従量課金システムの発注・外注では、利用量を集めて請求額を計算する機能だけでなく、契約変更、返金、決済失敗、会計連携、監査証跡まで含めた業務全体を委託範囲に定めることが成功の条件です。
「従量課金システムをどの会社へ依頼すればよいか」「クラウド製品と個別開発のどちらが自社に合うか」「見積書の金額をどう比較すればよいか」と悩む企業は少なくありません。本記事では、発注形態の選び方、RFPと要件整理、契約形態、費用相場、委託先の選定、見積比較、発注後の進め方まで、発注担当者がそのまま使える観点で解説します。
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・従量課金システム開発の完全ガイド
従量課金システムを発注・外注する前に知るべき全体像

従量課金システムは、APIリクエスト数、通信量、保存容量、利用時間、受注件数、ユーザー数などを計測し、契約条件と単価に応じて請求額を決める仕組みです。発注時は、画面開発の会社を探すのではなく、利用量イベントの収集からメータリング、料金計算、請求、決済・回収、会計連携、顧客向け明細まで、どこを誰に任せるかを整理します。
発注対象は計測・計算・請求・回収・会計の一連の流れです
最初に、サービス基盤で利用が発生し、顧客IDと契約IDをひも付けてイベントを保存し、料金マスタを適用し、請求書を発行し、決済または振込で回収し、会計へ仕訳を渡す流れを描きます。Stripeの公式ドキュメントも、従量課金のライフサイクルを利用データの取り込み、商品・価格設定、請求、しきい値監視の4段階で整理しています(出典: Stripe「How usage-based billing works」、2026年8月確認)。この流れの一部だけを外注するときは、前後のデータ形式と障害時の責任分界を必ず仕様に含めます。
特に重要なのは、請求額を後から再現できることです。イベントID、契約ID、計測時刻、受信時刻、単位、数量、適用した料金マスタの版、割引、税、訂正履歴を残せば、顧客から「なぜこの金額なのか」と質問されたときに明細を説明できます。これらを発注範囲から外すと、開発完了後に追加費用が発生しやすくなります。
画面よりも例外処理と運用責任が発注の成否を分けます
従量課金では、イベントの重複送信、遅延到着、欠損、途中のプラン変更、無料枠の境界、最低利用料、返金、決済失敗、締め後の訂正が発生します。候補会社へは、通常月の画面だけでなく「4月15日に契約開始し、100単位の無料枠を超えて120単位使い、翌月に一部返金する」といったケースを提示し、どのように計算・承認・通知するかを確認します。
また、営業、サービス企画、経理、情シス、法務などが関わるため、発注側の意思決定者を決めておくことが必要です。料金ルールを開発会社へ丸投げすると、業務上の例外が見つかるたびに仕様変更となり、納期と費用が膨らみます。発注者が業務ルールを決め、委託先が実装方法を提案する役割分担が現実的です。
従量課金システムの発注形態はどれを選ぶべきですか?

