輸出入管理システムの費用は、導入方式と、拠点や連携の範囲によって大きく変わります。初期費用は20万円程度のものから、数億円に及ぶものまで幅があります。
導入全体の流れは、下記の完全ガイドでも確認できます。
▼全体ガイドの記事
・卸売・商社向け輸出入管理システム開発の完全ガイド
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卸売・商社向け輸出入管理システムの概要

卸売・商社向け輸出入管理システムは、海外の仕入先・販売先との契約から案件別の粗利までを、案件番号でつなぐ業務システムです。
受発注や船積み、通関を中心に、在庫や請求、入金・支払も一つのシステムで扱えます。多通貨や為替差損益、三国間取引を扱えるほか、L/Cやインコタームズ、諸掛配賦、通関書類にも対応します。
案件・受発注・船積みを一つの流れで管理
案件番号を基準に、マスタ、取引の進捗、関連書類をまとめて管理します。
- マスタ:取引先・仕入先、商品、HSコード、原産国・仕向地、通貨、税率、インコタームズ、決済条件
- 案件進捗:見積・契約・受発注の登録と、受注残、納期、船積み、入出庫、未回収の確認
- 書類:Invoice、Packing List、B/L、船積依頼書、通関帳票、請求書のPDF保管
開発費をかける目的は、Excelやメール、在庫表、会計データに分かれた情報を、案件番号でつなぐことです。
書類の差し替えや承認の履歴を残し、船積みや輸出入許可番号と紐づけておくと、案件と正式版の対応を後から説明できるようになります。
案件採算と輸出管理・証憑保存
案件採算と輸出管理では、費用を案件へ配賦する範囲と、証跡を記録する範囲を決めておきます。
- 案件採算:前払金、一部入金、為替評価替え、運賃などの諸掛の案件への配賦
- 輸出管理:該非判定、最終用途の確認、取引先審査の管理
- 証跡:承認ワークフロー、操作・変更・ダウンロードのログ
諸掛を案件に配賦すれば、売価から仕入原価を引いただけの粗利より、実際の案件粗利が見えてきます。
法令上の最終判断は、システムが代わりに行うものではありません。該非判定や取引審査の手続は、経済産業省の「安全保障貿易管理ガイダンス[入門編]第三版」で解説されています(出典:経済産業省、2026年)。
個別貨物の判断は自社の責任です。そのため、判断材料や承認者、根拠資料を残し、更新日も記録しておきます。
卸売・商社向け輸出入管理システムの方式別費用相場

初期費用は、導入方式と対象範囲によって大きく異なります。次の金額は、いずれも目安または推定で、公定価格ではありません。
- 標準クラウド:1拠点・少人数なら20万円〜75万円程度
- パッケージ拡張:帳票・会計・在庫・API追加で200万円〜800万円程度
- 専用開発:複数拠点やNACCS・ERP連携で800万円〜3,000万円程度
- 大規模統合:グローバルERP等は3,000万円〜数億円と推定
標準クラウドの初期費用(20万円〜75万円程度)
標準クラウドは、用意された機能を使うため、導入ではマスタ設定と操作教育が中心になります。
- 標準機能:貿易案件、見積・受発注、外貨、在庫、書類、会計連携
- 導入・基本料:EX-TRADEはリモート24万円、訪問30万円、月額3万円
- ライセンス:ユーザー月額6,000円、同時接続月額1万円
上記の料金は、コデックスの公開情報です(出典:株式会社コデックス公式サイト、2026年8月確認)。なお、3ユーザーで追加の連携がなくても、方式とライセンス数によって初年度の総額は変わります。
公開事例は平均値ではなく、個別の導入例です。工業用機械商社(6名)は約2か月・初期約70万円、商品卸・小売(11名)は約2か月・約20万円です。
医療用機器卸(25名)は約6か月・約200万円、酒類・飲料商社(2名)は約2か月・約55万円です。
これらの事例は、標準導入の価格と期間を知る材料になります。ただし、金額はマスタ数や帳票の差分、会計連携、移行量によっても変わります。
