ベンダー管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

ベンダー管理システムの発注は、対象業務と担当範囲を決め、RFPで要件を示したうえで委託先を選ぶ流れで進みます。

委託先は同じ条件で比べ、段階的に導入すると、運用の定着につながります。全体像は完全ガイドにもまとめています。

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・ベンダー管理システム開発の完全ガイド

ベンダー管理システムの発注・外注で委託する範囲

取引ライフサイクルを中央に置き、登録、審査、契約、発注、検収を周囲に配置した図解。
登録から検収までの段階がひと続きの管理対象になります。

発注・外注で委託するのは、取引先の登録から終了までの仕組みです。流れは、審査や契約、発注、検収の順に進みます。その後も、請求や評価、更新を経て終了に至ります。

委託する範囲は、購買管理や契約管理、外注管理、サプライヤーリレーションシップ管理のどこまでを扱うかで決まります。範囲が変わると、必要なデータと画面も変わります。

IT外注先型の管理範囲とプロジェクト情報

IT外注先を管理する場合は、次の情報を案件ごとに整理しておきます。

  • 対象先:システム開発会社、運用保守会社、派遣会社、フリーランスなど。
  • 契約・要員:会社情報、担当者、契約単位、業務範囲、参画期間、要員の紐付け。
  • 進行・権限:納期、成果物、障害、SLA、アクセス権限、評価の記録。
  • 管理設計:案件・契約・要員・権限を分けて記録する設計。

同じ会社でも、案件ごとに契約条件や秘密情報へのアクセス範囲が異なります。そのため、会社マスタだけでは、誰がどの環境へいつアクセスできるかが分からなくなります。

仕入先・業務委託先型の購買と契約のつながり

仕入先・業務委託先の管理では、次の情報と履歴を扱います。

  • 取引情報:適格請求書発行事業者登録番号、取引カテゴリ、口座、契約条件、見積から支払までの各段階。
  • 審査・評価:品質評価と、反社・信用・セキュリティの審査。
  • 承認履歴:購買、経理、法務、情報システム、現場部門の申請・承認・差し戻し・例外処理の記録。

SAP Ariba Supplier Managementも、サプライヤーのライフサイクルを、審査やパフォーマンス、リスクと合わせて一つの仕組みで管理する考え方を示しています。

つまり、名簿としてではなく、取引のライフサイクルを管理する仕組みとして捉えることになります(出典:SAPジャパン「SAP Ariba Supplier Management ソフトウェア」、2026年確認)。

データの入力・承認の担当者

発注前には、機能一覧より先に、どの業務を誰が担当するかを決めておきます。たとえば、会社情報は取引先と購買のどちらが更新するか、契約書は法務が承認するか、評価は現場と購買のどちらが担うかを決めます。

取引先側の入力負担が大きいと、招待しても回答が集まらず、結局メールやExcelに戻ってしまいます。そのため、入口はメール招待、Webフォーム、CSVなど複数用意します。APIやEDIも含め、相手企業のIT習熟度に合わせて選びます。

ポイント

委託範囲は、取引先の登録から終了まで、どの段階を扱うかで決まります。迷ったら、IT外注先と仕入先のどちらを中心に管理するかを先に決めると、必要なデータも絞り込めます。

発注形態の選び方

発注形態には、クラウドSaaSとパッケージ設定・連携があります。ほかに、SI導入や個別開発、複数サービスの組み合わせがあります。

判断の基準は、標準化する業務と独自性を残す業務を切り分けたうえで、変更や法改正をどの体制で吸収するかです。

早く小さく始める場合の標準SaaS

台帳や申請・承認、契約期限通知のような業務を標準機能に合わせられる場合は、SaaSが候補になります。基本的な見積・発注や評価も、標準機能に収まるかどうかが条件です。

