ、農薬マスタ更新の責任は初期に決めます。
  4. 契約終了時のデータ返却や削除、第三者提供、学習利用の扱いは、契約書に記載します。機能を減らす場合でも、移行や安全運用を妨げる条件は残さないようにします。

同じ要件での複数社比較と保守費

複数社には、同じ資料で同じ条件を提示します。対象圃場数や作物数、利用者数、端末、農薬マスタの準備状況が、そこに含まれます。警告や帳票、既存システム、オフライン、移行、保守期間についても、そろえて示します。

  • 依頼範囲:「農薬管理一式」とせず、必須・できれば必要・将来拡張に分けます。
  • 費用内訳:クラウドや監視、問い合わせ、マスタ更新の費用を分けて見ます。端末や通信、教育、移行、改修単価も、別々に確かめます。
  • 運用条件:障害対応や復旧目標、バックアップ、脆弱性対応、終了時のデータ出力を確認する項目です。
  • 総保有コスト:保守と改修の費用を含め、3年程度の費用で比べます。

会社ごとに対象機能が違うと、金額だけでは比べられません。

見積もりを取る際に確認すべきポイント

金額だけでなく、開発会社が農業現場と農薬管理の両方を理解しているかを確かめます。特に、最新のマスタとラベルを前提に、警告や記録、証跡を支えられる提案を選びます。

要件書に書く農薬管理固有の項目

要件書には、適用作物や病害虫、使用時期を書きます。希釈倍率や使用量、使用回数、収穫前日数、成分量の確認方法も書きます。

  • 警告時の動作:記録停止、管理者承認、手動続行のどれにするかを定めます。
  • 実績・在庫:散布記録、農薬在庫、保管場所、期限、廃棄、帳票を含めます。
  • 入力の分担:作業者は圃場や作物、農薬、量、散布日の入力に絞ります。
  • 管理画面:詳細修正とマスタ管理は分けて、散布時の画面遷移も確かめます。

実績・体制・データの扱い

候補会社には、農薬データの更新元と頻度を質問します。あわせて、警告ロジックのテスト証跡や、オフライン、複数農場の権限について聞きます。さらに、CSV/APIや教育、障害時の連絡体制についても尋ねます。

  • 実績確認:農薬基準や生産履歴の画面と運用を確かめます。農業実績だけでは、経験を判断しきれません。
  • データ権利:圃場・作業者データや栽培ノウハウの所有者と利用範囲を定めます。
  • 二次利用:第三者提供や機械学習への利用の扱いを確認します。
  • 契約終了:返却や削除、CSV、API利用権、更新停止時の代替手順を確かめます。

価格だけでなく、将来の乗り換えや監査にかかる費用も比べます。

安い見積もりの含まれない範囲

初期費用が極端に低い場合は、要件定義や移行、端末対応、テストが別料金かを確かめます。教育や保守、マスタ更新についても、別料金かどうかを見ます。

  • 利用上限:圃場や利用者、記録、帳票の数に上限があるかを確かめます。
  • 無料枠超過:上限後の料金とデータの扱いを調べます。
  • 警告の位置づけ:システムの警告があっても、法令遵守が保証されるとは限りません。
  • 責任分担:更新遅れやラベルと異なる入力への対応を、仕様書・契約書に残します。

農林水産省は、ラベルの適用作物や使用時期、使用方法を確認し、記帳するよう示しています。

ポイント

見積もりを比べるときは、同じ要件を複数社に示したうえで、保守費や改修単価、契約終了時のデータ返却まで揃えて確かめることが欠かせません。

農業向け農薬使用管理システムのよくある質問

公開料金のあるサービスでも専用開発でも、初期費用だけでなく、運用とデータの責任まで確かめます。

100万円未満で農薬使用管理システムを開発できますか?

既成SaaSの導入や既存サービスの設定なら、初期開発費をほとんどかけずに始められる可能性があります。

専用開発でマスタ、現場入力、警告、帳票、テストまで含める場合は、要件確定前の目安で100万〜300万円程度です。

範囲を限定すれば、費用は下がる可能性があります。ただし、データ移行や保守が別料金かどうかは、確かめてください。

SaaSと専用開発はどちらを選ぶべきですか?

記録と帳票を早く始めたい場合や、現場入力を試したい場合は、無料または低価格のSaaSが候補です。

独自ルール、複数拠点の権限、JAや取引先の帳票、基幹システムや農機との連携が欠かせない場合は、発注側がカスタマイズや専用開発を検討します。

発注側は、SaaSで試してから、不足する機能だけを追加する段階的な進め方もできます。

公開後の保守費用はどのくらい見ておくべきですか?

保守費用は、クラウドやバックアップ、監視、問い合わせ、障害対応の範囲で変わります。さらに、脆弱性対応やOS・ブラウザ更新、マスタ更新、帳票変更も範囲に入ります。

小規模クラウドの利用料は、月1万〜5万円程度と仮置きする場合があります。これは要件確定前の推定です。

この金額は、保守契約や端末・通信費を含むものではありません。そのため、月額・年額の内訳と追加改修単価を分けて確かめます。

システムがあれば農薬の使用基準を自動で保証できますか?

システムは登録データとルールに基づき、警告、記録、帳票、監査を支援します。ただし、自動判定を行う場合は、マスタの更新元や更新日、判定根拠を確かめ、使用前には最新のラベルを確認します。

導入しただけで、法令遵守や安全性が保証されるとは限りません。そこで、責任者の確認と教育を組み合わせます。

まとめ

費用は、無料〜年額数万円のSaaS、小規模MVPの100万〜300万円、標準法人向けの300万〜800万円、高機能連携型の800万〜2,000万円以上です。

専用開発費は、対象範囲によって変わります。マスタや現場入力、警告、在庫、帳票、移行が範囲に入ります。さらに、API、オフライン、セキュリティ、教育、保守も対象になります。

金額より先に決める対象範囲

紙やExcelの記録、提出帳票、通信環境を棚卸しします。圃場や作物、利用者の数も整理して、代表圃場で小さく検証します。そのうえで、記録漏れや入力時間、警告の分かりやすさ、帳票作成時間を測れば、予算の根拠を持って開発範囲を決められます。

SaaS、クラウド+カスタマイズ、スクラッチは、同じ業務要件で比較します。

運用費とデータの責任まで含めた見積もりの比較

見積もりでは、初期費用に加えて、運用に関わる費用も確かめます。マスタ更新やクラウド、監視、問い合わせ、端末、通信が、そこに含まれます。さらに、教育や改修、契約終了時のデータ返却も見ておきます。

  1. 農薬情報は更新されるため、警告を絶対視せず、最新のラベルと責任者の確認を前提にします。
  2. 費用や機能に加えて、現場で入力が続くか、将来データを持ち出せるかも、開発会社を選ぶ判断材料になります。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。