パッケージ拡張の初期費用(200万円〜800万円程度の推定)
パッケージ拡張の費用を左右するのは、独自帳票や連携などの追加範囲です。
- 追加機能:独自帳票、国内販売連携、諸掛配賦、権限、帳票保管、CSV・API
- 推定レンジ:初期200万円〜800万円程度
- PORTNeTクラウド:同時接続月額3万円から、Light版は1ユーザー月額1万円から
- PORTNeTオンプレミス:1ユーザー90万円から、3ユーザー版120万円から
- 別途費用:初期設定、講習、サーバー、OS・DB、月額サポート
標準の機能で足りない分を個別に作る場合は、そのぶん初期費用が増えます。
このレンジは、輸出入管理システムの統計から出した数字ではありません。公開価格や事例、一般的な業務基幹システムの工数をもとに推定した金額です。
要件定義の段階で、標準機能で対応する部分と個別に開発する部分を分けて示してもらうと、見積もりを同じ基準で比べられます。
PORTNeTの価格は公開情報です(出典:株式会社FBS「PORTNeT」、2026年8月確認)。とはいえ、ライセンス価格だけで導入費を判断すると、別途費用を見落としかねません。
専用開発の初期費用(800万円〜3,000万円以上の場合あり)
専用開発は、連携や統制の範囲が広がるほど高額になります。
- 専用開発:複数拠点・三国間・海外・多通貨・NACCS等を含むと800万〜3,000万円程度の場合がある
- 大規模統合:グローバルERPや複数法人の貿易コンプライアンス統合は3,000万円〜数億円と推定
- 見積比較:初回は一つの金額で示さず、最小・標準・拡張構成の3案で比べる
リアルタイムのERP・会計・在庫連携や、厳格な権限と監査ログ、大量の移行も、費用を押し上げる要因になります。
費用は、接続方式やデータ変換、障害時の再送、海外時差を含む運用体制によって決まります。また、契約や許可、監査の各場面で、どこまでを誰が受け持つかも費用に影響します。
費用・コストの内訳

見積書は、要件定義から移行、教育までの初期費用と、月額利用、保守、外部サービスの費用に分けて読みます。
「システム一式」とだけ書かれた見積もりは、帳票の追加や移行リハーサルが対象外になりやすいため注意が必要です。貿易業務では、マスタや証憑をそろえる費用も重要になります。
要件定義・設計・開発費の割合
初期費用は、業務の整理から開発、テストまでの作業で構成されます。
- 要件定義:10〜15%
- 設計:15〜20%
- 開発:30〜40%
- テスト:15〜20%
- 移行:5〜10%
現状のヒアリングや、輸出・輸入・三国間・国内販売の整理も、初期費用に含まれます。加えて、画面や権限、帳票、DBの設計、個別開発も入ります。
配分は案件の性質によって変わります。そのため、固定の相場ではなく、見積もりの内訳を読むときの比率として使います。
売価と仕入価だけで粗利を計算する場合は、比較的単純です。一方で、為替評価替えや諸掛を船積み単位で配賦すると、工数が増えます。
諸掛には、運賃・保険・関税の按分や倉庫費、検査費、返品費があります。粗利を確定する時期と、予定と実績の区分は、見積もりの前に決めておく必要があります。
データ移行・教育・並行稼働の費用
移行データの整備、現場の教育、旧環境との照合が、追加費用になります。
- マスタ等:取引先・仕入先、商品、通貨、HSコード、原産国、価格、在庫、債権債務
- 案件・書類:進行中の船積み、過去のInvoiceやPacking List
- 移行作業:名寄せ、補正、リハーサル、本番照合
- 教育:管理者研修、営業・貿易・倉庫・経理の操作研修、マニュアル作成、問い合わせ窓口、現場立会い
- 並行稼働:旧Excelと新システムで案件番号・在庫・請求・書類を照合
移行では、表記の揺れや重複、欠損、単位の違いが残っていると、検索や粗利の集計に支障が出ます。
費用はデータ件数だけでなく、移行作業の回数でも変わります。並行稼働が長引くと二重入力の手間が続くため、いつ終えるかの条件を決めておくことが大切です。
