スケジュール管理システム開発の開発期間・スケジュール・納期について

スケジュール管理システムの開発期間は、導入形態・機能・規模で変わります。目安は、SaaS型で2〜4ヶ月、フルスクラッチ型で6ヶ月から1年以上です。

スケジュール管理システムは、グループウェアの予定表機能と同じように思われがちです。しかし、予約やシフトの算出まで扱うため、期間の見方も変わります。構築・刷新を担う情報システムや経営企画、相談中の担当者にとって、この違いは判断の軸になります。

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スケジュール管理システム開発における期間・スケジュールの全体像

SaaS型とフルスクラッチ型の作り込み範囲および開発期間を左右2列で比べた図解。
標準機能に業務を合わせる範囲が、期間差の分かれ目になります。

規模で見ると、小規模なら2〜3ヶ月、大規模なら1年以上が目安です。なかでも期間を大きく左右するのは、SaaSを使うか、フルスクラッチで作るかという導入形態です。

SaaSのカスタマイズを最小限にとどめれば、要件定義から本番稼働まで2〜4ヶ月で完了する場合があります。また、標準機能に業務を合わせた中堅企業では、予定どおり9ヶ月で全社導入できた事例もあります。

予約、シフト、タスク管理を自社仕様にしてフルスクラッチで開発する場合、6ヶ月から1年以上かかるのが一般的です。現場の要望を断りきれず、カスタマイズが際限なく膨らむと、期間はさらに延びます。

当初12ヶ月の予定が、24ヶ月を経ても未完成のままだった事例も報告されています。そこで、何を作り込み、何を標準機能に合わせるかを早めに決めることが、現実的な計画の出発点になります。

線引きが曖昧なままだと、リソース予約の仕様が決まらないまま設計・開発に入ることがあります。その結果、後工程で大規模な手戻りが起きるおそれがあります。

導入形態別(クラウド型SaaS vs フルスクラッチ型)の開発期間の目安

導入形態によって、標準機能をそのまま使うか、自社仕様で作り込むかが変わります。

  • SaaS型:2〜4ヶ月程度で本番稼働するケースが多い
  • フルスクラッチ型:要件定義から移行まで6ヶ月から1年以上を要する

SaaSには、リソース予約・シフト管理・タスク管理の標準機能が用意されています。そのため、開発の中心は、Fit&Gap分析(自社業務と標準機能の適合度確認)、初期設定、外部連携の開発になります。

中小企業では、SaaSを1〜3ヶ月程度で導入できることも珍しくありません。一方、フルスクラッチでは、会議室や設備の排他制御、拠点間の稼働率算出などを一から作る必要があります。

規模や連携先の数によっては、フルスクラッチの期間はさらに延びます。たとえば、建設業向けに57機能を備えたリソース管理システムは、30.8人月、約2,000万円規模で開発された事例があります。

この事例からは、機能数が多いほど工数が積み上がることが読み取れます。そのため、必要な機能を絞ることが、開発期間を考えるうえでの判断材料になります。

グループウェアの一機能とは異なる、リソース最適化特有の期間要因

グループウェアの予定共有は個人予定の登録と閲覧で足りますが、リソース最適化型では事情が変わり、次の機能が期間に影響します。

  • 排他制御:複数人による同時予約の重複を防ぐ
  • 稼働率の可視化:拠点や部署をまたぐ利用状況を示す
  • シフトの自動算出:勤務条件に応じた組み合わせを計算する

有限の会議室・設備・車両を複数人が予約します。そのため、二重予約を防ぐ排他制御(トランザクション処理)が必要で、その設計・実装・テストには期間がかかります。

稼働率表示やシフトの自動算出も工数を押し上げる要因で、独自ロジックの複雑さが開発期間を左右します。要件定義の段階で、自動化する範囲を見極めることが欠かせません。

ポイント

導入形態は期間を大きく左右する要素です。SaaS型は標準機能に業務を合わせられるかが鍵になり、フルスクラッチ型は作り込む範囲が広がるほど期間が延びます。

要件定義から本番稼働までの工程別スケジュール

フルスクラッチ開発の5工程を横一列に並べ、各工程に本文記載の期間を添えた図解。
開発だけでなく、要件定義・テスト・移行にも期間を配分します。

フルスクラッチの全体期間は、6〜12ヶ月以上が目安です。工程ごとの期間は、次のとおり配分されます。

  1. 要件定義:1.5〜3ヶ月
  2. 基本・詳細設計:2〜3ヶ月
  3. 開発・実装:2〜4ヶ月
  4. 単体・結合・総合テスト:1.5〜2ヶ月
  5. 移行・リリース:0.5〜1ヶ月

SaaSでは、要件定義・Fit&Gap分析に2〜4週間、設計・設定・連携開発に3〜6週間かかります。テスト・ユーザー教育は2〜4週間、リリース・定着化は1〜2週間で、合計2〜4ヶ月です。

どちらの形態でも、リソース予約や勤務シフトといった全社横断の機能を扱います。そのため、要件定義で複数部署の運用ルールをすり合わせておくことが、後工程を安定させる前提になります。

