Microsoftは2026年7月、「Copilot in Excel」にモデル選択機能を追加し、OpenAIの「GPT-5.6」とAnthropicの「Claude Opus 5」という2つのフロンティアモデルを選べるようにしました。一言でいえば、Excelでの分析作業を、日常業務向けのモデルと、複雑で重要な判断に強いモデルとで使い分けられるようになったということです。
これが重要なのは、表計算ソフトのAI機能が「関数を提案する」段階から「モデルを選んで分析を任せる」段階へ進んだ点です。インライン引用やSynced Copilotコネクタ、Power BIとの連携も同時に強化されており、Excelを業務の意思決定ツールとして使う企業にとって、どの機能をどう業務フローに組み込むかを具体的に検討できる材料が揃ってきました。
Copilot in Excelにモデル選択機能が追加された
2026年7月時点で、Copilot in Excelのモデル選択画面から、GPT-5.6とClaude Opus 5を切り替えられるようになりました。ユーザーは自分の作業内容に合わせて、直接モデルを選べます。
GPT-5.6は引き続き既定モデル
GPT-5.6は、知識労働向けに最適化され、多段階の推論に強いモデルとされています。Excelでは、より少ないトークンで深い分析をこなせるとされ、データから示唆を得るまでの作業を速められる点が特徴です。Copilot in Excelの既定モデルとして、日常的な分析や集計の大部分をカバーします。値下げの背景はGPT-5.6値下げで扱った通り、Luna・Terraの料金改定も進んでおり、コストを抑えながら使いやすいモデルになっています。
Claude Opus 5は複雑・高難度タスク向けの選択肢
Claude Opus 5は2026年7月24日にAnthropicがリリースしたモデルで、同月中にMicrosoft 365 Copilot(Word・Excel・PowerPoint・Copilot Chat・Copilot Cowork・Copilot Studio)へも展開されました。Excelでは、より高品質なモデリングと洗練されたワークブックの作成に強みがあるとされ、長時間・複雑・重要度の高いタスクで力を発揮する位置づけです。Microsoft自身も、GPT-5.6が日常業務の大半をこなす一方、Opus 5は「長く複雑で影響の大きい仕事」で真価を発揮すると説明しています。展開はWork IQと組み合わされ、組織固有のコンテキストに基づいた結果を返せるようにしている点も特徴です。
2つのモデルをどう使い分けるか
モデルを選べるようになったことで、Excelでの分析作業は「毎回同じモデルに任せる」から「作業内容に応じてモデルを選ぶ」に変わります。判断基準は、作業の複雑さと、結果を意思決定にどこまで使うかです。
日常の集計・分析はGPT-5.6で十分
売上集計、定型レポートの下書き、データの整形やピボット提案のような、繰り返し発生する作業は、既定モデルのGPT-5.6で進めるのが基本です。処理速度とコストのバランスが良く、日次・週次の運用に向いています。
意思決定に関わるモデリングはOpus 5へ
予算計画や事業計画のモデリング、複数シートにまたがる複雑な数式設計、経営会議に出す資料のように、誤りが事業判断へ直結する作業では、Opus 5への切り替えを検討します。処理時間やコストは増えますが、品質を優先すべき場面では妥当な選択です。生成AI活用事例のように、どの作業にどのモデルを使ったかを記録しておくと、社内のモデル選定ルールを育てやすくなります。
モデル以外の新機能:引用・コネクタ・Power BI
2026年7月のExcel向けアップデートでは、モデル選択に加えて、回答の検証や社内データとの接続を強化する機能も追加されています。
インライン引用で回答の根拠を確認できる
Copilotの回答内容を、参照元の該当箇所まで遡って確認できる「インライン引用」が導入されました。生成された数値や説明をそのまま信じるのではなく、根拠となったデータの位置を確認する運用がしやすくなります。
Synced Copilotコネクタで社内データを直接取り込む
「Synced Copilotコネクタ」が一般提供され、業務システムのチケットやCRMレコードなどの社内データを、Excelのグリッドへ直接取り込めるようになりました。あわせてPower BIとの連携(グラウンディング)も強化され、行レベルのセキュリティを保ったまま分析に活用できます。社内システムとの接続を伴う点は、AIエージェントの権限設計とも関わるため、アクセス範囲の設定を事前に確認しておくと安心です。
GPT-5.6とClaude Opus 5を比較する
| 項目 | GPT-5.6 | Claude Opus 5 |
|---|---|---|
| Copilot in Excelでの位置づけ | 既定モデル | 選択可能な追加モデル |
| 得意な場面 | 日常の集計・多段階分析をトークン効率よく処理 | 複雑・長時間・重要度の高いモデリング |
| 展開範囲(M365 Copilot) | Word・Excel・PowerPoint等で既定 | Word・Excel・PowerPoint・Copilot Chat・Cowork・Studio |
| API参考料金(100万トークン) | Terra:入力2ドル・出力12ドル | 入力5ドル・出力25ドル |
| 提供開始 | 2026年7月、Copilotの既定モデルに | 2026年7月24日リリース、同月中にCopilotへ展開 |
API単体の参考料金では、GPT-5.6 Terraの方がClaude Opus 5より安価ですが、Copilot上での体感コストはライセンス形態やトークン消費量によって変わります。料金だけでなく、モデリングの品質や処理時間を実際の業務データで比較することをおすすめします。
実務での導入ポイント・注意点
モデル選択機能を業務へ取り入れる際は、まず自社の代表的なExcel業務を洗い出し、GPT-5.6とOpus 5の両方で試して結果を比較することから始めます。ブランドキット・テーマデザインスキルのような体裁の自動化機能もあわせて活用すると、社内資料の統一にも役立ちます。また、地域やテナントの設定によって機能の展開時期が異なる場合があるため、自社環境での利用可否は管理者に確認してください。
まとめ:モデルを選べるExcelは「使い分け」が前提になる
Copilot in ExcelへのGPT-5.6・Claude Opus 5対応は、表計算のAI活用が単一モデル依存から、作業内容に応じた使い分けへ進んだことを示しています。日常業務はGPT-5.6、重要な意思決定モデリングはOpus 5というように役割を分け、インライン引用やコネクタも組み合わせながら、自社の業務フローに合った運用ルールを作っていきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. Copilot in Excelで使えるモデルは何ですか?
2026年7月時点で、OpenAIのGPT-5.6(既定モデル)と、AnthropicのClaude Opus 5を選択できます。
Q. GPT-5.6とClaude Opus 5はどう使い分ければよいですか?
日常の集計や分析はGPT-5.6で十分カバーでき、予算計画や複雑なモデリングなど、意思決定に直結する高難度な作業ではClaude Opus 5への切り替えが有効です。
Q. Claude Opus 5はExcel以外でも使えますか?
Word・PowerPoint・Copilot Chat・Copilot Cowork・Copilot Studioにも展開されています(地域・テナント設定により提供時期が異なる場合があります)。
Q. インライン引用やコネクタはどんな機能ですか?
インライン引用はCopilotの回答を参照元の該当箇所まで遡って確認できる機能です。Synced Copilotコネクタは、社内システムのデータをExcelのグリッドに直接取り込める機能で、Power BIとの連携も強化されています。
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