UI/UXデザイン開発/導入のメリット/デメリット/効果と判断基準について

UI/UXデザイン投資は、離脱率やコンバージョンといった事業数値の改善につながる一方、効果を事前に読みにくい面もあります。投資の価値は、改善効果の不確実性、社内の連携体制、事業規模によって変わります。

発注側・事業側の視点から、全体像はUI/UXデザイン開発の完全ガイドもご覧ください。

UI/UXデザイン投資のメリットと効果

富士通事例のユーザーテストで報告された被験者数と改善指標を4枚のカードで示す図解。
検証規模と、修正・調整・調査コストの指標を並べて確認できます。

UI/UXデザイン投資は、画面の見た目を整えることよりも、ユーザーが目的を達成するまでの摩擦を減らす取り組みです。その効果は、離脱率の低下やコンバージョンの向上として表れます。さらに、問い合わせ対応コストの削減にもつながります。

離脱率改善という数値で見えるメリット

UI/UX改善の効果が数字に表れやすいのは、入力フォームやコンバージョン導線です。ユーザーが離脱する箇所が改善の対象になるため、効果を事業数値で捉えられる点がメリットです。

  • 入力負担の軽減:不要な入力項目の削減
  • 進捗の表示:入力が今どの段階かを示すステップ表示
  • エラーの明示:入力の間違いを分かりやすく伝える表示

予約フォームの途中離脱のうち、7割以上は入力の面倒さや分かりにくさが原因とされています(出典:EFOの根拠)。これらの改善で、離脱の7割相当を取り戻せる余地があります。

集客に費用をかけても、フォームの使いにくさでユーザーを逃すことがあります。改善前後の数値を比べられる事業では、離脱率を改善対象にして、ROIで投資を評価できます。

広告による新規集客には、継続的な費用がかかります。一方で、一度行ったUI/UX改善は、その後の訪問者にも効果が続きます。そのため、広告費を増やさずに成果を増やせる点が、UI/UX投資の本質です。

少人数の検証で十分な効果が出るメリット

ユーザーテストは、大規模な調査をしなくても問題を検出できます。たとえば、富士通の事例では、少人数での検証が報告されています。

  • 少人数で検証:被験者4人で、十分な問題検出率を維持
  • 修正率の向上:使いにくさに起因する問題が、実際に直される割合の上昇
  • 調整時間の削減:開発者との修正のやり取りにかかる時間の短縮

富士通は、ユーザーモデルマッピングを使って16名分の調査コストを削減したと報告しています(出典:富士通)。大規模な調査を行わずに着手できた事例です。

同事例では、問題の修正率が31%から100%へ上がりました。加えて、開発者との修正調整にかかる時間も87%削減したと報告されています(出典:富士通)。

効果検証にかかる費用を抑えやすい点も、UI/UX投資のメリットです。少ない検証コストで開発の手戻りを減らせる可能性があり、高額な調査費がなくても少人数で始められるため、投資のハードルも下がります。投資の価値は、見た目の華やかさよりも、検証を通じたコスト削減や数値改善にあります。

導入効果の数値は『UI/UXデザインの導入/開発事例や活用/成功事例について』もご覧ください。

ポイント

改善前後の数値を比べられる箇所があるかを先に確かめ、離脱率やコンバージョンの改善を事業数値で見込めるかどうかで、投資の価値を判断します。

UI/UXデザイン投資のデメリットとリスク

中央のUI/UX投資に、効果予測や検証、実装連携など4つの課題を結び付けた図解。
効果の見通しと、継続や連携の各所に課題が分かれています。

メリットが大きい一方で、UI/UX投資には見過ごせないデメリットやリスクもあります。たとえば、費用をかけても数値が動かない場合や、リニューアル後に使いにくくなる可能性があります。そのため、こうしたリスクを把握して効果とコストを比べることが、投資判断の出発点です。

効果が読みにくい不確実性というデメリット

UI/UX投資の最大のデメリットは、効果を実施前に正確に読めないことです。ユーザーの行動は、仮説どおりに動くとは限らないからです。

  • 効果の予測:改善後のコンバージョン率を断言できません。
  • 変更の影響:良かれと思った変更で、数値が悪化することもあります。
  • 継続的な検証:仮説検証を繰り返す予算と期間が必要です。

