学校・教育機関向け校務支援システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

学校・教育機関向け校務支援システムの発注は、製品を先に決めるのではなく、学校種別・導入範囲・既存業務を整理してから、標準導入、共同利用、個別開発のどれが適切かを選ぶことが成功の近道です。

本記事では、校務支援システムを外注・委託するときの発注形態、RFPと要件整理、契約形態、費用相場、委託先の選び方、見積比較のポイントを、2026年時点の公開情報と導入事例を踏まえて解説します。教育委員会、学校法人、学校のICT担当者が、現場に無理なく定着する発注計画を組めるように、判断の順番まで具体化します。

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学校・教育機関向け校務支援システムの発注で最初に決めること

学校・教育機関向け校務支援システムの発注方針を検討する担当者

校務支援システムの発注で最初に決めるのは、製品名や開発言語ではなく、誰のどの業務を、何校の範囲で、いつまでに改善するかです。学校種別と導入規模によって必要な機能、データ移行量、運用体制、調達方法が変わるため、ここを曖昧にしたまま相見積もりを取ると、価格だけでは比較できない提案が集まります。

校務支援システムは学校業務のデータ基盤です

校務支援システムは、名簿・学籍、出欠、成績、保健、時間割、帳票、進路、保護者連絡などを扱う業務基盤です。単に成績を入力するソフトではなく、教員が同じ児童生徒情報を何度も転記する状態を減らし、管理職や教育委員会が必要な範囲で集計できるようにする仕組みです。

一方で、学習管理システム、電子連絡網、保健管理、入試管理までを一つの製品に含めるかは、製品と学校種別によって異なります。発注書では「校務支援システム一式」とだけ書かず、学籍管理、出欠、成績、健康観察、帳票、保護者連絡、教育委員会集計など、対象業務を明示することが必要です。

導入目的を入力負担と業務フローで定義します

目的は「DX化する」「クラウド化する」だけでは足りません。「出欠情報を一度入力して保護者連絡と教育委員会集計に使う」「通知表と指導要録の転記を減らす」「年度更新時の名簿作成を短縮する」のように、業務の変化で表現します。これにより、提案を機能数ではなく、入力回数、帳票作成時間、問い合わせ件数、年度切替の作業量で評価できます。

文部科学省は2026年度の「校務DX等加速化事業」で、2029年度までに時間外在校等時間を月30時間程度へ縮減する目標に触れ、県域での共同調達・共同利用や個人情報の適正な取扱いを課題として示しています(出典: 文部科学省「校務DX等加速化事業」、2026年)。発注目的も、こうした業務改善と安全な情報活用につながる形に置くことが重要です。

発注形態はパッケージ・SaaS・共同利用・個別開発から選びます

校務支援システムの発注形態を比較するイメージ

発注形態は、標準機能を使って早く導入するか、既存業務に合わせて作り込むかのバランスで決まります。初期費用だけでなく、制度変更や帳票改定への対応、年度更新、障害対応を何年続けるかまで含めて、総保有コストで判断します。

パッケージやSaaSは標準化できる業務に向きます

パッケージやSaaSは、名簿、出欠、成績、保健、帳票など、複数の学校で共通しやすい業務を短期間で導入したい場合に向きます。サーバーやアップデートを外部化できるSaaSは、学校ごとの機器管理を減らしやすく、複数校で同じ仕組みを使う共同利用にも適しています。

ただし、標準機能に業務を合わせる必要があります。独自の帳票や承認ルートを大量に追加すると、SaaSでも個別対応費や運用の複雑さが増えます。デモでは「できる機能」だけでなく、現場が何回入力するのか、年度更新時にどこを直すのかを確認します。

県域・自治体の共同利用は運用まで含めて委託します

教育委員会が複数校を対象に導入する場合は、学校ごとに別製品を発注するより、県域・自治体単位の共同利用を検討できます。共同利用では、ライセンスだけでなく、ネットワーク、認証、データセンター、ヘルプデスク、研修、障害時の連絡体制を一つの設計にまとめられます。

