美容室向け予約システムの発注は、店舗規模・予約経路・POSやカルテとの連携範囲を整理し、SaaS・既製システム・個別開発を総保有コストと運用条件で選ぶ進め方です。
美容室の予約業務は、空き枠を表示するだけでは完結しません。カットやカラーなどの施術時間、指名スタッフ、席や設備、複数メニューの組み合わせ、キャンセル規定、来店後の顧客カルテまでを一つの流れで扱う必要があります。本記事では、発注形態の選び方、RFPと要件の整理、請負・準委任の使い分け、2026年時点の費用目安、委託先と見積書の比較方法、導入後の評価方法までを発注担当者向けに解説します。
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・美容室向け予約システム開発の完全ガイド
美容室向け予約システムを発注する前に押さえる全体像

発注前に最初に決めるべきことは、どの製品を買うかではなく、何の業務をどの範囲までシステム化するかです。予約受付、スタッフの予定、顧客情報、施術履歴、会計、販促を同時に対象にすると便利になりますが、連携と移行の難易度も上がります。現在の業務と導入後の目標を分けて整理すると、必要以上の開発を避けやすくなります。
予約フォームではなく店舗業務をつなぐ基盤です
美容室向け予約システムでは、顧客が予約する画面と、店舗が予約枠を管理する画面を別々に考えないことが重要です。カットは60分、カラーは90分、カットとカラーは120分というように、メニューごとに所要時間が違います。さらに、特定のスタッフしか担当できない施術、シャンプー台や個室などの設備、同時施術の人数制限が重なります。これらを予約ロジックへ反映できなければ、見た目は予約できても、現場で待ち時間や二重予約が発生します。
2025年のリクルート「美容センサス2025年上期」では、女性の美容室利用者が電話で予約した割合は21.0%で、前年から2.6ポイント低下しました。ネット予約が中心になるほど、予約経路を自社サイト、集客ポータル、SNS、電話、店頭に分散させたままにせず、空き枠の正本をどこに置くかを決める必要があります。発注時は「ネット予約ができるか」だけでなく、電話予約を入力した後に各媒体の空き枠へ反映されるか、同期に失敗したときに誰が復旧するかまで確認します。
最初に店舗数と業務範囲を決めます
発注前に、店舗数、席数、スタッフ数、予約経路、POSや電子カルテの有無、事前決済の有無を一枚にまとめます。1店舗で標準的な予約と顧客管理だけが必要なのか、複数店舗を本部で管理し、店舗横断の顧客統合やヘルプ勤務まで扱うのかで、適した発注先は大きく変わります。個人サロンが最初から大規模な基幹システムを作ると、費用だけでなく現場教育や運用負荷も過大になりやすいです。
一方で、既存サービスを組み合わせるだけでは、独自の会員ランク、複数メニューの同時施術、フランチャイズごとの権限、既存POSとの特殊な連携を実現できない場合があります。「標準機能で業務を変えられる部分」と「自社の競争力として変えられない部分」を分け、後者だけを個別開発にする考え方が発注判断の出発点です。
発注形態はどのように選ぶべきですか?

