MOTION BOARD導入の開発期間・スケジュール・納期について

MOTION BOARD導入は、要件定義・可視化設計、データ連携・画面構築、テスト・定着の順に進みます。期間は規模によって変わり、小規模で1〜3ヶ月、大規模で6〜12ヶ月が目安です。

規模別の期間、工程ごとの配分、納期が延びる要因と対策を、発注する側の目線で見ていきます。

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MOTION BOARD導入とは何か─製品の位置づけ

Dr.Sumの高速集計とMOTION BOARDの可視化を左右に分けた図。
集計結果を受け取って画面に表示する関係が分かります。

MOTION BOARDの予定を正しく立てるには、製品の役割と、導入で作るものを分けて考える必要があります。MOTION BOARDは、整えたデータをダッシュボードや帳票に可視化するフロントエンド製品です。

一方で、データの集計と蓄積は、Dr.Sumなどの高速集計エンジンや既存のデータベース、DWHが担います。MOTION BOARDは、そのデータを受け取り、意思決定に使える形で表示します。

導入では、データソースと指標、閲覧者と画面を設計して構築します。製品の設定とデータ連携、可視化の定義の両方が、スケジュールを左右します。画面機能は完成済みの製品を使うため、スクラッチ開発と違って、期間の中心はデータ接続と見せ方の定義になります。

ダッシュボード・現場帳票の可視化フロントエンド

MOTION BOARDは、データを見せる機能に絞ったフロントエンドです。見せるための仕組みは、製品にあらかじめ組み込まれています。

  • 多彩な画面:地図上へのデータ表示、リアルタイム監視、複雑な現場帳票を作れます。
  • ノーコード構築:ドラッグ&ドロップで画面を組み立てられます。
  • 幅広い閲覧環境:アラートの表示や、タブレット、スマートフォンにも対応しています。

可視化の仕組みは製品にすでに実装済みで、この点が日程の見積もりに効いてきます。グラフの描画や画面操作、帳票の出力を一から開発しなくてよいため、短期間で構築できます。

経営会議から製造現場、店舗まで使えるため、用途は幅広くなります。さらに、画面構築が速い分、日程を左右するのはデータ整備と要件定義です。

Dr.Sumとの役割分担と国産製品の親和性

MOTION BOARDを理解するには、同じウイングアーク1st社のDr.Sumとの役割分担を知ることが近道です。Dr.Sumは大量のデータを高速に集計し、MOTION BOARDはその集計結果を可視化するフロントエンドです。

  • 両製品を連携:基幹データはDr.Sumで集計し、その結果をMOTION BOARDで表示します。
  • 単体で導入:既存のDWHなどに接続して、可視化だけを担えます。
  • 国内業務に対応:日本語でのサポートや、複雑な帳票要件への適合が見込めます。

両製品を組み合わせる構成では連携設計が、単体で導入する場合は接続先との連携が、期間を左右します。

MOTION BOARDは、データベースやDWHに加えて、クラウドサービスやExcelなどにも接続できます。Dr.Sumと組み合わせれば、集計から可視化までを同じ製品ファミリーの中で完結させられます。

ポイント

予定を立てる前に、データの集計と表示をそれぞれ誰が受け持つかを分けて確認してください。画面機能は完成済みなので、日程を見積もるときは、データ接続と見せ方の定義に重さを置くのが目安です。

規模別のMOTION BOARD導入期間の目安

小規模、中規模、大規模の導入構築期間と費用を3枚のカードで比べた図。
規模が上がるにつれて、期間と構築費の目安も大きくなります。

期間は、データソースの数や画面の複雑さのほか、権限管理や対象部門の広さで決まります。小規模、中規模、大規模の3つに分けて、期間と費用を見ていきます。

ここで示す金額には、MOTION BOARD本体のライセンス費を含みません。要件定義から本番リリースまでの導入構築(SI)を1プロジェクトとみなした目安で、データの整備状況によって前後します。

小規模(スモールスタート):1〜3ヶ月

小規模では、単一のデータソースと基本的な集計を使い、限定した画面や帳票を作ります。導入構築費は100万〜300万円程度、期間は1〜3ヶ月が目安です。

  • 月次売上:販売管理の売上データを使い、営業部向けの画面を作ります。
  • 経営向け表示:既存のDr.Sumの集計値を見やすくします。
  • 帳票の自動化:Excelで手作業していた現場帳票の置き換え。

データソースを1つに絞れば、製品の可視化機能を活かして、環境構築から画面作成までを短期間で進められます。見やすい画面が早くできて、帳票作成の手間が減ることを、現場も実感しやすい規模です。

