WebSphereのシステム開発費は、現行資産、移行先、可用性要件によって変わります。目安は、現状診断や移行アセスメントだけなら100万〜300万円、多重化やDRを含む大規模な基幹系なら3,000万〜1.5億円以上です。
▼全体ガイドの記事
・WebSphereのシステム開発の完全ガイド
Webサービス開発の費用の考え方や見積もりの注意点については、無料ホワイトペーパー「Webサービス開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
WebSphereのシステムの概要
WebSphereのシステムは、主にIBM WebSphere Application Serverを実行基盤にして、Java業務アプリケーションを動かす企業向けのシステムです。このシステムは、利用者の画面や業務ロジック、データベース、外部サービス、認証、監視をつなぎ、業務処理を安定して実行します。
そのため、費用はWAS単体の製品価格ではなく、アプリケーションと周辺基盤を含むシステム全体で考える必要があります。
業務アプリではなく実行基盤というWASの位置づけ
WASは業務アプリそのものではなく、Javaアプリを動かす土台です。そのため、WASが担う役割と、別途設計が要る範囲を分けて押さえます。
- アプリ実行:WAR・EAR形式のJavaアプリを配備します。
- 基盤機能:トランザクション、接続プール、セッションを支えます。認証・認可やTLS、クラスター、監視も担います。
- 基盤の範囲:WASは、業務画面やデータ項目を自動で用意するパッケージではありません。
- 別途設計:販売管理の新設では、業務要件、画面、DBを設計します。帳票、バッチ、APIも設計対象になります。
IBMは、WASをJavaサーバー実行環境と説明しており、オンプレミスやVM、コンテナのほか、クラウドやハイブリッド環境でもアプリを動かすとしています(出典: IBM「WebSphere Application Server」、2026年閲覧)。
WASの位置づけを押さえないまま導入費だけを比べると、アプリ改修や周辺連携の費用が後から加わることがあります。
traditional WAS・Liberty・Open Libertyの違い
実行環境は方式ごとに特徴が異なり、選ぶ際に確認する点も変わります。
- traditional WAS:Java EE業務システム向けのフル機能型です。
- Liberty:必要な機能を選ぶ軽量ランタイムです。コンテナやKubernetes、CI/CDと組み合わせやすい環境です。
- Open Liberty:オープンソースを基盤とし、商用サポートや互換性を確認します。Java EE・Jakarta EE機能、運用責任も確認対象です。
traditional WASでは、フル機能に依存する既存の業務システムをそのまま残せるかを確認します。構成は、Baseが単一サーバーに近い形で始めやすいです。一方、Network Deploymentはクラスター、集中管理、高可用性を組みやすい製品です。どの構成にするかは、ユーザー数や障害時の切替、拠点数に応じて選びます。
Libertyを選ぶ場合は、既存アプリが使う機能やAPIがLiberty側でそろうかを先に確認します。
Libertyには、traditional WASの全機能やAPIがそのまま含まれるとは限りません(出典: IBM「Configuration differences between WebSphere Application Server traditional and Liberty」、2026年閲覧)。
WebSphereの開発費用相場

国内の標準価格表は公開されておらず、金額も契約額を保証するものではありません。リサーチノートの業務システム相場に、WebSphere固有の基盤と移行工数を加えた、初期検討用の推定です。
ライセンスやクラウド、機器の扱いによって、同じ規模でも総額は変わります。データ移行や24時間運用も、どこまで含めるかで金額が変わります。
規模別の開発費用と期間の目安
現状診断や移行アセスメントだけなら、100万〜300万円、4〜8週間程度が初期仮説です。
調査対象は、アプリ一覧、Java版、WAS設定、JNDI、JMSです。DBや外部API、証明書も含まれ、性能や脆弱性、運用手順まで対象になります。
診断では、traditional WASを継続するか、Libertyやクラウドへ移るかも整理します。
- 小規模:環境構築と、単純な業務アプリ1〜数本の対応で、300万〜700万円、3〜6か月程度です。