発注形態の結論は、標準機能で足りるなら美容室向けSaaSやパッケージ、差分が限定的ならノーコード・ローコードやハイブリッド、独自の予約ルールや複数システム連携が事業上の要件なら受託開発を選ぶことです。判断は初期費用だけでなく、5年間の利用料、決済・通知費、連携費、データ移行、保守、解約時の移行費まで含めて行います。
SaaS・パッケージは標準業務を早く始めたい場合に向いています
1店舗から数店舗で、予約、スタッフ予定、顧客管理、会計、簡単な販促が主な目的なら、既製のSaaSや美容室向けパッケージが有力です。導入までの期間を短くしやすく、バックアップや機能更新をベンダーに任せられる点が強みです。予約ポータルとの連携やスマートフォン対応がすでに用意されていれば、個別開発よりも早く現場へ展開できます。
ただし、製品の仕様に業務を合わせる必要があります。予約サイトの同時利用数、施術時間の設定、指名ルール、顧客データのCSV出力、LINEやGoogleからの予約、解約後のデータ返却、予約手数料やオプション費を確認します。リクルートのSALON BOARD公式情報では、電話・自社サイト・ネット予約を一元管理し、顧客情報の一括登録や予約データ出力にも対応すると説明されています。既製品でも機能が豊富なため、発注前に現場の必須要件と照合します。
ノーコード・ローコードとハイブリッドは差分検証に向いています
自社予約ページ、簡易な顧客台帳、スタッフの空き状況確認など、差分が限定された機能ならノーコード・ローコードで試作できます。予約完了率や電話削減効果を小さく検証してから、本格導入へ進められるため、初めから大きな予算を固定しにくい企業に適しています。目安として、個別の簡易構築は50万〜150万円程度とされることがありますが、これは機能数、開発体制、保守範囲を含まない民間相場の推定レンジです。
一方で、複雑な同時施術、厳密な店舗・スタッフ権限、大規模なアクセス、決済情報の扱い、外部サービスの障害時復旧までノーコードだけで対応するのは危険です。予約の中核ロジックは個別開発し、認証、決済、通知、クラウド基盤は実績のあるサービスを使うハイブリッド方式にすると、自由度と保守性のバランスを取りやすくなります。
スクラッチ開発は独自ルールと連携が投資理由になる場合に選びます
スクラッチ開発は、自由に設計できる反面、要件定義、画面設計、予約ロジック、管理画面、テスト、移行、教育、保守を自社と開発会社が継続して担います。独自の複数店舗ルール、既存基幹システムとの連携、独自会員制度、特殊な施術工程などが売上や顧客体験に直結する場合は、投資の理由を説明しやすくなります。
反対に、単に予約を受け付けたいだけなら、既製SaaSの方が導入も撤退も容易です。受託開発を選ぶ場合は、最初から全機能を作るのではなく、予約・スタッフシフト・顧客基本情報・リマインドを最小構成としてPoCし、二重予約や電話対応時間などの改善を確認してから、カルテ、決済、分析、会員機能を段階的に追加します。
RFPと要件整理は何をどこまで書けばよいですか?

RFPは、開発会社に「何を作ってほしいか」だけでなく、「どの業務課題を、どの条件で、いつまでに解決したいか」を伝える文書です。完璧な仕様書を自社だけで作る必要はありませんが、現状業務、対象範囲、優先順位、制約、評価基準をそろえると、会社ごとの見積条件をそろえやすくなります。
現状業務と改善目標を具体的に書きます
まず、予約が入る経路と現場の作業を時系列で書き出します。たとえば、顧客がポータルで予約し、スタッフが電話予約を紙台帳へ記入し、後でパソコンへ転記し、来店時にカルテを探し、会計後に次回予約を手入力している、といった流れです。担当者、入力する情報、使っている媒体、困っている場面を添えると、開発会社が課題の発生箇所を理解しやすくなります。
改善目標は、「使いやすくする」だけで終わらせず、測定できる表現にします。電話予約の対応時間を減らす、二重予約をゼロに近づける、予約完了率を改善する、来店後の次回予約率を確認できるようにする、といった形です。目標値をまだ決められない場合は、導入前の1か月分の件数や時間を計測して基準値を作ります。
施術時間・スタッフ・席の制約を要件に落とします
美容室の予約要件では、メニュー名や価格の一覧だけでは不足します。メニューごとの標準時間、担当できるスタッフ、必要な設備、同時施術の可否、前後に必要な準備時間、指名料、クーポン適用条件、複数メニューを選んだときの合計時間を整理します。新人とベテランで所要時間が違う場合や、カラー剤の放置時間中に別の施術を並行する場合も、実際の運用に合わせて記載します。
キャンセルや変更も重要です。何時間前まで無料か、無断キャンセルをどのように記録するか、事前決済を取り消すか、スタッフへ通知するかを決めます。予約の変更で枠が解放されるタイミング、外部媒体との同期が失敗した場合の再送、店舗側が緊急停止する方法までRFPに含めると、発注後の追加見積を抑えやすくなります。
連携・非機能・移行の条件を別項目で指定します
外部連携は、サービス名だけでなく、連携するデータ、方向、方法、頻度、失敗時の復旧を記載します。たとえば、予約情報をAPIで即時連携するのか、CSVを一日数回取り込むのか、顧客情報は片方向か双方向か、重複顧客をどのキーで統合するのかを明確にします。Instagram、LINE、Google、集客ポータル、POS、決済、会計ソフトを候補にする場合は、公式APIの有無と利用規約も確認します。
非機能要件には、営業時間中の稼働、ピーク時の同時アクセス、バックアップ、復旧時間、権限、監査ログ、暗号化、問い合わせ窓口を含めます。顧客名、電話番号、来店履歴、施術写真、アレルギーなどの注意事項を扱うため、誰が何を見られるかを店舗・本部・スタッフ単位で定めます。既存データは、移行対象、名寄せ、欠損データの扱い、リハーサル、切り戻し、CSVでの持ち出しを決めておきます。
契約形態は請負と準委任をどう使い分けますか?

