電力需給調整システムの発注・外注は、対象市場・設備・計量・制御・運用の責任分界を先に定め、RFPで同じ条件の提案と見積もりを比較することが成功の近道です。
電力需給調整システムは、需要や発電量を予測し、需給計画を作成し、市場・OCCTO・設備・蓄電池などと連携しながら、計画値と実績値の差を抑えるシステムです。小売電気事業者、発電事業者、アグリゲーター、一般送配電事業者では必要な機能と可用性が大きく異なります。本記事では、発注形態の選び方、RFPと要件整理、請負・準委任などの契約形態、費用相場、委託先の選定、見積比較、テストと運用開始までを、外注を進める発注者の視点で解説します。
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電力需給調整システムの発注・外注で最初に決めること

発注前に最も重要なのは、電力需給調整システムという言葉で呼んでいる対象を、業務と設備の単位に分解することです。需要予測と可視化だけを導入する企業と、需給計画、市場入札、蓄電池の充放電指令、精算、24時間監視まで自動化する企業では、同じ名称でも開発規模がまったく違います。最初のRFPで範囲を広げすぎると見積比較ができなくなり、逆に範囲を狭めすぎると本番稼働後に追加費用が膨らみます。
電力需給調整システムとは何ですか?
電力需給調整システムとは、需要・発電の予測、需給計画、調達や市場取引、実績の取り込み、インバランスの監視、必要に応じた設備制御をつなぐ業務システムです。予測値を表示するだけではなく、気象データ、スマートメーターや発電設備の実績、蓄電池のSOC、市場価格、約定情報を時刻単位で扱い、計画と実績の差を早期に把握できることが基本要件になります。
外注の対象を決めるときは、まず発注者の立場を分けます。小売電気事業者や発電事業者は、需要・発電予測、計画作成、調達、OCCTO提出、インバランス管理を中心に考えます。アグリゲーターは、複数の蓄電池や需要家リソースを束ね、機器・EMSとの通信、指令、実績計測、精算まで考えます。一般送配電事業者に近い系統運用では、広域連系、冗長化、災害対策、訓練、手動退避など、業務Webとは異なる水準の要件が必要です。
発注者の事業によって必要な範囲はどう変わりますか?
小売・発電事業者の初期導入では、需要または発電の予測、計画作成、実績取込、OCCTOへの提出、インバランスの把握、社内の販売・会計システムとの連携が優先されます。市場入札を人が承認してから送信する設計にすれば、最初から完全自動化しなくても運用を開始できます。発注時には、予測精度の目標だけでなく、予測が外れた場合の再計算時間、手動補正の方法、操作履歴の保存を要件に含めます。
アグリゲーターや蓄電池事業者では、設備ごとの出力上限、充放電効率、SOC、契約上の制約、通信断時の安全動作を最適化ロジックに反映します。2026年1月の電力広域的運営推進機関の委員会でも、需給調整市場における機器個別計測や2026年度以降の調整力必要量が議題になっています(出典: 電力広域的運営推進機関「第59回需給調整市場検討小委員会」、2026年)。将来の制度変更を前提に、計算式や計測単位を設定値・ルールとして変更できる構成にしておくことが重要です。
電力需給調整システムの発注形態はどれを選ぶべきですか?

結論として、最初から全面スクラッチを選ぶのではなく、需給管理のパッケージやクラウドを核にし、独自の予測・最適化・機器連携・基幹連携だけを個別開発するハイブリッド方式を出発点にするのが現実的です。独自性が高い部分と、制度改定に追随し続ける共通部分を分離できるため、初期費用と将来の保守負担を比較しやすくなります。
パッケージ・クラウド型で発注する場合
パッケージ型は、需要予測、需給計画、実績取込、市場関連の処理、帳票など、共通性の高い機能を利用できるため、短い期間で導入しやすい方式です。クラウド型であれば、サーバー調達やバックアップ、監視の一部をサービス側に任せられます。ただし、「市場連携に対応」と書かれていても、自社が参加する市場、データの粒度、提出形式、再送処理、制度改定の反映時期まで一致するとは限りません。提案書では、標準機能、設定変更、追加開発、対象外を機能一覧で分けてもらいます。
クラウドの見積もりでは、月額利用料だけでなく、データ保存量、API呼び出し、監視、バックアップ、待機系、ネットワーク、気象データ、市場データ、24時間対応を含む5年総額を比べます。通信断やクラウド障害時に、どの機能を停止し、どの手順で手動運用へ移行するのかも確認します。クラウドを選ぶことは運用責任が消えることではなく、責任の分担先が変わることだと理解しておく必要があります。
スクラッチ・ハイブリッド型はどのように使い分けますか?
