不動産業向け賃貸管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

不動産業向け賃貸管理システムの発注・外注は、管理戸数と業務範囲を起点に、SaaS・パッケージ・個別開発を選び、RFPと契約条件をそろえて比較することが成功の近道です。

物件台帳だけでなく、募集、契約、家賃請求、入金消込、更新、退去、修繕、オーナー送金までをどこまで一元化するかで、必要な発注先も費用も変わります。本記事では、不動産会社や賃貸管理会社の担当者に向けて、発注形態の選択、RFP・要件整理、請負と準委任の使い分け、費用相場、委託先の選び方、見積比較、導入後の定着までを実務の順番で解説します。

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不動産業向け賃貸管理システムの発注・外注はどのように進めますか?

賃貸管理システムの発注計画を立てる担当者

発注の基本手順は、現状業務の棚卸し、導入方式の選択、RFPと要件の整理、候補会社への提案依頼、実データを使った比較、契約、検証、本番展開の順です。先に「何を作るか」だけを決めるのではなく、「どの業務の手入力や確認を減らし、どの責任を外部へ委託するか」を決めると、見積と提案を比べやすくなります。

物件台帳ではなく契約から送金までの業務連鎖を対象にします

賃貸管理では、物件・建物・部屋・オーナー・入居者を登録した後、募集条件の更新、申込、審査、契約、鍵の引き渡し、毎月の請求、入金消込、滞納督促、更新、解約、退去、原状回復、オーナーへの送金へ処理が続きます。修繕を扱う会社では、問い合わせ、点検、見積、発注、協力会社の手配、完了報告、請求までが同じ業務の流れになります。台帳だけを電子化して請求や修繕をExcelに残すと、転記と確認の負担が残ります。

最初に困っている業務と測定指標を決めます

発注前には、担当者が時間を取られている処理を三つ程度に絞ります。たとえば月次請求の締め作業、入金消込、更新案内、空室情報の反映、修繕の進捗確認、オーナー報告書の作成などです。月末処理に何人日かかっているか、入金消込に何件の手作業があるか、空室登録から広告反映まで何時間かかるかを測ると、導入後の効果を確認できます。

1拠点・1業務のPoCから段階的に広げます

全物件と全拠点を一度に切り替えるより、代表的な物件を選び、実際の契約、日割り家賃、滞納、退去、修繕、オーナー精算を使って一連の処理を試す方が安全です。国土交通省が2025年度に実施した不動産分野のDX実証では、IT重説・書面電子化に関するサービスの導入費用と3か月分の利用料を、1社あたり最大50万円(税込)支援しました(出典: 国土交通省「不動産分野におけるDXの推進に向けたデジタル技術・サービスの導入・活用支援」、2025年)。通常価格の相場ではありませんが、小さく試して継続判断をする考え方の参考になります。

発注形態はSaaS・パッケージ・個別開発のどれを選びますか?

賃貸管理システムの発注形態を比較する打ち合わせ

発注形態は、標準的な業務を早く始めたいのか、自社独自の精算や複数事業をシステムの強みにしたいのかで決めます。管理戸数だけで方式を決めるのではなく、契約形態、拠点数、既存会計、募集や保証会社との連携、帳票の特殊性、現場のIT習熟度を合わせて評価することが重要です。

定型業務を早く始めるなら業界特化SaaSを候補にします

物件、入居者、契約、請求、入金、オーナー報告などが標準機能で足りる場合は、業界特化SaaSが候補になります。サーバー構築やアップデートを自社で抱えず、複数拠点やテレワークへ展開しやすい点が利点です。一方、月額料金だけを見てはいけません。ユーザー数、管理戸数、写真容量、帳票変更、データ移行、外部連携、サポート、契約終了時のデータ返却が別料金かを確認します。

公開価格の具体例として、ユニコムのSimple Upは、部屋・駐車場の登録件数に応じて月額4,980円(税抜)からの料金を掲載しています(出典: ユニコム株式会社「Simple Up賃貸管理システム」公式料金ページ、2026年確認)。これは同サービスの料金例であり、賃貸管理システム全体の相場ではありません。低価格で始められる場合でも、自社に必要な機能と導入支援が含まれるかを分けて比較します。

