Rustのシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

Rustのシステム開発は、6つのフェーズを順に進めます。要件整理と設計・開発のあいだには、Rustを使う範囲を決める段階があります。稼働の前後には、性能や安全性を確かめる段階と、現場へ根づかせる段階が続きます。

  • 選定:Rustを使う範囲と開発方式を決める
  • テスト:機能、性能、安全性、業務シナリオを確かめる
  • 定着:KPIで現場への浸透を確かめる

各段階の終了条件を決め、Rustを使う範囲を検証しながら進めれば、効果を測りながら運用へ定着させられます。

Rustの全体像は、完全ガイドでもあわせて確認できます。

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・Rustのシステム開発の完全ガイド

Rustのシステム開発の全体像

Rustが向く高負荷処理、常時稼働、専門領域、段階導入の対象を示す図
処理特性に合わせて、適用する業務の範囲を選べます。

Rustのシステムには、業務アプリやWeb API、データ処理基盤があります。ネットワークサービスや組込み・エッジ向けのソフトウェアも含まれます。また、Rustの特徴は、ガベージコレクションに依存せず、所有権・借用・型システムによってメモリ安全性とスレッド安全性をコンパイル時に検査できる点です。

Rustが向くシステムと向かないシステムの見分け方

Rustを使う範囲は、発注側と開発会社が、処理の特性と既存の保守体制をもとに決めます。

  • 高負荷処理:大量データの変換や集計、低遅延の処理
  • 常時稼働:同時接続の多いWeb API、プロキシ、エージェント
  • 専門領域:機密データを扱うパーサー、IoT・エッジ向けソフト
  • 段階導入:受発注では、大量集計や外部データ取込から試す

処理量が少ない管理画面を短期間で作る場合や、社内にPHP・Java・Rubyの保守担当者が十分いる場合は、全面採用の合理性が弱いことがあります。

Rustでは、学習に時間がかかるほか、コンパイル時間や非同期処理の設計、crateの選定と更新にも工数がかかります。そこで、処理時間、メモリ使用量、障害件数、保守工数などの目標を先に決めておきます。

典型的な構成と既存システムとのつなぎ方

Rust製のAPIやバッチは、実行環境、データ基盤、運用基盤の3つに分けて構成を考えます。

  • 実行環境:コンテナ、仮想マシン、サーバーレス
  • データ基盤:PostgreSQLなどのRDB、Redisなどのキャッシュ
  • 運用基盤:オブジェクトストレージ、メッセージキュー、監視・ログ基盤

候補には、Tokio、AxumまたはActix Web、Serdeがあります。SQLxまたはDieselも候補に入り、tonicやtracingも挙げられます。Cargo、rustfmt、Clippyも候補です。これらは、採用理由と保守担当者の習熟度を合わせて評価します。

既存のJava、Ruby、Python、C/C++を一括で移行する必要はありません。API連携やメッセージングで処理を分け、必要な場合だけFFIで既存ライブラリを呼び出せます。

担当範囲、データの正を持つシステム、障害時に旧処理へ戻す方法は、設計書と契約書に残しておきます。曖昧なままだと、障害時にどこまでを誰が受け持つかで迷います。

性能だけでなく安全性と長期運用を含めた価値の判断

Rustの価値は、処理速度に加えて安全性と長期運用まで含め、発注側と開発会社で判断します。

  • メモリ安全性:所有権・型で不正利用やデータ競合の一部を検出
  • 制御性:C/C++に近い制御性と、安全性の両立
  • 追加対策:unsafe、C FFI、crate、アクセス制御、暗号、バックアップを設計

Rustを使っても脆弱性はなくなりません。そのため、運用手順も別に設計します。

Googleは2025年、Android開発でRustのメモリ安全性の脆弱性密度がC/C++の1,000分の1になったと報告しています(出典:Google「Rust in Android: move fast and fix things」、2025年)。

同じ報告では、Rustの変更のロールバック率が約4分の1に、レビュー時間が約25%減少したとされています。ただし、これはGoogleの環境での結果で、他社でも同じ効果が出るとは限りません。そのため、安全性は開発プロセスや手戻りまで含めて評価すると参考になります。