サーバー調達や大規模な初期開発を抑えられます。また、更新、バックアップ、脆弱性対応も、サービス側に任せられます。

契約前には、ユーザー数・取引先数の課金、容量、API利用料を確認します。データ出力、解約時の返却、取引先ポータルの条件も、あわせて確かめておきます。

既存基幹との連携を重視する場合のパッケージとSI

複数拠点や会社をまたぎ、会計、ERP、購買と連携する場合は、パッケージを中核にする形が現実的です。契約やプロジェクト管理、人事と連携する場合も、この前提に当てはまります。そのうえで、SI会社が設定・移行・連携を支援します。

提案書では、標準機能と設定、アドオン、個別開発の範囲を分けて示してもらいます。特に、標準化できる申請や台帳まで個別画面にすると、更新のたびに改修が必要になるため、保守費用とベンダーロックインが増えます。

独自業務が競争力になる場合のスクラッチ開発

独自審査や複雑な承認、要員参画管理などが必要なら、個別開発が候補になります。特殊な評価や複数EDI接続を求める場合も含まれます。既製品に合わせると事業上の不利益になる場合に、検討の対象にします。

自由度と引き換えに、要件定義、品質保証、脆弱性対応を長期にわたって担う必要があります。さらに、障害復旧や担当者交代、法改正への対応も、長く続く課題です。

台帳や契約期限はSaaSなどで標準化し、独自審査やポータルだけをAPIやアドオンで拡張します。そうすると、総保有コストを説明しやすくなります。

ポイント

判断に迷ったら、標準化できる業務はSaaSに、基幹との連携はパッケージとSIに、独自業務だけを個別開発に振り分けて考えます。

発注前のRFPと要件整理で決める項目

RFPの整理項目として、取引先情報、取引記録、業務フロー、各段階の運用をカードで示す図解。
4つの観点をそろえると、各社の提案条件を並べて確認できます。

RFPは、各社の提案を同じ条件で比べるための資料です。対象業務、データ、連携、セキュリティを柱に書きます。運用や納品物、予算、評価方法も、同じ条件でそろえます。

完成した仕様書までは必要ありません。ただし、判断の基準が曖昧だと各社の前提が異なり、見積を比べられなくなります。

対象範囲と利用者の役割

対象は、IT外注先や仕入先、派遣・フリーランス、製造サプライヤーから定めます。対象によって必要な情報は異なり、案件・要員・権限を扱うか、品目・単価・納期を扱うかで、記録する項目が変わります。契約期間・稼働・請求なども、対象によって必要な情報になります。

RFPには、対象会社数や拠点数、社内外の利用者数、年間の申請・発注件数、データ保存期間を書きます。役割は、購買、現場、法務、経理ごとに分けます。情報システムや経営、取引先の立場も、あわせて示します。

登録申請から閲覧まで、一次・最終承認や審査、契約管理、評価の担当を決めます。そのうえで、職務分離と代理承認を要件に含めます。会社・口座情報は、変更前後の内容と、変更者、承認者、日時を記録し、内部統制と監査に備えます。

RFPに書くデータ項目と業務フロー

RFPには、データ項目と業務フローを具体的に書き込みます。

  • 取引先情報:会社名、法人番号、所在地、担当者、カテゴリ、口座、登録番号の洗い出し。
  • 取引記録:契約書、NDA、保険、許認可、審査、評価、発注、納品、請求、支払の一覧。
  • 業務フロー:新規登録から終了までを、審査、取引開始、見積、選定理由、発注、契約変更、検収、請求、評価、更新の順に並べた図。
  • 各段階の運用:入力者、承認者、期限、証憑、差し戻し条件、通知先、例外時の手作業の定め。

会社名に重複や表記揺れがある場合は、法人番号や社内コードで名寄せするルールを決めておきます。加えて、一社だけの見積や緊急発注、契約更新の遅延をどう扱うかも先に決めておくと、現場がシステムを迂回しにくくなります。

連携・非機能要件・セキュリティ

連携、ポータル、データ移行、非機能要件も、RFPに含めます。

  • システム連携:連携元・先、項目、件数、頻度、API・CSV・Webhook・EDI、再送、重複防止、監視担当の取り決め。
  • ポータルと移行:招待、再設定、多要素認証、容量、スマートフォン対応、督促、移行の期間・形式・欠損・照合。
  • 非機能・安全性:性能、稼働、復旧、暗号化、ログ、脆弱性、データ所在、再委託、返却・消去の取り決め。

