SNS分析ツール開発の発注/外注/依頼/委託方法について

SNS分析ツールの発注は、目的の整理、候補の比較、試験導入、契約と運用設計の順に進めると、分析結果を業務改善につなげやすくなります。

発注形態から導入後の運用まで、各段階で決めることを順に説明します。全体像はSNS分析ツール開発の完全ガイドもご覧ください。

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・SNS分析ツール開発の完全ガイド

SNS分析ツールの発注・外注の出発点

SNS分析ツールには、自社アカウントの投稿実績を確認するものと、公開投稿やクチコミを集めるソーシャルリスニングがあります。両者は目的が異なるため、発注前に、誰が何を判断するツールなのかを明確にしておきます。

分析結果をレポートにまとめるだけでなく、言及量の異常な増加を知らせる運用も設計します。広報やカスタマーサポートの判断につなげるためです。必要な機能を見極めれば、不要な機能や過小な要件を減らせます。

自社アカウント分析:運用改善への活用

媒体別や投稿別に、投稿数、リーチ、インプレッションを確認できます。いいね、コメント、保存の反応も見られます。動画再生やフォロワー推移もあわせて把握できます。

投稿を曜日や時間で比べたり、テーマや形式で比べたりすると、次の企画や運用ルールを改善できます。対象は、Instagram、X、YouTubeのほか、TikTokなどです。

ただし、媒体ごとに取得できる指標や意味は同じとは限りません。そのため、再生数や表示回数の定義をそろえてから集約します。

ソーシャルリスニング:市場理解とリスク対応への活用

ソーシャルリスニングでは、ブランド名や商品名、競合名を検索条件にします。業界用語やキャンペーン名も指定できます。収集の対象は、公開投稿、記事、レビューなどです。

言及量や頻出語、関連トピックを見て、肯定・否定の傾向や競合との差を分析します。分析結果は、商品企画、広報、顧客対応の各部署へ共有します。

危機監視では、自動判定だけに頼らない設計が欠かせません。重大度の設定と一次確認は委託範囲に含め、関係部署への連絡と緊急時の意思決定も、あわせて範囲に入れます。

発注形態の選択肢:SaaS・連携拡張・スクラッチ

発注形態は、初期予算だけで決めず、対象媒体や過去データを材料に判断します。分析の独自性や既存システムとの連携も、判断材料になります。

利用者数、セキュリティ要件、運用体制も条件に入れて考えます。標準的な分析やレポート作成が中心なら、既製SaaSが候補になります。

不足するデータ連携だけを追加する方法もあります。一方で、独自分類や社内データ統合が競争力になる場合に限り、スクラッチを検討します。

既製SaaSが向くケース:短期間での検証

既製SaaSは、アカウント分析や投稿管理、競合比較といった標準機能を月額で使えます。クチコミ収集やレポート作成なども、標準機能に含まれます。

収集基盤や画面をゼロから作らずに済むため、導入期間を短くしやすい点が利点です。まずは1つの部署やブランドで試せます。

検索漏れや誤検知、レポート作成時間を見ます。現場での利用頻度も確かめます。標準機能で足りれば、開発費と保守負担を抑えやすくなります。

既存ツールへの連携拡張:不足機能の補完

既製ツールを使いながら、分析結果を他システムへ渡して、足りない連携機能を補う方法です。

  • 連携先:CRM、問い合わせ管理、広告管理、Web解析、購買データ、BIツール
  • 段階導入:まずCSV出力や定期バッチで試し、効果が見えた箇所からAPI連携へ移す
  • 見積範囲:認証、取得制限、重複排除、削除依頼への対応、エラー時の再送

スクラッチ開発が向くケース:独自要件とデータ統合

スクラッチ開発では、収集や正規化、検索の仕組みを要件に合わせて設計できます。集計やダッシュボード、通知も組み込めます。権限、監査ログ、削除処理も含められます。

投稿を自社の商品カテゴリーに分けたい場合や、問い合わせや購買データと顧客課題を結びつけて追いたい場合に検討します。閉域環境や厳格な監査が求められる場合も、その例です。

