有価証券管理システムの開発費用は、限定的な残高管理なら500万円〜2,000万円程度、標準パッケージやSaaSの導入なら1,000万円〜5,000万円程度、独自の会計・決済・外部連携まで作り込むなら3,500万円〜6,000万円程度が一つの目安です。ただし、実際の値段は初期開発費だけでなく、データ移行、接続先、テスト、セキュリティ、月額利用料、制度改定対応を含む5年総額で判断する必要があります。
「有価証券管理システム開発の見積相場や費用を知りたい」と考えても、株式や債券の残高を登録するだけのツールと、約定・受渡・カストディ・会計・法定帳票まで扱う基幹システムでは規模が大きく異なります。本記事では、2026年時点の参考価格、費用の内訳、見積もりが高くなる要因、パッケージとスクラッチの選び方、コスト最適化の進め方を、発注前に確認できる形で解説します。
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・有価証券管理システム開発の完全ガイド
有価証券管理システムの費用を考える前に全体像を整理します

有価証券管理システムは、銘柄名と保有数量を記録する台帳ではありません。取引の発生から約定、受渡、残高、時価評価、利金・配当、会計仕訳、社内外への報告までを正しい順序でつなぎ、後から検証できる状態にする業務システムです。まず自社が必要とする範囲を明確にしなければ、開発費用の比較もできません。
事業会社向けと金融機関向けでは必要な範囲が違います
事業会社が保有する上場株式、政策保有株式、投資信託、社債などを管理する場合は、銘柄・保有先・取得価額・時価・評価損益・配当・会計連携・グループ会社の集約が中心になります。XNETの公式サービスでも、配当情報や資本異動情報を使った配当計上、合併・株式分割などのコーポレートアクション、子会社の情報を一元管理する機能が示されています(出典: 株式会社エックスネット「有価証券管理」、2026年確認)。この範囲なら、既製サービスを設定して会計やERPと連携する方式が有力です。
一方、銀行、信託銀行、保険会社、投資運用会社などでは、注文や約定の入力、証券会社への発注、信託銀行への指図、カストディアンとの照合、複数帳簿、ファンド別計理、評価、決算、顧客向けレポートまで求められることがあります。対象資産が外国証券やデリバティブに広がり、取引量や締め時刻、障害時の再処理も厳しくなるため、同じ「有価証券管理」という名前でも費用は数倍以上に膨らみます。
フロント・ミドル・バックをどこまでつなぐかが出発点です
費用を左右する最初の分岐は、フロント・ミドル・バックのどこを対象にするかです。フロントは投資判断、注文、約定入力、発注を担い、ミドルはポートフォリオ、リスク、照合、承認を担います。バックは受渡、保管、利金・配当、償還、会計、報告を担います。三つを一つの画面にまとめる必要はありませんが、データの受け渡しと責任分界は設計しておく必要があります。
第一ライフテクノクロスの公開事例では、XNETのフロント・バック、BlackRockのAladdin、証券会社、日本カストディ銀行、経理・信託システム群が連携しています。これは単独のシステムを新しく作る事例というより、既存サービスを組み合わせて約定情報、指図、残高、経理データを流す設計の事例です(出典: 第一ライフテクノクロス株式会社「有価証券管理システム|開発実績」、2026年確認)。見積もりでは画面数より、接続先とデータフローを先に数えることが重要です。
有価証券管理システム開発の進め方と費用が発生する工程です

開発会社から受け取る見積書を比較するには、工程ごとの成果物を把握する必要があります。要件定義を安く見せて後工程で追加請求するケースもあるため、金額だけでなく、どの工程で何を決め、誰が検証し、どの状態で検収するのかを確認します。
現状把握と構想で対象範囲を決めます
最初に、銘柄登録、取引入力、約定、受渡、照合、評価、仕訳、帳票、監査対応の流れを業務担当者とIT担当者で可視化します。Excelで補正している項目、担当者が手作業で再計算している項目、締め時刻に間に合わない処理、取消や訂正が発生したときの手順まで洗い出します。ここを省くと、現行業務の例外処理が本番稼働直前に発見され、追加開発とテスト費用が発生します。