IPAは、2026年4月公開の「指示9」で、委託先を含むサプライチェーン全体の対策を把握することと、契約で役割・責任を明確にすることを示しています(出典:IPA「指示9 ビジネスパートナーや委託先等を含めたサプライチェーン全体の状況把握及び対策」、2026年4月28日)。

特に、機密情報を扱う場合は、質問票への回答だけで済ませず、契約や権限に反映させます。

ポイント

迷ったら、各社に同じRFPと業務シナリオを渡せているかを先に点検します。前提がそろわない見積は、比べても意味がありません。

ベンダー管理システムの開発・導入の進め方

現状と対象範囲の調査からRFP、要件定義、移行とテストを経て、本番稼働後の運用改善へ進む5段階の時系列図。
前段の整理を次の工程へ引き継ぎながら、稼働後の改善につなげます。

発注前に全仕様を確定しておく必要はありません。そのかわり、初回契約の範囲と、追加見積もりを出す時期を決めておきます。

  1. 現状を調べ、構想と対象範囲を決める
  2. RFPを作り、候補会社の提案を比べる
  3. 要件定義を行い、設計・設定・開発に進む
  4. データを移行し、テストとパイロットを行う
  5. 本番稼働後に運用を改善する

現状業務の調査とMVPの範囲

現状業務の調査結果をもとに、改善目標と初期MVPの範囲を決めます。

  • 現状と課題:関係者への聞き取りと、Excel、メール、共有フォルダ、契約・購買・会計データの洗い出し。
  • KPI:二重入力、期限切れ、承認滞留、重複、未評価、請求照合の手作業を測る指標。
  • 目標:更新漏れの削減、審査日数の短縮、発注から検収までの見える化。
  • 初期MVP:台帳、登録申請・承認、期限通知、基本発注・検収、評価、監査ログに絞った範囲。
  • 追加機能:AI判定、予測分析、全社CO2統合は、品質・定着後に検討する対象。

MUSTとWANTを分けておくと、予算超過時も目的を保ったまま範囲を調整できます。

提案比較での実データと例外処理の検証

提案比較では、次の観点を実データで確かめます。

  • デモデータ:重複会社、旧住所、契約書欠損、期限切れ、分割納品、緊急発注、見積遅延、取引先の入力ミスを使った試験。
  • 対応方式と復旧:標準機能・設定・アドオン・個別開発の記録と、画面、差し戻し、障害復旧、承認履歴の評価。
  • パイロット:候補を絞ったうえで、代表取引先や一部門で行う試行。
  • 測定項目:招待率、入力完了率、審査リードタイム、契約期限通知への対応率、評価実施率、問い合わせ件数。
  • 運用調整:入力負担や通知の調整と、一括移行前の未利用・重複・過剰権限の発見。

移行・受入テストと運用体制の整備

移行・受入テストと稼働後の運用では、次の項目を確かめます。

  • 移行テスト:名寄せ、契約書・証憑、権限、承認経路、通知、ログ、API、バックアップ、障害時の手作業を使った試験。
  • データ照合:件数だけでなく、契約期間、担当者、評価履歴、添付ファイルの閲覧権限まで照合。
  • 受入条件:発注者の業務シナリオ確認と委託先のテスト結果を分けて扱い、検収時の認識違いを減らす。
  • 稼働後の指標:登録完了率、審査の平均日数、更新漏れ、発注から検収までの日数、評価実施率、請求差戻し率、連携エラー数、重大なアクセス権限違反。
  • 運用体制:保守窓口、障害の優先度、初動時間、復旧目標、更新通知、追加開発の依頼方法の取り決め。

