Looker Studio導入のフルスクラッチ・オーダーメイド開発について

Looker Studioのようなパッケージ型ツールとフルスクラッチは、費用・期間・自由度と独自要件の有無で選ぶと、無駄な投資を避けたデータ活用につながります。

LookerはGoogle Cloud傘下のエンタープライズ向けBIプラットフォームで、Looker Studioとは別の製品です。

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パッケージ型ツールとフルスクラッチの違い

データ活用の方法は、パッケージ型ツールの利用とフルスクラッチ開発に大別できます。両者は初期費用、開発期間、自由度がそれぞれ異なるため、特徴を把握してから選ぶことが前提になります。

パッケージ型ツールとしてのLooker Studio

パッケージ型は、事業者が用意した製品を契約して使う形態です。Looker Studioはその代表例です。

Looker Studioは旧Google Data Studioのクラウド型可視化ツールです。

  • 始めやすさ:無料版ならライセンス費用がかかりません。
  • 導入の速さ:初期費用を抑え、即日から1か月程度で利用できます。
  • 接続の手軽さ:Googleのサービスとつながりやすい点です。
  • 運用負荷:サーバーなどのインフラ維持管理はGoogleが担います。
  • 仕様上の制約:細かなデザインや独自の複雑な要件には限界があります。

「まず可視化したい」「定型レポートを効率化したい」場合に適しています。Googleアカウントがあれば、GA4やスプレッドシート、Google広告、BigQueryなどに数クリックで接続できます。

Looker Studio Proなどの有償プランを組織で使う場合、利用者数に応じてライセンス費用が積み上がります。これはBIツール全般に見られるユーザー課金型の傾向で、大規模に使うほどコストが膨らむため注意が必要です。

それでも、多くの企業では、パッケージ型のLooker Studioで必要な可視化を実現できます。

フルスクラッチ・オーダーメイド開発の概要

フルスクラッチは、既製ツールを使わず、業務要件に合わせて分析・可視化システムを一から作る方法です。

  • 設計の自由度:業務フロー、UI、分析ロジックを自由に作り込めます。
  • 独自要件:既製ツールでは難しい業務プロセスにも対応できます。
  • 初期費用:1,000万円から1億円以上になることがあります。
  • 開発期間:6か月から2年を要することがあります。
  • 継続負担:インフラ費用に加え、自社で保守・運用する体制が要ります。

データの取り込みから可視化までを、自社専用に設計して実装します。その代わり、費用と期間はパッケージ型と桁違いになることがあります。

同じ可視化でも、無料のLooker Studioと数千万円規模のフルスクラッチでは費用差が大きくなります。

自社専用であることだけを理由に選ぶと、投資に見合わないことがあります。そのため、特殊要件があるかを冷静に見極める必要があります。

ポイント

パッケージ型は費用と期間を抑えやすく、フルスクラッチは自由度と引き換えに費用と期間が大きくなります。方式を選ぶ前に、自社の要件がどちらで満たせるかを比べてください。

費用・期間・メリットの比較

パッケージ型とフルスクラッチの初期費用と利用開始までを左右に並べた比較図。
導入の速さと投資規模に大きな開きがあります。

初期費用、運用費、開発期間を比べ、メリットとデメリットも並べると、選定の材料が見えてきます。

多くの場合はパッケージ型で十分ですが、フルスクラッチが選ばれる特殊なケースもあります。

初期費用・ランニングコスト・開発期間の比較

費用と期間の違いは大きいため、方式を決める際の判断材料として重要です。

  • Looker Studioの初期費用:無料版ならほぼ不要です。
  • Proの費用:月額数万円から数十万円程度です。
  • フルスクラッチの初期費用:1,000万円から1億円以上です。
  • 利用開始まで:Looker Studioは即日から1か月程度、フルスクラッチは6か月から2年です。
  • 運用費:クラウドの従量課金と、インフラや自社保守の費用です。

無料版ならライセンス費用は0円ですが、BigQueryなど接続先の従量課金が発生します。

インフラの維持管理は、パッケージ型では事業者が担います。一方で、フルスクラッチはインフラ維持費と自社の保守・運用費が続きます。

初期費用と運用費はパッケージ型の方が軽く、費用と期間の差は数割どころか桁違いです。

「無料で1か月」から「数千万円で1年以上」まで幅があるため、自社の要件に合う方式を見極めることが大切です。

メリット・デメリットの比較

費用や期間に加えて、使いやすさと自由度、運用負荷も比べます。

  • パッケージ型の利点:早く始められ、初期投資と運用負荷を抑えられます。
  • パッケージ型の制約:仕様内での利用となり、有償プランは利用者増で費用が膨らみます。
  • フルスクラッチの利点:業務フロー、UI、分析ロジックを自由に作り込み、独自要件にも合わせられます。
  • フルスクラッチの負担:高度な開発体制と多額の費用・期間が要り、完成後は自社で運用することになります。

大多数の企業では、パッケージ型のメリットがデメリットを上回ります。一般的な可視化や定型レポートの効率化なら、無料のLooker Studioで目的を達成できます。

