サーバーレスシステムの開発費は、PoCや単機能APIで100万〜300万円、小規模な業務Web・APIで300万〜800万円、中規模の業務システムで800万〜2,000万円程度が企画段階の目安です。既存基幹との複雑な連携や段階移行まで含めると、1,500万〜4,000万円以上になる場合もあります。
サーバーを自社で管理しないからといって、開発費や運用費が自動的に安くなるわけではありません。API、関数実行基盤、データベース、ストレージ、ログ、監視、認証、ネットワーク、データ移行をどこまで設計するかで金額が変わります。この記事では、サーバーレスシステムの費用相場、内訳、月額料金、開発期間、見積もりの比較方法、コスト最適化のポイントを2026年時点の情報をもとに解説します。
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サーバーレスシステムの費用を左右する全体像

サーバーレスシステムとは、物理サーバーや仮想マシンの台数、OSパッチ、キャパシティを利用企業が直接管理せず、クラウド事業者のマネージドサービスを組み合わせて構築するシステムです。サーバーが存在しないのではなく、サーバーのプロビジョニングや保守の責任をクラウド側へ寄せる考え方です。そのため費用は、サーバー購入費から、設計・開発費とクラウド利用料、運用設計費へ移ります。
サーバーがなくなるのではなく管理範囲が変わります
従来型のシステムでは、サーバーの購入、設置、OS更新、容量計画、障害時の交換などが費用と作業の大きな部分を占めます。サーバーレスではこれらの負担を減らせますが、アプリケーションの分割、イベント設計、権限設定、データの整合性、ログの追跡、再実行の仕組みが必要です。インフラ運用費が減った分だけ、アーキテクチャ設計やクラウド運用の専門性が重要になります。
費用は関数だけでなく周辺サービスの合計です
典型的な構成は、Web画面またはモバイルアプリ、API Gateway、AWS LambdaやAzure Functionsなどの関数実行基盤、DynamoDB・Aurora Serverless・Cosmos DB・Firestoreなどのデータベース、オブジェクトストレージ、キュー、イベントバス、ワークフロー、認証、監視・ログです。関数の実行回数が少なくても、データベースを常時稼働させたり、NAT Gatewayや専用ネットワークを使ったりすると月額が増えます。見積もりでは、サービス名ごとに初期費用と月額費用を分けることが大切です。
アクセス変動が大きい業務と相性がよいです
サーバーレスは、注文受付、問い合わせフォーム、予約、申請、ファイル変換、定期バッチ、通知、IoTデータ処理、外部SaaS連携、業務APIのように、イベントを起点として処理する業務と相性がよいです。低負荷時は実行環境を縮退させ、繁忙時に自動で処理単位を増やせるため、繁忙期だけアクセスが増えるサービスではピーク用のサーバーを常時確保する必要を抑えられます。
一方で、常時稼働の低遅延処理、長時間のバッチ、特殊なミドルウェア、既存データベースへの密結合が強い基幹業務では、コンテナやマネージド仮想マシンを併用したほうが安定することがあります。サーバーレスを採用すること自体を目的にせず、負荷特性、データ整合性、障害時の復旧、運用体制まで含めて判断します。
サーバーレスシステムの費用相場はいくらですか?