現状把握の成果物は、業務フロー、データ項目一覧、接続先一覧、権限マトリクス、現行帳票、移行対象の件数です。たとえば「残高を管理する」ではなく、「営業日ごとに何時までに、どのカストディから、どの通貨のデータを受け取り、差異が出たら誰が承認して再処理するか」まで書くと、後の見積もりが具体的になります。
要件定義とFit & Gapで標準化の範囲を決めます
要件定義では、対象資産、口座、通貨、市場カレンダー、約定・受渡、利金・配当、償還、取得原価、時価、評価損益、会計基準、複数帳簿、帳票、権限、操作ログ、APIやファイル連携を決めます。正常系だけでなく、取消、訂正、重複受信、相手先停止、再送、休日変更、評価価格の欠損、決算後の修正まで仕様に含めます。
次にパッケージやSaaSの標準機能を確認し、業務を標準に合わせるFit to Standard、APIや周辺ツールで補う方法、最小限のカスタマイズ、独自開発の順に比較します。JUASの「ソフトウェア・メトリクス調査2026」でも、パッケージやSaaSを活用する際のFit to Standardと、標準仕様との差分を見極めるFit to Gapが整理されています(出典: 一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会「ソフトウェア・メトリクス調査2026」、2026年)。標準機能との差分を一覧化すれば、アドオン費用と将来の更新検証費を見積もりに含められます。
方式選定と連携設計で初期費用を決めます
方式は、国内パッケージやSaaS、グローバル投資会計プラットフォーム、複数製品を組み合わせるハイブリッド、スクラッチ開発に分けて考えます。国内制度や会計・税務への追随を重視するなら国内サービス、多資産・運用分析を重視するならグローバル製品、独自業務が競争力に直結するならスクラッチという整理が基本です。全面刷新ではなく、銘柄・残高・評価から始め、約定・決済、会計、分析へ段階的に広げる方法もあります。
連携設計では、証券会社、取引所、カストディアン、信託銀行、会計、ERP、OMSやPMSとの間で、どのデータをどの頻度で受け渡すかを決めます。2025年には日本電子計算のOmegaFSシリーズと、エックスネットの投信計理業務用サービスIMバックを直接電子接続する機能が発表されました(出典: 日本電子計算株式会社「OmegaFSシリーズとIMバックの直結機能の提供開始」、2025年)。既存サービス同士を接続できれば、全面的な独自開発を避け、連携部分に予算を集中できます。
移行・テスト・稼働後運用までを開発費に含めます
過去の簿価、取引履歴、残高、利金・配当、評価価格、マスタを移行する場合は、データ項目の対応付け、欠損補完、重複排除、サンプル検証、残高と会計数値の突合が必要です。移行件数が少なくても、過去の制度やシステムごとに形式が違えば作業は増えます。移行リハーサルを1回で終わらせず、決算再現まで行うと、稼働後の手戻りを抑えられます。
テストは単体・結合・総合・業務受入に加え、性能、権限分離、監査ログ、障害、再送、バックアップ復元、災害復旧を含めます。リリース後は、制度改定や新しい資産クラスに対応する保守窓口、SLA、マスタ配信、問い合わせ対応、バージョンアップ検証の費用が発生します。初期見積もりにこれらがない場合は、月額保守や追加作業の条件を別途確認します。
有価証券管理システムの費用相場とコストの内訳です

以下の価格帯は、公開定価を集計したものではなく、NotebookLMによる類似する金融・資産運用基幹システムの試算と、要件規模から整理した2026年時点の参考レンジです。金融系の有価証券管理製品は個別見積もりが多いため、金額を断定せず、対象範囲と前提条件をセットで比較してください。
開発方式ごとの初期費用の目安です
限定機能の小規模ツールは、残高、評価損益、簡易レポートを中心に500万円〜2,000万円程度です。外部連携や厳格な会計処理を絞り、利用部門も少ない場合の価格帯です。標準パッケージやSaaSの導入は、初期設定、権限、帳票、データ連携、移行、教育を含めて1,000万円〜5,000万円程度が目安です。月額利用料、データ配信料、追加ユーザー料は別に発生することがあります。
パッケージに大規模なアドオンを加える場合は、追加開発だけで1,800万円〜3,500万円程度となることがあります。独自の会計、承認、帳票、例外処理を多く作るスクラッチ開発は3,500万円〜6,000万円程度が一つの目安です。フロントから決済、会計、信託指図までを複数拠点・複数カストディで一体化する全社基幹やSTP構築では、1億円から数十億円以上になることもあります。
