クローズドAIエージェントを解説|機密データを外に出さないAI活用の仕組みと導入ポイント

NTTドコモビジネスとエクサウィザーズは2026年8月17日、クローズドAIエージェントを共同開発し、同日から提供を開始したと発表しました。

企業の専用環境で重要データを扱うAIエージェントです。外部クラウドAIの利用に慎重な企業にも、業務への組み込み方を検討しやすい選択肢になります。

構成の中心は、閉域ネットワーク、国産LLMのtsuzumi 2、exaBase Studioによるエージェント基盤です。提供形態はプライベートクラウド版とオンプレミス版です。

この組み合わせは、データ保護とAI活用を同時に考える企業向けの構成です。

自社の業務データをどの環境で扱うかが、提供形態を選ぶ起点になります。

データの性質と運用能力を合わせて検討することが、導入判断の前提です。

この観点を先に置くと、構成の違いを比較しやすくなります。

導入前の要件整理が重要です。

※本記事は2026年8月25日時点の情報です。

閉域ネットワーク、tsuzumi 2、エージェント基盤の3層構成を示す図解
閉域網・LLM・エージェント基盤を組み合わせて運用する

クローズドAIエージェントとは|専用環境で重要データを活用

クローズドAIエージェントは、NTTドコモビジネスとエクサウィザーズが共同開発したサービスです。

エクサウィザーズのAIエージェント開発・運用プラットフォームと、NTTドコモビジネスのインフラ基盤を組み合わせています。

サービスの主眼は、機微データを扱う企業がAIエージェントを業務へ組み込める環境を用意することです。

AIエージェントの開発機能だけでなく、基盤の構築と運用を含めて提供する点が特徴です。

利用企業は、データを扱う業務と必要なエージェントの役割を整理して、専用環境の構成を検討します。

閉域ネットワークを使うため、業務データやプロンプトが外部のAIサービスへ送信されない構成です。

企業向けエージェント基盤は、機能だけでなく運用設計も確認します。

Gemini Enterprise Agent Platformのような基盤も、業務との接続を含めて検討します。

ポイント

クローズドAIエージェントは、専用環境で重要データを扱うためのサービスです。ネットワーク、LLM、エージェント基盤を組み合わせて業務利用を支えます。

構成の3要素|閉域網・tsuzumi 2・エージェント基盤

クローズドAIエージェントを構成する閉域ネットワーク、LLM、exaBase Studioの関係図
ネットワーク、LLM、基盤が専用環境で連携する

サービスの構成は、データを守るネットワーク、回答を生成するLLM、業務を実行する基盤の3層で整理できます。

  • 閉域ネットワーク:データを外部へ持ち出さずに運用する基盤
  • LLM:NTTが開発したtsuzumi 2、またはオープンソースLLMを選択
  • エージェント基盤:exaBase StudioでAIエージェントを開発・運用

専有GPUとKubernetesアーキテクチャも採用しています。安定した処理性能と高いセキュリティを両立する設計です。

NTTドコモビジネスは、閉域ネットワーク、データセンター、GPU基盤を提供します。

同社は専用環境の構築から運用、保守、セキュリティ管理までを担当します。

エクサウィザーズは、exaBase StudioによるAIエージェントの開発と運用を担います。

この役割分担により、AIエージェントの機能とインフラの管理範囲を分けて整理できます。

企業側は、業務要件をエージェント側へ伝え、データ管理の条件をインフラ側と確認します。

専用環境を導入する際は、役割分担を契約や運用手順へ落とし込むことが重要です。

tsuzumi 2は、顧客専用環境で実行するLLMの選択肢の一つです。国産LLMを使う構成を検討できる点が特徴です。

LLMとエージェント基盤を顧客専用環境で動かすことで、業務データを扱う場所を整理しやすくなります。

また、オープンソースLLMも選択肢に含まれます。業務要件に応じて構成を検討する余地があります。

専有GPUとKubernetesは、AIエージェントを支える処理基盤の要素です。運用設計と合わせて確認します。

ポイント

閉域ネットワークがデータの経路を支え、tsuzumi 2などのLLMが処理を担います。exaBase Studioがその上でAIエージェントの開発と運用を支えます。

2つの提供形態|プライベートクラウドとオンプレミス

プライベートクラウド版とオンプレミス版の環境と運用範囲を比べる図解
専用クラウド利用と自社環境内完結を比較する

クローズドAIエージェントには、プライベートクラウド版とオンプレミス版があります。

提供形態構成選定時の視点
プライベートクラウド版顧客専用クラウドを閉域ネットワーク経由で利用専用環境と閉域接続を組み合わせる
オンプレミス版ハードウェアからLLM、AIエージェントまで自社環境内で運用国内環境でデータとAI基盤の主権を確保する