結論として、サーバーレスシステムの開発費は、PoC・単機能API・簡易バッチなら100万〜300万円、小規模な業務WebやAPIなら300万〜800万円、中規模の業務システムなら800万〜2,000万円程度が目安です。既存基幹とのAPI連携、データ移行、並行稼働、監査、BCPまで含めると1,500万〜4,000万円以上になる場合があります。これらはサーバーレス開発だけを対象にした公的な市場統計ではなく、業務システムの開発費データと公開されたクラウド料金・事例から整理した企画用のレンジです。
PoC・単機能APIは100万〜300万円程度です
PoCや単機能APIでは、要件整理、数個の関数、API、マネージドデータベース、簡易認証、基本ログ、テストを含めて100万〜300万円程度が目安です。開発期間は1〜2か月程度が中心です。たとえば、問い合わせ受付をAPIで受け、データベースへ保存し、担当者へ通知する機能であれば、業務全体を作り替える案件より小さく始められます。
ただし、PoCでも本番に近い負荷試験、個人情報の扱い、権限設計、障害時の再実行まで確認する場合は費用が増えます。安いデモを作るだけでは、本番移行時に作り直しが発生するため、PoCの成果物にソースコード、構成図、負荷結果、月額試算、量産化の課題を含めるかを事前に決めます。
小規模な業務Web・APIは300万〜800万円程度です
認証付きの業務Web、予約、申請、通知、ファイル保管などを含む小規模システムは、300万〜800万円程度、期間は2〜4か月程度が目安です。画面、API、データベース、オブジェクトストレージ、CI/CD、開発・検証・本番環境、監視を一通り整備する規模です。利用者や権限が複数種類ある場合は、画面数よりも権限パターンと業務例外の整理に工数がかかります。
外部SaaSやメール、決済、会計、在庫などと接続する場合は、API仕様の調査、認証情報の管理、レート制限、失敗時の再送、相手先のメンテナンス対応が必要です。連携先が1つ増えるごとに単純な画面追加とは異なる設計・テストが発生するため、見積もりでは「外部連携一式」ではなく、連携先、方向、データ項目、頻度、エラー時の扱いを分けて確認します。
中規模・基幹連携は800万〜4,000万円以上です
複数部門の業務、外部SaaS連携、権限管理、データ移行、監視、イベント連携、ワークフローまで含む中規模案件は、800万〜2,000万円程度、期間は4〜8か月程度が目安です。既存の販売・在庫・会計・人事などの基幹と接続し、段階的にモダナイズする場合は、1,500万〜4,000万円以上、6〜12か月以上になることがあります。
この規模では、アプリの機能よりも移行と運用の条件が価格を大きく動かします。旧システムと新システムを並行稼働させる期間、データのクレンジング、切り戻し、監査ログ、災害対策、24時間の障害対応、複数リージョン、閉域ネットワークなどを追加すると、開発チームだけでなくインフラ・セキュリティ・業務側の調整工数も増えます。単価の違いだけでなく、含まれる工程と責任範囲を比較する必要があります。
サーバーレスシステム開発の費用内訳

サーバーレスの見積もりは、関数の本数だけで判断できません。企画・要件定義、アーキテクチャ設計、アプリ実装、データ設計、クラウド環境構築、テスト、移行、運用設計が別々の費用項目になります。初期開発費とクラウドの月額費用を分け、さらに保守契約の範囲を明示してもらうと、会社ごとの見積もりを比較しやすくなります。
要件定義と業務整理に費用がかかります
要件定義では、現状業務、利用者、入力情報、承認、通知、例外処理、ピーク時間、データの正本、既存システムとの境界を整理します。サーバーレスでは、業務フローをイベント単位に分解する必要があるため、画面一覧だけを渡しても正確な見積もりになりません。「受注が確定したら在庫を引き当てる」「ファイルが登録されたら変換して担当者へ通知する」のように、何が起きたら何をするかを明文化します。
業務整理を省略すると、後から「この場合だけ手動承認が必要」「失敗したデータを再送したい」「月末だけ処理件数が増える」といった条件が追加されます。要件膨張を防ぐため、MUSTとWANTを分け、初期リリースに含める業務と将来拡張を分けます。準委任で要件を詰め、仕様が固まった機能を請負で納品する分割も、変化の多い案件では選択肢になります。
設計・実装・クラウド構築を分けて考えます
アーキテクチャ設計では、同期処理と非同期処理、関数の分割、データベースの選択、キューやイベントバス、認証方式、リトライ、冪等性、タイムアウト、同時実行数を決めます。実装では、APIや画面、関数、データアクセス、エラー処理、管理画面、通知などを作ります。クラウド構築では、アカウント、ネットワーク、権限、環境分離、暗号化、監視、バックアップ、CI/CDを整備します。
