不動産業向け内見予約システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

不動産業向け内見予約システムの発注では、予約フォームの制作費だけでなく、物件ごとの空き時間、元付会社と客付会社の権限、鍵情報の開示、既存システムとの連携までを含めて要件を定めることが成功の条件です。

電話やFAXで続けてきた空室確認と日程調整を減らしたい一方で、どの発注形態を選び、何をRFPに書き、見積書のどこを比較すればよいか迷う企業は少なくありません。この記事では、不動産業向け内見予約システムを発注・外注する手順を、要件整理、契約、費用相場、委託先の選び方、導入後の評価まで実務の順番で解説します。

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不動産業向け内見予約システムを発注する前に知るべき全体像

不動産業向け内見予約システムの発注全体像

内見予約システムは、単に来店日時を登録する予約ツールではありません。物件、部屋、募集状況、内見可能枠、案内担当者、仲介会社、鍵、入退室、内見後の評価をつなぐ業務システムです。したがって、発注時には「予約を受け付ける画面」と「予約を安全に確定・実施・記録する業務基盤」を分けて考える必要があります。

発注判断は「予約者・鍵・連携」の3軸で整理します

最初の軸は誰が予約するかです。入居希望者が直接予約するのか、客付会社が元付会社の物件を予約するのか、自社営業が顧客との内見予定を登録するのかで、必要な画面と本人確認が変わります。客付会社が複数ある場合は、会社情報や宅建業許可の確認、物件ごとの利用可否、予約変更権限まで定義しなければなりません。

2つ目の軸は鍵の扱いです。鍵を営業所で受け渡すだけなら、受け渡し記録と返却確認が中心です。スマートロックや暗証番号で無人内見を行うなら、予約確定後だけ解錠情報を発行し、予約時間外は使えないようにし、キャンセル時に権限を失効させる仕組みが必要です。3つ目の軸は予約後の連携で、賃貸管理、CRM、ポータル、申込、電子契約、入退室ログをどこまでつなぐかを決めます。

標準サービスと個別開発では、解決できる課題が異なります

不動産特化型のクラウドサービスは、空室確認、内見受付、変更・キャンセル、仲介会社との情報共有を早く始めたい企業に向いています。アットホームのスマート案内予約のように、24時間365日の受付、物件情報と鍵情報の登録、内見評価や予約実績の分析を標準機能として案内するサービスもあります(出典: アットホーム株式会社「スマート案内予約」、2026年確認)。既存の業務を標準機能に合わせられるなら、短い期間で導入しやすい方式です。

一方、売買と賃貸で予約ルールが大きく異なる、複数の仲介会社に細かな権限を設定する、基幹システムに予約IDを引き継ぐ、スマートロックや独自の審査を組み込むといった要件は、個別開発またはAPI連携が必要になりやすいです。パッケージかスクラッチかを先に決めるのではなく、標準機能で満たせる要件と、業務上変えられない要件を分けてから発注方式を選びます。

発注形態はどれを選ぶべきですか?

内見予約システムの発注形態を比較する担当者

結論からいうと、物件数や予約量が少なく、まず電話対応を減らしたい場合はSaaSや不動産特化クラウドが適しています。独自の承認、鍵、権限、外部連携が競争力に直結する場合は、要件定義から個別開発を委託する方式が適しています。判断に迷う企業は、標準サービスを使った小規模導入と、将来のAPI連携を同時に確認する段階方式が現実的です。

SaaS・パッケージを選ぶケース

SaaSやパッケージは、初期投資を抑えながら短期間で受付を始めたい場合に向いています。物件と時間枠から予約する、重複を防ぐ、メールで通知する、予約変更を記録するといった基本機能があらかじめ用意されているため、発注側の負担を小さくできます。導入前には、物件登録数、仲介会社アカウント数、予約件数、データ出力、解約時のデータ返却、サポート時間を確認します。

ただし、製品にない機能を追加するたびに個別オプション費用が発生することがあります。特に、元付会社と客付会社の権限、予約確定前後の鍵情報の表示範囲、審査済み会社だけの受付、賃貸と売買のルール分岐が標準で対応できるかは、デモ画面で確認することが大切です。月額が安くても、物件マスタ移行や初期設定を自社で行うなら、導入工数を含めて比較します。

