UI/UXデザインの必要機能や標準機能の一覧について

UI/UXデザインを外注したり社内で内製したりする際、「結局、どんな機能や仕組みを備えれば、ユーザーが使いやすいプロダクトになるのか」を体系的に把握したい、という担当者は多いはずです。UI/UXデザインは「画面を綺麗にする作業」と捉えられがちですが、実際には、ユーザーが目的を達成するまでの摩擦を減らすための「機能群」と「設計の仕組み」の集合体です。これらを網羅的に理解しておかないと、見積もりの妥当性も判断できず、リリース後に「肝心の使いやすさが足りない」という事態に陥ります。

本記事は、UI/UXデザインに求められる機能・仕組みを「画面・導線の設計機能」「フォーム最適化(EFO)機能」「検証・テストの仕組み」「デザインシステムと連携基盤」という観点で網羅的に解説する「機能特化」の記事です。フォーム途中離脱の7割以上が「入力が面倒・わかりにくい」に起因するという一次データ(出典:blastengine、EFOの根拠)や、被験者4人で十分な問題検出を実現したユーザビリティテストの知見(出典:富士通)を交えながら、何が必須機能で、何が「あれば便利」なのかを切り分けます。読み終えるころには、自社のプロダクトに必要なUI/UX機能の優先順位が描けるはずです。なお、UI/UXデザインの全体像をまだ把握していない方は、まずUI/UXデザイン開発の完全ガイドから読むことをおすすめします。

画面・導線の設計に関わる基本機能

UI/UXデザインの画面・導線設計の基本機能のイメージ

UI/UXデザインの土台となるのが、画面と導線の設計に関わる機能です。ユーザーが「今どこにいて、次に何をすればよいか」を迷わず理解できる構造をつくることが、すべての出発点になります。情報設計とナビゲーション、そしてあらゆる端末で破綻しないレスポンシブ対応は、見た目以前の「使いやすさの骨格」を決める基本機能です。

情報設計・ナビゲーション・導線の機能

情報設計とは、プロダクトが扱う情報を、ユーザーが探しやすく理解しやすい形に整理・分類する仕組みです。メニュー構成、カテゴリ分け、ページ階層、パンくずリストといったナビゲーション機能は、この情報設計を画面上に表現したものです。ここが破綻していると、ユーザーは目的の機能や情報にたどり着けず、いくら個々の画面が綺麗でも離脱します。リサーチノートでも指摘されているように、UI/UXは「顧客側はシンプルさ、管理者側は情報量と操作性」と利用者によって最適が異なるため、誰の導線を設計しているのかを常に意識する必要があります。

導線設計の機能では、ユーザーが目的を達成するまでの手数をいかに減らすかが問われます。たとえば、よく使う操作をトップ画面に集約する、入力途中で前の画面に戻れるようにする、完了までのステップを明示する、といった配慮が導線を滑らかにします。機能を検討する際は「この画面でユーザーは何を達成したいのか」を一画面ごとに言語化し、その達成を妨げる分岐や寄り道を削っていくことが重要です。情報設計とナビゲーションは、後述のフォーム最適化や検証機能の前提となる、最も基礎的な機能群です。

レスポンシブ対応とアクセシビリティの機能

レスポンシブ対応とは、PC・タブレット・スマートフォンといった画面サイズの異なる端末でも、レイアウトが破綻せず使いやすく表示される機能です。多くのユーザーがスマートフォンからアクセスする現在、モバイルでの操作性は事実上の必須機能です。ボタンが指で押しやすいサイズか、横スクロールが発生していないか、文字が読める大きさかといった点は、UI/UXの品質を大きく左右します。レスポンシブを後付けで対応しようとすると大きな手戻りが発生するため、設計の初期段階から組み込むべき機能です。

