Google CloudでGPT-6 Astraが使える|Model Gardenで請求とモデル選定を一元化

Google Cloudは2026年10月21日、Model GardenにOpenAIのGPT-6 Astra、GPT-6.1 Sol、GPT-6 Lunaを追加すると発表しました。3モデルは選定企業向けのプライベートプレビューとして提供が始まっています。

OpenAI、Gemini、Claudeなど複数のモデルを同じGoogle CloudのAI基盤で比べられるため、業務ごとにモデルを選ぶ運用がしやすくなります。OpenAIモデルの利用額をGoogle Cloudの請求にまとめられる点も、調達やクラウド費用を管理する企業にとって判断材料です。

ただし、現時点では一般提供ではありません。利用申請、対象プロジェクト、IAM、リージョン別料金、データ境界、監査ログを先に確認し、プレビューで評価する範囲を決める必要があります。

※本記事は2026年10月23日時点の情報です。

Google CloudのModel Gardenを中心に、GPT-6 Astra・GPT-6.1 Sol・GPT-6 Luna・Gemini・Claudeを同じ基盤で選べる構成
OpenAIの3モデルが加わり、GeminiやClaudeと同じ基盤で比べられる

Model GardenにOpenAI 3モデル|用途別に選べる構成へ

今回加わったのは、GPT-6 Astra、GPT-6.1 Sol、GPT-6 Lunaです。Google Cloudは、200超のファーストパーティー・サードパーティー・オープンモデルを扱うModel Gardenに、クローズドソースの主要LLM 3種をそろえると説明しています。

3モデルは同じ役割ではありません。GPT-6 Astraはコーディング、コンピュータ利用、専門業務、科学研究など難しい仕事向けです。GPT-6.1 SolはAstraに近い知能をより低いコストで使う位置づけで、エージェント型コーディングや専門業務に向きます。GPT-6 Lunaは日常業務を大規模に処理する高速・コスト効率重視のモデルです。

モデル公式発表で示された主な用途選定の軸
GPT-6 Astraコーディング、コンピュータ利用、専門業務、科学研究難しい仕事の品質
GPT-6.1 Solエージェント型コーディング、コンピュータ利用、専門業務品質とコストのバランス
GPT-6 Luna日常業務を大規模に処理速度と処理量

実際のモデル選定では、名称の序列だけで決めないことが大切です。問い合わせ分類はGPT-6 Luna、コードレビューはGPT-6.1 Solというように仮説を置きます。研究・設計のように失敗コストが高い仕事にはGPT-6 Astraを割り当て、同じ入力で品質、レイテンシ、利用量を測ります。モデルを比較する際は、同一指示でAIモデル11種を比較した実験のように、業務に近いタスクを評価材料にしてください。

Marketplaceで請求を一元化|既存コミットメントとFSPも確認

OpenAIモデルはGoogle Cloud Marketplace経由で取引されます。Google Cloudの発表では、利用額が1つのGoogle Cloud請求書に表示される仕組みです。既存のクラウドコミットメントを消化し、モデルプロバイダーをまたいでFlexible Savings Plans(FSP)に算入されると説明されています。

Marketplaceの手続きは、対象モデルの商品ページを開いて有効化し、必要なフォームと規約に同意したうえで「Manage on Vertex AI」からModel Gardenを使う流れです。購入・デプロイに必要なIAMロールと、利用するGoogle Cloudプロジェクトを先にそろえます。

Google Cloud MarketplaceからModel Gardenを使い、利用額がGoogle Cloud請求書にまとまり、既存コミットメントとFSPに算入される流れ
利用額は1つのGoogle Cloud請求書にまとまる。FSPの対象範囲は別途確認する

FSPは、対象製品の月間最低利用額を1年または3年の期間でコミットする仕組みです。対象となるサードパーティーモデルの利用額がFSPに算入されても、サードパーティー製品に追加割引が適用されるとは限りません。未使用分は翌月に繰り越されないため、既存の利用量と月間コミットメントを照合します。

リージョンによって料金が変わるモデルでは、リクエストを送るエンドポイントの場所が請求額に影響します。購買担当者はモデルの単価だけでなく、請求先、コミットメントの消化、FSPの対象SKU、利用リージョンを同じ表にしてから申請を進めると判断しやすくなります。

ポイント

一元請求は経理処理を簡素化しますが、FSPの対象範囲や未使用分の扱いは別途確認が必要です。利用リージョンと契約条件を含めた実効単価で判断してください。

企業のモデル選定|固定せず切り替える設計に

Google Cloudは、性能、レイテンシ、コスト効率に応じてModel Gardenのモデルを動的に選択・切り替えられると説明しています。1つのモデルにアプリケーションを固定するより、業務ごとの評価結果に合わせて使い分ける考え方です。

この設計を採るなら、アプリケーションの処理とモデル固有の設定を分けます。モデル名、入力形式、出力の評価方法、失敗時の再試行、利用量の記録を共通の設定で管理し、業務ごとに切り替え条件を持たせます。モデルを変えたときに回答品質が下がっても、ログから差分を追える状態が必要です。

Google CloudのAPI Gatewayには、OpenAI互換リクエストを受け、Model Gardenのモデルへルーティングする公開プレビューの仕組みもあります。モデル名をJSONペイロードで指定する方式ですが、OpenAPI 3.x仕様などの条件があり、VPC Service Controlsにも制約があります。GPT-6 Astra、GPT-6.1 Sol、GPT-6 Lunaで使える機能は、各モデルの提供条件を別に確認してください。

