UI/UXデザイン開発/導入の失敗/課題/注意点/リスクについて

発注側や組織の立場から見ると、UI/UXデザイン開発・導入でよく起きる失敗は、目的の曖昧さや連携不全、デザインシステムの定着失敗、過剰なオーナーシップの四つです。いずれも構造的な原因を知れば、事前に避けられます。

全体像はUI/UXデザイン開発の完全ガイドでも確認できます。

目的が曖昧で見た目だけ整えた失敗

目的を定め、追加を見極め、仮説を検証する改善判断を示したチェックリスト。
加える機能を絞り、目標に沿って確かめる流れです。

UI/UXの失敗で根が深いのは、目的を曖昧にしたまま改善に着手することです。何の数値をどれだけ改善するかを決めないまま、「とにかく新しく」「おしゃれに」と進めても、成果は動きません。

これは技術力よりも進め方に関わる問題で、改善の目的を先に定めておけば避けやすくなります。

機能を継ぎ足しUXが複雑化した失敗

エンジニア主導で機能を継ぎ足した結果、UXが複雑化して離脱率が悪化した事例があります(出典:NOROSHI×Mikosea「Click」)。要望や思いつきに応じて機能を足し続けたため、画面が雑然とし、目的にたどり着く導線も複雑になりました。

UI/UXは、ユーザーが目的を達成するまでの摩擦を減らす設計です。機能が増えるほど価値が高まるとは限らず、かえって選択や操作が複雑になる場合があります。そのため、機能を追加するときは、ユーザーの目的に照らして必要性と使いやすさを確かめます。

  • 目的を定める:どの行動を、どれだけ促すかを決めます。
  • 追加を見極める:載せるものだけでなく、載せないものも判断します。

目的を定めないまま追加を続けると、改善は引き算ではなく足し算に偏ります。その結果、使いやすさが損なわれ、離脱を増やすおそれがあります。

目的の定量化による曖昧さの防止

目的の曖昧さを防ぐには、改善の前に目的を数値で定義しておきます。そのうえで、目標を起点に、載せるものと削るものを判断します。

特に、数値目標を先に決め、仮説を検証する順番を守れば、曖昧さによる失敗の大半を防げます。

  • 数値目標を決める:「離脱率を何%下げる」「申込み完了率を何%上げる」などを定めます。
  • 仮説を検証する:見た目を作り込む前に目標を置き、数値に照らして改善を進めます。

曖昧な足し算から、目的を起点にした引き算へ発想を変えれば、失敗を成果に転換できます。

Clickの事例では、専門家のレビューとプロトタイプ検証、デザインシステムの構築でUXを立て直しました。

また、売上は前年比4,111%成長したと報告されています(出典:NOROSHI×Mikosea「Click」)。

riplaは、フルスクラッチ受託と国内開発の立場から、目的の定量化を起点にしたUI/UX改善の設計を支援しています。

目的設定や費用対効果の判断基準は『UI/UXデザイン開発/導入のメリット/デメリット/効果と判断基準について』もご覧ください。

ポイント

改善の前に、何の数値をどれだけ動かすかを言えるかが判断の目安です。言えないまま機能を足すと、離脱の悪化につながるおそれがあります。

デザイナーとエンジニアの連携不全という失敗

連携不全による相互不信、手戻り、見えにくいコストを3つのパネルで示した図。
設計と実装の分断は、チームと開発の両方に波及します。

UI/UXで起きる典型的な失敗のひとつが、デザイナーとエンジニアの連携不全です。設計の意図が実装で崩れ、双方が不満を抱える事態は、多くの現場で起きています。

優れたデザインも、意図どおりに実装できなければ意味がありません。この問題は、個人の能力よりも連携の仕組みに関わります。

実装要件と合わずに連携が崩れた失敗

デザインと実装をつなぐために、デザインシステムを導入した事例があります。しかし、エンジニア主導でTailwind CSSやFlowbiteを導入した結果、実装要件と合わず連携に失敗したと報告されています(出典:ニジボックス)。

ツール選定がデザイナーの設計やプロダクトの実態と噛み合わず、共通基盤として機能しませんでした。片方の都合だけで決めると、もう片方には使えない仕組みになります。

連携不全を放置すると、職種間の相互不信や手戻り、調整コストにつながります。

  • 相互不信:デザイナーは実装で意図が崩れると感じ、エンジニアは実装できないデザインだと感じます。
  • 手戻り:調整が繰り返されると、開発スピードとUXの品質が落ちます。
  • 見えにくいコスト:連携が整わない現場では、調整に時間を取られます。

富士通の事例では、ユーザーモデルマッピングにより、開発者との修正調整時間を87%削減できたと報告されています(出典:富士通)。

連携不全は、調整の時間を奪い、見えにくいコストを生み続けるため、見過ごせない失敗です。

連携を前提とした設計による失敗の防止

連携不全を防ぐには、デザインと実装を分断しない進め方が求められます。そのため、プロトタイプの段階で実装可能性を確かめ、無理のある表現は早めに調整します。また、発注側は、外注先にデザインと実装の連携方法を具体的に尋ねることで、体制を確認できます。

