原料在庫管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

全体は、要件整理から始め、製品・開発会社の選定、設計・開発へ進む流れです。その後は、次の3段階で進みます。

  • テスト:現場の業務を再現して確かめる段階
  • 稼働:小さく始めて、安全に切り替える段階
  • 定着:KPIと運用責任で、使い続けられる状態をつくる段階

原料在庫管理システムは、在庫数量に加えて、ロット・期限・品質状態・保管場所・製造投入を一つの履歴としてつなぐ取り組みです。

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・原料在庫管理システム開発の完全ガイド

原料在庫管理システム開発の全体像

原料在庫管理システムの全体像

原料在庫管理システムは、発注と入荷、検品、保管、引当を記録し、必要なときに正しい在庫を判断できるようにする仕組みです。計量から製造投入、棚卸、廃棄までの実績も、同じ履歴に残します。

完成品の在庫管理と違い、原料は同じ品名でも、仕入先やロット、期限、規格、温度帯、品質判定によって使える在庫が変わります。

数量ではなく「使える原料」を管理する仕組み

現場が知りたいのは、原料Aが合計何kgあるかより、その在庫が製造に使えるかどうかです。どのロットがどの棚にあり、検査に合格しているか、賞味期限はいつか、どの製品の製造に引き当てられているかまで分かって初めて、在庫は製造計画と購買判断に使えます。

たとえば、検査待ちの原料を使用可能在庫に含めると、画面上は在庫が足りていても製造日に投入できない事態が起こります。最低限、原料マスタでは仕入先、規格、単位換算を、ロットでは製造日と賞味期限または使用期限を管理します。保管温度帯、品質ステータス、保管場所、入出庫実績も管理対象にします。

食品を扱う場合、厚生労働省は2021年6月1日からHACCPに沿った衛生管理の完全施行を案内しています。そのため、受入・保管・計量・投入時の記録を後から確認できる設計が重要です(出典: 厚生労働省「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」、2021年)。

トレーサビリティと生産計画のつなぎ方

原料在庫管理では、原料ロットから使用製品を探す「順方向」と、製品ロットから使用原料を探す「逆方向」の両方を設計します。農林水産省は、食品トレーサビリティを食品の移動を把握できることと説明しています。

事故時には、問題のある食品がどこから来たかを調べる遡及と、どこへ行ったかを調べる追跡に役立つとされています(出典: 農林水産省「トレーサビリティ関係」、2026年更新)。配合表やBOMと連携する場合は、製造指示に必要な原料を計算し、使用可能なロットを期限の近い順に引き当て、計量・投入の実績を確定する流れまで対象にします。

最初から全社の基幹システムを作り替える必要はありません。1工場、1温度帯、代表的な原料群など、効果とリスクを測りやすい範囲から始めれば、現場の納得を得ながら拡張できます。

ポイント

判断の目安は、在庫数量ではなく、ロット・期限・品質状態・保管場所・製造投入が一つの履歴としてつながっているかです。製造に使える在庫を示せるかを基準に、設計を見直すとよいでしょう。

原料在庫管理システム開発の進め方

原料在庫管理システム開発の進め方

要件整理、製品・開発会社の選定、設計・開発を終えたあとは、テスト、稼働、定着の3段階で現場に根づかせていきます。

  • テスト:入荷から製造投入までの業務が成り立つかを確かめる
  • 稼働:1工場など小さく始め、安全に切り替える
  • 定着:KPIと運用責任を決め、使われ続ける状態を保つ

各フェーズでは成果物と合否基準を決め、次の段階へ進む前に、現場・品質・購買・生産・情報システムの認識をそろえます。

フェーズ1:要件整理による現場の事実の洗い出し

最初に、発注から廃棄までの流れを現場で観察します。入荷の段階では入荷予定、検品、受入可否を見ます。その後は格納、ピッキング、引当を経て、計量と投入、棚卸と廃棄までを追います。そのうえで、観察した業務をもとにMust要件を決めます。

