YugabyteDBのシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

YugabyteDBのシステム開発は、要件整理から始めて定着まで、6つのフェーズで進めます。

各フェーズで可用性と業務継続性を確かめ、その結果を稼働後の定着につなげます。システムの全体像は、次の▼で紹介する完全ガイドもご覧ください。

▼全体ガイドの記事
・YugabyteDBのシステム開発の完全ガイド

YugabyteDBのシステムの全体像

YugabyteDBを中心に、YSQL、YCQL、tablet、Raftを配置した分散基盤の図解。
API選択とデータ分散の要素を分けて捉えられます。

YugabyteDBは、PostgreSQL互換のYSQL APIを備えた分散SQLデータベースです。加えて、Cassandra Query LanguageをルーツとするYCQL APIも使えます。

複数ノードにデータを分散させながら、リレーショナルなデータモデル、SQL、ACIDトランザクションを使えるのが特徴です。こうした特徴から、単一サーバーの容量や障害が事業上の制約になるシステムで候補に挙がります。

YSQL・YCQL・tablet・Raftによる基盤構成

発注側と開発会社は、業務システムのデータやアクセスパターンに合わせて、YSQLかYCQLを選びます。

  • YSQL:リレーショナルなテーブル、JOIN、外部キー、トランザクションを使う業務システム
  • YCQL:低レイテンシーの大量イベント、TTLによる期限管理、Cassandra系アクセスが中心のシステム

YSQLは、PostgreSQLの通信プロトコルや多くのSQL資産に対応しています。そのため、既存のドライバーや開発ツールを使いやすいAPIです。

YSQLとYCQLは独立したAPIで、各APIが管理するデータを他方から直接問い合わせる構成にはできません(出典:YugabyteDB公式「API compatibility FAQ」、2026年8月確認)。

データはtablet単位に分割して複数ノードへ配置し、レプリケーションとリーダー選出にはRaftベースの仕組みを使います。

複数AZや複数リージョンへ配置しておくと、障害時の業務継続に役立ちます。開発会社は、主キーやインデックスでtabletが決まる点を踏まえ、テーブル定義とクエリを先に設計します。

高可用性・水平拡張・地理分散が求められる業務

採用を考える出発点は、ピーク時の書き込み量と段階的なノード追加といった事業要件です。加えて、単一障害点の低減や地域障害時の切替も、事業要件として確かめます。

目標は、停止時間や処理性能の改善です。データ所在や事業継続性の改善も含め、分散DBを入れること自体は目標にしません。

  • 取引・会員基盤:EC、受発注、決済、会員基盤、金融・保険のオンライン取引
  • イベント・グローバル基盤:IoTイベント蓄積、グローバルSaaS、複数リージョンのマイクロサービス

利用者やデータ量が少なく、単一リージョンで数時間の停止を許容できる業務では、通常のPostgreSQLのほうが構築と運用が簡単で、総額が下がる場合があります。

オープンソース版の利用料が無料でも、ほかの費用は別にかかります。3ノード構成、監視、バックアップの費用に加え、障害対応、アップグレード、専門人材の費用も発生します。

採用の判断では、3年から5年の総保有コストと業務リスクを比べます。技術が新しいかどうかは、その判断の材料として二の次です。

ポイント

YugabyteDBは、単一サーバーの容量や障害が事業の制約になる業務で候補になります。利用者やデータ量が少ない業務では、通常のPostgreSQLの方が安くなることもあります。

YugabyteDBのシステム開発の6フェーズ

要件整理で確認する業務フロー、数値要件、採用目的、成果物を並べたカード図。
業務と数値の前提をそろえてから選定へ進みます。

基本は要件整理から始め、選定と設計・開発を経て、テストと稼働に進みます。最後は定着です。製品比較から始めると、業務要件や運用条件が後から合わなくなることがあります。

各フェーズの成果物と次へ進む判定条件を先に決めておくと、追加要望が納期・費用・リスクに与える影響を示せます。

フェーズ1:要件整理による業務KPIと非機能要件の決定

業務の流れと数値要件を整理し、YugabyteDBを使う事業上の目的をはっきりさせます。

  • 業務フロー:現状と将来の業務、通常処理、例外処理
  • 数値要件:負荷、容量、RTO・RPO、保持期間、データ所在
  • 採用目的:障害継続、書き込み量への対応、地域障害時の継続といった事業上の理由

