証券取引システムの開発会社を選ぶなら、取引画面だけでなく、注文管理・約定・決済・残高・コンプライアンスまでの範囲と、金融業務に対応できる運用体制を比較することが重要です。
本記事では、証券取引システムの開発・導入を検討する企業に向けて、株式会社riplaを最初に、実在する開発会社・ベンダー5社を含む計6社を紹介します。取引フロントに強い会社、証券バックオフィスに強い会社、大規模な取引基盤に強い会社という視点で整理し、選定時の確認ポイントや2026年時点で重視したいセキュリティ要件も解説します。
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・証券取引システム開発の完全ガイド
証券取引システムの開発パートナー選びが重要な理由

証券取引システムは、一般的なWebサービスよりも、データの正確性、処理の即時性、障害時の復旧性、法令・制度への対応が強く求められます。したがって、見積金額や画面のデザインだけで開発会社を決めると、後から接続先や監査ログ、移行、制度改正対応の費用が膨らみやすくなります。
システムの範囲と責任分界を決める必要があるためです
証券取引システムには、口座開設や本人確認を行うフロント、注文を受け付けて余力・リスクを判定するOMSやミドル、約定照合・決済・会計・帳票を扱うバックオフィスがあります。さらに、取引所、清算機関、振替機関、銀行、相場情報会社との連携、監査ログ、バックアップ、遠隔地のDRまで含めると、画面開発だけでは完結しません。最初に「自社が保有する機能」と「外部サービスへ委託する機能」を決め、障害発生時に誰が復旧判断を行うかまで契約で明確にできる会社を選ぶことが大切です。
金融業務とセキュリティを継続的に支えられる必要があるためです
金融庁の監督指針では、ログイン、出金、出金先口座の変更など重要な操作に対して、パスキーなどフィッシングに耐性のある多要素認証を実装し、原則として必須化する考え方が示されています(出典: 金融庁「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」、令和8年7月)。開発会社には、認証機能を作れるかだけでなく、不正アクセスの振る舞い検知、取引通知、監査証跡、アカウントロック、復旧訓練まで含めた提案を求める必要があります。制度改正や攻撃手法の変化に合わせて保守できる体制かどうかも、初期開発費と同じくらい重要です。
株式会社ripla|コンサルティングから開発まで一気通貫で支援

riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援できる企業です。IT事業会社として社内DXを推進してきた経験を活かし、ビジネスへの成果創出とシステムの定着支援に強みがあります。営業・顧客・生産・販売管理など、幅広い基幹システムの構築・導入実績があり、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制を整えています。
特徴と強み
riplaの強みは、業務整理や要件定義だけ、または実装だけを切り離すのではなく、事業上の目的から運用定着までを一つの流れで支援できる点です。証券取引システムを検討する場合も、まず対象商品、顧客区分、取引フロー、既存システムとの責任分界を整理し、必要な機能を段階的に定義できます。既存のパッケージや外部APIを活用しながら、独自業務に必要な部分を開発するハイブリッド構成も検討しやすく、過剰なスクラッチ開発を避けたい企業に適しています。
得意領域・実績
営業・顧客・生産・販売管理などの基幹システム構築で培った業務理解を活かし、証券関連の新規サービスや社内業務基盤の企画から伴走したい企業に向いています。取引所級の超低遅延基盤を単独で置き換える案件では、専門ベンダーとの連携や担当範囲の確認が必要になりますが、利用者向け画面、業務管理、データ連携、周辺システムの改善を含めて柔軟に相談したい場合は有力な候補になります。
野村総合研究所(NRI)|証券総合バックオフィスを長期運用