業務フロー図には、担当者に加えて、入力する帳票、判断する条件、例外処理、後工程へ渡す情報も書きます。

「期限を見て出庫する」と口頭で決めると、判定の基準が曖昧なまま残ります。そこで、「FEFOを原則とし、品質保留と代替原料は責任者承認が必要」のように、判定条件まで記述します。

要件は、優先度に応じてMust、Should、Couldの3段階に分類します。

  • Must:ロット追跡、期限アラート、検査待ち在庫の隔離、権限、監査ログ
  • Should:ハンディ端末、発注点、需要予測、ERP連携
  • Could:カメラによるラベル読取と高度な分析。初期段階では入れない選択肢もあります。

この段階の成果物は、業務フロー、機能一覧、データ項目一覧です。さらに、非機能要件、移行対象一覧、現場課題の優先順位も作成します。

要件整理では、規模を示す数字として、原料点数、月間入荷行数、工場数を押さえます。倉庫・ロケーション数と利用者数も、あわせて確認します。

ロットの分割・統合、開封後残量、kg・袋・Lなどの単位換算、検査待ち・合格・不合格の扱い、委託加工先の在庫、通信障害時の代替手順も欠かさず確認します。ここが曖昧なまま製品選びに入ると、デモ画面の印象だけで判断してしまいます。

フェーズ2:選定での標準機能との適合率の比較

候補は、汎用クラウド在庫SaaS、業界特化パッケージ、既存ERPを活用した追加開発、フルスクラッチの4方向です。

選定の基準は、機能の多さではなく、自社のMust要件を追加開発なしでどれだけ満たせるかです。標準機能でロット・期限・品質ステータスを扱える製品は導入を早めやすい一方、複雑な配合や設備連携は別途設計が必要になる場合があります。

ベンダーには同じ業務シナリオを渡し、「入荷した原料を検査待ちにし、合格後に棚入れし、期限の近いロットを製造指示へ引き当て、製品ロットから使用原料を逆検索する」という一連の操作を見せてもらいます。

  • 現場での使い勝手:画面の有無に加えて、操作回数、バーコード読取、エラー時の戻し方、履歴の修正権限、帳票出力を確かめる
  • 選定表の書き方:適合・設定対応・追加開発・非対応の4段階で記録し、連携、データ移行、端末、教育、保守を別行にする
  • クラウドの確認:工場の通信断時に入力できるか、データの保存場所、バックアップ、復旧目標、API制限、料金改定と解約時のデータ返却を確かめる
  • 総保有コスト:5年間の利用料・保守・端末更新・追加開発を含めて比べる

フェーズ3:設計・開発での例外処理の決め方

設計では、要件を画面・データ・権限・連携・帳票・運用手順へ落とし込みます。原料マスタには名称に加えて、仕入先別コード、規格、原産地を持たせ、ほかに次の項目も加えます。

  • アレルゲン:原料マスタで管理する項目
  • 単位・換算係数:kg・袋・Lなどの単位と、換算のための係数
  • 保管条件・期限ルール:温度帯や期限の扱い

ロット履歴には、入荷から廃棄までの動きを時系列で残し、分割、開封、保管場所移動も含めます。

なかでも重要なのは正常系より例外系です。たとえば、入荷数量が発注数量と違うケース、仕入先ごとに期限表記が異なるケース、検査不合格、冷蔵庫の通信断、棚卸差異、代替原料の使用を、シナリオとして用意します。そのうえで、誰が、どの画面で、どの証跡を残して、どの条件なら確定・取消・承認できるかを決めておくと、稼働後の手作業が減ります。

開発中は、月1回の大きな確認だけに頼らず、原料マスタ、入荷、棚卸、引当、トレースの順に短いサイクルでレビューします。また、現場担当者が実機でバーコードを読み、手袋を着けた状態で操作し、冷蔵・冷凍エリアで端末が使えるかを確かめます。加えて、業務を知るキーユーザーを各部門から置き、仕様変更の判断者を一人に集約することも、開発の手戻り防止に有効です。

フェーズ4:現場の業務を再現するテスト

テストは、プログラムが動くかだけでなく、入荷から製造投入までの業務が成立するかを確認します。具体的には、単体テスト、連携テスト、業務シナリオテスト、性能・障害テスト、受入テストの順に進め、各テストの合格条件と担当者を事前に決めます。