- 中規模:複数業務やDB、MQ、外部APIを扱う場合は、1,000万〜3,000万円、6〜12か月程度です。権限やデータ移行も含みます。
- 大規模:多重化、DR、性能限界試験、監査、段階切替を求める基幹系は、3,000万〜1.5億円以上、9〜24か月の可能性があります。
これらは要件と体制から推定したレンジです。実際の契約額は、RFPと現行資産の調査結果で確定します。
ライセンスとインフラの別枠での扱い
IBMのWebSphere Hybrid Edition価格ページには、Standard subscriptionの参考価格があります。
- 表示価格:「Starting at USD 759.00」と表示されています。
- 構成例:1 VPCのWAS Network Deployment、4 VPCのWAS Base、8 VPCのLiberty Coreです。
- 機械換算:1ドル150円なら約11.4万円ですが、為替換算にすぎません。
価格は国や税、提供条件、地域によって変わります。そのため、日本の年額や総額とは断定できません(出典: IBM「WebSphere Hybrid Edition – Pricing」、2026年閲覧)。
換算額には契約期間や課金単位、サポート、製品版、日本向けの販売条件が入っていません。
CPUやメモリ、OS、DBは、別途の費用です。ロードバランサーやストレージ、バックアップ、監視も、別に費用がかかります。さらに、ネットワークやログ保管、転送量も別費用になります。
見積書では、ライセンス、クラウド・機器、構築、アプリ改修、保守を分けて示してもらいます。
費用の内訳(人件費・基盤費・保守費)
見積もりでは、人件費、基盤費、保守費を分けて見ます。
- 人件費:PMやアーキテクト、WAS基盤SE、Java開発者の工数です。クラウド担当やテスター、運用担当も含みます。
- 基盤費:WAS・LibertyやJava・OSサポート、クラウド・機器が対象です。DB・MQや認証、監視、バックアップ、セキュリティ製品も含みます。
- 保守費:脆弱性・パッチ対応、障害一次対応、性能監視、問い合わせ、定期報告、OS・Java更新を含む費用です。
人件費は開発費の60〜80%程度という整理がありますが、契約形態と工程配分によって変わります。
要件定義、設計、実装、テストの工数比率に加えて、移行診断、リハーサル、切り戻し設計も独立した項目にすると、追加費用を把握しやすくなります。
保守は初期開発費の年15〜25%程度と仮置きできます。ただし、24時間365日対応やSLA、オンサイト対応があると、この上限を超えることがあります。
WebSphereの開発費用が変動する要因

費用差の中心は、製品名よりも既存資産の複雑さと非機能要件です。見積もりでは、アプリ本数に加えて依存関係、連携数、ピーク負荷を共有します。停止可能時間、データ量、運用体制も、あわせて伝えます。
古いJavaと設定の互換性が工数に与える影響
移行工数は、既存アプリと移行先の互換性を調べてから見積もります。
- 確認対象:JNDI、JMS、データソースが対象です。認証、証明書、セッションも見ます。トランザクション、独自API、Java EE、ログ、バッチも含みます。
- 修正候補:差分に応じてソースコードや設定を修正します。
- 事前検証:代表アプリを調べ、小規模PoCの後に本見積もりへ進みます。
EAR・WARの再配備だけで移行が終わるとは限りません。ソースが不足していたり、属人化した手作業が残っていたりすると、調査や再現検証の費用が増えます。
Libertyは軽量で、コンテナとも組み合わせやすい一方、traditional WASの機能をすべて使えるとは限りません。
IBMの公式ドキュメントも、セキュリティを含む一部の機能やAPIは、サポート範囲が異なると説明しています。
可用性・セキュリティ要件による構成の違い
可用性と情報管理の要件を先に示すと、構成と試験範囲を決めやすいです。
- 稼働条件:単一サーバーの業務時間稼働か、複数ノードの24時間365日稼働かを決めます。
- 高可用性:ロードバランサーやクラスター、セッション、共有ストレージを用意します。監視やバックアップ、DR、切替、復旧訓練も含みます。
- セキュリティ:認証・認可や管理画面の分離、TLSを押さえます。秘密情報、監査ログ、脆弱性対応、バックアップ暗号化も含みます。
RTOやRPO、許容停止時間、同時接続数を数値で示すと、過剰な構成を避けられます。
個人情報保護委員会のガイドラインは、アクセス制御、識別・認証、不正アクセス防止を示しています(出典: 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」、2026年閲覧)。
