人材紹介業向けシステム開発の完全ガイド

人材紹介業向けシステムは、求人開拓から請求までの業務を一つのデータでつなぐ基盤です。業務の全体像、標準機能と独自要件、導入工程の順に押さえると、導入の判断がしやすくなります。

役割と種類、開発・導入の進め方、費用相場、開発会社の選び方、法令とAI活用の順に、発注側が押さえる点を紹介します。

▼関連記事一覧
・人材紹介業向けシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・人材紹介業向けシステム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・人材紹介業向けシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・人材紹介業向けシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

人材紹介業向けシステムの全体像

CRM/ATSを中心に、求人企業・求人案件、求職者、応募・推薦、選考・成約・請求がつながる図。
求人側と求職者側の情報が、選考から請求まで同じ基盤で結びつきます。

人材紹介業向けシステムは、求人企業側のRA業務と求職者側のCA業務を、共通データでつなぐCRM/ATSです。

求人開拓から求人票作成と求職者登録を経て、面談とマッチングに進みます。その後は推薦と面接調整を行い、内定から入社までつなぎます。手数料請求と返金管理も、この一続きの流れで扱います。

Excelやメール、求人媒体などに情報が分散すると、二重登録や求人の更新漏れが起きやすくなります。

面談後のフォロー漏れや請求時の確認も起きがちです。

求人・求職者・選考の情報をつなぐ役割

中心にあるのは求人と求職者のデータで、応募・推薦や選考、成約・請求の記録がそこに結びつきます。

案件には、採用要件や勤務地、年収、雇用条件を持たせます。紹介手数料と募集状況も持たせます。

求職者には職務経歴や資格、希望条件を結びつけます。面談記録や連絡履歴、個人情報の利用同意も、同じ求職者に紐づけます。

推薦や選考には、打診から入社・終了までの状態を持たせます。

  • 求人・求職者:条件と希望、同意、連絡履歴を関連づけます。
  • 推薦・選考:状態の変化を残し、どこで止まっているかを追えるようにします。
  • 成約・請求:手数料や返金の管理へつなげます。

この構造なら、求人担当と求職者担当が別でも同じ履歴を見て対応できます。

担当者が退職や異動をしても、連絡内容や判断理由を引き継げます。一方で、求人や求職者、面接日程、請求が別々の表計算や個人カレンダーに残ると、導入後も二重入力が減りにくくなります。

CRM・ATS・派遣管理システムとの違い

システムを比べるときは、まず管理対象と業務の範囲を見ます。

  • CRM・ATS:CRMは顧客と営業活動、ATSは採用企業の応募者が対象です。
  • 人材紹介業向け:求人企業と求職者を管理し、推薦や面接調整、入社後の手数料や返金規定にも対応します。
  • 派遣管理:スタッフの就業、契約、勤怠、給与、請求を中心に扱います。
  • 紹介と派遣の兼業:共通マスタを使いながら、状態、帳票、請求ルールを分けられるか確認します。
  • 比較方法:名称が似ていても対象業務は異なるため、製品名より業務フローで比べます。

RAとCAの業務を同じ基盤で管理する意味

RAとCAが記録を共有すると、条件変更や次の対応をチームで確認できます。

  • RA:求人の獲得や企業との条件確認、求人票の更新、選考状況の確認を担当します。
  • CA:求職者との面談や希望の把握、求人の提案、推薦、面接前後のフォローを担います。
  • 情報共有:記録が分かれていると、求人条件や求職者の希望変更が提案に反映されないことがあります。
  • 紹介品質:条件変更と説明の内容を残しておくと、チームで紹介の質を振り返れます。
  • 次の対応:判断した人と時期、次に対応する人と内容を記録します。

人材紹介業向けシステムの種類と主要機能

方式は、SaaSや業界パッケージ、クラウドと個別開発を組み合わせるハイブリッド、独自要件を作るスクラッチに分けられます。

判断の基準になるのは、機能の多さよりも、求人・求職者・選考・請求のつながりを切れ目なく扱えるかです。

SaaS・業界パッケージが向く場合

SaaSや業界パッケージは、求人・求職者・選考・売上などの標準機能を短期間で使い始めやすい方式です。また、小規模事業者や一拠点で試す事業者は、初期投資を抑えて効果を検証しやすくなります。