モデルの選択肢を増やすと、評価の手間も増えます。自社の代表タスクを数件に絞り、品質、速度、コスト、失敗時の扱いを測る評価表を先に作ると、切り替えを自動化する範囲を決められます。GPT-6.1 SolとGPT-6 Lunaの特徴は、GPT-6 Sol・Lunaの使い分けも参考になります。

ポイント

モデルを切り替える前に、品質評価とログの形式を共通化します。モデル名をコードに埋め込まず、業務ごとの採用条件を設定として管理すると、将来の選択肢を残せます。

プライベートプレビューの始め方|申請と権限を先に整える

3モデルは選定企業向けのプライベートプレビューです。Google Cloudは利用希望者にフォームへの登録を案内しています。APIを通じた開発に加え、ローカルのCodex CLI・DesktopワークフローをGeminiプラットフォームに接続した推論も始められると説明しています。

評価を始める順序は、まず利用目的と対象データを定め、次にプレビューへの申請、対象プロジェクト、IAMロール、規約、利用リージョンをそろえる流れです。Marketplace側でモデルを有効化できる状態になったら、少量の代表タスクで品質とレイテンシを測ります。

この段階で本番データをすぐ流す必要はありません。機密区分を分けた評価用データを用意し、入力と出力の記録方法、利用量の上限、停止手順を決めます。プライベートプレビューから一般提供へ移る際の条件や、モデルの仕様変更も契約担当と確認してください。

Google Cloudは、OpenAIモデルをGemini for businessとGoogle Antigravityでも提供する予定を示しています。2026年10月23日時点では「Coming soon」です。利用できる画面や契約がそろっていると扱わず、現在使えるAPIと将来の提供予定を社内資料で分けて記載します。

既存のGPT-6 Astraの評価軸と、GPT-6 AstraとGPT-5.6 Solの比較で使われている性能・速度・料金の観点を組み合わせると、評価項目を作りやすくなります。料金の数値は契約条件によって変わるため、実際のMarketplace表示を基準にします。

データ境界と監査|Google Cloudの説明を自社要件に照合

Google Cloudは、顧客のプロンプト、コンテキスト、出力を指定されたデータ境界内に置くと説明しています。これらは基盤モデルの訓練には使わないとされています。OpenAIモデルは専用のGoogle Cloudインフラで動き、クエリは分離されたゲートウェイを通ります。

Google Cloudが挙げるデータ保護と監査の項目。データ境界・専用インフラ・認証済みID・VPC Service Controls・統合監査ログは利用でき、ZDRとConfidential Computeは今後の提供予定
利用できる機能と「Coming soon」の機能を分けて要件表に照合する

監査面では、認証済みIDによるエージェント・モデルの操作可視化、VPC Service Controls、統合監査ログが挙げられています。一方、Zero Data Retention(ZDR)とConfidential Computeは今後の提供予定です。利用できる機能と予定機能を同じ要件として扱わないことが、承認時のポイントになります。

導入前には、次の項目をセキュリティ、クラウド運用、法務、購買で分担して確認します。

  • データ境界:プロンプト、コンテキスト、出力の保存・利用条件と自社の機密区分を照合する
  • アクセス制御:IAM、VPC Service Controls、利用プロジェクト、モデルごとの権限を整理する
  • 監査:認証済みID、操作ログ、利用量、モデル切り替え履歴を追跡できるか確かめる
  • 提供状態:プライベートプレビューと「Coming soon」の機能を本番要件から分ける

ポイント

Google Cloud上で利用できることと、自社のデータ・監査要件を満たすことは別の判断です。プレビューの提供状態、予定機能、構成ごとの制約を要件表で照合してください。

よくある質問

Q. Google CloudでGPT-6 Astraをすぐ使えますか?

GPT-6 Astraは、GPT-6.1 SolとGPT-6 Lunaとともに選定企業向けのプライベートプレビューで提供されています。利用希望者はGoogle Cloudの案内フォームから申請します。

Q. OpenAIモデルの利用料金はGoogle Cloudの請求にまとめられますか?

OpenAIモデルはGoogle Cloud Marketplace経由で取引され、利用額は1つのGoogle Cloud請求書に表示されます。既存のクラウドコミットメントを消化し、対象となる利用額はFSPに算入されます。

Q. GPT-6 Astra、GPT-6.1 Sol、GPT-6 Lunaはどう使い分けますか?

GPT-6 Astraは難しい専門業務、GPT-6.1 Solは品質とコストのバランスが必要なエージェント型業務、GPT-6 Lunaは日常業務の大量処理を軸に評価します。実際の業務タスクで品質、レイテンシ、コストを測って決めます。

まとめ

Google CloudのModel GardenにGPT-6 Astra、GPT-6.1 Sol、GPT-6 Lunaが加わり、企業は複数のモデルを同じ基盤で評価できるようになります。OpenAIモデルの利用額をGoogle Cloudの請求にまとめ、既存コミットメントやFSPへの算入を検討できる点も特徴です。

まずはプライベートプレビューの申請条件と、Marketplace、IAM、リージョン別料金を確認します。そのうえで代表タスクを使って3モデルを比べ、データ境界、監査、モデル切り替えの条件を決めてから本番利用へ進めてください。

ポイント

評価対象をGPT-6 Astraだけに絞らず、GPT-6.1 SolとGPT-6 Lunaを含めて業務別に比較します。費用、品質、データ保護、提供状態を同じ判断表で見れば、導入後の切り替えも設計しやすくなります。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。