会員基盤では、登録や認証、権限変更のほか、退会や個人情報の訂正、監査ログの確認まで洗い出します。

要件を聞く相手は、事業部、現場、情報システムの担当者です。加えて、セキュリティ、経理、運用の担当者にも確認します。例外の場面は、キャンセルや二重送信、通信断から、ピーク集中や担当者交代まで確かめます。

数値では、ピーク時の同時接続数と毎秒の読み書き件数、初期容量と3年後の予測を決めます。そのうえで、許容停止時間(RTO)と許容データ損失(RPO)も決めます。

バックアップ保持期間と監査ログ保存期間、データ所在、目標復旧時間も、数値で決めておきます。また、負荷は平常時だけでなく、繁忙時や災害時も分けて見ます。

ECでは、商品登録から月次集計までを対象にします。注文の流れでは在庫引当、決済、出荷を、事後の処理では返品、返金、問い合わせを扱います。

成果物には、業務フロー、機能・連携一覧、データ項目表を含みます。さらに、非機能要件や移行対象表、優先順位表も成果物になります。

ここでいう目的は、たとえば複数AZでの障害継続や、1台の増強では足りない書き込み量への対応です。ただし、新しいDBを試すことだけが目的なら、通常のPostgreSQLなども比べます。

フェーズ2:選定によるデプロイ方式の比較と担当範囲の確認

選定候補は、YugabyteDB Aeon、AeonのBYOC、YugabyteDB Anywhereのほか、オープンソース版のセルフホストです。配置方法と運用責任を、それぞれ比べます。

  • Aeon:DBaaSとして始めやすく、クラスタ構築や一部運用の負担を抑えられる
  • BYOC:自社クラウド内でマネージドサービスを使う方式で、データ所在やネットワーク統制を重視する場合
  • Anywhere・セルフホスト:自社のKubernetes、VM、ベアメタル、監視、バックアップ、更新方針との組み合わせ

まず、クラスタ作成、ノード障害への対応、証明書更新の担当範囲を洗い出します。次に、バージョンアップや復元、脆弱性対応の担当を分けます。障害連絡とリージョン切替については、どこまでを誰が受け持つかを明記します。

各作業の担い手は、Yugabyte社やクラウド事業者、開発会社、自社のいずれかです。

24時間365日の日本語対応が必要なら、営業時間外の一次受付や重大障害のSLAを確認します。加えて、オンコールの連絡手段と復旧支援の追加費用も確かめます。

PostgreSQLから移行する場合は、公式のYugabyteDB Voyagerも候補になります。

独自拡張やテーブル継承、特殊なDDLを、互換性一覧と実データで検証します。データ型や関数、トリガーも、実データに当てて確かめます。長時間トランザクションも、検証の対象に含めます。

ドライバーやSQLは活用しやすい一方で、分散環境の制約から、未対応の機能や回避策が必要な場合があります(出典:YugabyteDB公式「PostgreSQL source database」「Migrate from PostgreSQL」、2026年8月確認)。

フェーズ3:設計・開発によるキー設計とデータの流れの確定

画面やAPIだけでなく、データの分散、システム連携、セキュリティと成果物も、順に固めます。

  • キーとクエリ:アクセスパターンを踏まえた、tablet分散と主キーの設計
  • システム連携:正とするデータ、連携方式、再送や重複排除の決定
  • 安全性と成果物:権限・暗号化の定義と、設計書・運用手順の整備

連番だけの主キーでは、書き込みが集中する可能性があります。そこで、時系列やテナント、地域、顧客単位も見ながらキーを決めます。

主要用途ごとに、Hash shardingとRange shardingを検討します。あわせて、インデックス数やJOIN頻度、クロスシャードトランザクションの範囲も見ます。