ポイント

迷ったら、初回契約の範囲と追加見積もりの時期を先に決めます。全仕様を最初に固めなくても、段階的に広げれば進められます。

請負と準委任の選び方

契約は、成果物や仕様がどこまで確定しているか、変更がどれくらい見込まれるか、発注者がどこまで参加するかで選びます。要件が固まる前に一括請負で進めると、変更のたびに追加費用や納期の延長が起きやすくなります。

工程によって契約を分ける方法もあります。たとえば、要件定義は準委任、仕様確定後の開発は請負とする形です。

要件定義を準委任で進める場合

準委任は、一定の業務を共同で進める工程に向きます。たとえば、調査や整理、設計検討、会議、課題管理などが該当します。

共同で進める中で、現場の例外や契約・購買・経理の用語差が見つかります。そのため、作業時間、体制、会議を契約に記し、成果物と報告方法も定めます。

準委任は、成果物の完成を保証する請負とは性質が異なります。締結前に、社内の法務・調達部門に確認します。

請負の範囲・成果物・検収条件

請負の見積と契約では、通知仕様など、あいまいになりやすい部分を先に具体化しておきます。

  • 成果物:画面・帳票・API、移行、テスト、マニュアル、教育、納品形式の決定。
  • 契約条件:検収期限、瑕疵対応、再委託、知的財産権、ソースコードの扱い。
  • 変更と費用:見積書に明記する範囲、除外、前提件数、追加単価、変更手順。
  • 段階検収:部分稼働できる成果物と、未達時の扱いを契約・計画に合わせた取り決め。

「契約期限を通知する」と書くなら、対象、時期、宛先を定義します。休日や再通知、未達記録も含めます。そこが曖昧なままだと、完成を判断できません。

固定価格に見える見積でも、前提に含まれない連携やデータクレンジングが加われば、総額は変わります。

変更・再委託・データ返却の契約上の扱い

会社・担当者・口座情報、契約書、機密情報を扱うため、再委託先の範囲と管理方法を確かめます。評価や発注履歴を含め、契約にはアクセス対象、利用目的、保存期間を入れます。事故連絡や調査協力、返却・消去時期も、あわせて定めます。

個人情報を含むなら、個人情報保護委員会のガイドラインと社内規程を照らし合わせ、法務や情報セキュリティの審査を受けます。

法令や業務の変更に備えて、定例会や課題の優先順位、追加開発の見積、リリース影響確認、終了時の引き継ぎを決めておきます。納品物には、API仕様やデータ辞書、運用手順のほか、テストコードや構成情報も含めます。

ベンダー管理システムの費用相場の目安

費用は、取引先数や社内利用者数、業務範囲によって変わります。既存連携やポータル、移行、セキュリティ、導入支援も費用に関わります。そのため、専用製品に共通する公的な一律価格はありません。

以下の金額は、業務システム調査と周辺サービスの公開価格をもとにした、予算検討用の推定レンジです。RFP前に使う目安で、実際の発注額を示すものではありません(出典:NotebookLMリサーチノート「ベンダー管理システム」、2026年)。

標準SaaSの推定レンジ(初期0万〜100万円、月額5万〜30万円程度)

標準機能で台帳や申請・承認、契約期限、基本評価を扱うSaaSの推定レンジは、初期費用が0万〜100万円です。月額は5万〜30万円程度が目安です。

たとえば、取引先数や利用者数が少なく、連携をCSV程度に抑える場合は、下限に近づきます。

ポータルやSSO、API、複雑な権限、導入教育を加えると、費用は上がります。ただし、これは専用SaaSの標準価格ではありません。そのため、候補サービスの料金表と照らし合わせます。

パッケージ・連携の推定レンジ(300万〜1,500万円程度)

パッケージの初期費用は、設定や連携、移行、ポータル、教育をどこまで含むかで見込みが変わります。

  • 推定レンジ:設定や連携、移行、ポータル、教育を含む場合、初期300万〜1,500万円程度です。
  • 公開例:スマクラは初期500万円〜、月額20万円〜です。

