PMS開発の発注/外注/依頼/委託方法について

PMS(ホテル・宿泊施設管理システム)の開発は、外注の検討からRFP(提案依頼書)の作成、発注先の選定、契約まで、4つの段階で進みます。

宿泊業は24時間365日稼働が基本で、トラブルは直接の機会損失や顧客満足度の低下につながります。そのため発注先は、技術力に加え、宿泊業への理解、OTA連携の実績、導入後のサポート体制も見て選びます。

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PMS開発を外注すべきケース

PMS開発・導入の外注が有効になりやすいのは、おもに3つの場合です。

  • 社内ITリソース不足:開発を外部に委託する
  • 既存PMSの刷新:経験豊富なベンダーに依頼する
  • OTA・決済連携の複雑さ:専門性を持つ外部ベンダーを活用する

ホテルや旅館では、IT専門の部門を持たない企業も多く、システム開発を全面的に外部へ任せるのが標準的な選択肢です。

第二に、既存PMSのリプレイス・刷新が必要な場合です。老朽化したレガシーシステムの置き換えや、現行システムの機能不足を解消する開発は、リスクを抑えながら進めることが求められます。

OTAや決済とのAPI連携には専門知識が要るため、実績のある外部ベンダーに頼むと、品質と開発速度を両立させられます。

外注のメリットと注意点

PMS開発を外注すると、専門知識をすぐに活用でき、開発リスクを分散させながら、保守・運用のサポートも継続して受けられます。特に宿泊業界に特化したベンダーであれば、OTA仕様の変更への対応・季節需要に応じた料金管理機能の設計・外国人観光客向けの多言語対応など、業界固有の要件を熟知した開発が期待できます。

一方で、外注にはベンダー依存(ベンダーロック)のリスクもあります。独自フォーマットのデータベース設計や、ソースコードの権利がベンダー側にある契約では、契約終了後にシステムを引き継ぐことが難しくなる場合があります。そのため、契約時にはソースコードの権利の帰属とデータのエクスポート権利を明記しておくことが欠かせません。

ポイント

社内にIT開発の担当がいない場合や、既存PMSの刷新、OTA・決済連携の専門性が要る場合は、外注が向いています。ただし、ベンダー依存を避けるため、ソースコードの権利を契約で決めておくことが大切です。

発注準備・RFP作成のポイント

PMS開発のRFPに含める施設概要、必須機能、外部連携、非機能要件を4枚のパネルで示す図。
業務と連携先の情報を整理すると、提案や見積もりの前提がそろいます。

PMS開発の発注を成功させるには、RFP(提案依頼書)に宿泊業固有の要件を具体的に書くことが鍵になります。

システム開発に不慣れな施設でも、現状の業務と必要な機能を整理すれば、効果的なRFPを作成できます。

業務フローの洗い出しと要件整理

RFPを作る前提として、現状の業務フローを一覧にしておきます。整理する業務フローは5つで、前半は予約受付から確認メール送信・事前精算まで、チェックインから客室割り当て・キーカード発行まで、付帯施設(レストラン・スパ)の利用記録から一括請求までです。後半は、チェックアウトから請求書発行・決済まで、キャンセル・変更・返金処理です。

各フローでは、現状の進め方、新システムでどうしたいか、例外処理がどのような場合に起きるかを文書にまとめます。あわせて、利用しているOTA(一覧と月間予約件数)、決済端末・POSシステム、会計システムの情報も、RFPに盛り込みます。

発注側が、業務の流れと連携先の情報をベンダーに渡すことで、精度の高い提案と見積もりを受けられます。

RFPに含めるべき必須事項

効果的なRFPに含めるべき必須事項は7つで、いずれも入れておくことが大切です。(1)施設概要では、客室数・施設種別(シティホテル・リゾート・旅館等)・拠点数(多施設展開の場合)・年間宿泊者数の規模感を整理します。(2)必須機能は、予約管理・フロント業務・料金管理などを一覧にし、OTA連携や決済連携、レポート機能も加えます。

(3)外部連携では、連携するOTA名と決済端末の種類、会計システム名、その他の外部システムを一覧にします。(4)非機能要件では、稼働時間(24時間365日)・同時接続ユーザー数・応答時間の目標・データバックアップ要件を示します。

