自治体向け公共施設予約システム開発の完全ガイド

自治体向け公共施設予約システムは、住民向けの機能、職員向けの機能、外部連携の三つに分けて設計すると、予約から運営までを一つの仕組みで管理しやすくなります。

発注を検討する前に押さえたい点を、役割と方式から費用、開発会社の選び方、セキュリティまで順に説明します。

▼関連記事一覧
・自治体向け公共施設予約システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・自治体向け公共施設予約システム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・自治体向け公共施設予約システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・自治体向け公共施設予約システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

自治体向け公共施設予約システムの概要

自治体向け公共施設予約システムは、公民館や体育館、文化ホールなどの予約をデジタル化します。会議室、運動場、学校開放施設なども対象です。基本の構成は、住民向けと自治体・指定管理者向けの画面を分け、複数の施設を横断して扱うことです。

予約画面だけで完結させず、制度や料金、承認などを含む業務全体を一つの流れとして設計することが大切です。

収納、権限、監査までも、同じ流れに入れて考えます。

予約受付を業務全体につなげるシステム

住民向けの画面では、施設の検索から予約後の案内まで扱えます。

  • 施設検索:住民はスマートフォンやパソコンから、施設、部屋、日時、利用目的で空き枠を探せます。
  • 予約手続き:利用者登録から抽選申込、本予約、変更、取消、キャンセル待ち、領収書発行までを連続して処理します。
  • 通知:予約完了、支払期限、抽選結果、休館・施設変更を、メールやメッセージで伝えます。

管理側では、施設や室場、備品の登録に加えて、休館日と利用時間区分も登録します。そのうえで、利用者区分や目的ごとの料金、減免・加算、承認ルートも管理できます。帳票やCSV出力も扱えます。

民間向け予約サービスと異なる自治体固有の要件

自治体の予約では、先着順に加えて抽選の優先順位を扱います。市内・市外の料金、団体登録、減免申請も含まれます。さらに、窓口とオンラインの併用、取消時の還付率、施設別の受付期間も設定します。

指定管理者と施設担当者が別々の場合は、担当範囲だけを操作できる権限の分離が必要です。また、差分は毎回の改修で対応するよりも、設定値と履歴で管理できるかどうかが、長期の運用を左右します。

ポイント

予約画面の見た目より、制度や料金、承認、権限まで業務全体を一つの流れとして扱えるかで候補を比べると、判断がぶれにくくなります。

導入で変わることと主な機能・効果

住民がスマートフォンで予約できるようになるだけでなく、電話や窓口、紙、Excelに分かれていた情報を集約できます。さらに、抽選や料金計算、入金確認などの処理と、利用実績の集計も標準化できます。住民向けと職員向けの機能を分けて検討すると、利便性と現場の実効性を両立させる道筋が見えてきます。

住民が使う主な機能

住民が施設を探し、手続きまで進められる機能を整えると、予約時の利便性向上につながります。

  • 空き状況照会:施設・部屋・日時・目的から探せます。
  • 予約手続き:個人と団体の登録、抽選申込、本予約、変更、取消に対応します。
  • 通知と決済:予約完了、支払期限、抽選結果、休館・施設変更をメールなどで知らせ、問い合わせを減らします。オンライン決済や領収書発行も扱います。
  • キャンセル待ち:空きが出た際の利用につなげます。

オンラインだけに頼らず、高齢者やデジタル機器に慣れていない住民のために、窓口での代理登録・予約や電話案内を用意します。紙の利用規約や操作支援の時間帯も設けます。

利用率の向上と、利用できない人を取り残さないことを、同じ要件として扱います。

自治体・施設担当者が使う主な機能

管理画面では、施設運営に必要なマスタや予約条件を設定します。職員が毎日確認する情報も、一つにまとめられます。

  • 施設と予約条件:室場、備品、時間、休館日、受付期間、抽選ルールの設定を行います。
  • 料金と承認:料金や減免、承認の状態を管理します。
  • 利用者対応:代理予約や本人確認、収納、未収、返金を確認できます。
  • 実績と履歴:稼働率、問い合わせ、操作ログ、変更履歴を見られます。