ローコード・ハイブリッドを選ぶケース

ローコードは、物件台帳、担当者、予約状況、内見後アンケートなどを短期間で作り、現場の声を聞きながら改善したい企業に向いています。現場部門が自分たちで項目を変更しやすいことが利点です。公開予約画面だけを外部サービスにし、社内の承認・集計・通知をローコードで管理するハイブリッド構成も検討できます。

一方で、同時刻の予約を厳密に防ぐ処理、アクセスが集中したときの性能、スマートロックとの安全な連携、仲介会社ごとの認証をローコードだけで実現するのは難しい場合があります。PoCでは動いても、本番の同時利用者数や障害時の復旧方法が曖昧なままでは危険です。委託先には、将来スクラッチやクラウド基盤へ移行する場合のデータ形式とAPI方針も確認します。

個別開発を選ぶケース

個別開発は、自社の業務フローを変えるのではなく、競争力のある運用をシステムに組み込みたい場合に適しています。例えば、物件ごとに異なる受付条件、複数の客付会社の資格確認、予約承認後だけの鍵情報表示、内見から申込へのID引き継ぎなどは、汎用予約システムの設定だけでは不足しやすい要件です。

その代わり、個別開発では発注側が業務ルールを決め、受入テストに参加し、リリース後の運用責任を担う必要があります。開発会社に丸投げすると、完成した画面は使えても、例外処理や担当者変更、キャンセル、鍵の紛失など現場の重要なケースが漏れます。発注前に現場責任者、仲介担当、管理会社、情報システム担当を含むプロジェクト体制を作ります。

RFPと要件整理はどこまで準備すべきですか?

内見予約システムのRFPと要件を整理する場面

RFPは、完成画面の細部をすべて指定する文書ではなく、解決したい業務課題と守るべき条件を複数の候補会社へ同じように伝える文書です。最低限、対象業態、対象物件数、月間予約数、利用者、現行業務、導入時期、予算の考え方、既存システム、セキュリティ要件、保守体制、見積の分け方を記載します。

現行業務を例外まで書き出します

まず、電話やメールの一本を起点に、誰が空室を確認し、誰が予約枠を確保し、誰が鍵を渡し、内見後に何を記録しているかを時系列で書きます。通常の予約だけでなく、予約変更、キャンセル、遅刻、担当者不在、鍵が使えない、物件が募集停止になった、同じ時間帯に複数の案内が重なった場合も確認します。現行の帳票やExcel、メールテンプレートを候補会社に共有すると、見積の前提が揃いやすくなります。

要件は「必須」「できれば欲しい」「将来対応」に分けます。必須には、物件・部屋・募集状況の管理、内見枠の設定、重複予約防止、権限管理、通知、操作履歴を置きます。将来対応には、スマートロック、オンライン内見、内見後アンケート、CRM・申込・電子契約との連携を置く方法が現実的です。優先順位を決めないまま機能を足すと、各社の見積条件が変わり、価格だけの比較ができなくなります。

鍵情報・個人情報・外部連携を独立した要件にします

内見予約では、氏名、電話番号、メールアドレスだけでなく、仲介会社の担当者情報、鍵の場所や解錠情報、入退室ログを扱います。RFPには、利用者の識別と認証、役割ごとのアクセス制御、通信と保存データの保護、操作ログの保存期間、委託先の管理、退会・解約時の削除または返却を記載します。個人情報保護委員会の通則ガイドラインでも、アクセス制御、アクセス者の識別・認証、不正アクセス防止、ログの定期分析が技術的安全管理措置の例として示されています。

外部連携は「連携できるか」だけでなく、どのデータを、どのタイミングで、どちらを正とするかを定めます。物件情報を賃貸管理システムから受け取り、予約確定をCRMへ送り、内見実施結果を申込管理へ引き継ぐなら、物件ID・部屋ID・予約IDの対応関係が必要です。障害時に再送できるか、重複登録を防げるか、APIがない場合にCSVで代替できるかもRFPに含めます。