FAX脱却による工数削減のように、削減時間を事前に計算できる投資とは異なります。このため、一度で完成させず、検証を前提に計画する必要があります。

この不確実性を軽視して「リニューアルすれば良くなる」と一括で投資すると、結果が出ず失望するおそれがあります。検証の方法には、ユーザーインタビューやユーザビリティテスト、ABテストなどがあります。

継続的な検証と改善には、コストと時間がかかります。特に、一度作れば終わりと考える事業では、この継続負担が重くなります。そのため、検証ループを回せる体制があるかどうかが、投資の成否を分けます。

連携体制が必要というデメリット

優れたUI/UXには、デザイナーとエンジニアの連携が欠かせません。また、その体制の構築にもコストと難しさがあります。

  • 実装との連携:設計意図を画面に反映する作業
  • 仕組みの適合:自社の体制に合う連携方法の選択

美しいデザインでも正確に実装できなければ、画面が崩れて設計意図が失われます。連携が噛み合わない組織では、投資が空回りするおそれがあります。

たとえば、機能を継ぎ足した結果、UXが複雑化して離脱率が悪化した事例もあります(出典:NOROSHI×Mikosea「Click」)。

デザインシステムは、共通のUI部品とルールの体系で、連携のデメリットを緩和できます。ただし、導入方法には注意が必要です。

実装要件に合わないツールや、他社をまねて既存プロダクトと乖離した仕組みは、運用コストだけがかさみ、使われなくなる場合があります(出典:ニジボックス)。

失敗の詳細は、『UI/UXデザイン開発/導入の失敗/課題/注意点/リスクについて』もご覧ください。

ポイント

効果の読みにくさと、検証を続ける負担を投資の前に見積もります。検証を回す体制がないまま一括で投資すると、結果が出ず失望するおそれがあります。

内製と外注のメリット・デメリット比較

UI/UX投資を決めたら、次は内製か外注かを選ぶことになります。適する方法は、自社の事業フェーズや体制によって変わります。そのうえで、両方のメリットとデメリットを押さえておく必要があります。

内製のメリットとデメリット

内製では、プロダクトの文脈を理解したうえで改善を続けられます。

  • 改善の速さ:データをもとに仮説を立て、すぐ画面に反映できる
  • 知見の蓄積:デザインのナレッジを社内に残せる点
  • 採用と育成:人材の確保と体制づくりが必要

継続的な改善を前提とするため、社内にデザイナーがいれば、仮説から反映までのサイクルを短くできます。長期的な競争力としてUI/UXを重視する企業に向いています。

優秀なUI/UXデザイナーの採用は容易ではありません。さらに、給与設計や評価基準、エンジニアとの連携体制も整えなければなりません。

一人に役割を集中させすぎると、UXリサーチから離れてUI実装に没頭し、目的を見失ってバーンアウトする失敗も報告されています(出典:UXの電球)。そのため、採用に加えて、組織の中でデザイナーが機能する設計まで考えることが求められます。

外注のメリットとデメリット

外注では、専門家の知見や体系化された手法を早く活用できます。また、自社で専門性を一から育てずに済みます。

  • 専門家のレビュー:客観的な視点を得られる
  • 検証と仕組み:プロトタイプ検証やデザインシステムの活用
  • 文脈共有:プロダクトを理解してもらうまでに時間がかかる

Clickの事例では、専門家のレビューやプロトタイプ検証、デザインシステム構築でUXを立て直しました。さらに、売上は前年比4,111%成長したと報告されています(出典:NOROSHI×Mikosea「Click」)。

外部の専門知見は、自社だけでは抜け出せない停滞を突破する力になります。

発注側の目的が曖昧だと、見栄えだけ整っても数値が動かない成果物になるおそれがあります。そのため、「おしゃれに」と丸投げせず、改善したい数値と目的を明確にする必要があります。

