現場巡回管理システムの発注・外注は、巡回前の予定作成から現場入力、指摘の是正、報告書作成までの業務範囲を先に定め、方式と契約を段階的に選ぶことが成功の近道です。
紙やExcel、電話、チャットに分散した記録を一つにつなげたいと思っても、いきなり開発会社へ「現場巡回管理システムを作ってください」と依頼すると、見積条件がそろわず、完成後に追加費用や現場で使われない機能が発生しやすくなります。本記事では、既存クラウド・ローコード・個別開発の選び方、RFPと要件整理、契約形態、2026年時点での費用レンジ、委託先の選定と見積比較の方法を、発注者が実務で使える順番に沿って解説します。
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・現場巡回管理システム開発の完全ガイド
現場巡回管理システムを発注する前の全体像

現場巡回管理システムの発注では、製品を選ぶ前に「どの巡回を、誰が、どの証跡で、どこまで管理するか」を決めます。品質検査、安全パトロール、設備点検、進捗確認、不動産物件の定期巡回では、必要な入力項目や承認者、報告先が異なるためです。
最初に「巡回」の目的と完了条件を定義します
発注前に、巡回の種類、対象現場数、1日の巡回回数、巡回者、確認項目、写真の枚数、指摘の重要度、是正期限、報告先を整理します。例えば「安全パトロールをデジタル化する」だけでは曖昧ですが、「毎週の足場・開口部・通路の確認をスマートフォンで入力し、不備があれば写真と期限を付け、管理者が未対応一覧を確認する」と書けば、必要な画面とデータが見えてきます。
導入効果も、あらかじめ数値で測れるようにします。巡回後の報告書作成時間、現場と本社の確認電話の回数、期限超過の指摘件数、再訪問数、巡回実施率を導入前に記録すると、発注額を経営に説明しやすくなります。現場巡回管理システムは記録を増やすためのものではなく、転記や確認の重複を減らし、是正が完了したことまで追える状態を作るためのものです。
既製サービスと個別開発は同じ土俵で比べません
既製クラウドは、標準化された機能を短期間で使い始めたい場合に向いています。巡回予定、チェックリスト、写真、日報、簡易報告が中心で、業務を製品に合わせられるなら、初期開発の負担を抑えられます。一方で、独自の帳票、複数会社をまたぐ複雑な権限、特殊なオフライン同期、基幹システム連携が重要なら、設定やAPI連携だけで足りない可能性があります。
個別開発は、自社の巡回ルートや指摘・是正のワークフローを競争力として残したい場合に適しています。ただし、自由度が高い分、要件定義、テスト、端末対応、保守、障害時の代替手順まで発注者が判断する必要があります。SaaS、ローコード、既存サービスとの連携、スクラッチ開発を組み合わせるハイブリッドも選択肢です。
現場巡回管理システムの発注形態はどれを選びますか?

