Visual Basicのシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

Visual Basicのシステム開発費用は、既存資産の量と移行・再構築といった方式によって変わります。帳票や外部連携の範囲によって、300万〜5,000万円以上と幅があります。

▼全体ガイドの記事
・Visual Basicのシステム開発の完全ガイド

Visual Basicのシステム開発費用を左右する全体像

Visual Basicといっても、VB6.0・VB.NET・Excel VBA・Access VBAでは開発環境や実行方式が違います。DB接続や64bit対応、Web化の難しさも、対象によって異なります。そのため、算定の前に対象と残す資産、再構築する業務を決めておく必要があります。

VB6・VB.NET・VBAの対象範囲による違い

対象の言語によって移行時の確認事項が異なるため、移行の見積もりに入る資産の範囲も変わります。

  • VB6:販売・生産・在庫管理や受発注、帳票、計測・検査などで使われてきた資産です。
  • VB.NET移行:VB6のソースを置き換えるだけで終わるものではありません。
  • VBA:ExcelやAccessのブック、フォーム、クエリ、マクロも対象です。

VB6からVB.NETへ移行するときは、ActiveXやOCX、Win32 APIなどの旧部品が残っていないかを調べます。古いデータアクセス方式や帳票部品も含めて洗い出し、変換後の手修正とテストを見積もります。VBAでは、参照設定と利用者の手作業も確認が必要です。

移行・再構築・パッケージの選択と予算の幅

予算と将来の使い方を比べるには、現行維持、Web化、標準機能への適合の3つの観点で方式を並べて見ます。

  • 現行維持:VB.NET移行や、既存資産を使った基盤の更改を検討します。
  • Web化:C#を含むWebアプリとして再構築する選択肢があります。
  • 標準機能の活用:パッケージやSaaSが候補になります。

販売管理や会計などの標準的な業務に合わせられるなら、パッケージやSaaSへの乗り換えで初期費用を抑えられることもあります。

Microsoftは、Visual Basicを安定した設計の維持と.NETランタイム・ライブラリの利用を軸にしています。新しいワークロードの中心に据えて言語を拡張する方針ではありません(出典:Microsoft Learn「Visual Basic language strategy」)。

現行のWindows Formsを保守するか、将来のWeb化を優先するかは、5年程度の保守性も含めて比べます。

Visual Basicのシステム開発費用の相場

Visual Basicの既存資産移行費用を、小規模・中規模・大規模の金額レンジ別に並べた横棒図。
規模が大きくなるほど、公開目安の費用帯も上がります。

VB6移行の民間目安は、小規模で300万〜800万円、中規模で800万〜2,000万円、大規模で2,000万〜5,000万円以上です。これは公的な平均ではなく、画面や業務の参考値です。同じ条件で複数社の概算を取る際の比較材料として使えます。

小規模の費用と期間の目安

画面が10〜20本程度で、帳票やデータベース連携が単純な場合、費用は300万〜800万円程度、期間は3〜6か月が目安とされています(出典:株式会社シースリーインデックス「VB6(Visual Basic 6)移行ガイド【2026年版】」)。

  • 基本工程:現状確認、変換または改修、基本的なテストまでを含む想定です。
  • 別料金の可能性:データクレンジングや端末入れ替え、教育、並行稼働は、別に見積もられることがあります。
  • 上振れ要因:複雑な計算ロジックや多い帳票、特殊なOCXがあると、費用が高くなります。
  • 見積もり条件:画面数に加えて、帳票やバッチ、外部ファイル、端末数も伝えておきます。

公開レンジは一律の価格ではないため、個別の資産構成を見積もりに反映させます。

中規模は800万〜2,000万円、大規模は5,000万円超の費用

画面30〜50本で業務ロジックを含む中規模案件は、費用が800万〜2,000万円程度、期間は6か月〜1年が公開目安です。一方で、画面100本超の大規模案件は、2,000万〜5,000万円以上、期間1〜2年以上となる可能性があります(出典:株式会社シースリーインデックス「VB6移行の費用相場」)。

  • 中規模:画面30〜50本に、業務ロジックを加えた規模です。
  • 大規模:複数業務やDBの統合、夜間バッチ、EDIや機器連携を含みます。

別の公開見積例では、VB6の300画面、30帳票、有効30万ステップを対象にしています。Oracle Database 11gと複数のサードパーティ製品も含まれます。