初期費用は要件定義から移行・教育まで分解します
見積書では、要件定義・企画に10〜20%、設計・実装に40〜50%、テストに15〜25%、プロジェクト管理や監査ドキュメントに10〜15%、インフラ・データ移行に10〜25%程度を置いて確認します。これらは案件ごとに重複し得る概算であり、合計比率として固定するものではありません。重要なのは、安い見積もりほど移行、非機能、受入テスト、稼働支援が抜けていないかを見ることです。
たとえば開発費が2,000万円でも、データ移行が別途500万円、外部連携が別途800万円、性能・障害テストが別途300万円なら、稼働までの支出は3,600万円になります。RFPでは「開発一式」ではなく、工程、成果物、作業件数、想定工数、除外事項を記載して、同じ条件で各社に見積もってもらいます。
月額・データ・保守を含む5年TCOで比較します
ランニングコストには、SaaSやクラウドの月額利用料、ユーザー数や取引量に応じた従量料金、銘柄・価格・配当などのデータ配信料、監視・バックアップ、保守契約、問い合わせ、制度改定、バージョンアップ検証、追加帳票、脆弱性対応が含まれます。金融業務では制度改定を止められないため、保守費を単なる問い合わせ窓口の料金として扱わないことが大切です。
参考として、標準機能中心のSaaSやアウトソーシングを5年使う場合は4,800万〜8,400万円程度、アドオンが大きいパッケージは7,500万〜1億3,400万円程度、スクラッチは5,250万〜9,000万円程度という試算があります。これは公開価格ではなく推定値です。初期費用だけならスクラッチが安く見える場合でも、制度対応や保守要員を自社で抱えるとTCOが逆転することがあります。
有価証券管理システムの価格が変動する要因です

同じパッケージを導入しても、資産の種類、取引量、連携先、データ履歴、セキュリティ水準、利用者数によって価格は変わります。金額差を「開発会社の単価差」と決めつけず、差分の中身を確認すると、必要な投資と削れる要件が見えてきます。
対象資産と取引量が業務ロジックの複雑さを左右します
国内株式と債券だけを管理する場合と、外国証券、投資信託、私募投信、デリバティブ、担保、貸借まで管理する場合では、必要なマスタと計算ロジックが違います。利金、償還、分配、為替、アモチゼーション、アキュムレーション、評価価格の優先順位などが資産ごとに異なるためです。対応資産を後から増やすと、画面追加だけでなくデータモデル、会計、帳票、テストも広がります。
取引量が増えると、性能要件と運用設計も変わります。月数百件の取引と、複数拠点から日々大量に受信する取引では、夜間バッチの時間、同時実行数、再送、重複排除、監視の作り方が異なります。見積もり時には年間取引件数だけでなく、1時間あたりのピーク件数、締め時刻、許容遅延、障害時の再処理件数を伝えます。
外部連携と移行データが見積もりを押し上げます
有価証券管理システムは単独で完結しないことが多く、接続先一つごとに電文やファイル形式、認証、送受信時刻、エラー処理、照合ルールを確認します。証券会社、信託銀行、カストディアン、会計、ERP、データベンダーと接続する場合、正常に受信できるだけでなく、欠損、遅延、重複、訂正、相手先停止を検知して再処理できる必要があります。
移行では、現行データの品質が最大の不確定要素になりやすいです。銘柄コードの揺れ、旧システムと新システムの勘定科目差、過去取引の不足、簿価と会計帳簿の差異を先に調査し、移行対象と参照保存対象を分けます。全履歴を完全移行するより、現行残高と必要な履歴を正確に移し、古い明細は監査用アーカイブに分ける方が、費用とリスクを抑えられる場合があります。
セキュリティと非機能要件を後付けにしないことが重要です
金融業務に関わる場合は、認証、権限分離、特権ID、暗号化、鍵管理、操作ログ、ログの改ざん耐性、脆弱性管理、バックアップ、災害復旧、監査対応を見積もりに含めます。FISCは2026年3月に「金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準・解説書」第14版を発行し、金融情報システムの開発・導入・運用で必要と考えられる安全対策を示しています(出典: 公益財団法人金融情報システムセンター「安全対策基準・解説書 第14版」、2026年)。