発注形態は、求める独自性と導入スピードのバランスで決めます。おすすめの考え方は、最初に1〜3現場で業務を検証し、標準機能で足りる部分と、個別開発が必要な部分を分けることです。全社展開を前提にしても、最初の発注範囲を小さく切ることで、現場に合わない仕様へ大きな投資をするリスクを抑えられます。
既存SaaS・パッケージは標準業務を早く始めたい場合に向いています
既存サービスへ外注する場合は、初期費用、月額の課金単位、アカウント数、現場数、写真ストレージ、帳票、サポート、データ出力を確認します。公開価格の例として、サクミルは初期費用0円、30アカウント込みで月額9,800円、2か月無料トライアルを案内しています(出典: サクミル公式料金ページ、2026年確認)。また、かん助は初期導入費0円から、1現場あたり月額5,000円、ユーザー数無制限という料金例を公開しています(出典: かん助公式サイト、2026年確認)。
これらは現場巡回管理システム全体の相場ではなく、標準機能を利用する場合の公開価格です。写真や図面を大量に保存する場合、既存データを移行する場合、独自帳票やAPIを追加する場合は、初期設定費やオプション費が発生することがあります。無料トライアルでは、現場で写真を撮り、通信が弱い場所で入力し、帰社後に報告書を出す一連の操作まで試します。
ローコード開発はPoCと部分的な業務改善に適しています
チェックフォーム、写真登録、GPS、通知、管理者画面を短期間で試すなら、ローコードやノーコードでPoCを作る方法があります。現場の声をすぐ反映できる一方、大量の写真・動画、オフラインからの同期、複数会社の権限、監査ログ、複雑な帳票、基幹システムとの連携では、製品の制限や追加開発が問題になりやすいです。
PoCでは「画面を作れたか」よりも、現場担当者が説明なしで入力を完了できるか、指摘が本社へ届くか、是正後の証跡を同じ案件で追えるかを確認します。PoCの段階で写真の圧縮、端末の紛失、ログイン方法、通信復旧後の再送、CSV出力を試しておくと、本番化の見積条件が具体的になります。
スクラッチ開発は独自業務と長期連携を重視する場合に選びます
独自の巡回ルート、現場ごとに異なるチェック、設備台帳、承認経路、顧客向け報告書、基幹システム連携を一つの運用に合わせたい場合は、受託開発会社やSIerへ個別開発を依頼します。モバイル入力、管理画面、写真・動画保存、オフライン同期、権限、監査ログ、API、バックアップを別々の要件として見積もらせることが大切です。
最初から工程、原価、入退場、電子契約、AI判定まで含めるのではなく、巡回チェックと指摘・是正をMVPとして稼働させる方法が現実的です。利用率、報告時間、未対応件数を測ったうえで、必要な連携と高度機能を追加発注すると、投資の根拠を示しながら拡張できます。
発注から導入までの進め方はどうなりますか?

発注の進め方は、現状把握、目的と範囲の決定、RFP作成、候補会社の提案・デモ、契約、要件定義、開発・設定、現場テスト、本番展開、効果測定の順に分けます。契約前の検討と契約後の開発を混ぜず、各段階で何を決め、何を成果物として受け取るかを明らかにすると、委託先との認識違いが減ります。
現状業務を棚卸しして小さな現場で試します
まず、紙の巡回表、Excel台帳、写真の保存場所、電話やチャットでの指示、帰社後の報告書、是正確認の方法を集めます。担当者へのヒアリングでは、理想の機能よりも「どこで二重入力しているか」「何が未対応のまま残るか」「通信や端末で困る場所はどこか」を聞くと、発注すべき要件が見えやすくなります。
次に、工種や利用者が異なる1〜3現場をパイロットに選びます。現場担当者、管理者、協力会社のそれぞれに入力・確認をしてもらい、チェック項目の数、写真の撮影手順、入力にかかる時間、未対応通知の適切さを確かめます。現場が使わない理由を本番稼働後に探すのではなく、受入テストの前に拾うことが重要です。
要件と見積を段階に分けて発注します
要件が固まっていない段階で開発一式を固定価格で依頼すると、発注者も委託先も不確実性を抱えます。現場ヒアリングと業務整理は要件定義フェーズ、画面や帳票の確認は設計フェーズ、実装とテストは開発フェーズというように、成果物と判断ポイントを分けて契約する方法があります。
各フェーズの終了条件も決めます。例えば要件定義では業務フローと画面一覧、設計ではデータ項目と帳票サンプル、開発では動作するテスト環境、受入では指定シナリオの合格結果を成果物にします。変更が生じた場合の追加見積、納期変更、優先順位の決め方も、発注時に確認しておくと安心です。
現場テストと展開計画を発注範囲に含めます
受入テストでは、管理画面だけでなく実際のスマートフォンやタブレット、現場の電波、手袋をした操作、日中と夜間の明るさ、写真容量を使います。地下や山間部など通信が不安定な場所では、端末内に暗号化して保存できるか、通信復旧後に重複なく同期できるか、途中でアプリを閉じても入力が消えないかを確認します。
本番展開では、管理者向け説明会だけでなく、現場での短い操作研修、問い合わせ窓口、紙へ切り替える代替手順、旧データの保存方法を決めます。1現場で利用率と効果を確認してから拠点を広げる段階導入なら、運用ルールを修正しながら展開できます。全社一括導入が必要な場合も、先行現場を設けてから標準手順を確定する方が定着しやすいです。
RFPと要件整理には何を書けばよいですか?