テストデータは、単一ロットだけでなく、期限の異なる複数ロット、検査待ち、分割ロット、単位変換、返品、廃棄を含めます。

  • 受入テスト:現場の帳票と実際の原料ラベルを使い、製造計画に対して必要量が正しく引き当てられるかを確かめる
  • トレース確認:製品ロットから使用原料、原料ロットから出荷先や製品を一覧できることを必須とする
  • 目標値:入荷から棚入れまでの処理時間、棚卸差異率、期限切れ廃棄件数、トレース検索の完了時間を、現状値を測ったうえで決める

障害テストでは、ネットワーク断、端末故障、重複送信、データ連携遅延、サーバー停止を想定します。そのうえで、停止中に紙で記録するのか、端末に一時保存するのか、復旧後に誰が照合するのかを決めます。最後に、テストで見つかった課題は、仕様変更、データ修正、操作教育、運用ルールのどれで解決するかを分類し、残課題を明示したうえで受入判定を行います。

フェーズ5:小さく始める稼働と安全な切り替え

稼働前には、マスタと期首在庫を移行し、棚卸の実数とシステム残高を照合します。

移行対象は原料マスタだけではなく、仕入先、ロケーション、ロットとその期限・品質ステータス、発注残、引当残まで洗い出します。表記揺れをそのまま取り込まず、旧コードと新コードの対応表、変換ルール、移行エラーの確認責任者を決めます。

切り替え方式は、一斉切り替え、段階切り替え、並行稼働から選びます。現場の停止リスクが高い場合は、まず1工場や1倉庫で段階稼働し、入荷・棚卸・期限アラートなど限定機能から始める方法が現実的です。さらに、旧台帳をいつまで参照用に残すか、二重入力をどの期間で終えるか、問い合わせ窓口を誰にするかも稼働判定に含めます。

  • 稼働初週の確認:ベンダーと社内の責任者が日次でエラーを確かめ、棚卸差異、入力漏れ、ラベル読取失敗、期限アラートの誤検知に分類する
  • 緊急時の備え:製造を止めないための緊急連絡先と、業務継続の代替手順を紙1枚にまとめ、現場へ配布する
  • 合格の目安:完成を目指すより、重要な業務を安全に回しながら改善できる状態を合格とする

フェーズ6:定着のためのKPIと運用責任

稼働後に使われ続けるかは、機能よりも運用設計で決まります。役割は、原料マスタの登録・変更者、ロットの訂正承認者、棚卸の実施者、期限アラートの対応者、月次のデータ品質確認者に分けて、担当者ごとに決めておきます。

担当者が異動しても運用できるように、操作手順だけでなく、例外時の判断基準と問い合わせ先を文書化します。さらに、半年ごとにロット追跡テストとバックアップ復元テストを行えば、いざというときに記録を使える状態を保てます。

KPIは、次の項目で設定します。

  • 在庫の正確さ:在庫精度、棚卸差異率
  • 損失と欠品:期限切れ・廃棄件数、欠品による製造計画変更件数
  • 処理の速さ:入荷処理時間、トレース検索時間、発注から入荷までのリードタイム
  • 利用の度合い:システム入力率

導入効果は導入前の基準値と比べて評価し、最初の1〜3か月は操作習熟の影響を分けて見ます。

AWSの公開事例では、賞味期限ラベルの自動読取などにより年間2,040時間、約350万円の削減効果が示されています。ただし、これは個別業務と利用規模に基づく事例で、そのまま自社の効果を保証する数字ではありません(出典: AWS「サンフーズジャパン、生成AI活用で食品製造業の在庫管理を効率化」、確認日2026年8月)。

月次の改善会議では、現場の要望をすべて追加開発に変えず、マスタ修正、権限変更、手順変更、教育で解決できる課題を先に整理し、システム変更は費用対効果と品質リスクで優先順位を付けます。