金融庁も2025年に金融分野のサイバーセキュリティに関するガイドラインを公表し、2025年7月には関係組織の改組に伴う一部改正を行っています(出典: 金融庁「金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドラインの一部改正について」、2025年)。FISCの基準や金融庁のガイドラインは、そのまま一律の開発仕様になるわけではありませんが、対象業態や委託形態に応じたリスク管理の確認材料です。クラウドを使う場合は、データ所在、監視、障害通知、復旧時間、再委託、監査権限など責任共有の範囲を契約書に落とします。
有価証券管理システムのコストを最適化するポイントです

コスト最適化は、機能を一方的に削ることではありません。決算の正確性、照合、監査証跡、障害復旧など削れない品質を守りながら、独自性の低い業務を標準化し、段階導入と既存連携で作り過ぎを避けることです。初期費用と運用費の両方を見ながら、5年後に残る負担を減らします。
標準機能を優先し、段階導入で投資を分けます
独自帳票や承認画面をすべて再現する前に、標準機能で業務を運用できるか検討します。帳票の見た目を完全に合わせるより、必要な項目をCSVやBIへ出力する方が安く、制度改定時の保守もしやすいことがあります。ただし、会計数値、職務分離、監査証跡、再処理など業務の信頼性に直結する部分は、見た目の簡素化と混同して削らないようにします。
導入初期は、銘柄・残高・評価・標準帳票など効果が見えやすい範囲から始め、次に約定・決済、会計、外部カストディ、リスク分析へ広げる方法があります。段階ごとに業務受入と投資対効果を確認できるため、予算を分割でき、要件の不確実性も減らせます。複数年計画にする場合は、将来フェーズの接続方式を初期設計で確保します。
既存サービスとデータを再利用し、作り直しを減らします
既存の会計、ERP、OMS、PMS、カストディ連携が安定しているなら、すべてを新システムに移す必要はありません。APIや標準ファイルで必要なデータだけ連携し、責任分界を明確にする方が、移行費と障害リスクを抑えられます。連携仕様が古くても、変換層を一つ設ければ、コア業務を大きく改修せずに新しいサービスと接続できる場合があります。
データ移行も、過去の全明細を新システムの業務データとして持ち続けるか、現行残高と重要履歴だけを移行し、旧データを検索可能なアーカイブにするかを比較します。監査や決算で必要な期間・項目を先に定義し、不要なデータ変換を減らします。移行前にデータクレンジングを行えば、新システム側の例外処理や手作業の補正も減らせます。
パッケージ・クラウド・ハイブリッドをTCOで選びます
パッケージは金融業務の標準機能や制度対応を利用でき、開発期間を短くしやすい一方、差分が増えるとアドオンと更新検証が重くなります。SaaSはインフラ運用を軽くしやすい一方、月額、データ配信、利用量、契約期間、データ持ち出し、障害時の復旧条件を確認します。スクラッチは業務適合性が高い一方、制度改定、脆弱性対応、担当者の継承まで自社の責任になります。
一つの方式に決め打ちせず、たとえば投資分析はグローバル製品、国内の有価証券管理や計理は国内サービス、会計や経営分析は既存ERPというハイブリッドも比較対象にします。5年間の初期費用、月額、追加開発、データ料、保守、移行、制度対応、終了時のデータ返却を合算し、業務停止リスクも含めて判断すると、見かけの安さに引きずられにくくなります。
有価証券管理システムの見積もりを取る際のポイントです

有価証券管理システムは、業務要件を十分に伝えないまま相見積もりを取ると、各社が異なる前提で金額を出してしまいます。見積書を比較する前に、対象範囲、データ、連携、非機能、成果物、保守を同じフォーマットで提示することが重要です。
RFPには資産・取引・移行・非機能を具体的に書きます
RFPには、対象資産、銘柄数、口座数、年間とピーク時の取引件数、拠点、通貨、市場、締め時刻、約定・受渡、利金・配当、評価、会計基準、帳票、利用者と権限を記載します。さらに、接続する証券会社、信託銀行、カストディアン、会計、ERP、データベンダー、連携方式、送受信頻度、エラー時の再送条件も明記します。