全社の理想的な分析基盤を最初から目指すより、効果の見えやすい業務から始めるのが現実的です。得た手応えを次の展開につなげれば、投資効率を高められます。

中規模(本格的な業務利用):3〜6ヶ月

中規模では、複数のデータソースの統合やKPIの設計、権限管理を行います。複数の画面や帳票も整備し、導入構築費は300万〜1,500万円程度、期間は3〜6ヶ月が目安です。

  • 部門横断の統合:販売、在庫、会計などの数値を突き合わせます。
  • データ加工:更新時期や形式の違いを踏まえた、ETLと集計の設計。
  • 閲覧権限:経営層、部門長、現場担当者の役割に応じて制御します。

大量のデータを快適に閲覧するため、裏側の集計をDr.Sumなどに任せる構成もあります。その場合でも、部門と業務を要件定義の段階で洗い出し、指標と閲覧者も丁寧に決めておきます。

この洗い出しが不十分だと、後半の画面構築で手戻りが増えます。そのため、初期設計に時間をかけることが、3〜6ヶ月の期間を守る近道になります。

大規模(全社展開):6〜12ヶ月

大規模は、高度な分析や全社の監視も含み、多数の基幹システムと複数の部門を対象にします。導入構築費は1,500万〜3,000万円以上、期間は6〜12ヶ月が目安です。

  • 全社データ基盤:収集、統合、集計の仕組みを整えます。
  • 部門別の画面:役割ごとのダッシュボードを展開します。
  • 利用準備:ライセンスと権限の準備に加えて、教育や定着支援も計画します。

全社のデータを集約し、MOTION BOARDで部門別の画面を展開する構成が典型的です。この場合、データ活用基盤の整備が全体日程の中心になります。

基幹連携や帳票に実績のある国産製品でも、全社の連携方式やデータ量に応じた性能設計には、専門の工数が必要です。

閲覧者が数百人規模になる場合もあるため、利用準備は画面の構築と並行して計画します。

全社のデータ基盤まで含めると、費用はさらに大きくなることがあります。そのため、一度に完成させようとせず、部門や機能ごとに分けて段階的に広げます。

ポイント

規模は、データソースの数や画面の複雑さ、対象部門の広さで判断します。金額にはライセンス費が含まれないため、予算には別途加えてください。

工程別のスケジュールと期間配分

工程は、要件定義・可視化設計、データ連携・画面構築、テスト・定着の3つに分かれます。工数の配分は、要件定義が約10%、設計が10〜20%です。

データ加工と画面・帳票の構築を行う開発(構築)は40〜60%を占め、テストは10〜20%です。工程の中心になるのは、データ整備と見せ方の定義です。

見栄えのよい画面より、その前段にあたるデータの取り込みと整備、可視化内容の定義が導入の中心です。製品の機能が完成済みだからこそ、上流工程が成否を左右します。各工程の作業内容と期間配分を、順に見ていきます。

要件定義・可視化設計フェーズ:2週間〜2ヶ月

この工程では、誰が、どの業務で、どの指標を、どの画面で見るのかを具体化します。期間は規模に応じて2週間〜2ヶ月程度で、工数全体の約10%を占めます。

工程そのものは短くても、要件が曖昧だと、この先の作業すべてに響きます。プロジェクトの成否を大きく左右する段階です。

  • 対象と利用者:業務、データソース、閲覧者の決定
  • 指標定義:集計の前提と扱いを厳密に揃えること
  • 画面と運用:イメージの作成と、更新頻度の決定

「売上」や「粗利」でも、税込か税抜か、受注か計上か、返品や値引きをどう扱うかは、部署によって異なることがあります。定義が曖昧なまま画面を作ると、部署ごとに数値がずれ、正しい数字が分からなくなるおそれがあります。

現場の業務になじむ画面レイアウトも欠かせません。経営向けの要約なのか、日々の監視画面なのか、既存のExcel帳票の形式なのかによって、設計方針は変わります。

要件定義の段階で、対象業務や接続先を文書にまとめます。閲覧者や指標、画面、更新頻度も同じように書き出し、関係者全員で合意しておけば、手戻りを防げます。日本語で意思疎通しやすい利点を活かして、初期の確認に時間をかけると、全体の納期短縮につながります。

データ連携・ダッシュボード構築フェーズ:2〜3ヶ月

設計フェーズは工数の10〜20%で、期間は1〜2ヶ月です。データの設計と可視化の中身、権限の設計を固めてから、構築に進みます。

構築は工数全体の40〜60%を占め、期間は2〜3ヶ月程度です。画面を作るより、裏側のデータ処理に工数がかかります。

  • データ抽出:基幹システム、Dr.Sum、DWHからの取り込み
  • データ整備:欠損値や表記揺れの修正と、複数ソースの統合
  • 画面と権限:見せ方を定め、役割ごとの表示を制御します。