コンソールで一度作って動かすだけなら初期費用は低く見えますが、本番環境を再現できず、担当者が変わったときに保守が難しくなります。Terraform、AWS CDK、AWS SAM、BicepなどのIaCを使い、開発・検証・本番を同じ手順で構築できるようにする費用を見積もりへ含めます。ソースコードだけでなく、IaC、設定一覧、構成図、運用手順を成果物に含めることが重要です。
テスト・データ移行・リリース準備を見落とさないことが大切です
サーバーレスでは、単体テストだけでなく、関数間の連携、キューの重複、リトライ、外部API停止、データベース接続数超過、タイムアウト、急増トラフィック、権限エラー、ログの追跡性をテストします。非同期処理が途中で失敗したときに、どこから再開するか、同じ注文や申請を二重登録しないかを確認する必要があります。これらの非機能テストを省くと、リリース後の障害対応費が膨らみやすくなります。
既存システムからの移行では、データの項目対応、欠損・重複の補正、移行リハーサル、並行稼働、切り替え、切り戻しを設計します。データ量、履歴保持期間、業務停止が許される時間、旧システムの出力形式によって工数が変わります。移行対象を全履歴にするのか、直近数年に絞るのか、参照用アーカイブを別にするのかを決めるだけでも、費用の幅を抑えられます。
監視・セキュリティ・保守設計も初期費用の一部です
マネージドサービスを使っても、アプリケーションの脆弱性、過剰なIAM権限、公開API、依存ライブラリ、秘密情報、ログへの個人情報混入は利用企業側の責任です。構造化ログ、分散トレーシング、メトリクス、アラート、バックアップ、脆弱性スキャン、鍵の管理、障害時の連絡体制を設計します。AWSのサーバーレスアプリケーションレンズでも、IAM、検知、インフラ保護、データ保護、インシデント対応がセキュリティの主要領域として整理されています(出典: AWS Well-Architectedサーバーレスアプリケーションレンズ、2026年8月確認)。
保守費用は、平日日中の問い合わせ対応だけか、夜間休日の監視まで含むか、ランタイム更新、依存ライブラリの修正、コスト異常の調査、障害時の再処理、軽微な改修を含むかで変動します。クラウド利用料とは分けて、対応時間、目標応答時間、月間の改修時間、対象サービスを契約書で明確にし、個別見積もりで確認します。
月額料金とランニングコストはどのように計算しますか?

月額費用は、関数実行だけでなく、API、データベース、ストレージ、ログ、監視、メッセージング、バックアップ、ネットワーク、データ転送、サポート契約を合算して試算します。企画段階では、利用量が少ないケース、通常ケース、ピークケースの3パターンを作り、月額の上限を決めておくと予算超過に気づきやすくなります。
AWS Lambdaはリクエスト数と実行時間が基本です
AWS Lambdaは、関数へのリクエスト数とコードの実行時間を基準に課金されます。AWS公式料金ページでは、無料利用枠として1か月あたり100万件のリクエストと40万GB秒のコンピューティング時間が示されています(出典: AWS Lambda公式料金ページ、2026年8月確認)。小規模な検証では関数実行が無料枠内に収まる可能性がありますが、無料枠はアカウント構成や他サービスとの共有条件を確認する必要があります。
実際の請求では、API Gateway、DynamoDBやAurora、S3、CloudWatch Logs、SQS、EventBridge、WAF、NAT Gateway、データ転送などが加わります。関数を短く分割しても、処理のたびにログを書き込み、複数サービスを呼び出し、外部へ大容量ファイルを転送すれば、関数以外の費用が大きくなります。月間リクエスト数だけでなく、1回あたりの実行時間、メモリ、データ量、保存期間、転送先を見積もりに記載します。
Azure FunctionsやCloud Runも従量課金の条件を確認します
Azure Functionsは、プランによって実行回数、実行時間、メモリ、常時使用可能なインスタンスなどの課金条件が変わります。Microsoft Learnでは、Flex従量課金プランが関数を単位にスケールし、実行中のインスタンスのメモリと常時使用可能なインスタンスのコストを基に請求されると説明されています(出典: Microsoft Learn「Azure Functionsのスケールとホスティング」、2026年8月確認)。コールドスタートを避けるために常時待機インスタンスを増やすと、応答性と引き換えに固定的な費用が増える点に注意します。
Google CloudのCloud Runは、使用したリソースに対して課金され、公式料金ページでは課金時間が100ミリ秒単位で切り上げられると説明されています(出典: Google Cloud「Cloud Runの料金」、2026年8月確認)。同時実行数を高く設定すれば、1つのインスタンスで複数リクエストがCPUとメモリを共有できますが、処理の性質によっては同時実行数を抑える必要があります。料金はCPUやメモリだけでなく、外向き通信、VPC接続、Cloud Build、Artifact Registry、ログなども含めて確認します。