プライベートクラウド版は、顧客専用に構築されたクラウドを閉域ネットワーク経由で使います。

オンプレミス版は、ハードウェアからLLM、AIエージェントまでを国内かつ自社環境内で完結できます。

どちらもNTTドコモビジネスが専用環境の構築から運用、保守、セキュリティ管理まで担当します。

プライベートクラウド版では、顧客専用に構築されたクラウドと閉域ネットワークの組み合わせを確認します。

オンプレミス版では、ハードウェア、LLM、AIエージェントの範囲が自社環境内で完結するかを見ます。

提供形態の違いは、単なる設置場所ではありません。データとAI基盤をどこで管理するかに関わります。

ポイント

閉域接続を使う専用クラウドか、自社環境内で完結するオンプレミスかを選べます。判断では、データ主権と自社の運用要件を並べて確認します。

想定用途|機微データを扱う業務へAIエージェントを組み込む

想定されているのは、外部クラウドAIへ預けることに慎重な機微データを使う業務です。

  • 設計図面の検索や確認
  • 技術文書の整理や参照
  • 契約情報や顧客情報を使う業務
  • 業界・業務に特化したAIエージェントの開発

設計図面を扱う場合は、専用環境で参照させる情報の範囲を決めます。業務で必要なデータだけを対象にします。

技術文書を扱う場合も、文書を保管する場所とAIエージェントが参照する範囲を整理します。

契約情報や顧客情報を使う業務では、情報の重要度と接続経路を確認してから利用範囲を決めます。

業界・業務特化型のAIエージェントを開発する場合は、基盤の運用担当と業務側の担当を分けて整理します。

こうした業務では、回答の便利さだけでなく、どのデータがどこを通るかが導入条件になります。

機微データを使う業務ほど、利用者の範囲と参照する情報の範囲を分けて考えます。

AIエージェントの導入では、基盤の構成と業務のルールを同時に設計することが大切です。

専用環境を使う場合も、業務側の責任者とIT側の担当者が同じ条件を共有します。

AIエージェントを社内へ広げる際は、社内AIエージェント基盤の活用で扱われる運用面も参考になります。

ポイント

主な用途は、設計図面、技術文書、契約情報、顧客情報などを使う業務です。業務特化型AIエージェントの開発も想定されています。

導入判断の確認ポイント|データ分類・接続経路・運用体制

クローズドAIエージェント導入時のデータ分類、接続経路、運用体制の確認項目
導入前に3つの管理項目を確認する

導入を検討するときは、サービスの機能だけでなく、自社の管理方法との適合性を確認します。

  • データ分類:設計図面、契約情報、顧客情報などを重要度ごとに整理する
  • 接続経路:業務データとプロンプトが外部へ送信されない構成を確認する
  • 運用体制:構築、運用、保守、セキュリティ管理の担当範囲を確認する

データ分類では、AIエージェントに扱わせる情報の範囲を先に決めます。

接続経路では、閉域ネットワークの対象範囲と、外部サービスへ送信されない構成を確認します。

運用体制では、NTTドコモビジネスと自社の責任分界を整理します。エージェントの開発・運用担当も明確にします。

データ分類と接続経路を先に決めると、プライベートクラウド版とオンプレミス版の比較がしやすくなります。

運用体制では、インフラの保守とAIエージェントの開発・運用を分けて、担当範囲を確認します。

セキュリティ管理の担当者も決めます。問題が起きたときの連絡先と判断者を事前に整理します。

この3点を要件定義に入れると、専用環境を導入した後の業務運用まで検討できます。

ポイント

導入判断では、扱うデータ、データの接続経路、導入後の運用体制を一体で確認します。専用環境を選ぶだけでなく、責任分界まで決めることが重要です。

導入検討の進め方|要件を専用環境の構成へ落とし込む

導入検討では、先にデータと業務を整理し、その後に提供形態を比較します。

  • 対象業務を決める:機微データを使う業務とAIエージェントの役割を整理する
  • データ範囲を決める:設計図面や契約情報など、扱う情報を分類する
  • 接続経路を決める:閉域ネットワークと専用環境の範囲を確認する
  • 運用分担を決める:構築、保守、セキュリティ管理、エージェント運用の担当を整理する

対象業務を決めると、必要なデータとAIエージェントの役割が明確になります。

データ範囲を決めると、専用環境に接続する情報と、扱わない情報を分けられます。

接続経路と運用分担まで決めることで、導入後に誰が管理するかも明確になります。

ポイント

導入は、対象業務、データ範囲、接続経路、運用分担の順に整理すると進めやすくなります。最後にプライベートクラウド版とオンプレミス版を比較します。

よくある質問(FAQ)

Q. クローズドAIエージェントは誰が提供しますか?

NTTドコモビジネスとエクサウィザーズが共同開発したサービスです。2026年8月17日に発表され、同日から提供が開始されました。

Q. どのLLMを利用できますか?

NTTが開発した大規模言語モデルのtsuzumi 2、またはオープンソースLLMを顧客専用環境で選択して実行できます。

Q. 提供形態は何がありますか?

プライベートクラウド版とオンプレミス版があります。前者は顧客専用クラウドを閉域経由で使い、後者は自社環境内で完結して運用します。

Q. どのようなデータの活用を想定していますか?

設計図面、技術文書、契約情報、顧客情報などの機微データを使う業務や、業界・業務特化型AIエージェントの開発を想定しています。

まとめ

クローズドAIエージェントは、NTTドコモビジネスとエクサウィザーズが共同開発したサービスです。

閉域ネットワーク、tsuzumi 2などのLLM、exaBase Studioを組み合わせ、重要データを専用環境で扱います。

導入時は、データ分類、接続経路、運用体制を確認し、自社の要件に合う提供形態を選びます。

ポイント

専用環境で機密データを扱うAIエージェントを検討するなら、構成だけでなく、データの範囲、接続経路、運用責任を確認してから導入形態を決めます。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。