媒体のAPI仕様や利用規約は変わることがあるため、その変更へ継続して対応する必要があります。保守体制と年間費用を開発会社に確かめてから選びます。

ポイント

発注形態は初期予算だけでなく、対象媒体や分析の独自性、既存システムとの連携から選びます。標準機能で足りればSaaS、独自の統合が要ればスクラッチが候補です。

RFPと要件整理による発注条件の統一

RFPの発注要件を、目的とKPI、媒体・データ・保存期間、非機能要件、セキュリティの4項目で示した図。
4つの観点をそろえると、各社の提案を同じ条件で見比べやすくなります。

RFPは、開発会社やSaaSベンダーに渡す依頼内容をまとめた資料です。同じ条件で提案と見積を受けるために作成します。

RFPには、目的や対象範囲、現行業務を記載します。さらに、利用者、希望時期、予算を書き添えます。選定基準と提出物も示します。

機能名だけでなく、判断を速めたい業務も示します。どの業務を何分短縮したいかまで書くと、各社の提案を比べやすくなります。

目的とKPIの業務言語での記述

「AIで分析したい」「すべてのSNSを見たい」といった表現のままでは、機能と費用を判断できません。目的を、具体的な業務KPIに置き換えます。

  • レポート作成:月次レポートの作成時間を半分にする
  • 商品企画:新商品の不満テーマを毎週、企画の担当へ共有する
  • 危機対応:重大な言及を発見してから30分以内に一次判定する

フォロワー数のほか、投稿量や到達、エンゲージメントも成果指標の候補になります。問い合わせや購入、解約とのつながりを、仮説として書いておきます。さらに、商品改善との関係も記載します。

媒体・データ・保存期間の一覧化

対象媒体は、大きくSNSと、ブログや掲示板、レビューサイトに分けます。SNSでは、X、Instagram、Facebook、YouTube、TikTokなどが対象です。また、取得対象は、自社アカウント、公開投稿、競合アカウントの別で区別します。

キーワード数や除外語、言語、地域を決めます。過去データの保持期間や更新頻度、データ量も決めておきます。CSVやAPIでの出力、画像内文字の扱いも記載します。

想定している情報が公式APIで提供されているかは、候補会社との初回打ち合わせで確かめます。

RFPに入れる非機能要件とセキュリティ

RFPには、性能、運用、データ管理、セキュリティの条件を、項目ごとに分けて記載します。

  • 性能・運用:同時利用者数、応答時間、更新遅延、バックアップ、障害監視、復旧目標
  • アクセス管理:権限、MFA、暗号化、操作ログ
  • データ管理:保存期間、削除依頼、国外データセンター、再委託、AI学習への二次利用

公開されているSNSの投稿でも、個人を識別できる情報は個人情報に該当する場合があります。本人が公にした情報であっても、単なる閲覧を除き、取得時に利用目的の通知・公表が必要となる事例があります。その内容は、個人情報保護委員会の通則編(出典:「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(令和8年6月一部改正))に示されています。

ポイント

RFPには、目的とKPI、対象媒体、データ範囲、非機能要件を書いておくと、各社の提案と見積を同じ条件で比べられます。

SNS分析ツールの発注・外注の進め方

候補選びから本番展開までの発注は、次の順で進めます。

  1. 社内の目的と要件を整理する
  2. 候補会社を選び、提案を依頼する
  3. デモと質疑を行う
  4. 同じ条件で見積を比較する
  5. 契約し、要件を定義する
  6. 試験導入の後に本番展開する

SaaSであっても、検索条件やアカウント権限、レポート運用を決めておかなければ、現場に定着しにくくなります。開発の場合は、要件定義前の概算と確定後の見積を分けて扱います。そのため、後から追加費用が生じた理由を確かめやすくなります。

候補会社の役割の違いと絞り込み

候補には、SNS分析製品のSaaSベンダーや、ソーシャルリスニング・有人監視の会社があります。データ基盤やBI連携に強い会社、業務システムの受託会社も候補になります。

同じ「開発会社」でも責任範囲は異なるため、目的に合う相手を選びます。自社分析なら製品提供会社、危機監視なら有人対応会社が候補です。社内データの統合が目的なら、その種の実績を持つ受託開発会社へ相談します。