ポイント

Rustを使う範囲は、処理特性と既存の保守体制で決めます。採用の価値は、性能に加えて安全性と長期運用まで含めて判断します。

Rustのシステム開発の進め方と6つのフェーズ

開発は、要件整理から始め、選定と設計・開発を経てテストに進みます。そのあと、稼働を経て定着へ移ります。各段階で終了条件を決めておくと、Rustの適用範囲を段階ごとに検証できます。要件整理やテストを短くすると、言語の変更や作り直しが生じかねません。そのため、業務と非機能要件は、初めに具体化しておきます。

フェーズ1:要件整理と導入目的・非機能要件の数値化

発注側は、導入目的を業務上測定できる目標に置き換えます。目標が数値で決まっていると、見積もりや受入判定の基準がそろいます。

  • 受発注:一括取込にかかる時間
  • 物流:同時接続数と遅延
  • IoT:毎分のイベント数
  • 金融・個人情報:アクセス制御と監査ログ

「高速」「安全」「大規模」を見積もりや受入判定に使うには、数値に直す必要があります。処理件数や同時実行数、許容レイテンシを決め、稼働率やRTO・RPO、データ保持期間も数値で示します。

業務フローには、通常の登録・検索・更新だけでなく、失敗や例外の流れも記載します。

  • 外部API:停止時の処理
  • データ:二重送信、旧データの欠損
  • 業務継続:担当交代時や再実行時の手順

成果物には、業務フローや機能一覧、データ項目一覧があります。権限表や外部連携一覧、非機能要件、MUST・WANTの優先順位も含みます。「作らないもの」と手作業で残す範囲も明記します。

フェーズ2:Rustを使う範囲と開発方式の選定

開発方式を比べ、顧客・商品・受発注の管理などの標準的な業務には、既製サービスを検討します。

  • 既製サービス:標準機能を短期間で導入
  • 個別開発:クラウド上で必要な機能を構築
  • フルスクラッチ:独自要件に合わせて全体を開発
  • Rust新設:低遅延API、データ変換、リアルタイム・エッジ処理

Rustは、独自の大量処理や連携アダプターなど一部に限定して使う方法もあります。低遅延APIやデータ変換が業務の競争力に直結する場合は、Rust製サービスを新設する価値があります。

クラウドの選択肢も、PoCの段階で確かめておきます。AWSは2025年11月14日、Rustに対応したLambdaを一般提供に移しました。AWSサポートとLambdaのSLAの対象です(出典:AWS「AWS Lambda adds support for Rust」、2025年)。

イベント駆動のAPIやバッチと組み合わせやすくなりました。ただし、採用前にはコールドスタートや実行時間、ログを自社のデータで測る必要があります。DB接続数やデプロイ時間も含めます。

PoCの終了条件は、処理ごとに採用か不採用かを決め、その理由や代替案、PoCの指標について合意することです。

  • デモ:匿名化した実データに近い処理での試行
  • 品質:性能、設計書、テストコードの水準
  • 運用:crate更新方針と保守担当者の体制

PoCで測った結果は、選定の判断材料にします。

フェーズ3:設計・開発での品質基準とサービス境界

設計・開発では、サービスの境界と品質基準を決めておきます。

  • 基本設計:API契約、データモデル、認証・認可の定義
  • 障害設計:エラー処理、タイムアウト、リトライ、冪等性の仕様化
  • 開発環境:Rustのバージョン、Cargo.lock、ビルドイメージ、rustfmt、Clippy、テスト条件の固定
  • セキュリティ:crateのスキャン、SBOM、unsafeのレビュー、C FFI境界の記録

障害設計では、タイムアウトやリトライの回数を決めておきます。あわせて、再送時に同じ要求が二重に登録されないよう、冪等性も仕様化します。

APIやキューの配置を決めたうえで、正常系だけでなく部分障害や再実行、ロールバックも設計書に含めます。

ログや監視の方法を設計段階で決め、バックアップとデプロイの方法も定めます。ソースコードに加えて、CI/CDの定義や環境変数の一覧を成果物として管理します。インフラ定義と運用手順も、あわせて管理します。

