生産スケジューラ開発の見積相場や費用/コスト/値段について

生産スケジューラの費用は、月額数万円から5,000万円以上まで幅があります。その差を生むのは、導入方式、工場や工程の規模、既存システムとの連携範囲です。

費用の桁は方式によって大きく違うため、まず方式別の相場を押さえておくと、比較の出発点になります。

▼全体ガイドの記事
・生産スケジューラ開発の完全ガイド

生産スケジューラの費用相場

SaaS型からスクラッチ開発まで、4方式の生産スケジューラ費用目安を並べた図。
月額利用料と製品・導入費では、比べる費目が異なります。

費用は、製品の利用料と、計画を使える状態にするための初期費用・運用費用を合わせて見積もります。現場調査、マスタ整備、連携、教育、稼働後の改善まで含めると、見積総額が製品価格の数倍になる場合もあります。

SaaS型の入口は月額数万円から15万円程度

クラウドSaaS型は、サーバーを自社で用意せず、月額または年額で利用する方式です。費用は利用料だけでなく、利用条件によっても変わります。比べるときは、次の4点を押さえます。

  • 小規模導入:月額2万〜15万円程度(推定レンジ)
  • 価格を左右する条件:ユーザー数、工場数、作業量、導入支援の有無
  • 5年間の利用料:単純計算で年間180万円、5年間で900万円
  • 総額比較:追加料金や初期設定も含め、TCO(総所有コスト)で比べる

株式会社スカイディスクの公式サイトでは、AI生産スケジューラ「最適ワークス」が月額15万円で利用できると案内されています(出典:株式会社スカイディスク公式サイト、2026年確認)。

この公開例はあくまでサービスの利用料で、データ登録や個別連携まで無料になるわけではありません。

5年間の利用料に加えて、ユーザー追加料金、API接続料、データ出力、サポート契約も合計します。初期設定や連携まで含めると、パッケージより必ず安くなるとは限りません。また、総額とあわせて導入期間も比べます。

既製パッケージの製品価格は200万〜500万円台が目安

既製パッケージは、制約条件、ガントチャート、負荷確認、再スケジュールなどを標準機能として利用できます。価格例と構成を比べて、必要な製品を見極めます。

  • ライセンスの推定目安:200万〜500万円台
  • Asprova標準構成:480万円から
  • FLEXSCHE GPと各機能:GPは320万円、GUI Extensionは80万円、Editorは40万円、EDIFは60万円
  • パック価格:Advanced Packは480万円、Complete Packは600万円

Asprovaの価格は、株式会社システムインテグレータの公式製品ページで案内されています(出典:株式会社システムインテグレータ公式製品ページ、2026年確認)。

同ページには、国内2,377本、海外934本の導入実績も掲載されています。ただし、導入実績の数は、導入費用を直接示すものではありません。

株式会社フレクシェの価格表には、FLEXSCHEの各製品とパックの価格が示されています(出典:株式会社フレクシェ「製品概要資料・価格表」、2026年確認)。

標準年間保守費は製品価格の12%相当額です。構成によって製品価格だけで320万〜600万円に広がるため、必要なオプションだけを選べるかを確かめる必要があります。

連携・カスタマイズ込みの推定レンジは500万〜2,000万円程度

ERPや生産管理、MES、WMSなどとの接続、購買やIoT実績収集との連携、複数工場への展開では、製品価格に連携開発と業務設計が加わります。このため、費用は開発範囲によって大きく変わります。

  • 連携・カスタマイズ導入:500万〜2,000万円程度(推定レンジ)
  • スクラッチ開発:独自制約などを含むと1,000万〜5,000万円になる可能性
  • さらに大規模な開発:5,000万円〜1億円以上になる場合
  • 見積もりの確認:人月単価、必要工数、ライセンス、保守などの根拠

リサーチノートでは、データ移行やマスタ整備、連携を中心に、教育や稼働支援も含めた導入費として整理しています。この推定は、公開価格や類似の業務システムの相場に基づく目安で、公表平均ではありません。