ポイント

判断の目安は、各段階の成果物と合否基準を先に決め、現場・品質・購買・生産・情報システムの認識をそろえてから次の段階へ進むことです。

原料在庫管理システム開発の費用相場と内訳

原料在庫管理システムの費用相場

費用は、原料点数や拠点数、ロット・期限・配合の複雑さで変わります。さらに、既存ERPとの連携、端末台数、移行データ量、個別開発の範囲でも変わります。

全国一律の公的な相場はないため、ここでは公開料金、公開導入事例、類似する在庫・生産管理の情報から整理した目安を示します。汎用SaaSの月額と、工場の業務を変える導入プロジェクトの初期費用は別物として比較します。

導入パターン別の初期費用と期間の目安

導入の形によって、費用と期間の目安は次のように変わります。

  • 標準設定の汎用クラウド在庫SaaS:初期費用0〜100万円程度、導入1〜3か月程度
  • 業界特化パッケージに設定、端末、データ移行、連携を加える場合:初期費用500万〜1,500万円程度、3〜6か月程度
  • 複数拠点や、ERP・会計・WMS・品質管理とのAPI連携、大幅なカスタマイズを含む場合:1,500万〜5,000万円程度、6〜12か月程度に広がる可能性
  • フルスクラッチや基幹刷新:5,000万円超、1年以上の計画もある

標準設定のSaaSでも、品質保留や配合、双方向トレース、工場機器連携が必要な場合は、追加設定や開発が発生します。公開料金の例のZoho Inventoryは、年額契約が税別で月額4,600〜35,280円、無料プランもあります(出典: Zoho Inventory日本公式料金ページ、2026年8月確認)。

この金額はソフトウェア利用料で、個別の導入支援や業務開発費を含む原料管理システムの総額ではありません。

フルスクラッチや基幹刷新は、要件が確定するまで特定金額は断定できません。農林水産省の2025年公表資料に掲載されたマルトモ株式会社では、標準ソフト・機器を使った液体調味料工場の導入で、初期費用1,000万〜1,500万円、ランニング年100万円以下とされています。

2022年10月の商談開始から2023年3月の稼働までの事例で、現場調査やテスト運用を含み、自社の見積金額ではなく工場導入の条件を考えるための公開実績です(出典: 農林水産省「令和6年度食品トレーサビリティ先進的優良事例調査結果」、2025年)。

見積書で分けて確認したい開発費以外のコスト

初期費用は、企画・要件定義、画面・データ設計の区分に加えて、次の区分ごとに記載してもらいます。

  • 設定・開発:標準機能に加える設定や個別開発
  • 連携:既存システムとの接続
  • テストとデータ移行:動作確認と、旧データの取り込み
  • 端末・ラベル・バーコード:現場で使う機器やラベルに関わる費用
  • 教育と稼働支援:操作の習得と、稼働直後の対応

要件定義でロットや期限、品質保留、マスタ移行を決めるため、そこを削り過ぎると後半の追加開発が増えやすくなります。導入後は、月額または年額の利用料、クラウド利用料、データ保管量を確認します。さらに、保守、サポート、端末交換、追加ユーザーの費用も、見積書で分けて示してもらいます。

保守費用は、単なる問い合わせ対応だけでなく、OS・ブラウザ更新、脆弱性対応をどこまで含むかで変わります。バックアップ監視、障害復旧、法令・帳票変更、マスタ支援も、保守に含まれるかを確認します。

概算では初期開発費の年10〜20%を保守の目安とする考え方もありますが、契約やサポート範囲で異なるため、対応時間や復旧目標、対象外作業も確認します。費用対効果は、在庫金額の削減だけでなく、棚卸や転記の工数、期限切れ廃棄、欠品による製造計画変更、回収時の調査時間、監査対応、入力ミスの修正時間を金額に換算して見ます。

ただし、AWSの事例のように年間削減効果が公開されているケースもありますが、作業量、従業員単価、原料数が異なるため、自社の現状を2〜4週間測定してから効果目標を置きます。

費用を抑える標準化と段階導入

費用を抑えるには、重要な管理を残したまま、原料コード、単位、ロット、期限、品質ステータスを先に標準化します。画面や帳票の見た目は、過度に個別化しないようにします。また、既存ERPの会計・販売機能を残し、原料の現場入力とトレーサビリティに開発範囲を絞るハイブリッドも有効です。

