テスト自動化ツール開発の発注/外注/依頼/委託方法について

テスト自動化ツール開発の発注・外注は、ツールを購入してテストコードを書いてもらうだけではなく、自動化する業務、テストデータ、実行環境、失敗時の保守体制までを一つの仕組みとして設計することが成功の条件です。特に業務システムでは、画面操作だけでなくAPI、バッチ、権限、外部連携を含めて優先順位を付け、まずは回帰テストの一部をPoCで検証する進め方が現実的です。

本記事では、「テスト自動化ツール」を開発会社や専門ベンダーへ発注・外注する担当者に向けて、発注形態の選び方、RFPと要件整理、請負・準委任の使い分け、2026年時点の費用目安、委託先と見積書の比較ポイントを解説します。導入後にテストが壊れたとき誰が直すのか、テストコードと実行履歴を誰が所有するのかまで決めておくことで、短期導入だけで終わらない運用を作れます。

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テスト自動化ツールの発注・外注とは?全体像を整理します

テスト自動化ツールの発注全体像

テスト自動化ツールは、テストケースを再実行できる形で定義し、画面操作、API呼び出し、データ投入、結果判定、スクリーンショットや動画などの証跡保存を繰り返し実行するソフトウェアまたはクラウドサービスです。外注では、ツールの選定だけでなく、テスト設計、自動化コード、CI/CD連携、レポート、保守手順の整備を一体で依頼できます。

内製・外注・併用のどれが適していますか?

内製は、テストコードを長期的に自社資産として育てやすく、アプリケーションの変更意図も反映しやすい方法です。一方で、初期のフレームワーク設計、セレクタの安定化、CI/CD設定、失敗原因の切り分けに経験が必要です。外注は短期間で専門知識を取り入れやすく、複数ブラウザや実機環境を含む構成も任せやすい方法です。現実には、初期設計とPoCを外注し、標準化後のテスト追加を内製する併用が、ノウハウとスピードのバランスを取りやすいです。

発注する範囲はどこまでですか?

発注範囲は、ツールのライセンス契約、対象テストの選定、テストケース作成、テストコード実装、テストデータ作成、実行環境構築、CI/CD連携、レポート設計、教育、運用保守に分けて考えます。見積書に「自動化一式」とだけ書かれていると、対象ケース数やブラウザ数が不明なまま契約が進み、後から追加費用が発生しやすいです。成果物を工程ごとに分け、納品後に自社が何を操作できるかまで確認することが大切です。

発注形態はどう選びますか?

発注形態の選択

発注形態は、既製サービスを使うのか、OSSを基盤に独自のテスト自動化ツールを構築するのか、また設計から運用まで同じ会社へ任せるのかで決まります。短期の効果確認だけならSaaSや小規模PoC、既存システム固有のAPI・バッチ・権限を扱うならOSSと受託開発の組み合わせが候補になります。

パッケージ・SaaSを選ぶケース

ブラウザやモバイル実機を複数種類で検証したい場合は、クラウド型の実行基盤を使うと、社内で端末やブラウザ環境を維持する負担を抑えられます。BrowserStackの公式価格ページでは、Automateの一部プランが年払いで月額59米ドル、Large Teamの表示が月額99米ドルとなっており、1ドル150円で単純換算すると月額およそ9,000円から1万5,000円程度です。ただし、並列数、実機、ユーザー数、企業契約、為替で変動し、エンタープライズは個別見積もりです。価格だけでなく、データ保管場所、接続方式、ログの保存期間、サポート範囲も確認します。

OSSとスクラッチ開発を組み合わせるケース

Selenium、Playwright、Cypress、Appium、JUnitなどは、ライセンス料をかけずに始められる選択肢です。ただし、ライセンス料が0円でも、テスト設計、共通部品、認証処理、テストデータ生成、CI実行環境、ブラウザ更新、失敗テストの修正には人件費がかかります。社内ネットワーク内の業務システムや、API・バッチ・ERP・外部連携を横断して検証する場合は、OSSを基盤に自社向けの実行基盤を作ることで柔軟性を確保できます。

設計・実装・運用を分けて発注するケース

要件がまだ固まっていない場合は、最初に現状診断とPoCだけを発注し、効果と保守性を確認してから本開発へ進む方法が安全です。設計・実装を専門会社へ依頼し、テストケースの追加は社内で行い、ブラウザ実機だけをクラウドサービスへ外出しする分業も可能です。分業する場合は、障害が発生したときにアプリ不具合、テストコード、実行環境のどこまでを誰が一次切り分けするかを、契約と運用手順に明記します。

自動化する対象はどのように決めますか?