顧客IDや注文ID、商品コードのような項目ごとに、正とするシステムを定めます。地域コード、状態、作成日時も対象です。

連携方式は、APIやCDC、メッセージングのほか、バッチやCSVから選びます。

再送と重複排除、順序保証のほか、タイムアウトや監視項目も決めます。そのうえで、アプリでは再試行や競合を想定し、冪等性とリトライ上限を実装します。

個人情報や決済情報を扱う場合は、法務やセキュリティの担当と確認します。確認するのは、リージョンと委託先、越境移転のほか、ログの保存場所と削除依頼への対応です。

通信のTLSや、保存データとバックアップの暗号化を定めます。アクセス制御では、RBACや監査ログ、秘密情報の保管、踏み台経由の管理アクセスを定義します。

成果物には、ER図、テーブル定義、キー設計書、API仕様を含めます。さらに、権限表やIaC、監視設計、復元手順も加えます。

フェーズ4:テストによる、実データに近い条件での性能・障害・復元の検証

性能、障害、復元、移行の検証は、本番に近い条件で行います。

  • 性能・業務:単体、結合、業務シナリオ、性能、セキュリティの確認
  • 障害・復旧:ノードやAZの障害、復元、切戻しの試験
  • 移行:本番相当と縮小環境の使い分けとリハーサル

主要クエリは、EXPLAINや実行時間で確認します。そのうえで、同時書き込みやバックグラウンド処理、インデックス更新、バックアップ取得が重なる状況も再現します。

本番相当のノード数やデータ分布で測るケースと、安価な縮小環境で繰り返すケースを分けます。障害試験では、1ノード停止、AZ障害、ネットワーク分断を確認します。

ストレージの逼迫、証明書の期限切れ、アプリの再接続、リージョン切替も試します。復旧時は、リストア時間や件数、CDCの再開位置を記録します。さらに、重複や欠損、切戻し手順も残します。

合格条件は、RTO・RPOを満たし、業務担当者がデータの正しさを確かめられることです。なお、2026年時点の公式案内では、安定版はv2026.1.0.1で、2026.1 STSは2026年6月29日にリリースされました。

採用時は、サポート終了日やTechnical Advisoriesを押さえます。加えて、利用拡張、アップグレード時のDDL制限、CDC・PITRの条件も確認します(出典:YugabyteDB公式「YugabyteDB releases」「Technical advisories」、2026年8月確認)。テスト計画には、更新とロールバック方針も含めます。

フェーズ5:稼働での切替条件と切戻し手順の決定

本番移行では、データを照合したうえで、切替方式と切戻し条件、情報管理を決めます。

  • データ確認:形式や件数に加え、重要データの内容の照合
  • 切替計画:停止可能時間に応じた方式と、時刻付きの手順
  • 切戻し条件:エラー、遅延、不整合などの判定基準の具体化

移行対象では、件数やNULL、文字コード、時刻を確認します。さらに、主キーや重複、参照関係も見ます。重要な顧客や注文、残高、決済状態は、内容まで照合します。

個人情報を含むバックアップやテストデータは、目的、権限、保持期間、廃棄方法を決めて扱います。加えて、開発会社との受け渡し経路も管理します。

切替方式は、全停止や並行稼働、段階リリース、読み取り先行などから選びます。停止時間が短い場合は、移行と差分同期、接続先変更を時刻付きのランブックに載せます。照合や監視、業務確認、旧環境の保持も、ランブックに含めます。

切戻し条件は、エラー率や遅延、データ不整合、決済失敗、復旧見込み時間などで具体化します。

フェーズ6:定着に向けた運用指標と社内スキルの育成

稼働後は、運用指標と業務の変化を定期的に確かめ、社内の引き継ぎと教育を進めます。

  • 運用指標:30日、60日、90日の時点での監視・復元・障害対応の見直し
  • 業務効果:導入前後の処理時間、手作業、エラーの比較
  • 社内定着:担当別の手順書と操作演習の整備

見直しでは、アラート件数、クエリ遅延、CPU・メモリ・ディスク使用率を確認します。加えて、tabletの偏りやバックアップ成功率、復元時間を見ます。障害対応時間と問い合わせ件数も見ます。

業務側では、入力時間や処理待ち、手作業回数、エラー、キャンセル・返金の処理時間を導入前と比べます。

管理者や開発者、SRE、ヘルプデスク、業務責任者が、それぞれ見る項目を定めます。

ノード追加や障害の切り分け、復元、証明書更新の手順を書き、操作演習を行います。バージョンアップや容量予測、権限申請も、手順化の対象です。

Yugabyte社によると、Discovery and Planningは典型的に2〜4週間です。さらに、移行支援は複雑さに応じて4〜12週間です(出典:Yugabyte「Professional Services Policy」、2026年8月確認)。