提案依頼書には評価方法と納品物も明記します

RFPには、提案書、概算見積、工程表、体制表、画面イメージ、非機能要件への回答、類似事例、保守費用を提出してほしいと明記します。候補会社の評価は、価格だけでなく、不動産業務の理解、予約の同時実行制御、鍵と権限の設計、連携方式、テスト計画、導入後の教育、障害時の対応で点数化します。

また、成果物の範囲を明確にします。要件定義書、画面仕様書、データ定義書、テスト仕様書、操作マニュアル、ソースコード、インフラ構成、運用手順、ログの取り扱い、データ移行結果を納品対象にするかを確認します。成果物が見積に含まれないと、後から別料金になったり、担当者交代時に運用が引き継げなかったりします。

発注・外注はどの順番で進めますか?

内見予約システムの開発工程を確認する打ち合わせ

発注は、課題の確認、RFP作成、候補会社の選定、提案・見積比較、契約、要件定義、設計・開発、テスト、移行、運用評価の順で進めます。小規模な導入であっても、契約前に業務範囲と評価指標を決めておくと、納品後の「思っていたものと違う」を減らせます。

最初に現場ヒアリングとPoCを行います

最初から全社・全物件を対象にせず、1エリア、1業態、数十物件など範囲を絞って検証します。PoCでは、空室確認から予約確定までの時間、電話件数、重複予約、予約変更の処理時間、無断キャンセル、内見実施率を測ります。リサーチノートにある目安では、内見予約業務のPoCは50万〜300万円、1〜3か月程度とされていますが、対象範囲や連携の有無で変動する推定値です。

現場ヒアリングでは、管理会社だけでなく、実際に電話を受ける担当者、物件を案内する営業、鍵を管理する担当者、客付会社の利用者にも話を聞きます。経営者が削減したい人件費と、現場が困っている確認作業は一致しないことがあるためです。PoCの終了条件を「画面が動く」ではなく、「予約の重複がない」「鍵情報が適切な人だけに表示される」など業務成果で定めます。

要件定義後に設計・開発を段階分けします

要件定義では、予約状態を「仮予約」「承認待ち」「確定」「実施済み」「キャンセル」「無断キャンセル」などに分け、状態が変わる条件と通知先を定めます。物件の募集停止、担当者の休暇、営業時間外の予約、同一仲介会社の複数予約など、現場で起こる分岐を先に確認します。画面設計では、スマートフォンで使う客付会社と、一覧を大量に扱う管理者の両方を検証します。

開発は、物件・ユーザー・権限、予約枠・カレンダー、通知・履歴、外部連携、鍵・入退室のように機能を分け、優先度の高い部分から進めます。予約枠の重複防止と権限は後付けにするとデータ構造を作り直すことがあるため、早期に設計します。スマートロックを後段にする場合でも、予約IDと解錠権限を結びつけられる設計にしておきます。

受入テストと移行を本番前に分けて確認します

受入テストでは、通常の予約だけでなく、時間帯が重なる予約、同時アクセス、キャンセル直後の再予約、鍵情報の表示期限、権限のない仲介会社からのアクセス、通知メールの不達、外部API停止時の再送を試します。管理者、元付会社、客付会社、現地担当者など役割ごとにテストシナリオを作ることが大切です。開発会社のテスト結果だけでなく、発注側が業務上の合格条件を判定します。

物件マスタの移行では、住所、物件名、部屋番号、募集状況、案内可能時間、鍵情報、担当部署の対応関係を確認します。古い物件や募集停止物件を移行すると誤予約の原因になるため、移行対象と除外対象を分けます。リリース後は問い合わせ窓口、障害時の連絡先、ロールバック手順、定例レビューを決め、導入効果を毎月確認します。

契約形態は請負と準委任のどちらが適していますか?