(5)スケジュール要件では、稼働希望時期と中間マイルストーンを設定します。(6)予算規模感として、おおよその予算範囲を示すと、ベンダーが現実的な提案をしやすくなります。(7)その他要件には、多言語対応の範囲、モバイル対応、将来的な機能拡張の予定を記載します。

ポイント

業務フローや外部連携、おおよその予算範囲がRFPに書けているかで、発注準備が整ったかを判断します。

発注先の選定ポイント

発注先選定で確認する宿泊業界への理解度、OTA連携実績、24時間対応、保守サポート体制を示すチェックリスト。
導入実績や障害時の対応方法を並べると、候補ごとの確認漏れを防げます。

PMS開発のパートナーを選ぶ際は、一般的なシステム開発会社の評価軸に加えて、宿泊業の経験があるかどうかが大きな判断材料になります。

宿泊業界への理解度とOTA連携実績

PMS開発ベンダーの評価でまず確かめたいのは、宿泊業界の実態を理解しているかどうかと、OTA連携の実績です。宿泊業の業務フロー(季節変動する需要・連泊処理・グループ予約・MICE対応など)を開発者が理解していないと、要件定義の段階で認識のずれが生じ、手戻りが多発するおそれがあります。

提案時には、「宿泊業界のプロジェクトを何件担当したか」と「主要OTA(Booking.com・じゃらん・楽天トラベルなど)のAPI仕様変更にどう対応してきたか」を具体的に確認することが推奨されます。また、チャネルマネージャーとの連携実績も評価軸になり、どのチャネルマネージャーと連携したことがあるかを確かめます。

発注側は、同規模・同業態の施設での導入実績を参照先として示してもらい、実際に問い合わせて現場の声を聞くことが理想的です。

24時間対応・保守サポート体制の確認

宿泊施設では、チェックイン・チェックアウトが早朝や深夜にも発生するため、PMSのトラブルは時間を選びません。そこで、発注先のサポート体制として、障害時の一次応答時間(例:電話で24時間対応か、メールのみ対応か)と、休日・深夜のエスカレーション手順を事前に確かめます。リモートサポートの可否や、現地対応が必要な場合の出動時間も押さえておきます。

SLA(サービスレベル合意)では、P1(システム全停止)、P2(主要機能停止)、P3(軽微な不具合)の各レベルで、応答時間と復旧目標時間を契約に明記しておくことが望まれます。

また、OTAのAPI仕様変更時の対応責任と費用分担も、事前に取り決めておくことが大切です。OTA連携部分は年に数回API仕様が変わることがあり、その都度費用が発生するのか、保守費用内で対応するのかを明確にしておく必要があります。

ポイント

宿泊業の経験やOTA連携の実績があるか、障害時の応答体制を示せるかで、発注先を比べます。参照先の施設に問い合わせると、判断の材料が増えます。

契約・プロジェクト管理のポイント

PMS開発の検収条件設定から並行稼働、データ照合、新システムへの切り替えまでを順に示す図。
切り替え前の照合が、新旧システム間の差異確認につながります。

検収条件の設定と移行計画

PMS開発の検収条件は、宿泊業の実業務を想定した動作確認まで含めて設定することが重要です。「システムが動くこと」だけを条件にすると、業務の流れの中で起きる不具合を見落としやすくなります。

検収条件の例として、(1)OTA経由の予約がPMSに正しく反映されること、(2)チェックイン・チェックアウト処理が正常に完了すること、(3)POSとの売上連携が正確に行われることの3つが挙げられます。加えて、(4)月次の会計データが会計システムへ正しく連携されること、(5)想定する最大同時接続数でも応答速度が規定値以内であることも、検収条件に含められます。

本番移行では、既存システムとの並行稼働期間(1〜2週間程度)を設けることが推奨されます。並行稼働中に新旧システムのデータを照合し、差異がないことを確かめてから、新システムへ完全に切り替えます。また、繁忙期(年末年始・GW・お盆等)を避けて本番移行を行うことも大切です。

ポイント

検収条件に宿泊業の実業務の動作確認が含まれているか、本番移行を繁忙期外に並行稼働で進められるかが、判断の目安になります。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。