地域医療連携システムの開発会社は、情報共有の範囲、地域包括ケアへの対応、紹介予約など改善したい業務を比べて選びます。
現場で使い続けられるかどうかを基準に、6社の特徴と発注前の確認点を紹介します。
▼全体ガイドの記事
・地域医療連携システム開発の完全ガイド
・業務システム開発を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「業務システム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
・スクラッチシステム開発を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「スクラッチシステム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
地域医療連携システムのパートナー選びが重要な理由

地域医療連携システムは、患者さんの同意と利用目的に沿って、情報を受け渡す業務基盤です。関わるのは、病院や診療所、薬局のほか、訪問看護、介護施設、自治体です。電子カルテに画面を加える製品とは、捉え方が違います。
比較では、既存システムとの接続、運用事務局、利用率を高める支援を、機能の数と並べて確認します。
システムの成否を決める運用設計
診療情報を閲覧できても、紹介元が紙やFAXで送り、地域連携室が別台帳へ二重入力を続けていては、期待した効果は得られません。
地域連携の各工程で、どこまでシステム化するかを決める必要があります。そこで、まず現場の流れを工程ごとに確認します。
- 紹介受付:紹介状の受付
- 予約調整:予約枠の割り当て
- 返書回収:紹介元への返書の回収
- 退院連絡:退院先との連絡
- 同意説明:患者さんへの同意の説明
厚生労働省の令和7年度地域医療情報連携ネットワーク調査研究事業は、登録施設数や患者数に加えて、参加施設の実利用を示すアクティブ指標の重要性を示しています。そのため、導入後の利用率を評価項目に含められる会社を選びます。
発注前に決める連携範囲と責任分界
発注前に、どこまでを誰が受け持つかを決めておきます。
- 情報共有の責任分界:登録者と閲覧者、同意の取得と撤回の時期、緊急時の例外閲覧の承認者
- 接続するシステム:電子カルテ、PACS、医事会計、レセプトコンピュータ、薬局・介護システムとの接続方式
- 接続方式:API、SS-MIX2、FHIR、DICOM、ファイル連携のどれを使うかで費用と期間が変わります。
2026年4月1日から、電子カルテ情報共有サービスによる医療情報共有に関する法律の規定が施行されています。この規定を踏まえて、全国基盤で共有する情報と、地域ネットワークが担う紹介・退院調整・介護連携を、初期の要件定義で切り分けます。
株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援
株式会社riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援できる企業です。IT事業会社として社内DXを進めた経験を活かし、成果の創出とシステムの定着に取り組みます。
営業・顧客・生産・販売管理など、幅広い基幹システムの構築・導入実績があります。また、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制です。
特徴と強み
riplaは、現場業務と成果指標を先に整理し、そのあとに必要なシステムを設計します。製品を先に決める進め方とは違う点が特徴です。
地域医療連携では、紹介受付時間、予約確定までの期間、返書回収率、退院調整日数などをKPIに設定できます。そのうえで、入力項目を増やしすぎない画面設計を検討できます。
既存の電子カルテや業務システムを活かしつつ、段階的なクラウド導入と個別開発を組み合わせたい場合に、相談しやすい選択肢です。
得意領域・実績
営業・顧客・生産・販売管理などの基幹業務の経験は、地域連携室、医事課、病棟、訪問看護、介護事業所をまたぐ要件整理にも活かせます。
パッケージに限らず、業務ヒアリングから要件定義、開発、導入後の定着支援まで一貫して進めたい病院や自治体に向いています。
初回相談では、対象施設数、情報共有の範囲、患者同意の方法、現行システム一覧を伝えます。あわせて、標準機能と個別開発の境界を確認します。
日本電気株式会社(NEC)|全国型の診療情報共有と地域連携室支援
日本電気株式会社(NEC)は、地域医療連携サービス「ID-Link」と地域連携室支援システム「MegaOakアシスト」を展開しています。