外部支援を使う場合は、自社の運用に必要な成果物を契約に含めます。

ポイント

迷ったときは、業務と数値の前提をそろえてから選定に進みます。製品比較から始めると、後で業務要件が合わなくなることがあります。

YugabyteDBのシステム費用の相場と内訳

利用料、クラウド計算資源、設計・移行、監視・保守・教育を積み上げたシステム費用の図解。
利用料の外側に、導入と継続運用の費用が重なります。

費用は、利用料に加えて、クラウドの計算資源やディスク、通信、バックアップを合算します。さらに、設計・移行やアプリ改修、監視、保守、教育の費用も加えます。

オープンソース版はダウンロードして使えます。ただし、ライセンスが無料であることと、システム全体が無料であることは別です。費用の目安は、公式価格による計算例と、リサーチノートに基づく国内案件の予算検討レンジで見ます。

Aeonの公式価格:vCPU・ストレージ・通信ごとの計算

2026年8月確認時点のAeon公式価格は、Standardが1vCPUあたり月額125米ドルです。Professionalは1vCPUあたり月額167米ドルからです。

  • ディスク:1GBあたり月額0.10米ドル
  • クラウドバックアップ:1GBあたり月額0.025米ドル
  • 同一リージョン内転送:1GBあたり0.01米ドル

ストレージと転送は、別途加算されます。Professionalでは、Enterprise Securityに追加料金がかかります。Business Continuity and Disaster Recoveryにも追加料金がかかり、どちらも1vCPUあたり月額25米ドルです(出典:Yugabyte公式「Pricing」、2026年8月確認)。

本番を3ノード、各4vCPU(合計12vCPU)とする例では、DBaaS基本料はStandardで月額1,500米ドル、Professionalで月額2,004米ドルです。

為替を1米ドル=150円と置いた参考計算では、約22.5万円から約30.1万円になります。Professionalに、Enterprise SecurityとDRを両方追加すると、12vCPU分で月額600米ドル、参考換算で約9万円が加わります。

これは公式単価による計算例で、実際の請求額を断定するものではありません。リージョンや契約、為替、ストレージ、通信のほか、クラウド側の費用、アプリ、監視、運用人件費は含めていません。

導入・PoC・移行の費用:検証範囲とデータ量による違い

小規模PoCは100万〜300万円程度、2〜6週間が予算検討の目安です。

現行SQLや拡張、データ量、主要クエリ、障害要件を3ノード相当で検証し、可否を判定する範囲を想定します。

  • 小規模PoC:100万〜300万円程度、2〜6週間
  • 新規基盤・パイロット:300万〜800万円程度、1〜3か月
  • 既存DBの本番移行:1,000万〜5,000万円程度、4〜12か月
  • 大規模なマルチリージョン基盤:5,000万円〜数億円、12か月以上の場合がある

このPoC額は、一般的な業務システム開発の相場や、DB移行案件、公式の支援範囲から整理した推定です。製品定価から算出したものではありません。クエリ数や実データの匿名化、負荷試験、セキュリティレビューがあると、上振れします。

新規基盤やパイロット導入には、クラスタ設計やIaC、監視、バックアップのほか、負荷試験と運用手順を含みます。

既存PostgreSQLなどからの本番移行では、スキーマ変換やデータ移行に加えて、CDCやアプリ改修、並行稼働、切替リハーサルも対象です。

金融や決済、大規模SaaSの基盤では、周辺システムや24時間運用、監査、DR、教育まで含めると、案件が大きくなります。

ランニングコストの内訳:クラウド・保守・人材

ランニング費用は、インフラ、運用要員、開発・保守の割合に分けて見積もります。

  • 月額の基盤費:計算資源、ストレージ、通信、監視、サポート
  • セルフホスト費:基盤、OS、更新、証明書、バックアップ、オンコール
  • 開発費の配分目安:要件定義10〜15%、設計25〜35%、製造・単体テスト30〜40%、結合・総合テスト15〜20%、移行・導入5〜10%

DBaaSやクラウドでは、計算資源やストレージ、バックアップ、リージョン間通信を月額費用に含めます。加えて、監視やログ、ネットワーク、サポート契約も含めます。

セルフホストでは、KubernetesやVM、OS、パッチ、証明書の費用に加え、監視基盤、バックアップ先、障害対応のオンコールも加算します。

通常運用を3人が毎月数時間行うと想定しても、重大障害や計画停止、更新時の専門対応は、別に金額化します。

要件定義や性能検証、移行リハーサル、運用設計を削ると、本番後の追加費用の原因になります。

保守は初期開発費の年15〜20%程度という整理もあります。ただし、24時間対応や専門家の駆け付け、SLA、クラウド利用料を含むかどうかで変わるため、契約範囲を確認します。