要件定義・基本設計フェーズ

要件定義と基本設計は、システムの成否を左右する最上流の工程です。フルスクラッチでは、要件定義に1.5〜3ヶ月、基本・詳細設計に2〜3ヶ月かかります。

後から変えにくい仕様は、この工程で先に決めておく必要があります。とくに、管理対象・予約条件・シフト条件の3つは、予約とシフトの動きを左右するため、ここで固めます。

  • 管理対象:会議室、設備、車両、人員などのリソース
  • 予約条件:優先順位と権限
  • シフト条件:勤務シフトの作成ルール

排他制御では、複数の部署が同じ会議室や設備を予約したときに、どちらを優先するかを決めておく必要があります。この決め方が不十分だと、後工程での手戻りにつながります。

基本・詳細設計では、稼働率を示すダッシュボードのUI/UXやデータベースを設計します。スマートフォンでの予約に合わせたレスポンシブ対応も検討し、範囲が広いほど工数は増えます。

開発・実装からテスト・リリースまでのフェーズ

フルスクラッチの開発・実装には2〜4ヶ月を見込みます。その際は、実装する機能の範囲を明確にしておきます。

  • 排他制御
  • シフトの自動割当
  • 稼働率の集計・可視化

複数拠点のリソース最適化アルゴリズムは実装量が見通しにくく、期間が変動しやすい要因です。実装後は、単体・結合・総合テストに1.5〜2ヶ月かけます。

月初や週初に多数の社員が一斉に予約する状況を想定し、負荷テストを行います。このテストを軽視すると、稼働後に予約が反映されない、二重予約が起きるといった重大な不具合につながります。

移行・リリースには0.5〜1ヶ月を充てます。既存の予定表やExcel台帳からデータを移し、権限を設定したうえで、関係部署に操作を説明します。

ポイント

要件定義と基本設計で後から変えにくい仕様を先に決め、テストや移行の期間も見込んでおくと、全体の計画を立てやすくなります。

機能別に見る開発期間への影響

期間は、搭載する機能と作り込みの範囲で変わります。たとえば、基本的なカレンダー表示や予約登録は、比較的標準的な実装で済みます。

一方で、排他制御と外部カレンダー・基幹システム連携は、業務ルールの複雑さや技術的な不確実性が高い機能です。実装・テストの工数が膨らみやすく、開発期間が2〜4ヶ月と幅を持つ主な理由になります。

この2つの機能が期間に影響する理由を、それぞれ見ていきます。

リソース予約・排他制御(ダブルブッキング防止)の実装負荷

排他制御は実装負荷が特に高く、開発期間を左右する代表的な機能です。予約機能には、次のようなルールを組み込む必要があります。

  • 重複予約の防止:同じリソースの二重予約を防ぐ
  • キャンセル待ち:空きが出た際に自動で繰り上げる
  • 予約権限:役職や所属部署に応じて制御する

これらを個別に設計・実装・テストするため、上に挙げた3つのルールだけでも3〜4週間程度の工数が追加で発生します。

数百〜数千人が会議室や車両を同時に予約しても、トランザクション処理が正しく働くかを検証します。そのため、高負荷・同時アクセスのテストを、開発の前後で繰り返す必要があります。

この検証を怠ると、稼働直後に二重予約が多発し、現場の信頼を失うおそれがあります。

外部カレンダー連携・既存基幹システム連携の実装負荷

期間に影響する連携先は、外部カレンダーと既存の勤怠・人事システムです。

  • 外部カレンダー:Google CalendarやOutlookなど
  • 既存システム:勤怠管理・人事システム

外部カレンダー連携には、OAuth2.0など各サービスの認証仕様への対応が必要です。

双方向同期、API仕様変更への備え、同期エラー時の競合解決も実装します。この機能だけで、専任エンジニアの作業として2〜6週間程度を確保する必要があります。

勤怠・人事システムとの連携では、データ形式のずれやAPI仕様の想定違いが起こり得ます。そこで、疎通確認と結合テストにも時間を割きます。

連携先が増えるほど、期間も積み上がります。初期リリースの連携先を絞り、優先度の低いものを後続フェーズに回せば、全体計画を現実的な範囲に収めやすくなります。

ポイント

排他制御と外部・基幹システム連携は、期間を大きく動かす機能です。必要な機能を絞り、連携先を段階的に増やす方針を立てると、期間の見積もりが現実的になります。

企業規模別に見る開発期間の違い

同じシステムでも、対象企業の規模によって開発期間は大きく異なります。関係者や拠点が増えるほど合意形成に時間がかかるため、期間も長くなる傾向があります。

規模別の目安と、開発手法による期間差を順に見ていきます。

中小企業・中堅企業・大企業での期間差

従業員数や拠点の広がりは、要件調整の負担と開発期間に影響します。

  • 中小企業(数十〜数百名):SaaSで1〜3ヶ月、フルスクラッチで4〜6ヶ月
  • 中堅企業(数百〜千名):6〜10ヶ月が一般的な目安
  • 大企業(数千名規模〜):全体で1年から数年