業務範囲が広く標準機能を重視するならパッケージを比較します

賃貸管理の専用パッケージは、物件・契約・家賃請求・督促・入金処理・帳票・募集など、業界で共通する処理をまとめて導入したい会社に向いています。自社の業務を標準機能へ寄せられれば、ゼロから設計するより要件定義を短くできる可能性があります。オンプレミス型なら独自の運用や大量データに対応しやすい場合がありますが、サーバー、バックアップ、障害対応、バージョンアップの責任分担を契約前に確認します。

パッケージを選ぶときは、標準機能でできること、設定変更でできること、追加開発が必要なこと、運用で代替することを分けて提示してもらいます。特に、日割り・フリーレント・水道料・保証会社・事業用テナント・サブリース・オーナー精算のような例外処理を、実データで確認することが大切です。

独自精算や基幹連携が競争力ならセミオーダー・個別開発を選びます

既存の会計、銀行、保証会社、電子契約、ポータル、CRMをつなぎたい場合は、標準SaaSを基盤にした連携開発やセミオーダーが現実的です。全面スクラッチより初期の自由度は限られますが、マスタをどちらに置くか、更新をどの方向へ流すか、エラーを誰が直すかを決めれば、二重入力を減らしやすくなります。

スクラッチ開発は、独自のオーナー精算、複数拠点の権限、サブリース、事業用テナント、仲介・PM・建物管理の統合などが自社の差別化に直結する場合に検討します。ただし、自由度が高い分、要件の曖昧さが費用と納期に反映されます。まず標準化できる範囲を決め、例外処理だけを個別開発へ残す方が、保守しやすい構成になります。

RFPと要件整理では何を決めてから外注しますか?

賃貸管理システムのRFPと要件を整理する担当者

RFPは、ベンダーに希望を伝えるだけの資料ではなく、同じ前提で提案と見積を比較するための基準です。完成した設計書を発注者だけで作る必要はありませんが、対象業務、利用者、データ、既存システム、制約、優先順位、納期、予算、検収条件をそろえます。現場の例外を隠さず、実際の帳票やExcelサンプルを添付することが重要です。

現状業務を契約・請求・修繕まで一枚の流れにします

まず、募集、申込、審査、契約、更新、解約、退去、原状回復、請求、入金消込、督促、オーナー送金、修繕、募集媒体への連携を業務フローに並べます。各工程について、誰が、いつ、何を入力し、どの帳票を出し、誰が承認し、次に何が起きるかを書き出します。紙の契約書、Excelの台帳、顧客指定の報告様式、電話やメールの指示も資料に含めます。

この段階で、データの発生源と正本も決めます。物件マスタは賃貸管理システムを正本にするのか、会計側を正本にするのか、入金明細の取込後に誰が訂正するのかを曖昧にしません。システム間で同じ入居者や物件を別IDで登録すると、請求や送金の突合に余計な手作業が発生します。

機能要件と非機能要件を分け、必須と将来を区別します

機能要件は、物件・建物・部屋・設備・オーナー・入居者・契約・取引業者のマスタ、募集、申込、契約、更新、退去、家賃請求、入金消込、滞納、オーナー送金、修繕、帳票、入居者・オーナー向けポータルに分けます。各機能に「必須」「初回リリース後」「不要」を付け、業務効果も併記します。たとえば、入金消込は月末作業を減らすため、修繕チャットは電話件数を減らすためという形です。

非機能要件には、稼働時間、レスポンス、バックアップ、復旧目標、認証、二要素認証、権限分離、操作ログ、通信・保存時の暗号化、脆弱性対応、サポート時間、障害時の連絡期限、データ返却を記載します。入居者・保証人・オーナーの個人情報や口座情報を扱うため、個人情報保護委員会の安全管理措置やIPAのクラウドサービス安全利用の考え方を参照し、アクセス制御、識別・認証、不正アクセス防止を質問項目にします(出典: 個人情報保護委員会・IPA、2026年時点の公開ガイドライン)。