内見予約システム開発の契約条件を確認する場面

契約形態は、納品物と完成条件を明確にしたい工程には請負、要件が変わりやすく専門人材の協力を得たい工程には準委任が向いています。内見予約システムでは、要件定義やPoCを準委任、要件が固まった開発・テストを請負、リリース後の改善を準委任に分ける組み合わせが検討しやすいです。契約名だけで判断せず、作業範囲、成果物、責任、検収、変更手順を確認します。

請負契約では完成条件と変更管理を定めます

請負契約では、決められた成果物を納期までに完成させ、発注側が検収する関係になります。画面、機能、対応ブラウザ、性能、セキュリティ、テスト、マニュアルなど、何を満たせば完成なのかを仕様書と受入基準にします。内見予約では、予約の重複が起こらないこと、キャンセルした予約の解錠情報が使えないこと、権限外の物件が表示されないことをテスト項目に入れます。

開発中に「やはり売買にも対応したい」「鍵をスマートロックに変えたい」となった場合は、変更要求の承認者、追加費用、納期への影響、優先順位の下げ方を決めます。請負だから変更できないという意味ではなく、変更を口頭で積み上げず、双方が記録を残すことが重要です。知的財産権、第三者ライブラリ、ソースコードの利用範囲、脆弱性修正の責任も契約書で確認します。

準委任契約では稼働範囲と意思決定を管理します

準委任契約では、専門家が合意した業務を遂行することが中心で、成果物の完成を請け負う契約とは責任の置き方が異なります。要件がまだ固まっていない現場ヒアリング、既存システム調査、アーキテクチャ検討、プロトタイプ、導入後の改善に使いやすい契約です。ただし、月の稼働時間、担当者のスキル、定例会議、報告方法、成果物の扱いを曖昧にすると、何に費用を支払ったのか分かりにくくなります。

発注側は、優先順位を決めるプロダクト責任者を置き、毎週のレビューで仕様を確定します。開発会社へすべての判断を委ねるのではなく、予約ルール、鍵の開示基準、個人情報の保存期間、仲介会社の利用条件は自社が決めます。準委任から請負へ移行するタイミングと、その際に確定する仕様書・見積・工程も契約前に話し合います。

保守契約では障害・改善・データを分けて確認します

保守契約は、障害対応だけでなく、監視、バックアップ、脆弱性対応、OSや外部APIの変更、問い合わせ、軽微な改善をどこまで含むかで金額が変わります。予約受付が止まる時間帯、スマートロックが開かない場合の緊急連絡、メールやSMSが届かない場合の代替連絡も決めます。復旧目標時間、対応時間、重要度ごとの連絡方法をサービスレベルとして記載すると、繁忙期の不安を減らせます。

データの所有権と返却形式も重要です。解約時に物件、予約、ユーザー、操作履歴、内見評価をCSVや標準形式で受け取れるか、削除証明を発行できるかを確認します。ベンダー固有の形式に閉じると、移行費用や切り替え期間が想定以上になることがあります。SaaSの利用規約、個人情報の委託先、再委託先、データ保管地域も確認対象です。

不動産業向け内見予約システムの費用相場はいくらですか?

内見予約システムの費用と見積を検討する場面

費用は、汎用クラウドなら初期0万〜50万円、月額1,500円〜5万円程度、不動産特化クラウドなら初期0万〜100万円程度、月額1万〜10万円程度が一つの目安です。物件、仲介会社、権限、通知、管理画面、API連携を含む小規模な個別開発は200万〜500万円程度、中規模の連携開発は500万〜1,000万円程度、全社基盤は1,000万〜2,000万円以上になることがあります。いずれも公開価格と一般的な業務システム相場を内見予約の要件に当てはめたレンジであり、確定価格ではありません。

実際の公開価格として、株式会社バルテックは不動産向け内見予約システムのシンプルプランを初期費用0円・月額1,500円(税別)から案内しています。デラックスは初期25万円・月額1万円、スマートロック構成は初期合計約53万590円・月額合計1万3,600円(いずれも税別、工事費別)です(出典: 株式会社バルテック「内見予約システム」、2026年確認)。この価格は一社の公開例であり、相場全体を代表するものではありませんが、予約だけの場合と現地設備を含む場合の差を把握する材料になります。

初期費用は要件定義・開発・移行・教育に分けます

個別開発の見積は、要件定義、画面・UX、フロントエンド、管理画面、API・データ連携、認証・権限、鍵・入退室、テスト、データ移行、教育、プロジェクト管理に分けて提示してもらいます。各項目をまとめて「システム一式」とされると、機能を削ったときの減額や追加時の増額が分かりません。特に連携と移行は、対象データの品質やAPI仕様で工数が変わるため、前提条件を確認します。

