電力需給調整システムの発注は、対象範囲と責任分界を先に決め、RFPの作成、見積比較、試験、運用開始の順に進めるのが流れです。順番どおりに進めると、追加費用を抑えやすくなります。
発注形態、要件整理と契約、費用相場と委託先選定を順に説明します。全体像は次の全体ガイドでも確認できます。
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電力需給調整システムの発注・外注で最初に決める項目

発注前には、電力需給調整システムの対象を業務と設備の単位に分けておく必要があります。需要予測と見える化だけを導入する場合と、需給計画や市場入札、蓄電池指令まで自動化する場合では、開発規模が異なります。特に、最初のRFPで範囲を広げすぎると見積もりを比べにくくなり、狭めすぎると本番稼働後に追加費用が膨らみます。
電力需給調整システムの主要機能
主要機能は、予測・計画、取引・実績、設備制御の3つに分けて整理できます。
- 予測・計画:需要・発電の予測と、それに基づく需給計画の作成
- 取引・実績:調達や市場取引の処理と、実績・インバランスの監視
- 設備制御:必要な場合に、蓄電池などの機器を操作する
予測値を表示するだけでなく、気象データや発電設備の実績、蓄電池のSOCを時刻単位で扱う必要があります。スマートメーターの実績や市場価格、約定情報も、同じ時刻単位で扱います。特に、計画と実績の差を早期に把握できることが基本要件です。
事業区分ごとの必要な範囲
小売・発電、アグリゲーター、系統運用では、優先する機能が異なります。そのため、事業区分ごとに範囲を整理します。
- 小売・発電:需要・発電の予測と計画、調達を中心に、OCCTO提出とインバランス管理
- アグリゲーター:蓄電池や需要家の束ね方と、EMS通信・指令・実績計測・精算
- 系統運用:広域連系や冗長化、災害対策、訓練、手動退避を含む範囲
アグリゲーターや蓄電池事業者では、出力上限や充放電効率、SOCを最適化に反映します。さらに、契約制約と通信断時の安全動作も、最適化の条件として扱います。
2026年1月の第59回小委員会では、機器個別計測が議題になりました(出典: 電力広域的運営推進機関「第59回需給調整市場検討小委員会」、2026年)。また、同会では2026年度以降の調整力必要量も議題になりました(出典: 電力広域的運営推進機関「第59回需給調整市場検討小委員会」、2026年)。
このため、制度変更に備えて、計算式や計測単位を設定で変更できる構成にしておきます。
電力需給調整システムの発注形態の選び方
全面をスクラッチで一から作るよりも、需給管理の共通機能と独自に開発する部分を分けて考えるのが現実的です。そのうえで、独自の予測・最適化、機器、基幹連携だけを個別に開発すると、初期費用と将来の保守負担を比べやすくなります。
パッケージ・クラウド型の発注
パッケージとクラウドを比べるときは、共通機能をどこまで使えるか、自社の要件に合うか、導入後の費用と運用の分担はどうかを確認します。
- パッケージ:需要予測や需給計画、市場処理、帳票などの機能を備え、短期間で導入しやすい。
- クラウド:サーバー調達やバックアップ、監視の一部を、サービス側に任せられる。
- 市場適合:「市場連携に対応」とあっても、自社の市場や粒度、提出形式に合うとは限らない。再送や制度改定の反映時期も確認が必要。
- 提案内訳:機能一覧で、標準機能と設定変更、追加開発と対象外を分けてもらう。
- 費用比較:月額利用料のほか、5年総額で比べる。
クラウドの費用は、データ保存量やAPI呼び出し、監視の分も含めて見積もります。バックアップや待機系、ネットワークに加え、気象・市場データや24時間対応の費用も見る必要があります。
通信断やクラウド障害が起きたときに止める機能と、手動運用へ移る手順を、発注側と委託先で確認します。クラウドを使っても運用の責任は残り、その分担先が変わります。
スクラッチ・ハイブリッド型の使い分け