発注形態は、標準クラウド製品の導入、API型サービスと自社開発の組み合わせ、導入SIや開発会社による個別開発の三つに大きく分けられます。正解は会社の規模ではなく、料金ルールの独自性、利用イベント数、既存システムとの連携、社内の開発体制、法務・経理の運用要件で決まります。初期段階では、どこまでを共通サービスに任せ、どこを自社の競争力として作るかを切り分けます。
標準クラウド製品は早期導入と運用負担の軽減に向いています
固定従量、段階変動従量、階段式、定額との組み合わせなどが標準機能に収まるなら、クラウド製品の導入が候補です。初期費用を抑えやすく、請求や決済の機能改善をサービス側に任せられる一方、顧客別の特殊単価や独自の承認フローを追加すると、カスタマイズ費と運用制約が増えます。標準機能に業務を合わせるFit to Standardができるかを、発注前に判断します。
製品選定では、料金パターンの数だけでなく、イベントの訂正、請求確定後の返金、請求書の再発行、データのエクスポート、解約時のデータ返却を確認します。デモで利用量を入力し、請求額の内訳を顧客別・契約別に追跡できるかを見れば、カタログだけでは分からない運用差を比較できます。
API型サービスとの組み合わせは独自機能と標準機能を分けられます
Stripe BillingのようなAPI型サービスを使い、利用量の発生と自社の顧客画面は開発会社へ委託し、請求・決済の一部は外部サービスに任せる方法もあります。自社サービス固有のメータリングや料金表示を柔軟に作れる反面、イベントの再送、冪等性、請求後の訂正、税、会計連携、障害時の復旧を自社側で設計する必要があります。
Stripeのメータはsum、count、lastなどの集計方法を設定でき、モデルやトークン種別、リージョン、イベント種別などのディメンションも扱えます(出典: Stripe「Create and configure a meter」、2026年8月確認)。一方で、メータの設定後に変更できる範囲や、確定済み請求の訂正条件には制約があります。外部サービスの機能をそのまま自社要件とみなさず、RFPで責任分界と制約を明記します。
個別開発は独自料金と基幹連携が事業上の強みになる場合に選びます
顧客別契約、複雑な割引、独自の収益認識、大量イベント、複数事業の統合などが競争力に直結する場合は、開発会社やSIへ個別開発を依頼します。自由度が高い反面、法改正、決済規格、セキュリティ、監視、障害対応、採用・引き継ぎまで発注者の責任が広がります。スクラッチを選ぶときは、機能を作れるかだけでなく、5年後も保守できる体制があるかを見ます。
クラウド、API、個別開発を組み合わせるハイブリッドも有効です。例えば利用イベントと独自の料金ロジックは自社または開発会社で持ち、決済・カード情報は決済代行に任せ、会計・販売管理は既存システムへ連携します。構成が複数になるほど、障害時にどの会社が調査し、どのデータを正とし、何時間以内に復旧するかを契約と運用設計で決めます。
RFPと要件整理では何を発注先へ伝えるべきですか?

RFPは「従量課金に対応してほしい」とだけ書く文書ではありません。事業目的、対象顧客、課金単位、現行業務、データ量、連携先、制約、希望する導入時期、予算の考え方、提案してほしい範囲をそろえ、各社が同じ前提で回答できるようにします。料金計算の正解例を添付すると、候補会社の提案力と見積精度を比較しやすくなります。
業務要件は料金表ではなく月次業務の流れで整理します
まず、誰が、いつ、何をきっかけに、どのデータを使い、どの帳票を確定するのかを整理します。契約の開始・更新・休止・解約、プラン変更、締め日、請求承認、決済、入金消込、返金、問い合わせ対応を業務フローに並べます。料金ルールは、単位、計測周期、無料枠、単価、段階、最低料金、上限、丸め、税、割引、日割り、返金の項目に分解します。
次に、現状のExcelや基幹システムで何が正しいデータかを決めます。顧客マスタはCRM、契約は販売管理、利用量はサービス基盤、入金は決済代行というように、システムごとに正の情報源が異なる場合があります。顧客IDと契約IDが一致しないまま連携を始めると、名寄せや差分照合が追加作業になるため、サンプルデータをRFPに添付します。
機能要件は利用量・料金・請求・連携・統制に分けます
利用量の要件では、イベントの受信方法がAPI、CSV、ストリームのどれか、1日あたりの件数、遅延の許容時間、重複排除の方法、再送の方法を記載します。料金の要件では、固定従量、段階変動、階段式、最低利用料、無料枠、超過料金、顧客別単価、割引、税、複数通貨を記載します。請求の要件では、締め日、日割り、明細、再請求、返金、クレジット、承認、発行方法を明確にします。
非機能要件には、ピーク時のイベント件数、請求処理の完了時間、可用性、バックアップ、監視、障害通知、権限、操作ログ、データ保存期間、暗号化、個人情報の取り扱いを含めます。決済を扱う場合は、2025年3月に経済産業省が改訂した「クレジットカード・セキュリティガイドライン」を踏まえ、脆弱性対策、EMV 3-Dセキュア、不正ログイン対策を誰が実施するか確認します(出典: 経済産業省「クレジットカード・セキュリティガイドライン改訂」、2025年、2026年8月確認)。
受入テストは請求額の期待値と例外ケースを中心に作ります
受入テストには、通常の固定従量だけでなく、月途中の契約開始、無料枠の直前と直後、段階料金の境界、プラン変更、契約解約、遅延イベント、同一イベントの再送、利用量の訂正、返金、決済失敗と再請求を含めます。各ケースには入力データ、期待する利用量、料金、税額、請求書の明細、会計連携結果を記載し、発注者と委託先が同じ結果を正解とします。
顧客向け画面が完成していても、バックエンドの計算根拠が追跡できなければ運用で困ります。請求前プレビュー、利用明細のダウンロード、再計算、訂正申請、承認履歴、監査ログを受入条件に含めます。電子帳簿保存法に関係する電子取引データを保存する場合は、訂正削除の履歴、取引日・金額・取引先などによる検索、帳簿との相互関連性が必要になることがあるため、国税庁の案内を確認して要件化します(出典: 国税庁「優良な電子帳簿の要件」「電子取引関係」、2026年8月確認)。
従量課金システムの契約形態はどう選びますか?

