採用管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

採用管理システムを外注するときは、人事が決める選考ルールと、開発会社が作る機能を分けて依頼します。応募者の情報、面接官の権限、連絡の責任を決めると、契約と検収の判断がしやすくなります。

依頼資料の作成から協議、契約、移行、運用の引き継ぎまでを順に進めます。採用代行の委託とは分けて整理します。

外注前に人事が決める事項

外注前に整理する選考の流れ、決定者、応募情報の利用範囲、一つの採用区分を4枚のカードで示した図。
依頼前の整理項目を同じ段に並べています。

選考ルールの確定事項と相談事項

開発会社は画面や処理を提案できますが、どの評価で合否を判断するかは採用側が決める必要があります。そのため、職種ごとの選考の流れを並べ、変えられない条件を先に示しておきます。

依頼の窓口を一人置くだけでは、合否や面接の判断がどこで止まるのかが見えません。そこで、依頼の窓口だけでなく、役割ごとに決定者を割り当てます。

  • 人事責任者:選考状態の管理、合否の承認、候補者への連絡方針。
  • 部門責任者:面接官の役割、評価票の項目、確認期限。
  • 情報管理担当:権限、保存先、連携サービス、保守条件の確認。

複数部門の要望をすべて同時に実装すると、初期の範囲が広がります。そのため、まず一つの採用区分で必要な操作を定め、共通化する部分と後から追加する部分を分けておきます。

応募情報の利用範囲

採用選考、面接連絡、将来の求人案内では、利用目的の説明がそれぞれ異なります。そのため、応募時に示している案内と、保存する情報や共有先を突き合わせておきます。

厚生労働省の求職者情報の取扱いに関する資料は、利用目的を明示することと、必要な範囲で取り扱うことを説明しています。さらに、グループ企業への共有も、実際の運用を明らかにして検討します。

ポイント

選考ルールは採用側が決め、画面や処理は開発会社と詰めます。応募情報の利用目的と決定者が決まらない項目は、契約の前に確定させておきます。

開発会社へ渡す資料

開発会社へ渡す業務図、選考資料、データ資料、環境資料をチェックカードで示した図。
業務の流れとデータ例、利用環境をそろえる構成です。

応募から選考終了までの業務図と資料

機能名だけを渡しても、見積もりの範囲は伝わりません。そこで、応募受付から担当割当、書類選考までと、面接調整から評価、内定・辞退までを、一つの業務図にして渡します。

業務図だけでは現場の細かな扱いが伝わりにくいため、実務を説明する資料も提案依頼に付けます。

  • 選考資料:職種別フロー、評価票、承認と連絡のタイミング。
  • データ資料:架空の応募一覧、添付書類の形式、重複の具体例。
  • 環境資料:媒体、カレンダー、メール、既存人事システムの情報。

たとえば、同じ候補者が二つの職種へ応募する例を示せば、候補者と応募履歴の作り方を相談できます。同じ氏名でも別人である例も用意して、自動で一つにまとめてよいかを確かめます。

移行と運用を含めた見積もりの比較

見積もりは工程ごとに分けて出してもらいます。要件整理や開発、試験に加えて、データ移行、操作説明、保守も含めます。特に、既存の履歴書や評価を移す作業が対象に入っているかは、必ず確認しておきます。

連携先の仕様がまだ分からないものは、先に調査してから実装費を確定する方法も比べます。また、媒体への接続条件やカレンダーの権限が未確認のまま、連携できると約束していないかも見ておく必要があります。

ポイント

渡す資料は、応募から選考終了までの流れと、扱うデータの具体例をそろえるのが目安です。機能名だけでは、開発会社ごとに前提がずれやすくなります。

契約時に合意する条件

開発範囲と受入条件の対応

契約では、どの状態を完成とみなすかを具体的に決めておきます。「面接調整」の場合も、候補提示、確定、取消、再調整のどこまで含むかを明記します。

納品物と変更の手続きも、運用を続ける前提で確認しておきます。

  • 納品物:コード、設計書、試験結果、構築・操作手順の指定。
  • 変更管理:追加要望の見積もり方法、承認者、納期への反映。
  • 管理権限:クラウドやメールの名義、設定変更と移管の方法。

自社で設定変更できる選考フローと、開発会社の改修が必要な部分を分けておきます。そうすると、採用方針が変わるたびに費用がかかる範囲を把握でき、運用予算も組みやすくなります。

本番データの扱いと委託終了

障害時に、開発担当者が履歴書を閲覧できるかを決めておきます。閲覧が必要な場合は、誰が承認するかも決めます。さらに、再委託先の関与と、作業用コピーの削除方法を確認しておきます。

個人情報保護委員会の通則編を参照しながら、委託先の監督や安全管理のあり方を検討します。また、契約が終わるときには、データの返却と不要な複製の処理を確認できるようにしておきます。

ポイント

契約では完成の基準を受入条件として書き、納品物や変更の手続きも決めておきます。自社で変えられる範囲と改修が要る範囲を分けておくと、費用の見通しが立てやすくなります。

検収と切替の進め方

架空データでの選考試験から例外確認、新旧データ照合、切替期間中の応募対応へ進む流れ図。
試験後にデータを照合し、応募の受け口を整えます。

応募者への連絡を含むシナリオ試験

人事担当と面接官が、架空データを使って選考を一巡させます。評価が保存できるかに加えて、次の担当者が必要な情報を受け取れるかも確認します。

採用管理では、次のような例外も検収の対象に入れておきます。

  • 重複応募:別経路の応募を、元の履歴を失わず整理できるか。
  • 日程変更:面接の取消後に、旧予定の通知が送られないこと。
  • 権限変更:担当を外れた面接官が、書類を引き続き開けないこと。

試験で見つかった不具合と新しい要望は、依頼書と受入条件に照らして分けます。そのうえで、自動送信を伴う機能は、実在の候補者に連絡が届かない環境で試験します。

選考中の応募を切らさない移行

切替の前に、新旧データの件数と担当者を照合します。あわせて、次回面接の予定と未送信の連絡も確かめておきます。切替期間中に届く応募をどこで受けるか、重複した返信をどう防ぐかも決めておきます。

運用手順には、担当変更と退職者の権限停止への対応を含めます。連携不良やデータ削除の窓口も、あらかじめ決めておきます。さらに、保守を移す必要が出ても使い続けられるよう、設定と資料は発注側へ引き継いでおきます。

ポイント

検収では、重複応募や日程変更、権限変更の例外も含めて試験します。切替の前に新旧データを照合し、届く応募の受け方も決めておきます。

外注を具体的な依頼にまとめる要点

選考フローと担当者の条件を一つの資料にまとめ、データの利用と連携先も同じ資料に入れて、開発会社へ渡します。同じ条件を契約と検収に使い、人事の業務が止まらない切替まで依頼の範囲に含めてください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。