券売機システムは、販売端末、駅と中央の管理機能、改札や決済との連携を一体で設計し、運行を止めずに乗車券を扱う駅務の基盤です。
端末に加えて、駅サーバーや中央システム、改札機、精算機まで含めて考えるため、検討の範囲は端末単体より広くなります。
▼関連記事一覧
・券売機システム開発の進め方
・券売機システム開発でおすすめの開発会社6選と選び方
・券売機システム開発の見積相場・費用
・券売機システム開発の発注・外注・委託方法
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・スクラッチシステム開発を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「スクラッチシステム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
券売機システムの全体像

駅の端末と中央の管理機能を連携させ、乗車券の販売・発券・精算を担う仕組みです。運賃や売上の管理まで含めると、設計の対象は駅サーバーや中央システムに広がります。設計の対象には改札機や精算機も含まれます。
対象には、予約サイトや決済ゲートウェイ、会計システムとの連携と、遠隔監視も含まれます。
券売機システムの主な機能
利用者が券を買うための機能と、駅員が日々の運用を続けるための機能があります。
- 利用者向け:乗車駅・降車駅、経路・運賃の選択と発券。
- 決済連携:決済結果と発券結果の照合。
- 運用管理:売上、締め処理、ログ、消耗品の管理。
- 遠隔保守:端末異常の検知と遠隔確認。
利用者向けには、普通乗車券・定期券・特急券・企画券などを発券します。予約済みきっぷの受け取りや払い戻し、再発行もできます。さらに、交通系ICカードへのチャージや購入、利用履歴の表示・印字にも対応します。
現金のほか、クレジットカードやデビットカード、タッチ決済、QR決済を扱う場合は、決済結果と発券結果を同じ取引IDで結びます。決済済みなのに発券されない、または二重発券になる事故を防ぐためです。
運用者は、運賃・券種マスタを更新し、駅別・端末別に売上を集計します。現金回収や締め処理も行い、監査・障害ログや券紙・釣銭残量も確認します。
券詰まりや釣銭切れ、通信断、紙幣識別エラーを検知できれば、遠隔での再起動や設定確認と合わせて、無人駅への係員派遣を減らせます。
端末だけで完結しないシステム構成
駅務を止めずに処理するには、端末と中央側で役割を分けて考える必要があります。
- 端末・駅内:エッジ制御、駅サーバー、駅内ネットワーク。
- 認証・精算:運賃・取引管理、IC・QR、決済、改札・精算機。
- 運用連携:遠隔監視、売上・会計連携。
- 通信断対応:限定運転と、復旧後の取引照合。
端末で処理できる範囲と、中央への接続が必要な範囲を分けておきます。通信断ですべてを止めると、無人駅の利用者が取り残されてしまうためです。
縮退運転では、署名済みの券情報を端末に保持しておき、一定時間だけ近距離券を販売できます。係員呼び出しへの切り替えなど、業務を限って運用を続けます。
通信が復旧したあとは、オフラインで行った取引を中央へ再送し、重複や欠落がないかを照合します。
券売機システムの種類と選び方
方式を選ぶときは、端末の外観よりも、券種の複雑さと利用者数、有人・無人の運用を見ます。既存設備との接続や将来の決済方式も確認します。
どの方式が合うかは、標準機能にどこまで合わせられるかで変わります。どの方式にも単純な優劣はありません。
パッケージ型の標準機能と保守の活用
駅務パッケージは、運賃計算や券種管理、発券といった機能を標準で備えた、利用しやすい方式です。ICカード連携や売上集計も、その中に含まれます。
運賃改定や決済仕様の変更、端末OSの更新を自社だけで抱えずに済み、障害対応の負担も軽くなります。
独自の企画券や地域交通との連携が標準機能に収まらない場合は、追加開発やデータ移行に制約が生じます。そのため、契約前にAPIの公開範囲と設定変更費、データの持ち出し条件を確認します。
クラウド型・QR型によるサービス拡張