デモとPoCでは実際の例外データを通します

ベンダーのデモでは、きれいなサンプル物件ではなく、日割り、フリーレント、複数オーナー、滞納、名義変更、退去精算、修繕の相見積もりなど、現場で困る例を持ち込みます。担当者が登録し、管理者が承認し、請求と入金を処理し、オーナー向け帳票を出すところまで確認します。画面の見た目より、Excelへの再入力が発生しないか、例外処理を誰が行うかを重視します。

提案書で回答してほしい項目もRFPに指定します。標準機能、設定変更、追加開発、外部連携、運用での代替対応を分けること、初期費用と月額費用を分けること、前提条件と除外項目を明記すること、導入後の支援担当者と対応時間を示すことを求めます。これにより、安く見える一方で移行や帳票作成が別料金になっている見積を見抜きやすくなります。

契約形態は請負と準委任をどう使い分けますか?

賃貸管理システムの契約条件を確認する担当者

契約形態は、成果物の完成責任を明確にしたい工程と、発注者と委託先が一緒に要件を探索する工程を分けて考えます。契約書の名前だけでなく、作業範囲、成果物、検収、変更手続、報酬、責任範囲、知的財産、再委託、保守、データ返却を条項で確認することが重要です。

仕様と検収条件が固まった製造は請負を検討します

請負契約は、合意したシステムや成果物を完成させ、検収を受ける工程に向きます。画面、帳票、連携、テスト項目、納期、検収基準が明確なら、固定価格で予算を管理しやすくなります。ただし、発注後に機能を追加すると、仕様変更、納期、金額を調整しなければなりません。追加開発の単価や承認手順も契約前に定めます。

要件定義や改善を一緒に進めるなら準委任を検討します

準委任契約は、現行業務調査、要件定義、プロトタイプ、アジャイルな改善、運用支援など、作業の遂行や専門家の支援に対して報酬を支払う工程で使われることがあります。成果物の完成責任の範囲は請負と異なるため、何を作るかだけでなく、何人月・何時間、どの役割が、どの頻度で会議やレビューを行うかを明記します。IPAの情報システム・モデル取引・契約書でも、機能や優先順位の変更が起きやすいアジャイル開発では、準委任を基礎とする考え方が示されています(出典: IPA「情報システム・モデル取引・契約書」、2025年更新)。

要件定義・開発・移行・保守を分けた段階契約にします

賃貸管理は、顧客指定帳票や物件ごとの例外が多く、初期にすべての仕様を確定しにくい分野です。現行調査と要件定義、PoC、製造・設定、データ移行・教育、保守運用を分け、各段階の成果と次段階へ進む条件を決める方法が現実的です。要件定義の成果物には、業務フロー、画面一覧、帳票一覧、データ項目、権限表、連携方式、非機能要件、受入テスト案を含めます。

クラウドを解約する場合のデータ形式、返却費用、移行支援、バックアップ保持期間も確認します。ソースコードや設定情報をどこまで受け取れるか、画面・帳票の著作権や利用権、第三者サービスのライセンス、再委託先の責任分担も契約書に残します。SLAでは障害受付時間、復旧目標、メンテナンス通知、セキュリティ事故時の連絡期限を合意しておくと、運用開始後の認識違いを防げます。

不動産業向け賃貸管理システムの費用相場はいくらですか?