  • 保守:サーバー運用や脆弱性への対応を、自社で抱え込みにくくなります。
  • 制度変更:法改正への対応や帳票の変更を、サービス側が担うことがあります。
  • 標準化:Fit to Standardで業務を見直し、独自の変更を抑えます。

追加費用は、利用人数や拠点数、権限、API、帳票などの範囲で変わります。データ移行やカスタム項目も、費用に影響します。

差別化につながらない画面や帳票を過度に変えないと、更新や乗り換えのしやすさを保てます。

ハイブリッド・スクラッチが向く場合

標準機能では事業の強みを表せないときは、独自業務を残す範囲と、個別開発の運用負担を比べます。

  • ハイブリッド:基幹はSaaSで運用し、自社サイトや求人媒体、会計、BI、メッセージングとはAPIでつなぎます。
  • 追加開発:集客導線や分析だけを作るため、全面的なスクラッチに比べて費用とリスクを抑えられます。
  • 連携条件:同期の遅延やAPIの上限、障害時の再送、データの正本、解約時の返却範囲を決めておきます。
  • スクラッチ:独自の手数料・返金規定や、複数拠点の複雑な権限、深い基幹連携が必要なときに検討します。
  • 長期の負担:要件定義やテスト、保守、法改正、脆弱性対応、引き継ぎを、自社と開発会社が担います。

業務の一連の流れで見る必須機能

企業・求人管理では、企業情報や担当者、求人票、採用要件を管理します。募集期限や紹介手数料、公開状態、更新履歴も管理します。

求職者情報には、基本属性や職務経歴書、資格、希望条件を含めます。加えて、面談や同意、連絡履歴、退会や削除の依頼も含めます。

  • 閲覧・変更履歴:ファイルの中身だけでなく、誰が操作したかを追えるようにします。
  • 検索・選考:条件での検索に加え、期限と担当者の管理、リマインドができるかを確かめます。
  • 成約・請求:分割請求や返金規定、売上予測を扱えるかを確認します。

検索軸には、職種や経験、資格、年収などがあります。また、勤務地や通勤条件、言語、雇用形態も含まれます。推薦から入社までの期限と担当者も、管理対象です。

求人管理簿や求職管理簿、手数料管理簿、職業紹介事業報告書に出力できるかも確認します。連携候補には、求人媒体や自社サイト、会計・請求、カレンダーがあります。Web会議やメール、SMS、チャット、BIも候補です。

連携先へ渡す個人情報や、同期失敗の検知、解約時のデータ回収まで設計します。特に、連携の数が増えるほど、こうした管理も欠かせなくなります。

ポイント

候補を絞る基準は、求人・求職者・選考・請求のつながりを切れ目なく扱えるかです。標準化を優先するならSaaSや業界パッケージ、独自業務を残すならハイブリッドかスクラッチを検討します。

人材紹介業向けシステムの開発・導入の進め方

現状分析と要件定義から、設計・開発・データ移行を経て、テスト・パイロット・全社展開へ進む3段階の図。
要件の整理から小規模な試行へ進む段取りを確認できます。

導入の前に、現在の業務と目指す成果を明らかにしておきます。

現場の例外処理を見ないまま画面を作ると、Excelや個人メモが残り、新たな入力先になるおそれがあります。

プロジェクトには、RAやCAに加えて、管理部門と経営の代表者を参加させます。

プロジェクトの進め方は、人材紹介業向けシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順もご覧ください。

現状分析と要件定義で決める内容

業務フローは、求人開拓から返金までを一続きで描きます。途中では、求人票作成と求職者登録、面談と提案、推薦と面接調整を経て、内定と入社に進み、請求から返金へとつながります。そのうえで、工程ごとに入力者や承認者、引き継ぐ情報、例外時の担当者を整理します。