実データのデモと小規模PoCでの評価

デモでは、一般的なサンプル画面だけでなく、自社の商品名や競合名、過去のキャンペーン名を使います。検索漏れやノイズ、引用投稿の扱いは、この段階で確かめられます。皮肉や方言の判定、画像内文字、重複投稿の扱いも見ます。

削除後の表示やレポート出力も見ておきます。危機監視では、過去事例を匿名化して再現します。そのうえで、発見から通知、一次判定、関係部署への共有までの時間を測ります。

試験導入の終了条件と本番展開

試験導入の完了は、レポート作成時間や検索結果の適合率、アラート確認時間を導入前後で比べて判断します。関係部署への共有率や、問い合わせ・商品改善に使われた件数も指標に加えられます。

画面は、毎日、週次、経営報告といった用途ごとに分けておき、権限と通知先も決めます。目標に届かなかった場合は、キーワード修正、機能追加、契約見直しのどれを行うかを、あらかじめ決めておきます。

ポイント

社内の目的整理から候補の比較、試験導入、本番展開まで、順に進めます。概算と確定見積を分けておくと、追加費用の理由も追いやすくなります。

契約形態の使い分け:請負・準委任・月額利用

契約形態によって、成果物や支払い、検収の進め方が変わります。仕様変更や責任分界の扱いも、契約形態ごとに違います。契約書の名称だけでなく、依頼内容と条件を見て判断します。

要件定義は準委任、仕様確定後の開発は請負、運用は月額サービスとする組み合わせもあります。ただし、最終的な法務・会計の判断は、社内規程と専門家の確認を踏まえて行います。

請負:仕様と検収条件が明確な開発

請負契約は、合意した成果物を完成させ、発注者が検収する形に適しています。成果物は、収集基盤や管理画面、検索、レポートに分けます。通知や権限、外部連携も、個別の成果物として示します。

画面だけでなく、データの欠損、重複、遅延、APIエラー、権限外の閲覧も検査対象になります。さらに、削除処理とバックアップ復元も検収条件に含めます。

仕様変更の承認者や追加費用、納期延長、瑕疵対応は、契約の時点で決めておきます。また、ソースコードや学習データの権利帰属も、契約で定めます。

準委任:要件整理と継続改善

準委任契約は、専門家の稼働や業務支援を依頼する形に適しています。現場ヒアリング、データ定義、RFP作成支援、プロジェクト管理などに使えます。

キーワード設計や分析レポートの改善のように、作業は決まっていても成果物を先に確定しにくい段階にも向いています。その場合は、月ごとの稼働時間や担当者、作業報告を明確にします。

意思決定、未消化時間、再委託、成果物の利用権も定めます。要件定義を準委任、開発を請負とすると、責任の範囲を分けやすくなります。

月額利用契約の確認項目:解約・データ・値上げ条件

SaaSでは、初期設定や月額、最低利用期間を確認します。更新、解約、違約金の条件も、あわせて見ます。キーワード追加や過去データ、ユーザー数、API出力は、項目ごとに分けて確かめます。

保守、レポート代行、有人監視は、それぞれ分けて確かめます。契約終了後に自社データをどの形式で、いつまでに、いくらで取得できるかも、見落とせません。

料金改定の通知期間、機能変更、サービス終了時の扱いは、利用規約の文言を読んで確かめます。障害が起きた場合の返金や代替措置も、規約に書かれているかを確認します。

SNS分析ツールの費用相場とコストの内訳

PoC・MVP、部門利用、大規模スクラッチの開発規模別に、推定費用レンジを横棒で比較した図。
規模が上がるにつれて、費用の幅も大きくなります。

費用は、既製SaaSの利用料、導入支援、データ連携、独自開発、運用・監視に分けて考えます。ここで示す金額は、リサーチノートの公開料金と、類似する業務システム開発から整理した推定です。

対象媒体やデータ量、キーワード数で金額は変わります。保存期間や有人対応、既存システムとの連携も、金額を左右します。そのため、同じ条件で見積を依頼し、相場をそのまま発注額とみなさないようにします。