ポイント

判断の目安は、利用料に加えてクラウド・保守・人材を含めた総額です。公式価格の計算例は、為替や通信などを含まない参考値として扱います。

YugabyteDBのシステム開発で見積もりを取るときのポイント

見積もりの精度は、依頼時に前提条件をそろえられるかで決まります。「導入したい」とだけ伝えても、ノード数や性能、移行方法、運用範囲は定まらず、各社の金額は比べられません。

候補会社には同じRFPを渡し、同じ形式で回答してもらいます。回答には、初期・月額費用や作業範囲、成果物のほか、前提、除外項目、追加費用の条件を含めます。

要件と前提の数値化と、同じ条件での比較

RFPには、業務と負荷、データと構成、運用と移行の前提を記します。これは、各社が同じ条件で見積もれるようにするためです。

  • 業務・負荷:業務概要、利用者数、ピーク時同時接続数、読み書き処理、停止可能時間
  • データ・構成:容量、増加率、保持期間、ノード、リージョン・AZ、既存DB
  • 運用要件:RTO・RPO、バックアップ、監視、セキュリティ

PostgreSQL移行なら、バージョンやテーブル数、総行数、最大テーブルを提示します。拡張や関数、トリガーも示します。

移行情報には、マテリアライズドビューやCDCの利用、アプリの接続方式も含めます。

成果物欄には、要件定義書や互換性調査、PoC結果、容量・キー設計を明記します。ER図やDDL、IaCも欄に加えます。復元手順や移行計画、テスト仕様も含めます。

切替ランブックや運用マニュアル、教育資料、ソースと設定の引き渡し範囲も記載します。「設計支援一式」などの書き方では、納品物が分かりません。

レビューや修正、会議の回数、現地対応、夜間切替の有無も確認します。

開発会社の選び方:分散DB・移行・業務の三つの経験

開発会社は、分散DB、移行、業務理解の経験と、提案内容の具体性を見て選びます。

  • 技術経験:分散SQL、PostgreSQL移行、Kubernetes・クラウド、障害試験、24時間運用
  • 会社の強み:製品ベンダー、国内OSS専門会社、業務改革に強いSIの役割の比較
  • 説明力:設計例、PoC項目、障害時の分担、復旧測定を具体的に説明できるか

製品ベンダーは、技術支援やロードマップへのアクセスに強みがあります。一方、国内OSS専門会社は、日本語の評価や運用支援で強みを持ちます。

業務改革に強いSIは、業務フローや周辺システムも整理できます。そのうえで、会社ごとに役割を分け、必要なら共同体制にします。

「PostgreSQL互換なので、そのまま移行できる」という説明を受けたら、互換性、キー、ホットスポットについて質問します。分散トランザクションや読み取り一貫性、障害時の挙動も、確かめます。

過去案件を公開できない場合でも、匿名化した設計例などで経験を確かめます。見積額だけでなく、回答の具体性と、リスクを先に伝える姿勢も評価します。

安価な見積の除外項目と追加費用の条件の確認

金額の差は、作業範囲や追加費用、セキュリティや運用の条件と照らして判断します。

  • 作業範囲:負荷・復元試験や夜間切替などの有無
  • 追加費用:別請求項目、追加要望の単価、契約変更、納期延長
  • 安全・継続性:法令・社内基準、データ保護、復旧手順の備え

見積によっては、負荷・復元試験が含まれない場合もあります。クラウドやライセンス、通信、バックアップ、監視が別請求かを確認します。さらに、夜間切替やデータ整備、アプリ改修のほか、テストデータ、教育、稼働後サポートも、別請求かを確かめます。

追加要望の単価や契約変更の承認者、納期延長の扱いも、契約前に確認します。あわせて、個人情報保護法や社内基準、金融・決済などの業界基準にどう対応するかを確かめます。

データの保存場所や海外リージョン・委託先、アクセス制御、暗号化を確かめます。監査ログや脆弱性対応、バックアップ削除、事故時の通知も、対象に含めます。

退職後も復旧できるRunbookや、設定のコード管理、定期的な復元演習を、見積に含めます。

ポイント

見積もりを比べる前に、同じRFPで前提をそろえ、除外項目と追加費用の条件を確かめます。金額の差は、作業範囲や追加費用、安全・継続性の条件と照らして読みます。

YugabyteDBのシステム開発でよくある質問(FAQ)

導入前によくある疑問を、採用判断と発注の観点から回答します。技術的な可否に加えて、費用、移行、運用の責任範囲も確認しておきます。

YugabyteDBはPostgreSQLからそのまま移行できますか?