自動化対象の選定

自動化の対象は「人が手で実行しているテストを全部置き換える」という考え方では決めません。実行頻度が高く、合否判定が明確で、仕様が比較的安定し、失敗した場合の業務影響が大きいテストから選びます。回帰テスト、ログイン、権限別の主要操作、注文や申請などの代表的な業務フローは候補になりやすいです。

頻度・判定・影響の3軸で優先順位を付けます

候補を洗い出したら、月に何回実行するか、期待結果を機械的に判定できるか、失敗時に売上・顧客・業務継続へどの程度影響するかを点数化します。例えば、毎週のリリースで必ず実行する注文登録テストは優先度が高く、画面の文言を人が読み取って自然さを評価する探索的テストは手動に残す判断が適切です。優先順位を明文化すると、委託先から「ケース数を増やす」提案を受けたときも、効果の大きい順に比較できます。

画面だけでなくAPI・バッチ・権限も候補にします

画面をブラウザで操作するE2Eテストは成果が見えやすい一方、処理が遅く、画面変更の影響を受けやすいです。業務システムでは、APIのステータスやレスポンス、データベースの更新、夜間バッチの結果、管理者・一般利用者・承認者ごとの権限を下位レイヤーで検証する方が、速く安定したテストになります。画面、API、バッチをそれぞれの層で分担し、少数の重要シナリオだけをE2Eでつなぐ構成をRFPに示します。

PoCでは成功系・異常系・権限違いを試します

PoCは、最も簡単な1ケースだけを自動化して終えるのではなく、成功系、入力エラーなどの異常系、権限の異なる利用者を含む代表ケースで実施します。テストの実行時間、初回成功率、失敗時の原因特定にかかる時間、画面変更後の修正量、レポートの分かりやすさを記録します。リサーチノートをもとにした目安では、5〜15ケース程度のPoCは50万〜150万円、期間は2〜4週間が推定レンジです。全国一律の相場ではなく、対象環境と成果物を定義したうえで個別見積もりを取ります。

RFP・要件整理では何を伝えればよいですか?

RFPと要件整理

RFPはツール名を指定する書類ではなく、解決したい業務上の課題と、納品後に達成したい状態を委託先へ共有する書類です。テストケース数だけでなく、リリース頻度、現状の手動工数、対象システムの構成、テスト環境、データの制約、CI/CD、セキュリティ、運用担当者を記載すると、各社の提案条件がそろいます。

現状のテストとシステム構成を棚卸しします

RFPには、フロントエンドの種類、APIやバッチの有無、認証方式、外部サービスとの連携、利用ブラウザと端末、リリース頻度、既存のテスト管理方法を整理します。手動テストの所要時間、月間の実行回数、過去に多かった不具合、現在使っているSeleniumやPlaywrightなどのコード資産も重要です。既存コードがある場合は、全廃して作り直す提案と、再利用して段階移行する提案を分けて比較します。

機能要件はケース数と合否条件で表します

機能要件では、対象業務、テストレベル、対象ブラウザ・OS・実機、並列実行数、テストデータの作成方法、合否判定、スクリーンショット・動画・トレースの保存、通知先を定義します。「主要画面を自動化する」という表現だけでは範囲が曖昧です。「注文登録の正常系10ケース、入力エラー5ケース、承認者と一般利用者の権限違いを含む」のように、ケースの種類と期待結果を示すと、見積もりと受入判定をそろえられます。

非機能・セキュリティ要件も最初に書きます

非機能要件には、実行時間、並列数、失敗時の通知、ログ保存期間、可用性、監査証跡、データ保管地域、社内ネットワークからの接続、秘密情報の管理方法を含めます。本番データをテスト環境へコピーする場合は、個人情報のマスキング、テスト用アカウントの権限、認証情報の保管場所を明確にします。機能テストの自動化だけで脆弱性診断を代替しないことも明記し、セキュリティ検証は必要な基準や専門家の役割を別途定義します。

契約形態は請負と準委任をどう使い分けますか?