RFPは、開発会社へ機能一覧だけを渡す文書ではありません。背景、解決したい課題、対象業務、利用者、現場数、データ量、希望時期、予算の考え方、既存システム、現場の制約をそろえ、同じ条件で提案と見積を受けるための依頼書です。必須要件と希望要件を分け、提案会社が代替案を示せる余地も残します。
背景・利用者・業務フローを最初に記載します
背景には、紙からの転記に時間がかかる、写真と指摘が別管理になっている、本社が期限超過を把握できない、協力会社への連絡履歴が残らないなど、現在の困りごとを書きます。対象者として、現場巡回者、現場責任者、本社管理者、協力会社、施主や顧客の閲覧者を分け、それぞれが入力・承認・閲覧・出力のどこを担当するかを明らかにします。
業務フローは、巡回前の割当、巡回中のチェック・写真・数値入力、指摘の登録、担当者への通知、是正後の報告、管理者の承認、帳票出力までを時系列で示します。「通知する」ではなく、「重要度が高い指摘は当日中に現場責任者へ通知し、未確認なら翌朝に管理者へ再通知する」と書くと、画面だけでなくルールの設計まで依頼できます。
機能要件は巡回前・巡回中・巡回後で整理します
巡回前は、現場・建物・フロア・設備の台帳、巡回ルート、頻度、担当者、期限、チェックリスト、天候や工程変更に伴う予定変更を要件にします。巡回中は、スマートフォンやタブレットでのチェック、数値、音声メモ、写真・動画、図面上の位置、GPSや入退場時刻、オフライン入力を確認します。巡回後は、指摘の重要度・期限・担当者、通知、是正前後の写真、承認、PDFやExcelの報告、検索、集計、変更履歴を記載します。
写真や動画を扱うシステムでは、保存容量だけでなく、サムネイル表示、圧縮、撮影日時、撮影者、現場、図面上の位置との紐付けを指定します。位置情報や顔、車両番号、作業員名を扱う場合は、取得目的、閲覧者、保存期間、削除方法を決めます。必要以上に常時取得する設計は避け、就業規則や個人情報保護の社内ルールとも整合させます。
非機能要件と受入条件を曖昧にしません
非機能要件には、対応端末とOS、画面の応答性、通信断時の動作、同時利用者数、写真の保存期間、バックアップ、障害時の復旧目標、監査ログ、権限、暗号化、脆弱性対応、サポート時間、データのエクスポートを含めます。現場で使う機能ほど、正常なWi-Fi環境だけでなく、圏外、低速回線、端末の容量不足、アプリの更新失敗を前提にします。
受入条件は「使えること」ではなく、具体的なシナリオで記載します。例えば、圏外で10件のチェックと写真を保存できること、復旧後に1件ずつ重複なく同期されること、重大指摘が指定時間内に通知されること、権限のない協力会社が別現場の写真を見られないこと、報告書の項目と写真が正しく出力されることを合否条件にします。
契約形態は請負・準委任・SaaSをどう使い分けますか?