契約形態は、成果物の完成責任を置く工程と、専門家が作業を進める工程を分けて考えると整理しやすいです。IPAの「情報システム・モデル取引・契約書」では、要件定義や開発などの段階ごとにユーザー企業とITベンダーの責務を明確にする考え方が示されています。契約書の名称だけで判断せず、作業範囲、成果物、検収、変更手続き、責任分界を確認します。
要件定義は準委任で一緒に整理する方法があります
まだ業務や仕様が固まっていない段階で、完成するシステムを一括の請負契約にすると、前提の違いが後から発覚しやすくなります。要件定義では、開発会社の知見を借りながら現場ヒアリング、業務フロー、画面、データ、連携、非機能を整理し、要件定義書や基本設計書を成果物として残します。この段階は、業務を進めること自体に対価を支払う準委任契約が適する場合があります。
準委任にする場合は、作業時間だけを買う状態にしないことが大切です。定例会の頻度、参加者、月ごとの成果物、課題一覧、意思決定の期限、報告方法を契約や個別契約書で明確にします。発注側も現場責任者を決め、質問への回答や業務ルールの承認を遅らせない体制を作ります。
仕様が固まった開発は請負で範囲と検収を定めます
画面、機能、外部連携、テスト条件、納期が合意できた部分は、請負契約で成果物と検収条件を明確にします。美容室向け予約システムなら、予約登録、変更、キャンセル、スタッフ別の空き枠、複数メニュー、顧客登録、管理者権限などを受入テストのシナリオに落とします。「動けば納品」ではなく、ピーク時間、異なるスタッフ、設備が埋まっている場合、連携障害、通信切断後の復旧など、現場で起こるケースを検証します。
契約には、仕様変更の申請方法、追加費用の算定、納期変更、知的財産権、第三者サービスの費用、再委託、秘密保持、個人データの取り扱い、瑕疵や契約不適合への対応、保守の範囲を含めます。検収後に見つかった不具合と、仕様変更による追加要望を同じ扱いにしないことがトラブル防止につながります。
アジャイル開発と保守は変更の扱いを契約に残します
予約ルールを小さく作って店舗で試し、優先順位を変えながら改善するアジャイル開発では、最初から全仕様を固定しない場合があります。IPAのアジャイル開発版モデル契約は、専門家が開発プロセスを進めることに対価を支払う準委任契約を前提にしています。発注時は、スプリントの期間、優先順位を決める人、リリース判定、品質基準、作業時間の上限、未完了項目の扱いを決めます。
リリース後の保守では、障害対応と改善開発を分けます。営業時間中の重大障害は何時間以内に一次回答するか、データ復旧の目標、セキュリティ更新、軽微な文言変更、機能追加をどの契約で行うかを明記します。個人データを委託する場合は、個人情報保護委員会の2026年6月一部改正の通則編が示すように、委託先の安全管理措置、再委託、取り扱い状況の把握や監査も確認します。
美容室向け予約システムの費用相場はいくらですか?