テスト自動化開発の契約形態

テスト自動化の外注では、要件が固まった成果物を納めてもらう部分と、状況に応じて専門家に伴走してもらう部分が混在します。契約名だけで決めず、何を完成品とみなすか、作業時間に対して支払うのか、仕様変更をどう扱うのか、検収と保守をどこで分けるのかを確認します。法務・調達部門と連携し、実際の契約書と個別案件の条件に合わせて決定します。

請負契約が向く範囲

請負契約は、対象範囲、成果物、完成条件を先に定義しやすいPoC後のフレームワーク構築や、決められたケースのテストコード実装に向きます。成果物には、ソースコードだけでなく、テスト設計書、ケース一覧、環境構築手順、CI設定、データ生成スクリプト、実行レポート、引き継ぎ資料を含めます。画面仕様が頻繁に変わる場合は、変更を追加費用にする条件や、納期を調整するルールをあらかじめ決めます。

準委任契約が向く範囲

準委任契約は、現状診断、ツール選定、PoCの評価、運用改善、内製化支援など、専門家の知見と作業時間を組み合わせて進める範囲に向きます。新しい画面や仕様が増え続けるプロジェクトでは、月ごとの支援時間、参加する職種、定例会、成果の報告方法、対応時間帯を明確にします。リサーチノートの指定Q&Aでは、業務システム開発の傾向として、請負は準委任より1.3〜1.5倍程度高くなる場合があると整理されていますが、これは一般的な目安であり、テスト自動化案件の価格を保証するものではありません。

混合契約で段階的に進める方法

実務では、診断・PoCを準委任、標準フレームワークと初期ケースの構築を請負、リリース後の保守とケース追加を準委任に分ける方法が使いやすいです。契約を分けることで、検証していない技術や対象をいきなり固定価格で抱え込まずに済みます。各段階の終了条件、次段階へ進む判断基準、途中で中止した場合の成果物、ソースコードの引き渡し条件を明確にします。

発注後の開発・導入はどの順番で進めますか?

テスト自動化ツールの導入手順

導入は、現状分析、対象選定、PoC、フレームワーク設計、テスト実装、CI/CD連携、運用移管の順に進めます。各工程で「何ができれば次へ進むか」を決め、テスト件数だけではなく安定性と保守性を確認します。最初から全機能を対象にすると、失敗の原因がツールなのかデータなのかアプリなのか分かりにくくなります。

共通部品とテストデータを先に設計します

テストコードを量産する前に、Page Objectなどの画面部品、APIクライアント、ログイン処理、共通フィクスチャ、待機やリトライの方針、環境変数、失敗時の証跡保存を標準化します。テストデータは使い回すのではなく、ケースごとに作成・初期化できる仕組みを用意します。個人情報を含むデータは匿名化し、認証情報をソースコードやログへ出さないことを受入条件にします。

CI/CDで実行タイミングと失敗通知を決めます

CI/CD連携では、プルリクエスト時の高速なスモークテスト、夜間の回帰テスト、リリース前の総合テストを分けます。テストの失敗をすべて同じ赤色の通知にすると、製品不具合、テストの不安定、環境障害の区別がつきません。通知に実行環境、対象ケース、失敗ログ、スクリーンショット、動画、トレース、担当チームを含め、再現と一次切り分けを短くします。

運用移管と効果測定で導入を定着させます

本番運用では、テストを追加する担当者、失敗テストを修正する担当者、ブラウザやOSの更新を確認する担当者を決めます。月次で自動化ケース数、成功率、フレーク率、手動回帰の削減時間、失敗から原因特定までの時間を記録します。BrowserStackが公開するCarousellの事例では、リリースごとの手動回帰テストが約35時間から約5時間になったと説明されていますが、これは同社の公表事例であり、自社で同じ成果が保証される数字ではありません。自社の実行頻度と工数で効果を測定します。

テスト自動化ツールの費用相場はいくらですか?

