ゼロショット学習とは?仕組み・ワンショット学習との違いを解説

ゼロショット学習は、対象タスクのラベル付き例を使わず、クラス名や属性などの補助情報で未知クラスを予測する機械学習の方法です。学習時に見ていないクラスも、説明情報を手がかりに判定できる点が特徴です。

ゼロショット学習の仕組み:補助情報で未知クラスを予測

入力の特徴とクラス名・属性・説明文を同じ表現空間で対応付け、未見クラスの説明を選ぶ流れを示した図。
説明情報との近さが、未見クラスを選ぶ手がかりになります。

通常の分類器は、学習時にクラスごとのラベル付き例を見て、入力からラベルへ直接対応付けます。一方、ゼロショット学習では、ラベル付き例を使わず、クラス名や属性などの説明情報を手がかりにします。

ゼロショット学習では、入力の特徴と、クラス名・属性・説明文を同じ表現空間へ写します。そのうえで、未学習クラスの説明と最も近いものを選びます。クラス名だけでは意味が曖昧なことがあるため、定義や属性を明示して、その曖昧さを減らします。

Google for Developersでは、タスク固有の学習例がゼロの状態で推論する学習として説明されています。この方法は、画像と文章の対応付け、自然言語処理、分類、検索などで使われます。

ただし、性能はクラス名の表し方、学習データとの意味の近さ、未知クラスの分布によって大きく変わります。

ゼロ・ワン・少数ショットの区別

学習方法の違いは、対象クラスのラベル付き例を何件使うかで整理できます。例が少ないほど、説明や属性に頼る度合いが高くなります。

  • ゼロショット:対象の例を使わず、説明や属性をもとに予測する。
  • ワンショット:対象クラスのラベル付き例を一つ使う。
  • 少数ショット:少数の例を使って対象へ適応させる。
  • 通常の教師あり学習:対象クラスの複数の例から分類の境界を学習する。

ポイント

学習例を用意しにくい未知クラスを扱う場面が候補になります。性能はクラス名の表し方や学習データとの近さに左右されるため、説明情報の質を最初に見直す判断が出発点です。

ゼロショット導入でのラベル以外の情報整備

クラスの定義、事前学習モデル、プロンプトのテンプレート、既知・未見クラスの分割を並べたチェックリスト。
説明情報と比較条件をそろえると、導入時の確認点が整理できます。

ラベルがない分、判定の根拠は説明情報と比較条件に寄るため、導入前にこれらを整えておく必要があります。その中身は、クラスの定義から人手レビューまでの5つの作業です。

  • クラスを定義する:名称、説明、属性、同義語、除外条件をそろえる。
  • 表現を選ぶ:入力と説明を比べられる事前学習モデルを候補にする。
  • プロンプトを固定する:テンプレートをそろえ、表現の揺れを防ぐ。
  • 既知・未知を分ける:学習に見せたクラスと未見クラスを、はっきり切り離しておく。
  • 人手レビューを置く:信頼度の低い予測や新クラス候補を人が確認する。

ポイント

導入では、クラスの定義とプロンプトの固定、既知と未知の分割を先に決め、どの予測を人が確認するかまで含めて判断します。

未見クラスと既知クラスを分けた評価

未見クラス、既知クラス、クラス別指標、説明表現と分布変化への頑健性という4つの評価視点を示した図。
未知クラスの結果だけでは、既知クラスへの影響を捉えきれません。

未見クラスの結果だけでは、既知クラスへの影響を捉えきれません。そのため、両方の性能を別々に確認し、4つの観点で見ます。

  • 未見クラス:正解率で評価する。
  • 既知クラス:性能が落ちていないかを見る。
  • クラス別指標:再現率と信頼度の校正。
  • 頑健性:クラス名の言い換えや説明文の長さ、分布変化でも崩れないかを見る。

未知クラスだけに合わせて最適化すると、既知クラスの精度が落ちることがあります。

ポイント

未見クラスの正解率だけで良否を決めず、既知クラスの性能と、説明の言い換えや分布変化への強さも合わせて見ます。既知クラスの精度が落ちることもあるためです。

ゼロショット学習で起きやすい失敗と対策

クラス説明の曖昧さによる誤り

まず、属性、例、除外条件を整理します。そのうえで、複数の表現で予測を比べ、説明のずれを見ます。

学習データの偏りが未知クラスに及ぶこと

学習データの傾向は未知クラスの判定にも持ち込まれやすいので、地域、顧客、撮影条件などを変えて評価し、人の目でも偏りがないかを確かめます。

低信頼の予測の自動確定

信頼度のしきい値と保留、確認の流れを設けておくと、誤分類の影響を抑えられます。

ポイント

説明の曖昧さ、学習データの偏り、低信頼の予測の自動確定の三つは、導入前に対策を決めておきたい項目です。それぞれ、説明の見直し、偏りの評価、確認フローの設定で抑えます。

ゼロショット学習は未見クラスを説明情報で予測

ゼロショット学習は、対象クラスのラベル付き例がなくても、クラス名や属性と入力の表現を対応付けて予測する方法です。ラベル収集を抑えられる一方で、結果は説明の質と分布差に左右されます。

評価では、未見と既知のクラスを分け、説明の言い換えや信頼度、未知の環境での結果を確かめます。そのうえで、低信頼の予測を人へ戻す運用を設計します。

よくある質問(FAQ)

ゼロショット学習の定義、補助情報、評価、運用について答えます。

Q. ゼロショット学習とは何ですか?

対象タスクのラベル付き例を使わず、クラス名や属性などの説明情報で未見クラスを予測する方法です。

Q. ワンショット学習との違いは何ですか?

ゼロショットは対象例がなく、ワンショットは対象クラスのラベル付き例を一つ使います。

Q. どのような補助情報が必要ですか?

クラス名、属性、定義、同義語、除外条件など、入力と意味を対応付ける情報が必要です。

Q. 効果はどう評価しますか?

未見・既知クラスの性能、クラス別指標、説明の言い換え、未知環境での頑健性を測ります。

Q. 予測をそのまま自動処理できますか?

低信頼の保留や人手確認を設け、誤分類の影響が大きい処理へは段階的に導入します。

参考資料

ゼロショット学習の用語や関連する学習方法を確かめられる資料を掲載しています。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。