あわせて重要なのが、アクセシビリティへの配慮です。色のコントラストを十分に確保する、文字サイズを変更できる、キーボードだけでも操作できるといった機能は、高齢者や障がいのあるユーザーを含む、より多くの人が使えるプロダクトにします。アクセシビリティは「特別な対応」ではなく、結果的にすべてのユーザーにとっての使いやすさを底上げする機能です。これらの基本機能をどこまで実装するかは、ターゲットユーザーと予算に応じて優先順位を付けて決める必要があります。機能の優先順位付けをどう要件に落とし込むかは、要件定義の観点とも深く関わるため、関連記事もあわせてご覧ください。

入力・フォームを最適化するEFO機能

入力・フォームを最適化するEFO機能のイメージ

UI/UX機能の中で、最も投資対効果が明確に表れるのがフォーム最適化(EFO:Entry Form Optimization)の機能群です。申込・予約・問い合わせといった「ユーザーが情報を入力する場面」は、コンバージョンの最後の関門であり、ここでの離脱は売上の機会損失に直結します。一次データによれば、予約フォームの途中離脱の7割以上が「入力が面倒・わかりにくい」に起因します(出典:blastengine、EFOの根拠)。つまり、フォームの使いやすさを高める機能は、UI/UX投資の中でも特に費用対効果の高い領域なのです。

離脱7割以上を防ぐ入力補助・エラー表示の機能

離脱を防ぐEFO機能の代表が、入力補助とリアルタイムのエラー表示です。郵便番号から住所を自動入力する、全角・半角を自動で変換する、入力例をプレースホルダーで示す、といった入力補助機能は、ユーザーの手間と迷いを大きく減らします。また、入力した値が正しくない場合に、送信ボタンを押した後ではなく、その場で「この項目は半角数字で入力してください」と分かりやすく示すリアルタイムエラー表示は、「何度送信してもエラーになる」というフォーム離脱の典型的原因を解消します。

これらの機能が効くのは、前述の「離脱の7割以上が入力の面倒さ・わかりにくさに起因する」(出典:blastengine、EFOの根拠)という事実が背景にあるからです。フォームのデザインを綺麗にするだけでなく、入力の摩擦そのものを機能で取り除くことが、コンバージョン改善の本丸です。さらに、入力途中のデータを一時保存して後で再開できる機能や、進捗を示すステップバー(残り何項目かを可視化)も、長いフォームでの離脱を防ぎます。フォームは「最後の難所」だからこそ、これらの機能への投資は売上に直結します。

入力項目の削減とステップ分割の機能

EFOで最も効果的な打ち手の一つが、そもそもの入力項目を減らすことです。本当に今この場面で必要な項目だけに絞り、後で取得できる情報は後回しにする。この「項目削減」は機能というより設計判断ですが、フォームを実装する際に「この項目は必須か、任意か、そもそも不要か」を一つずつ精査する仕組みが重要になります。入力項目が多いほど離脱は増えるため、削れる項目を削ることが、最もコストのかからない離脱対策です。

項目が多くならざるを得ない場合は、ステップ分割の機能が有効です。一画面にすべての入力欄を詰め込むのではなく、「基本情報」「詳細情報」「確認」のように段階を分け、一画面あたりの心理的負担を下げます。ステップ分割と進捗表示を組み合わせれば、ユーザーは「あと少しで終わる」と感じられ、最後まで入力を続けやすくなります。これらのEFO機能は、SaaSの既製フォームでは細かく作り込めないことも多く、コンバージョンを重視するなら、自社の導線に合わせて設計・実装できる体制が望ましい領域です。riplaはフルスクラッチ受託と国内開発の立場から、こうしたフォーム最適化を「自社のユーザー体験に合わせて作り込む」支援を重視しています。

UI/UXを検証・改善する仕組みと機能

UI/UXを検証・改善する仕組みと機能のイメージ

UI/UXデザインは「作って終わり」ではなく、公開後にデータで検証して改善し続ける営みです。そのため、画面そのものの機能だけでなく、ユーザーの行動を観察し、仮説を検証する「仕組み」が必須機能になります。ユーザビリティテスト、ABテスト、ヒートマップといった検証の仕組みを備えてはじめて、UI/UXは継続的に磨き込めるようになります。