NSAとCISAは2025年6月、メモリ安全言語がデータ侵害やシステムクラッシュ、業務停止のリスクを減らすと示しました(出典:NSA/CISA「Memory Safe Languages」、2025年)。両機関は、既存コードをすべて書き直す必要はなく、相互運用も使えるとしています。そこで、移行する範囲と既存コードを残す範囲を、リスクと費用で比べます。

フェーズ4:テストでの性能・安全性・業務シナリオの確認

テストでは、機能と性能、安全性、業務シナリオの受入条件を確かめます。代表データを使い、「Rustは速い」という一般論を、自社の環境で検証します。

  • 性能:処理時間、同時実行数、メモリ、CPU、エラー率、再実行結果
  • 測定条件:データ件数、マシン構成、クラウドのインスタンスタイプ、並列数、計測方法を記録
  • 業務試験:API停止、DB切断、重複要求、期限切れ、権限外アクセス、再デプロイ
  • 受入・復旧:試験結果、未解決不具合、バックアップ復旧を確認

個人情報を扱う場合は、権限のない閲覧やダウンロードが拒否されるか、改ざんされにくい操作ログが残るかを確かめます。

受入結果には、担当者や再現手順、重要度を残します。対応期限と再テスト結果も記録します。未解決の不具合は、本番移行の責任者が承認します。

Rust固有の確認には、unsafeブロックのレビューやFFI異常系、crateのライセンスと脆弱性が含まれます。再現可能なビルドやコンパイル時間、切り戻し成果物も対象に含めます。

依存crateを更新すると、性能が変わる可能性があります。そこで、ベンチマークをCIに組み込むか、リリース前に定期的に実行します。

フェーズ5:段階稼働と切り戻し手順の準備

対象の業務や拠点を絞り、影響範囲を限定できる機能から本番化します。

  • 対象選定:大量データ処理や社内APIから始める
  • 段階リリース:一部チームへのカナリアリリースを検討
  • 並行稼働:旧処理と新処理を一定期間並べて比較
  • 切り戻し:旧処理へ戻す条件と所要時間の決定

本番では、処理時間とエラー率を中心に、問い合わせや運用担当の負担も確認します。

切り替え前には、データ更新を止める時間帯や、移行結果を確認する人、障害時の連絡先を決めておきます。

新旧システムでどちらをデータの正とするか、同期の方法を先に決めます。稼働当日は、監視画面やログ検索、アラートのしきい値、緊急パッチの手順を確かめます。

フェーズ6:KPIによる定着と改善

導入目的に近いKPIを月次で確認します。ログイン数は、その補助として見ます。

  • 業務効率:処理・入力時間、停滞日数
  • 品質:エラー率、バッチ失敗数、データ欠損数
  • 定着:問い合わせ件数、手作業への戻り率

性能が改善しても現場がExcelに戻るなら、入力の負担や権限、エラー時の復旧に問題が残っている可能性があります。

改善要望は、法令・セキュリティ、業務停止、品質、利便性に分類します。

Rust本体やcrate、OSの更新を定期的に行います。あわせて、コンテナや証明書の更新、バックアップの復旧テスト、権限の見直しも進めます。

ベンダー任せにせず、社内にもRustのコードを読める担当者、業務責任者、障害窓口を置きます。

ポイント

数値目標が決まらないまま次の段階へ進むと、手戻りが大きくなります。各段階の終了条件は、数値で決めておくと判断に迷いません。

Rustのシステム開発の費用相場とコスト内訳

PoCから全面刷新まで、Rustシステム開発の5規模と費用試算を段階表示した図
扱う規模が大きくなるほど、試算の費用幅も広がります。

Rust専用の受託開発費について、公的な定価はありません。費用は、機能数やデータ量、外部連携で変わります。可用性や移行、セキュリティ、運用体制も費用に影響します。