操作ログと変更履歴が残っていれば、料金やルールを変えた際の説明責任を果たしやすくなります。

複数施設のデータと外部サービスの連携

施設をまたぐ予約と外部連携を組み合わせると、住民と管理側の手続きをまとめられる範囲が広がります。

住民が施設をまたいで利用できるようにし、必要な外部サービスとの接続範囲を洗い出します。

  • 施設横断:住民は別々の画面を覚えずに済みます。管理側は共通の情報や帳票で、重複登録や転記を抑えられます。
  • 外部サービス:住民認証、決済代行、会計、通知と連携します。スマートロックや電子キーボックス、庁内データ基盤とはAPIで接続します。

本人確認が必要な場面、決済に失敗したときの仮押さえ、鍵の暗証番号の発行と失効の時期は、先に決めておきます。

2026年には、デジタル認証アプリやマイナンバーカードによる本人確認の事例も公表されています。

連携機能を増やしても、運用上の課題は残るため、カードを持たない住民の代替手段も同時に設計します。

自治体向け公共施設予約システムの種類

公共施設予約システムの4方式を並べたパネル図
標準機能で足りる範囲と独自要件の大きさが、方式選びの分かれ目です。

方式は、汎用クラウド・SaaS、公共施設向けパッケージ、個別開発の三つに分けられます。

実務では、標準機能で足りる範囲と独自要件を拡張する範囲を分けるハイブリッドも有力です。

選定では施設数だけでなく、ルールの複雑さと移行データを見ます。加えて、連携先や運用体制、5年総額も比べます。

早く始めやすい汎用クラウド・SaaS

SaaSを選ぶ際は、利用形態と費用、自治体固有の要件への対応を合わせて確認します。

  • 利用形態:事業者のクラウドを月額または年額で使い、サーバー構築や大規模更新を自庁で抱えにくい方式です。
  • 導入のしやすさ:少数施設での試行や早期導入に合った方式です。
  • 公開価格:月額0円から4万6,200円程度のプラン例があります。
  • 別見積もり:自治体固有の初期設定、複数施設の登録、決済審査、移行、サポートは、別途の費用になる場合があります。
  • 適合性の確認:抽選、減免、返金、団体登録の標準対応を確認します。あわせて、代理予約、帳票、権限分けも確かめます。

汎用サービスの画面が使いやすくても、自治体の規則を手作業で補うと、職員の負担が増えます。

無料期間やデモでは、実際の料金パターンと抽選のケースを再現して評価します。

制度への適合を確かめやすい公共施設向けパッケージ

公共施設向けパッケージは、空き状況や抽選などの標準機能を備えつつ、過去の自治体案件で蓄積したルールを設定に使える点が特徴です。

  • 標準機能:空き状況や抽選、施設・備品などを備え、料金や帳票、利用実績も含まれます。
  • 過去案件の活用:過去の自治体案件で蓄積したルールを設定でき、個別開発に比べると、導入期間や将来の保守を抑えやすい傾向があります。

デジタル庁のサービスカタログには、初期費用210万円以上、年間運用費118万8,000円以上723万6,000円以下、標準導入期間6か月という例が載っています(出典:デジタル庁デジタル地方創生サービスカタログ、2026年確認)。

独自要件が多い場合の個別開発・ハイブリッド

個別開発は、住民ID、会計、施設基幹、鍵管理との複雑な連携や、独自の抽選・減免制度を実現しやすい方式です。

一方で、要件定義やテスト、障害対応に加え、法令や決済仕様の変更も継続して負担します。

成熟した予約パッケージを土台にし、APIや追加モジュールで差分を補う方法もあります。そのため、独自性と保守性のバランスを取りやすくなります。

ポイント

標準機能で足りる範囲が広いなら、SaaSやパッケージを先に検討し、独自要件が本当に必要な部分だけを個別開発やハイブリッドに回すと判断しやすくなります。

自治体向け公共施設予約システムの開発・導入の進め方

業務棚卸しからテストや住民周知までの導入工程図
要件をそろえてから移行と本番前確認へ進む順序が見て取れます。

導入は、会社を選んだあとも続きます。現行業務の洗い出し、要件整理、RFI・RFP、契約と進みます。その後、設定・開発と移行を経て、テストから稼働後の改善まで計画しておきます。