サービス連携を広げるときは、改札や端末に残る設計上の課題も合わせて考えます。
- サービス連携:Web予約や観光、イベントと連携しやすい。
- 共通管理:複数事業者のデジタル乗車券を扱える。
- 端末・改札:回線断や券失効、決済再送も設計対象。
2025年3月公開の商用事例では、乗車券の有効性をサーバーが判定・更新します。QR券とクレジットカードのタッチ決済により、24時間券を改札で利用できます(出典: 交通チケットの商用サービスに関する2025年3月公開資料)。
クラウド化しても、回線断時のキャッシュやQRの再利用防止は、別途設計しなければなりません。障害時の案内も、個別に組み立てます。
クラウド化しても、現金の扱いや発券機構は検討の対象です。乗車券情報をどこに保持し、改札がどの根拠で通過の可否を判定するかを、図にして確認します。
既存機器改修とスクラッチ開発の使い分け
既存機器改修は、QR・タッチ決済リーダーや表示機器を追加して、筐体や改札機を生かす方式です。撤去や施工の期間を抑えやすい反面、機器の寿命や電源・配線、処理性能を確認します。保守の責任範囲も、あわせて確かめます。
スクラッチ開発は、独自の運賃制度や地域交通、観光施策、複数モードの連携に合わせて作り込みやすい方式です。一方で、責任範囲は運賃計算の全パターンや端末OS、決済認証まで広がり、24時間保守も含みます。
現実的な構成は、認証や決済、監視に実績のある部品を使い、独自の部分だけをAPIで拡張する形です。
券売機システム開発の進め方

開発は、現状調査とサービス設計から始まり、要件定義へと進みます。そのうえで、方式選定やPoC、連携開発を経て、先行駅導入から段階展開へ進めます。
駅ごとに設備が違うので、まずは一部の駅で小さく検証し、全駅への展開は後にします。障害時の運用や現場教育も、この段階で確かめます。
現状調査と要件定義で決める項目
要件を固める前に、調べる対象と、文書にして明らかにする条件を整理します。
- 現状把握:駅・端末・利用者・券種・運賃・設備を洗い出す。
- 駅ごとの運用:案内、払い戻し、障害時の代替業務を確認。
- 性能要件:時間、稼働率、復旧、オフライン動作を定める。
- 測定条件:「高速」「安全」を数値や方式で表す。
駅数や端末台数、1日の利用者数、現金の比率を具体的に押さえます。券種や運賃規則、IC相互利用の状況も確かめます。
既存の改札や回線、故障履歴も確認します。現金回収の方法も、あわせて見ておきます。
有人駅と無人駅、観光駅、ターミナル駅では、必要な言語や遠隔案内が異なります。払い戻しや障害時の代替業務も、駅に合わせて決めます。
購入完了時間や同時利用数、稼働率、復旧時間の条件を定めます。ログの保存期間も決めておきます。データ移行やセキュリティに加え、運賃改定の承認手順も記載します。
対応言語や画面遷移の秒数、認証方式を明記し、ログ項目も書き出します。「多言語対応」「高速」「安全」といった言葉は、測定できる条件に置き換えます。
PoCと連携試験で防ぐ現場の失敗
実機で確かめる対象と、障害時の判断手順を揃えておきます。
- 実機連携:筐体やIC・QR、決済、駅網、改札を実際につなぐ。
- 異常系試験:通信断や停電、釣銭切れ、券紙切れ、二重発券の確認。
- 取引復旧:返金・再発行の判断者と確認ログを決める。
利用者と駅員が実機を操作し、運賃計算の全パターンや払い戻しを試します。日跨ぎや会社間の乗り継ぎ、旧券と新券の併存も確かめます。
決済後に発券できない場合や、QRの判定が遅い場合を想定します。そのうえで、取引の確認と返金・再発行の判断者を決め、端末再起動時の確認ログも定めておきます。手順が曖昧なままだと、稼働後の問い合わせが駅員個人の判断に集中してしまいます。
先行駅からの段階展開
方式ごとの期間と、先行駅での確認内容をもとに、展開計画を立てます。
- パッケージ設定・連携:企画初期は6〜12か月。
- クラウド型QRのPoC:発券・決済・改札連携で9〜18か月。
- スクラッチ:独自運賃・端末制御を含み18〜36か月。
- 複数路線移行:磁気券からQRへ移す場合は24〜48か月程度。