試算は、一般的なWeb・業務システムの公開相場とRust人材の単価をもとにしています。規模はPoCやMVPから、中規模、高負荷基盤、全面刷新まで5段階に分けて検討します。

規模別の費用レンジ:PoCから数億円まで

規模ごとの費用と期間は、Rust専用の公的な定価がなく、要件や人員によって変わる試算です。

  • PoC:代表的なAPI1〜3本、DB接続、性能測定などで100万〜300万円程度、1〜2か月程度
  • 小規模MVP:認証、CRUD、管理画面、CI/CDなどで300万〜800万円程度、2〜4か月程度
  • 中規模:受発注・在庫、帳票、連携、監視などで800万〜3,000万円程度、6〜12か月程度
  • 高負荷基盤:大量データ、冗長化、24時間監視などで3,000万〜1億円程度、9〜18か月程度になる可能性があります
  • 全面刷新:複雑な移行・連携を含む場合、1億〜数億円規模、1〜3年程度になるケースもあります

PoCには、既存DBへの接続や性能測定、簡単な運用手順が含まれます。MVPは、マスタや簡易な管理画面も想定しています。

中規模では、複数の権限や帳票、外部API、バッチが含まれます。高負荷基盤は、キューや低遅延API、冗長化を想定します。全面刷新は、データ移行や複数拠点、複雑な基幹連携を含む場合の試算です。

エン株式会社の2025年9月調査では、フリーランス案件全体の月額平均単価が76.0万円、Rustは91.9万円でした(出典:エン株式会社「2025年9月度 フリーランスエンジニア月額平均単価」、2025年)。

これはフリーランスの報酬であり、受託会社の見積額ではありません。見積もりには、PMやQA、インフラの工数が別途加わります。デザイナー、移行、ドキュメントの工数も、別途加わります。

見積書の開発費を工程と成果物に分けた内訳

見積書は工程ごとに分けてもらい、費用と成果物が対応しているかを確認します。

  • 要件・設計:要件整理、基本設計、詳細設計
  • 開発・検証:Rust実装、単体・結合・総合テスト、ベンチマーク
  • 導入・運用:移行、インフラ、リリース、マニュアル、PM、保守

一般的な配分の目安は、要件定義が10〜15%、基本設計が15〜20%、詳細設計が10〜15%です。開発と単体テストは30〜40%を占めます。

結合・総合テストは15〜20%、移行・導入は5〜10%が参考になります。Rust固有の検証工数は、別の項目に分けておきます。

クラウドでは、初期開発費と月額運用費を分けて見積もります。本番・検証環境やDB、ストレージの費用を確かめます。通信やログ、監視、メール、キュー、CI/CDも確かめます。

CI/CDやバックアップ、脆弱性診断、サポート契約が含まれるかも確認します。年間の保守費は、初期開発費の15〜20%程度が目安になる場合があります。

ただし、保守費は稼働時間や障害対応、セキュリティ更新、軽微な改修の範囲で変わります。そのため、保守の範囲を項目ごとに確かめて見積もります。

ランニングコストと保守担当者の確保

運用費には、ソフトウェアの更新と保守体制も含めます。

  • 更新対応:Rust、crate、OS、コンテナ、クラウドの更新
  • 担当体制:脆弱性判断、テスト、本番反映の役割を決める
  • 引き継ぎ:設計書、Cargo.lock、CI/CD、SBOM、監視、障害履歴を保管
  • データ保護:バックアップ、復旧、ログ、権限の見直し、訓練を見積もる

担当者の退職や契約の終了に備えて、成果物を引き継げる状態にしておきます。

個人情報や機密データを扱う場合は、世代数や目標時間、テストの頻度、ログの保管、権限の見直し、訓練も運用費に含めます。

Rustのメモリ安全性は、認証情報の漏えいや設定ミス、過剰な権限、バックアップの公開を防ぐ仕組みとは別物です。そのため、言語の利点と運用の統制は、分けて見積もります。