美容室向け予約システムの費用は、標準SaaSなら初期0〜10万円程度、月額は1店舗あたり1,280〜15,000円程度の公開例があります。個別開発は、簡易なノーコード・ローコード構築で50万〜150万円程度、Webスクラッチ開発で150万〜500万円程度、多店舗・POS・カルテ・LINE・複数媒体連携を含む業務基盤で500万〜1,500万円程度が一つの検討レンジです。ただし、後者は美容室専用の公的統計ではなく、2026年公開の予約・業務システム開発相場と一般的な機能構成を当てはめた推定です。
公開料金は安さではなく機能範囲と条件を確認します
公開料金の例として、BEAUTY POSの公式料金ページでは、基本機能が初期10万円、月額8,000円、Web予約を含むパッケージが初期13万円、月額15,000円と示されています。複数媒体の予約一元管理、LINE連携、電子カルテ、本部システムなどは別オプションとして掲載されています。一方、同社の別の公式ページには初期3万円・月額8,000円やキャンペーン価格の表示もあるため、公開ページ間で条件が異なることがあります。金額を記事や社内稟議へ転記するときは、税区分、契約期間、必須サポート、端末費、キャンペーン期限を見積時点で確認します。
低価格SaaSを比較するときは、月額だけでなく、店舗追加、スタッフ追加、予約手数料、決済手数料、SMSやLINE配信、写真容量、API利用、初期設定、データ移行、操作研修の費用を分解します。月額1万円の差でも、5年間では60万円の差になります。逆に、高額なシステムでも電話対応や転記を減らし、予約取りこぼしや失客を防げるなら、投資対効果を説明できる場合があります。
個別開発費は機能数よりも連携と運用条件で変わります
スクラッチ開発の見積は、画面数だけで判断できません。予約枠を計算するルール、外部サービスとの接続、権限、認証、決済、通知、データ移行、テスト、監視、バックアップ、導入研修が費用を左右します。1店舗の予約と顧客基本情報だけなら150万〜500万円の下側に収まる可能性がありますが、複数店舗の本部管理、電子カルテ写真、POS、会計、LINE、複数ポータル、分析まで含めると500万〜1,500万円以上になることもあります。
この金額は、特定の開発会社が保証する定価ではありません。2026年公開の民間相場記事では、クラウド型予約サービスを月額0〜3万円、開発型を30万円から数千万円までとするように、要件によって幅が大きいとされています。本稿のレンジも、リサーチノートに記載された公開料金例と開発相場の情報を美容室の機能構成へ当てはめた目安です。自社の予算を決めるときは、RFPを同じ内容で複数社へ渡し、工程別の工数と前提条件を確認します。
3年・5年の総額に分けて比較します
見積比較では、初期開発費、要件定義、デザイン、開発、テスト、移行、教育、リリース支援を初期費用として分けます。運用費は、クラウド、監視、バックアップ、保守、問い合わせ、外部API、SMSやLINE、決済、端末、追加店舗、定期的なセキュリティ対応に分けます。さらに、機能追加の単価、データを他社へ移すときの作業費、契約終了時のエクスポート費も確認します。
たとえば、月額料金だけでは最も安い会社でも、店舗追加やLINE連携が有料で、顧客データの移行を別会社へ頼むと総額が上がることがあります。反対に、初期費用が高い会社でも、複数店舗、本部分析、研修、サポートが含まれていれば比較結果は変わります。見積書に含まれない項目を「別途」として放置せず、上限額、算定方法、発生条件を質問票でそろえます。
委託先の選定と見積比較は何を見ればよいですか?