月額運用費は0.5万〜100万円以上まで幅があります
計画段階のクラウド利用料は、検証・小規模なら月0.5万〜5万円、中規模の業務APIなら月5万〜30万円、可用性・監視・転送量が大きい本番系なら月30万〜100万円以上を仮置きできます。これは特定サービスの請求額を断定する数字ではなく、無料枠、従量課金、データベース、ログ、監視、通信、バックアップなどを含めて予算を考えるためのレンジです。リージョン、為替、契約割引、使用量、構成によって変わるため、最終的には各社の料金計算ツールで再計算します。
月額の上限を管理するには、クラウド予算、利用量アラート、異常検知、環境別タグ、ログ保持期間、バックアップ世代数を初期設計へ含めます。開発環境を常時起動したままにしたり、デバッグログを無期限に保存したり、NAT Gatewayを用途不明のまま配置したりすると、利用者が少なくても費用が発生します。請求額を月次で確認し、想定利用量との差分を業務側と共有します。
開発期間と費用が変動する要因

同じサーバーレスという名前でも、開発期間は1〜2か月から1年以上まで変わります。費用の差は、関数の数よりも、業務の複雑さ、既存システムとの境界、非機能要件、移行対象、テスト範囲、運用体制によって生まれます。見積もりを受けたら、金額だけでなく、どの条件が価格を押し上げているのかを確認します。
既存システムと外部サービスの連携数で増減します
販売、在庫、会計、人事、顧客管理、認証、決済、物流などと接続する場合は、単にAPIを呼び出すだけでは終わりません。データ項目の対応、認証・認可、呼び出し頻度、レート制限、タイムアウト、相手先の停止、再送、重複排除、監査ログを確認します。CSVしか受け取れない相手とリアルタイムAPIを持つ相手では、連携方式もテスト方法も変わります。
連携先の担当部署が複数に分かれていると、仕様確認や接続試験の調整期間も伸びます。見積もり依頼時には、連携先を一覧にして、データの方向、頻度、件数、許容遅延、エラー時の責任分界、テスト環境の有無を記載します。これだけでも、後から追加される「連携調査費」や「接続試験費」の不確実性を小さくできます。
可用性・セキュリティ・性能の水準で増えます
一般的な業務APIと、24時間365日の受注基盤では必要な設計が違います。RTO・RPO、複数リージョン、バックアップ、災害対策、閉域接続、WAF、脅威検知、監査ログ、個人情報のマスキング、脆弱性診断、負荷試験、SLAに近い運用体制まで求めると費用は増加します。金融、医療、公共、製造などでは、業界の基準や委託先管理の確認も必要です。
性能面では、平均応答時間だけでなく、ピーク時の同時実行数、許容待ち時間、コールドスタート、データベースの接続数、キューの滞留時間を定義します。コールドスタートを許容できない処理では、常時待機、メモリ増量、コンテナ併用などが必要になり、従量課金の構成が変わります。数値を決めずに「高速」「高負荷対応」と発注すると、ベンダーごとの前提が揃いません。
データ移行と並行稼働の有無が期間を左右します
新規にデータを蓄積するシステムなら、アプリとクラウド環境の設計が中心です。既存システムのデータを移行する場合は、項目対応、マスタ統合、欠損値、重複データ、日付形式、文字コード、履歴の扱いを調査します。移行リハーサルを何回行うか、業務を停止できる時間、切り替え後に旧環境へ戻す条件も決める必要があります。
段階移行では、最初に問い合わせや通知など独立性の高い機能から始め、APIで既存基幹と接続し、安定後に対象を広げる進め方が現実的です。全体を一度に置き換えるより初期費用を分散できますが、一定期間は旧システムと新システムの両方を監視し、データの整合性を確認する必要があります。並行稼働期間の運用費と追加テスト費を見積もりに含めます。
サーバーレスシステムの見積もりを取る際のポイント

見積もりを取るときは、会社に「サーバーレスで作りたい」と伝えるだけでなく、業務範囲と利用量、非機能要件、既存システム、成果物、保守範囲を示します。技術名が先に決まっていても、要件に合わなければコンテナやマネージドVMとの併用が適切な場合があります。複数社へ同じ前提を渡し、初期費用、月額費用、保守費用を同じ粒度で比較します。
RFPに業務量・連携・月額上限を入れます
RFPや相談資料には、利用者数、拠点数、1日平均件数、ピーク時の件数、データ保存量、ファイルサイズ、許容遅延、稼働時間、個人情報の有無、外部連携先、移行対象、希望リリース時期を記載します。年間の繁忙期や月末処理がある場合は、通常月とピーク月を分けます。月額の予算上限を設定する場合は、クラウド利用料だけか、保守費用まで含むのかも明記します。
成果物は、ソースコード、IaC、構成図、API仕様、データ定義、テスト結果、運用手順、障害時の再処理手順、バックアップ・復元手順、アカウントと権限の一覧まで確認します。クラウドサービスの契約名義、データの所有権、ログの保管場所、解約時のデータ返却、別会社への移管条件を契約前に確かめると、将来のベンダーロックインを抑えられます。