契約形態は、成果物を納品して検収するのか、専門人材の作業と体制を継続的に依頼するのか、既存サービスを利用するのかで分けて考えます。要件が変わりやすい現場システムでは、一つの契約にすべてを詰め込まず、要件定義、開発、受入、保守の責任範囲と対価を段階ごとに記載する方が実態に合いやすいです。
仕様と成果物が明確な部分は請負契約を検討します
請負契約は、合意した成果物を完成させ、発注者が検収する開発フェーズに向いています。画面一覧、データ項目、帳票、連携仕様、納期、受入条件が明確なら、成果物と対価の関係を整理しやすいです。ただし、現場テストで要件が変わる可能性がある場合は、変更手続き、追加費用、納期への影響、検収期間を契約書や仕様書に明記します。
著作権やソースコード、設計書、テスト結果、第三者サービスの利用権限も確認します。発注者が将来別会社へ保守を移す可能性があるなら、データベースの仕様、API仕様、デプロイ手順、アカウント情報、ライセンスの扱いを納品対象に含めることが大切です。
要件整理と伴走開発は準委任契約が適する場合があります
現場ヒアリング、業務フロー整理、プロトタイプ、アジャイル開発、利用状況を見ながらの改善は、作業内容と体制を定める準委任契約が候補になります。発注者と委託先が週次で優先順位を見直せるため、現場の例外を取り込みやすい方法です。時間や人数だけを定めるのではなく、各期間の会議体、進捗報告、設計書、動作するソフトウェア、テスト結果などの成果を明記します。
準委任では、完成責任や検収の考え方が請負と異なるため、発注者側にも意思決定者が必要です。要件の優先順位を決める担当者、現場からのフィードバックを集める担当者、追加費用を承認する担当者を決め、委託先に任せきりにしない運営体制を作ります。
SaaS利用契約と保守契約は終了時まで確認します
SaaSでは、利用料の課金単位、最低契約期間、値上げ、サポート範囲、障害時の連絡、バックアップ、サービス終了時のデータ返却と削除時期を確認します。保守契約では、問い合わせ窓口、受付時間、障害の優先度、一次回答、復旧目標、OSやブラウザの更新、脆弱性対応、機能追加の扱いを分けて記載します。
建設工事の請負契約を電子的に締結する場合は、国土交通省が2025年9月30日に公表したガイドラインも確認材料になります。相手方への事前承諾や、電子データの形式、電子署名・タイムスタンプなどの記録方式が論点になるため、現場巡回システムの利用契約と工事請負契約を混同せず、法務・情報システム部門と整理します(出典: 国土交通省「電磁的措置による建設工事の請負契約の締結に係るガイドライン」、2025年)。
現場巡回管理システムの費用相場と内訳はどのくらいですか?

現場巡回管理システムだけを対象にした公的な費用統計は確認できないため、以下は公開料金と業務システム開発の一般的な目安を組み合わせた、発注前の比較レンジです。利用者数、現場数、写真容量、帳票、データ移行、オフライン同期、API、教育、保守の有無で大きく変わるため、特定の金額をそのまま予算確定に使わず、同じ条件で見積を比較します。
既存クラウドは初期0〜30万円、月額5,000円〜10万円程度から比較します
巡回、写真、日報などを標準機能で始める小規模SaaSは、初期費用0〜30万円、月額5,000円〜10万円程度を検討の起点にできます。公開例では、サクミルが初期費用0円・30アカウント込みで月額9,800円、かん助が1現場月額5,000円を案内しています(出典: 各社公式料金ページ、2026年確認)。ただし、前者はアカウント課金、後者は現場課金であり、同じ月額でも比較単位が異なります。
複数拠点や大規模運用では、月額10万〜100万円程度という目安もありますが、これは利用者・現場・保存容量・サポート・連携の条件を含む仮説レンジです。初期設定、マスター登録、写真や台帳の移行、操作研修、独自帳票、API、SLAが別費用にならないかを確認し、月額だけで安いと判断しないことが大切です。
PoCは50万〜300万円、本番化は300万〜1,500万円程度が検討レンジです
巡回チェックと指摘管理を検証するPoCは、50万〜300万円程度、検証・調整期間は3〜6か月程度を目安にします。複数現場、権限、帳票、教育、移行まで含むパイロット本番化は300万〜1,500万円程度、独自業務に合わせたスクラッチ開発は300万〜2,000万円程度が企画段階の比較レンジです。カメラAI、360度画像、GPS、オフライン同期、基幹連携を同時に含めるほど上振れします。
全社展開やデータ基盤連携まで一括で行う場合は、1,500万〜5,000万円、13〜36か月程度という段階導入の目安もあります。ただし、いずれも現場巡回専用の公的統計ではなく、ノートの調査情報と一般的な業務システム開発の目安を組み合わせたものです。見積書では、要件定義、UI設計、モバイル、サーバー、ストレージ、同期、連携、テスト、教育、保守を分け、レンジの根拠を説明してもらいます。
ランニングコストと隠れた費用も合算します
運用費には、クラウド利用料、写真・動画ストレージ、端末、通信、地図や電子署名などの外部サービス、保守、問い合わせ、アカウント管理、追加研修が含まれます。個別開発では、初期開発費の年15〜25%程度を保守費として仮置きする場合がありますが、契約内容によって異なるため、障害対応、OS更新、脆弱性修正、機能追加を分けて見積もります。
費用対効果は、削減できる時間だけでなく、報告遅延、指摘漏れ、再訪問、事故・品質問題の早期発見なども含めて考えます。月間削減効果を「導入前後の報告時間差×月間件数×時間単価」とし、投資回収月数を「初期費用÷月間削減効果」で仮計算すると、複数社の見積を同じ尺度で比較しやすくなります。
委託先の選定と見積比較では何を確認しますか?