ID-Linkは、患者さんの同意を前提に、複数の医療機関などで診療情報を共有する全国統一のクラウドサービスです。大規模病院を中心に、情報共有と地域連携室の業務改善をあわせて検討したい場合の候補になります。
特徴と強み
ID-Linkでは、カルテ情報、投薬記録、介護施設のケア記録、薬局の調剤情報などをカレンダー画面で確認できる機能が案内されています。また、退院調整のスケジュール確認や、医療・介護従事者間の情報共有にも使える設計です。
救急や災害など、患者さんから事前に同意を得るのが難しい場面を想定した機能も公開されています。ただし、参加者が多い地域ネットワークでは、アクセス権と監査ログの設計を初期に詰めます。
得意領域・実績
NECの公式情報では、ID-Linkの公開施設料金が病床規模に応じて示されています。月額は25,000円、60,000円、100,000円(いずれも税別)で、閲覧施設は無料とされています。導入時にはアプライアンス、回線、VPNなどが別途必要です(出典: 日本電気株式会社「ID-Link」、2026年確認)。
費用の見積もりには、既存のNEC製電子カルテや他社システムとの接続、地域側の運用事務局費も含めます。
富士通Japan株式会社|HumanBridgeによる広域の医療情報の接続
富士通Japan株式会社は、地域医療ネットワーク「HumanBridge EHRソリューション」を提供しています。病院や診療所を安全なネットワークでつなぎ、診療情報の集約と多職種間の共有を支援します。地域医療分野で長く展開されてきたサービスで、電子カルテを中心とする広域連携や、クラウド・データセンター運用を重視する医療圏で検討しやすい会社です。
特徴と強み
HumanBridgeは、電子カルテの診療情報に加えて、検査、画像、レポートなどを施設間で共有する用途に向きます。
富士通系電子カルテを使う施設が多い地域では、接続方式や運用サポートを確認しやすい点がメリットです。
異なるメーカーの電子カルテを使う施設がある場合は、データ項目、名寄せ、コード、画像の扱いを施設ごとに確認します。標準規格に基づく接続試験の範囲も、提案書に明記してもらいます。
得意領域・実績
富士通Japanが公開しているHumanBridgeのセキュリティ開示書では、障害時にも診療録などを見読可能にする冗長化対策が説明されています。
障害は紹介受付や救急対応に直結します。そのため、平常時の利便性に加えて、バックアップ、復旧目標、代替運用も評価できる体制が必要です。医療圏全体を長期で運用し、施設の追加や制度変更に対応したい場合の候補です。
株式会社ソフトウェア・サービス|CareMillで地域包括ケアを支援
株式会社ソフトウェア・サービスは、地域包括ケアIT基盤「CareMill」を開発・提供しています。
公式情報では、病院と施設の連携、地域住民を一つのIDで統合する基盤、疾患別パス、病院の地域連携業務を支援すると説明されています。
医療機関に加え、介護・福祉施設や薬局まで含めて地域の情報連携を設計したい場合に検討しやすい会社です。
特徴と強み
CareMillは、診療情報共有に加えて、多職種間の連絡や疾患別パスなど、地域包括ケアの業務も視野に入れています。
退院後に訪問看護や介護サービスへつなぐ際は、病院内の情報を外部へ広げるとともに、職種ごとに必要な項目だけを見せる権限設計が欠かせません。
患者さんの同意、閲覧範囲、保存期間、記録の真正性を、運用規程と設定の両面で確認します。
得意領域・実績
公式ページでは、SS-MIXデータを遠隔地へバックアップし、災害時に必要最低限の診療情報を参照する利用例が紹介されています。また、電子的な紹介状のやり取りも案内されています。
医療・介護・薬局間の連携と、災害時の情報継続性を同時に検討したい自治体や医師会に向いています。地域住民IDの運用主体や施設の参加と脱退を決めておきます。データ移行と災害時訓練も、計画に落とし込みます。
メディグル株式会社|紹介・逆紹介の業務改善に特化
メディグル株式会社は、地域医療連携に特化したクラウドサービスを提供しています。
紹介予約、医療機関検索、逆紹介推進、地域連携専用CRM、AI電話などを組み合わせ、患者さんの紹介から逆紹介までを支援します。
大規模な診療情報共有基盤よりも、地域連携室の営業・予約・紹介先選定を効率化したい病院に向く候補です。
特徴と強み
公式サイトは、かかりつけ医の受診促進、紹介患者の増加、逆紹介の推進という3つの患者の流れを整える考え方を示しています。