スクラッチ開発の対象には、独自の評価関数や特殊な段取り制約、複雑な設備カレンダーがあります。複数拠点の同時最適化も含まれます。

要件が固まる前に、費用を「必ず1,500万円」と言い切ることはできません。そのため、発注側は工程別の根拠の開示を求めます(出典:イー・ジーシステム株式会社「システム開発の費用相場と見積書の読み方」、2026年)。

ポイント

迷ったら、製品価格ではなく初期費用と運用費用を合わせた総額で方式を比べます。SaaS型、既製パッケージ、連携込みのどれに近いかで、見るべき相場が決まります。

生産スケジューラ開発の費用内訳

要件定義、データ整備、システム連携、セキュリティの費用項目を積み上げた図。
ライセンス以外の準備と接続作業も見積もりに加わります。

見積書では、製品ライセンスと、計画業務を現場で回すための作業を分けて確認します。

生産スケジューラは、工程や設備、人の情報をデータとルールに落とし込んで計画を立てる仕組みです。工程や設備、人に加えて、材料や休日、段取りや前後関係も扱います。

データ整備や、業務ルールを言葉にする作業を費用項目から外すと、見積もりは安く見えても、後から追加費用が生じやすくなります。

要件定義・現場調査は費用の土台

要件定義では、誰が計画を担当するか、どの頻度で計画を作るか、どこまでを対象にするかを決めます。生産方式によって必要な計画ロジックが変わるため、次の4点を整理します。

  • 生産形態:受注生産か見込生産か
  • 工程形態:ジョブショップ型かライン型か
  • 生産方式:バッチ生産かどうか
  • 現場の判断ルール:設備、資格、段取り、材料到着、ロット、納期優先順位など

設備の同時利用不可や作業員の資格のように、担当者が頭の中で判断している条件も、開発会社と一緒に洗い出します。

この工程を省くと、ベンダーは一般的な前提で見積もるため、デモでは動いても工場では使えないことがあります。調査には、現場ヒアリングと既存帳票の確認、計画担当者への聞き取りが含まれます。対象工程の観察も含めて、これらには調査費用がかかります。

調査費用は、後工程の手戻りを減らし、追加開発の範囲を小さくするための投資です。

マスタ整備・データ移行による見積もりの押し上げ

必要なマスタは多岐にわたるため、移行の見積もりは次の3点から確認します。

  • 対象マスタ:製品、製造BOM、工程、標準時間、設備、作業員、シフト、休日、段取り時間、在庫、仕入先など
  • データ品質:Excelへの分散、設備名称の重複、実績と合わない標準時間
  • 見積もりの明細:種類、件数、現行データの品質、移行回数、検証担当者

データ件数が多いほど、単純なCSV取込では終わらず、コード変換や重複排除が増えます。そのため、見積書には「データ移行一式」ではなく、上記の項目を明記してもらいます。

マスタを自社で整備する場合も、担当者の作業時間はコストになります。特に、計画担当者が移行作業に集中して通常業務を止めるなら、業務負荷や応援要員の費用も含めて考えます。

ERP・MES・IoTとの連携とセキュリティの費用

別システムからデータを取り込むときは、連携方式と、対象ごとの設計項目を決めておきます。さらに、工場ネットワークとクラウドをつなぐ場合は、セキュリティ要件も定める必要があります。

  • 連携する情報:受注、在庫、購買、製造実績
  • 連携方式:API、ファイル、データベース、連携ハブ
  • 設計項目:項目対応、更新タイミング、再送、重複排除、欠損時の扱い、正本システム
  • セキュリティ:通信経路、ネットワーク分離、権限、多要素認証、バックアップ、ログ、脆弱性、手動運転

連携の本数が増えると、初期開発だけでなくテストや稼働後の監視も増えるため、見積額は上がります。

工場向けのサイバー・フィジカル・セキュリティ対策では、経済産業省のガイドラインを参照できます。また、IEC 62443やNIST SP 800-82も、IT部門とOT担当者の検討に役立ちます(出典:三菱電機FA「OTセキュリティ対策に役立つガイドライン紹介」、2025年確認)。