中小企業は拠点や部署、関係者が限られるため、要件の合意形成を進めやすく、上に示した期間でリリースできるケースが多く見られます。

中堅企業では、複数部門や拠点をまたぐため、予約の優先順位やシフトルールの調整に時間がかかります。

中堅企業では、カスタマイズを絞って9ヶ月で導入した成功事例があります。一方で、カスタマイズが膨らみ、24ヶ月後も未完成だった失敗事例もあります。いずれも、起こりやすい典型例です。

大企業では、厳格なセキュリティ要件、人事・給与・ERPとの大規模な連携、複雑な権限管理への対応が必要になります。そのため、要件定義だけで数ヶ月かかることがあります。

開発手法(アジャイル・ウォーターフォール)による期間差

同じ規模でも、開発手法によってスケジュールの組み方は変わります。仕様を先に固めるか、利用状況を見て改善を重ねるかが、選定の判断軸になります。

  • ウォーターフォール型:要件定義から稼働まで順番に進める
  • アジャイル型:短いスプリントで開発とテストを反復する

ウォーターフォール型は、排他制御、データベース、既存連携など、後から変えにくい仕様を初期に固めるのに向いています。また、予算とスケジュールの見通しを立てやすい利点もあります。

アジャイル型では、1〜2週間程度のスプリントを反復します。優先度の高いリソースから予約機能を作ります。たとえば、会議室予約を先行稼働させ、車両予約やシフト管理は後続で改善できます。

予約画面やダッシュボードは、利用者の反応を見ながら調整できます。なお、ハイブリッド型では、排他制御や連携の根幹をウォーターフォールで固め、UIや通知をアジャイルで磨く方法が増えています。

ポイント

企業の規模が大きいほど合意形成に時間がかかり、期間は延びます。規模に加えて、仕様を先に固めるか反復するかという開発手法も、期間の組み方を左右します。

納期遅延の典型要因と対策

要件凍結と要望のフェーズ分け、連携先APIの事前アクセスと疎通確認を4枚のカードに示した図解。
要件の区切りと連携確認を前倒しすると、後工程の停滞を抑えやすくなります。

遅延は、一般的な開発要因と、複数部署のリソースを扱うことに伴う固有の要因が重なって起きます。そのため、要件定義や検証の段階で先回りして対策することが、遅延防止に欠かせません。

例外業務の洗い出し不足による要件定義の肥大化

遅延の原因として多いのは、要件定義の遅れや肥大化です。各部署から予約ルールや管理対象の追加要望が相次ぐと、仕様がまとまらず、設計・開発に着手できないことがあります。

職人の急な欠勤、緊急の設備メンテナンス、部署間のリソース融通などは、頻度が低くても起こる例外業務です。どこまでシステム化するかは、要件が膨らみやすい論点になります。

対策として、開発の初期に「要件凍結日」を定めておきます。その日までに決まらなかった要望は、初期リリースに含めず、次のフェーズの改善項目に分けるルールを徹底します。

既存システム連携でのテスト工数不足

スケジュール管理システムは、勤怠・人事システムなどとデータを連携させると効果を発揮しますが、連携仕様の不備やテスト不足が落とし穴になります。

連携時には、次のような問題が起きることがあります。

  • 取得データ:想定していたデータを取得できない
  • API仕様:連携先の仕様が事前の想定と異なる

連携上の問題が終盤に発覚すると、数週間の遅延を招くことがあります。

こうした遅延を避けるため、本格実装の前に連携先のAPIへ実際にアクセスし、疎通を確かめる技術検証の期間を確保します。排他制御についても、単体・結合テストで同時アクセスを含めた動作を確認します。

テスト工数をあらかじめ厚めに見積もっておくと、稼働直前の不具合による全社展開の遅れを避けやすくなります。

ポイント

要件定義の肥大化と、既存システム連携のテスト不足が、納期遅延を招く主な要因になります。要件凍結日を定め、連携先への技術検証を本格実装の前に行うことが、遅延を防ぐ目安になります。

まとめ

スケジュール管理システムは、社員のシフト、会議室・設備・車両の予約、プロジェクトの進捗をまとめて管理し、リソースの稼働を最適化します。

期間はSaaS型で2〜4ヶ月、フルスクラッチ型で6ヶ月から1年以上が目安です。

工程の目安は、要件定義1.5〜3ヶ月、設計2〜3ヶ月、開発2〜4ヶ月、テスト1.5〜2ヶ月、移行・リリース0.5〜1ヶ月です。排他制御と外部・基幹システム連携が期間を左右します。

要件定義の段階で機能や連携の複雑さを見極め、納期を現実的に見積もります。部署からの要望による要件の肥大化や、連携仕様・テスト不足は、要件凍結日と早めの検証で避けられます。

まず、自社が管理するリソースの範囲とルールを整理します。そのうえで、複数の開発会社に要件の概要を示し、見積もりとスケジュール感を比べることをお勧めします。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。