SFA開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

SFA開発は、現状の営業プロセスを整理して業務要件を明確にし、要件定義と設計を経て実装に入ります。その後、リリースと定着化へと進みます。各工程で何を決めるかを押さえておくと、全体の見通しを立てるうえで役立ちます。

SFA開発を進めるうえで押さえるべき点は、次の4つです。

  • SFA開発の全体像
  • SFA開発の進め方・手順
  • SFA開発で重要な考慮点
  • 開発方式の選択

SFA開発を検討すると、どこから手をつければよいか、どの流れで進めるのかで迷う企業は多くあります。SFAは、営業活動全体の状況を見えるようにし、効率化する基幹システムです。だからこそ、開発の進め方を誤ると、現場に定着しない、想定した効果が出ないといった問題につながります。

着手する前に全体の流れと各工程のポイントを理解しておくことが、プロジェクト成功の第一歩です。

SFA開発の全体像は、SFA開発の完全ガイドで詳しく確認できます。

SFA開発の全体像

MAのリード育成、SFAの受注前営業、CRMの顧客関係管理を3つのパネルで示した図
リード育成から受注前、受注後へと管理範囲が移ります。

SFAとは何か・主要機能一覧

SFA(Sales Force Automation)とは、営業活動を支援・自動化するシステムの総称です。

営業担当者が日常的に行う業務、たとえば商談管理や案件進捗管理、顧客情報管理を、デジタル化して見える形にします。営業日報、目標実績管理、活動履歴の記録も対象になります。

主要機能としては、「顧客・取引先管理」「商談・案件管理」「活動ログ・日報管理」「予実管理・売上予測」があります。さらに、「レポート・ダッシュボード」「タスク・スケジュール管理」「メール・電話連携」も挙げられます。これらの機能を通じて、次の効果が得られます。

  • 営業マネージャー:組織全体の営業進捗をリアルタイムで把握できる
  • 担当者:プロセスの抜け漏れを防いで生産性を高められる

CRM・MAとの違いと連携

SFAと混同されやすいのが、CRM(顧客関係管理)とMA(マーケティングオートメーション)です。それぞれ受け持つ範囲が違うため、三者の境目を押さえておく必要があります。

  • CRM:顧客との関係性全体を管理するシステムで、購買履歴、問い合わせ対応、アフターサービスなどを含む広い範囲をカバーする
  • MA:リードの獲得・育成・スコアリングを自動化するシステムで、主にマーケティング部門が活用する
  • SFA:「受注前の営業プロセス」に特化する

一般的な流れは、MAで育成したリードをSFAで商談管理し、受注後の顧客情報をCRMで管理するというものです。

SFA開発では、既存のCRM・MAシステムとのAPI連携を、初期段階から検討しておくことが大切です。データの重複や断絶を防ぎ、一元管理の仕組みを作ることが、効果を最大化するうえで欠かせません。

SFA導入効果の実例

SFAを適切に導入・定着させた企業では、報告業務の工数、商談情報の属人化、売上予測の精度という三つの面で効果が報告されています。

  • 営業報告の工数削減(月平均10〜20時間の削減)
  • 商談情報の属人化解消による引き継ぎコスト低減
  • パイプライン管理による売上予測精度向上(誤差20%以内の達成)

そのほか、「マネージャーの個別ヒアリング時間の削減」「新人営業担当者の早期戦力化(ベストプラクティスの横展開)」も効果の一つです。一方で、SFAは導入しただけでは効果が出ないツールでもあります。

入力率や活用率が低いと、期待どおりに状況を把握できず、機能だけが増えて現場の負担になるケースも少なくありません。そのため、開発段階から「誰がどの情報をどのように入力・活用するか」という利用シナリオを設計することが、導入効果の最大化につながります。

ポイント

迷ったときは、そのシステムが受注前の営業プロセスを扱うものかで判断します。受注後の顧客管理はCRMの範囲で、MAはリードの獲得から育成までを担います。

SFA開発の進め方・手順

業務要件整理から設計、開発とリリース、定着化へ進むSFA開発の流れ図
要件整理とリリース後の定着化にも期間を見込みます。

Step1:業務要件整理と現状分析

SFA開発の最初のステップは、現状の営業プロセスを洗い出し、業務要件を整理することです。営業担当者、マネージャー、経営層へのヒアリングで、現在の業務フローや使用ツールを明らかにします。そのうえで、課題とボトルネックを洗い出します。