委託先は、価格だけでなく、現場業務の理解、モバイルとクラウドの技術力、要件変更への対応、導入支援、運用保守、データの出口まで比較します。既製サービスのベンダーと受託開発会社では、提案の前提や責任範囲が違うため、同じRFPを渡したうえで「標準機能でできること」「設定で対応すること」「追加開発になること」を分けて回答してもらいます。
建設・設備・不動産の現場実績と導入支援を確認します
候補会社には、同じ業界の実績だけでなく、現場で誰が入力し、管理者がどのように是正を追い、協力会社がどこまで参加したかを聞きます。株式会社アンドパッドは工程表、写真、図面、報告をクラウドで共有し、現場への訪問回数削減にも貢献すると案内しています(出典: ANDPAD施工管理公式ページ、2026年確認)。KENTEM-Dashboardの公式事例では、現場の予定や情報をスマートフォンで共有し、下請け業者や資材業者との工程共有を円滑にした例が紹介されています。
これらは製品の適合を保証するものではないため、自社の現場でデモを受けます。写真を図面に紐付ける、重大指摘を通知する、協力会社には担当範囲だけを見せる、報告書を出力するという実際のシナリオを依頼し、営業資料ではなく操作と運用の具体性を比較します。導入後の初期設定、現場説明、問い合わせ、利用率の確認まで誰が担当するかも確認します。
見積書は機能単価ではなく作業範囲と前提条件を比較します
見積書の「巡回機能一式」「管理画面一式」という表現だけでは、会社ごとの範囲を比べられません。要件定義、画面・帳票、モバイルアプリ、データベース、写真ストレージ、オフライン同期、通知、権限、監査ログ、API、移行、テスト、教育、運用保守に分け、各項目の数量と前提を記載してもらいます。
特に確認したいのは、利用者数・現場数・写真枚数・保存期間・対応端末・同時利用者数・連携先・サポート時間です。安い見積が、写真ストレージを除外している、オフラインを対象外にしている、協力会社のアカウントを含んでいない、保守や教育を別料金にしていることがあります。前提条件をそろえた総額と、初期費用・月額費用・オプション費用を分けて比較します。
セキュリティとデータの出口を契約前に確認します
現場写真、図面、位置情報、顧客情報、協力会社の担当者情報を扱うため、MFA、最小権限、端末ロックやMDM、通信・保存時の暗号化、バックアップ、ログ監視、退職者や協力会社離脱時のアカウント無効化を確認します。IPAは2026年3月に中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版を公開しており、現場システムの発注でも、経営者が関与する基本方針と具体的な対策を整理する材料になります(出典: IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版」、2026年)。
契約終了時にCSVや画像、帳票、監査ログをどの形式で返却できるか、返却費用はいくらか、いつ削除されるかも確認します。データを出せないサービスや、担当者が退職した後も権限が残る運用は、発注時点でリスクになります。障害時の復旧目標、バックアップの保管場所、第三者サービスの再委託先も、可能な範囲で契約書やSLAに落とし込みます。
AIや遠隔巡回は効果と人の確認工程を分けて評価します
360度カメラや画像認識AIは、巡回の移動と目視確認を補助する可能性があります。大成建設は、360度カメラと画像認識AIで施工状況や資機材の所在を図面化するシステムを30か所以上の建設現場で試行し、現場確認業務を1時間/日・人以上削減できたと公表しています(出典: 大成建設「360度カメラ画像とAIを用いた工事進捗確認システム」、2025年)。
ただし、これは特定企業の環境での事例であり、自社でも同じ効果が出ると断定できません。AIの対象工種、判定精度、誤検知時の人による確認、データの保存場所、学習への利用、撮影できない箇所、導入機器と通信費を見積で分けます。AIを希望要件に置き、まず人が行う確認を効率化できるか検証してから本番機能にする判断も有効です。
よくある質問

現場巡回管理システムの発注では、方式、費用、委託先、現場での定着について質問が集中します。ここでは、検討初期に判断しやすいよう、結論を先に回答します。
現場巡回管理システムはSaaSとスクラッチ開発のどちらがよいですか?