担当者へのヒアリングに加えて、実際の一日の作業と過去の失敗例も確認します。また、要件は次のとおり整理します。

  • MUST:法定帳票、個人情報、選考の進捗、請求、権限、監査ログ。
  • WANT:AI候補抽出や地図検索、高度な分析、求職者マイページは、あると望ましい要件です。
  • 規模・日程:件数やユーザー数、拠点数、ファイル形式、連携先、稼働希望日を示します。

要件が曖昧なまま見積もりを頼むと、各社の前提が食い違い、金額を比べられません。だからこそ、MUSTとWANTを分けて伝えます。

設計・開発・データ移行の分け方

求人や求職者、選考、請求などのデータモデルに加えて、状態遷移や権限、通知、帳票を設計します。そのうえで、実際の求人票や匿名化した職務経歴書で試作品を確認し、必須項目や入力の負担を早めに見つけます。

AIやOCRを使う場合は、読み取り結果を人が確認・修正できる画面を設けます。また、データ移行では、抽出から件数照合までの順序を決めます。

  1. 既存データを抽出します。
  2. 重複を統合し、不要なデータを取り除きます。
  3. 項目を変換して取り込み、件数を照合して確かめます。

同じ人が異なる名前やメールで登録されていると、機械的に統合したときに履歴が混ざるおそれがあります。そのため、統合の判断ルールと確認者を決めておきます。

本番の前に、少量のデータで移行のリハーサルを行い、現場が検索や閲覧、修正をできるかを確かめます。

テスト・パイロット・全社展開

テストでは、機能が動くかだけでなく、現場のシナリオどおりに業務を完了できるかを確かめます。求人登録から請求まで、一連の流れを通して確認します。

  1. 求人条件の変更や担当者の変更、選考辞退、入社延期、返金を、実際に試します。
  2. 退会や削除の依頼、連携障害への対応も確かめます。
  3. 権限外の閲覧を防ぐこと、操作ログ、帳票と元データの一致を、受入条件とします。

最初は、一拠点や一チーム、または求人・求職者管理など一業務に絞ったパイロットが適しています。導入前後では、入力率や初回対応時間、候補確認時間を比べます。さらに、推薦数や面接化率、選考滞留、請求確認時間も比べます。

結果をもとに項目や通知を改善してから展開すると、現場の反発を抑えて定着させやすくなります。

ポイント

要件はMUSTとWANTに分け、法定帳票や個人情報などを先に決めます。曖昧なまま見積もりを頼むと各社の前提がそろわず、比較できなくなります。

人材紹介業向けシステムの費用相場とコストの内訳

MVP、標準基盤、大規模要件の3カードに、個別開発の費用と期間の目安を並べた図。
対象範囲が広がるほど、見積もりの費用帯と期間も大きくなります。

費用は、方式や利用人数、拠点数などで変わります。連携数や移行量、帳票の独自性、サポート範囲も、費用を左右する要素です。

公開料金の実例と、要件から推定する個別開発費では性質が異なるため、同じ表に混ぜずに比べます。

次の数字は、2026年8月時点の公開価格と、類似する業務システムの工数から整理した目安です。

費用相場の詳細は、人材紹介業向けシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段についてもご覧ください。

▶ 詳細はこちら:人材紹介業向けシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

SaaS・パッケージの初期費用と月額費用

公開料金では、初期費用が無料から30万円程度、月額は1ユーザーあたり数千円から2万円程度です。

初期3万円、6名以上は月額2,980円、1〜5名は月額4,980円の料金があります(出典: 人材紹介業向けシステムの公式料金ページ、2026年8月確認)。

別の人材ビジネス向けクラウドには、1ユーザー月額22,000円(税込)の例もあります(出典: 人材ビジネス管理システムの公式料金ページ、2026年8月確認)。

小規模事業者が既製クラウドを使う場合は、初期0万〜30万円程度、月額2万〜20万円程度を比較の出発点にできます。

料金を比べる際は、追加オプションと利用期間も含めて見積もります。

  • 追加費用:媒体連携、SMS、導入支援、移行、個別帳票、人数の追加などで、増額する場合があります。
  • 総額:利用人数とオプションを含めた3年間の費用で比べます。