完全な自由度が必要になるのは、後述する限られた特殊要件を持つケースです。

ポイント

費用と期間の差は桁違いになることがあるため、先に既製ツールで足りる範囲を見積もり、そのうえで投資の要否を考えてください。

フルスクラッチを選ぶべき特殊要件

独自ロジックと外部送信の制限を、フルスクラッチ検討時の条件として並べたチェックリスト図。
どちらの条件もなければ、既製ツールの実現性確認が判断の起点です。

費用と期間ではパッケージ型のLooker Studioが有利なため、フルスクラッチには明確な理由が必要です。

フルスクラッチが正当化される2つの条件

フルスクラッチを検討する条件は、独自ロジックかセキュリティ上の制約のどちらかです。

  • 独自ロジック:業界固有のアルゴリズムが競争優位の源泉です。
  • 外部送信の制限:機密性が高く、外部SaaSやAPIにデータを送れません。

たとえば、他社にない需要予測モデルや独自の分析手法が事業の核で、既製ツールに収まらない場合は投資価値があります。

また、クラウド上で処理するLooker Studioなどは、データを外部に一切出せない企業では使いにくいことがあります。その制約がある場合は、自社の管理下で完結するシステムが必要になることがあります。

どちらにも当てはまらなければ、フルスクラッチを選ぶ積極的な理由は乏しいといえます。

まずは、自社に該当する条件があるかを確かめてください。多くの場合は該当せず、無料のLooker Studioで十分です。

「費用10倍・成果見合わず」を避ける判断

特殊要件がないのに選ぶと、開発費用が10倍になっても成果が見合わないことがあります。これは実際によくある失敗で、自社専用の方がよいという思い込みや、無料ツールへの漠然とした不安が原因になります。

失敗を避けるため、発注側は要件ごとに、既製ツールで実現できるかを確かめます。

  1. 実現したい要件の洗い出し
  2. 各要件をパッケージ型で実現できるかの検証
  3. 実現できない要件が不可欠か、投資に見合う価値を生むかの判断

特に、多くの要件は、標準機能や計算フィールド、データブレンドで実現できます。

検証を省くと、既製ツールで足りる機能まで作り直すことになり、費用が膨らむおそれがあります。

原則は最小のコストで成果を出すことで、フルスクラッチは最後の手段です。パッケージ型で実現できないかを徹底して検討することが、無駄な投資を避ける防御策になります。

ポイント

独自ロジックや外部送信の制限といった明確な理由がなければ、フルスクラッチを選ぶ根拠は乏しくなります。まずは既製ツールで実現できるかを確かめてください。

現実的な選択とハイブリッド活用

標準業務、特殊処理、上位ツールの3つの活用視点をカードで示した図。
標準機能で始め、必要な処理や統制要件に応じて選択肢を広げます。

現実的な方法は、パッケージ型を中心に据え、本当に必要な部分だけを作り込むことです。どちらか一方に決めるより、双方の強みを組み合わせたほうが、目的達成にかかるコストを抑えられます。

パッケージ活用とのハイブリッドと上位ツールへの発展

標準的な可視化はパッケージ型で行い、既製ツールでは難しい部分だけを個別に開発します。

  • 標準業務:日常のKPI確認や部門別レポートは、無料版で構築できます。
  • 特殊処理:独自予測だけを別途開発し、その結果をLooker Studioで見られるようにします。
  • 上位ツール:大規模組織のガバナンスには、Lookerが適する可能性があります。

標準機能で済む部分の開発費を抑えられるため、投資を独自要件に集中できます。

Looker Studioのカスタマイズに限界を感じた場合でも、次の選択肢がフルスクラッチとは限りません。

たとえば、数百人が同じ指標を共有し、強固なガバナンスやデータモデリングが必要な場合は、Lookerが候補になります。

LookerではLookMLを使い、指標の定義をまとめて管理できます。

発展先には、フルスクラッチと上位のパッケージ型があります。多くの場合は、上位のパッケージ型が現実的です。

フルスクラッチは、前述の特殊要件がある場合の最終手段と位置づけます。

導入プロセスの注意点

どの方式でも、要件からデータ、テスト、運用まで、順に押さえることが大切です。

  1. 要件定義での、利用者・業務・見るべきKPIの具体化
  2. データ設計とKPI定義の統一
  3. 見た目より数値のずれを確かめ、元データと照合すること
  4. 指標や定義、UIの変更に備えた、改善体制と予算の確保

要件が曖昧だと、方式にかかわらず活用されないシステムになるおそれがあります。また、フルスクラッチを選ぶ場合も、要件をパッケージ型で実現できないかを一つずつ検証しておきます。

部署ごとに「売上」などの定義がずれると、システムが示す数値を信頼できなくなります。

工数の大半は画面作成よりも、データ抽出、クレンジング、統合などの整備にかかります。データ整備の必要性は、Looker Studioでもフルスクラッチでも変わりません。

まずは無料のLooker Studioで小さく始め、定着支援と継続改善の体制を整えます。本当に必要になったときに限って大きな投資を検討するのが堅実です。

ポイント

パッケージ型で標準的な可視化を行い、既製ツールで難しい部分だけを個別に開発する組み合わせが現実的です。フルスクラッチは、特殊要件がある場合の最終手段と考えてください。

まとめ

Looker Studioは無料で即日から使える、パッケージ型ツールの代表例です。初期費用と運用負荷を抑えられるため、一般的な可視化や定型レポートには十分な場合があります。

フルスクラッチは初期費用が1,000万円から1億円以上、開発期間が6か月から2年を要することがあります。そのため、フルスクラッチを正当化できるのは、独自アルゴリズムが競争優位になる場合か、機密上クラウドにデータを出せない場合に限られます。

条件に当てはまらないのにフルスクラッチを選ぶと、費用が10倍になって成果が見合わない失敗を招きます。

まずパッケージ型で小さく始め、必要な部分だけ開発するのが現実的です。そのうえで、大きな投資は本当に必要になったときだけ検討します。

Looker Studioの限界を超えた場合は、上位BIのLookerが選択肢になります。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。