標準パッケージでも、施設マスタや料金ルールの整理には時間がかかります。そのため、先に実務の流れを書き出しておくと、導入の助けになります。

▶ 詳細はこちら:自治体向け公共施設予約システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

現状業務とデータの洗い出し

まず、施設と予約ルール、受付経路、担当範囲を洗い出します。確認する項目も、この段階で整理します。

  • 施設と条件:施設、部屋、備品、休館日、利用時間を一覧にします。受付開始日、抽選順位、料金、減免、承認を整理します。支払、取消、返金、鍵の受け渡しも含めます。
  • 受付と担当:紙台帳、電話、窓口端末、Excel、旧システムにある利用者と予約の重複を調べます。

指定管理者が担当する施設では、誰が登録と承認を行い、誰が返金を処理するかを、業務フローに書き込みます。

この段階で例外も洗い出します。たとえば、年度末だけ予約開始日が異なる、団体構成員の確認が要る、減免証明を窓口で確かめる、といった条件です。例外を後回しにすると、見積もりと本番運用の差が広がります。

利用者情報については、必要な項目と保存期間を整理します。さらに、移行の前に重複や欠損、古い連絡先も直しておきます。

要件定義とRFI・RFPによる比較条件の統一

要件定義で機能と運用の確認事項を整理し、RFI・RFPでは、各社に示す条件をそろえます。

  • 優先度:要件を、必須、望ましい、将来検討の三つに分けます。
  • 業務機能:登録、空き照会、抽選、予約、承認を機能ごとに整理します。決済や減免・返金、通知、帳票、権限、監査ログも対象です。
  • 非機能要件:API、アクセシビリティ、バックアップ、障害時の連絡を含めます。
  • RFI:標準機能、追加費用、導入期間、移行方法、サポート範囲を質問します。
  • RFP:各社の提案と見積もりを、同じ条件で比べられるようにします。

市川市が2026年に公開したRFIでも、仕様や費用、導入日程、パッケージの機能・帳票、サービス内容を情報提供の項目にしています。

独自改修を前提にせず、標準機能に合わせられる部分と自治体固有の差分を分けて整理すると、予算の説明材料になります。

設定・データ移行・連携の段階的な進め方

契約後は、設定・移行と外部連携を段階的に進めます。作業では、次の点をそろえておきます。

  • 設定・移行対象:施設マスタ、利用者、団体、料金を扱います。予約履歴、未収、返金、帳票も扱う対象です。
  • 移行範囲:全データは持ち込まず、法令や業務上必要な期間と、検索・問い合わせに必要な期間を分けます。
  • 移行検証:バックアップ、変換ルール、件数照合、個人情報のマスキング、リハーサルを行います。現場担当者が新旧データを確かめます。
  • 状態と復旧:申込、承認、支払待ち・完了、取消、返金、利用済みの各状態で正とするシステムを決め、障害時に、二重予約・請求を防ぐ再試行と手動復旧を用意します。

本人確認や決済、会計、通知、鍵管理などの外部連携は、予約の状態がどう変わるかを先に決めておきます。

本番前のテスト・研修・住民周知

本番前は、受入テスト、職員研修、住民周知を進めます。いずれも、実際の利用場面に沿って確かめます。

  • 予約テスト:通常予約、抽選の同順位、同一枠への同時申込、二重予約防止を試します。減免証明、取消・返金、支払期限切れも確かめます。
  • 環境と障害:権限外の閲覧、通信断、繁忙期の集中を検証します。スマートフォンやパソコン、キーボード、スクリーンリーダー、窓口での代理予約も含めます。
  • 職員研修:機能説明に加えて、よくある問い合わせへの回答、本人確認の代替、決済失敗時の処理、返金、障害連絡を取り上げます。
  • 住民周知:旧システムの終了日、新しい登録方法、抽選締切、窓口支援の場所を、複数の媒体で知らせます。
  • 稼働直後の支援:問い合わせの増加に備え、サポート窓口と現場のエスカレーション先を明確にします。