個別開発・大規模連携の費用相場

MVPの範囲にとどめるか、媒体・請求や大規模な連携を含めるかで、費用と開発期間の見積もりが変わります。

  • MVP(Minimum Viable Product):求人・求職者・選考・基本検索・CSV出力に絞ると、800万〜2,000万円程度、3〜6か月程度です。
  • 標準基盤:媒体や自社サイト、請求、法定帳票、KPI、移行を含めると、2,000万〜5,000万円程度、6〜12か月程度になる場合があります。
  • 大規模要件:複数拠点や複雑な権限、AI・OCR、基幹連携、監査・BCPを含むと、5,000万円以上、12か月以上もあり得ます。
  • 推定の根拠:人材紹介業の公的な平均ではなく、類似するCRMや人事労務系の工数による推定です。
  • 費用構成:設計10〜30%、開発40〜60%、テスト10〜20%、残りは移行・教育・運用設計です。

個別開発の費用は単価や契約、品質要件で変わります。そのため、成果物と検収条件も確認します。

移行・連携・保守を含む総額

初期費用だけでなく、発生する運用費も含めて見積もります。たとえば、個別開発では、保守費を初期費用の年5〜15%程度とする見積もりもあります(出典: 人事労務系業務システムの費用Q&A、2026年確認)。

運用費は契約内容や追加利用で変わるため、次の項目も見積もりに含めます。

  • 導入・運用:名寄せや移行、API、クラウド、メールとSMSの従量課金を含めます。
  • 保守と支援:診断や教育、問い合わせ、追加開発の費用を確かめます。
  • 追加利用:人数や店舗の追加、データ出力、API、解約時の返却費用を確かめます。
  • 比較期間:初年度だけでなく、3年分の総保有コストを比べます。
  • 見積書:初期、月額、従量、移行、保守、教育、追加開発を分けてもらいます。

保守料が月額か年額か、対応時間や障害対応の範囲も確かめます。

ポイント

費用は方式や利用人数などで変わるため、見積もりは初期費用だけでなく、保守や追加利用を含めた3年間の総額で比べます。

開発会社・ベンダーやサービスの選び方

見るべきは知名度よりも、人材紹介業への理解と導入後の運用設計力です。SaaSでも個別開発でも、求人・求職者・推薦・請求・個人情報を扱う業務シナリオを、わかりやすく説明できるかで比べます。

人材紹介業の実績と業務適合性

デモでは、自社の求人票や匿名化した求職者データ、実際の選考状態を使い、求人登録から請求までを操作してもらいます。

  • 業務適合:企業と求職者を、それぞれ別に扱えるかを見ます。
  • 担当・履歴:RAとCAの権限変更や、推薦後の履歴を管理できるかを確かめます。
  • 成約管理:手数料や返金まで追えるかを確認します。

事例を見るときは、数値のほかに、導入前の課題やデータ件数、移行期間を確認します。教育や利用率、導入後の課題も、あわせて見ます。

削減時間や成約率は条件によって変わります。そのため、自社の人数や求人構成、業務量で再現性を確かめます。

同じRFPによる2〜3社の比較

比較用のRFPには、現行フローやユーザー数、拠点数、データ件数を書きます。必須項目や状態、権限などの条件に加えて、帳票や連携先、移行対象も記載します。さらに、希望日やサポート、予算も記載します。

MUSTとWANTを分け、回答欄を標準機能や設定、追加開発、対象外に分けておくと、提案の違いが見えます。見積もりでは、要件定義や管理者、納品物、受入条件も確認します。

  • 契約・変更:仕様変更と遅延時の責任を確認します。
  • 保守:対応時間と、障害時の連絡方法を確かめます。
  • 費用範囲:安い提案でも、対象外になる作業を把握します。

請負か準委任かによって、仕様変更や工数のリスク分担が変わります。そのため、金額だけでなく契約条件も比べます。

データ管理・契約・解約条件

契約前には、情報管理と解約後のデータの扱いを、次の観点で確かめます。

  • 安全管理:保管場所やバックアップ、復旧目標、権限、監査ログ、暗号化を確かめます。
  • 委託・障害:脆弱性への対応や再委託先、障害の通知、サービス水準を確かめます。
  • アカウント:退職者の無効化時期と、共有アカウントの禁止を決めます。
  • 返却・削除:CSVやAPIに添付ファイルが含まれるか、削除の時期と移行支援費を確かめます。