秋田県の事例では、2024年度から7市町村で運用を開始し、全市町村への導入を予定するフルクラウド型の共同利用が進められています(出典: NTT東日本「秋田県小中学校等統合型校務支援システム構築等業務」事例)。県主導で段階導入する場合は、自治体ごとの既存運用を吸収しながら、共通ルールと例外の線引きをRFPに書くことが必要です。

個別開発は独自制度と連携要件が明確な場合に選びます

フルスクラッチや準スクラッチは、既存パッケージでは扱えない独自の教育制度、帳票、校務フロー、学習・保健・入試システムとの連携が事業上欠かせない場合に検討します。独自要件を自由に作れる一方、要件定義、テスト、データ移行、保守担当者の確保まで発注者が長期的に管理する必要があります。

「他校と違うから作る」のではなく、標準機能で代替できない理由と、作り込むことで何時間・何回の作業を減らせるかを確認します。発注前に標準機能で試せる範囲を検証し、独自開発は教育上または制度上必要な部分に限定すると、費用と将来の改修リスクを抑えやすくなります。

RFPと要件整理では現場の業務を発注条件に変換します

RFPと要件定義を整理する学校担当者

RFPは、提案依頼先に「何を、どの範囲で、どの品質で、いつまでに提供してほしいか」を伝える文書です。機能一覧だけでなく、現状の困りごと、対象校、利用者、データ、移行、セキュリティ、運用支援、評価方法を示すことで、各社の提案と見積を同じ条件で比較しやすくなります。

業務棚卸しは利用者とデータの流れから始めます

最初に、教員、校長・管理職、教育委員会、養護教諭、事務職員、保護者などの利用者を分けます。次に、名簿をどこで登録し、出欠・成績・保健・帳票・保護者連絡へどう渡すかを図にします。紙、Excel、既存の成績処理、メール、学習系サービスが残っている場合は、二重入力と転記の発生箇所を赤字で示します。

要件は「必須」「できれば必要」「将来検討」に分けます。たとえば、指導要録や通知表の出力は必須、独自の分析ダッシュボードは将来検討というように優先順位をつけます。これをしないまま全機能を必須にすると、提案価格が膨らみ、導入後に使われない機能まで保守対象になります。

RFPには機能要件と非機能要件を分けて書きます

機能要件には、名簿・学籍、出欠・遅刻・早退、成績・評定、保健、時数、時間割、帳票、進路、保護者連絡、教育委員会集計などを記載します。各機能は「登録できる」だけでなく、誰が入力し、誰が承認し、どの帳票へ反映し、訂正履歴をどう残すかまで確認します。

非機能要件には、稼働時間、応答性能、バックアップ、障害復旧、可用性、対応ブラウザ、スマートフォン利用、認証、権限、暗号化、操作ログ、脆弱性対応、保守窓口を含めます。文部科学省の2025年3月版「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」は、教育現場のクラウド活用と強固なアクセス制御を踏まえて改訂されています(出典: 文部科学省、2025年)。RFPでも認証やアクセス制御を「セキュリティに配慮する」と曖昧にせず、要件化します。

データ移行と導入後支援をRFPの中心に置きます

校務支援システムでは、新システムの機能よりも、既存データを正しく引き継げるかが成否を左右します。氏名表記、学年・学級、年度、在籍異動、欠測値、過去の帳票、保健情報の保管期間を確認し、サンプルデータでテスト移行します。移行後に教員が旧帳票と新帳票を照合する手順や、誤りがあった場合の責任分界も決めます。

導入後は、年度更新の支援、繁忙期の問い合わせ、操作研修、マニュアル、障害時の代替手段、制度改定へのアップデートが必要です。導入費だけ安い提案ではなく、初年度と2年目以降のサポート範囲、問い合わせの受付時間、現地対応の条件、再委託先の体制、契約終了時のデータ返却・消去まで比較対象にします。

契約形態は要件定義・開発・運用を分けて設計します

校務支援システムの契約内容を確認するイメージ

校務支援システムの外注では、すべてを一つの契約に押し込むより、要件の確実性と運用の継続性に合わせて契約を分ける方法が有効です。契約書には成果物、検収条件、責任範囲、変更手続き、個人情報の取扱い、再委託、サービス停止、契約終了時のデータ処理を明記します。