先行駅では、繁忙・夜間・休日の利用と訪日客の利用を計測します。問い合わせと係員呼出率、購入完了時間を記録します。エラー率や現金回収、復旧時間も残します。
旧システムに戻せるよう、切り替えの計画を用意します。さらに、駅ごとの工事や教育、告知を整え、部品在庫や問い合わせ窓口も準備してから展開します。
▶ 詳細はこちら:券売機システム開発の進め方
券売機システムの費用相場とコストの内訳

費用は、利用者数や駅数、端末台数で大きく変わります。券種やICカード事業者、既設機器も影響します。決済方式や施工条件、保守SLAも費用を左右します。
2025〜2026年時点では公開されている定価が少ないため、ここで示すのは企画初期の推定レンジです。入札価格や正式な見積を示すものではありません。
端末単体とシステム全体の推定レンジ
推定費用は、端末の機能と導入範囲ごとに整理します。
- 無人端末:ICチャージ・近距離券中心で500万〜1,500万円/台。
- 高機能端末:1,000万〜3,000万円/台。
- 1駅PoC:端末1〜3台に加え、連携・要件定義・施工・試験・教育を含めて3,000万〜1億円。
- 地域導入:5〜15駅で2億〜8億円。
- 広域移行:多数駅・複数事業者で10億〜50億円超。
無人端末の推定には、筐体と現金処理、ICリーダーを含みます。基本発券と遠隔監視も、この推定に入ります。
高機能端末は、指定席や定期券、予約受取に対応します。多言語やクレジット対応、払い戻しに加え、有人遠隔支援まで含みます。
駅サーバーと保守は、別枠で扱われることもあります。施工や通信、決済手数料も、別計上される場合があります。なお、PoCは運賃・決済・改札・試験の固定費が大きく、1台あたりの金額が高く見えます。
見積書で確認する費用項目
費用割合の目安と、公開事例の位置づけを分けて、見積を確認します。
- 要件定義・管理:10〜15%。
- アプリ等の開発:運賃・券種・APIを含め20〜35%。
- 端末・組込み・決済機器:25〜40%。
- 駅網・クラウド・監視:10〜20%。
- 施工等:施工・移行・教育は10〜20%、試験・第三者評価・予備費は10〜15%。
割合は案件によって変わるため、合計を価格の根拠と断定することはできません。見積は、各項目の作業範囲をそろえて比べます。
公開資料には、駅務機器改修費1,500万円、収受システム改修費400万円、駅頭表示改修費2,400万円の例があります。ただし、これはバリアフリー関連計画の一部で、券売機単体の新規導入価格ではありません。
公開事例は改修費の下限のイメージとして参照し、相場とは断定しないのが安全です(出典: 交通事業者が2025年に公開したバリアフリー整備・徴収計画)。
5年TCOで比較する方法
初期費用と運用費を合わせて、同じ期間と条件で比較します。
- 5年分の費用:通信・決済・補充・回収・保守・部品・ソフトウェア更新を含む。
- 将来費用:運賃改定や設備更新、障害対応、撤去にかかる費用。
- 価格表:端末・ソフト・施工・移行・教育・試験・保守を分けて示す。
- 追加条件:対象外の作業、変更単価、終了時の返却費。
保守費は、初期導入費の年10〜20%程度を仮置きできます。24時間365日対応や現地到着時間で、大きく変わります。代替機や部品供給期限によっても変わります。
駅ごとの追加費や決済仕様変更の単価を確認します。運賃改定費と契約終了時のデータ返却費も見て、追加請求を抑えます。
▶ 詳細はこちら:券売機システム開発の見積相場・費用
券売機システム開発会社・サービスの選び方
開発会社やサービスは、知名度や端末の価格より先に、責任範囲を比べて選びます。比べるのは、端末から中央サーバーまでの責任範囲と、決済や施工、遠隔保守の担当です。
会社ごとに得意分野が違うため、端末、駅務SI、クラウド・QR、認証・セキュリティのうち、どこに強いかを見て評価します。
駅務・運賃・決済の実績の確認
納入実績は、業務への適合性と導入後の支援体制に分けて確認します。
- 業務実績:運賃制度やIC相互利用、定期券などへの対応。
- 接続・保守:駅売上、改札接続、無人駅支援、障害復旧。