見積もりには、変換、手修正、ビルドエラー除去が含まれます。さらに、単体テスト、現新比較テスト、管理費も含まれ、公開見積例の合算額は約2,800万〜2,900万円です(出典:FDC「Visual Basic 6.0からVB.NETへのマイグレーション・コンバージョン費用に関するよくある質問」)。

公開見積例は特定企業の例で、同じ300画面の案件すべてに当てはまる価格ではありません。

パッケージは50万〜300万円の初期費用、Web再構築の広がり

標準機能に業務を合わせられるパッケージやSaaSは、初期費用が50万〜300万円程度で、そこに月額費用が加わります。1〜3か月で導入できるという公開目安があります。ただし、独自帳票や特殊な承認を加えると、このレンジを外れることがあります。

  • 追加開発:複雑な計算や過去データ移行、API連携、利用者教育が加わると、費用が変わります。
  • 長期費用:月額料金だけでなく、5年間の利用料と追加開発費を合算して見ます。
  • Web・クラウド:要件変更の範囲によっては、新規開発に近い費用になります。

Web・クラウド再構築では、認証や権限、監査ログを組み込みます。加えて、スマートフォン対応やAPI、性能、バックアップも必要になります。

Web再構築の費用は、Visual Basic固有の公表統計ではなく、中規模業務システムの再構築規模からの推定値です。

  • 既存資産の移行:小規模から大規模まで、300万〜5,000万円以上の幅があります。
  • パッケージ・SaaS:初期費用の目安に、月額費用を加えて考えます。
  • Web再構築:新規開発に近い規模で、1,500万〜6,000万円以上となる場合があります。

レンジは規模や対象範囲で異なります。そのため、公開目安を自社の確定価格として扱わないことが大切です。

ポイント

金額の目安は、画面数や業務ロジックの量、既存資産の状態で変わります。公開されている数字は参考値なので、自社の金額は現状調査の後に確定させます。

Visual Basicのシステム開発費用の内訳

Visual Basicのシステム開発費用を、調査・設計、変換・テスト、移行・教育・保守の3層に分けた図。
初期の調査から稼働後の保守まで、見積もり範囲を追えます。

総額だけで比べると、安く見えた提案で調査やテストが抜けていることがあります。

現行資産の調査や変換・設計・実装、データ移行を分けて記載してもらうと、価格差の理由が見えてきます。テストや教育、運用保守も分けてもらうと、抜けの有無を一つずつ確かめられます。

現状調査・要件定義・移行設計の費用

現状調査では、ソースコードや実行環境に加えて、周辺の資産も洗い出します。

  • アプリ資産:ソースコードやプロジェクトファイル、実行ファイル、設定ファイルが対象です。
  • データ・帳票:データベース定義や帳票定義、OCX・DLLを含みます。
  • 運用・連携:バッチやタスクスケジューラ、外部連携、利用端末を確認します。

仕様書が不足している場合は、コードと画面操作から業務仕様を読み解くリバースエンジニアリングが必要になります。調査後に仕様が変わると後工程の手戻りが増えるため、調査費は独立した工程として確保しておく必要があります。

VB6からVB.NETへの移行設計では、自動変換する部品と手作業で直す箇所を分けておきます。同じ動きになることを確かめるテストも、この段階で定めます。

FDCの公開情報では、変換ツールの利用、エラー検証・分析、ツール改修、手作業によるコンバートを、それぞれ別の見積項目にしています。一式価格の提案では、追加費用が発生する条件を確かめる必要があります。

変換・再構築・テストの費用

変換や再構築では、修正作業と複数段階のテストの両方を見積もります。

  • 手修正:エラー、データ型、イベント、ファイル、API、DB接続の箇所を直します。
  • 業務テスト:受注から出荷、請求から入金、月次締め、在庫更新の流れを通して確かめます。
  • 帳票・現新比較:印刷結果と、旧新の件数・金額・残高・在庫を照合する作業です。

変換後も、コンパイルエラーや警告、データ型の差異が残ることがあります。イベント処理やファイル操作、API呼び出し、データベース接続の修正も必要になる場合があります。そのため、画面単位の単体テストに加えて、業務シナリオで結合テストを行います。