データ移行では、現行システム数、銘柄・残高・簿価・取引履歴の件数、保持期間、データクレンジングの担当、移行リハーサルの回数、照合基準を示します。非機能では、稼働時間、性能、RTO・RPO、バックアップ、監視、MFA、職務分離、操作ログ、脆弱性対応、監査、クラウドのデータ所在と再委託条件を確認します。
複数社を価格だけでなく業務理解と担当範囲で比べます
候補会社には、類似する業態、資産クラス、取引量、会計基準、接続先を扱った実績を確認します。実績があるという説明だけでなく、どの会社が製品を提供し、どの会社が要件定義・連携・移行・運用を担当したか、制度改定にどう対応したか、稼働後のSLAは何かを聞きます。金融業務を理解していても、自社の対象範囲と一致しないことがあるためです。
比較表には、初期費用、月額、データ料金、追加開発単価、移行費、テスト費、保守費、制度改定費、5年TCO、納期、前提条件、除外事項を並べます。最安値の会社には、なぜ安くできるのか、標準機能で対応するのか、作業を発注者側に移しているのかを確認します。高い見積もりにも、冗長化、復旧訓練、移行リハーサルなど必要な品質が含まれている場合があります。
契約方式と検収基準を先に合意します
要件が固まっていない構想・要件定義は準委任で進め、仕様と成果物が確定した開発・テストは請負にするなど、工程ごとに契約方式を分ける方法があります。すべてを一括請負にすると、曖昧な要件が価格に上乗せされるか、後から変更契約が増えることがあります。逆にすべてを準委任にすると、予算上限や成果責任が不明確になりやすいです。
検収基準は、画面が動くことだけでなく、残高・簿価・評価損益・仕訳が基準データと一致すること、約定訂正や再送が処理できること、権限分離とログが確認できること、性能・復旧時間を満たすことまで定義します。再委託、クラウド利用、監査権、障害時の連絡、データ返却、終了時の移行支援も契約に含めれば、稼働後の予想外の費用を抑えられます。
2026年の見積もりで外せない最新動向とセキュリティです

有価証券管理システムの開発費用は、機能だけでなく、クラウド活用、外部委託、サイバーリスク、レジリエンスを含めて考える必要があります。2026年の発注では、安定稼働を「サーバーを用意すること」だけで終わらせず、障害や攻撃を受けた後に業務を再開できるかまで見積もります。
FISCと金融庁の資料をRFPの確認軸にします
FISC第14版や金融庁のサイバーセキュリティ関連資料を参照し、対象業態に必要な対策をRFPへ落とし込みます。具体的には、多要素認証、特権操作の承認、職務分離、暗号化、鍵管理、監査ログ、脆弱性診断、第三者リスク、バックアップ、復旧訓練、インシデント発生時の報告経路を確認します。これらは後から追加すると、設計変更と再テストが必要になるため、要件定義の段階で費用化します。
クラウドや外部委託を利用する場合は、委託先の選定基準、サービス水準、再委託手続き、監査権限、データの保存場所、終了時の返却・消去を確認します。金融庁のガイドラインは対象となる金融事業者や関連事業者に応じて確認が必要であり、すべての会社に同じ要件を適用するものではありません。自社の業態と業務リスクに合わせて、必要な対策と費用を決めます。
クラウドと電子接続で全面刷新の範囲を見直します
近年は、業務パッケージやSaaSを利用し、APIや標準ファイルで周辺システムと連携する構成が選びやすくなっています。パッケージの標準機能、クラウド基盤、データ連携、業務運用を分けて見積もれば、すべてを自社で保守する必要がなくなります。ただし、クラウドを選べば自動的に安くなるわけではなく、データ配信料、ネットワーク、監視、バックアップ、セキュリティ評価、契約変更の費用まで確認します。
2025年のJIPとXNETの連携発表のように、既存サービス間の電子接続が利用できる場合は、独自の変換プログラムや手作業を減らせる可能性があります。発注前に「既存製品の標準連携で対応できる範囲」「追加APIが必要な範囲」「相手先との契約やデータ費用」を確認し、全面刷新と部分刷新の両方を比較することが、過剰投資を防ぐポイントです。
有価証券管理システムの費用に関するよくある質問

有価証券管理システムの費用は、業態や対象範囲によって大きく異なります。ここでは、発注前によく寄せられる質問に対して、判断の基準を直接回答します。
有価証券管理システムの開発費用はいくらからですか?