契約形態は、要件の確定度、発注者が負うリスク、開発中の変更量、成果物の定義を踏まえて選びます。従量課金システムでは、料金ルールや連携要件が後から明らかになりやすいため、すべてを一つの契約で固定するのではなく、要件定義と開発を分ける方法も有効です。契約書では、金額や納期だけでなく、データ、知的財産、保守、障害、第三者サービスの責任を定めます。
請負契約は成果物と受入条件を固定できる範囲に向いています
請負契約は、合意した成果物を完成させ、受入を経て納品する形に向いています。標準的な料金計算、決められた連携、明確な帳票、確定した受入テストを一括で依頼する場合は、予算と納期を管理しやすい契約形態です。ただし、発注後に料金パターンを追加したり、業務フローを大きく変えたりすると、変更契約や追加見積もりが必要になります。
請負で契約する場合は、「従量課金に対応すること」のような抽象的な記載を避けます。利用量イベントの項目、対応する料金方式、請求書の項目、帳票の出力、連携の成否、性能、障害時の扱いを受入基準として添付します。検収後に見つかった料金計算の不具合を瑕疵や保守でどう扱うかも、法務と開発会社で確認します。
準委任・時間精算は要件変更が多いプロジェクトに向いています
準委任契約は、専門家の稼働や業務遂行を依頼する形で、要件定義、アーキテクチャ設計、アジャイル開発、既存システムの調査などに向いています。料金ルールを整理しながら段階的に作る場合、月単位でチームを組み替えられる柔軟さがあります。一方で、作業時間を投入しただけでは請求業務が完成しないため、各月の成果、判断事項、未解決リスクを報告してもらいます。
時間精算では、単価だけでなく、誰が何時間必要か、プロジェクト管理やテスト、移行、会議、ドキュメントが対象かを確認します。指定リサーチノートの業務システム相場では、エンジニア月額は80万〜120万円程度が企画初期の目安とされています(出典: NotebookLM Q&A「業務システム全般_6」、2026年)。これは個別案件の確定価格ではないため、役割別の工数と単価を分けて見積もります。
契約書にはデータ・知財・保守・第三者サービスの境界を記載します
従量課金システムでは、顧客情報、契約、利用イベント、請求書、決済結果、会計データを扱います。データの所有権、バックアップ、保存期間、削除依頼、解約時のエクスポート形式、秘密保持、再委託先、アクセス権限を契約に含めます。ソースコード、設計書、テストデータ、料金マスタ、インフラ設定、運用手順書の著作権や利用権も、納品後に自社が保守できる範囲を確認します。
決済代行やクラウドなど第三者サービスを組み込む場合は、障害や仕様変更の責任が開発会社だけにないことがあります。サービス停止時の代替手段、API仕様変更の通知、料金改定、データ返却、サポート窓口、復旧目標をRFP回答と契約書で突き合わせます。発注先が「外部サービスの仕様です」と言うだけで終わらないよう、一次対応と二次対応の担当を決めます。
従量課金システムを外注する費用相場はいくらですか?