要件定義の後からセキュリティを加えると、設計変更と再試験が生じやすいです。
DB・MQ・外部連携とデータ移行による費用の膨らみ
連携先と移行データの確認範囲を明らかにし、見積もりに反映します。
- 接続先:DBやIBM MQ、認証基盤、基幹ホストが対象です。外部API、帳票、ファイル転送も含みます。
- 連携試験:接続方式やタイムアウト、再試行、重複送信を試します。文字コードや証明書、障害時の再処理も対象です。
- データ照合:テーブル件数だけでなく、合計や日付・タイムゾーン、文字コードを照合します。重複、欠損、整合性、再送、監査証跡まで見ます。
「外部連携一式」だと、APIやキューの本数が分からないため、接続先一覧を見積もりに添えます。
データ移行では、リハーサルと切り戻しも行います。停止できない業務では、並行稼働や段階切替が必要になり、費用と期間が上振れしやすくなります。
見積もりに含める費用の内訳

作業範囲と前提条件を分けておくと、見積もりを比べられます。「環境構築一式」や「移行一式」「保守一式」では判断しにくいため、作業は一つずつ項目にします。調査、設計、構築、アプリ対応を分けます。テストや移行、教育、保守も、それぞれ項目にします。
現状診断・アセスメント費用を独立した項目に
診断では、調査対象と成果物を決めたうえで、見積もりに含まれる作業を確認します。調査対象には、アプリやEAR・WAR、フレームワークも含みます。JNDI、JMS、DB、外部接続も調べます。
- 調査対象:WAS版、Fix Pack、Java SDK、OSが対象です。
- 運用資産:証明書、監視、バックアップ、ソース、設定、運用手順も確認します。
- 成果物:互換性リスク、移行候補、追加調査、概算工数、優先順位、PoC計画。
これらが、100万〜300万円程度のアセスメント費用に含まれるかを確認します。
情報が不足しているなら、安い概算より先に調査を契約するほうが安全です。たとえば、未使用に見えるキューや証明書も、本番では必要な場合があります。
診断を省くと、本開発で依存関係が判明し、追加費用や納期遅延につながります。
設計・環境構築・アプリ改修の内訳
基盤設計とアプリ改修の対象を分けて見積もります。
- 基盤設計:ネットワーク、ロードバランサー、WAS、クラスターが対象です。DB・MQや認証、ログ、監視、バックアップ、環境差分にも及びます。
- クラウド・コンテナ:イメージ、秘密情報、配備、ロールバック、脆弱性スキャン、可観測性。
- アプリ改修:設定変更、Java・API更新、画面・業務ロジックの変更を分けます。アプリ・画面・連携の単位で工数にします。
同じ手順で再構築できる設計書やIaCを成果物にすると、将来の保守費を抑えやすくなります。
改修しない範囲も明記します。ライセンス会社と開発会社が異なる場合は、製品サポートとアプリ改修について、どこまでを誰が受け持つかも記載します。
テスト・移行・リリースの費用
試験と切替の作業を分けて、初期見積もりに入る範囲をはっきりさせます。
- 試験:単体、結合、システムに加えて、性能、障害、セキュリティの試験を行います。運用リハーサルも含みます。
- WAS確認:片系停止、セッション引継ぎ、DB接続枯渇を確かめます。MQ滞留、APIタイムアウト、証明書、ログ、管理画面も対象です。
- 移行:データ変換、バックアップ、リハーサル、並行稼働、切替、切り戻し。
正常系の画面だけを見積もると、リリース前に非機能試験が追加されるため注意が必要です。
利用者への周知、運用の引継ぎ、移行後の問い合わせ窓口、初期安定化の支援も対象です。無償と決めつけず、期間と件数を設定します。
初期見積もりに含めると金額は高く見えます。ただし、予算外の作業を減らせます。
保守・サポート費の対応範囲
保守契約では、対応作業と製品ごとのサポート条件を確認します。
- 対応作業:IBM問い合わせ、Fix Pack・iFix情報、脆弱性調査が含まれます。Java・OS更新検証、監視、障害・原因調査、定例会、運用改善も対象です。
- 契約条件:脆弱性情報の影響判定までの営業日数、検証環境の準備担当、本番適用前の手順、障害調査範囲。
IBMは2025年7月、WAS 8.5.5と9.0.5に計画済みのサポート終了日がないと案内しています。
Java、OS、製品版、修正レベルごとの条件は、別途確認します(出典: IBM「WebSphere Application Server – Support FYI」、2025年7月更新)。
IBMは、traditional WASとLibertyのFix Packや継続リリースも案内しています。ただし、サポート終了日がなくても、更新は必要です。