賃貸管理システムの費用相場を検討する担当者

費用は、ライセンスや月額利用料、初期設定、データ移行、帳票変更、外部連携、個別開発、教育、保守を分けて見積もります。賃貸管理システムだけを対象にした全国統計は確認できないため、以下はリサーチノートにある公開価格と一般的な業務システム相場から整理した2026年時点の検討レンジです。正式な金額ではなく、管理戸数、ユーザー数、拠点数、契約形態、連携、移行データ量によって変わります。

小規模クラウドは初期0〜30万円、月額5,000円〜10万円が目安です

物件・入居者・家賃などの標準機能を小規模に使う場合、初期費用0〜30万円、月額5,000円〜10万円程度が一つの検討レンジになります。Simple Upの月額4,980円(税抜)からという公開例は、この下限を考える際の具体的な参考です。ただし、同じ料金で同じ機能が使えるわけではありません。ユーザー追加、部屋数、帳票、CSV出力、サポート、移行を含むかを必ず確認します。

標準SaaSへ初期設定、Excelのデータクレンジング、研修、権限設定を加える場合は、初期10万〜100万円、月額5万〜30万円程度が検討レンジになります。入居者・オーナー向け画面や会計・保証会社との連携を加えると、月額のほかに連携費や追加開発費が発生する可能性があります。公開価格の例と市場全体の推定を混同しないことが大切です。

パッケージと複数連携は初期100万〜500万円が検討レンジです

パッケージ導入に会計、銀行、保証会社、電子契約、募集媒体、帳票、移行、教育を含める場合、初期100万〜500万円、月額10万〜50万円または年額保守というレンジが目安になります。これは賃貸管理専用の公的統計ではなく、リサーチノートにある一般的な業務システム相場を、管理戸数や連携を考慮して整理した推定です。見積書では、ライセンスと導入作業、連携と保守を別行にします。

セミオーダーや既存システム連携開発では、初期300万〜1,000万円、月額10万〜80万円相当を検討するケースがあります。データ移行の対象期間、APIの有無、相手システムの仕様、エラー時の手動処理、テスト環境の提供条件が費用を左右します。連携本数だけでなく、毎月何件のデータを流し、失敗時に誰が復旧するかまで確認します。

スクラッチは初期1,000万〜3,000万円以上も想定します

複数拠点、PM・仲介・修繕、独自のオーナー精算、入居者アプリ、会計・銀行・保証会社・電子契約までを統合するスクラッチ開発は、初期1,000万〜3,000万円以上、導入期間9〜18か月以上というレンジを想定することがあります。これも要件を確定した正式見積ではなく、一般的な業務システムの相場からの推定です。保守費は初期費用の15〜20%を年額の目安に置くことがありますが、契約内容によって異なります。

比較では、5年TCOを「初期費用+月額×60か月+移行・教育・追加開発+保守・連携費」で計算します。月額が安いサービスでも、データ移行や帳票変更が高く、解約時の返却費用が別なら、長期の総額は変わります。逆に個別開発でも、標準機能を活用して追加範囲を絞れば、最初から全機能を作るより投資を抑えられます。

委託先の選定と見積比較では何を確認しますか?

賃貸管理システムの委託先と見積を比較する担当者

委託先は、会社の知名度だけでなく、賃貸管理の業務理解、データ移行の経験、連携の設計力、導入後の伴走体制で比較します。製品を提供する会社と個別開発や移行を担当する会社が別の場合は、障害、追加費用、仕様変更の責任分界を明確にします。最終候補は2〜4社程度にそろえ、同じRFPと同じサンプルデータで提案を受けると比較しやすくなります。

賃貸管理の例外処理と導入規模が合うかを確認します

委託先へは、管理戸数、拠点数、ユーザー数、戸建て・アパート・マンション・事業用テナントの比率、契約形態、既存の会計や保証会社、移行対象年数を伝えます。さらに、日割り、フリーレント、共益費、水道料、更新料、敷金・保証金、サブリース、オーナーごとの送金ルール、退去精算、修繕の承認上限など、標準から外れる処理を質問します。

実績を聞くときは「導入社数」だけで終わらせず、自社と似た管理戸数・業態・既存システムの事例を確認します。導入前に何が課題で、どの範囲を移行し、どの機能を標準で使い、どの指標が改善したのかを聞きます。可能なら、現場担当者や管理者が実際の画面を操作する場を設け、問い合わせへの返信速度や説明の分かりやすさも評価します。