検証ループまで伴走してくれるパートナーを選ぶことが、外注を活かす鍵です。

riplaは、フルスクラッチ受託と国内開発の立場から、目的の定量化と検証ループの設計も重視しています。

内製と外注は固定せず、組み合わせることもできます。たとえば、立ち上げは外注し、運用を内製に移す形も有効です。

ポイント

内製か外注かは、自社の事業フェーズと体制で決めます。立ち上げは外注し、運用を内製に移す組み合わせも選択肢になります。

投資すべきかを見極める判断基準

UI/UX投資の判断に使う4項目をチェックカードで示した図解。
改善対象と事業規模に加え、実行を支える体制も見渡せます。

メリットとデメリットを把握したら、次は自社が今UI/UXに投資すべきかを判断する段階です。UI/UX投資の効果は事業によって異なるため、自社の状況から、ROIが明確に見込めるかを冷静に見極める必要があります。

投資判断のチェックリスト4項目

投資判断では、改善対象と実行体制を確認します。次の4項目に多く当てはまるほど、メリットがデメリットを上回る見込みが高まります。

  1. 改善対象の数値:離脱率やコンバージョン率、問い合わせ件数など、改善したい数値が特定できているか。
  2. 事業規模:改善が効くユーザー数や売上があり、小さな改善率でも金額インパクトが出るか。
  3. 検証体制:ユーザーテストやABテストで仮説検証を続ける人と仕組みがあるか。
  4. 内製と外注の適性:社内のデザイン体制や、必要な外部の専門知見を見極められるか。

特に改善対象の数値と事業規模は、ROIの源泉です。改善率がわずかでも、事業規模が大きければ金額インパクトが大きくなり、投資回収を見込めます。

改善対象が「古いから新しくしたい」と曖昧な場合や、ユーザー数が少なく改善の効きしろが小さい場合は、高額投資に見合う効果が出にくい可能性があります。

判断基準で自社の状況を評価すれば、無駄な投資を避ける手がかりになります。

補助金活用でデメリットを抑える判断

補助金を活用すると、UI/UX投資の費用負担を軽減できる場合があります。中小企業や小規模事業者が対象になることもあるため、補助金の対象かを確認すると、自己負担を抑えて投資する選択肢を検討できます。

  • 持続化補助金:小規模事業者持続化補助金(第17回)の採択率は51.1%です。
  • 神奈川県の補助金:デジタル化支援推進事業費補助金の採択率は86.8%です。

Webサイトやシステムの刷新、UI/UX改善を含むデジタル化投資には、公的補助金を使える場合があります。なお、採択率は各補助金事務局の報告です(出典:各補助金事務局)。

申請の手間や採択の不確実性、対象経費の制約があるため、補助金ありきの投資は避けます。投資理由を先に定めたうえで補助金を使えば、負担を軽くしつつ、後悔の起きにくい進め方になります。

補助金の有無にかかわらず、改善対象の数値と期待効果を整理し、ROIで投資の妥当性を判断します。

riplaは、フルスクラッチ受託と国内開発の立場から、目的の定量化を起点とした投資判断と費用設計を支援しています。

ポイント

改善したい数値と事業規模があり、検証を続ける体制もあるかを見極めます。補助金は、投資理由を先に決めたうえで使うものです。

まとめ

UI/UX投資は、離脱率やコンバージョンなどの事業数値を改善する可能性があります。たとえば、フォーム離脱の7割相当には改善余地があるとされます(出典:EFOの根拠)。

富士通の事例では、被験者4人で検証し、問題の修正率を高めました(出典:富士通)。一方で、効果の不確実性や連携体制の不足、目的の曖昧さは、投資を空回りさせるリスクです。

UI/UXの本質は、見た目の美しさよりも、ユーザーが目的を達成するまでの摩擦を減らすことにあります。

投資の判断では、改善対象の数値、事業規模、検証体制、内製と外注の適性を確認します。次に、自社の数字を使ってROIを試算することが大切です。

検証ループやスモールスタートは、不確実性に向き合う方法です。また、補助金では、持続化補助金の採択率51.1%、神奈川県の補助金の採択率86.8%が報告されています(出典:各補助金事務局)。

riplaは、目的の定量化から検証ループの設計まで支援しています。内製と外注を組み合わせることで、自社に合った意思決定を進められます。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。