従量課金システムの外注費は、標準クラウド導入なら初期0〜300万円程度、CRM・会計・決済との連携を含む場合は300万〜1,500万円程度、料金計算基盤の個別開発なら1,000万〜3,000万円程度、基幹・顧客基盤まで含むスクラッチなら3,000万円〜1億円超が企画初期の推定レンジです。従量課金システムだけの公的な全国平均ではなく、指定ノートの業務システム相場と機能範囲から組み立てた目安です。
導入方式別の費用レンジは前提条件とセットで比較します
標準クラウド製品の設定は1〜3か月、初期0〜300万円程度が目安です。CRM、販売管理、会計、決済を連携する導入は3〜6か月、初期300万〜1,500万円程度になりやすく、API仕様調査、名寄せ、再送、差分照合、移行、受入テストが費用に含まれるかを確認します。料金計算基盤を個別開発する場合は6〜12か月、基幹刷新を伴う場合は9〜18か月以上を見込みます。
月額費用には、製品利用料、クラウド、データベース、ログ、監視、バックアップ、保守、サポート、追加ユーザー、API利用料が含まれます。決済手数料も別に発生します。Stripeの日本向け料金ページでは、Billing取引額の0.7%、国内カードの成功取引1件あたり3.6%が掲載されています(出典: Stripe「料金体系&手数料」、2026年8月確認)。ただし契約や決済手段で変わるため、これは自社の外注費を断定する金額ではなく、変動費を見積書へ入れるための参考です。
初期費用ではなく3年または5年総額で発注先を比べます
見積比較では、初期開発費に加えて、月額利用料、従量手数料、決済手数料、外部API、データ移行、監視・保守、法改正対応、追加ユーザー、請求書郵送、口座振替、教育、契約終了時のデータ移行を並べます。例えば初期費用、毎月の固定費、売上に応じた変動費を同じ利用量・顧客数の前提で計算し、3年または5年の総額を出します。具体的な数値は自社の取引量で変わるため、候補各社へ同じシナリオを渡します。
安い見積もりに見えても、要件定義、請求前プレビュー、移行、性能試験、障害監視、運用引き継ぎが別途なら、後から費用が増えます。逆に高い見積もりでも、会計連携、テストデータ、移行リハーサル、稼働後の伴走が含まれている場合があります。金額だけでなく、含むもの、含まないもの、前提、追加単価、変更手順を比較します。
費用を抑えるには第1段階の必須機能を限定します
初回リリースは、利用量の取り込み、料金計算、請求書・明細、決済または振込の確認、会計連携、権限、監査ログなど、請求を成立させる機能に絞ります。利用予測、細かな分析、AIによる異常検知、複雑なキャンペーン、すべての過去データ移行は、第2段階へ分けられる場合があります。機能を削るのではなく、請求の正確性と運用継続に直結する順番を決めます。
ただし、後から追加できるようにイベントID、料金マスタの版管理、契約ID、訂正履歴、権限、データ出力形式は初期設計へ残します。短期の費用削減のために監査ログや再計算を省くと、顧客対応と法務対応のために高い改修費が発生する可能性があります。削る機能と削ってはいけない基盤を、発注者と委託先で合意します。
従量課金システムの委託先を選ぶポイント

委託先は、開発実績の件数や知名度だけでなく、従量課金のどの領域を担えるかで選びます。製品ベンダー、決済代行、クラウド事業者、導入SI、スクラッチ開発会社は役割が異なります。自社の課題が「請求業務の自動化」なのか「独自の料金計算基盤」なのか「基幹・クラウド全体の刷新」なのかを明確にしてから候補を絞ります。
請求計算と例外処理の実績を具体的な画面やデータで確認します
実績を聞くときは「従量課金の経験がありますか」だけで終わらせません。固定従量、段階変動、階段式、無料枠、最低利用料、日割り、返金、請求後の訂正、決済失敗、会計連携のどこまで対応したかを確認します。可能なら、匿名化した請求明細、料金マスタ、テストケース、運用画面を見せてもらい、請求額をどのデータから説明できるかを確認します。
導入事例を見るときは、サービス名や導入社数より、導入前の課題、対象顧客、利用量の計測方法、既存システムとの連携、稼働後の運用分担を確認します。実績を開示できない場合でも、同じ失敗パターンを想定したデモを依頼できます。候補会社が要件の弱点や見積もりに含まれない範囲を先に指摘するかどうかも、重要な評価材料です。
要件定義から運用まで同じ責任者が関われる体制を見ます