帳票では、印刷位置や改ページ、バーコード、税率表示、PDF化に加えて、プリンターやドライバーの違いも確認します。現新比較テストを見積もっておくと、切り替え後の不具合を減らせます。

ケイケンシステムの公開事例では、240画面と45機能のバッチ・帳票を対象に、分析・設計から変換、単体テスト、結合テストまでを行っています。

データ移行・教育・運用保守の費用

移行後の費用も見通せるよう、データ対応から運用保守までを洗い出します。

  • データ移行:対象期間と不要データ、コード変換を決めます。名寄せや欠損値の扱い、リハーサル、照合も含みます。
  • 利用者支援:教育や操作マニュアル、問い合わせ窓口、切り替え当日の支援が含まれます。
  • 運用保守:監視、バックアップ、障害対応、更新、保守契約の費用を見積もります。

過去データをすべて移すか、参照用にアーカイブするかでも、費用は変わります。また、データ量が多いほど費用が高くなるとは限りません。現行データの品質と変換ルールの複雑さが、工数を左右します。

運用開始後は、脆弱性修正やOS・ミドルウェアの更新、保守契約の費用も発生します。そのため、初期費用だけでなく、月額費用と追加改修単価を含む総保有コストで判断します。

ポイント

総額だけで比べず、調査・変換・テスト・移行・教育・保守の各工程が分けて示されているかで見積もりを判断します。工程の抜けは、安い見積もりでも後から費用を増やす原因になります。

Visual Basicのシステム費用が高くなる変動要因

Visual Basicのシステム費用に影響する、仕様書の不足、帳票・バッチ・外部連携、並行稼働・セキュリティ・法対応の3項目を並べた図。
画面以外の資産や切り替え条件も費用の見積もりに関わります。

同じ画面数でも費用が数倍になることがあります。システムは画面だけで完結せず、帳票やバッチ、データベース、周辺機器と一体で動いているためです。さらに、ファイル連携や利用者の手作業も含めて考える必要があります。

これらを見積もりの前提に明記しておけば、提案会社との認識差を小さくできます。

仕様書がないブラックボックス状態の調査費

仕様書やテスト仕様書がないと、調査項目が増えます。担当者しか知らない業務も、費用に影響します。

  • 調査作業:ヒアリングやコード解析、画面記録、データ項目の確認が必要になります。
  • 隠れた仕様:例外処理や締め処理、決まった順番での入力運用などが含まれます。
  • 予算への影響:リバースエンジニアリングが加わり、調査工数が増えます。

シースリーインデックスの公開目安では、ブラックボックス化したシステムにリバースエンジニアリングの工数が加わります。その結果、費用は1.3〜1.5倍程度増える傾向とされています。

資産の確認を十分にしないまま開発を進めると、後から画面や帳票が追加され、予算と納期が膨らむ可能性があります。

全機能を完璧に文書化する必要はありません。主要な業務フローと複雑な処理を一覧にし、未確認の部分はリスクとして見積もりに残す方が現実的です。

帳票・バッチ・外部連携による手修正とテスト

画面以外の資産や連携も含めて見積もると、必要な手修正とテストを把握できます。

  • 業務処理:帳票や夜間バッチ、在庫計算、締め処理が対象です。
  • 外部連携:EDIや会計・ERP、計測機器、共有フォルダー、メールとの連携です。
  • 旧部品:ActiveXや独自OCX、古い印刷部品、32bit前提のDLLが該当します。

旧部品が残る場合は、代替部品の選定や手作業の実装が必要になります。変換ツールの範囲を超えるためです。

ケイケンシステムの公開事例は、VB6.0とCOBOLによる生産管理システムが対象です。240画面と45のバッチ・帳票機能を、4か月・30人月でVB.NETへ移行しました(出典:株式会社ケイケンシステム「Visual Basic マイグレーション」)。この事例から分かるように、期間は画面以外の整理と単体・結合テストも含めて考える必要があります。

並行稼働・セキュリティ・法対応の費用

停止時間と情報管理の要件を先に決めておくと、必要な切り替え作業を見積もれます。

  • 並行稼働:データ照合と切り替え条件、切り戻し手順の準備が必要です。
  • セキュリティ:認証や権限、保護、ログ、バックアップ、復旧を要件として定めます。
  • 法・監査対応:保存や改ざん防止、検索性、ログの扱いを確認します。