SCSKは2026年1月、製造業向け「スマクラ」の新機能を公表しました。見積依頼や督促、履歴、CO2データ収集、取適法対応などを含むサービスです(出典:SCSK「製造業の見積効率化とCO₂排出量データの収集一元化を『スマクラ』で実現」、2026年1月29日)。これは全般の相場を示すものではなく、連携や法令対応を含む価格構造の参考例です。

個別開発の推定レンジ(1,000万〜3,000万円程度から複数千万円まで)

個別開発は、対象範囲によって費用と期間の幅が大きくなります。

  • 開発費:1,000万〜3,000万円程度が推定レンジです。
  • 大規模化:複数会社、多言語、大量取引先、高可用性、ポータルを含むと、数千万円規模になることもあります。
  • 導入期間:標準1〜3か月、連携付きパッケージ3〜6か月、個別開発6〜12か月以上が目安です。

期間は要件定義と移行の難易度で変わります。なお、ASPITは発注・買掛管理などを含む飲食店向けプランを、2025年9月時点で月額1,800円/店舗から掲載しています。これはベンダー管理専用システムの価格ではありません(出典:ASPIT「料金」、2025年9月時点)。

公開例では、対象業務と課金単位を確かめます。そのうえで、取引先数や管理者数、ポータル利用者、APIを分けて見積もります。容量や移行、教育、保守、監査も、別々に見積もります。

ポイント

まず、取引先数や業務範囲から、標準SaaS、パッケージ、個別開発のどれに近いかを見ます。金額は推定レンジなので、RFP前の予算検討に使います。

委託先の選び方と見積比較で確認する項目

委託先は、業務理解や取引先を巻き込む導入力を、同じ条件で比べます。連携やセキュリティ、保守、変更対応も、同じ基準で確かめます。

SaaS、パッケージ、SI、個別開発では得意領域が異なるため、RFPに合う候補に、同じシナリオで提案を依頼します。

実績の確認観点:社名より業務と成果

実績は、業務の近さと導入後の成果が分かる観点で確かめます。

  • 導入実績:対象業界、取引先数、拠点、業務、連携先、期間、移行件数、稼働後の支援、改善KPIを尋ねる項目。
  • IT外注管理:案件、要員、権限、成果物の管理例。
  • 仕入先管理:見積から評価までの一連の例。

NTTデータのFEDIは、アパレル業界の取引情報を標準化し、API連携とポータルを提供します。一方で、SAP Ariba Supplier Managementは、審査や実績、リスク、セルフサービスを掲げ、SAP ERPとの同期も示しています。

FEDIとSAP Ariba Supplier Managementの例は、自社への採用を示すものではなく、業界EDIかグローバルなライフサイクル管理かを比べるための公式例です(出典:NTTデータ「FEDIエコシステム」、2026年確認/SAPジャパン公式情報、2026年確認)。

見積の前提条件と追加費用をそろえた比較

見積比較では、費目、価格の前提、契約後の対応範囲をそろえます。

  • 初期費用:要件定義、設計、設定、開発、テスト、移行、教育、管理、出張、予備費の区分。
  • 運用費:保守、ライセンス、クラウド、API、セキュリティ費用の区分。
  • 見積前提:取引先・利用者・連携数、容量、件数、拠点、ブラウザの条件。
  • 契約・評価:開発範囲、課金、障害対応、返却、再委託、提案の不明点。

総額だけを見ると、移行や教育がどこまで含まれているかの差が分かりません。そのため、安い提案に発注した後で差額が生じることがあります。

標準機能と個別開発の境界や、アップデートの影響も確かめます。加えて、月額課金の増え方や追加API単価、保守対象外、解約時の返却も確認します。

回答漏れや「要相談」、過度に低い工数は注意点です。責任者不在やデモと提案書の不一致にも注意が要ります。

法令と委託先セキュリティの評価

法令の適用と委託先の安全対策を、選定と契約の両方で確かめます。

  • 取適法:2026年1月1日に下請法から移行しました。
  • 適用確認:対象に当たるかを、法務・調達部門で確認。
  • 委託先対策:質問票、証跡、脆弱性対応、事故連絡、権限、再委託管理の評価。
  • SCS評価制度:提案と実施状況の確認への活用。