高い可用性や監査ログが求められる現場では、セキュリティ設計と検証の費用を予算に入れておく必要があります。

ポイント

見積もりが製品ライセンスだけなら、要件定義や現場調査、マスタ整備、連携の費用が抜けていないかを疑うのが目安です。後から追加費用が出やすいためです。

生産スケジューラ開発・導入の進め方

4つの導入方式について、SaaSの小規模設定からスクラッチや複数工場への展開までの期間目安を尺度で示した図。
連携や展開の範囲が広がるほど、期間の見込みにも幅が出ます。

全工場へ一度に広げるより、対象範囲を区切って、実行できるかと効果が出るかを確かめる方が安全です。

期間の一般的な目安は、SaaSの小規模設定が2週間〜2か月、パッケージ導入が2〜6か月です。

連携やカスタマイズを含む場合は4〜12か月、スクラッチや複数工場への展開は9〜18か月以上を見込みます。データ品質や意思決定の速さで前後するため、期間と費用はセットで確認します。

最初の1〜2か月のPoCによる計画の再現性の確認

PoCは、1ライン、1工場、主要な製品群のいずれかに絞り、現場が納得できる計画を作れるかを確かめます。

  • 用意するデータ:代表的な受注、工程、設備、材料、段取り
  • 試す例外:特急注文、設備停止、欠員、材料遅延
  • 確認する点:再スケジュールの速さ、制約違反の表示、手修正のしやすさ

画面が動くかを見るだけでなく、実際の計画を再現できるかを検証します。

PoC費用は範囲と支援内容で変わるため、初期設定を中心に100万〜数百万円程度を仮置きできます。ただし、これは固定の相場ではなく、個別見積もりを取るための目安です。見積もりには、データ準備やモデル作成のほか、検証会と改善回数も明記してもらいます。

最適ワークスの公式サイトには、従来型と比べた導入コスト87%削減、導入期間75%削減の事例数値が掲載されています。

これは同社の事例で、すべての工場に当てはまる一般統計ではありません(出典:株式会社スカイディスク公式サイト、2026年確認)。

3〜6か月のパイロット運用とKPIの測定

PoCで成立性を確かめたあとは、担当者が日々の計画業務で使うパイロットへ進みます。その際は、比べる指標と、見積もりに含める項目を決めておきます。

  • 業務KPI:計画作成時間、納期遵守率、再計画時間
  • 現場KPI:段取り回数、仕掛在庫、欠品、残業時間
  • 見積もり項目:改善回数と会議回数

計算時間だけで見ると、手修正や確認にかかる時間を見落とすため、業務全体の時間で評価します。

計画の正解は担当者だけで決めず、定期的に見直します。見直しには、製造や生産管理、営業の関係者を入れ、購買や情報システムの担当者にも加わってもらいます。

実行できない計画が出る場合は、マスタが現実とずれている可能性があります。標準時間や設備能力のほか、休日と材料リードタイムも確認の対象になります。

改善回数と会議回数を事前に見積もりへ含めておくと、追加費用が出たときに判断の材料になります。

複数ライン・複数工場への展開

パイロットで効果が確かめられたら、対象のラインや工場を広げていきます。展開時は、次の3点を管理します。

  • 工場ごとの差分:休日、設備名、品目コード、権限、ネットワーク、ERP連携方式
  • 展開の方法:共通テンプレートを作り、固有の制約を差分で管理すると、展開や保守の費用を抑えられます
  • 稼働後の確認:計画精度、マスタ更新、例外ルール、連携エラー、ユーザー追加