請負契約は完成物と検収条件を明確にします

請負契約は、合意したシステムや設定、移行、帳票などの成果物を完成させ、検収する業務に向きます。標準導入や仕様が固まった機能開発では、納期、成果物一覧、受入テスト、修正回数、瑕疵対応を設定しやすい契約形態です。

ただし、発注後に「現場で使ってみたら要件が違った」という変更が頻発すると、追加費用や納期延長の原因になります。要件変更の承認者、見積の再提示、優先順位の入れ替え、契約金額への反映方法を、変更管理の手順として先に決めておきます。

準委任契約は要件整理や伴走支援に適しています

準委任契約は、要件整理、現状分析、プロジェクト管理、運用改善、技術支援のように、専門家が業務を遂行することを目的とする場合に使われます。学校現場へのヒアリングやPoCの評価など、結果を事前に完全に固定しにくい工程と相性がよい契約です。

一方で、稼働時間や担当範囲だけを決めると、何をもって進捗とするかが曖昧になります。月次の成果報告、課題一覧、意思決定記録、次月の作業計画を提出物に含め、発注者側にも業務責任者を置きます。要件定義を準委任で行い、開発・導入を請負またはSaaS契約へ移す分割も検討できます。

SaaS契約は利用料とサービス水準を確認します

SaaSを利用する場合は、初期導入契約と月額・年額の利用契約が中心になります。利用料に含まれる機能、ユーザー数や学校数の数え方、保存容量、アップデート、問い合わせ、バックアップ、障害時の復旧、サービスレベルを確認します。価格改定や機能廃止が起こった場合の通知期間、データのエクスポート方法も重要です。

個人情報を扱うため、サービス提供者だけでなく、クラウド基盤や再委託先の管理方法も確認します。契約終了時に、CSVや標準形式で全データを返却できるか、返却後にサービス側のデータを消去した証明を受け取れるかを、利用規約任せにせず契約書や仕様書に落とし込みます。

学校・教育機関向け校務支援システムの費用相場

校務支援システムの費用と見積を確認するイメージ

校務支援システムの費用は、1校のSaaS利用、複数校の共同利用、個別開発で大きく変わります。以下の金額は、公開価格や自治体の公募資料、リサーチノートから整理した目安です。正式な相場統計ではなく、学校数、生徒数、移行、帳票、研修、ネットワーク、保守の範囲で変動するため、レンジとして利用します。

公開価格では初期費用と利用料を分けて見ます

株式会社システムディのSchool Engineは、公開価格として校務支援が小中学校で1校あたり月額22,000円(税込)、高等学校で月額44,000円、初期導入費用が小中高とも1校あたり330,000円と示されています(出典: 株式会社システムディ「School Engine」料金表、2026年確認)。この条件だけで計算すると、校務支援部分の初年度は小中学校で約59.4万円、高等学校で約85.8万円です。

ただし、グループウェア、学校徴収金、現地操作指導、通信、追加サポートは別料金になり得ます。公開価格は一つの基準であり、自治体一括契約やデータ移行を含む見積と同じ意味ではありません。見積依頼では、初期設定、アカウント作成、帳票設定、移行、研修、保守を項目ごとに分けてもらいます。

生徒数に応じるサービスは単価と基本料金を分けます

ベネッセ校務クラウドは、高等学校向けに生徒1人あたり年額3,960円(税込)と、別途基本サービス料で提供されています(出典: ベネッセコーポレーション「ベネッセ校務クラウド」サービスページ、2025年提供開始)。500人なら生徒従量部分だけで年間198万円、1,000人なら396万円と計算できますが、基本サービス料、導入支援、データ移行などを含む契約総額ではありません。

生徒従量型は学校規模に合わせて予算化しやすい反面、在籍数の増減、教職員アカウント、兄弟姉妹の扱い、年度切替の課金ルールを確認する必要があります。見積では「生徒数×単価」だけで判断せず、5年間の在籍数想定と基本料金を合わせた総額で比較します。