連携を保つには、どこまでを誰が受け持つかを、設計の初期の段階で双方が合意しておく必要があります。

  • 設計と実装の協働:両者が初期から一緒に設計します。
  • ツール選定:設計思想と実装要件の双方に合うものを選びます。
  • 外注先の体制:納品後も実装まで連携して伴走できるか確認します。

riplaは、デザイナーとエンジニアの連携を前提に、UI/UX構築を一貫して支援しています。

ポイント

デザイナーとエンジニアが設計の初期から一緒に関わっているかどうかが、判断の目安です。片方の都合だけで決めたツールや仕様は、もう片方には使えない仕組みになります。

デザインシステムが定着しない失敗

デザインシステムを部品の標準化から段階的な拡張、運用分担へ進める流れ図。
利用状況を確かめながら、現場に合う範囲を広げます。

デザインシステムは、UI/UXの品質と開発効率を高める手段として注目されています。一方で、導入しても現場で使われず、運用コストだけが残る失敗もあります。

共通のUI部品やルールを整えれば使われる、という思い込みが失敗につながります。導入後も使われ続けるよう、利用を見据えた設計が必要です。

他社の真似で作り乖離した失敗

他社のデザインシステムを真似た結果、自社のプロダクトと乖離し、運用コストが増えて使われなくなった事例があります(出典:ニジボックス)。

有名企業の仕組みは、その企業のプロダクト構成や開発体制、文化に合わせて作られたものです。前提の異なる自社に持ち込むと、画面や開発フローに合わず、使う手間が増える場合があります。

利用されない仕組みには、運用面で次の問題も生じます。

  • 古いルールが残る:メンテナンスされず、現場の混乱を招きます。
  • 画面にばらつきが出る:新旧のルールが混在し、一貫性が損なわれます。

立派な仕組みを作ること自体が目的になると、本来の狙いが抜け落ちます。実際に使って品質と効率を上げるより、作ることが優先される点こそ、定着しない失敗の本質です。

自社の実態に合わせた段階導入による防衛策

デザインシステムの定着には、自社の実態に合った運用が欠かせません。

自社に合わせた導入と運用は、次のように進めます。

  • 部品を標準化する:既存プロダクトでよく使うUI部品やパターンを洗い出します。
  • 段階的に広げる:現場が使う最小限から始め、利用状況を見て拡張します。
  • 運用を分担する:デザイナーとエンジニアが関わり、責任者を決めて不要なルールを廃止します。

最初から完璧な体系を目指す必要はありません。むしろ、導入そのものよりも利用の継続をゴールに据え、運用を見守ることが、品質と効率の向上につながります。

riplaは、自社のプロダクトの実態に合わせた設計と運用の定着を支援しています。

ポイント

導入するデザインシステムが、自社のプロダクトと開発体制に合っているかが判断の目安です。最初から完璧な体系を目指す必要はなく、利用の継続を目標に段階的に広げます。

過剰オーナーシップが分業を破壊する失敗

UI/UXの失敗は、組織や個人の役割設計の歪みからも起きます。当事者意識が過剰になると、チームの分業を壊し、本人を疲弊させる場合があります。特に、熱心なデザイナーや責任感の強いPdMほど、見過ごされがちなこの失敗に陥ることがあります。

分業破壊とバーンアウトの失敗

過剰なオーナーシップが、分業や本人に及ぼした影響を示す事例があります。報告された事例では、次のような問題が起きました。

  • 分業が崩れる:デザイナーの過剰なオーナーシップが、明示的なリーダーの役割を形骸化させました(出典:UXの電球)。
  • 本人が疲弊する:半年にわたりUI実装に没頭し、UXリサーチから離れて目的を見失い、バーンアウトに至りました(出典:UXの電球)。

一人で抱え込むと、役割分担が曖昧になり、他のメンバーが力を発揮しにくくなります。個人の頑張りに頼ることが、組織の失敗を招く場合もあります。

UI/UXは、リサーチや設計、実装、検証など複数の役割が連携して進めます。そのため、一人の担当者に頼る体制は、その人が倒れると崩れてしまう脆さを抱えています。

当事者意識は大切ですが、分業を壊さないよう、組織として歯止めをかける必要があります。

役割と目的の明確化による防衛策

一人に負荷が集中しないよう、役割と目的を明確にして定期的に見直します。体制づくりと、負荷が偏ったときの立て直しは、次のように進めます。

  • 役割と権限を決める:リサーチや設計、実装、最終判断の担当を明確にします。
  • 定期的に振り返る:目的に沿った設計やリサーチから離れていないかを確かめ、組織として歯止めを設けます。
  • 業務を再配分する:特定の人に負荷が集中して炎上しかけたら、まず作業を洗い出し、リサーチや設計、実装の担当に分け直します。
  • ゴールを再定義する:「何のための改善か」を問い直し、見失った目的を立て直しの起点にします。

riplaは、役割分担と目的を明確にしたUI/UX体制づくりを支援しています。改善で数値が動いた事例は『UI/UXデザインの導入/開発事例や活用/成功事例について』もご覧ください。

個人の頑張りに頼らない構造が、継続的なUI/UX改善を支えます。

ポイント

一人の担当者に仕事や判断が集中していないかが、判断の目安です。負荷が偏ったら業務を再配分し、目的から外れていないかを定期的に振り返ります。

まとめ

UI/UXデザイン開発・導入では、目的の曖昧さや連携不全、デザインシステムの未定着、過剰なオーナーシップが失敗につながります。

機能追加による離脱悪化の背景には、目的の欠如がありました(出典:NOROSHI×Mikosea)。

デザインシステムの失敗には、他社の仕組みと自社プロダクトの乖離も関係します(出典:ニジボックス)。事前に原因を理解し、対策を組み立てることが大切です。

対策は、目的の定量化と連携を前提とした設計、自社仕様のデザインシステムと役割分担の明確化です。検証ループでは、被験者4人でも十分とされています(出典:富士通)。

過剰なオーナーシップによるバーンアウトも、役割と目的の再整理で立て直せます(出典:UXの電球)。

riplaは、フルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、失敗を構造的に防ぐ進め方と、必要に応じたリカバリーを支援します。

全体像は、冒頭で紹介した完全ガイドでご確認ください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。