ポイント

費用は規模で大きく変わるため、PoCや小規模MVPから見積もるのが判断の目安です。見積書は工程ごとに分け、保守費やクラウドの月額費も別に確認します。

Rustのシステム開発で見積もりを取る際のポイント

見積もり比較でそろえる業務要件、Rust経験、納品物、提案検証の4項目を示す図
同一条件で提案を並べると、各社の前提差を見つけやすくなります。

見積もりは、総額を比べる前に、同じ前提条件で算出されているかを確認します。まず、採用範囲や実装方式、性能目標の前提をそろえます。連携や移行、テスト、保守、納品物の前提も、そろえます。

前提条件が異なると、安い見積もりでも、あとから追加開発が発生することがあります。そのため、業務担当と技術担当が同じRFPを読み、共通の判断基準を持つことが大切です。

要件書とRFPの業務シナリオと非機能要件

RFPには、業務量や性能、運用、Rust固有の品質要件を明記します。

  • 業務量:対象ユーザー、拠点、データ件数、1日あたりの処理量
  • 性能条件:ピーク同時実行数、現在と目標の処理時間
  • 運用要件:稼働時間、停止許容、RTO・RPO、権限と監査ログ、保存場所、バックアップ
  • Rust技術:バージョン、非同期ランタイム、フレームワーク、DB、crateの検査・ライセンス
  • 品質基準:unsafe・FFIのレビュー、ビルド時間、ベンチマーク条件、受入基準

機能は、「APIを作る」と書くより、業務シナリオの形で示します。たとえば、受注データを1時間ごとに取り込み、重複を検知し、失敗行を再実行して担当者へ通知する、といった書き方です。

業務シナリオで書けば、ベンダーごとの解釈の差を抑えられます。そのうえで、発注側は性能や安全性、保守性の受入基準を持っておきます。

技術選定をベンダーに任せる場合でも、「最新技術を使う」だけの提案になっていないかを確認します。

複数社比較でのRust経験と業務理解の評価

Rust経験と業務理解は分けて評価し、そのうえで体制や実績、提案内容を比べます。

  • 体制:PM、連携設計者、テスト・運用担当者の配置
  • 類似実績:データ量、可用性、個人情報、業務フローを照合
  • 比較項目:Rust実績、要件定義、PoCでの測定、連携、クラウド、セキュリティ
  • 契約条件:移行、納品、保守、SLA、終了時の引き継ぎ
  • 提案検証:3〜5社のデモ、PoC計画、テスト、リスク、前提

Web API、バッチ、組込み、Web3では必要な経験が異なります。

提案後も実装者が参加するかを確かめます。提案書の文章だけで判断すると、実際に参加する人と食い違うこともあります。

各社に同じRFPを渡し、同じ条件で比べます。提案書の文章に加えて、観点をそろえて比べると、技術の見栄えに左右されにくくなります。

納品物と契約終了時の引き継ぎ

納品物は、ソースコード以外も含めて一覧にし、検収の条件を決めます。

  • 設計・テスト:要件、設計、API、DB、テスト仕様と結果
  • 開発・運用:ベンチマーク、Cargo.lock、CI/CD、インフラ、SBOM、監視
  • 引き継ぎ:復旧・障害手順、マニュアル、運用記録、返却対象
  • 保守契約:Rust・crate更新、脆弱性対応、一次切り分け、クラウド費管理、軽微な改修、月報、代替体制

成果物の形式や更新時期、レビュー者、検収条件を明記します。

契約が終わるときは、リポジトリやクラウドアカウント、ドメイン、証明書を返却できる状態にします。CI/CDの認証情報や監視サービス、データも返せるようにします。

引き継ぎが難しい低価格の契約は、長い目で見ると総費用が高くなる可能性があります。

安すぎる見積もりと全面移行のリスク

価格を比べる前に、品質の確保と移行のリスクを見積条件で確認します。

  • 省略項目:要件定義、異常系テスト、データ整理、監視、バックアップ、文書、保守
  • 品質責任:業務ルール、権限、外部仕様、運用体制の確認
  • 移行計画:二重運用、データ整合性、保守要員の育成
  • 段階導入:重いバッチや新規サービスから効果を測る
  • 中止条件:PoC中止基準と既存システムへ戻す条件