野村総合研究所は、証券会社向けの総合証券バックオフィスシステム「THE STAR」を提供する大手IT企業です。THE STARは口座開設、注文・決済、情報系、コンプライアンス、営業日報、財務会計までを扱い、対面販売、インターネット取引、ホールセール、証券仲介業などに対応します。公式情報では、2025年3月時点でTHE STARの利用社数は83社とされています(出典: 野村総合研究所「金融ITソリューションのミッション」)。
特徴と強み
THE STARは1974年の稼働以来、証券業務の変化に合わせて改良されてきたサービスです。共同利用型のASP、アウトソーシング、SI部品という導入形態を選べるため、自社で全機能を保有する場合と運用を外部化する場合を比較できます。特に、注文後の残高更新、余力管理、受渡、報告書など、誤りが許されにくいバックオフィスを既存の業務知見とともに整備したい企業に強みがあります。
得意領域・実績
証券会社の基幹・バックオフィス刷新、ネット証券の口座管理、銀行が証券仲介を始める際の業務基盤など、業務範囲が広く、制度対応を継続する必要がある案件に向いています。一方で、独自性の高い取引画面だけを短期間で作りたい企業には、サービスの対象範囲や導入条件が合わない可能性があります。提案時には、標準機能と個別カスタマイズの境界、年間の制度改正対応費、データ移行の責任分界を確認してください。
株式会社トレードワークス|ネット証券取引と金融セキュリティに強み

株式会社トレードワークスは、金融ソリューションを中心に、インターネット証券取引システム、不公正取引監視システム、証券取引所売買端末などを提供する企業です。株式だけでなく、FXやCFDなど複数商品を扱うネット取引サービスのフロントと周辺機能を検討する際に、候補にしやすい会社です。
特徴と強み
取引画面の使いやすさだけでなく、注文・約定の処理、不公正取引の監視、チャート、認証を金融業務の流れに組み込みやすい点が特徴です。公式サイトでは、2025年に証券会社向け多要素認証基盤「SpotPath」を開発し、パスキー認証の導入事例を公表しています。2026年2月にはマネックス証券向けの米国株取引サービス新システム稼働開始も掲載されており、ネット証券領域での継続的な開発実績を確認できます(出典: トレードワークス「金融ソリューション製品情報」)。
得意領域・実績
ネット証券、銀行系証券、複数アセットの取引サービス、セキュリティ強化を急ぎたい企業に適しています。特に、フィッシング対策としてパスキーを標準化したい場合は、認証だけを別会社に任せるのか、取引基盤と一体で設計するのかを相談できます。バックオフィス全体を刷新する場合には、口座・残高・決済・会計を担う別システムとの連携範囲と、障害時の注文再処理を提案書に記載してもらうことが重要です。
富士通株式会社|大規模・高可用性の取引基盤を支援

富士通株式会社は、金融機関や社会インフラの大規模システムを長年支援してきた総合ITベンダーです。証券取引では、取引所接続や市場系基盤、データセンター、ネットワーク、運用監視などを含め、止めにくいシステムを全体設計したい場合に検討しやすい会社です。
特徴と強み
証券取引システムでは、平常時の処理速度だけでなく、注文集中時の処理能力、サーバーや回線の冗長化、監視、災害対策、復旧訓練を一体で設計する必要があります。東証のarrowhead4.0は2024年11月に稼働し、公式情報では注文応答時間が約0.2ミリ秒とされています(出典: 日本取引所グループ「システム概要(arrowhead)」)。この数字は一般的なWeb取引画面の必須性能ではありませんが、市場インフラ級では非機能要件が事業要件そのものになることを示しています。
得意領域・実績
取引所、清算、相場配信、大手金融機関の基幹・インフラ更改など、可用性と運用体制を最優先にする大規模案件で強みを発揮しやすいです。一方で、取引フロントだけを小さく立ち上げる案件では、必要以上に構成が大きくなる可能性があります。提案を受ける際は、富士通が担当する基盤範囲と、業務アプリケーションや証券業務パッケージを担当する協力会社の分担を明確にし、責任の所在を確認してください。
BIPROGY株式会社|資金証券管理とSaaS導入を支援