標準的な巡回・写真・報告を早く始めるならSaaS、独自の業務フローや連携を重視するならスクラッチ開発が候補です。まず1〜3現場でSaaSやPoCを試し、標準機能で足りない部分だけ個別開発する方法が、費用と定着のバランスを取りやすいです。
現場巡回管理システムの発注予算はどのくらい必要ですか?
公開SaaSは初期0〜30万円、月額5,000円〜10万円程度から、PoCは50万〜300万円、本番化は300万〜1,500万円程度が検討レンジです。独自連携や全社展開を含めると上振れするため、利用者数、現場数、写真容量、連携、教育、保守を同じ前提にして複数社へ見積を依頼します。
RFPがない状態でも開発会社へ相談できますか?
相談できますが、現状の巡回表、写真、報告書、現場数、利用者、困りごとを最低限そろえると、提案と見積の精度が上がります。要件が未整理なら、いきなり本開発を発注せず、現場ヒアリングと業務整理を要件定義フェーズとして依頼し、その成果をもとに本開発を判断します。
オフラインでも使えるかはどう確認すればよいですか?
実際の現場で通信を切り、チェック、写真、コメントを入力してから、通信復旧後に正しく同期されるかを試します。端末の容量不足、アプリを閉じた場合、同じ指摘を複数人が更新した場合、同期に失敗した場合の再送や履歴も、RFPの受入条件に入れると確認漏れを防げます。
委託先を選ぶときに最も重視すべきポイントは何ですか?
自社と似た現場での導入実績、オフラインを含むモバイル設計、協力会社の権限、写真・帳票・是正管理、導入後の現場支援を重視します。安い見積を選ぶ前に、同じシナリオのデモと受入条件を比較し、追加費用・データ返却・保守範囲まで含めた総額で判断します。
まとめ

発注前に目的と範囲を決めます
現場巡回管理システムを発注するときは、最初に巡回の目的、対象現場、利用者、証跡、是正と報告の完了条件を整理します。そのうえで、標準業務はSaaS、検証はローコード、独自業務と連携は個別開発というように、方式を組み合わせて選びます。
RFPと総額で委託先を比較します
RFPには、現状業務、機能要件、非機能要件、端末・通信条件、セキュリティ、データ移行、受入テスト、導入支援を記載します。見積は機能名だけでなく、要件定義、開発、ストレージ、連携、教育、保守を分け、同じ前提の総額で比較します。候補会社の実績とデモを確認し、1〜3現場で効果を測ってから全社展開することが、費用と現場定着を両立しやすい進め方です。
費用は、公開SaaSの月額から、PoC、本番化、全社展開まで大きな幅があります。相場は断定値ではなく、利用規模と要件で変わる比較レンジとして扱い、写真容量、オフライン同期、権限、契約終了時のデータ返却まで確認してから発注を決めます。
▼全体ガイドの記事
・現場巡回管理システム開発の完全ガイド
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