残高や評価損益、簡易レポートに機能を絞った小規模ツールなら、500万円〜2,000万円程度が参考になります。ただし、金融機関との外部連携、厳格な会計、過去履歴の移行、監査ログ、災害復旧まで含める場合は、この価格帯を超える可能性が高いです。正式な金額は、対象資産と連携先を定義したRFPの後に確認します。
パッケージとスクラッチ開発はどちらが安いですか?
初期費用だけなら、標準機能を使えるパッケージやSaaSが安くなりやすいです。しかし、独自会計や特殊な承認、帳票、外部接続を大量に追加すると、アドオン費用と更新検証費が増えます。スクラッチは初期投資が大きくなりやすい一方、業務に合わせやすいため、5年TCO、制度対応の負担、社内で保守できる人材まで含めて比較する必要があります。
見積もり前に何を準備すればよいですか?
対象資産、銘柄数、取引量、業務フロー、現行帳票、連携先、移行件数、利用者と権限、稼働時間、RTO・RPO、セキュリティ要件を準備します。特に、取消・訂正・再送・相手先停止などの例外処理と、決算や監査で必要な履歴を明記すると、後から追加費用になりやすい要件を先に見積もれます。現行システムの画面やファイルサンプルも、機密情報を適切にマスキングして提示します。
初期費用と月額費用はどのように比べればよいですか?
初期費用に、月額利用料・データ配信料・保守料・追加開発・制度改定・移行支援・セキュリティ評価を5年分加え、5年TCOとして比較します。さらに、障害や手作業による照合、決算遅延、監査対応の工数も業務コストとして整理します。安い方式を選ぶのではなく、必要な正確性と運用負担を満たす方式の中で、総額とリスクが最も妥当なものを選びます。
まとめ:有価証券管理システムは5年TCOと業務範囲で見積もります

有価証券管理システムの費用相場は、限定機能なら500万円〜2,000万円程度、標準パッケージやSaaSなら1,000万円〜5,000万円程度、スクラッチなら3,500万円〜6,000万円程度が目安です。フロント・ミドル・バック、外部カストディ、会計、複数拠点まで統合する場合は、1億円以上の基幹投資になることもあります。これらは参考レンジであり、正式な価格は要件、連携、移行、セキュリティによって変わります。
初期価格ではなく5年TCOで判断します
比較では、要件定義、設計・実装、テスト、移行、教育、月額、データ配信、保守、制度改定、バージョンアップ、セキュリティ、終了時のデータ返却までを合算します。標準化できる業務はFit to Standardで整理し、独自性が高い部分に開発費を集中させます。既存サービスの連携や段階導入も含めれば、全面刷新以外の現実的な選択肢を作れます。
RFPで前提を揃えてから開発会社へ相談します
発注前には、対象資産、取引量、連携先、移行件数、例外処理、権限、RTO・RPO、監査証跡、保守と制度対応をRFPに記載します。複数社の見積もりを同じ条件で比較し、金額の差が機能差なのか、作業範囲の差なのかを確認します。有価証券管理システムは会計や決済の正確性に直結するため、安さだけでなく、金融業務の理解、移行とテストの実績、稼働後の責任体制まで含めて選ぶことが重要です。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