職務経歴や連絡履歴は、事業の重要情報であると同時に個人情報です。

導入時に出力できたとしても、解約時に意味のある形で戻せるとは限りません。

だからこそ、乗り換えを妨げる契約になっていないか、法務と情報システム、現場で確認します。

開発会社の選び方は、人材紹介業向けシステム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方もご覧ください。

ポイント

開発会社は、知名度より人材紹介業への理解と運用設計力で選びます。同じRFPで2〜3社の回答を並べると、提案の違いが見えてきます。

法令・セキュリティ・AI活用で確認すべきこと

求職者の情報を適切に扱い、求人企業と求職者の意思決定を支える運用が必要です。そのために、法令や指針、システム要件、社内規程と担当者教育を、一つの管理方法として整えます。

厚生労働省は職業紹介を「求人と求職の申込みを受け、雇用関係の成立をあっせんすること」と整理しています(出典: 厚生労働省「募集情報等提供と職業紹介の区分」、2026年確認)。

情報提供だけのサービスでも、事業者が情報を選別したり連絡を仲介したりすると、職業紹介に該当し得ます。そのため、該当する事業の範囲は、必要に応じて労働局へ確認します。

個人情報は、利用目的を具体的に示し、職業紹介に必要な範囲で収集・保管・使用します。

  • 本人からの依頼:開示や訂正、利用停止、削除、第三者提供の停止に備えておきます。
  • 記録:同意の履歴や提供先、対応期限、処理結果を残しておきます。
  • 許可条件:制度の変更を踏まえ、運用と記録を整えます。

なお、2025年1月から、転職勧奨の禁止やお祝い金等の提供禁止に関する許可条件が追加されています(出典: 労働局「2025年1月1日からの職業紹介事業の許可条件」、2025年)。

業務ルールとシステム上の記録を、この許可条件に合わせて確認します。

最小権限・ログ・バックアップの運用

アクセス制御と復旧体制は、現場の業務に合わせて設計します。

  • アクセス保護:役割ごとの権限やMFA、通信と保存時の暗号化を整えます。
  • 運用・復旧:操作ログや世代バックアップ、復旧テスト、脆弱性診断、端末管理を進めます。
  • 閲覧範囲:CAが全求人企業の情報を、RAが全求職者の情報を見る必要があるかを、業務ごとに分けて考えます。
  • 業務手順:退職者の権限の取り消しや、保存・同意・削除の期限、目的外利用、第三者提供の承認、事故時の連絡先を定めます。

特に、CSV出力やファイルのダウンロードは、記録と制御が必要です。

規程だけでは、期限がシステムに表示されず運用できない場合があります。そのため、画面と手順書に反映します。

認証規格の取得は参考材料になりますが、取得しただけで自社の運用が安全になるとは限りません。

AIの使い方は候補抽出と要約の補助

2025年には、AIによる求人・求職者マッチングの実運用事例が公表されています。

たとえば、ある検証ではAI推薦の約6割が人と同程度でしたが、特定のデータと運用条件での結果です(出典: 人材サービス向けAIマッチングの公式発表、2025年)。

AI推薦の数字は、自社の成約率にそのまま当てはめず、候補の網羅性や担当者の提案準備を補助するものとして捉えます。

  • 補助用途:OCR、求人票と経歴の要約、候補抽出、面談記録の整理、リマインドに使います。
  • 判断記録:候補や判定理由、参照したデータ、担当者による修正を残しておきます。
  • 最終判断:CAが確認し、AIスコアだけで紹介の可否は決めません。