複数社は価格ではなく前提と実績を比較します
開発会社を選ぶときは、AWS・Azure・Google Cloudのいずれを扱えるかだけでなく、業務フロー、データ移行、監視、障害対応、内製化支援まで確認します。公開事例がある場合は、採用サービス名だけでなく、どの業務を、どの規模で、どの期間に、どの運用体制で構築したかを質問します。朝日新聞社の公開事例では、サーバーレスによりフロントエンド部分がEC2と比較して99%削減されたと紹介されていますが、対象範囲やアクセス特性が異なるため、自社の費用へそのまま当てはめないことが大切です(出典: AWS導入事例「株式会社朝日新聞社」、2026年8月確認)。
見積書の比較では、要件定義、設計、実装、クラウド構築、テスト、移行、リリース、保守を横並びにします。「クラウド構築一式」「運用一式」のような項目があれば、含まれる作業、回数、対象環境、対応時間を確認します。安い見積もりが、監視や障害対応、データ移行、セキュリティテストを別料金にしていることもあるため、総額と除外項目を同時に比較します。
契約形態と仕様変更の扱いを確認します
サーバーレス開発は、PoCや業務整理の途中で仕様が変わりやすい分野です。準委任契約は作業時間や体制を確保しながら要件を詰めやすく、請負契約は合意した成果物を納期と金額に結びつけやすい特徴があります。一次Q&Aでは、請負契約は仕様変更リスクが見積もりに反映され、準委任より1.3〜1.5倍程度高くなる傾向が示されていますが、契約条件や責任範囲によって異なる目安です。
契約前に、要件変更の受付方法、追加見積もりの単価、受入条件、瑕疵対応、第三者サービスの障害時の責任、クラウド料金の負担者、アカウントの所有者を決めます。リリース後に発生する軽微な改修を保守費に含めるのか、別途チケットで精算するのかも明確にします。契約書に書かれていない運用を、担当者の善意に依存しないことが重要です。
サーバーレスシステムのコストを最適化するポイント

コスト最適化は、開発費を一時的に削ることではなく、必要な品質を保ちながら、使っていない資源や過剰な処理を減らすことです。安価な構成を先に選ぶと、性能不足、障害対応、作り直しで総額が増えることがあります。業務上の重要度と利用量を見ながら、段階的に最適化します。
処理量に合うサービスと実行サイズを選びます
関数のメモリを大きくすると処理時間が短くなる場合がありますが、実行時間とメモリの組み合わせで費用が変わります。逆に、メモリを小さくしすぎると処理時間が延び、タイムアウトや再実行で請求が増えることがあります。代表的な処理について、メモリサイズ、実行時間、成功率、同時実行数を計測し、最も安い設定ではなく、品質を含めて適切な設定を選びます。
大量のファイル処理を関数へ直接詰め込むのではなく、キューで分割し、イベント処理、バッチ、コンテナ、データ処理サービスを比較することも有効です。常時稼働する処理を無理にサーバーレス関数へ置くと、常時待機や複雑なリトライが必要になることがあります。サーバーレス、コンテナ、マネージドVMの役割を分けることで、総保有コストを抑えやすくなります。
ログ・ネットワーク・保存期間を管理します
ログは障害調査に必要ですが、デバッグ情報を無期限に保存すると保管費用と検索費用が増えます。開発・検証・本番でログレベルを分け、個人情報や秘密情報を出力しないようにし、保存期間、アーカイブ先、削除ルールを決めます。監査上必要なログと、短期のデバッグログを同じ期間で保存しないことがポイントです。
ネットワークでは、NAT Gateway、PrivateLink、VPC接続、リージョン間通信、インターネットへのアウトバウンド転送が費用を押し上げることがあります。閉域接続や固定IPが必要な理由を整理し、同じリージョン内のサービス連携、VPCを通さない構成、専用接続の必要性を比較します。セキュリティ要件を下げるのではなく、必要な防御と不要な経路を分けることが大切です。
予算アラートと利用量の可視化を初期から入れます
クラウド費用は、請求が確定してから確認するのではなく、予算と利用量の異常を早期に検知します。アカウントやプロジェクト、環境、機能、部門ごとにタグを付け、予算通知、利用量アラート、異常検知、日次レポートを設定します。リクエスト数の急増だけでなく、エラーによるリトライ、無限ループ、ログの急増、想定外のデータ転送も確認対象です。
本番前に、通常月・繁忙月・障害時の月額を試算し、どの条件で上限を超えるかを確認します。利用量に応じた自動スケールは便利ですが、無制限に実行できる状態が安全とは限りません。同時実行数、キューの保持時間、タイムアウト、外部APIへの呼び出し回数に適切な上限を設定すると、コストと障害の両方を抑えられます。
よくある質問(FAQ)

サーバーレスシステムの費用について、発注前によく寄せられる質問をまとめます。クラウドの利用料金だけでなく、開発・保守・移行・セキュリティを含めて回答します。
サーバーレスシステムは本当に安いですか?