- 障害試験:通信断や二重発券、払い戻し、運賃改定に関する試験。
- 統括体制:協力会社を束ねる担当と一次窓口。
自社に近い業務の経験を尋ねます。定期券や指定席、企画券の扱いも含め、正常時以外のシナリオも説明してもらいます。
利用者や駅員、運行管理の担当が関わるほか、決済事業者や施工会社も加わります。そのうえで、全体を統括する担当を確認します。端末・網・決済・中央システムごとに連絡の窓口を切り分け、つなぐ体制が必要です。
SLAと5〜10年後の継続性の評価
保守の応答条件と、将来の更新・移行に備える条件を評価します。
- 保守SLA:24時間365日の監視、受付・現地到着時間、代替機、部品供給期限。
- 継続運用:ソフト更新や仕様変更、脆弱性、災害復旧。
- 将来移行:データやAPI、ログ、互換性、移行支援。
稼働後の保守は、導入の効果を左右します。特に無人駅では、現地到着までの間に遠隔で一時運用を支援できる範囲も重要です。
ベンダーロックインを避けるには、データと責任の境目をはっきりさせ、交換できるインターフェースを要件に入れます。
問い合わせ前に用意する資料
各社の概算条件をそろえるため、相談の前に共有する資料をまとめておきます。
- 駅・端末:一覧や台数、型式、利用者数。
- 券・決済:券種、運賃、現金比率、IC・QR・タッチ決済。
- 設備・保守:改札、サーバー、回線、工事制約、希望時間。
- 提案依頼:RFIでは方式と前提、RFPでは要件と価格を確認する。
資料がそろうと、各社の概算を同じ条件で比べやすくなります。価格だけでなく、方式の違いも見比べられます。
最初の段階で、細かな画面仕様まで固定する必要はありません。RFIでは現状と課題を示し、実現方式や前提条件を集めます。
RFPでは、機能や非機能の条件を指定します。試験や移行、SLA、セキュリティも、あわせて書き込みます。データ所有権と価格表も指定し、提案の自由度を残しつつ、共通項目を設けます。
▶ 詳細はこちら:券売機システム開発でおすすめの開発会社6選と選び方
券売機システムの発注・外注・委託方法
発注者は、駅の業務知識や運賃・券種の決定を持っています。利用者サービスの方針や障害時の判断、予算と優先順位も、発注者が担う部分です。
開発や端末制御、施工は外注できます。監視やテスト、保守も外注の対象になります。ただし、要件の決定や責任範囲まで委ねると、稼働後に想定外の追加作業が増えます。
段階契約と一括契約の比較
契約方式は、要件の確定度と段階ごとの確認方法から選びます。
- 段階契約:成果物と継続判断を段階ごとに確認。
- 一括契約:標準パッケージで要件が明確なら、管理を簡素化。
- 契約条件:受入や変更、障害、知財、データ、移行の条件を定める。
要件が未確定のまま一括契約を結ぶと、変更費用や責任範囲が不明確になりやすくなります。段階契約なら、要件定義やPoC、開発の段階ごとに確認できます。先行駅や全駅展開、保守も、段階ごとに区切って確かめられます。
契約では、成果物と試験環境、障害の優先度を定義します。復旧時間や再委託の扱い、データの利用範囲も定めます。知的財産や終了時の移行支援も、契約に書き込みます。
施工を別の会社に委託する場合は、停電や配線、設置後の不具合に、誰が一次対応するかを明記します。
外注時に注意するリスク
外注するときは、費用や障害対応、情報管理の分担を事前に確認します。
- 責任の切り分け:端末・中央・決済の障害をどう切り分けるかを明確にする。
- 費用・部品:改定や券種追加の費用と、旧機器の供給状況。
- 障害手順:再現から復旧、利用者案内までの流れ。
- 情報保護:非保持化や暗号化、鍵、分離、監査ログを確認。
カード決済では、PCI DSS v4.0.1の適用範囲を決済事業者と確認します。この規格は2024年6月に公開され、2025年3月31日以降、一部要件の扱いが変わります。
古いチェックリストをそのまま使わないよう注意します(出典: PCI Security Standards Councilの文書ライブラリ)。
RFI・RFPで比較する項目
提案を横並びで比べられるよう、照会内容と評価軸を整理します。