テスト自動化ツールの費用相場

テスト自動化の費用は、ライセンス料よりも、対象ケース数、システムの複雑さ、テストデータ、ブラウザ・実機、CI/CD、セキュリティ、保守体制で大きく変わります。以下の金額は、リサーチノートにある業務システム開発の単価とテスト自動化の対象範囲から算出した目安です。全国一律の定価ではなく、対象ケースと成果物をそろえて複数社から見積もりを取るための初期レンジとして利用します。

初期費用はPoCから大規模導入まで幅があります

5〜15ケース程度でツール評価と代表画面を確認するPoCは50万〜150万円、Web回帰20〜50ケースとCI連携を含む小規模導入は100万〜300万円、100〜300ケースでAPI・画面・テストデータ・複数ブラウザを扱う中規模導入は300万〜800万円が目安です。ERPや基幹システム、モバイル実機、外部連携、権限、性能、運用設計まで含む大規模導入は800万〜2,000万円以上になる可能性があります。いずれも推定レンジであり、ケース数だけでなく既存資産の有無とデータ制約を反映して見積もります。

ツール利用料と実行環境の費用を分けます

OSSを使う場合はライセンス料が発生しないことがありますが、CIランナー、コンテナ、ログや動画の保存、実機、監視、保守要員の費用が必要です。SaaSでは、ユーザー数、並列数、クラウド実行回数、実機、API・性能・アクセシビリティの追加機能、サポート、データ保管を確認します。mablは公式価格ページで、クラウドテスト実行向けに月500クレジットから始まり、ブラウザ・モバイルUI・API・性能・アクセシビリティの実行で共有され、ローカル実行は無料と説明しています(出典: mabl Pricing、2026年確認)。定価を公開せず要件別見積もりとなるサービスもあるため、月間の実行回数を提示して見積もります。

保守費と追加開発費を初期費用から分けます

初期構築後も、画面変更、API仕様変更、ブラウザ更新、テストデータ更新、CI環境の変更、失敗テストの調査が続きます。保守費は初期構築費の年20〜40%程度を仮置きすることがありますが、ケースの変更頻度とSLAで変わるため、契約前に月間の想定時間と超過単価を確認します。新機能のテスト追加、性能テスト、セキュリティ検証、実機の増加は、通常保守とは別の追加開発費として整理すると予算を管理しやすいです。

見積書を比較するときのポイントは何ですか?

テスト自動化の見積比較

安い見積もりが最も良いとは限りません。対象ケース数が少ない、テストデータ作成が含まれていない、CI/CD連携が別料金、失敗時の調査が保守対象外という場合、初期費用が低く見えても運用開始後に追加費用が膨らみます。各社へ同じRFPを渡し、初期構築、ライセンス、環境、保守、追加変更、教育、撤退時の費用を同じ項目で分けてもらいます。

工数・単価・前提条件の内訳を確認します

見積書では、プロジェクトマネジメント、テスト設計、フレームワーク設計、テストコード、データ作成、環境構築、CI/CD、レポート、教育、保守を分けます。エンジニア単価だけで判断せず、各工程の人月または人日、担当者の役割、対象ケース数、対応ブラウザ、並列数、想定するレビュー回数を確認します。業務システム開発の人月単価は80万〜120万円程度が一つの目安として整理されていますが、専門性、会社規模、契約条件で変動し、テスト自動化の見積もりにそのまま当てはまるものではありません。

提案の品質と保守性をPoCで比べます

提案書では、テストコードのセレクタが画面の見た目に依存していないか、共通部品が再利用できるか、テストデータを初期化できるか、失敗時の証跡が十分かを確認します。可能であれば、同じ代表ケースを使った短い有償PoCを各社へ依頼し、実行時間、成功率、画面変更への修正量、レポートの内容を比較します。営業資料のケース数よりも、自社環境で再現可能な設計と、内製担当者が理解できるコードになっているかを重視します。