ポイント

要件定義とRFIに進む前に、現行業務と例外、移行データを洗い出せているかを確かめると、後からの手戻りを減らしやすくなります。

自治体向け公共施設予約システムの費用相場と内訳

費用は、月額サービス料、パッケージの初期導入費と年間運用費、個別開発費に分けて考えます。自治体の更改予算は、別に扱います。公開情報の数字は、施設数や移行、決済、保守、窓口支援の範囲がそれぞれ異なるため、単純には比べられません。

比べるときは初期費用だけでなく、導入から5年間の総額と、職員の運用工数も見ます。

▶ 詳細はこちら:自治体向け公共施設予約システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

公開価格と自治体予算の読み方

公開価格と自治体予算は、含まれる範囲と条件をそろえて読みます。

  • 汎用クラウド:月額0円から4万6,200円程度の公開例がありますが、自治体固有の設定や移行を含む総額ではありません。
  • パッケージ:初期費用210万円以上、年額運用118万8,000円以上723万6,000円以下の例があります。
  • 土浦市:2026年度、15施設向けの新システム導入事業に522万5,000円を計上しています。
  • 箕面市:2025年度当初予算として4,284万6,000円を公表しています。

パッケージの標準導入期間は6か月の例です(出典:デジタル庁デジタル地方創生サービスカタログ、2026年確認)。価格は、施設数や利用者規模、サービス内容によって変わります。

箕面市の予算には、文化施設18館と体育施設3館の管理運営や予約、収納などが含まれます。開発費だけではないため、他の導入費と単純には比べられません。

見積もりに含める主な費用

初期費用と運用費、追加になる場合の費用を分け、作業範囲とあわせて見積もります。

  • 初期費用:要件定義、環境、画面・帳票、施設・料金マスタを確認します。連携、移行、テスト、研修、住民周知支援も、あわせて確かめます。
  • 追加費用:決済審査・手数料、本人確認、鍵機器、端末、ネットワーク工事、アクセシビリティ検証が、別途かかる場合があります。数量と単価、範囲は、別々に考えます。
  • 運用費:クラウドや保守、監視、バックアップ、セキュリティを含めます。サポートや制度変更支援、追加アカウント、機器交換も対象です。
  • 実質費用:オンライン決済に変える場合は、会計や返金の事務も見直す必要があります。職員への問い合わせやデータ修正が多いと、見積額以上の負担になります。

ポイント

初期費用だけでなく、運用費と追加費用、5年総額、職員の運用工数を並べて比べると、見積もりの差がなぜ生じるのかが見えやすくなります。

自治体向け公共施設予約システムの開発会社・ベンダーの選び方

会社は、知名度や機能の多さだけでなく、自治体の制度を安全に運用へ落とし込めるかで選びます。抽選や料金・減免、本人確認、決済を同じシナリオで比べます。移行や権限、稼働後の支援も、同じ条件で確かめます。

提案書の見栄えに加えて、導入後の相談体制や、変更時の費用・納期が明確かどうかも評価します。

自治体・同規模施設での実績の確認

実績は、導入件数だけでなく、自治体の規模や施設数・種別、稼働開始日、対象機能まで見ます。体育施設だけの場合と、文化施設・学校開放・公園を横断する場合では、必要な運用の知識が異なります。