既製ツールの比較の起点:月額8万円台から30万円程度

業務向けソーシャルリスニングは、月額8万円〜30万円程度が比較の起点になります。NTTドコモビジネスXのBuzz Finderは、ツール利用が月額88,000円からです。

アラート確認、リスク判定、緊急通知を24時間365日行うプランは、月額220,000円からと案内されています(出典:NTTドコモビジネスX「ソーシャル・レピュテーションリスク対策ソリューション」、2026年確認)。

これは一社の公開料金であり、全製品に共通する定価ではありません。金額は、キーワード数や対象媒体、保存期間、有人監視の有無によって、見積ごとに変わります。

PoC・MVPの推定レンジ:300万〜800万円

1〜2媒体の公式API連携、基本ダッシュボード、CSV出力、簡易検索を備えるPoC・MVPの推定レンジは、300万〜800万円です。期間は2〜4か月程度です。

この金額は、SNS分析専用の公的統計ではありません。データ収集、検索、集計、画面、権限を含む類似業務システムの相場を、要件に当てはめた概算です。

PoCでは、高度なAI分類よりも、必要な投稿を取得できるかを先に確かめます。加えて、レポート作成が短くなるか、現場がアラートを処理できるかも検証します。

部門利用の推定レンジ:800万〜2,000万円

部門利用向けの開発では、規模や期間のほかに、複数部門で使うための準備も見積に含めて考えます。

  • 開発規模:3〜5媒体、競合比較、投稿分類、定期レポート、権限管理、メールやチャット通知、BI連携を含み、800万〜2,000万円が推定レンジ
  • 期間:4〜8か月程度
  • 複数部門での利用:指標定義の調整、権限設計、既存データの移行、利用者教育、受入テストが必要で、画面開発費だけでは見積もれません
  • サンプル検証:省くと完成後に追加の調査費用が発生しやすいため、データの正しさを事前に確かめる

大規模スクラッチの推定レンジ:2,000万〜5,000万円以上

大規模開発では、開発範囲に加えて、継続費も含めて見積もります。

  • 対象範囲:複数国・多言語、大量データ、独自センチメント・トピック分類、24時間監視、CRM・広告・購買データ連携、監査ログ、冗長化
  • 推定レンジ:2,000万〜5,000万円以上、期間8〜18か月程度
  • 継続費:API利用料、データ保存、検索基盤、AI推論、有人判定、保守が継続してかかります
  • X API:2026年時点ではサブスクリプションではなく従量課金で、読み取りは取得リソース単位

X APIの読み取り課金は、公式の料金案内に記載されています(出典:X「X API pay-per-usage pricing and credits」、2026年確認)。

利用量の上限と単価は変わる可能性があります。そのため、月次の上限額を契約とシステムの両方で管理します。

3年間のTCOによる比較

初期費用だけでなく、月々の運用費や契約終了時の費用も含めて比べます。

  • 初期費用:要件定義、設定、データ移行、キーワード設計、端末やネットワーク、教育
  • 月額費用と追加項目:利用料、API、クラウド、ログ保存、保守、監視、AI推論、レポート代行、媒体・キーワード・利用者の追加、データ出力
  • 3年間の比較:障害対応や契約終了時の移行も含めて計算する。初期費用が安くても、最低利用期間や追加オプションが大きい場合があるため、同じ期間で比べる

ポイント

費用は、対象媒体やデータ量、有人対応の有無で大きく変わります。同じ条件で見積を取り、初期費用と月額費用、保守を含めた3年間のTCOで比べると、発注額を判断しやすくなります。

委託先の選定と見積比較で確認するポイント

委託先は、知名度や安さだけでなく、SNSデータの制約を説明できるかで評価します。業務フロー設計や導入後の改善支援も、あわせて確かめます。

機能が多い提案でも、取得できないデータを前提にしていれば、その機能は実現できません。そのため、実データのデモ、類似事例、担当体制を説明してもらいます。保守窓口と障害時の責任分界も確かめます。