スクラッチ開発は、自社独自の需給計画、複雑な電源制約、蓄電池の運用ルール、既存の制御システムとの密接な連携を実現しやすい方式です。一方で、制度解釈、計量、外部接続、異常時の退避、試験、脆弱性対応、担当者の交代まで自社と委託先が長く抱えることになります。画面やAIモデルの自由度だけで決めず、5年後に制度改定と保守を誰が担えるかを判断軸にします。
ハイブリッド型では、制度に共通する市場・提出・実績・精算の機能をパッケージや共通サービスに寄せ、独自の予測モデル、発電機の制約、蓄電池の最適化、社内基幹との連携を個別開発します。機能単位でAPIとデータモデルを分けると、将来ベンダーを変更するときも移行範囲を限定できます。RFPには、標準機能の利用範囲と個別開発部分を明記し、独自コードや設定の利用権、引継ぎ資料の範囲も確認します。
一括発注と分離発注はどう使い分けますか?
一括発注は、要件定義、開発、データ移行、対向試験、切替、保守の窓口をまとめやすく、発注者の調整負担を抑えられます。その反面、提案された構成や見積もりの妥当性を比較しにくく、元請けへの依存が強まりやすい方式です。一括で契約する場合でも、工程別の成果物、作業量、費用、受入基準、再委託先を分けて記載してもらうことが重要です。
分離発注は、現状分析・PMO、アプリケーション、クラウド基盤、設備・EMS連携、第三者セキュリティ診断などを分ける方式です。専門会社を組み合わせやすい一方で、障害の原因と責任の切り分けが複雑になります。分離するなら、全体の統合責任者、API仕様の管理者、総合試験の責任者、切替判断者を発注者と委託先の双方で決め、契約書と体制図に落とし込みます。
RFPと要件整理はどの順番で進めますか?

RFPは機能一覧だけを配布する資料ではありません。各社が同じ前提で提案と見積もりを作れるように、現行業務、対象設備、データ量、外部接続、性能、セキュリティ、移行、運用、契約条件をまとめた発注者の前提書です。現行棚卸し、将来業務の決定、非機能の設定、RFP作成、質問回答、提案比較の順に進めると、提案後の条件変更を抑えやすくなります。
現行業務・設備・データを最初に棚卸しします
現行棚卸しでは、需要・発電・蓄電池・市場取引・計画提出・実績・精算・監視などの業務を洗い出します。機能だけでなく、データの入力元、時刻の基準、30分や秒単位などの粒度、欠損や遅延の扱い、再送、保存期間、担当者の承認、帳票、外部ファイル、APIを記録します。設備側では、発電機、蓄電池、EMS、メーター、通信回線、ゲートウェイごとに、制御できる範囲と異常時の安全動作を確認します。
ヒアリングでは平常時の運用だけでなく、急な天候変化、予測外れ、市場価格の急騰、通信断、データ欠損、機器停止、担当者不在を想定します。現場が表計算ソフトやメールで補っている作業は、既存システムの画面に現れない重要な要件になることがあります。成果物は、業務フロー、機能一覧、設備一覧、データ項目一覧、連携一覧、課題一覧、責任分界表として残し、RFPの別紙に利用できる状態にします。
RFPには機能要件と非機能要件をどう書きますか?