拠点数や利用者数が多いほど、教育や問い合わせ、端末設定、移行リハーサルの工数が増えます。休日の切り替えや現場立ち会い、緊急時の待機を含めるかどうかも確認します。

個人情報や取引情報を扱う場合は、利用者認証と最小権限を設けます。そのうえで、管理者権限の分離や通信・保存データの保護、操作ログも要件に入れます。さらに、バックアップや復旧テスト、脆弱性対応、委託先アクセス管理も含めます。

インボイス制度や電子帳簿保存法、業界固有の監査要件も対象になります。セキュリティを後から付け足すと再設計費が発生しやすいため、最初のRFPに記載しておきます。

ポイント

同じ画面数でも費用が変わるため、仕様書の有無や帳票・バッチ・外部連携の量を比べて判断します。画面以外の資産を見積もりの前提に明記しておくと、提案会社との認識差を減らせます。

Visual Basicのシステム開発・移行の進め方

費用を確定させるには、全面移行をいきなり発注せず、段階を踏んで進めます。現状把握、方式比較、複雑な部分の検証、本番移行、運用設計の順です。

段階を区切っておくと、想定外の部品や業務ルールが見つかったときに、全体計画を見直せます。

現行資産と業務の棚卸し

棚卸しでは、システム資産と、仕様書に載っていない業務の両方を洗い出します。

  • 資産:コードの保管場所とビルド手順、実行環境です。DB、帳票、バッチ、連携も含みます。
  • 運用情報:端末やライセンス、障害履歴、月末・年度末の作業を把握します。
  • 現場の例外:補正入力やExcelでの後処理、仕様書にない処理が含まれます。

担当者への聞き取りを行うと、仕様書にない例外処理や、手入力で補正しているデータも見つかります。

成果物には、画面一覧に加えて、機能と業務フローの対応表を含めます。帳票やバッチ、連携先、データ項目、依存コンポーネントの一覧も作ります。さらに、各機能の重要度と利用頻度も記録します。

これらがあれば、残す機能を決めやすくなります。使われていない機能まで移行せずに済むため、開発費や保守費の増加を避けられます。

代表画面と複雑帳票でのPoC

PoCでは、単純な画面だけでなく、移行の難度が高い資産を一つずつ試します。

  • 対象資産:複雑な入力画面や帳票、DBアクセス、外部部品、連携処理を試します。
  • 品質確認:変換率や手修正量、印刷結果、処理時間、データ整合性を見ます。
  • 運用確認:担当者が新しい環境を保守できるかを確かめます。

PoCの費用と成果物、本番移行で再利用できるコードや設計書の範囲を契約に記載します。追加調査の単価も契約に書いておきます。

PoCの結果をもとに、VB.NET移行、C#・Web再構築、パッケージ導入を比べます。短期のOS対応と長期の業務改善は、別の案として分けて検討します。

段階移行と本番切り替え

大規模システムでは、参照機能、帳票、周辺業務、主要な登録・更新機能の順に移す方法があります。

旧システムを残して新機能をWeb化する、基幹データを先に新基盤へ移す、拠点ごとに切り替えるといった順序の中から、業務への影響が小さいものを選びます。

段階移行は期間が長くなりやすい一方で、予算を年度ごとに分けられ、障害の影響範囲も限定できます。

本番前には、データ移行のリハーサルや利用者教育を行います。加えて、バックアップと復旧、旧新の数値照合、切り戻しの判定も行います。

切り替え後は、問い合わせ窓口と保守担当を決めておきます。納品物には、ソースコードや設計書、テスト仕様書、DB定義、移行手順、障害対応手順を含めます。

移行後に保守できる人がいなければ、費用対効果は下がります。

  1. 現行資産と業務を洗い出す。
  2. 代表画面や複雑な帳票でPoCを行い、移行方式を比べる。
  3. 段階移行と本番切り替えを計画し、運用へ引き継ぐ。

Visual Basicのシステム開発費用を抑えるポイント

費用を下げる基本は、値引き交渉より、対象範囲とリスクを整理して作らなくてよいものを減らすことです。業務の重要度と利用実績から優先順位を付け、不要な処理や古い運用を新環境に持ち込まないようにします。