公正取引委員会は、価格協議を拒む一方的な決定や、手形払いの禁止、支払手段の適正化を改正点として示しています(出典:公正取引委員会「取適法・振興法」、2026年)。そのため、発注や契約、支払の記録を残します。

適用対象は、取引内容や資本金・従業員規模、委託関係などで判断します。委託先への攻撃が情報漏えいや事業停止につながる場合は、セキュリティ対策を選定条件にします。

IPAのSCS評価制度は、2社間契約で委託元が委託先に適切な対策段階を示し、実施状況を確かめる考え方です(出典:IPA「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度」、2026年4月公開・7月更新)。そのうえで、セキュリティ費も含めて比べます。

ベンダー管理システムの発注・外注でよくある質問

発注方法は、対象業務や既存システムによって変わります。費用や進め方、法令対応の質問を並べます。

ベンダー管理システムはパッケージとスクラッチのどちらがよいですか?

標準化できる台帳や申請、期限、基本評価は、SaaSやパッケージを優先します。独自審査やポータル、連携だけを拡張すると、比べる項目が絞れます。

既製品に合わせる損失が大きい場合は、スクラッチを検討します。その際は、保守人材や将来の変更費用も含めて判断します。

何社から見積もりを取ればよいですか?

社数を先に決めつけず、SaaS、パッケージ導入、SI・個別開発など、自社の選択肢を比べられる候補を複数社選びます。同じRFPと業務シナリオ、データ件数で、各社に依頼します。

そのうえで、適合度や初期費用、月額・保守、期間を比べます。さらに、移行や教育、セキュリティ、体制も確かめます。実績と対応範囲を見て、依頼先を絞ります。

取適法はベンダー管理システムの発注に関係しますか?

関係する可能性はあります。ただし、すべてのIT開発や外注に一律で適用されるとは限りません。取引内容や事業者の関係、規模要件、発注時期を、法務や調達で確かめます。

発注内容や価格協議、支払、検収、変更履歴は、記録として残します。なお、この記事は法的助言ではないため、適用や契約文言は公正取引委員会の最新情報と専門家に確かめます。

小規模な台帳管理から始めても問題ありませんか?

問題ありません。部門や取引先を絞ったうえで、効果と利用頻度の高い機能から始めます。候補は、台帳や登録申請、期限通知、評価、監査ログなどです。

入力率や期限対応率、審査日数を確認します。重複数や問い合わせ数も、あわせて見ておきます。

取引先が使えることを確かめたら、発注、検収、会計連携へ広げます。そうすると、予算と現場負担を管理しやすくなります。

まとめ

まず、IT外注先、仕入先・業務委託先、または両方のどれを管理するかを決めます。そのうえで、登録から更新・終了までの流れを、審査、契約、発注、検収の順に整理します。

標準化できる業務はSaaS、連携はパッケージ・SI、独自業務は個別開発

発注形態と費用は、標準化の範囲や既存システムとの連携で判断します。

  • 標準SaaS:短期の標準化に向き、初期0万〜100万円、月額5万〜30万円程度です。
  • パッケージ・SI:既存ERPや会計との連携を要する場合で、300万〜1,500万円程度です。
  • 個別開発:独自審査や取引先ポータルが競争力になる場合に検討し、1,000万〜3,000万円程度から数千万円まで広がります。
  • 見積比較:取引先数、利用者数、API、移行、教育、保守、セキュリティの区分。

各金額は推定レンジであり、専用製品の定価ではありません。

RFP・契約・見積を同じ基準でそろえる考え方

委託先の提案、契約条件、運用要件を、同じ基準で確かめます。

  • 提案比較:同じ業務シナリオとデータ件数での依頼、標準機能と個別開発の境界。
  • 契約条件:成果物、検収、変更、再委託、データ返却、保守。
  • 法令・安全対策:取適法とIPAの考え方を、関係部門と検討して要件や契約に反映する。
  • 運用目標:取引先が入力でき、社内で承認・監査し、運用で改善できる状態。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。