機能要件には、需要・発電予測、予測誤差の表示、計画作成、制約条件、入札・約定、OCCTOや市場との連携、実績取込、インバランス監視、指令、精算、アラート、監査ログを記載します。「AIで最適化する」のような抽象的な表現だけでは比較できないため、入力データ、計算の頻度、計算時間、制約違反時の扱い、人による承認の有無、計算結果の説明方法まで具体化します。
非機能要件には、稼働時間、同時利用者、データ受信量、画面応答、再計算時間、RTO・RPO、バックアップ、監視、障害通知、ログ保存、時刻同期、権限管理、脆弱性対応、災害時の切替を含めます。2025年6月、資源エネルギー庁は、サプライチェーン・リスク管理、セキュリティ仕様の確認、機器の適切な管理を扱う「電力制御システムに関するサプライチェーン・セキュリティ対策の手引き」を公表しました(出典: 経済産業省・資源エネルギー庁、2025年)。外注先の再委託や機器メーカーまで含む責任分界を、RFPと契約の両方に記載します。
PoCと本番受入を分けて評価します
PoCでは、過去データを使った予測精度だけでなく、急な気象変化、欠損データ、通信遅延、設備制約、予測外れ時の再計算、担当者による手動補正を再現します。評価指標は平均絶対誤差などの精度に限らず、計画作成にかかる時間、インバランス費用、再計算の完了時間、誤指令の防止、異常からの復旧時間を含めます。九州電力と株式会社グリッドは、2026年4月からAIを活用した日々の需給計画の自動化・最適化システムを本格運用したと公表しています(出典: 九州電力・株式会社グリッド、2026年)。AIの導入効果は、精度の数字だけでなく、実務時間や計画品質の変化で確認します。
本番受入では、正常系の画面確認だけで終わらせません。市場・OCCTO・気象・メーター・設備・基幹システムとの対向試験、データ欠損、重複、遅延、通信断、誤った指令、権限外操作、バックアップからの復元、待機系への切替、手動運用への退避を検証します。受入条件は「システムが起動する」ではなく、「指定した条件で計画を作成し、異常時に誰がどの手順で安全に業務を継続できるか」として定義します。
契約形態は請負と準委任をどう使い分けますか?

契約形態は、要件の確定度と成果物の明確さに合わせて選びます。要件定義や現行調査のように前提が変わりやすい工程は準委任契約、設計書・プログラム・テスト結果・移行成果物など納品物と受入基準を定めやすい工程は請負契約が比較しやすい傾向です。PoC、要件定義、本番開発、保守を一つの契約に詰め込まず、工程ごとに契約を分ける方法もあります。
請負契約では成果物と受入条件を明確にします
請負契約では、何を完成させるのかを納品物一覧にします。要件定義書、基本・詳細設計書、データモデル、API仕様、設定一覧、プログラム、テスト計画・結果、移行計画・結果、操作マニュアル、運用手順、障害対応手順を工程ごとに整理します。受入基準には、処理時間、計算結果の照合、データ件数、欠損時の挙動、権限、ログ、バックアップ、切替と切戻しを含めます。
「仕様変更は追加費用」とだけ契約すると、制度改定や市場仕様の変更が起きたときに判断が難しくなります。発注者の都合による機能追加、法令・制度変更、外部接続先の仕様変更、委託先の設計不足を区別し、変更管理の申請、影響評価、承認、費用負担の手順を定めます。検収後の瑕疵対応、保証期間、重大障害の優先度、修正期限も契約書とSLAに落とし込みます。
準委任契約では作業範囲と意思決定を管理します
準委任契約は、現状調査、業務整理、PMO、データクレンジング支援、運用設計、技術検証など、作業量や前提を固定しにくい工程で活用しやすい契約です。委託先が作業を支援しても、業務上の優先順位、制度解釈、予算、切替の判断を発注者が行う場面は残ります。定例会議、課題管理表、レビュー記録、決定事項、次回までの作業を成果確認の材料にします。
PoCを準委任で始め、検証結果を基に本番範囲を決めて請負へ移行する方法もあります。ただし、PoCで作ったモデルやデータ加工が本番契約で再利用できるか、ソースコードや設定を受け取れるか、検証データをどのように保管・削除するかを最初から合意します。契約を分割する場合でも、次工程の発注判断に必要な成果物を具体的に定義しておくことが大切です。
データ・知的財産・再委託・出口条件を決めます
電力需給調整システムでは、発注者が提供する需要・発電・計量・市場・設備データ、予測モデルの学習データ、最適化の制約条件、設定値、監査ログを誰が利用できるかを整理します。パッケージ本体の権利移転を求めるのではなく、自社データ、個別に作成した設定、追加開発部分、API仕様、テスト成果物、運用マニュアルを、契約終了後もどの範囲で利用・移行できるかを明確にします。