紹介元の医療機関情報や訪問記録をまとめて管理し、紹介・逆紹介の実績を分析できます。地域連携室の属人的なExcel管理を見直したい場合に適しています。
基本機能を無料から試せる案内もあり、スモールスタートしやすい点も特徴です。
得意領域・実績
2026年6月、岡山旭東病院の活用事例が公開されました。紹介・救急・入退院支援から逆紹介までを担う患者相談支援センターで、medigleCRMを使う状況が紹介されています。
導入前は訪問記録や連携医療機関情報がExcelやWordに分散していました(出典: メディグル株式会社「岡山旭東病院様の地域医療連携システム活用事例」、2026年)。
診療情報の深い共有や電子カルテ連携が必要なら、基盤型製品との役割分担を確認します。
トスメディカル株式会社|月額制で始める紹介予約
トスメディカル株式会社は、地域医療連携予約システム「e連携」を提供しています。
紹介予約の受付、予約票や診療情報提供書の作成、ファイルアップロード、FAX、電子カルテへのファイル送信などを、クラウド上でまとめます。
診療情報全体を段階的に広げ、まずは紹介予約から始めたい病院に適しています。
特徴と強み
e連携の公式料金は、3科目まで月額33,000円、10〜50科目は月額66,000円です。基本の初期費用は770,000円と案内されています。
ファイルアップロード、2要素認証、FAX、電子カルテ連動は、追加費用や別見積もりになる場合があります(出典: トスメディカル株式会社「e連携 料金」、2026年確認)。
公開価格から、紹介予約を始める際の予算の目安をつかめます。
得意領域・実績
2025年4月、神戸市立医療センター中央市民病院の導入事例が公開されています。地域医療支援病院の地域連携室で、かかりつけ医からの患者紹介をクラウド上で完結する診療予約システムとして導入されました。
また、最大3か月のお試し利用から始める導入フローも案内されています。一つの病院と紹介元施設で効果を検証し、予約枠や診療科を増やしたい場合に比較しやすい候補です。
地域医療連携システムの開発会社を選ぶポイント

知名度や企業規模のランキングとは別に、6社を「診療情報共有の基盤型」「地域包括ケア型」「地域連携室の業務改善型」「紹介予約のスモールスタート型」の違いから捉えると、自院の目的に合う会社を選べます。
提案依頼書では、6社に同じ業務範囲と参加施設数を提示します。初期費用と月額・年額費用は、同じ条件で比べてください。連携費、保守費、導入支援費も、見積もりの項目をそろえて確認します。
実績と経験を確認する方法
実績は、導入施設数に加えて、自院と似た規模・診療科・連携先を持つ事例で確認します。病院や診療所がどこまで参加しているかを尋ねます。薬局や訪問看護、介護施設も含まれるかを確認します。
導入後のアクティブ利用率、紹介受付時間、返書回収率などの数値も確認します。可能なら地域連携室の担当者に聞き、実際の紹介受付から予約確定、退院調整までを操作してもらいます。
技術力と専門性を評価する方法
標準規格への対応状況と、医療情報を安全に扱う方法を具体的に確認します。
- 標準規格:SS-MIX2、IHE、DICOM、FHIR、厚生労働省が定める規格への対応の範囲
- データ交換:項目ごとに、どの標準で受け渡せるか、標準外の項目をどう扱うかを聞きます。
- 患者名寄せ:同じ患者の情報が混ざるのを防ぐ方法
クラウド利用時は、厚生労働省の医療情報システム安全管理ガイドライン第7.0版を踏まえます。加えて、経済産業省の医療情報を取り扱うサービス事業者向けガイドライン第2.0版も確認します。
ログや暗号化の扱い、脆弱性への対応を確認します。委託先とデータの所在地も確かめます。
導入後の運用・プロジェクト管理体制の確認
導入後の運用では、利用が続く仕組みと、トラブルや契約終了への備えを、開発会社に確認します。
- 利用定着:操作研修と施設向けの説明会が欠かせません。問い合わせ窓口、アカウントの見直し、マスタ更新の体制も必要です。
- 障害時の対応:代替手順をあらかじめ決めておく必要があります。
- 担当者の確認:ベンダー側のプロジェクト責任者に加えて、医療業務、接続、セキュリティの各担当者も確認します。
- 進捗の共有:課題管理表と定例会の運用方法
- 契約終了時:データ返却形式と移行支援、保存期間と解約後の削除方法。発注時に決めておくと、ロックインを抑えられます。
地域医療連携システムに関するよくある質問
地域医療連携システムは、地域の規模や既存システムによって適切な構成が変わります。
開発会社に相談する前によく寄せられる疑問に、回答します。
地域医療連携システムの開発費用はいくらですか?