- RFI:方式の実現性、前提、概算費用、期間、リスク。
- RFP:券種・決済、処理、オフライン、ログ、試験・移行・教育。
- 評価軸:適合性、操作性、継続運用、保守、拡張性、安全性。
SLAやセキュリティ、データ所有権、5年TCOも比べます。価格に偏らず、運行を止めずに長期運用できる提案を選ぶことが、総コストの抑制につながります。
▶ 詳細はこちら:券売機システム開発の発注・外注・委託方法
2026年時点の最新動向とセキュリティ・アクセシビリティ
券売機は、磁気券・交通系IC・スマートフォンのQR・タッチ決済を、一定期間併存させる設計へ向かっています。
公開資料によると、2026年度末以降、磁気乗車券をQR乗車券へ順次置き換える方針です。会社間の連絡運輸や旧券との併存も含めて、移行を設計します(出典: 鉄道事業者8社による2024年5月の共同発表)。
QR・タッチ決済による利用者層の拡大
新しい乗車手段が広がる一方で、従来の利用方法を残す対応も併せて考えます。
- 乗車手段:カードやスマートフォンのタッチ決済、QR券。
- 利用者:訪日客や一時利用者にも選択肢を広げる。
- 沿線連携:サービスや予約と移動をつなぐ実証。
- 併用対応:現金や紙券、案内を残し、媒体ごとに運用。
2024年の発表では、クレジットやデビット、プリペイドカードによるタッチ乗車が予定されました。スマートフォンのタッチ乗車と、券売機で購入したQR券の改札読取の実証も予定されました(出典: 交通事業者・決済関係者による2024年6月の実証発表)。
2026年4月に公開された実証では、スポーツ観戦などとQR乗車証を組み合わせ、再来訪の促進や移動データの活用を検証しています(出典: 交通チケットのオープン化に関する2026年4月公開資料)。券売機は、沿線サービスや予約と移動をつなぐ基盤へ広がっています。
キャッシュレスへの移行が難しい利用者も想定します。たとえば、現金利用者や高齢者、障害のある人、通信環境が不安定な人です。
紙券や音声案内、係員呼び出しに加え、簡単な言語切り替えも残します。取消や返金の扱いを媒体ごとに整理し、履歴や障害時の案内も含めて設計します。
重要インフラとしてのセキュリティ設計
鉄道サービスを続けるという観点から、情報保護と運用の要件を整理します。
- 継続性:経営関与、リスク管理、負荷分散・冗長化。
- 技術対策:アクセス制御、暗号化、通信保護、ログ保全。
- 生体情報:顔認証などを扱う場合の目的、通知・同意、保存期間・削除、委託先、代替手段。
鉄道では、個人情報やカード情報を守ることに加えて、サービスを続けるためのサイバーセキュリティも必要です。
国土交通省の2025年度版ガイドラインでは、重要インフラの継続、経営層の関与、リスク管理が扱われています(出典: 国土交通省「鉄道分野における情報セキュリティ確保に係る安全ガイドライン」2025年度版)。
要求仕様では、初期パスワードの変更や不要ポートの閉鎖、ネットワークの分離を定めます。端末と中央の間の暗号化も、要求に含めます。
管理者権限の分離やログの改ざん防止、バックアップは、必要な対策です。脆弱性の確認と事故時の連絡網も欠かせません。
アクセシビリティの機能要件
利用者が使いやすい操作環境を整えます。評価では、導入台数だけでなく、使いやすさも確かめます。
- 操作環境:筐体の高さ、画面の見やすさ、ボタンの大きさ、音声、点字・触覚案内。
- 利用条件:車椅子スペース、多言語、駅の実環境。
- 評価指標:購入完了時間、係員呼出率、券詰まり、釣銭補給回数、通信断からの復旧時間。
駅の照明や雨天、混雑、荷物を持った利用者など、実環境で操作時間と完了率を検証します。
窓口業務の削減やキャッシュレス利用率、言語や利用者の属性ごとの完了率も確認します。利便性と運用負担を測ると、次の駅展開での改善点を具体化できます。
券売機システムに関するよくある質問(FAQ)
券売機システムでは、端末機能や既存設備との接続、障害時の運用に関する質問が多く寄せられます。導入前に確認しておきたい内容を、質問ごとに回答します。
券売機システムは無人駅でも使えますか?