ユーザビリティテスト・ABテスト・ヒートマップ

ユーザビリティテストは、実際のユーザーにプロダクトを操作してもらい、どこでつまずくかを観察する仕組みです。前述のとおり、被験者は4人程度でも主要な使いにくさを発見できるため(出典:富士通)、この検証は大規模な設備を必要としません。ABテストは、二つのデザイン案を実ユーザーに振り分けて見せ、クリック率や完了率で優劣を判定する機能で、「どちらが数字を伸ばすか」を客観的に判断できます。ヒートマップは、ユーザーが画面のどこをクリックし、どこまでスクロールしたかを色で可視化し、離脱箇所や見られていない要素を特定する仕組みです。

これらの検証機能は、それぞれ役割が異なります。「なぜ使いにくいのか」の理由を深掘りするならユーザビリティテスト、「どちらの案が良いか」を定量比較するならABテスト、「どこで離脱しているか」を俯瞰するならヒートマップ、と目的に応じて使い分けます。重要なのは、これらを一度きりで終わらせず、仮説を立てて検証し改善する「ループ」として継続的に回せる体制を持つことです。検証の仕組みがないUI/UXは、改善の根拠を持てず、感覚的な「綺麗にしただけ」の改修に陥りがちです。

デザインシステムと開発連携の基盤機能

UI/UXの機能を効率よく開発・運用するための基盤が、デザインシステムです。ボタン・フォーム・配色・余白といったUI部品と、その使い方のルールを一元管理することで、新しい画面を作るたびにゼロから設計する無駄をなくし、プロダクト全体で一貫した体験を保てます。Figmaなどのデザインツールとデザインシステムを連携させれば、PdM・デザイナー・エンジニアが共通の部品とルールを参照しながら作業でき、認識のズレや手戻りが減ります。これはDesignOpsとも呼ばれる、組織的な開発連携の基盤機能です。

ただし、デザインシステムは「機能として導入すれば自動的に効果が出る」ものではありません。エンジニア主導で実装要件に合わないツールを入れて連携に失敗した事例(出典:ニジボックス)が示すように、自社の開発体制とプロダクトに合った形で設計しなければ、かえって運用コストを増やします。デザインシステムや連携基盤を機能として検討する際は、「どの部品を、どこまで標準化するか」「デザイナーとエンジニアがどう共同で運用するか」までを含めて設計することが不可欠です。機能を網羅的に洗い出したうえで、何を必須・優先・将来追加とするかの取捨選択は、要件定義のプロセスと一体で進めるべきものです。具体的な機能要件をRFPや要件定義書にどう落とし込むかは、関連記事もあわせてご覧ください。

まとめ

UI/UXデザイン機能のまとめイメージ

UI/UXデザインに必要な機能は、「画面・導線の設計機能」「フォーム最適化(EFO)機能」「検証・テストの仕組み」「デザインシステムと連携基盤」の4層で整理すると漏れがありません。中でも、フォームの途中離脱の7割以上が入力の面倒さ・わかりにくさに起因する(出典:blastengine、EFOの根拠)ことから、EFO機能はコンバージョンに直結する最優先の必須機能です。また、被験者4人でも主要な使いにくさを発見できる(出典:富士通)ユーザビリティテストをはじめとする検証の仕組みは、UI/UXを継続的に磨き込むために欠かせません。

機能を検討する際に大切なのは、「網羅すること」ではなく「ユーザーの摩擦を起点に、必須・優先・将来追加を切り分けること」です。利用者(顧客側・管理者側)によって最適な機能が異なる点も忘れてはいけません。riplaはフルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、SaaSの既製機能に体験を合わせるのではなく、自社のユーザー体験に合わせて必要なUI/UX機能を設計・実装する支援を一貫して行います。全体像の確認には、あらためて完全ガイドをご活用ください。

株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。