開発費用は、システムの対象範囲によって大きく変わります。
- 紹介予約だけのSaaS:初期50万〜300万円、月額3万〜30万円程度(企画段階の目安)
- パッケージ導入と電子カルテ連携:初期500万〜3,000万円
- 複数病院をまたぐ地域ネットワーク:3,000万〜2億円程度を想定する場合があります
いずれも公開価格や補助基準などから整理した推定です。
参加施設数、画像連携、データ移行の費用を分けて、相見積もりを取ります。24時間監視と運用事務局費も、別々の項目として比べます。
導入期間はどのくらいかかりますか?
導入期間は、システムの範囲によって差があります。
- 標準機能だけの紹介予約SaaS:1〜3か月
- パッケージと電子カルテ連携:3〜9か月
- 複数病院のネットワーク:9〜18か月
- 独自開発と複数接続を含む場合:12〜24か月以上
いずれも目安です。ただし、要件定義と同意設計、接続試験を省くと、本番稼働後に混乱を招きます。セキュリティ審査と現場研修も、省けない工程です。
導入期間は、開発会社の作業に加えて、院内の意思決定と参加施設の調整期間も含めて計画してください。
パッケージとスクラッチ開発はどちらが良いですか?
紹介予約や標準的な診療情報共有を早く始めるなら、医療向けパッケージやSaaSが適しています。
地域独自の退院調整や介護連携が必要なら、パッケージに個別開発を組み合わせる方法が現実的です。自治体サービスや複数システムの統合が必要な場合も、同じ方法が考えられます。
フルスクラッチは柔軟ですが、標準規格への対応、セキュリティ更新、運用人材を自分たちで担うことになります。さらに、将来のデータ移行まで責任を負います。そのため、差分が本当に必要かを検証してから選びます。
まとめ
目的と連携範囲によって、地域医療連携システムの開発会社は変わります。
riplaは業務整理から開発・定着支援まで一気通貫で相談できます。
NECと富士通Japanは診療情報共有を中心とした基盤型、ソフトウェア・サービスは医療・介護・福祉を含む地域包括ケア型です。
メディグルは紹介・逆紹介の業務改善型、トスメディカルは紹介予約を小さく始める型として比較できます。
6社へ同じ条件で提案を依頼
提案を依頼するまでの作業は、次の流れで進めます。
- 始める範囲:どこから始めるかを決めます。候補は、紹介予約、診療情報共有、退院支援、介護連携のいずれかです。
- RFPの作成:対象施設数、既存の電子カルテ、標準規格を整理し、患者同意の方法、必要なKPI、導入後支援も盛り込みます。
- 提案の比較:6社へ同じ条件で依頼し、見積金額と実利用率を高める計画を比べます。
- 契約終了時:データ返却も確認しておくと、長く使える仕組みにつながります。
最初の一歩は現場業務の洗い出し
候補会社へ相談する前に、紹介・逆紹介・退院調整の流れを書き出しておきます。その際は、紙やFAX、電話の手段と、Excelや電子カルテの記録を分けて書きます。
二重入力や情報の断絶がどこにあるかが分かれば、必要な機能と不要なカスタマイズを切り分けられます。地域の医療・介護関係者が無理なく使い続けられることを基準に、段階的な導入を検討するとよいでしょう。
▼全体ガイドの記事
・地域医療連携システム開発の完全ガイド
▼RFP作成前に読みたい無料ホワイトペーパー
・業務システム開発の完全ガイドブック
・スクラッチシステム開発の完全ガイドブック
・【2026年最新版】AI駆動開発の完全ガイドブック
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>


株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