工場ごとに条件が異なるため、単純なコピーでは済まないことがあります。稼働後の確認は、月次または四半期ごとに行います。

導入効果を長く保つには、導入後も現場の改善テーマに合わせて設定を見直す運用体制が欠かせません。

生産スケジューラの費用が変動する要因

同じ製品でも、工場の条件によって見積もりは変わります。主な要因は、計画対象の広さや制約の複雑さ、データ品質、既存システムとの連携、運用支援の範囲です。

発注前にこれらの条件を整理しておくと、必要な機能に対して見積もりが妥当かを判断できます。

工場数・設備数・ユーザー数による規模の違い

工場や利用者の範囲によって、必要なデータとライセンス構成が変わります。規模を見積もるときは、次の3点に分けて考えます。

  • 計画範囲:1工場の一製品群か、複数工場の設備横断か
  • 拠点ごとの条件:カレンダー、タイムゾーン、設備・品目コード、計画責任者、拠点間移送
  • 利用者の役割:計画担当者だけか、現場閲覧者も含むか

JoySchedulerの本体は1ライセンス198万円(税込)です(出典:東京ガス・TGES公式「プラン・料金」、2026年確認)。

ビューアクライアントは1台16.5万円、5台55万円、10台88万円です。Web Clientは132万円です。計画操作もWebで行うか、閲覧だけにするかによって、構成を選ぶことになります。

制約・最適化ロジックの複雑さによる工数の増加

納期を守ることと段取りを減らすこと、稼働率を上げることと在庫を抑えることは、常に同時に最大化できるとは限りません。そのため、優先順位と許容する納期遅れに加えて、段取り替え時間や材料不足オーダーの表示方法も決めておきます。

目的関数が増え、例外が多くなるほど、モデル作成や検証、現場への説明に必要な工数が増えます。AI搭載の製品でも、データと制約条件が不十分だと、現場で使える計画にはなりません。

条件を編集できるか、結果の理由を説明できるか、担当者が画面で手修正できるかを確認します。計算速度に加えて、修正後の計画を次回に反映できるかも、長期的な費用対効果に関わります。

データ品質と既存システムの状態による期間と費用への影響

ERPや生産管理システムに受注、在庫、BOM、実績が整った形式で残っていれば、連携の設計を進めやすくなります。一方で、紙やExcel中心の場合は、データ収集やコード統一のほか、入力ルール作成と現場教育も必要になります。

機能の差よりも、導入前のデータ準備が期間を長くすることもあります。そのため、見積もりを依頼する際は、サンプルデータを匿名化して渡し、列数やレコード数に加えて、更新頻度と欠損率も確認してもらいます。

連携を「受注・在庫・実績」の3本に絞るか、「購買・品質・IoT」まで広げるかを分けて示すと、必要な投資の段階が見えてきます。

ポイント

見積もりが変わるのは、工場の規模や制約の複雑さ、データ品質、既存システムとの連携のうち、どれが重いかによります。発注前に条件を整理し、必要な機能に見合う見積もりかを見ます。

生産スケジューラの見積もりを取る際のポイント

同じ前提条件で複数社から見積もりを取ると、比べやすくなります。製品名と工場数だけでなく、計画対象期間や工程数、設備数、制約、ユーザーの条件をそろえます。連携先や移行データ、テスト条件、教育、保守も、同じ一枚にまとめます。

総額の安さよりも、どこまでの作業が含まれ、どこから追加費用が発生するのかが明確かを優先します。

RFPに記載する計画範囲・データ・連携・KPI

RFPには、現状の課題を具体的に書きます。たとえば、計画作成に毎日何時間かかるか、設備停止時の再計画に何時間かかるか、納期回答まで何日かかるかを記載します。

対象の製品群や工程、設備を整理し、人員や材料、計画サイクルも書き出します。さらに、画面や連携データ、権限、ログ、バックアップも整理します。計画工数や納期遵守率のほか、在庫や段取り、残業などをKPI候補にし、導入前の基準値も押さえておきます。

ベンダーには、標準機能で足りる項目と、設定や追加開発が必要な項目を分けて回答してもらいます。高額なカスタマイズを追加するか、業務を標準機能に合わせるかは、費用と運用負荷の両面で比べられます。

工程別・費目別に分けた見積書の比較

費目ごとの範囲をそろえておくと、作業の抜けや追加費用の境目を見比べられます。

  • 設計・開発:要件定義、基本設計、設定・開発
  • 製品・データ:ライセンス、オプション、マスタ整備、データ移行、連携
  • 導入・運用:テスト、教育、稼働立会い、クラウド、保守、追加改修