月額利用料・保守・書類保存費(5年単位)
初期費用に加えて、利用と保守のランニングコストを5年単位で比べます。
- クラウド:利用料、ユーザー・同時接続ライセンス、監視、バックアップ、障害対応
- オンプレミス:サーバー、OS・DB、バックアップ、保守担当、機器更新
- 保守:セキュリティ更新、バージョンアップ、法令・税率・帳票変更
税関は、輸出の帳簿・書類・電子取引情報を原則5年間、輸入の帳簿を7年間、輸入の書類・電子取引情報を5年間保存するよう案内しています(出典:税関「帳簿書類の保存義務と電子帳簿等保存制度」、2026年確認)。
書類が個人のPCやメールに散らばると、許可番号と案件の関係が分からなくなります。そのため、検索や変更履歴、権限、バックアップ、データ返却の扱いも、保守費の確認項目に入れておきます。
費用が変動する要因
1拠点の輸入卸と、複数法人・複数国で三国間取引を行う商社とでは、必要なデータ構造や統制の範囲が異なります。
費用には、ユーザー数のほか、取引国や通貨、船積み回数、倉庫数、帳票数が影響します。さらに、連携先や法令チェック、海外拠点、保存期間、入力負担も関係します。
拠点数・ユーザー数・外部連携の数による増減
利用者や拠点、接続先が増えるほど、権限と連携の設計範囲も広がります。
- 利用部門:営業、貿易、倉庫、経理、管理者の権限・教育
- 海外拠点:閲覧範囲、通貨、言語、休日が国内と異なる場合の設定
- 外部連携:会計、ERP、在庫、NACCS、フォワーダー、銀行、保険、EDI、OCR
連携では、項目の変換や認証、エラー時の再送、接続テストごとに費用が加わります。
TradeBookは、NACCSの許可データや帳票を取得し、貿易帳票をまとめて管理する製品です(出典:NTTデータ「TradeBook」、2026年確認)。
こうした製品で入力を減らせる一方、NACCSと自社基幹のどちらを正とするかは決めておく必要があります。再送や障害時の手作業も、あらかじめ設計しておきます。
帳票・承認・法令チェックの細かさによる費用増
帳票の作成や承認、法令チェックをどこまで細かく作るかで、開発と保守の範囲が左右されます。
- 帳票:Invoice、Packing List、B/L、原産地証明、輸出許可、請求書
- 承認:取引先別レイアウト、版管理、電子署名、職務分離
- 法令管理:該非・最終用途・取引先・制裁対象者の確認、許可要否
職務を分ける場合は、権限と承認経路のテストも必要になります。たとえば、営業の案件登録と貿易責任者の承認、経理の請求確定を分けるなら、その経路もテストの対象です。
法令管理では、判定結果と合わせて根拠資料や承認者を残し、判定日とマスタの版も記録しておきます。
自動判定を使うなら、誤判定時の確認と人による最終承認が必要になります。この体制は、機能の追加費だけでなく、法令やマスタの更新にかかる保守費にも影響します。
データ量とAI・OCRの範囲による変動
AI-OCRは、入力の負担を減らす候補になります。ただし、利用条件と移行する過去データの範囲によって、費用が変わります。
- OCR料金:帳票の種類、言語、画像品質、項目数、照合対象、利用回数で変動
- 移行範囲:未完了案件に絞り、過去資料を検索可能なアーカイブへ別保管すると初期費を抑えやすい
- 過去データ活用:履歴分析には補正・名寄せ・書類紐づけが必要
TradeWaltzは、2026年4月からP/OとInvoiceなど2つのPDFを読み取る機能を提供しています(出典:株式会社トレードワルツ、2026年)。
この機能では、ヘッダー17項目と明細6項目、合計23項目を照合します。照合結果は人が確認して正式データとして確定するため、その工程も見積もりに含めます。
過去取引の原産地や契約履歴、粗利を継続して分析する場合は、古いデータの整備が加わるため、追加の工数が発生します。
開発期間と進め方
標準クラウドの設定導入は1〜3か月、帳票・会計・在庫連携を含むパッケージ拡張は3〜6か月が目安です。