元請けのほかに、クラウド事業者、通信会社、機器メーカー、EMS事業者、気象データ提供者、保守会社が関与する場合は、再委託の範囲と承認手順を確認します。障害や情報漏えいが起きたときの報告期限、ログや機器の調査協力、脆弱性情報の共有、契約終了時のデータ返却と消去証明、別ベンダーへの引継ぎを契約に含めます。出口条件を先に決めることが、ベンダーロックインを抑える実務的な方法です。
電力需給調整システムの費用相場とコストの内訳

電力需給調整システム単体の全国統一価格は公表されていません。以下の金額は、2025〜2026年時点の要件整理、一般的なシステム開発工数、電力市場・計量・制御・セキュリティ対応を踏まえた、要件定義前の予算取り用の概算です。対象設備数、接続先、時間粒度、可用性、既存システムの状態、24時間運用の有無で変動するため、確定見積もりではありません。
開発費はどの程度を見込むべきですか?
予測・可視化に絞ったPoCは300万〜1,000万円、パッケージやクラウドを小売・発電事業者向けに導入する場合は1,500万〜5,000万円が一つの目安です。需給計画に加えて、蓄電池やVPP、機器・EMS接続、需給調整市場との連携、精算まで含めると5,000万〜2億円程度、複数事業者が利用する共同利用型では2億〜10億円程度になる場合があります。中央給電指令所や系統運用級の案件は、冗長化、訓練、全国規模の対向試験、長期保守を含めて5億〜30億円以上を想定することがあります。
この幅を一つの相場として扱ってはいけません。例えば、1,500万〜5,000万円の範囲は、予測、計画、提出、実績取込、既存基幹連携を主な対象とした発注の概算です。設備制御、低圧リソースの束ね、機器個別計測、通信冗長化、24時間オンコールを含めれば、同じ事業者向けシステムでも上限を超えることがあります。発注者は金額だけでなく、対象外になっている機能と運用を確認します。
見積もりではどの費用を分けて比較しますか?
初期開発費は、要件定義・制度整理、基本設計・詳細設計、実装・連携、インフラ・冗長化、性能・セキュリティ・対向試験、移行・教育・PMに分けて提示してもらいます。目安として、要件定義・制度整理を10〜20%、設計を15〜25%、実装・連携を20〜35%、インフラを10〜20%、試験を15〜30%程度に仮置きできますが、これは案件の性質によって変わる参考配分です。見積書で工程が一式になっている場合は、作業内容と成果物を確認します。
継続費用には、クラウド、回線、監視、気象データ、市場データ、計量機器、保守、制度改定、モデル再学習、脆弱性対応、24時間の障害対応が含まれます。需給調整市場の2025年度売買手数料の試算では、市場運営費用27.7億円の内訳としてシステム関連費用24億円が示され、制度変更に伴うシステム開発費用の減価償却相当分も要因に挙げられています(出典: 一般社団法人電力需給調整力取引所「2025年度売買手数料単価について」、2025年度)。これは1社の開発費ではなく市場運営全体の規模ですが、制度改定とシステム維持に継続費用がかかることを示す参考情報です。
5年総額で費用対効果を判断します
初期費用が安い提案でも、制度改定のたびに個別開発費が発生し、データ料金やクラウド従量課金が増え、障害時の手動対応に人手が必要なら、実際の負担は大きくなります。反対に初期費用が高くても、標準API、設定可能なルールエンジン、冗長化、監視、移行支援、運用教育が含まれていれば、長期的に比較優位になることがあります。初期開発、導入、年間保守、制度改定、データ・回線、機器更改を分け、3年と5年の総額を作ります。
費用対効果は、売上や燃料費だけでなく、計画作成時間、インバランス費用、担当者の夜間作業、障害復旧時間、誤指令の防止、監査資料の作成時間で確認します。PoCの段階で改善前の指標を測り、本番稼働後に比較できる状態にします。AIの精度向上があっても、業務フローや承認手順が変わらなければ効果を得にくいため、人の判断を残す箇所と自動化する箇所を費用と一緒に評価します。
委託先の選定と見積比較で確認すべきポイント

委託先は、会社の知名度や提案書の見栄えだけで決めません。対象市場・設備との接続実績、制度改定への対応力、予測と最適化の説明可能性、OTとITの分離、冗長化・災害対策、24時間の障害対応、第三者機器との連携、内製移管の実績を同じ質問で比較します。発注者の業務に近い実績がない場合は、類似案件の画面ではなく、データ連携、異常系試験、切替、保守体制まで説明してもらいます。
委託先はどのような観点で選びますか?