既存資産の再利用と対象機能の絞り込み

改修範囲を抑えるには、既存資産の再利用と業務の見直しを合わせて進めます。

  • 再利用候補:画面や業務ロジック、DB構造、帳票が対象です。
  • 部品更新:業務ルールは保ったまま、古い部品を置き換えます。
  • 対象の整理:低頻度の帳票や重複マスタ、過去データを見直します。

NTTデータビジネスシステムズの公開事例は、VB6の販売管理システムが対象です。既存資産を再利用してDBを更新し、標準のユーザー・権限管理も組み合わせています。

開発費は新規開発に比べて30%削減とされています。ただし、この削減率を自社にそのまま当てはめることはできません。資産の品質や現行DBの状態、Web化の範囲、標準機能の適合度によって、結果は変わります。

標準機能と自動変換の活用と手作業の範囲管理

費用を抑えるには、自動変換と標準機能の適用範囲を、品質の面から見極める必要があります。

  • 自動変換・標準機能:適切に使えば、手作業を減らせます。
  • 変換品質:変換率だけを追うと、読みにくいコードや不要な互換処理、テストしにくい構造が残ることがあります。
  • 品質確認:代表画面や帳票で試し、手修正や部品置換、テストの工数を見積もります。
  • 独自仕様:パッケージやSaaSに独自仕様を追加するほど、新規開発に近い費用になります。
  • 機能の切り分け:標準機能に合わせる部分と、残す独自機能を分けて、追加開発を抑えます。

見積もりでは、ライセンスや初期設定、データ移行、帳票、連携を個別に分けます。さらに、教育や月額利用料、契約更新費も別々に示してもらいます。

段階移行による予算と業務リスクの分散

全社一括で刷新する予算が取れない場合は、資産調査とPoC、優先度の高い業務、周辺機能の順に契約を分けます。資産一覧やテスト仕様を次の工程へ引き継げば、同じ調査を繰り返す費用を抑えられます。

各段階には、完了条件と、次の工程へ進まないと判断する基準を設けます。VB6を短期的に延命する場合も、OS・ミドルウェアの検証やバックアップ、障害時の復旧、ソースコードの保管、保守担当者の確保が必要です。

VB6の開発環境はサポートが終了しています。動いていることと、将来も安全に開発・保守できることは別の問題です。そのため、延命費用と移行調査への投資を、障害時の損失や担当者の退職リスクと合わせて判断します。

Visual Basicのシステムで見積もりを取る際のポイント

複数社の見積もりは金額だけでなく、同じ前提条件で比較できるかを確認します。「移行」という一式に、調査や手修正、テスト、データ移行が含まれるかを明確にします。教育や並行稼働、保守も含むかを、あわせて確かめます。

同じRFPによる機能と資産の数値のそろえ方

RFPには、システム規模と移行条件を比べられる情報を記載します。

  • 資産規模:対象言語・版、画面、帳票、バッチの数を示します。コード量、DB、外部連携も含みます。
  • 利用条件:利用者や拠点の数、データ期間、希望時期、停止可能な時間です。
  • 提案比較:移行方式や成果物、体制、前提を並べて見ます。除外範囲やリスク、支払い条件も同じ形式で比べます。

仕様書の有無や現行の障害、手作業のほか、残したい操作と改善したい業務も伝えます。情報が不足している場合は、調査の見積もりと本開発の見積もりを分けて依頼します。

会社ごとに、VB6・VB.NET・VBAへの対応範囲や、変換後の手修正と品質検証、帳票・バッチ・外部連携の実績を確認します。同じ形式の提案書を依頼すると、価格差の理由を比べられます。

見積項目と追加費用の条件

見積もりの抜けを防ぐには、費用を工程ごとに分けて比べることが欠かせません。

  • 調査・開発:現状調査、要件定義、移行設計、変換、手修正。
  • 移行・検証:画面・帳票・バッチのテスト、データ移行、並行稼働。
  • 導入・運用:インフラ、セキュリティ、教育、リリース支援、保守。

作業単価だけでなく、想定人月や画面・帳票の追加単価、調査後に再見積もりとなる条件も書面で確認します。固定価格の契約でも、仕様書にない処理やサードパーティ部品の互換性の問題が判明した場合の扱いは、事前に決めておきます。