ドライバーや多くのSQLは活用しやすい一方で、完全なリフト&シフトを前提にはできません。独自拡張やテーブル継承、特殊DDLを、実際のスキーマと主要クエリで確認します。データ型や関数、ロック、主キー、長時間トランザクションも、確認の対象です。

Voyagerなどの移行ツールを使う場合も、件数の照合や業務シナリオ、性能、障害復旧を含むPoCが必要です。

YugabyteDBは無料で使えるため、システム費用も安くなりますか?

無料のオープンソース版を使っても、システム費用は別にかかります。複数ノードのクラウドやストレージ、通信、バックアップ、監視が必要です。加えて、設計や移行、24時間運用、保守人材の費用もかかります。

2026年8月確認時点で、AeonはStandardが1vCPUあたり月額125米ドル、Professionalが167米ドルからで、ストレージや通信は別途かかります。

小規模・低負荷で高可用性が不要なら、通常のPostgreSQLとの3年TCOを比べて決めます。

何ノードから始めるとよいですか?

本番で高可用性を求めるなら、複数ノードや複数AZ、レプリケーションを前提にします。バックアップと障害試験も、前提に含めます。

必要数は、データ量やワークロード、レイテンシー、RTO・RPO、リージョン数によって変わるため、一律には決められません。

PoCでは、本番のアクセスパターンとデータ分布を再現し、3ノード相当を一つの検証単位として、容量と性能を測ります。

開発会社には何を相談すればよいですか?

まずは、業務目的や現行DB、データ量、ピーク負荷、停止可能時間を伝えます。加えて、RTO・RPOやリージョン、個人情報の有無、希望時期も伝えます。

互換性評価やPoC、クラスタ設計、アプリ改修のうち、どこまでを依頼するかを分けます。移行や負荷・障害試験、切替、運用教育も、切り分けて考えます。

成果物や体制、類似経験は、同じ質問票で確認します。夜間対応や保守期間、追加費用も、同じ質問票に含めます。

ポイント

移行は完全なリフト&シフトを前提にせず、費用は通常のPostgreSQLとの3年TCOで比べます。ノード数は一律には決めず、PoCで容量と性能を測って判断します。

まとめ:6フェーズと総額からみたYugabyteDB採用の判断

開発は6フェーズで進みます。最初の要件整理から、最後の定着までです。

まず、業務KPI、容量、負荷、RTO・RPO、データ所在を決めます。そのうえで、YSQLとYCQL、Aeon・BYOC・Anywhere・セルフホストを比べます。

設計では、主キーやシャーディング、分散トランザクション、権限を固めます。さらに、監視とバックアップも設計に含めます。テストでは性能に加えて、ノード障害、復元、リージョン切替、移行後の整合性を確かめます。

採用判断:技術要件と3〜5年の総額を並べた比較

常時稼働や水平拡張、複数AZ・リージョン、強い整合性、PostgreSQL資産の活用が事業価値になる場合、YugabyteDBが候補です。

単一リージョンの小規模システムでは、通常のPostgreSQLやマネージドDBが合理的な場合もあります。

クラウドやDBaaS、開発、移行に加え、保守や教育、障害対応を含めた3〜5年のTCOを比べます。採用しない場合の停止リスクや機会損失も、判断材料になります。

最初の一歩:現行DBと主要クエリを対象にしたPoC

全社移行の前に2〜6週間程度のPoCを行い、採用判断と発注成果物をそろえます。

  • 検証:互換性、キー設計、性能、復元、障害時の挙動の確認
  • 判断:合格条件の決定と、採用、構成変更、通常PostgreSQLへの回帰の選択
  • 引き継ぎ:調査結果、テスト証跡、IaC、移行手順、運用Runbookの成果物

PoCの結果を使い、稼働後も自社で改善できる体制を整えます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。