パッケージやクラウドの導入を重視するなら、富士電機や三菱電機など、需給管理や電力関連業務システムを提供する企業を候補にできます。予測・最適化や蓄電池運用を重視するなら、九州電力との共同開発事例を公表した株式会社グリッドのような企業を確認します。大規模な基幹連携や長期運用体制を重視する場合は、富士通や日立製作所などの大規模SI事業者も候補になります。企業名で絞り込むのではなく、自社の発注範囲に必要な役割を持つ会社を組み合わせます。
候補企業への質問は、「電力案件の実績がありますか」だけでは不十分です。自社と同じ市場・事業区分・設備規模の実績、利用したプロトコル、機器メーカー、障害件数と復旧方法、制度変更の反映手順、予測モデルの再学習、ソースコードやデータの引継ぎ、再委託先、稼働後の担当人数を確認します。実績を開示できない場合でも、匿名化した構成図、テスト項目、SLAの例、運用体制を示せるかで実務能力を判断できます。
見積比較では金額以外に何を確認しますか?
見積比較では、機能、非機能、連携、移行、試験、教育、保守、制度改定のどこまでが含まれているかをそろえます。各社の提案を、初期開発費、機器・計量費、クラウド・回線費、データ費、保守費、追加変更費、障害対応費に分け、数量、単価、期間、前提条件を並べます。特に「別途見積」「要相談」「標準対応」の項目は、費用と責任の境界を質問票で具体化します。
評価表は、価格だけでなく、要件適合度、電力制度・市場の知識、連携実績、非機能、セキュリティ、運用体制、プロジェクト管理、提案の透明性、5年総額で採点します。例えば、価格30点、機能・業務適合25点、技術・連携15点、セキュリティ・可用性15点、運用・保守10点、引継ぎ・将来性5点のように配点を決められます。点数は目的に合わせて調整し、安価な提案が対象外機能を多く含む場合に見抜ける仕組みにします。
セキュリティと運用体制を契約前に確認します
アグリゲーターや分散リソースを扱う案件では、機器、ゲートウェイ、通信、クラウド、業務システムを一つの攻撃面として考えます。経済産業省は2025年5月、ERABに関するサイバーセキュリティガイドラインVer3.0を公表し、DR事業者の設備接続やIoT機器の利用拡大を背景に見直しました(出典: 経済産業省「ERABに関するサイバーセキュリティガイドラインVer3.0」、2025年)。RFPでは、認証、権限、暗号化、脆弱性管理、ログ、遠隔保守、機器の初期設定、インシデント対応を確認します。
運用体制では、平日の日中だけでなく、休日・夜間の障害受付、一次切り分け、設備側への連絡、手動退避、復旧判断、顧客や市場への報告までを確認します。SLAには、重大度ごとの受付時間、暫定復旧、恒久対応、報告書、再発防止、定期訓練、バックアップ復元試験を記載します。発注後に運用設計を始めると、開発者しか復旧できない状態になりやすいため、提案段階で当番表と障害シナリオを示してもらいます。
電力需給調整システムの発注・外注でよくある質問

電力需給調整システムの外注では、相場の幅、AIの必要性、パッケージとスクラッチの違い、制度変更への対応がよく質問されます。ここでは、発注前に判断しやすいように、結論を先に回答します。
電力需給調整システムの開発費用は最低いくらですか?