Rustは、多くの問題をコンパイル時に検出できます。一方で、業務ルールや権限の誤り、外部仕様の変更、運用担当者の不在は、Rustの仕組みとは別に備える必要があります。

段階的に移行する場合は、API契約を安定させてから対象を広げます。

ポイント

見積もりは総額より、同じ前提条件で算出されているかを比べることが先です。前提がそろわない見積もりは、安くても追加開発に変わることがあるため注意が必要です。

Rustのシステム開発でよくある質問

Rustを導入する際は、言語の特徴に加えて、費用や保守、既存システムとの関係を確認します。よくある質問には、判断の目安を添えて答えます。

小規模な社内システムでもRustを採用する価値はありますか?

処理量が少なく、チームが別の言語に習熟している管理画面だけなら、全面採用は慎重に判断します。

同時接続や常時稼働、機密データ、重いバッチ、C/C++資産との連携が求められる場合は、小さなPoCや一つのサービスから試せます。

処理時間や保守リスクの目標を定め、達成できるかを測ります。

Rustのシステムは開発後も保守できますか?

保守は可能ですが、Rust経験者を確保し、Rust本体と依存crateの更新方針を決めておくことが必要です。

ソースコードやCargo.lock、設計書、テストを納品物に含めます。CI/CDやSBOM、監視、障害対応手順も同様に含め、社内担当者へ定期的に引き継ぎます。

契約の前に、脆弱性対応の期限や担当交代時の体制、終了時のデータと環境の返却条件を確認します。

Web画面やAWSなどのクラウドもRustで作れますか?

RustはWeb API、バッチ、データ処理、ネットワークサービスのバックエンドに使いやすい技術です。画面にはJavaScriptやTypeScriptなどを使う構成が一般的です。

AWS Lambdaは、2025年11月からRust対応が一般提供になりました。ほかにも、コンテナやKubernetes、仮想マシン、オンプレミスが選択肢になります。

環境は、低遅延やデータの所在、停止の許容時間、人材、通信費、復旧方法で選びます。クラウドの種類は、その後に決めます。

Rustなら個人情報保護やセキュリティ要件を満たせますか?

Rustのメモリ安全性は安全性を高める要素の一つですが、個人情報保護法の安全管理措置や委託先の管理を自動で満たすものではありません。

認証や最小権限、暗号化、アクセスログは要件として定めます。バックアップや脆弱性対応、従業者教育、事故対応、データ削除も、要件に加えます。

言語の採用理由と、組織や運用の統制は、別々に受入確認します。

ポイント

小規模な案件は一部から試し、保守は社内担当者への引き継ぎ体制で判断します。セキュリティは、言語の採用理由と運用の統制を別々に確認します。

Rustのシステム開発の進め方まとめ

開発は要件整理から定着までの6段階で進みます。処理量や同時実行数、レイテンシ、稼働率、RTO・RPOは数値にします。個人情報や保守体制も、測れる形に直しておきます。

Rustを使う範囲を決めたうえで、既存のJava、Ruby、Python、C/C++を一括で置き換えることはしません。大量処理や低遅延API、データ変換、エッジ処理など、測りやすい部分から導入します。

着手前に確認するチェックポイント

着手前には、5つの点を確かめておくと、後の手戻りを減らせます。

  • 目標・測定:改善指標を決め、代表データで性能を測る
  • 適用範囲・責任者:Rustと既存システムの境界、要件・テスト・運用の担当
  • 依存管理:unsafe・FFI・依存crateの方針を定める
  • 成果物引き継ぎ:コード、設計書、CI/CD、SBOM、運用手順の整備
  • 中止・復旧:PoC中止基準と切り戻し方法の決定

小さなPoCと同じ条件での見積もり

費用は、PoCやMVPで100万〜800万円程度、中規模で800万〜3,000万円程度、高負荷基盤で3,000万〜1億円程度という試算です。

機能や性能、連携、移行、セキュリティ、保守を分けたRFPで、複数社を比べます。成果物と運用を受け取り、効果を確認した範囲から本番へ広げます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。