WebSphereシステム開発の進め方
要件定義で決めることと、調査後に決めることを分けると、費用の適正化につながります。そのうえで、現行資産と業務の優先度を確認し、代表処理で移行リスクを検証してから、開発範囲を確定します。
要件定義での業務要件と非機能要件の数値化
業務要件と非機能要件を分けて数値化し、開発範囲を決めます。
- 業務要件:対象部門、利用者、画面、帳票のほか、バッチ、承認、外部連携、データ保持期間、将来拡張も確かめます。
- 非機能要件:同時接続、ピーク時間、応答、稼働時間を数値にします。RTO・RPO、監査ログ、バックアップ期間、脆弱性修正期限も含みます。
- 機能の取捨選択:現行どおり再現する機能と、廃止・簡素化する機能を分けます。
WAS構成や試験範囲を決めるには、「速い」「止まらない」を数値に置き換える必要があります。
既存の画面や帳票をすべて残すと分かりやすい一方、不要な負債も引き継ぐ可能性があります。
費用を抑えるには、必須度と利用頻度を確かめ、段階リリースに回す機能を決めます。
現行資産の棚卸しとPoC
棚卸しとPoCで、既存資産と移行リスクを見積もりに反映します。
- 資産一覧:WAS版、Fix Pack、Java、OS、アプリ、ライブラリ、DB、MQ、証明書、外部API、バッチ、運用スクリプト、監視、障害履歴。
- 情報照合:聞き取りの内容と、設定やログ、配備履歴を照合します。ソースコードやIaCの有無も確かめます。
- PoC:複雑なアプリか重要連携を一つ選びます。Liberty配備や認証、DB、MQを試し、ログ、性能、障害切替も確かめます。
情報の欠落を早く見つけるほど、追加費用を抑えやすくなります。
IBMには、Transformation AdvisorやMigration Toolkitなどの支援ツールがあります。ただし、ツールによる診断があっても、本番移行の成功は保証されません。
PoCの結果を本見積もりの前提に反映し、未検証の項目はリスクとして残します。
環境構築とアプリ対応の段階的な進め方
設計から開発環境でのアプリ対応まで、次の順で進めます。
- 開発・検証・本番の環境、ネットワーク、WASセル、クラスターを設計します。DB・MQや認証、監視、バックアップ、秘密情報、ログも含めます。
- 開発環境へ配備し、互換性修正、設定変更、データ接続、連携を進めます。
- 環境差分による確認作業を減らすため、可能な範囲で設定管理と配備を自動化します。
性能・障害・移行リハーサルとリリース
リリース前後の確認と引継ぎを、次の順で進めます。
- 業務シナリオ、連携、負荷、障害、セキュリティ、運用手順を試験します。
- 負荷試験ではピーク時のCPU、メモリ、スレッド、DB接続、MQ滞留、応答時間を見ます。
- 片系・DB停止、ネットワーク遅延、認証失敗、証明書切れを試し、検知・復旧時間を確かめます。
- バックアップ、データ変換、差分反映、切替、利用者確認、切り戻しをリハーサルします。
- 初期安定化の監視と窓口を決め、設計書、設定、手順、既知の問題、連絡先を運用チームへ渡します。
本番稼働だけでなく、運用チームが自走できる状態になった時点を、開発完了とします。
WebSphereシステムのコスト最適化のポイント
最適化とは、未使用機能、重複環境、手作業、不要データ、過剰なインスタンスを要件の範囲内で減らすことです。安い版への変更は、その一部にすぎません。初期費用と運用費を分けて、3〜5年の総保有コストを比べます。
要件に合わせたランタイムと容量の適正化
ランタイムや容量は、処理の重要度と運用条件に合わせて選びます。
- 構成:全アプリに同じWAS版や高性能サーバーが必要か確認します。
- 可用性:中核処理と停止可能な社内処理を分け、必要な環境だけクラスターやDRを採用します。
- 移行費用:Liberty・コンテナの互換性調査、商用サポート、監視、イメージ更新も含めます。
IBMのSOMPO事例は、Liberty移行後に100台以上のサーバーを少人数で管理し、CPUコアを54%、メモリを33%削減したと公表しています(出典: IBM「SOMPO Holdings」、2026年閲覧)。
これは個別の大規模事例で、全社に同じ削減率が当てはまるとは限りません。ランタイムの選択とアプリ・インフラを同時に見直す価値を示す参考です。
一括刷新ではなく段階移行
すべてのアプリを同時に移すと、テスト環境、移行担当者、切替時間、障害対応の負荷が一気に増えます。そのため、段階移行で進めます。
- 依存が少なく業務影響を抑えやすいアプリで手順と監視を確立します。
- 重要度の高いアプリへ広げ、リスクと手戻りを抑えます。