費用配分の目安として、要件定義は全体の10〜20%、UI・フロントエンドは15〜25%、管理画面・API・データ連携は30〜45%、テスト・移行・教育は15〜25%程度で説明されることがあります。これは一般的な内訳の目安で、実際は機能数と既存環境で変わります。スマートロックは機器代、ゲートウェイ、設置工事、通信費、交換費用が別になることがあるため、ソフトウェア費用と一体に見ないようにします。

月額費用と3年間の総保有コストを比較します

月額料金には、アカウント、物件数、予約件数、通知数、ストレージ、API、サポートのどれが含まれるかを確認します。初期費用が安くても、物件登録代行、SMS送信、スマートロックの通信、外部API利用、追加環境、データ出力が従量課金になることがあります。反対に、月額が高く見えても、保守、アップデート、問い合わせ、障害監視が含まれていれば、社内工数を抑えられる場合があります。

比較では、初期費用、36か月分の利用料、機器・工事、保守、外部サービス、社内運用工数、データ移行、解約・再契約を合計します。例えば少額SaaSと個別開発を比べる場合、ソフトウェアだけでなく、電話対応が何時間減るか、予約実施率がどう変わるか、管理担当者を何人必要とするかを仮置きします。GA technologiesの「不動産業界のDX推進状況調査2025」では、回答者1,286名のうちDXの効果を実感した割合が76.2%、年間予算100万円以下が69.6%でした(出典: 株式会社GA technologies「不動産業界のDX推進状況調査2025」、2025年)。予算規模に合わせて小さく始める選択肢も重要です。

委託先の選び方と見積比較で見るべきポイント

内見予約システムの委託先と見積を比較する会議

委託先は、価格の低い順ではなく、自社の業態と運用に適した順で評価します。賃貸仲介会社間の受付が中心なら、不動産業務に特化したサービスの実績が重要です。独自の物件管理や売買・賃貸の統合が目的なら、業務設計とデータ連携まで支援できる開発会社が候補になります。無人内見を重視するなら、スマートロック、認証、入退室、緊急対応まで確認します。

不動産業務の実績は機能名ではなく運用で確認します

「内見予約の実績があります」という説明だけでなく、どの利用者が、どの物件を、どの権限で予約し、鍵情報をいつ見て、内見後に何を記録したかを確認します。イタンジの内見予約くん、アットホームのスマート案内予約、日本情報クリエイトの不動産業務支援サービスなど、公開情報から内見予約や不動産業務の連携を確認できるサービスがあります。候補に挙げる際は、最新の提供範囲、料金、導入条件を公式窓口で再確認します。

事例インタビューでは、導入前の電話件数、予約確定までの時間、内見実施率、キャンセル率、利用者数、運用担当者数を聞きます。イタンジの公式発表では、三菱地所ハウスネットへの内見予約くんなどの導入について、24時間365日受付、予約重複防止、宅建業許可のない業者のチェックなどが説明されています。事例の数値を自社の成果として約束されたものと受け取らず、同じ条件で再現できるかを確認することが大切です。

見積書は同じ前提にそろえて比較します

複数社から見積を取るときは、同じRFP、物件数、月間予約数、利用者数、連携対象、導入時期を渡します。見積書では、必須機能とオプション、初期設定、データ移行、教育、テスト、インフラ、機器、工事、保守、追加改修を分けてもらいます。安い見積に機能やテストが含まれていないだけの場合もあるため、金額の差ではなく、含まれる作業の差を比較します。

特に確認したいのは、予約枠の同時実行制御、通知の再送、権限設定、操作履歴、APIのエラー処理、スマートロックの失敗時対応、データバックアップ、障害監視です。デモでは正常系だけでなく、キャンセル、募集停止、権限変更、鍵の失効、メール不達を操作してみます。提案会社がこれらの質問に具体的な画面や設計で答えられるかどうかが、価格以上に重要な選定材料になります。

セキュリティと導入後の支援体制を確認します

内見予約は、予約者の個人情報と鍵情報が同じ業務フローに入るため、情報を見せる相手とタイミングが重要です。候補会社には、管理者・元付会社・客付会社・案内担当者の権限分離、二要素認証の選択肢、通信・保存時の暗号化、ログ監視、脆弱性対応、バックアップ、再委託先の管理について質問します。個人情報保護委員会のガイドラインに沿った安全管理措置を説明できるか、資料だけでなく運用方法まで確認します。