「開発一式」「導入支援一式」と書かれていたら、作業内容や人日・人月、担当者の役割、成果物、回数を尋ねます。工程別の人月数が分かれば、対象範囲を縮小したときの差額も計算できます。

公開価格がある製品では、ライセンスとSIerの導入費用を分けて比べます。FLEXSCHEのように、製品価格やオプション、トレーニング、年間保守が個別に示されていると、比較の材料がそろいます。

個別見積もりの製品では、同じデータとシナリオでデモを依頼します。機能の有無だけでなく、設定と追加開発の境目も確かめます。

保守・追加費用・契約終了時の条件

保守や契約の条件は、サービスによって異なります。見積もりと契約では、次の4点を確かめます。

  • 保守範囲:問い合わせ、障害修正、更新、セキュリティ、バックアップ、監視、データ修復、駆け付け
  • 対応時間:24時間稼働の工場では、平日日中のみか休日・夜間も対応するかで契約条件が変わります
  • 契約終了時:データ返却やサービス終了時の移行支援
  • 比較期間:初期費用だけでなく3年または5年の総保有コスト

製品価格の12%や15%を、保守費の仮置きに使うことはできます。ただし、実際の契約は製品やユーザー数、拠点、SLAによって変わり、一定の率になるとは限りません。

SaaSでは、追加ユーザーや拠点の料金、API制限、データ保存量を確かめます。一方で、オンプレミスの場合は、OSやDBの更新、サーバー更新、バックアップ媒体、ウイルス対策、ネットワーク機器の費用を見ます。

ポイント

同じ前提条件で複数社から取り、含まれる作業と追加費用の境目がそろっているかで比べます。総額の安さだけで決めると、後から追加費用が出ることがあります。

生産スケジューラのコストを抑える方法

費用を抑える現実的な方法は、機能を一律に削ることではなく、成果に直結する範囲から段階的に導入することです。そのため、すべての工程を同時に自動化するより、ボトルネック工程や計画変更が多い製品群から始める方が進めやすくなります。

安価な製品を選ぶだけでなく、使わない機能、整備できないデータ、定着しない運用を先に見極めます。

標準機能の優先と独自開発の絞り込み

既製パッケージでは、標準機能で業務を再現できるかを見て、要望を「本当に必要な制約」と「従来の慣習」に分けます。独自の画面や帳票が増えると、開発費に加えて、テストや更新、保守の費用も積み上がります。

納期や段取り、設備能力など、利益や顧客価値に直結する制約を優先します。一方で、見た目や一時的な操作手順は標準に合わせる方が、長期のTCOを抑えられます。

スクラッチ開発でも、製品やSaaSで代わりにできる領域は切り分けます。独自の評価ロジックや特殊な設備制約、重要なデータ連携など、競争力に直結する部分に投資を集中させると、開発範囲を絞り込めます。

1ライン・1製品群からの段階的な投資

全社導入の予算を一度に取るのではなく、PoC、パイロット、展開の予算に分けます。最初は、計画担当者の負荷が高い工程や、設備トラブルで再計画が多い工程、納期遅れの影響が大きい製品群から始めます。

効果を測れれば、次の工場や製品群への投資判断に、実績データを使えます。ただし、対象を小さくしすぎて連携や現場運用を検証しないと、本番展開で追加費用が膨らみます。

PoCでも、代表的な例外や実績データの戻し、ユーザー権限、障害時の運用は確かめておきます。小さく始めるとは、検証する対象を絞ることです。

自社側の意思決定者とデータ担当者

ベンダー任せにすると、要件変更やマスタ更新のたびに追加の支援が必要になり、依存が強まります。そこで、工場や生産管理、製造技術から代表者を選び、購買や営業、情報システムの代表者も加えます。

業務ルールの決定者、データ責任者、受入テスト担当は、誰が担うかを明確にしておきます。一見すると導入時の工数が増えるように見えても、将来の改修費を抑える効果があります。