スクラッチとハイブリッドは、独自要件の範囲と将来の保守体制で使い分けます。
- 独自要件:計画、電源制約、設備連携の独自性による方式の比較
- 将来保守:5年後まで想定した、制度改定や試験への対応体制
スクラッチ開発は、独自の需給計画や複雑な電源制約、蓄電池ルールを実現しやすく、既存制御との密接な連携もしやすい方式です。
スクラッチ開発では、制度の解釈や計量、外部接続、異常時の退避を長く担う必要があります。試験や脆弱性対応、担当者の交代も含まれます。画面やAIモデルの自由度と合わせて、制度改定と保守を誰が担うかを判断します。
ハイブリッド型では、市場や提出、実績、精算などの制度共通機能をパッケージや共通サービスに寄せます。独自の予測モデルや発電機の制約、蓄電池の最適化、社内基幹との連携は、個別に開発します。
機能単位でAPIとデータモデルを分けておくと、将来ベンダーを変えるときに、移行の範囲を限定できます。また、RFPには標準機能と個別開発の部分を明記し、独自コードや設定の利用権、引継ぎ資料も確認します。
一括発注と分離発注の使い分け
一括発注と分離発注は、窓口をどこまで集約するか、統合責任をどこに置くかで比べます。
- 一括発注:複数工程の窓口をまとめ、調整の負担を抑えやすい。
- 分離発注:専門会社を組み合わせやすいものの、統合責任者を別に設ける必要がある。
一括発注では窓口をまとめやすい一方で、提案の構成や見積もりの妥当性を比べにくく、元請けへの依存が強まる場合があります。契約時には、工程ごとの成果物と作業量、費用を分けて記載してもらいます。受入基準と再委託先も、同じ形式で書いてもらいます。
分離発注では、現状分析やPMO、アプリ、クラウド基盤を個別に委託できます。設備・EMS連携や第三者セキュリティ診断も、別々の会社に任せられます。
障害の原因と責任の切り分けは複雑になりやすいため、役割を先に決めておく必要があります。統合責任者やAPI仕様の管理者、総合試験の責任者、切替の判断者を、発注側と委託先の双方で決めます。決めた役割は、契約書と体制図に記載します。
RFPと要件整理の進め方

RFPは、機能一覧を配るだけの資料ではなく、各社が同じ前提で提案と見積もりを作れるように要件をまとめたものです。まず現行業務と設備、データ量、外部接続を書き込み、そのうえで性能やセキュリティ、契約条件などを記載します。移行や運用の条件も、同じ資料に含めます。
作業は、現行業務の洗い出し、将来業務の決定、非機能の設定、RFPの作成という順に進めます。質問への回答と提案の比較は、その後の段階です。この順に進めると、提案後の条件変更を抑えやすくなります。
現行業務・設備・データの洗い出し
現行の状態は、業務、データ、承認・連携、設備の4区分で洗い出します。
- 業務:需要・発電や蓄電池、市場取引に関わる処理を、計画提出から精算、監視まで
- データ:入力元と時刻基準、粒度(30分・秒単位)、欠損・遅延・再送の扱い、保存期間
- 承認・連携:担当者の承認、帳票、外部ファイル、APIの流れ
- 設備:発電機や蓄電池、EMS、メーター、回線、ゲートウェイごとに、制御範囲と異常時の安全動作
平常時だけでなく、急な天候の変化や予測の外れ、市場価格の急騰も想定します。また、通信断やデータ欠損に加えて、機器停止や担当者不在も確認します。特に、表計算ソフトやメールで補っている作業は、画面に現れない要件になることがあります。
洗い出しの成果物は、業務フローと一覧(機能・設備・データ・連携・課題)、責任分界表です。これらは、RFPの別紙として使います。
RFPの機能要件と非機能要件
機能要件は、予測から監査までを業務ごとに記載します。各社が同じ範囲で回答できるようにするためです。
- 予測・計画:需要・発電の予測と誤差表示、計画の作成、制約条件
- 市場・実績:入札・約定、OCCTOや市場との連携、実績の取り込み、インバランス監視
- 制御・管理:指令や精算、アラート、監査ログまでの範囲