- 二重運用費が一時発生するため、旧・新環境の並行期間を事前に決めます。
既存のWASをすぐには廃止できない場合でも、棚卸しやJava更新、設定のコード化、監視の標準化は先に進められます。
移行を見送る場合は、調査結果、保守期限、脆弱性、担当者の確保を記録しておくと、再見積もりがしやすくなります。
自動化と運用標準化による継続費の抑制
環境ごとに管理画面から設定すると、担当者の工数と設定差分が増えます。そのため、手作業を減らして運用を標準化します。
- 自動化:WAS設定や配備、証明書、バックアップをスクリプト化します。監視、リリース、ロールバックも対象です。
- 運用標準:アラート、一次切り分け、エスカレーション、パッチ、障害後の振り返り、設計書更新を定めます。
- 更新管理:Fix Pack・Libertyの検証環境、本番適用手順、中止基準を用意します。
自動化には初期費用が必要ですが、多環境・多数アプリの長期運用では、作業時間とミスを減らせる可能性があります。
保守を外注する場合も、発注者が設定とログを読めると、ベンダー変更時の移行費を抑えられます。
成果物と権利の契約での確保
成果物と権利を契約書や仕様書で確保し、将来の保守や移行に備えます。
- 納品物:ソース、WAS設定、server.xml、配備手順が含まれます。IaC、試験仕様、性能結果、障害手順、ライセンス情報も対象です。
- 権利・引継ぎ:パスワード管理、所有権、利用許諾、改変・再利用範囲、第三者ライセンス。
納品物を減らすと、追加費用が生じることがあります。自社で再利用できれば、機能追加やベンダー変更時の再調査を避けられます。
開発会社と自社の担当範囲を決めたうえで、運用期間を含む総額で判断します。
WebSphereの見積もりを取る際のポイント
複数社から見積もりを取るときは、同じ前提条件を渡します。Java解析やWAS基盤、クラウド・Kubernetesの体制と実績を確認します。さらに、性能試験や移行、運用引継ぎについても見ます。
知名度や単価だけで決めず、同程度のアプリ数、利用者数、連携数、停止条件を扱った事例を聞きます。
RFPに書く現行環境と前提条件
RFPに現行環境、運用条件、比較前提を記載し、各社の条件をそろえます。
- 現行環境:WAS版、Java、OSを記載します。アプリ本数・容量、DB・MQ、外部API、利用者数も含めます。ピーク接続とデータ量も書きます。
- 運用条件:稼働・停止時間、RTO・RPO、クラウド希望、予算、希望時期、運用体制。
- 比較条件:互換性、性能、サポート、3〜5年の総額を求めます。
Liberty、Open Liberty、traditional WASを比較対象に入れます。IaaSやコンテナも含め、製品を決め打ちしません。
不明な項目は空欄にせず、「調査して確定」「提案者の仮定を明示」と記載します。ソース提供、環境アクセス、利用者側の確認担当者も前提一覧に含めると、認識違いを減らせます。
比較軸のそろえ方
初期金額だけでなく、作業範囲とリスク対応を比べます。
- 技術・運用:アセスメント、WAS・Liberty、Java EE・Jakarta EE、クラウド・OpenShift、試験、24時間運用。
- 契約・価格:成果物、脆弱性修正SLA、追加変更単価。
- リスク対応:JNDI・MQ設定差異、Liberty非対応機能、本番障害時の一次対応とIBM問い合わせ担当。
調査や移行、教育が別々だと、初期費用が安くても総額が高くなることがあります。保守やクラウド料金も別になると、さらに差が開きます。
リスクを具体的に説明できる会社は、見積もり前提も明確になりやすいです。
追加費用・契約・引き渡し条件の確認
追加費用の条件、含まれる作業、契約終了時の引渡しを確認します。
- 契約条件:仕様変更や前提逸脱時の再見積もり、納期変更を扱います。検収や瑕疵対応、保守開始日、脆弱性対応、第三者製品費用も含みます。
- 作業範囲:「一式」の内外、移行リハーサル、切り戻し、休日切替、利用者教育、初期安定化支援。
- 引渡し:ソース、設定、設計書、試験結果を渡します。運用手順、ライセンス証書、アカウント情報も対象です。
著作権や改変・再利用範囲が曖昧だと、別会社への保守移管で費用や許諾確認が生じます。見積もり額と合わせて、将来の自由度も確認します。
WebSphereのシステム開発費用に関するよくある質問
金額は現行資産と要件の調査後に決まるため、ここでの数字は、公開情報と一般的な推定レンジとして読んでください。特に、ライセンス価格の見方、Libertyへの移行効果、ソースコードの要否、保守範囲は、担当者が迷いやすい点です。
WASのライセンス価格だけ分かれば総額を出せますか?