見積は金額より前提条件と除外項目をそろえて比較します

見積書では、要件定義、設計、設定、開発、テスト、データ移行、データクレンジング、帳票、API、環境構築、教育、初年度保守を行単位で確認します。各行に数量、単価、期間、担当、成果物、検収条件を付けてもらい、標準機能・設定・追加開発・外部サービス費を分けます。「一式」と書かれた大きな項目がある場合は、作業内訳を質問します。

比較表には、初期費用、月額、5年TCO、導入期間、移行範囲、連携範囲、追加開発単価、サポート時間、SLA、データ返却条件、契約終了条件を並べます。価格だけでなく、発注者側の作業時間、現場教育、移行データの整理、受入テスト、稼働後の運用担当者も含めます。金額が安い提案でも、発注者側の負担が大きければ、実質的な費用と導入リスクは高くなります。

個人情報・データ移行・再委託の責任分界を契約に残します

賃貸管理では、入居者・保証人・オーナーの氏名、住所、連絡先、口座、本人確認書類、契約書、滞納情報、修繕写真を扱います。多要素認証、最小権限、操作ログ、暗号化、バックアップ、脆弱性対応、本番データの開発環境への持ち込み禁止、退職者や再委託先のアカウント停止を確認します。クラウドのデータ所在地、国外での取扱い、委託先の監査方法もRFPに含めます。

データ移行では、過去契約をすべて移すのか、現行契約だけを移すのか、滞納と修繕履歴を何年分保持するのかを決めます。旧システムから出せるCSVの項目、名寄せルール、空欄や重複の扱い、移行後の照合件数、切替前のバックアップを合意します。2026年の発注ではAIや自動化も提案されますが、いい生活が2026年2月にAI消込アシストの概念実証を開始したように、導入直後から完全自動を前提にせず、人が候補を確認し、誤処理を戻せる設計を優先します(出典: 株式会社いい生活、2026年)。

発注後の導入と運用定着で失敗しないために何をしますか?

賃貸管理システムの導入テストと運用定着

契約した後は、ベンダーに任せきりにせず、発注者側の業務責任者と現場の代表者を決めます。システムの完成だけでなく、データが正しいこと、月次請求と送金が回ること、現場が迷わず入力できることを受入条件にします。導入期間は、要件定義・現状調査に1〜2か月、データ整理と設定に1〜3か月、試験運用に1〜2か月、本番展開に1〜3か月程度を置くことがあります。規模や連携で大きく変わるため、工程ごとの前提を確認します。

受入テストは通常ケースと例外ケースを分けて行います

受入テストでは、物件登録から募集、申込、契約、請求、入金消込、更新、退去、原状回復、オーナー送金までの業務シナリオを作ります。通常のケースだけでなく、入金名義が違う、日割りがある、契約者が変更になる、複数オーナーへ分配する、滞納が一部だけ解消する、修繕見積が予算を超えるといった例外も試します。テスト結果、修正期限、再テストの担当者を記録します。

現場の入力負担と運用ルールを先に解消します

操作研修は管理部門だけでなく、募集担当、契約担当、経理、修繕担当、拠点責任者、オーナー対応担当など、実際に入力や確認をする人を対象にします。誰が物件マスタを更新するか、契約変更を承認するか、入金エラーを直すか、退去精算を確定するかを運用ルールにします。操作を覚えることより、判断に必要な情報が一画面でそろうことと、入力後の次工程が明確になることを重視します。

稼働後は、月次で処理時間、入金消込の未処理件数、請求訂正件数、空室情報の更新時間、修繕の完了日数、問い合わせ件数を確認します。導入前に取ったKPIと比べて改善が弱ければ、機能追加の前にマスタの重複、権限、入力手順、現場への教育を見直します。業務を変えずにシステムだけ追加すると、旧Excelが残り、二重管理が固定化するためです。