小規模でアクセス変動が大きいシステムでは、使った分だけ課金され、サーバーの常時稼働やOS保守を抑えられるため、安くなる可能性があります。ただし、データベース、ログ、監視、ネットワーク、転送、保守まで合算すると、常に安いとは限りません。初期費用と月額費用を分け、通常時とピーク時の利用量で比較することが必要です。
サーバーレスシステムの開発期間はどのくらいですか?
単機能APIやPoCなら1〜2か月、小規模な業務Web・APIなら2〜4か月、中規模システムなら4〜8か月程度が目安です。既存基幹との連携、データ移行、並行稼働、厳格な監査・セキュリティ、24時間運用まで含めると6〜12か月以上になる場合があります。開発期間は関数の本数より、要件確定、連携調整、移行リハーサル、受入テストの量で変わります。
月額クラウド料金を抑えるには何を確認しますか?
まず、関数の実行回数・時間・メモリだけでなく、データベース、ログ、ストレージ、監視、メッセージング、ネットワーク、データ転送を含めた総額を確認します。次に、未使用環境の停止、ログ保持期間、インスタンスの常時待機、不要なNAT経路、バックアップ世代数を見直します。予算アラートと利用量の異常検知を初期から設定し、通常月・ピーク月・障害時の試算を用意することが有効です。
既存システムを一部だけサーバーレス化できますか?
できます。問い合わせ、通知、ファイル処理、定期バッチ、新規APIなど、既存システムと境界を作りやすい機能から段階的に移行する方法があります。既存基幹をAPIやキューでつなぎ、データの正本、エラー時の再送、障害時の切り戻し、並行稼働の期間を決めます。一括移行よりリスクを分散できますが、旧環境と新環境を同時に監視する期間の費用は見積もりへ含めます。
まとめ

サーバーレスシステムの開発費は、PoC・単機能APIで100万〜300万円、小規模な業務Web・APIで300万〜800万円、中規模で800万〜2,000万円、既存基幹連携や段階移行を含む場合は1,500万〜4,000万円以上が企画段階の目安です。月額費用は、関数だけでなくデータベース、ストレージ、ログ、監視、ネットワーク、転送、保守を合算して考えます。
相場は前提条件とセットで使います
費用レンジは、利用者数、ピークアクセス、連携先、データ移行、可用性、セキュリティ、監視、保守体制によって変わります。根拠のない特定金額で判断せず、低・中・高の利用量、初期費用、月額費用、保守費用、追加作業の単価を分けて見積もります。AWS、Azure、Google Cloudの公式料金は更新されるため、発注時点の料金表とリージョン、為替、契約割引を使って再計算します。
最初は業務イベントと月額上限を整理します
発注前には、現状業務、イベント、データの正本、既存連携、ピーク時の件数、RTO・RPO、許容遅延、月額の予算上限を整理します。まずは独立性の高い機能でPoCを行い、負荷、障害時の再実行、セキュリティ、月額を確認してから対象を広げると、初期投資と移行リスクを管理しやすくなります。開発会社には、費用の内訳、開発期間、成果物、保守範囲、クラウド契約の責任分界を同じ条件で提示してもらいます。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