正しいデータがあれば、ノーコードで画面を速く作れます。ただし、データを整える作業には手間がかかります。特に、データ整備を後回しにして画面から作ると、不整合が後から見つかり、大きな手戻りになります。

期間が延びる原因には、データ連携や整備の見積もり不足があります。接続先の状態を要件定義の段階で把握し、必要な工数を見積もりに含めます。

テスト・定着フェーズ:1〜2ヶ月

テストは工数全体の10〜20%を占め、期間は1〜2ヶ月程度です。見た目だけでなく、表示される値の正確さを検証します。

  • 件数:元データとレコード数を照合します。
  • 金額:合計値の一致を確かめます。
  • 内訳:期間、部門、商品別の差分の洗い出し

表示値が基幹システムやDr.Sumのデータと合うかを、一つずつ突き合わせます。ずれの原因には、表示ロジックの誤り、元データの欠損、定義の解釈違いがあります。

検証を軽く見ると、リリース後に基幹システムの数字と合わない事態が起きます。現場が数字を信用しなくなれば、画面も使われなくなります。

数値の信頼性は、画面で見せる価値の土台です。だからこそ、丁寧なテストが定着の前提になります。

テスト完了や本番リリースの先にも、定着の取り組みが続きます。教育やマニュアル、初期の運用支援も計画に含め、現場にどの画面の数字を見て何を判断するのかを浸透させます。

現場が自ら画面を編集できる点は、MOTION BOARDの強みです。定着支援まで含めて計画することで、投資を活かせます。

ポイント

人員を配るときは、工数の多くを占める構築と、その前段のデータ整備に目を向けてください。要件定義とテストは、その前後で支える工程として見ます。

納期を左右する要因と遅延対策

要件の曖昧さ、データ整備の難航、検証工数の増加を並べた図。
要件・データ・検証の3領域に注意が必要です。

納期の超過には、典型的な原因があります。あらかじめ要因を把握して対策を講じれば、遅延のリスクを小さくできます。

納期遅延の典型的な要因

遅延の要因は、指標や要件の曖昧さ、データ連携や整備の難航、検証にかかる工数の膨張の3つです。

  • 要件の曖昧さ:数値定義が部門ごとにずれ、仕様変更や作り直しが起きます。
  • データ整備の難航:欠損や形式の不揃いが、加工を長引かせます。
  • 検証工数の増加:数値のずれの原因を特定するのに、時間がかかります。

ノーコードで画面を作れるため、要件が固まる前に試作を重ね、時間をかけてしまう場合もあります。複数のシステムを統合する場合は、更新時期やマスタの不一致も難易度を高めます。

検証では、表示ロジックだけでなく、データの欠損や定義の解釈違いも調べます。遅延の要因は、いずれも接続データと指標定義の品質に関わっています。そのため、要件定義とデータ整備に十分な時間をかけることで、後半の遅延リスクを抑えられます。

スモールスタートとフェーズ分割による納期の確保

納期を守るには、スモールスタートとフェーズ分割が有効です。全社の基盤を一度に作ろうとすると、費用と時間が膨らみ、遅延のリスクも高まります。

  • フェーズ1:特定の部門に絞って、動く画面をリリースします。
  • フェーズ2:運用で得た学びを次の設計に生かし、対象を広げます。
  • フェーズ3:経営画面や高度な分析を追加します。

最初は、単一のデータソースや重要な業務に絞ったMVP(実用最小限のシステム)として立ち上げます。たとえば、営業部の月次売上画面や、製造現場のリアルタイム監視などが挙げられます。

短期間で運用を始めると、可視化の効果を早く確かめられ、現場の意見も得られます。さらに、対象の部門や画面を段階的に広げれば、各段階の納期を守りやすくなります。

各段階で画面をリリースする進め方は、途中で頓挫するリスクを下げ、経営層や現場の支持にもつながります。また、ノーコードで素早く画面を作れる製品の特性にも合う進め方です。

ポイント

納期に不安があれば、要件の曖昧さとデータ整備の状況をまず確かめてください。一度に広げず、段階的に進めるほうが遅延リスクを抑えられます。

まとめ

MOTION BOARDは、ウイングアーク1st社の国産BIダッシュボード製品です。地図やグラフ、複雑な帳票、リアルタイム監視をノーコードで作れます。

Dr.Sumが裏側の集計を、MOTION BOARDが表側の可視化を担う構成がよく使われます。既存のデータベースやDWHに単体で接続することもできます。

期間の目安は、小規模が1〜3ヶ月、中規模が3〜6ヶ月、大規模が6〜12ヶ月です。期間を左右するのは、データ整備と、指標や画面の定義です。

指標の曖昧さやデータ統合、数値検証に備えるには、スモールスタートから段階的に広げる方法が有効です。接続先のデータを把握したうえで、導入実績のある開発パートナーと、現実的な予定を組みます。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。