たとえば、1工場で入荷・棚卸・期限管理を稼働させ、KPIを確認してから製造投入、購買自動化、他工場、IoTへ広げます。段階導入なら初期予算を分けやすく、要件の優先順位も実績データで見直せます。ただし、将来連携するマスタとID体系は最初に設計し、後から作り直す費用を防ぎます。

ポイント

費用は導入の形と追加開発の範囲で大きく変わるため、SaaSの利用料と導入プロジェクトの初期費用を分けて比べます。開発費以外の利用料、保守、教育、移行の費用も、見積書で別に確認します。

原料在庫管理システムの見積もりを取るポイント

原料在庫管理システムの見積もりポイント

相見積もりでは、同じ要件と同じ業務シナリオを渡し、機能・費用・期間・責任範囲を同じ条件で比べます。安い見積もりを選ぶのではなく、どの要件が標準で、どこが設定・追加開発・運用変更になるかを確認します。

見積書に書かれていない移行、教育、テスト、稼働後支援が、後から追加費用になりやすい点にも注意が必要です。

RFPに入れる原料固有の業務シナリオ

RFPには、原料点数と増加数、仕入先数に加えて、現場の運用条件も書き込みます。

  • 規模:月間入荷行数、拠点・倉庫・ロケーション
  • 運用条件:利用者と権限、温度帯、ロット・期限の扱い
  • 原料の性質:配合とBOM、単位換算、品質検査
  • 周辺の条件:ハンディ端末、既存システム、帳票、移行対象、希望時期

特に、「検査待ちで入荷し、合格後に棚入れし、FEFOで引き当て、投入実績から製品ロットを逆検索する」という一連のシナリオを必須回答にします。回答形式は、標準機能、設定、追加開発、運用変更、非対応を分け、概算工数と前提条件を併記してもらいます。

APIの有無だけでなく、連携頻度、エラー時の再送、重複防止、データ項目、責任分界を確認します。さらに、現場端末は、手袋・防寒具・水濡れ・照明・電波の状況を再現して評価し、操作時間と読取成功率を測ります。

開発会社の業種実績と責任範囲

開発会社を選ぶときは、製造業や食品・化粧品・化学など、自社に近い原料管理の経験を確認します。導入社数だけでなく、ロットの双方向トレース、配合・単位変換、品質保留、複数温度帯、既存ERP連携を実際に扱ったかを聞きます。公開事例がある場合は、対象業務、導入期間、削減効果、現場の役割まで確認し、自社の条件との差を整理します。

契約前には、要件定義の成果物、設計書・ソースコードの扱い、データの所有権、移行の責任、検収条件を確認します。さらに、瑕疵対応、保守の応答時間、再委託先、解約時のデータ返却、追加開発の単価も含めます。また、クラウドサービスと個別開発会社が異なる場合は、障害時にどちらへ連絡し、どちらが復旧を指揮するかを一枚の責任分界表にします。

見積条件に含めるセキュリティと業務継続

原料単価、配合、取引先、品質記録、製造ノウハウは、個人情報がなくても重要な業務データです。見積と契約の対象にするのは、権限の最小化、多要素認証、通信・保存時の暗号化、操作ログです。さらに、バックアップと復元テスト、端末紛失対策、脆弱性対応、委託先管理も含めます。

IPAは2026年3月に中小企業向け情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版を公開しました。情報セキュリティ6か条にはバックアップが含まれ、サプライチェーン対策も扱っています(出典: IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版」、2026年)。業務継続では、停電や通信断で入荷・出庫・製造投入を止めない手順を作ります。

紙の代替帳票を使う場合は、連番、承認者、復旧後の再入力と照合方法を決めます。また、クラウドを選ぶ場合も、サービスが止まらない前提ではなく、復旧目標、バックアップ世代、復旧訓練、サポート時間を確認します。見積もりの安さより、止まったときの損失を抑える条件が含まれているかを評価します。

ポイント

判断の目安は、同じ要件と同じ業務シナリオで各社を比べ、標準・設定・追加開発・運用変更の区分が見積もりに示されているかです。安さだけで選ぶと、後から追加費用が発生しやすくなります。

原料在庫管理システム開発でよくある質問(FAQ)

原料在庫管理システムに関するよくある質問

原料在庫管理システムは、会社の業種、拠点、原料の種類、既存システムによって最適な進め方が変わります。導入前に多い判断を、前提条件とともに回答します。

原料在庫管理はSaaSとスクラッチ開発のどちらがよいですか?