複数拠点や専用連携を含む開発は6〜12か月、グローバルERPは12〜24か月以上が目安です。実際にコデックスの事例を見ると、標準導入は約2か月、25名規模の医療用機器卸は約6か月かかっています。
期間は人数の多さよりも、要件の差分や移行、承認、連携テストの量によって左右されます。
業務フローとマスタの洗い出し
最初の2〜4週間で、現場の業務とデータを順に洗い出します。
- 輸出・輸入・三国間・国内販売の代表案件を選び、見積から入金までを図にする。
- 案件番号、商品、船積み、書類、許可、入出金、粗利のつながりと、Excel・メール・電話・FAXの変更依頼を洗い出す。
- 商品名、単位、通貨、税率、HSコード、取引先名の表記を、開発前にそろえる。
- 案件・書類・受発注・入出金・粗利のうち、最小限の範囲をMVP(Minimum Viable Product)として決める。
機能が充実していても入力の負担が大きいと、現場がExcelへ戻ってしまう可能性があります。そのため、営業、貿易、倉庫、経理、管理者の代表ユーザーと例外処理を、事前に確認しておきます。
標準機能との差分の確定
設計に入る前に、標準機能との差分と、連携や運用の条件をそろえておきます。
- RFP:対象拠点、利用者、対象業務、帳票、通貨、取引形態、連携先、移行データ、法令・保存要件、可用性、権限、導入後サポート
- 機能差分:標準・設定・追加開発・非対応を、表で一覧にする
- デモ:納期変更、分納、為替差損、返品、書類差し替え、赤字案件の操作
- 設計条件:帳票版管理、粗利計算時期、再送、CSV文字コード、時差、職務分離
TradeWaltzなどの社外連携基盤や、NACCS・ERP連携では、どのシステムを正とするかを先に決めておく必要があります。決めないままだと、二重登録や責任の押し付け合いが起きやすくなります。接続先ごとに、どこまでを誰が受け持つかを設計書に残します。
帳票・連携・現場テストを経た本稼働
テストから本稼働後の改善まで、次の順で進めます。
- 入力チェック、承認、帳票、在庫、会計仕訳、外貨、諸掛配賦、書類検索、権限、監査ログ、バックアップ復旧を試す。
- 輸出・輸入・三国間の代表案件で、旧・新システムの粗利、残高、許可番号、書類件数を照合する。連携失敗時は担当者と操作画面を決めて、再送も試す。
- 本稼働後は書類作成時間、転記ミス、出荷遅延、通関差し戻し、粗利確定日数、未回収債権、Excel・メール件数をKPIとして測る。
- 最初から全機能を作らず、利用状況を見てからAI-OCR、海外拠点、フォワーダー連携、分析ダッシュボードを段階追加する。
コストを抑えるポイント
費用を抑えるには、安い製品を選ぶより、不要な個別開発を避け、二重入力や転記ミスを減らすことが効きます。
書類探しや粗利確認の遅れも抑えたいところです。そのため、5年総額と業務効果は一緒に見るのが基本になります。
標準機能の優先と個別開発の絞り込み
個別開発の対象は、次の観点で選びます。
- 優先する差分:法令、監査、粗利、在庫、請求、権限に直結する機能
- 標準に寄せる範囲:画面の好みや一部担当者だけの便利機能
- 例外業務:承認者の補正や月次CSV取込も、選択肢として残す
- 自動化:毎日の処理は自動化し、年に数回の例外は手順にまとめる
帳票の見た目や入力順を旧Excelに完全に合わせると、個別開発が増えます。標準機能に置き換えられない業務は、その理由と、変更時の手作業や費用を比べて判断します。
三国間取引や特殊な諸掛配賦も、無理に単純化せず、同じ基準で比べます。
段階導入と移行範囲の絞り込み(初期負担の抑制)
機能とデータ移行を段階に分ければ、初期の負担を調整できます。そのためには、優先順位と後からの拡張余地を設計しておくことが必要です。
- 第1段階:案件・受発注・書類・会計連携
- 第2段階:在庫・諸掛・粗利分析
- 第3段階:NACCS・フォワーダー・AI-OCR・海外拠点