「AIで最適化する」とだけ書いても、各社の提案は比べにくいままです。そのため、入力データや計算の頻度と時間、制約違反時の扱いを具体的に書きます。あわせて、人の承認の有無と計算結果の説明方法も記載します。
非機能要件には、稼働時間や同時利用者、データ受信量を含めます。画面応答や再計算時間も含めます。
RTO・RPOやバックアップ、監視の方法を定めます。障害の通知やログ保存、時刻同期も決めておきます。権限と脆弱性対応、災害時の切替は、取り決めの対象です。
2025年6月、資源エネルギー庁は、サプライチェーンリスクやセキュリティ仕様の確認、機器の適切な管理を扱う「電力制御システムに関するサプライチェーン・セキュリティ対策の手引き」を公表しました(出典: 経済産業省・資源エネルギー庁、2025年)。
この手引きを踏まえ、再委託先や機器メーカーまで含めた責任分界を、RFPと契約に記載します。
PoCと本番受入の評価
PoCでは、精度だけでなく、異常条件と業務への効果も同じ試験計画で評価します。
- 予測精度:過去データと平均絶対誤差などによる予測の評価
- 異常条件:急な気象変化、欠損、通信遅延、設備制約の再現
- 運用操作:予測が外れた時の再計算と、担当者による手動補正
- 業務効果:計画時間、インバランス費用、再計算時間、誤指令防止、復旧時間の変化
九州電力と株式会社グリッドは、2026年4月からAI需給計画の自動化・最適化システムを本格運用したと公表しています(出典: 九州電力・株式会社グリッド、2026年)。
AIの効果は、精度の数字だけでなく、実務時間や計画品質の変化でも確認します。
本番受入では、正常時の画面を確認するほか、市場やOCCTO、気象との対向試験を行います。さらに、メーターや設備、基幹システムとも対向試験します。
欠損や重複、遅延、通信断の場合を検証します。誤指令や権限外の操作、復元、待機系への切替、手動退避も確認します。
受入条件は、起動の確認にとどめず、指定した条件での計画作成と異常時の安全な業務継続で定めます。
契約形態の使い分け(請負と準委任)
契約形態は、要件の確定度と成果物の明確さに合わせて選びます。たとえば、前提が変わりやすい要件定義や現行調査は準委任契約、成果物を決めやすい工程は請負契約が合う傾向があります。
具体的には、設計書やプログラム、テスト結果、移行成果物と受入基準を定めやすい工程で、請負契約を検討します。PoCや要件定義、本番開発、保守を工程ごとに分けて契約する方法もあります。
請負契約の成果物と受入条件
請負では、工程ごとに成果物と受入基準を対応させます。
- 設計:要件定義、基本・詳細設計、データモデル、API仕様、設定一覧の整理
- 実装・試験:プログラムと、テスト計画・結果の納品
- 移行・運用:移行計画・結果、操作マニュアル、運用・障害対応手順を含める
受入基準には、処理時間や計算結果の照合、データ件数を含めます。さらに、欠損時の挙動や権限、ログ、バックアップも対象になります。切替と切戻しも、受入基準に入れます。
「仕様変更は追加費用」とだけ契約すると、制度改定や市場仕様の変更があったときに判断が難しくなります。そのため、発注者都合の機能追加と、法令・制度変更、接続先の仕様変更、委託先の設計不足を区別します。
変更の申請と影響評価、承認、費用負担を定めます。検収後の瑕疵や保証期間、重大障害の優先度、修正期限も、契約とSLAに記載します。
準委任契約の作業範囲と意思決定
準委任では、作業範囲と、発注者・委託先それぞれの判断責任を先に整理します。
- 調査・設計支援:現状調査や業務整理、PMO、データ整備、運用設計まで
- 技術検証:作業量や前提を固定しにくい工程向け
委託先が支援する場合でも、業務の優先順位と予算は、発注者が判断する場面が残ります。制度の解釈や切替についても、判断は発注者に残ります。
定例会議や課題管理表、レビュー記録は、成果確認の材料に使います。決定事項や次回作業も、あわせて確認します。