提案時の営業担当だけでなく、要件定義の責任者、料金ロジックを設計する担当者、連携・インフラ担当、テスト責任者、稼働後の保守窓口を確認します。下請けや再委託がある場合は、誰が品質と納期を統括するかを明らかにします。開発中に担当者が入れ替わる場合の引き継ぎ方法も、契約前に質問します。
運用開始後は、月次締め、料金マスタ変更、請求前承認、差分調査、障害、返金、法改正対応が発生します。開発会社が保守を提供するなら、問い合わせ対応時間、障害の優先度、復旧目標、月次の稼働報告、追加開発の単価を確認します。社内で運用するなら、管理画面と手順書が担当者に理解できるかを、受入テストで確認します。
セキュリティ・法令・データ返却の質問に具体的に答えられる会社を選びます
従量課金システムは、顧客情報、利用履歴、請求情報、決済結果を扱うため、アクセス制御、暗号化、脆弱性対策、ログ監視、バックアップ、インシデント対応を確認します。カード情報を直接扱わない構成にできるか、決済代行の責任範囲はどこか、個人情報をどの環境へ保存するかを提案書に書いてもらいます。
電子帳簿保存法、インボイス制度、個人情報保護、カードセキュリティへの対応は、開発会社が法的判断を代行するものではありません。自社の法務・経理と委託先で、保存対象、帳票の要件、訂正履歴、検索、税区分、アクセス権を確認します。契約終了時に請求履歴と利用イベントを機械可読な形式で返却できるかも、ベンダーロックインを避けるために質問します。
従量課金システムの見積もりを比較するポイント

見積書は、総額の大小だけでなく、同じ作業を同じ範囲で比べられるように読み替えます。要件定義、設計、開発、連携、移行、テスト、教育、リリース、保守、クラウド、外部サービスを分け、各項目の成果物と前提を確認します。見積もりの粒度が粗く、料金計算や連携が一式としか書かれていない場合は、質問を返して内訳をそろえます。
見積書の前提・除外・追加単価を読み合わせます
見積書には、顧客数、契約数、料金プラン数、1日あたりのイベント件数、連携先、過去データの移行年数、同時利用者数、可用性、対応ブラウザ、納期が前提として書かれているかを確認します。例えば「データ移行一式」でも、CSVのクレンジングや過去の訂正履歴まで含むのかで作業量が変わります。
除外項目には、外部サービスの利用料、決済手数料、税計算、請求書の郵送、会計側の改修、顧客データの名寄せ、法務確認、性能試験の環境費、稼働後の追加開発が含まれることがあります。追加単価と変更管理の手順を先に確認すれば、要件変更が起きたときに「いくらになるか」「納期に何日影響するか」を判断できます。
同じ請求シナリオを使ったデモと提案内容を比較します
候補会社には、同じテストシナリオでデモを依頼します。4月15日に開始、無料枠100単位、120単位利用、5月にプラン変更、遅延イベントを追加、1件を重複送信、カード決済を失敗、後日返金、会計へ連携という流れを再現してもらいます。画面の見栄えではなく、請求額、明細、ログ、訂正方法、担当者の操作数、エラー時の通知を比較します。
提案書では、課金単位の定義、料金マスタの変更方法、イベントの再送、請求確定のタイミング、返金の処理、会計連携の責任者、性能の想定、保守窓口を同じ順番で回答してもらいます。質問に対して製品機能だけを説明する会社より、できないことと代替案を明確に示す会社のほうが、発注後の認識差を減らしやすくなります。
価格・機能・正確性・運用性・拡張性を重み付けして評価します
評価表では、価格だけを高い配点にしないことが重要です。例えば、要件適合、請求計算の正確性、例外処理、連携、セキュリティ、導入体制、保守、データ返却、費用を項目に分け、自社の優先度に応じて重みを付けます。価格が安くても、手作業の照合が残り、担当者の月次負荷が高いなら、実際の総コストは下がりません。
最終選定では、提案内容、見積もり、契約条件、デモ結果、候補会社とのコミュニケーションを一つの記録にまとめます。特に「誰が料金マスタを変更できるか」「請求後の間違いをどう訂正するか」「障害時にどこまで復旧してくれるか」は、営業説明だけでなく契約書と運用設計へ反映します。
従量課金システムの発注・外注でよくある質問

最後に、発注前に確認されやすい質問へ回答します。自社の料金表、既存システム、取引量、経理・情シスの体制を当てはめながら、RFPと候補会社の提案を確認してください。
従量課金システムはどのような会社へ外注すればよいですか?