委託先は、開発実績の数だけでなく、美容室の予約制約と運用を理解しているかで選びます。既製SaaSの導入支援会社と、独自システムを受託開発するSIerでは、得意な契約と成果物が違います。自社の要件に対して、標準機能で対応する部分、設定で対応する部分、開発が必要な部分を説明できる会社が候補になります。
美容室の予約業務と類似連携の経験を確認します
確認する実績は、「美容室向け」と書かれているかだけでは足りません。メニューごとの所要時間、スタッフ指名、席や設備、複数店舗、本部権限、POSや電子カルテ、予約ポータルとの連携、顧客データの移行など、自社の難所に近い実績を尋ねます。実績が公開できない場合でも、匿名化した画面、体制、担当範囲、導入後の保守状況を説明できるかを見ます。
参考として、SALON BOARDの公式事例には、紙カルテをやめて顧客情報を管理した事例や、予約枠の制御でオーバーブッキングを防いだ事例が掲載されています。こうした事例をそのまま自社の成果として見積もるのではなく、どの機能がどの課題に効いたのかを分解して、自社で再現できる条件を確認します。導入後に店舗スタッフが使い続けられる操作性とサポート体制も、技術力と同じ重さで評価します。
見積書は工程・前提・除外項目を同じ軸で比べます
複数社へRFPを配るときは、質問事項と回答形式をそろえます。初期費用と月額費用、要件定義、設計、開発、テスト、移行、教育、保守、外部サービス、追加改修を同じ項目で回答してもらいます。見積の総額だけでなく、想定工数、担当者の経験、納期、発注側の作業、前提となるデータ件数、対象店舗数、含まれない作業を確認します。
特に比較したいのは、予約ロジックの実装範囲と連携の責任分界です。「API連携対応」と書かれていても、認証情報の取得、項目マッピング、エラー通知、再送、相手サービスの仕様変更対応が別料金の場合があります。見積の安さだけで決めず、同じ業務シナリオを各社にデモしてもらい、現場担当者が操作して確認します。
個人情報・障害対応・契約終了後の条件を確認します
美容室では、氏名や連絡先だけでなく、施術履歴、写真、アレルギーなどの注意事項を扱う可能性があります。個人情報保護委員会の通則編では、委託先の安全管理措置が委託元に求められる水準と同等かを事前に確認し、契約に取り扱い状況の把握や監査を盛り込むことが望ましいとされています。開発会社に、アクセス制御、認証、多要素認証、暗号化、ログ、バックアップ、脆弱性対応、再委託先を質問します。
事前決済を組み込む場合は、カード番号を自社システムへ保存しない方式や、決済事業者との責任分界を優先します。PCI Security Standards CouncilのPCI DSS v4.0.1は、カード会員データを安全に扱うための基準として2024年版が公開され、2025年以降の関連資料も整備されています。法令や基準への適合を開発会社の口頭説明だけで済ませず、利用する決済サービス、保存範囲、ログ、インシデント時の連絡手順を契約に落とします。
また、障害時に予約を確認する方法、手作業へ切り替える方法、復旧後の再入力方法を決めます。契約終了時に顧客・予約・売上・カルテのデータをどの形式で返却するか、写真の扱い、削除証明、移行支援の料金、ソースコードや設定情報の引き継ぎ可否も確認します。移行できないサービスは、導入時の安さだけでなく将来の乗り換えリスクまで含めて評価します。
発注から導入までの進め方と成功KPIを整理します

発注は、候補会社を探して見積を取るところから始めるのではなく、業務課題と選定基準をそろえるところから始めます。小さな検証を挟み、現場の合意を取りながら本導入へ進めると、導入後に使われないシステムになるリスクを下げられます。
企画・選定・開発・導入の4段階に分けます
企画段階では、現場観察、業務フロー、データ一覧、目標KPI、予算上限、対象店舗を整理します。選定段階ではRFPを複数社へ渡し、提案内容、デモ、見積、体制、契約条件を比較します。開発段階では要件定義、設計、実装、テスト、移行リハーサルを進め、導入段階では一部店舗や一部スタッフから始めて、問題を修正してから全店へ広げます。
各段階の終了条件を決めることも重要です。企画終了は「必須要件と対象範囲が合意された状態」、選定終了は「価格だけでなく契約と運用の責任分界が合意された状態」、開発終了は「受入シナリオと移行リハーサルを通過した状態」、導入終了は「店舗が通常業務を継続でき、KPIを測れる状態」とします。終了条件が曖昧だと、納期だけが先に進みます。
1店舗・主要メニューでPoCを行います
最初から全店舗、全メニュー、全連携を対象にすると、問題の原因が分かりにくくなります。まず代表的な1店舗で、予約、スタッフシフト、席や設備、顧客基本情報、リマインドを動かします。カット、カラー、複数メニュー、指名、変更、キャンセル、電話登録など、現場で頻度の高いシナリオを実データに近い条件で試します。
PoCでは、システムが動くかだけでなく、スタッフが迷わず使えるかを確認します。入力項目が多すぎないか、電話対応中に登録できるか、予約変更で空き枠が正しく戻るか、同期失敗に気付けるか、顧客情報を適切な権限で見られるかを観察します。問題が解決できない要件は、追加開発にするのか、業務を見直すのか、対象外にするのかを決めます。
予約完了率・電話時間・二重予約・次回予約率を測ります
導入効果は、売上だけで判断しません。予約完了率、電話対応時間、予約の入力漏れ、二重予約の件数、キャンセル率、スタッフ別の稼働率、来店後の次回予約率、顧客情報の検索時間などを導入前後で比較します。店舗ごとに予約経路が違う場合は、全体平均だけでなく、自社サイト、ポータル、電話、店頭を分けて確認します。
初月は操作習熟の影響が出るため、導入直後だけで成功・失敗を決めません。1か月目は入力漏れと問い合わせ、3か月目は予約経路と電話時間、6か月目は再来店や次回予約まで確認すると、短期の業務改善と中期の顧客価値を分けて評価できます。KPIの定義、計算式、データの取得元をRFPと契約時点で決めておくと、導入後の効果測定が続きます。
美容室向け予約システムの発注でよくある質問

発注方法や費用は、店舗数と既存業務によって変わります。ここでは、発注前に特に質問されやすいポイントを、判断の基準とともに回答します。
美容室の予約システムはSaaSと開発のどちらがよいですか?