BIPROGY株式会社は、資金証券業務を管理する「Siatol-NE」を提供するITベンダーです。Siatol-NEは国内証券、外国証券、資金、分析の4つのサブシステムで構成され、約定から決算までのプロセスを支援します。証券会社の顧客向け取引画面そのものよりも、金融機関内の市場系バックオフィスや資金・証券管理を整備したい場合に適した候補です。
特徴と強み
公式情報では、Siatol-NEをMicrosoft Azure上で稼働させる「Siatol-NE SaaS」も提供されています。商品追加をサブシステムやモジュール単位で進められるため、国内証券から始めて外国証券や分析機能を追加するなど、段階導入を検討できます。制度対応、当局報告、社内管理資料に必要な情報を検索・作表できることも、証券業務の実務では大きな利点です(出典: BIPROGY「資金証券管理システム Siatol-NE」)。
得意領域・実績
銀行や金融機関の市場系業務、国内外の証券を扱う資金証券管理、既存システムからSaaSへ移行したい企業に向いています。導入時には、顧客向けOMSや注文画面との連携、約定データの受け渡し、権限管理、データ保存期間、Azure障害時の復元目標を確認してください。SaaSで運用負担を下げられても、個別帳票や独自の承認フローを追加すると費用が増えるため、標準機能で業務を合わせられるかの検証が重要です。
シンプレクス株式会社|デリバティブやトレーディング領域に対応

シンプレクス株式会社は、金融機関向けのトレーディングやデリバティブ領域で実績を持つIT企業です。日本取引所グループのJ-GATE3.0 ISV一覧には、シンプレクスの「SimplexBLAST」や「Stream」が掲載されています。先物・オプションなどの商品を扱い、取引所との接続や発注・訂正・取消を含む専門的なフロント・ミドル機能を検討する場合に候補となります。
特徴と強み
デリバティブ取引では、商品ごとの注文条件、証拠金、リスク計算、取引所接続、約定後のポジション管理など、一般的な株式フロントとは異なる専門性が必要です。シンプレクスは、取引を支援するフロントだけでなく、金融機関の業務や収益モデルを踏まえたシステム企画を重視する企業として知られています。取引対象を明確にしたうえで、リアルタイムのリスク管理、アルゴリズム注文、監査ログ、障害時の再送制御をどこまで標準化できるか確認してください。
得意領域・実績
先物・オプション、機関投資家向けトレーディング、取引所接続、ミドルオフィスのリスク管理を重視する企業に向いています。J-GATE3.0のISV掲載は接続や関連製品を検討するうえで参考になりますが、掲載だけで自社要件への適合が保証されるわけではありません。対象市場、注文量、許容遅延、利用者区分、既存の決済・会計システムとの連携、導入後の運用体制をRFPに書き、デモやPoCで確認することが大切です(出典: 日本取引所グループ「ISV一覧 J-GATE3.0」)。
証券取引システムのパートナー選びで確認すべきポイント

6社は得意分野が異なるため、知名度だけで順位を付けるより、自社の取引商品とシステム範囲に照らして評価することが重要です。RFPには機能要件と非機能要件を分けて記載し、各社が同じ前提で見積もれる状態を作ってください。
実績は自社と近い条件で確認します
「金融機関の実績がある」という説明だけでは不十分です。株式なのかFXなのか先物・オプションなのか、顧客向け取引なのか社内の市場系業務なのか、取引所接続があるのか、同時注文数と稼働時間はどれくらいかを確認してください。NDA締結後に、同規模案件の導入期間、障害件数の傾向、制度改正対応、移行リハーサル、稼働後の一次対応を質問すると、実績の近さを判断しやすくなります。
技術力と専門性は機能ではなく運用まで評価します
評価すべき技術は、画面のモダンさだけではありません。注文状態を一意に管理する仕組み、重複送信を防ぐ冪等性、約定・取消・部分約定の再処理、時刻同期、データ暗号化、特権ID管理、監査ログ、脆弱性診断、バックアップとDRを確認してください。2026年時点では、パスキーなどフィッシング耐性のある多要素認証を実装できることに加えて、ログインや取引の振る舞い検知、異常通知、復旧後の事後検証まで一連の運用として設計できることが重要です。
プロジェクト管理体制と見積条件を確認します
証券取引システムは、要件定義・設計20〜30%、実装30〜40%、テスト15〜20%という配分を仮置きしても、接続、移行、リハーサル、DR、保守で金額が変わります。これは公開統計ではなく、金融システムの相場情報と人月モデルをもとにした初期検討用の推定です。小規模な取引フロントで1,000万〜3,000万円、中規模の取引基盤で3,000万〜1億円、フロントからバックまで一体で構築する場合は1億〜5億円以上を想定し、各社には初期費用、年間保守、クラウド費、接続費、セキュリティ診断、移行費を分けて提示してもらってください。
証券取引システムについてよくある質問