複数校・個別開発は数百万円から1億円超まで幅があります

複数校の標準導入では、初期設定、データ移行、帳票調整、研修を含めて数百万円から3,000万円程度になるケースを、企画段階の推定レンジとして置けます。既存システム連携、独自帳票、保護者機能、ダッシュボードを追加する準スクラッチは3,000万〜8,000万円程度、学籍・出欠・成績・保健・教育委員会集計を広く個別開発する場合は8,000万円〜1.5億円超を仮置きします。これらは公開価格と自治体公募実績から組み立てた推定であり、全国共通の定価や統計ではありません。

自治体案件の実例として、松阪市の2025年公募では、導入委託費用の提案上限が991万1,000円、契約期間中のシステム利用費用が7,008万9,000円で、合計8,000万円でした。これは31校を対象とする構築・保守・利用の契約期間を含む上限で、1校の開発費ではありません(出典: 松阪市「小中学校統合型校務支援システム構築及び保守管理」公募資料、2025年)。このように、自治体の金額は導入費と利用・保守費を分けて読むことが大切です。

委託先を選ぶときは製品機能より導入・運用体制を確認します

校務支援システムの委託先を比較するイメージ

校務支援システムの委託先には、パッケージを開発するベンダー、クラウド基盤やネットワークを担うSIer、導入支援会社、個別開発会社があります。記事や提案書で「開発会社」と呼ばれていても、すべてが同じ意味でフルスクラッチを受託するわけではありません。自校に必要な支援範囲と、候補会社の得意領域を対応させます。

学校種別と同規模の導入経験を確認します

公立小中学校、高等学校、私立校、中高一貫校では、学籍、成績、保健、進路、保護者連絡の優先順位が異なります。候補会社には、自校と同じ学校種別、学校数、生徒数、自治体構成の導入事例を示してもらいます。導入社数だけでなく、稼働までの期間、移行対象、研修内容、稼働後の問い合わせ件数や改善事例まで聞くと、実力を見分けやすくなります。

たとえば、EDUCOMは統合型校務支援システムC4thを中心に自治体・小中学校の導入事例を持ち、NTT東日本はネットワークやクラウド、ヘルプデスクを含む共同利用を支援しています。システムディは公開価格を確認しやすく、ベネッセ校務クラウドは高校向けの生徒単価と学習データ連携を打ち出しています。比較の前提が違うため、会社名のランキングではなく、案件との適合性で評価します。

認証・ログ・データ管理の説明が具体的か確認します

児童生徒の氏名、生年月日、出欠、評点、健康情報、保護者情報は、漏えいや誤操作を防ぐ管理が必要です。SSOや多要素認証、役割別権限、通信・保存時の暗号化、管理者操作のログ、バックアップ、脆弱性対応、インシデント時の報告時間を確認します。ログは保存するだけでなく、誰がどの情報へアクセスしたかを追跡できることが必要です。

ベネッセ校務クラウドの公式情報では、SSO、2要素認証、データ暗号化、操作ログ、権限設定、承認フローが示されています。機能の有無だけでなく、教員、管理職、教育委員会、保護者の権限をどの単位で分けられるか、異動や卒業時にアカウントをどう停止するかを、デモと資料の両方で確認します。

現場定着と繁忙期の支援体制を確認します

校務支援システムは、年度末や成績処理の時期に問い合わせが集中します。担当者が不在でも回答できるヘルプデスク、学校ごとの管理者研修、動画やFAQ、リモート・現地支援、障害時の代替運用があるかを確認します。導入研修を一度実施するだけでなく、新任教員や異動者が入る年度ごとの教育計画まで提案してもらいます。

PoCでは、1校または1学年に絞り、出欠登録から保護者連絡、管理職の承認、教育委員会の集計までを一連で試します。入力時間、転記回数、帳票作成時間、問い合わせ数を導入前後で測定し、効果が確認できた範囲から展開します。AIやダッシュボードを先に追加するのではなく、データの整備と現場の承認手順を固めることが優先です。

見積比較では価格の安さより同じ条件と総額を見ます

校務支援システムの見積書を比較するイメージ

複数社の見積を比べるときは、合計金額を並べるだけでは不十分です。学校数、生徒数、利用者数、対象機能、契約期間、移行対象、研修回数、保守時間を同じ条件にそろえ、含まれるものと含まれないものを確認します。価格差が出た項目を質問できる見積書にしてもらうことが重要です。