無人駅でも使えますが、遠隔監視と障害時の縮退運転を前提に設計します。券詰まりや釣銭切れ、通信断、決済の失敗を検知する設計にします。
遠隔案内や係員呼び出しに加え、限定発券の継続や現地派遣の判断も、運用手順に定めます。
通信断が起きたときも券売機は動きますか?
設計によって異なりますが、重要な機能が止まらない構成が望ましいです。
たとえば、署名済みの券情報を端末に保持し、限定的に販売や判定を行う方法があります。
復旧後は取引を再送し、中央と照合します。そのうえで、オフラインで許可する券種・金額・時間・利用回数を明確にしておきます。
交通系ICカードとQR乗車券は併用できますか?
併用できますが、発行や認証、失効は媒体ごとに設計します。払い戻しや利用履歴、障害時の照合も、媒体ごとに組み立てます。
磁気券からQRへの移行期間は、旧券と新券の有効条件や改札の読取方式を含めて考えます。会社間の乗り継ぎや利用者案内も、一つの計画にまとめます。
券売機システムの開発には何か月かかりますか?
パッケージ連携が中心なら6〜12か月、クラウド型QRのPoCなら9〜18か月が目安です。独自の運賃計算や端末制御を含むスクラッチは、18〜36か月です。
複数路線の移行では、実機試験や駅ごとの施工・教育に加え、旧券との併存やロールバックも含めて、24〜48か月程度になる場合があります。
券売機は何年で更新するべきですか?
更新の時期は、部品供給やOS・決済仕様のサポート、故障率を中心に判断します。年数で一律に決めるものではありません。処理性能や保守費、利用者ニーズも判断材料になります。
企画段階では、5年TCOを計算します。さらに、5〜10年後の機器交換やデータ移行、保守の継続性も含めたライフサイクル計画を立てると、突然の全駅更新を避けやすくなります。
まとめ
券売機システムは、端末だけでなく、運賃や券種、決済、改札まで含む駅務基盤です。さらに、中央システムや売上、施工、遠隔監視、保守もその範囲に入ります。
導入は、端末の価格だけでなく、運行を止めずにサービスを提供できる構成と5年TCOで判断します。
導入判断で押さえるポイント
導入判断では、駅や券種の現状、利用者の困りごとを整理します。既存機器や障害時の業務、5年TCOも、あわせて見ます。
機能の数より、必要な券種を短時間で買えることや、通信断や機器障害の際にも案内と復旧が続くことを優先します。
最初に行う準備
発注の準備は、資料の整理から検証、段階展開へと進めます。
- 現状資料:駅や端末、券種、運賃、決済、回線、保守の整理。
- RFI・PoC:方式とリスクを集め、実機や改札、決済を検証。
- RFP・展開:責任の範囲と安全性を確認し、先行駅から進める。
- 移行判断:磁気券やIC、QR、タッチ決済の併存。
通信断や停電、券詰まりなどを実機で確認します。釣銭切れや二重発券、払い戻し、旧券との併存も確かめたうえで、先行駅から段階展開します。
RFIやRFPでは、障害時の責任の切り分けやセキュリティ、アクセシビリティを確認します。SLAやデータ所有権、将来の移行費も、あわせて見ます。
駅の規模や利用者、運賃制度を整理し、既存設備や保守体制も含めて、複数の方式と見積を比べてください。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