標準的な予約、顧客管理、会計が中心なら、導入が早く保守を任せられるSaaSが向いています。独自の予約制約、複数店舗の権限、既存基幹との連携が業務上不可欠なら、ハイブリッドや個別開発を検討します。判断は初期費用ではなく、5年間の総額と業務を変えられる範囲で行います。
小規模な美容室でもRFPは必要ですか?
正式な公募書類でなくても、現状業務、必須機能、対象店舗、連携、予算、納期、サポート条件を一枚にまとめる価値があります。RFPがあると、複数社が異なる前提で見積を出すことを防げます。小規模な場合は、業務フローと予約シナリオを中心にした簡易RFPから始めます。
美容室向け予約システムの開発費用は何円からですか?
公開料金のあるSaaSでは、初期0〜10万円程度、月額1店舗あたり1,280〜15,000円程度の例があります。個別開発は、簡易構築で50万〜150万円程度、Webスクラッチで150万〜500万円程度、多店舗連携を含む業務基盤で500万〜1,500万円程度が目安ですが、いずれも要件に基づく推定レンジです。正確な金額は、店舗数、スタッフ数、予約ルール、連携、移行、保守をそろえたRFPで見積を取って確認します。
既存の顧客データやカルテは移行できますか?
移行できるかどうかは、元データの形式、項目、重複、写真の保存方法、移行先の仕様で決まります。予約履歴、顧客基本情報、施術履歴、写真、同意記録を移す範囲と、欠損や重複をどう扱うかを決め、テスト移行と本番移行を分けます。契約終了時のデータ出力形式も同時に確認すると、将来の乗り換えリスクを抑えられます。
請負契約なら納期と完成を必ず保証してもらえますか?
請負契約でも、仕様、前提条件、検収基準、発注側の協力事項が曖昧なら、納期や完成の判断で争いになります。要件定義やアジャイル開発のように仕様が変わる工程は準委任、仕様と成果物が固まった開発やテストは請負というように、工程ごとの契約を検討します。重要な契約条件は、法務または弁護士に確認してから締結します。
まとめ

美容室向け予約システムを発注するときは、まず店舗数、スタッフ数、席や設備、予約経路、POS・カルテ・決済の有無を整理します。そのうえで、標準機能で足りるならSaaSやパッケージ、差分を検証したいならノーコードやハイブリッド、独自ルールと連携が競争力に直結するなら受託開発を選びます。
RFPには現状業務、予約制約、連携、非機能、データ移行、受入テスト、導入後KPIを記載し、複数社へ同じ条件で見積を依頼します。費用は初期開発費だけでなく、月額、通知・決済、保守、教育、移行、追加改修、契約終了時のデータ返却まで含めた3年・5年の総額で比べます。委託先の実績と価格だけでなく、個人情報の安全管理、再委託、障害時の復旧、スタッフが使い続けられる支援体制まで確認すると、発注後の手戻りを抑えやすくなります。
▼全体ガイドの記事
・美容室向け予約システム開発の完全ガイド
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