PoCは準委任で始め、検証結果をもとに本番の範囲を決めて請負へ移す方法もあります。その際は、PoCのモデルやデータ加工を本番で再利用できるか、コードや設定を受け取れるかを合意しておきます。
検証データの保管と削除の方法も決めておきます。契約を分ける場合は、次の工程の判断に必要な成果物を定義します。
データ・知的財産・再委託・出口条件の取り決め
契約が終わった後に引き継ぐデータや成果物、権利の範囲を決めておきます。
- 業務データ:需要・発電・計量・市場・設備の別に、利用者を整理
- 学習・設定情報:モデルの学習用の情報や最適化の制約、設定値、監査ログの扱い
- 個別成果物:追加開発、API仕様、テスト関連の納品物、運用マニュアルが対象
パッケージ本体の権利移転とは分けて、自社データや個別成果物を契約後も利用・移行できる範囲を明確にします。
クラウドや通信、機器が関わる場合は、再委託の範囲と承認の手順を決めます。EMSや気象データ、保守会社が加わる場合も、この手順を当てはめます。
障害や漏えいの報告期限、調査への協力、脆弱性の共有を契約に含めます。データの返却と消去の証明、別ベンダーへの引継ぎについても、取り決めておきます。出口条件を先に決めておくことが、ベンダーロックインの抑制につながります。
電力需給調整システムの費用相場とコストの内訳
電力需給調整システム単体の全国統一の価格は、公表されていません。以下の金額は、2025〜2026年時点の要件整理と一般的なシステム開発の工数をもとにした概算です。電力市場や計量、制御、セキュリティ対応も踏まえています。
要件定義の前に予算を立てるための概算です。対象設備数や接続先、時間粒度に加え、可用性や既存システムの状態、24時間運用の有無で金額は変わるため、確定見積もりではありません。
開発費の見込み額(対象範囲別の目安)
費用は対象範囲で変わるため、次の金額を一律の相場として扱えません。
- PoC:予測と見える化に絞る場合の300万〜1,000万円
- パッケージ・クラウド:小売・発電向け導入の1,500万〜5,000万円が目安
- 機器・市場連携:蓄電池、VPP、EMS、市場連携、精算まで含めた場合の5,000万〜2億円程度
- 共同利用型:複数事業者向けでは2億〜10億円程度になることもある
- 系統運用級:中央給電指令所などは、5億〜30億円以上を想定する
1,500万〜5,000万円は、予測や計画、提出、実績取込、既存基幹との連携を主な対象とした概算です。
設備制御や低圧リソース、個別計測、通信冗長化や24時間オンコールを含めると、上限を超えることがあります。
金額と合わせて、対象外の機能や運用も確認します。
見積もりの費用内訳
初期開発費は工程別に分けて、案件の性質で変わる参考比率を見積書で確認します。次の比率は、あくまで参考値として扱います。
- 要件定義・制度整理:全体の10〜20%が目安
- 基本・詳細設計:全体の15〜25%の範囲
- 実装・連携:全体の20〜35%の範囲
- インフラ:全体の10〜20%程度
- 性能・セキュリティ・対向試験:全体の15〜30%が目安
移行や教育、PMも、費目として分けます。一式で計上されている場合は、作業内容と成果物を確認します。
継続費用には、クラウドや回線、監視、気象・市場データ、計量機器などがあります。保守や制度改定、モデル再学習、脆弱性対応、24時間障害対応も、継続費用に含まれます。
2025年度の需給調整市場売買手数料試算では、市場運営費用27.7億円のうちシステム関連費用は24億円です。
その要因には、制度変更に伴う開発費の減価償却相当分も含まれます(出典: 一般社団法人電力需給調整力取引所「2025年度売買手数料単価について」、2025年度)。この数字は、1社の開発費を示すものではなく、市場運営全体の参考情報です。
5年総額による費用対効果の判断
費用対効果は、初期費用だけでなく、運用期間中の支出と業務効果を並べて判断します。