具体的には、次の3点を確認します。

  • 商談情報:記録や共有の方法
  • 受注確率:受注の見込みをどう判断しているか
  • 報告業務:かかっている時間と手間

この段階で「あるべき姿(To-Be)」を定義し、現状(As-Is)とのギャップを整理します。これにより、SFAに実装すべき機能の優先順位が明確になります。

業務要件の整理には通常2〜4週間かかりますが、この工程への投資がプロジェクト全体の品質を左右します。そのため、十分な時間をかけることが重要です。

Step2:要件定義・基本設計・詳細設計

業務要件が整理できたら、システム要件定義に落とし込みます。誰が、何を、どのように使うかを明確にした要件定義書を作成し、機能要件と非機能要件(パフォーマンス、セキュリティ、可用性)を整理します。

設計では、次の3点を決めていきます。

  • 基本設計:システム全体の構成、画面遷移、外部連携仕様
  • データモデル:「顧客」「取引先」「商談」「活動履歴」「ユーザー」などのエンティティ間の関係を正確に定義すること
  • 詳細設計:APIインターフェース設計、画面仕様書、テーブル設計など、実装に必要な詳細な仕様の確定

この工程での手戻りがプロジェクトの最大のリスクであるため、関係者によるレビューを複数回実施してください。

Step3:開発・テスト・リリース・定着化

設計が終わると、実装フェーズに入ります。アジャイル・スクラム型では2週間スプリントで機能を順次リリースし、ウォーターフォール型では全機能の完成後に一括でリリースします。テストは、単体テスト、結合テスト、UAT(ユーザー受入テスト)の順で実施します。

UATでは、実際の営業担当者に操作してもらい、業務フローに沿って動作を検証します。

リリース後の定着化は、とくに大切です。次の取り組みを、計画的に進めます。

  • 教育の準備:操作マニュアルの整備と研修の実施
  • 社内の推進体制:スーパーユーザーの育成と入力ルールの標準化
  • 活用状況の管理:定着化期間(通常3〜6ヶ月)に、活用率と入力率をKPIとして管理し、低下していればすぐに原因分析と改善施策を実施することが必要

ポイント

業務要件の整理には、技術開発と同じくらいの時間をかける価値があります。迷ったら、リリース後も現場の担当者が使い続けられるかを基準に、計画を見直します。

SFA開発で重要な考慮点

既存システム・CRM連携設計

SFA開発において最もよくある問題のひとつが、「既存システムとのデータ連携」です。

多くの企業では、Excelや基幹システム、CRMなど複数のシステムをすでに運用しており、そのなかには会計システムや名刺管理ツールもあります。SFAを新たに導入したときに、これらとの連携設計が不十分だと、データの二重入力や不整合、サイロ化が起きます。

連携設計では、次の3点を押さえます。

  • 連携方式:API連携、CSV連携、DB直接連携などから、既存システムの技術スペックと更新頻度をもとに選ぶ
  • CRMとの連携:顧客データの重複排除とマスタ管理の設計が複雑になるため、データガバナンス方針を先に確立してから連携仕様を設計することを推奨
  • 初期段階の準備:連携設計の手戻りは、コストとスケジュールの両面で大きなリスクになるため、システム連携マップを作っておくことが効果的

データ移行戦略

既存の営業データ(顧客情報、商談履歴、活動ログ)をSFAに移行する際には、データ移行戦略も重要な考慮点です。

移行は、次の4段階で進めます。

  1. 移行データの洗い出し、クレンジング、マッピング
  2. 移行ツールの開発
  3. リハーサル
  4. 本番移行

特に、Excelや複数ツールに散在するデータは、フォーマットのばらつき、欠損、重複が多いため、クレンジング作業に想定以上の工数がかかることがあります。そのため、移行データの量と品質を事前に調べ、移行工数をプロジェクト計画に適切に組み込むことが欠かせません。

また、移行範囲は、「何年分・何件のデータを移行するか」を業務上の判断で絞り込めます。範囲を絞ると、リスクとコストを低減できます。

ユーザー定着化施策

SFA導入が失敗する最大の原因のひとつは、「ユーザーに使われないこと」です。SFAは営業担当者が毎日使うツールであるため、現場ユーザーの受容性を高める施策が必要です。