可能であれば、施設数が近く、料金や抽選のルールも似た自治体に、移行の苦労や問い合わせ、障害連絡、制度変更の費用を尋ねてみます。

セキュリティ・運用支援・費用の透明性の評価

セキュリティの実装と運用支援、契約総額を合わせて評価します。

  • セキュリティ:暗号化、MFA、最小権限、管理者分離、ログを確認します。バックアップや災害復旧、脆弱性対応、国内保管、委託先、事故連絡も見ます。
  • 基準との適合:SSL対応だけで判断せず、自治体の情報セキュリティポリシーと、個人情報保護委員会の行政機関等向け指針を踏まえて、RFPで回答を求めます。
  • 運用支援:窓口や対応時間、障害時の目標復旧時間を確認します。設定変更、更新通知、データ返却、契約終了時の消去方法も含めます。
  • 総額:移行や追加施設、決済、本人確認を含む5年分で比べます。鍵連携、研修、ヘルプデスクも同じ条件に入れます。

デモとRFPでそろえる質問

各社の実務への適合度は、同じ予約条件と評価項目を使って確かめます。

  • デモ条件:市内団体の減免、市外団体の加算、抽選後承認、支払期限、一部返金、指定管理者の施設別権限を実演してもらいます。
  • 対応方法:機能が標準・設定・追加開発のどれにあたるかを記録します。追加開発の費用や期間、保守への影響も確かめます。
  • 評価項目:まず、機能適合、住民の使いやすさ、職員操作、セキュリティを評価します。移行、連携、サポート、費用、期間も加えて、計九項目で見ます。
  • 必須要件:点数だけでなく、対応できるかどうかで判定します。

▶ 詳細はこちら:自治体向け公共施設予約システム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

▶ 詳細はこちら:自治体向け公共施設予約システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

ポイント

実績の件数より、施設数や抽選・料金ルールが近い自治体での稼働状況を確かめられるかで候補を絞ると、判断しやすくなります。

セキュリティと導入後のKPIの設計

利用者情報を最小権限やログ保存、復旧手順で守る図
情報へのアクセス管理と復旧準備を組み合わせて保護します。

セキュリティは、導入前だけでなく、稼働後の運用も含めて設計します。利用者登録、本人確認、決済履歴、利用目的、団体情報は、必要な職員だけが閲覧できるようにします。

管理者権限は定期的に見直し、委託先との担当の切り分け、ログの保存期間、バックアップからの復旧手順も文書にまとめます。

RFPに入れるセキュリティ質問

RFPでは、保存時・通信時の暗号化、MFAの対象、権限の最小化、特権操作の記録、ログの改ざん防止を質問します。

脆弱性診断、パッチ適用、バックアップ頻度、目標復旧時間を確認します。さらに、障害訓練、データセンター、再委託先、従業者教育、事故報告期限も聞きます。

決済やスマートロックを連携する場合は、予約情報と認証情報を、どこまで共有するかを定めます。連携が止まったときに、手動運用へ切り替えられるかも確認します。

便利さと現場負担を測るKPI

導入の効果は、オンライン利用だけでなく、住民対応や職員業務の変化も含めて測ります。

  • 運用指標:電話・窓口件数、予約・抽選の処理時間、稼働率、未収・返金の処理時間、紙帳票数を、導入前後で比べます。
  • 住民対応指標:問い合わせ解決時間、キャンセル率、障害件数、住民満足度も測ります。
  • 公開例:都城市の2024年度実績は、ネット予約57%、キャッシュレス19%で、目標は各85%、50%でした(出典:都城市の取組状況資料、2025年公表)。
  • 結果の見方:目標と実績は分けて見ます。利用率が伸びなくても、すぐにシステムの失敗とは決めつけません。
  • 改善:登録の難しさや検索語、支払方法、窓口支援の周知を調べます。月次で、画面や案内、研修、窓口時間を見直します。

導入で失敗しやすいポイントと対策

失敗の多くは、機能の不足よりも、業務とシステムの境界が曖昧なことから起きます。現場の例外や移行データを確かめないまま、オンライン化だけを成果とみなすと、稼働後の手戻りが増えます。