たとえば、初期費用が安くても、制度改定や従量課金、障害時の手動対応で負担が増えることがあります。逆に、初期費用が高くても、標準APIや設定で変えられるルールが含まれていれば、長期的に有利になることがあります。冗長化や監視、移行支援、運用教育の有無も、あわせて確認します。
- 比較年数:3年と5年の総額
- 費用項目:初期開発と導入、年間保守、制度改定、データ・回線、機器更改まで
- 金銭指標:売上や燃料費への効果
- 運用指標:計画時間、インバランス費用、夜間作業、復旧、誤指令防止、監査資料の作成を比べる
- 業務変化:PoC前後で測るAI精度と、業務フロー、承認、人の判断範囲
委託先の選定と見積比較の確認ポイント

委託先は、会社名だけでなく、対象市場や設備との接続実績、制度改定への対応力で選びます。
予測・最適化の説明可能性やOTとITの分離は、各社に同じ質問で尋ねます。冗長化や災害対策、24時間障害対応についても、質問の形をそろえて比べます。
第三者機器との連携や内製への移管の実績を確認します。近い実績がない場合は、データ連携や異常系試験、切替、保守体制について説明してもらいます。
委託先の選定観点
候補企業は、自社の発注範囲に必要な役割で比べます。企業名だけで絞り込まないようにします。
- 需給管理:富士電機や三菱電機など、電力関連の業務システムを提供する企業
- 予測・最適化:九州電力との共同開発事例を公表した株式会社グリッドなど
- 大規模連携:富士通や日立製作所など、基幹連携と長期運用の体制
候補企業には、「電力案件の実績」だけでなく、同じ市場や事業区分、設備規模での実績を尋ねます。
利用するプロトコルや機器メーカー、障害件数と復旧方法も確認します。制度変更の反映手順や、予測モデルの再学習についても尋ねます。ソースコードやデータの引継ぎ、再委託先、稼働後の担当人数も確認します。
実績を開示できない場合は、匿名の構成図や試験項目、SLA例、運用体制から、実務能力を判断します。
見積比較の確認項目
見積もりは、同じ条件で費用と対象範囲をそろえてから比べます。
- 対象範囲:機能、非機能、連携、移行、試験、教育、保守、制度改定の範囲
- 費用内訳:初期開発、機器・計量、クラウド・回線、データ、保守、追加変更、障害対応ごとの数量・単価・期間・前提
- 別途条件:「別途見積」「要相談」「標準対応」を、質問票で費用と責任の境界に落とし込む
- 評価配点:価格30点、機能・業務適合25点、技術・連携15点、セキュリティ・可用性15点、運用・保守10点、引継ぎ・将来性5点などの配分
- 評価項目:要件適合、制度知識、運用体制、提案の透明性、5年総額などを見て、目的に応じて配点を調整する
セキュリティと運用体制の確認
アグリゲーターや分散リソースの案件では、機器やゲートウェイ、通信を含めて、一つの攻撃面として見ます。クラウドや業務システムも、この攻撃面に含まれます。
- 接続・認証:ログインと権限、暗号化、機器の初期設定
- 監視・保守:脆弱性管理やログ、遠隔保守の手順
- 緊急対応:インシデント対応と、再委託先との責任分界
2025年5月、経済産業省はERABガイドラインVer3.0を公表しました(出典:経済産業省「ERABに関するサイバーセキュリティガイドラインVer3.0」、2025年)。
なお、同ガイドラインは、DR事業者の設備接続やIoT機器利用の拡大を背景に見直されました。
運用体制は、平日の日中に限らず、休日や夜間の受付まで決めておきます。一次切り分けと設備への連絡、手動退避と復旧の判断、顧客や市場への報告も、体制に含めます。
SLAには、重大度別の受付時間と、暫定復旧・恒久対応を記載します。報告書や再発防止も、SLAに含めます。
定期訓練とバックアップの復元試験も含めます。発注後に運用設計を始めると、開発者しか復旧できない恐れがあります。そのため、提案の段階で当番表と障害シナリオを示してもらいます。
電力需給調整システムの発注・外注でよくある質問
外注の場面では、相場の幅やAIの必要性、パッケージとスクラッチの違い、制度変更への対応がよく質問されます。
電力需給調整システムの開発費用は最低いくらですか?