国土交通省は、不動産分野のDXとしてIT重説や書面の電子化、デジタル技術の導入支援を進めています。内見予約システムに申込や電子契約を連携する場合も、予約システムが契約手続きそのものを代替するわけではありません。相手方の承諾、説明記録、電子交付の要件などは別途管理する必要があるため、制度対応をベンダー任せにせず、自社の宅建業務担当と確認します。

導入後の支援では、マニュアルの有無だけでなく、物件登録、仲介会社のアカウント発行、利用者教育、問い合わせの一次窓口、繁忙期の増員、障害時の連絡先を確認します。現場の利用率が上がらなければ、システムを導入しても電話やExcelが残ります。月次でKPIを確認し、利用されない機能を減らしながら、予約確定時間や内見実施率を改善できるパートナーを選びます。

よくある質問

内見予約システムの発注に関するよくある質問

ここでは、不動産業向け内見予約システムの発注前に寄せられやすい質問へ回答します。費用だけでなく、導入範囲、期間、社内体制、既存システムとの関係を踏まえて判断します。

内見予約システムの開発費用は最低いくらですか?

予約受付だけなら、初期費用0円から月額1,500円程度で始められる公開サービスもあります。物件管理、仲介会社権限、鍵情報、既存システム連携を含む個別開発では、要件によって200万〜500万円程度から検討することになります。最小価格を探すより、対象物件と必要機能を絞ったPoCの見積を取り、導入後の月額・運用費まで含めて判断することが大切です。

発注から稼働まで何か月かかりますか?

SaaSの初期設定なら即日から2か月程度、不動産特化クラウドなら2週間から3か月程度、個別開発なら小規模で2〜5か月、中規模で4〜8か月程度が目安です。スマートロック設置、物件マスタ移行、複数システムのAPI連携、社内承認があると長くなります。要件定義とデータ移行を先に進め、PoC、限定公開、全社展開の段階に分けると、効果を早く確認できます。

RFPを作る社内ノウハウがなくても外注できますか?

外注できます。現行の電話・メール・Excelの流れ、困っている例外、対象物件数、利用者、導入したい時期を整理すれば、候補会社と要件定義から進められます。ただし、自社が変えたくない業務ルールと、開発会社へ相談したい部分は分けてください。最初の要件整理だけを準委任で依頼し、その成果物をもとに複数社へ開発見積を依頼する進め方も有効です。

スマートロック連携は最初から入れるべきですか?

無人内見が主要な目的なら、早い段階で連携方式と安全要件を検討します。有人案内が中心で、まず電話確認を減らしたい場合は、予約・権限・通知を先に導入し、スマートロックを次の段階にする方法もあります。後から追加できるように予約ID、利用者ID、物件ID、解錠権限の有効期限を設計し、キャンセルや募集停止時に解錠できないことを受入テストで確認します。

まとめ

不動産業向け内見予約システムの発注を成功させるまとめ

不動産業向け内見予約システムの発注では、予約フォームの価格だけを比較してはいけません。誰が予約するか、物件と時間枠をどう管理するか、元付会社・客付会社の権限をどう分けるか、鍵情報をいつ表示するか、予約後にどのシステムへつなぐかを整理してから、SaaS、パッケージ、ローコード、個別開発を選びます。

費用は、公開サービスの初期0円・月額1,500円程度から、スマートロックを含む初期約53万円・月額約1万3,600円の例、業務要件と連携範囲を含む個別開発の200万〜2,000万円以上まで幅があります。金額は必ずレンジで捉え、3年間の総保有コスト、社内運用工数、データ移行、保守、解約時の返却を含めて比較します。

まずは現場の業務フローと例外を整理し、必須要件を絞ったRFPを作ります。そのうえで、PoCや限定導入を行い、予約確定時間、電話件数、重複予約、内見実施率、キャンセル率を確認します。委託先には、不動産業務の実績だけでなく、権限・鍵・個人情報・API・障害対応・導入後支援を質問し、自社の現場で定着できるかを見極めることが大切です。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。