AIだけで決めると、誤りや偏りを見つけにくく、求職者への説明も難しくなります。

導入で起こりやすい失敗と対策

入力の定着と移行後の手戻りを抑えるために、次の対策を運用設計に組み込みます。

  • 入力目的:「情報の一元化」だけを目的にすると、項目が増え、入力率が下がって検索やKPIの信頼性も落ちます。
  • 入力責任:求人登録から請求まで、業務ごとに責任者、必須項目、入力時期を決めます。
  • データ再利用:一度入力した情報を、複数の業務で使えるようにします。
  • 移行と定着:移行できないデータや用語の違い、担当変更や辞退への対応不足が本番後に見つかると、修正費が膨らみます。
  • 事前準備:匿名化したデータで試し、現場の代表者を教育担当に充てます。稼働後の改善体制も計画します。

ポイント

職業紹介に関わる個人情報の扱いは、業務要件として最初から組み込みます。AIは候補抽出と要約の補助にとどめ、最終判断は担当者が行います。

人材紹介業向けシステムのよくある質問

導入前によく寄せられる質問に答えます。料金のほかに、自社の業務やデータ、個人情報、導入体制も確かめておくとよいでしょう。

人材紹介業向けシステムはいつ導入すべきですか?

登録が増え、担当者の記憶や個人ファイルだけでは引き継げないと感じた時期が目安です。また、媒体や連絡手段が増えて、選考漏れや条件の伝達漏れ、請求確認の負担が大きくなった場合も、導入効果を試算します。

一方で、創業時から入力ルールを定着させるという進め方もあります。その場合は、将来の人数や拠点、事業の拡張を見据えて選びます。

SaaSとスクラッチ開発はどちらがよいですか?

SaaSとスクラッチ開発は、標準業務を早く整えたいか、独自の業務を競争力にしたいかで選び方が分かれます。

  • 標準業務を早く整える場合:SaaSや業界パッケージが合っています。
  • 独自の手数料や複雑な権限、深い基幹連携を競争力にしたい場合:個別開発が候補になります。
  • 基幹はSaaS、差別化の領域だけ個別開発:ハイブリッドという選択肢もあります。
  • 方式を決める前の比較:MUSTとWANT、3年間の総額、保守体制を比べておきます。

Excelや既存CRMのデータは移行できますか?

移行できる場合は多いものの、難易度は項目名や形式、添付ファイルなどで変わります。

重複や欠損、利用目的も、移行前に把握しておきます。そのうえで、関連を保ったまま求人や企業、求職者、選考を移せるかを確認します。

本番前には少量のデータでリハーサルを行い、件数や検索結果を照合します。履歴や権限、添付ファイルも、同じように照らし合わせます。

AIマッチングだけで求職者を評価してもよいですか?

AIは、候補の抽出や求人票と経歴の比較・要約、リマインドの補助にとどめます。推薦や紹介の可否は、担当者が最終的に判断します。

また、参照情報や推薦理由、担当者の修正、求職者への説明を記録します。誤りや偏りが見つかった場合に、モデルや条件を見直す責任者も決めます。

まとめ

人材紹介業向けシステムは、求人・企業・求職者・選考・成約・請求をつなぎ、RAとCAが同じ事実を見て行動する基盤です。

選定では、業務フローや移行、法定帳票、個人情報を確かめるほか、API、権限、AIの判断を人が確かめる体制、解約時の返却まで見ます。機能数や月額だけで決めないことが大切です。

導入判断で押さえる四つのポイント

導入方式や費用、現場への定着、AIによる判断支援は、まとめて計画します。

  1. 標準化する業務と、独自性を残す業務を切り分けます。
  2. 移行・連携・保守・教育を含む3年間の総額で比べます。
  3. 要件定義とテストを進め、パイロットや教育、KPI確認まで計画します。
  4. AIの候補提示と、人の説明・判断を分けて設計します。

最初に作るべき資料と次のアクション

まず、業務フローやデータ項目、利用者と権限を一枚の資料にまとめます。さらに、連携先や帳票、課題、導入後のKPIも加えます。そのうえで、2〜3社へ同じ条件で相談します。

各社のデモや見積もり、移行計画を比べたうえで、セキュリティ回答や契約・解約条件も確認します。まずは小さく始めて利用状況を確かめ、効果が確認できた範囲から広げます。そうすれば、長く使えるシステムにつながります。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。