標準的な料金方式ならクラウド製品の導入会社、独自の利用量や料金計算ならAPI開発・スクラッチ開発に強い会社、基幹・会計・決済まで含むなら業務システムに強いSIが候補です。会社名や規模だけでなく、固定従量、段階式、返金、請求後の訂正、会計連携まで自社と近い実績を確認し、同じテストシナリオで比較してください。
従量課金システムの外注費はどのくらい見込めばよいですか?
企画初期の推定では、標準クラウド導入が初期0〜300万円程度、既存システムとの連携が300万〜1,500万円程度、料金計算基盤の個別開発が1,000万〜3,000万円程度、基幹を含むスクラッチが3,000万円〜1億円超です。これは公的な全国平均ではなく、機能範囲、取引量、連携数、移行、保守によって変動するレンジです。初期費用に月額・決済・API・保守を加えた3年または5年総額で判断します。
請負契約と準委任契約はどちらを選ぶべきですか?
成果物、仕様、受入条件を固められる部分は請負契約、要件を整理しながら進める部分は準委任契約が向いています。従量課金システムでは、最初に要件定義を準委任で行い、料金ルールと受入条件を固めてから開発を請負で依頼する分け方もできます。契約形態そのものより、成果、責任範囲、変更手順、データと知財、保守を明確にすることが重要です。
RFPにはどのような情報を入れるべきですか?
事業目的、対象顧客、課金単位、料金方式、無料枠、割引、契約変更、請求・決済・会計の流れ、現行データ、連携先、イベント件数、非機能要件、導入時期、予算の考え方、受入テストを入れます。通常月だけでなく、プラン変更、遅延・重複イベント、返金、決済失敗、請求後の訂正を期待値付きで添付すると、候補会社の提案と見積もりを同じ条件で比較できます。
まとめ

従量課金システムの発注・外注では、利用量を集計して単価を掛ける機能だけでなく、契約、料金マスタ、請求、決済、会計、返金、訂正、監査、顧客への説明までを一つの業務として整理します。標準クラウド、API型サービス、個別開発、ハイブリッドのどれを選ぶかは、料金の独自性、連携範囲、取引量、社内体制、5年後の運用で判断します。
最初に料金ルールと請求テストを整理して同じRFPを配布します
発注前に、課金単位、計測周期、無料枠、単価、段階、最低料金、上限、丸め、税、割引、日割り、返金、訂正を一覧化します。そのうえで、月途中の開始、プラン変更、遅延・重複イベント、決済失敗、会計連携まで含むデモ用シナリオを作り、候補会社へ同じ条件で渡します。機能表だけでなく、請求額の再現性と運用担当者の負担を比較することがポイントです。
費用・責任分界・拡張性を含む総額で委託先を決めます
見積もりは初期費用だけでなく、月額、従量手数料、決済、API、移行、監視、保守、法令対応、契約終了時のデータ返却を含む3年または5年総額で比べます。どの会社が利用量を計測し、誰が料金を計算し、誰が請求を確定し、誰が障害と訂正に対応するかを契約書へ反映します。正確性、説明可能性、運用性、将来の料金変更への対応力をそろえて評価すれば、自社に合う発注先を選びやすくなります。
▼全体ガイドの記事
・従量課金システム開発の完全ガイド
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