総額を出すには、ライセンス価格以外の費用も見込む必要があります。WASはJava業務アプリの基盤なので、アプリ改修やサーバー・クラウド、DB・MQが要ります。認証と監視も必要になります。さらに、バックアップ、試験、移行、保守も見込みます。
IBMの価格表示は、国、税、提供条件、契約単位で変わるため、日本向けの見積もりを別途取得します。
Libertyへ移行すれば必ず安くなりますか?
Libertyは環境や運用を適正化できる可能性がありますが、必ず安くなるとは限りません。互換性調査、コードや設定の修正、性能・障害試験、二重運用の費用が先に発生します。
IBMのSOMPO事例の削減率は参考になりますが、異なるアプリやサーバー数、運用方式には、そのまま当てはめられません。
WebSphereの移行にソースコードは必要ですか?
多くのケースで必要です。互換性確認やJava・API修正、ビルド、試験、配備には、ソース、依存ライブラリ、設定、ビルド手順が要ります。
提供できない場合は、バイナリでの動作確認や設定の再現、ベンダーへの照会が必要となり、診断費用と移行リスクが高まる可能性があります。
保守費用には何を含めるべきですか?
保守範囲は、製品サポート、脆弱性調査、Fix Pack・iFix検証に分けて考えます。Java・OS更新と監視も含めます。さらに、障害・原因調査、定例報告、運用改善も対象になります。
受付時間や復旧目標、オンサイト対応、問い合わせ件数、対象外のアプリ改修も定めます。
年15〜25%の目安を使うときも、24時間対応やDR運用が含まれるかを確かめます。
まとめ
開発費を判断するには、WAS単価以外の費用も見る必要があります。現状診断やJava互換性、基盤構築も含めて考えます。DB・MQ・外部APIとの連携も、費用の対象です。加えて、データ移行も見込みます。性能・障害・セキュリティ試験や保守も、見積もりに入れます。
推定相場は、診断・移行アセスメント100万〜300万円、小規模構築300万〜700万円、中規模刷新1,000万〜3,000万円です。
大規模基幹系は3,000万〜1.5億円以上ですが、いずれも前提条件付きの目安です。
費用を比較するときの考え方
IBM価格は参考値として扱い、国内開発、クラウド、機器、保守を分けて確認します。
traditional WAS継続でも、Liberty・コンテナ移行でも、互換性と非機能要件を先に調べます。
障害復旧、脆弱性への継続対応、ベンダー変更時の資産移管を含め、総保有コストで評価します。
発注前に行う最初の一歩
発注前には、WAS版、Java、アプリ数、DB・MQを整理します。連携、ピーク負荷、停止時間、運用体制も書き出します。ソースや設定の所在も確かめ、複数社へアセスメントを提案依頼します。
- 作業範囲、成果物、追加費用、保守SLAを比べ、移行後にどこまでを誰が受け持つかも確かめます。
- 経験年数だけでなく、同じ複雑さの案件を運用へ引き継いだ実績を確かめます。それが、予算と品質の両立につながります。
▼全体ガイドの記事
・WebSphereのシステム開発の完全ガイド
▼見積依頼前に読みたい無料ホワイトペーパー
・Webサービス開発の完全ガイドブック
・【2026年最新版】AI駆動開発の完全ガイドブック
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>


株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