予測・可視化だけの検証用PoCであれば、300万〜1,000万円程度を予算取りの起点にできます。市場提出、実績連携、蓄電池制御、精算、24時間運用を含める場合は、1,500万円から数億円まで広がるため、機能範囲と対象外作業をそろえた相見積もりが必要です。公表された市場運営システムの費用を、1社の開発相場として流用してはいけません。
電力需給調整システムにAIは必須ですか?
AIは需要・発電予測や需給計画の自動化に役立ちますが、すべての案件に必須ではありません。データ量が少ない段階では、統計モデルやルールベースの方が説明しやすい場合もあります。AIを採用する場合も、予測外れ時の再計算、手動補正、モデルのバージョン管理、学習データの品質、結果の監査方法までを要件に含め、精度の数字だけで採用を決めないことが重要です。
パッケージとスクラッチ開発はどちらが良いですか?
多くの発注では、制度対応が必要な共通機能をパッケージやクラウドで利用し、独自の予測・最適化・設備連携だけを個別開発するハイブリッド方式が比較の出発点になります。独自業務や制御要件が極めて強く、将来の保守人材と試験体制を確保できる場合はスクラッチも候補です。初期費用ではなく、制度改定、保守、移行、データ返却、ベンダー変更を含む5年総額で判断します。
RFPには最低限何を書けばよいですか?
対象事業、対象市場、対象設備、業務範囲、入力・出力データ、時間粒度、外部連携、性能、可用性、セキュリティ、移行、テスト、運用、保守、契約条件を記載します。特に、通信断、欠損、予測外れ、誤指令、制度変更、クラウド障害などの異常時要件と、手動運用への切替を省略しないことが大切です。各社が標準機能、設定、追加開発、対象外を同じ形式で回答できるよう、回答様式と見積内訳を指定します。
まとめ

発注前に確認するポイント
発注前は、対象市場・設備・データ・業務範囲・責任分界を一枚の資料で確認します。RFPの回答様式、見積内訳、受入条件、異常時の手動退避、保守と制度改定の費用をそろえると、委託先を比較しやすくなります。
稼働後まで見据えた委託先選び
委託先は、初期開発だけでなく、制度変更、障害対応、モデル更新、データ返却、内製移管まで支援できるかで選びます。PoCで得た成果を本番受入と運用KPIにつなげ、担当者が変わっても手動運用へ安全に退避できる体制を契約に残します。
電力需給調整システムを外注するときは、最初に発注者の立場と対象範囲を決めます。小売・発電の需給管理、アグリゲーターのVPP・蓄電池制御、広域・系統運用では、必要な機能、可用性、試験、費用が異なります。予測・計画・市場・計量・設備・精算・監視を業務フローに並べ、どこまでを委託し、どこを自社で判断するかを責任分界表にします。
発注形態は、共通機能をパッケージやクラウドで利用し、独自の予測・最適化・設備連携を個別開発するハイブリッドを軸に比較します。RFPでは、機能だけでなくデータ、制度改定、セキュリティ、異常時の手動退避、移行、24時間運用、再委託、データ返却を明記します。請負と準委任を工程ごとに使い分け、見積もりは初期費用だけでなく、保守・データ・回線・制度対応を含む5年総額で比べることが大切です。
最終的な委託先は、価格の安さではなく、同じ市場・設備・業務に対する実績、異常系を含む試験力、制度変更への対応力、運用と引継ぎの透明性で選びます。PoCでは精度だけを評価せず、計画作成時間、インバランス費用、再計算、手動介入、復旧時間まで確認し、本番の受入条件につなげます。発注前に要件と責任を整理できれば、追加費用とベンダーロックインを抑えながら、将来の制度変更にも追随しやすい電力需給調整システムを構築できます。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