所有権・SLA・撤退条件を見積もりと契約に入れます

テストコード、設計書、テストデータ生成スクリプト、CI設定、実行履歴、レポートの所有権と利用権を確認します。委託先のリポジトリだけにコードがある状態では、契約終了後に自社で保守できません。障害時の応答時間、調査開始までの時間、修正の対象、ブラウザ更新への対応、データ漏えい時の報告、契約終了時のデータ削除と引き渡しをSLAや契約書に記載します。ベンダー独自サービスを使う場合は、別ツールへ移行できる形式で結果を保存できるかも確認します。

委託先はどのように選べばよいですか?

テスト自動化の委託先選定

委託先は、ツールの知名度だけでなく、テスト設計から運用までの対応範囲、業務システムの経験、CI/CDやセキュリティへの理解、内製化支援、失敗時の体制で選びます。候補には、テスト専門会社、総合SIer、ツールベンダー、クラウド実行基盤の提供会社があります。自社が困っている工程と、委託先へ任せたい工程を先に分けてから、候補を絞り込みます。

業務システムと対象技術の実績を確認します

同じツールを扱える会社でも、Webサイトの単純な画面テストと、ERP・基幹・バッチ・外部連携の検証では必要な経験が異なります。候補企業へ、対象業界と似た構成の実績、利用したテストレベル、対応ブラウザ、テストデータの扱い、CI/CD連携、運用移管後の体制を質問します。株式会社SHIFTのように、テスト計画、フィージビリティスタディ、フレームワーク導入、自動テスト量産、CI環境、保守、スキルトランスファーまで掲げる会社もありますが、公開サービスの範囲と自社案件での実施体制は個別に確認します。

会社ごとの役割を比較します

NTTデータ先端技術は、UFT系、Selenium、Sahiなど複数ツールやフレームワーク導入を掲げています。NTTデータは大規模SIや基幹領域との接続に加え、テストケース生成・実行・結果解析を含むAIテストソリューションの情報を公開しています。NTTアドバンステクノロジは、ICTシステムの検証だけでなく機器や環境管理を含む検証・運用自動化の領域を扱っています。これらは候補の役割を理解するための例であり、価格や適合性を順位付けするものではありません。問い合わせ時は、実装主体、品質保証主体、保守窓口、内製化支援の担当を分けて聞きます。

AI対応は生成速度だけでなく統制まで評価します

2026年はAIがテスト計画、テストコード、失敗原因の要約や修復を支援するサービスが増えています。Playwrightの公式リリースノートでは、plannerがテスト計画を作り、generatorがPlaywright Testファイルへ変換し、healerが失敗テストの修復を支援するTest Agentsが紹介されています(出典: Playwright Release notes、2026年確認)。ただし、AIが生成した期待結果、権限境界、個人情報を含むテストデータを無条件に信頼してはいけません。SCSKも2026年発表のDevCond.AIで、要件定義・設計・テスト・保守におけるAI活用と成果物・実行履歴の管理、セキュリティ・ガバナンスを掲げています(出典: SCSK「AI駆動型開発基盤 DevCond.AI の導入開始」、2026年)。提案時にはAI機能の有無より、レビューと監査の仕組みを評価します。

発注・外注で起きやすい失敗と対策は何ですか?

テスト自動化の失敗と対策

外注の失敗は、ツール選定が間違っていたというより、目的と運用条件が決まらないままケース数だけを増やすことで起こります。導入前に、何を短縮したいのか、誰が保守するのか、どのデータを使うのか、失敗を何分以内に調べたいのかを合意します。提案書の華やかな自動化率より、変更に耐えられる設計と定着までの体制を確認します。

全件自動化と壊れやすいテストを避けます

全テストを画面操作だけで自動化すると、実行時間が長くなり、少しのレイアウト変更で大量のテストが失敗します。画面のテキストや位置に依存したセレクタを避け、アクセシブルな役割や安定したテスト用属性、APIの状態確認を組み合わせます。探索的テスト、ユーザー体験の評価、仕様が頻繁に変わる画面は手動に残し、回帰テストや合否判定が明確な処理を自動化します。