定着化施策として有効なのは、次の5つです。

  • 現場ユーザーの参加:開発段階からのUATや要件レビュー
  • 操作トレーニングと教材:複数回の実施と、マニュアル・FAQ・動画の整備
  • スーパーユーザー:現場のハブとなる推進担当者の配置
  • 利用率:KPI化と定期モニタリング
  • フィードバック:使いにくい点の収集と継続的な改善

開発段階から現場担当者を巻き込むと、「自分たちが作ったシステム」という意識が生まれ、定着率が大幅に向上します。

定着化フェーズはプロジェクト計画に明示的に組み込み、リリース後6ヶ月程度は継続的なサポート体制を維持することを推奨します。

ポイント

連携方式は既存システムの技術スペックと更新頻度で選び、顧客データの扱い方針を先に決めます。移行範囲は業務上の判断で絞ると、リスクとコストを抑えられます。

開発方式の選択

標準的な営業プロセスには既製品、独自の商習慣や複雑な承認フローにはカスタマイズ開発を対応させた比較図
営業プロセスの独自性が方式選定の分かれ目です。

スクラッチ開発vsパッケージカスタマイズvsSaaS活用の比較

SFA開発の方式は、大きく「スクラッチ開発」「パッケージカスタマイズ」「SaaS活用(設定・連携開発)」の3つに分けられます。スクラッチ開発は、自社固有の営業プロセスに完全に対応したシステムを構築できます。一方で、開発コストと期間が最も大きく、要件定義から本番稼働まで6〜18ヶ月程度かかることもあります。

パッケージカスタマイズは、SalesforceやMicrosoft Dynamicsなどの既製品をベースに、自社向けにカスタマイズするアプローチです。開発期間を短縮しながら、一定の柔軟性を確保できます。SaaS活用は、kintone・HubSpot・ZohpなどのクラウドSFAをノーコード・ローコードで設定するアプローチで、初期費用を抑えて早期に稼働させることができます。

どの方式が合うかは、独自業務プロセスの複雑さや予算によって変わります。加えて、スピードやIT内製化の方針も判断材料になります。

自社に最適な開発方式の選び方

開発方式の選定では、いくつかの判断基準を組み合わせることが重要です。まず、自社の営業プロセスがどの程度標準的かを評価します。業界標準的なプロセスであれば、既製品の活用が有効です。

一方で、自社独自の商習慣や複雑な承認フロー、業界特有の管理項目が多い場合は、カスタマイズ開発が適しています。次に見るのは予算規模です。SaaS利用は初期費用が低く(月額数万〜数十万円)、スクラッチ開発は数百万〜数千万円の初期投資が必要です。

また、「将来の拡張性」も欠かせません。事業拡大や機能追加が想定される場合は、スクラッチ開発やパッケージカスタマイズのほうが柔軟に対応できます。いずれの方式を選ぶ場合も、開発パートナーの「SFA開発の実績」「営業業務への理解度」「定着化支援の実績」を重視して選定することが、成功につながります。

ポイント

自社の営業プロセスが標準的なら既製品、独自の承認フローや管理項目が多ければカスタマイズが候補になります。予算と将来の拡張性も合わせて考えると、判断の材料がそろいます。

まとめ

SFA開発を成功させるには、「業務要件の整理」「適切な開発方式の選択」「既存システムとの連携設計」「ユーザー定着化施策」の4つを、計画的に進めることが大切です。

とくに業務要件の整理と定着化施策は、技術的な開発と同等か、それ以上に欠かせません。ところが、軽視されがちな工程でもあります。

開発パートナーを選ぶ際は、技術力に加えて、「営業業務の理解度」と「定着支援の実績」を重視して選ぶ必要があります。

SFA開発は複雑なプロジェクトですが、正しい進め方と適切なパートナーがそろえば、営業組織の生産性向上と売上拡大に直結します。

本記事の流れを参考に、自社に合うSFA開発の計画を立ててください。

SFA開発について相談できる開発会社を探す場合は、実績、専門性、費用感を比べたうえで、複数社に問い合わせることを推奨します。

▼全体ガイドの記事
・SFA開発の完全ガイド

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。