データ品質やOS・ミドルウェアの制約も、追加費用の要因になります。そのため、判断する人、合意に使う成果物、予算を超えたときに削る範囲を契約に残しておきます。

移行後の保守体制と引き継ぎ

引き継ぎと保守の条件を確かめて、移行後の運用費用も見通しておきます。

  • 納品物:コードや設計書、テスト仕様、DB定義を含みます。変換ルールや手順、障害履歴も対象です。
  • 保守条件:月額の範囲や問い合わせ時間、障害の優先度、復旧目標、改修単価を決めます。
  • 技術体制:VB.NETやC#、Web、DB、クラウド、セキュリティの経験を確認します。

移行後に保守できる担当者がいないと、障害対応や改修で別の費用が発生します。そのため、納品物は自社でも第三者でも引き継げる状態にしておきます。

自社の目的が現行操作の維持か、Web化や業務改善か、パッケージ導入かを明確にし、それに合った会社を選ぶことが費用対効果につながります。

ポイント

見積もりは金額の大小より先に、同じ前提条件で比べられるかで判断します。前提がそろっていない見積もりは、価格差の理由も分かりにくくなります。

Visual Basicのシステム費用に関するよくある質問

移行するか延命するか、どの技術へ移るかは、費用と同じくらい大事な判断です。よくある疑問と、その判断の軸を順に見ていきます。

VB6からVB.NETへの移行費用は一律で決まりますか?

費用は、画面数や帳票・バッチ数、ソースコード量、外部部品によって変わります。さらに、データベースや仕様書の有無、手修正とテストの量も関係します。

公開されている目安は、小規模で300万〜800万円、中規模で800万〜2,000万円、大規模で2,000万〜5,000万円以上です。自社の金額を知るには、現状調査と代表資産のPoCを行ってから見積もりを確定させます。

VB6で動いているなら移行しなくてもよいですか?

すぐに全面刷新する必要はありません。ただし、実行できることと安全に保守できることは別です。

VB6の開発環境はサポートが終了しており、OSやミドルウェアの更新、担当者の退職、部品の入手困難、脆弱性対応がリスクになります。

延命する場合も、資産の洗い出しや復旧手順、保守人材、移行候補のPoCを準備します。移行時期を先送りする理由は、はっきりさせておきます。

Visual Basicのシステムをクラウド化すると費用は安くなりますか?

クラウド化で費用が下がるかどうかは、進め方によって変わります。既存資産を仮想環境で延命するか、Webアプリとして再構築するか、データベースや認証をクラウドサービスへ移すかで、初期費用と月額費用が違ってきます。

クラウド化で運用の負担を減らせる一方で、ネットワークやバックアップ、監視、ライセンス、セキュリティ設計の費用が加わります。初期費用と5年分の運用費を合算して比べます。

見積もり前に何を準備すればよいですか?

まず、ソースコードと実行環境を準備します。そのうえで、画面・帳票・バッチの一覧、データベース、外部連携の情報をそろえます。加えて、利用者数や拠点数、障害履歴を伝えます。さらに、月次・年次の重要処理と希望時期も示します。

仕様書がなくても、現場担当者と業務フローやサンプル帳票を用意すれば調査を始められます。残したい操作と改善したい業務を分けて伝えると、移行案と再構築案を比べやすくなります。

まとめ

公開されている目安は、小規模で300万〜800万円、中規模で800万〜2,000万円、大規模で2,000万〜5,000万円以上です。

パッケージやSaaSは、初期費用が50万〜300万円程度からのこともあります。ただし、月額費用や追加開発、データ移行、教育を含めた総額で比べます。

画面数だけでなく業務全体で見る費用

仕様書の有無や、ソースコードと部品の複雑さ、帳票・バッチ・外部連携が費用を左右します。加えて、データクレンジングや並行稼働、セキュリティ、教育、移行後の保守も関わります。

安い一式見積を選ぶ前に、含まれる工程と除外範囲、追加費用が発生する条件を確かめます。

資産棚卸しと複雑な部分のPoCからの開始

まずは資産を洗い出し、代表資産を使ってPoCを実施します。

  • PoC対象:代表画面や複雑な帳票、データベース、外部連携を選びます。
  • 方式比較:VB.NET移行やC#・Web再構築、パッケージ導入、段階移行を比べます。

PoCの結果を同じ条件で比べたうえで、業務を止めずに進められる予算とロードマップを決めます。これは、Visual Basicのシステムを長く使うための現実的な進め方です。

▼全体ガイドの記事
・Visual Basicのシステム開発の完全ガイド

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。