証券取引システムの開発では、「取引画面を作るだけでよいのか」「既製サービスで対応できるのか」という疑問が生じます。ここでは、発注前に特に相談されやすい質問に直接回答します。
証券取引システムの開発費用はいくらですか?
証券取引システムの初期開発費は、対象範囲によって1,000万円台から5億円以上まで大きく変わります。取引フロントだけなら1,000万〜3,000万円、中規模のOMSや外部接続を含めると3,000万〜1億円、口座・決済・会計・帳票・DRまで含めると1億〜5億円以上が初期検討の目安です。ただし、公開された定価ではないため、商品、顧客数、ピーク注文数、接続先、移行データ、SLAを定義して個別見積りを取得してください。
パッケージやSaaSとスクラッチ開発はどちらがよいですか?
標準的な口座管理、決済、帳票を早く安定させたい場合は、パッケージやSaaSが適しています。独自商品、独自の注文制御、超低遅延、独自の収益モデルが競争力になる場合はスクラッチ開発が候補になりますが、制度改正、テスト、移行、24時間運用まで自社の責任が増えます。実務では、バックオフィスは実績あるサービス、フロントや独自機能はAPI・クラウドで開発するハイブリッド方式が現実的な選択肢になりやすいです。
開発会社にセキュリティ要件をどう伝えればよいですか?
ログインだけでなく、出金、出金先口座の変更、注文、取消、権限変更など重要操作ごとに認証と通知の要件を分けて伝えてください。パスキーなどのフィッシング耐性のある多要素認証、リスクベース認証、振る舞い検知、監査ログ、アカウントロック、脆弱性診断、インシデント時の連絡期限と復旧目標をRFPに記載します。技術機能だけでなく、運用担当者がどの画面で異常を確認し、どの手順で取引を止め、どのように再開するのかまで説明を求めることが重要です。
まとめ

証券取引システムの開発会社は、会社の規模だけでなく、対象商品、フロント・ミドル・バックの範囲、取引所や清算機関との接続、性能・可用性、セキュリティ、移行・運用体制で比較してください。今回紹介した6社は、riplaの一気通貫の業務支援、NRIの証券バックオフィス、トレードワークスのネット取引・認証、富士通の大規模基盤、BIPROGYの資金証券管理、シンプレクスのデリバティブ・トレーディングというように、得意領域が異なります。
まず自社の取引範囲を1枚に整理します
最初に、対象商品、顧客区分、注文の入口、約定・決済の流れ、接続先、ピーク注文数、許容停止時間、必要な認証と監査要件を書き出してください。そのうえで、標準機能で利用する部分、個別開発する部分、外部サービスに委託する部分を分けると、開発会社の提案と見積りを比較しやすくなります。
比較では初期費用と運用費を合わせて判断します
初期開発費だけを比較せず、ライセンス、クラウド、接続、監視、保守、制度改正、脆弱性診断、DR、データ移行、終了時のデータ返却まで含めた総保有コストで判断します。候補会社には同じRFPを渡し、標準機能と追加費用、SLA、障害時の責任分界、稼働後の改善体制を確認すると、長く運用できるパートナーを選びやすくなります。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