予測と見える化だけの検証用PoCは、300万〜1,000万円程度を予算取りの起点にできます。
市場提出や実績連携、蓄電池制御を含む場合は、精算や24時間運用も加わり、1,500万円から数億円まで広がります。
機能範囲と対象外の作業をそろえて相見積もりを取ります。市場運営システムの公表費用を、1社の相場として流用しないようにします。
電力需給調整システムにAIは必須ですか?
AIの必要性は、データの蓄積状況と運用で確認できる効果に応じて判断します。
- 活用範囲:需要・発電予測や需給計画の自動化に役立つが、全案件に必須ではない
- データ量:蓄積が少ない段階では、統計モデルやルールベースの方が説明しやすいことがある
- 運用要件:予測外れ時の再計算、手動補正、モデル版管理、学習データ品質、結果監査の取り決め
- 効果検証:精度の数字に加えて運用上の効果も見て、採否を決める
パッケージとスクラッチ開発はどちらが良いですか?
多くの発注では、制度共通の機能をパッケージやクラウドで使い、独自の予測・最適化・設備連携だけを個別に開発するハイブリッド方式が出発点になります。
独自の業務や制御の要件が強く、将来の保守人材と試験体制を確保できる場合は、スクラッチも候補になります。
初期費用だけでなく、制度改定や保守、移行、データ返却、ベンダー変更まで含めた5年総額で判断します。
RFPには最低限何を書けばよいですか?
RFPは、各社が同じ業務範囲と条件で提案と見積もりを作れるように記載します。
- 対象範囲:事業や市場、設備、業務範囲の提示
- データ・性能:入出力、時間粒度、外部連携、応答性能、可用性の記載
- 開発・運用:セキュリティや移行、テスト、稼働後の体制、保守、契約条件まで
- 異常時対応:通信断、欠損、予測外れ、誤指令、制度変更、障害時の手動切替の明記
- 提案様式:標準機能、設定、追加開発、対象外を同じ形式で回答してもらい、見積内訳の指定も行う
まとめ
発注前に確認するポイント
発注前には、対象範囲と責任分界を一枚の資料にまとめて確認します。市場や設備、データ、業務の範囲も、同じ資料に並べます。
RFPの回答様式や見積内訳をそろえておくと、委託先の比較材料がそろいます。受入条件や異常時の手動退避、保守と制度改定の費用も、あわせて確認しておきます。
稼働後まで見据えた委託先の選び方
稼働後の支援範囲と、担当者が代わった後も運用を続けられる体制を、契約前に確認します。
- 継続支援:制度変更や障害対応、モデル更新、データ返却、内製移管までの範囲
- PoC成果:検証結果を、本番受入と運用KPIにつなげること
- 運用継続:担当が交代しても安全に手動退避できる体制を、契約に残すこと
- 委託先評価:同じ市場や設備、業務の実績、異常系試験、制度対応、引継ぎの比較
小売・発電、VPP・蓄電池、広域・系統運用では、必要な機能や可用性、試験、費用が異なります。
予測から監視までの業務フローを並べ、委託範囲と自社で判断する範囲の境界を、責任分界表にまとめます。
共通機能はパッケージやクラウドで使い、独自の予測・最適化・設備連携は個別に開発するハイブリッド方式を中心に比べます。
RFPには、データや制度改定、セキュリティを明記します。異常時の退避や移行、24時間運用、再委託、データ返却も、あわせて書き込みます。
請負と準委任は工程ごとに使い分け、保守やデータ、回線、制度対応を含めた5年総額で比べます。
発注前に要件と責任を整理しておくと、追加費用とベンダーロックインを抑えやすくなります。制度が変わった後も対応しやすいシステムにつながります。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