失敗テストを放置せず所有者を決めます

テストが赤くなったまま放置されると、重要な不具合の通知も見逃されます。失敗を製品不具合、テストコードの不具合、テストデータ、環境障害、偶発的なフレークに分類し、一次切り分けの担当と期限を決めます。フレーク率や再実行で成功した割合を月次で確認し、リトライで隠すだけの運用にしないことが大切です。保守契約には、失敗調査、修正、再発防止、ケースの廃止判断まで含めるかを記載します。

個人情報とセキュリティ検証を別管理します

テスト自動化ツールへ本番データや認証情報を渡す場合は、匿名化、最小権限、秘密情報管理、ログのマスキング、保存期間、削除手順、委託先の再委託先を確認します。OWASPのASVS 5.0.0は2025年5月に公開され、Webアプリケーションのセキュリティ検証観点を整理する基準として利用できます(出典: OWASP Application Security Verification Standard、2025年)。機能回帰テストの自動化と脆弱性診断は別の目的です。調達仕様では、必要なセキュリティテスト、証跡、レビュー、是正確認を別項目として定義します。

よくある質問

テスト自動化ツール発注のよくある質問

ここでは、テスト自動化ツールの発注前後に担当者から寄せられやすい質問へ回答します。費用だけでなく、外注範囲、保守、契約、ツール選定の判断材料を確認してください。

テスト自動化ツールだけを購入すれば外注は不要ですか?

不要とは限りません。SaaSやOSSを導入しても、自動化対象の選定、テスト設計、データ作成、CI/CD連携、失敗時の保守を担う人が必要です。社内に経験があればツールだけを導入できますが、初期の診断やPoCだけを専門会社へ外注する方法もあります。

発注費用にはどこまで含めるべきですか?

初期診断、PoC、テスト設計、コード、データ、実行環境、CI/CD、レポート、教育、保守を分けて含めます。ツールのライセンス料やクラウド実行料、実機、追加ケース、ブラウザ更新、失敗調査が別料金かも確認します。初期費用だけでなく、1年分または3年分のTCOで比較すると、安価に見える提案の条件も把握しやすいです。

テストコードの所有者は誰にすべきですか?

長期運用を自社で行うなら、原則として自社がソースコード、設計書、実行設定、テストデータ生成方法を利用できる状態にします。委託先のリポジトリや独自形式だけに依存する場合は、契約終了時の引き渡し、ライセンス、第三者部品、移行支援、データ削除を契約に入れます。外注を続ける場合でも、社内に少なくとも1人は優先順位と受入を判断できるオーナーを置くことが大切です。

まとめ

テスト自動化ツール発注のまとめ

テスト自動化ツールの発注・外注では、最初に「何を自動化し、何を手動に残すか」を決めます。頻度、判定の明確さ、業務影響で対象を絞り、成功系・異常系・権限違いを含むPoCで、実行時間と保守性を確認します。そのうえで、RFPにケース数、環境、データ、CI/CD、証跡、セキュリティ、成果物を記載します。

契約・見積もり・保守を一つの判断にします

請負は範囲と成果物が固まった実装に、準委任は診断や伴走、運用改善に向きます。初期費用はPoC50万〜150万円、小規模100万〜300万円、中規模300万〜800万円、大規模800万〜2,000万円以上という推定レンジを参考にしつつ、ライセンス、環境、保守、追加変更を分けて比較します。安さだけでなく、テストコードの所有権、失敗時のSLA、内製化支援、撤退時の引き渡しまで確認すると、発注後の想定外を減らせます。

最初の一歩は代表ケースを選んで見積もりを取ることです

まずは、リリースのたびに時間がかかる代表業務を数ケース選び、現状の手動時間、失敗時の影響、利用データ、希望する実行環境を整理します。複数社へ同じ条件で相談し、提案されたPoCの内容と保守体制を比較してください。テスト自動化は導入日がゴールではなく、品質を確認する仕組みを開発チームの日常へ定着させる取り組みです。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。