見積項目は導入・移行・運用・追加開発に分解します

見積書は、初期設定、環境構築、アカウント登録、データクレンジング、データ移行、帳票設定、連携開発、テスト、研修、マニュアル作成、プロジェクト管理、保守、利用料に分けます。特に「一式」「必要に応じて別途」という表記は、上限や条件を質問します。追加開発の単価、作業時間、変更受付の締め日も確認しておくと、導入後の予算超過を防げます。

契約期間が複数年の場合は、初年度、2年目以降、更新時の費用を分けます。生徒数や学校数で変わる従量部分、物価や機能改定に伴う価格変更、オプションの利用条件を5年程度の想定で試算します。安い初期費用が、保守や移行の別料金で高くなることもあるため、総額と作業範囲をセットで評価します。

評価表は機能・費用・体制・安全性を分けます

評価表では、機能適合、操作性、データ移行、連携性、セキュリティ、導入体制、サポート、費用、将来拡張性を分けます。機能は必須要件を満たさない提案を除外し、その後に操作性や体制、価格を比較します。費用を最重視する場合でも、データ移行や障害対応の不足が現場の追加作業にならないかを確認します。

プレゼンテーションでは、用意されたデモではなく、自校の実データに近いサンプルでシナリオを実演してもらいます。「転入生を登録する」「欠席連絡を承認する」「成績を修正して履歴を残す」「年度更新する」「教育委員会が複数校を集計する」という流れを見れば、画面の見た目だけでは分からない運用差が見えます。

委託先への質問は将来の責任分界まで踏み込みます

候補会社には、「同規模の導入で最も時間がかかった工程は何か」「年度更新の支援は誰が担当するか」「障害時に学校と教育委員会へ何分以内に連絡するか」「再委託先はどこか」「契約終了時に何形式でデータを返却するか」を聞きます。失敗事例と、その後に変えた導入手順を聞くことも、提案書だけでは分からない成熟度の確認になります。

また、候補会社が自社製品を導入するのか、他社製品とネットワークを組み合わせるのか、個別開発を担当するのかを明確にします。製品ベンダー、SIer、導入支援会社が複数関わる場合は、障害やデータ連携の窓口を一本化できるか、責任の押し付け合いを防ぐ会議体があるかを確認します。

発注から稼働までの進め方は小さく検証して段階展開します

校務支援システムを段階導入するイメージ

発注後は、契約したからすぐ全校展開するのではなく、現場が使える状態を確認してから広げます。標準導入なら要件確認から稼働まで1〜3か月、データ移行や研修を含めて3〜6か月程度、準スクラッチなら6〜12か月、フルスクラッチなら9〜18か月以上を企画上の目安にします。実際の期間は学校数、年度切替、連携、帳票、試験範囲で変動します。

現状調査とRFP作成を年度計画に組み込みます

年度替わりの稼働を目指す場合は、前年度の早い時期に現状調査を始めます。教員や事務職員へのヒアリング、既存帳票の収集、データ項目の確認、ネットワークと端末の調査を行い、RFP、質問受付、提案審査、契約、要件定義、移行、研修、受入テストの順に予定を置きます。

公立学校や教育委員会では、公募型プロポーザルや入札などの手続きが関わります。参加資格、提案上限、質問期限、プレゼンテーション、評価委員会、契約期間を事前に整理し、候補会社が同じ情報を受け取れるようにします。松阪市の2025年公募でも、公告から質問、参加申請、提案提出、プレゼンテーション、結果通知までの日程が定められていました。

PoC・テスト移行・受入テストで現場とのずれを減らします

契約後は、すべての要件を一度に作るのではなく、代表校や一つの学年でPoCを行います。名簿登録、出欠、成績、帳票、保護者連絡など、日常業務から年度更新までを試し、教員が迷う画面や二重入力を記録します。PoCの結果を本導入の要件と研修内容に反映します。