対象媒体と類似業務の実績確認

「SNSの導入実績がある」という説明だけでは決めず、自社と同じ目的の事例を確認します。

自社アカウント分析、競合比較、公開投稿のリスニング、炎上監視、商品企画へのVoC活用では、必要なデータと運用が異なります。

対象媒体や取得範囲、過去データの保持期間、更新頻度を聞きます。アラート方法や利用者数も聞いておきます。委託先と発注者の担当範囲は、分けて確かめます。

機能別・工程別・運用別の見積分解

開発見積は、要件定義、デザイン、収集・連携、データ基盤の工程に分けてもらいます。分析ロジックや画面、通知、権限は、機能ごとに示してもらいます。テスト、移行、教育、保守も、別の項目として立てます。

SaaSでは、初期設定、キーワード設計、データ移行を分けます。ユーザー追加や媒体追加、レポート代行、有人監視も、別々に示してもらいます。

「作業一式」や諸経費には、含まれる作業と含まれない作業を質問します。工数や単価、前提、除外条件、追加時の単価も確認します。

AI分析の精度・説明可能性・人手確認

「AIで感情分析できる」という機能名だけで比べるのは避けます。皮肉や短文、方言の扱いを確かめます。複数言語や引用投稿、画像内文字の扱いも見ます。

ボットや、同じ投稿の転載も、確認の対象になります。さらに、自社の過去投稿で判定結果を試し、誤検知や見逃しを修正できるかを聞きます。

重大なリスクは、AIだけで自動発信しない設計にします。そのため、担当者が根拠の投稿と判定理由を確かめられる画面を用意します。

セキュリティとデータの責任分界の確認

委託先の安全管理とデータの扱いは、項目を分けて確かめます。

  • 安全管理:アクセス権限、MFA、暗号化、操作ログ、脆弱性対応、バックアップ
  • データ管理:保存期間、削除依頼、再委託、国外移転、事故通知
  • 二次利用:AI学習への利用

投稿本文を保存するか、URLと集計値だけにするかによって、リスクと費用は変わります。また、SNSで公にされた情報も、個人を識別できれば個人情報となり得ます。その扱いは、個人情報保護委員会のガイドライン(出典:「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」)に整理されています。

委託先に任せきりにせず、自社の利用目的と保存方針をRFPに記載しておきます。

導入後の運用とAPI・データリスクの設計

検知、一次判定、関係部署への共有、事後分析とキーワード更新が循環する運用図。
最後の見直しが次回の検知条件へつながります。

分析を成果につなげるには、ダッシュボードを作ったあとの運用が欠かせません。キーワードを見直し、アラートを確認して関係部署が対応し、結果を次の施策へ戻す流れを回します。

SNSのAPIや利用規約は変わる可能性があります。そのため、保守契約には、仕様変更への対応と代替手段を含めておきます。

検知から対応までのアラートフロー

対応漏れを防ぐため、検知後の運用は、次の流れで設計します。

  1. 投稿の検知
  2. 一次判定
  3. 関係部署への共有
  4. 顧客対応や広報判断
  5. 事後分析
  6. キーワードの更新

重大度を低・中・高などに分け、それぞれの確認担当と対応時間を決めます。部長や法務へエスカレーションする条件も定めておきます。

夜間や休日は、自社で監視するか、外部の有人監視を使うかを決めます。緊急連絡先につながらない場合に備え、代替の連絡手段も用意します。

アラートが多すぎると、重要な投稿が埋もれてしまいます。そのため、導入後の誤検知率を見て、条件を調整します。

API仕様と料金変更を前提とした保守

API変更後もデータ収集を続けるには、媒体ごとの課金方式や利用枠を把握する必要があります。

  • データ取得:取得できる情報、認証方式、審査、レート制限
  • 利用条件:料金、保存・再配布の条件
  • 上限:課金方式と利用枠

X APIは、クレジットを購入して利用量に応じて支払います。読み取りは取得リソース単位、書き込みはリクエスト単位で課金されます(出典:X「X API pay-per-usage pricing and credits」、2026年確認)。

YouTube Data APIも、クォータ制です。通常のエンドポイントには、1日10,000ユニットのデフォルト割当があります(出典:Google for Developers「YouTube Data API Overview」、2026年確認)。