原料点数や拠点が少なく、ロット・期限・入出庫を標準運用に合わせられるなら、SaaSや業界特化パッケージが向いています。

多段階配合、特殊な品質判定、工場設備とのリアルタイム連携、既存基幹との複雑な整合が必要な場合は、パッケージへの追加開発やハイブリッド、スクラッチを比較します。

発注側は、Must要件の標準適合率を測り、独自業務を残す価値と開発費を並べて判断します。

小規模な会社でも原料在庫管理システムを導入できますか?

導入できます。最初から全機能を求めず、1工場・1倉庫・主要原料に範囲を絞り、入荷、ロット、期限、棚卸の精度を上げる方法が現実的です。

無料または低価格の汎用サービスを試す場合でも、原料の品質保留、単位換算、製品ロットへの逆追跡が必要かを先に確認し、足りない機能をExcelで補い続ける運用にならないようにします。

Excelの原料データはそのまま移行できますか?

移行は、データの状態を見て判断します。原料名の表記揺れ、重複コード、単位の違い、期限やロットの欠損、仕入先ごとの記載ルールを整理してから取り込みます。

移行前に原料マスタの重複率と必須項目の欠損率を測り、旧データを参照用に保存しながら新コードとの対応表を作ると、移行後の照合が容易になります。

開発から稼働までどのくらいかかりますか?

標準設定中心のクラウド在庫SaaSなら1〜3か月程度、業界特化パッケージの設定・連携なら3〜6か月程度、複数拠点や大幅なカスタマイズなら6〜12か月程度が目安です。

期間は、原料マスタの整理、現場テスト、教育、棚卸、繁忙期の制約で変わります。期間を短くするには機能を急いで作るのではなく、対象範囲を絞り、受入条件と意思決定者を明確にします。

ポイント

判断の目安は、原料点数や拠点の規模、独自の配合・品質判定の多さです。標準運用に合うならSaaSやパッケージ、合わなければ追加開発やスクラッチを比べます。

まとめ:現場起点で段階的に進める原料在庫管理システム開発

原料在庫管理システム開発のまとめ

原料在庫管理システムの成否は、機能数や月額料金だけでなく、原料のロット・期限・品質状態・保管場所・投入履歴を正しく記録し、現場が毎日使えるかで決まります。

開発は、要件整理、選定、設計開発、テスト、稼働、定着の6フェーズで区切り、各段階の成果物と合否基準を確認しながら進めます。

最初に行う現場の業務とデータの洗い出し

まず、発注から廃棄までの流れを現場で観察し、Must要件を決めます。そのうえで、ロット・期限・検査待ち・単位換算・双方向トレースを確認できる共通シナリオで候補を比較し、標準機能と追加開発の境界を見積書に残します。

現場の実数を基準にKPIを設定すれば、導入後に効果を説明しやすくなります。

小さく稼働して使われる仕組みへ改善

費用は汎用SaaSの利用料から工場向けの数百万円〜数千万円規模まで幅があり、条件をそろえない単純比較はできません。まずは、1工場・1倉庫・主要原料から始め、棚卸差異、期限切れ、入荷処理、トレース検索、入力率を測定し、成果が確認できた機能から対象を広げることが、投資と現場負担のバランスを取りやすい進め方です。

原料在庫のデータを整え、現場の判断を支え、事故や欠品の際に履歴を使える状態を作ることが、システム導入の最終目的です。そこで、開発会社にはRFPと業務シナリオを渡し、費用・期間・責任分界・定着支援まで確認したうえで、自社に合う方式を選びます。

▼全体ガイドの記事
・原料在庫管理システム開発の完全ガイド

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。