ベンダーには、設定変更やマスタ登録の手順、連携仕様、障害の切り分け方、ログ確認やデータ出力の方法を文書にしてもらいます。属人化を避けて社内対応を広げれば、保守への依存と対応時間を抑えられます。

ポイント

費用を抑える判断は、機能を削ることより、成果に直結する範囲を先に決めることにあります。使わない機能や整備できないデータを先に見極めると、無駄な投資を減らせます。

よくある質問(FAQ)

費用を比べるときは、製品代、開発費、導入期間、保守、現場定着を一緒に見ます。導入前によくある質問に、公開情報と実務上の判断の軸から答えます。

生産スケジューラは無料で導入できますか?

無料の資料やデモが用意されている場合はありますが、データ登録や既存システムとの連携、現場での継続運用には、一般に費用がかかります。

無料トライアルの有無だけで決めず、初期設定や導入支援、追加ユーザー、API、保守の料金を確かめます。そのうえで、正式導入後の総額で判断します。

SaaSとパッケージはどちらが安いですか?

短期間で小規模に始めるなら、初期投資を抑えられるSaaSが有利な場合があります。一方で、数年にわたって利用する場合や複数工場へ展開する場合、複雑な制約を設定する場合には、パッケージの方が有利になることもあります。

利用期間やユーザー数、連携費用、データ返却、追加開発を含めて、3年または5年のTCOで比べます。

AI生産スケジューラなら開発費を抑えられますか?

AI型SaaSは、アルゴリズムを自社で開発せずに使えるため、スクラッチ開発より初期費用を抑えられる選択肢です。ただし、正しい計画には、設備能力や工程、標準時間、段取り、材料、優先順位といった条件が必要です。

初期設定やデータ整備、現場検証、ERPや実績との連携にも、費用がかかります。そのため、AIという言葉だけで安さを判断しないことが必要です。

生産スケジューラの導入期間はどのくらいですか?

目安は、小規模なSaaS設定が2週間〜2か月、既製パッケージが2〜6か月、連携やカスタマイズ込みが4〜12か月程度です。全社や複数工場にわたるスクラッチ開発は、9〜18か月以上かかることもあります。

期間は、データの整備や意思決定者の参加、対象範囲の確定によって変わります。見積書では、工程ごとの開始条件と完了条件も確かめておきます。

まとめ

費用相場は、SaaSが月額数万円から15万円程度(公開例)、パッケージが200万〜500万円台、連携・カスタマイズ込みが500万〜2,000万円程度です。

さらに、スクラッチ開発や複数工場の高度な最適化は、1,000万〜5,000万円以上になる可能性があります。

いずれも、機能の範囲と前提条件がついたレンジで、公開平均ではありません。

製品価格ではなくTCOと導入効果による判断

製品価格だけでは、導入後を含めた総額(TCO)が見えません。そこで、製品ライセンスや初期設定、要件定義を分けて確認し、マスタ整備、データ移行、連携も費目ごとに見ます。導入の準備から稼働後の利用までに生じる費用は、次の5つの費目で確認します。

  • テスト:受入テストの範囲と回数
  • 教育:現場の担当者への教育
  • 稼働支援:稼働時の立会いと支援
  • 保守:保守契約の範囲と料金
  • ユーザー追加:追加ユーザーの料金

現場の暗黙知を制約条件に変換する作業が、費用と成果を左右します。見積書から「一式」の表記を減らし、工程別の工数と成果物を明らかにすると、追加費用のリスクを抑えられます。

対象工程を絞ったPoCによる実行可能性の確認

全社一括で始めず、1ライン・1製品群で計画作成時間や再計画時間、納期遵守率などのKPIを設定します。そのうえで、PoCでデータと制約の不足を見つけ、パイロットで現場定着を確かめてから展開すれば、投資の根拠を作りながら費用を段階化できます。複数社へ同じ条件で相談し、生産形態と既存システムに合う見積もりを選びます。

▼全体ガイドの記事
・生産スケジューラ開発の完全ガイド

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。