発注時には、API利用料の上限、取得失敗時の再試行、キャッシュ、データ欠損の表示を見積もります。また、仕様変更時の改修費用も含めておきます。

月次レビューによるデータ品質と施策効果の見直し

月次レビューでは、収集件数や検索漏れ、重複、誤検知、APIエラーを確認します。アラートから一次判定までの時間や、レポート作成時間も見ます。

施策に反映した件数も確かめます。商品名の表記ゆれや新しい略称に合わせて、現場と委託先がキーワードを更新します。

評価の軸は、単なる閲覧数ではなく、問い合わせの削減や企画改善、危機対応の短縮です。発注時に定めたKPIに戻り、施策が変わったかを確かめます。

ポイント

導入後は、検知から一次判定、共有、対応、事後分析までの流れを決めておくと、対応漏れを防げます。API仕様や料金の変更は前提に置き、保守契約に含めます。

よくある質問(FAQ)

SNS分析ツールの発注では、費用だけでなく、取得データや運用担当者、契約終了後の扱いも確かめる必要があります。発注前によくある疑問に、順に答えます。

SNS分析ツールはSaaSとスクラッチ開発のどちらがよいですか?

標準的なアカウント分析やレポート作成なら、短期間で試せるSaaSが適しています。一方で、固有分類や社内データ統合、厳格な閉域・監査要件など、SaaSとの差が大きい場合は、拡張やスクラッチを検討します。

最初から全機能を作らず、実データのPoCで必要性を確かめてから範囲を広げると安全です。

SNS分析ツールの開発費用はいくらかかりますか?

公開料金のあるソーシャルリスニングは、月額8万円〜30万円程度が比較の起点になります。NTTドコモビジネスXでは、ツール利用が月額88,000円からです。

有人アラート対応は月額220,000円からです。独自開発の推定レンジは、PoC・MVPが300万〜800万円、部門利用が800万〜2,000万円です。

大規模スクラッチは2,000万〜5,000万円以上です。正式な金額は、対象媒体やデータ量、API費用、連携、保守、有人監視の条件をそろえた見積で確かめます。

RFPには何を書けば委託先と比較しやすくなりますか?

RFPには、目的とKPI、対象媒体、分析対象、キーワード数を記載します。保存期間や更新頻度、指標、連携先、利用者と権限も書きます。通知条件やセキュリティ、希望時期、予算、導入後の支援範囲も必要です。

公開投稿を集めるのか、自社アカウントだけを分析するのかを明記します。そのうえで、機能別の見積や除外条件、APIやデータ利用の制約、保守費用、データ出力条件を分けて提出してもらいます。

APIの仕様変更でSNS分析ツールが使えなくなることはありますか?

APIや利用規約が変わると、取得データや料金、審査、レート制限が変わる可能性があります。そのため、変更を監視する担当、改修費の負担者、取得できない期間の代替策を、契約に入れておきます。

重要なKPIを、一つの媒体だけに頼らない設計にします。CSV出力や保存方針、手作業による暫定運用を用意しておくと、影響を抑えられます。

まとめ

SNS分析ツールは、目的に必要なデータを取得できるかで判断します。あわせて、分析結果を誰が使い、導入後の保守と運用を続けられるかも確かめます。

標準レポートが中心ならSaaS、不足する連携だけを補うなら拡張を検討します。独自分類や社内データ統合が必要な場合は、スクラッチが候補です。

発注前には、目的とKPI、媒体、データ範囲、保存期間をRFPにまとめます。権限、セキュリティ、通知フローも盛り込みます。見積は、開発、連携、API、保守などに分けてもらいます。

3年間のTCOで比較し、公開料金や推定レンジを出発点に正式見積へつなげます。PoC・MVPは300万〜800万円、部門利用は800万〜2,000万円です。

大規模スクラッチは2,000万〜5,000万円以上が推定レンジです。個別の条件と継続費用を加えて判断します。

検知から一次判定、社内共有、対応、事後分析、キーワード更新までを設計します。API変更や個人情報、AI判定の誤りを想定して、責任分界と代替運用を契約に定めます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。