賃貸住宅管理業を営む管理戸数200戸以上の事業者には、国土交通大臣への登録が義務付けられています。また、契約締結前に報酬や具体的な管理業務の内容・実施方法を説明し、書面を交付する必要があり、オンライン重要事項説明や電子書面交付も活用できます(出典: 国土交通省「管理業者の業務」、2026年確認)。対象事業者は、登録情報や説明履歴、相手方の承諾記録、閲覧性、改ざん防止、保存期間をシステム要件と運用手順へ反映します。

サブリースや事業用テナントを扱う場合は、住宅の賃貸借だけを想定した標準機能では足りないことがあります。重要事項説明書、契約書、更新・解約、賃料改定、修繕負担、オーナーへの報告がどの契約形態に適用されるかを、業務担当者と委託先で確認します。法律の解釈をシステム会社だけに任せず、必要に応じて社内の法務担当者や専門家へ確認することが安全です。

不動産業向け賃貸管理システムの発注・外注でよくある質問

賃貸管理システムの発注に関する質問を確認する担当者

発注前に多い疑問を、導入方式、費用、契約、期間の観点から回答します。自社の管理戸数や業務範囲によって正解は変わるため、回答をそのまま採用するのではなく、RFPの確認項目へ置き換えてください。

賃貸管理システムはSaaSとスクラッチのどちらがよいですか?

標準的な物件・契約・請求業務を早く始めたいならSaaS、独自の精算や複数システム連携が競争力に直結するならセミオーダーやスクラッチが候補です。管理戸数だけで決めず、例外処理を標準機能で吸収できるか、データをどこに集めるか、5年TCOと運用体制を比較して選びます。

小規模な会社でも発注・外注する価値はありますか?

価値はありますが、最初から全業務を個別開発する必要はありません。公開価格では月額4,980円(税抜)からのSaaS例もあるため、まず標準機能のデモや短期のPoCで、請求・入金・オーナー報告のどこが改善するかを確認します。初期設定、移行、研修、サポートを含めた総額と、担当者の作業時間まで比較すると判断しやすくなります。

請負契約と準委任契約はどちらを選べばよいですか?

画面や帳票、連携、検収条件が固まった製造工程は請負、現行業務調査、要件定義、プロトタイプ、改善支援は準委任が候補です。実際には工程ごとに契約を分けることもあります。契約名称だけでなく、成果物、作業時間、変更手続、検収、知的財産、再委託、障害対応を明文化してください。

賃貸管理システムの導入にはどれくらいかかりますか?

小規模な標準SaaSなら即日から2か月、初期設定・移行・研修を含めると1〜4か月、複数連携やパッケージ導入では3〜8か月程度が一つの目安です。セミオーダーは6〜12か月、スクラッチは9〜18か月以上を想定する場合があります。実際の期間は、データの整理状況、社内の意思決定、帳票と例外処理の数、外部システムの仕様に左右されます。

まとめ

賃貸管理システムの発注方針をまとめる担当者

不動産業向け賃貸管理システムの発注・外注では、最初に物件・契約・家賃・入金・修繕・オーナー送金のどこまでを一つの流れにするかを整理します。そのうえで、標準業務ならSaaS、広い業務範囲を標準機能で扱うならパッケージ、独自精算や連携が強みになるならセミオーダー・スクラッチというように、発注形態を選びます。

RFPと実データで比較条件をそろえます

RFPには、現状業務、必須機能、非機能要件、連携、データ移行、権限、監査ログ、SLA、保守、データ返却、検収条件を記載します。複数社に同じ条件で提案してもらい、通常ケースと日割り・滞納・退去・複数オーナー精算などの例外を実データで確認してください。見積は初期費用だけでなく、月額、移行、教育、追加開発、保守を含む5年TCOで比較します。

小さく始め、契約と運用の責任分界を明確にします

導入は1拠点・1業務のPoCから始め、受入テストとKPIで効果を確認してから全社へ広げます。請負と準委任を工程に応じて使い分け、個人情報、再委託、障害、セキュリティ、契約終了時のデータ返却まで契約へ落とし込むことが、発注後のトラブルを減らします。自社の業務課題と将来の運用体制を整理したうえで、委託先へ相談することが大切です。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。