後から追加する機能のデータ項目やAPIは、第1段階の時点で考えておくと、作り直しを避けられます。また、進行中の案件と現行のマスタを優先し、完了した案件を検索用のアーカイブへ分ければ、費用を抑えられる場合があります。
税関や契約、原産地証明の保存期間は満たす必要があります。そのうえで、移行しない文書も案件・許可番号・保存期限から検索できるようにし、保存の責任者を決めておきます。
5年総額とサポート範囲による比較
利用方式ごとの継続費用とサポート条件を並べ、総額で比べます。
- クラウド:ユーザー・同時接続数、書類容量、OCR、サポート、追加環境
- オンプレミス:買い切りでもサーバー更新、バックアップ、監視、脆弱性・法令対応
- 5年比較:初期、月額・年額、追加作業、解約・データ返却費を同じ条件で集計
- サポート:受付時間、復旧目標、バックアップ世代、更新範囲、終了時のデータ形式
確認項目には、セキュリティパッチや税率・HSコード・帳票の更新、法令改正への対応も入ります。
法令やマスタ、障害対応を自社で担う場合は、担当者の人件費も総額に含めておく必要があります。
見積もりを取る際のポイント
画面案だけでなく、案件がどこから始まるか、保存する証憑、経理へ渡す数字、粗利の確定時点を伝えると、見積もりの精度が上がります。
複数社に同じ前提を渡して、価格や対象範囲、期間、体制、導入後の責任の範囲を比べます。
RFPに記載する取引形態・帳票・連携・移行条件
RFPには、見積もりの前提をそろえるための情報を記載します。
- 取引規模:取引形態の比率、国数、通貨、拠点・ユーザー・同時接続数
- 業務量・帳票:月間案件・船積み・書類数と、Invoice等のサンプル
- システム・移行:会計等の連携先、現行Excel項目、移行する過去期間
- 法令・保存:該非判定・取引審査の担当、税率・HSコードの更新者、証憑保存期間、監査ログ対象、削除・訂正権限
繁忙期と通常期の件数を概算して添えると、ベンダーが前提をそろえやすくなります。
判断をシステムに任せるか、人が判断して記録するかによって、機能も責任の所在も変わります。そのため、法務や貿易管理、経理も要件定義に加えておく必要があります。
公開価格・事例・推定費用を分けて比較
公開価格と実際の導入事例、類似システムからの推定は、それぞれ性質の異なる情報です。
- 公開価格:コデックスやFBSの製品価格例で、個別開発の平均ではない
- 推定費用:パッケージ拡張200万〜800万円、専用開発800万〜3,000万円
- 比較費用:初期・月額・年額、移行、教育、帳票・API、セキュリティ、保守
- 更新等:法令・マスタ更新、解約時のデータ返却
推定額は、公開情報と一般的な工数に基づくもので、発注前に確定した金額ではありません。
ベンダーには、最小・標準・拡張の3案を出してもらい、各案の導入期間や前提、対象外の作業、追加変更の単価を示してもらいます。そのうえで、5年総額や業務効果、拡張性も含めて選びます。
追加費用と導入後の責任の範囲
契約の前に、追加作業の条件、検収の方法、導入後の責任の範囲をそろえておきます。
- 追加費用:要件確定後の帳票・取引先別レイアウト追加、移行補正、外部API仕様変更
- 追加条件:海外拠点、ユーザー・書類容量、現地教育、法令・税率・HSコード更新
- 別途項目:「別途」となる条件と概算単価
- 検収:画面表示だけでなく、代表案件の数字と書類の一致
- 契約責任:障害時の復旧、バックアップ、脆弱性対応、データ所有権、終了時の返却形式、委託先アクセス、法令改正の対応範囲
クラウドでは、保存場所や停止時の連絡、退避データ、API利用条件を確認しておきます。オンプレミスでは、どこまでを自社が運用し、どこからをベンダーが保守するかを、はっきり決めておきます。
卸売・商社向け輸出入管理システムのよくある質問
担当者からは、標準導入で足りるかどうか、開発の範囲、法令や書類の扱いについて、よく質問が寄せられます。
公開価格は、条件付きの目安です。自社の取引形態とデータ量に当てはめて判断します。
予算300万円で輸出入管理システムを導入できますか?