カスタマイズを増やしすぎない進め方

要望をすべて個別開発にすると、初期費用に加えて、更新やテスト、障害対応の負担が増えます。

差分は、条例や住民サービス上で必須のもの、運用で吸収できるもの、将来検討のものに分けます。

標準機能で業務を簡素化できるなら、その理由を現場に説明し、例外を減らすことも改善になります。

デジタルに不慣れな住民への配慮

オンライン開始後も、窓口や電話の利用がすぐにゼロになるわけではありません。そのため、代理予約の権限、本人確認の代わりとなる手段、紙の案内、操作会、問い合わせ記録を用意します。

文字サイズや色のコントラスト、キーボード操作、エラー表示も確かめます。そのうえで、住民が途中で手続きを諦めずに済む設計にします。

移行と稼働後の担当範囲の明確化

旧データの整備と移行を誰が担い、どの件数を検証するかを、契約書や計画書に書いておきます。

料金や抽選ルールの変更設定、障害時の一次窓口も決めておきます。

決済会社や鍵管理サービスとの障害の切り分けも、取り決めておきます。担当の範囲がはっきりしていれば、施設担当者が複数の窓口をたらい回しにされずに済みます。

自治体向け公共施設予約システムのよくある質問(FAQ)

導入前によく相談される質問に答えます。

施設数や条例、既存データによって最適な選択は変わるため、一般的な目安と、個別に確認する事項を分けて考えます。

自治体向け公共施設予約システムはどのくらいの費用がかかりますか?

公開情報では、月額型から、初期数百万円と年間運用費を組み合わせるパッケージまで、幅があります。

15施設を対象にした2026年度予算、522万5,000円という例もあります。

金額は、対象範囲や移行・保守の含み方によって変わります。そのため、見積もりでは、施設と室場の数、利用者数、独自ルールを示します。決済・本人確認・鍵連携と移行範囲も、あわせて伝えます。

SaaSと個別開発はどちらを選べばよいですか?

早期の導入や標準的な運用を重視するなら、SaaSまたは公共施設向けパッケージが候補になります。一方、独自の抽選や減免、複雑な連携に投資効果があるなら、API拡張、ハイブリッド、個別開発を検討します。

独自要件を一覧にし、標準機能で対応できないものだけを追加開発に回す進め方が現実的です。

高齢者やオンライン操作が苦手な住民にも対応できますか?

対応はできますが、窓口での代理登録や予約、電話案内、紙の説明、操作支援も運用に組み込む必要があります。文字サイズ、コントラスト、キーボード操作、エラー表示も検証します。

オンライン以外の利用経路も残します。KPIには、オンライン率だけでなく、窓口処理時間や問い合わせ解決時間、住民満足度も含めます。

マイナンバーカードやスマートロックは必須ですか?

必須ではありません。本人確認の方針や施設の無人化、鍵の受け渡し、住民の利用環境に応じて選びます。

導入時には、本人確認に失敗したときの窓口対応や、カードを持たない人の代わりの手段を決めておきます。取消時の暗証番号の失効と、通信障害時の解錠手順も定めます。まず予約・料金・承認を安定させ、その後に段階的に導入する方法もあります。

まとめ

導入前に押さえる判断の要点

自治体向けの予約システムは、空き状況を表示するだけのものではありません。抽選や予約、承認、料金、減免、決済を、住民と職員の実務に合わせてつなぐ基盤です。さらに、返金、本人確認、通知、権限、帳票、監査ログまでを含みます。

現状の施設や制度、データを洗い出し、標準機能で簡素化する範囲と、残す独自要件を分けます。

選定後の段階導入と継続改善

選定のあとも、費用と運用の両面を追い、導入前後の変化を確かめます。

  • 費用比較:月額や初期費だけでなく、移行、研修、決済、鍵連携、保守、問い合わせを含めた5年総額で比べます。
  • 会社選定:同規模自治体の実績、機能、セキュリティ、障害対応、住民支援、制度変更への対応を、同じシナリオで確かめます。
  • 導入後の評価:利用率に加えて、窓口負担や処理時間、稼働率を測ります。返金や問い合わせ、住民満足度も、導入前後で比べます。そのうえで、改善を続けます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。