移行では、件数が合っているかだけでなく、氏名の表記、所属、年度、履歴、帳票の見え方を現場が確認します。受入テストは発注者が主体となり、合否基準と不具合の優先度を明確にします。稼働後に分かった改善点は、契約変更や次期改修の候補として管理し、緊急の不具合と希望機能を混同しないようにします。

段階展開後も効果測定と改善会議を続けます

全校展開後は、利用率、入力完了率、転記回数、帳票作成時間、問い合わせ件数、障害件数、研修参加率などを定期的に確認します。数字だけでなく、教員がどの業務で紙に戻っているか、管理職の承認が滞る理由は何かをヒアリングします。導入効果が出ないときは機能追加の前に、業務ルール、権限、研修、データ品質を見直します。

健康観察や不登校支援、教育データのダッシュボード、AIによる支援などを追加する場合も、教育的な判断は教員が承認する前提にします。データを集めること自体を目的にせず、支援につながる業務と権限を定義してから拡張します。これが、単なる紙の置き換えではなく、安全に使い続けられる校務DXにつながります。

よくある質問

校務支援システムの発注に関するよくある質問

校務支援システムの外注では、費用、開発期間、既存データ、セキュリティ、パッケージと個別開発の違いについて質問が多く寄せられます。発注前に確認しておきたい代表的な疑問に回答します。

校務支援システムの発注費用はいくらですか?

公開価格のあるSaaSでは、1校あたり初期30万円台、月額2万〜5万円程度を一つの目安にできます。複数校の共同利用は数百万円から数千万円、独自連携や個別開発を含む案件は3,000万円〜1.5億円超まで幅があるため、本文の金額は企画用のレンジとして扱います。データ移行、研修、保守、ネットワークを含むかで総額が変わります。

パッケージとフルスクラッチはどちらがよいですか?

標準的な学籍、出欠、成績、保健、帳票を短期間で導入するなら、パッケージやSaaSが向いています。独自制度、独自帳票、複雑な既存システム連携が業務上不可欠なら、準スクラッチやフルスクラッチを検討します。ただし、先に標準機能とPoCを確認し、個別開発は標準化できない要件に絞ることが安全です。

RFPにはどこまで細かく要件を書くべきですか?

必須業務、利用者、データの流れ、帳票、移行対象、連携、セキュリティ、性能、導入支援、保守、契約終了時のデータ扱いまで書きます。一方で、画面の細部や実現方法をすべて固定すると、提案会社の工夫を評価しにくくなります。達成したい業務成果と守るべき条件を示し、実現方法は提案に委ねる部分を残します。

クラウド型ならセキュリティ対策は不要ですか?

不要ではありません。クラウド事業者の対策に加えて、学校側のアカウント管理、権限設定、端末、認証、データ連携、ログ確認、委託先管理が必要です。文部科学省の2025年3月版ガイドラインを基準に、データの保管場所、暗号化、バックアップ、障害復旧、再委託、契約終了時の返却・消去を確認し、学校と事業者の責任分界を契約に反映します。

まとめ

校務支援システムの発注を成功させるまとめ

学校・教育機関向け校務支援システムを発注するときは、製品比較から始めず、学校種別、対象校、業務範囲、導入目的を整理します。そのうえで、標準パッケージ・SaaS、県域や自治体の共同利用、準スクラッチ、フルスクラッチの順に、必要な作り込みと運用負担を比較します。

発注前に業務・データ・契約の条件をそろえます

RFPでは、機能だけでなく、現状業務、データ移行、年度更新、認証・権限・ログ、バックアップ、導入研修、ヘルプデスク、障害対応、データ返却を具体化します。請負、準委任、SaaSの役割を工程ごとに整理し、見積は導入費、利用料、移行費、研修費、保守費、追加開発費に分けて比較します。

小さく試して効果を測り、使い続けられる仕組みにします

委託先の評価では、機能数や初期費用だけでなく、同規模の導入経験、データ移行の品質、現場研修、繁忙期の支援、セキュリティ、契約終了時のデータ扱いを確認します。代表校でPoCとテスト移行を行い、入力時間や転記回数などの効果を測ってから段階展開すれば、校務DXを現場の負担増にしにくくなります。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。