1拠点・少人数で、標準クラウドやパッケージの機能を使うなら、初期20万円〜75万円程度の構成や、帳票・移行・会計連携を含む数百万円規模の構成を検討できます。
公開事例には、初期約20万円〜約70万円、約2か月で導入した例があります。一方で、NACCS・ERP連携や複数法人、三国間取引、独自の諸掛配賦を含めると、300万円を超える可能性が高くなります。
パッケージとスクラッチ開発はどちらが安いですか?
標準化できる業務が多い企業ほど、パッケージやクラウドで初期費用と期間を抑えやすい。
三国間取引や特殊な契約・採算計算、複数法人の権限、複雑なERP連携が競争力に直結する企業では、拡張や専用開発が合う場合があります。
標準機能との差分を一覧にし、5年総額と業務効果で比べます。
輸出管理や税関の保存要件までシステム化できますか?
該非判定や取引審査、承認、根拠資料、許可番号、帳票の保存履歴を記録する仕組みは構築できます。
ただし、個別の判断の責任を、システムが代わりに負うわけではありません。税関の案内では、輸出の帳簿・書類・電子取引情報は原則5年、輸入の帳簿は7年、輸入の書類・電子取引情報は5年の保存が案内されています。
保存年限だけでなく、案件や許可番号との関係をたどれる検索や整理を、要件に含めます。
見積もり前に何を準備すればよいですか?
代表的な輸出・輸入・三国間の案件を一つずつ選び、見積から入金までの流れを図にまとめます。流れには、受注、発注、船積み、通関、入出庫、請求を含めます。
帳票サンプルやマスタ項目、利用者・拠点、連携先をまとめておきます。移行データや保存要件、困っている例外処理も、あわせて用意します。
分からない点は未確定のまま残さず、調査が必要な条件として記載します。そうすると、ベンダーが工数を見積もりやすくなります。
まとめ
標準クラウドは初期20万円〜75万円程度、パッケージ拡張は200万円〜800万円程度、専用開発は800万円〜3,000万円程度が目安です。
公開料金と事例は、費用の下限を考える材料になります。ただし、NACCS・ERP・フォワーダー連携を含めると、費用は上がります。帳票、移行、三国間取引、法令・監査要件も、費用を押し上げる要因です。
案件採算と業務負担からみた費用の判断
取引形態やマスタ、帳票、粗利計算、保存要件を整理して、標準機能と個別開発の差分を一覧にします。
要件定義から保守まで、費用を工程ごとに分けたうえで、最小・標準・拡張の3案を5年総額で比べます。
月額だけが安く見える提案や、後から追加費用が増えていく提案も、この比べ方なら見分けやすくなります。
代表案件と帳票をそろえた相談の準備
相談の前に代表案件と帳票をそろえ、業務を確認してから導入範囲を決めます。
- 輸出・輸入・三国間の案件、Invoice等の帳票、現行Excel、連携先一覧をそろえ、業務フローと課題を1枚にまとめる。
- 現場担当者とデモやPoCを行い、納期変更、分納、為替差損、書類差し替え、赤字案件を確認する。
- 自社に必要な範囲から段階的に導入する。
▼全体ガイドの記事
・卸売・商社向け輸出入管理システム開発の完全ガイド
▼RFP作成前に読みたい無料ホワイトペーパー
・業務システム開発の完全ガイドブック
・スクラッチシステム開発の完全ガイドブック
・【2026年最新版】AI駆動開発の完全ガイドブック
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
