MOTION BOARD導入のフルスクラッチ・オーダーメイド開発について

MOTION BOARD導入とフルスクラッチ開発は、独自性、費用と期間、保守体制を比べて選ぶと、過剰投資を避けた可視化基盤につながります。

Dr.Sumと組み合わせれば、集計から可視化まで製品内で完結し、既存のデータベースやDWHへの単体接続も可能です。投資判断中の方や、提案に迷う方にも、後悔を避ける判断の基準が身に付きます。各テーマの詳細は、関連記事もご覧ください。

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MOTION BOARD導入とフルスクラッチ開発の違い

パッケージの可視化機能と運用負荷、フルスクラッチの独自設計と開発負担を並べた図解
既製機能を使える範囲が、開発量や運用体制の違いにつながります。

データ可視化基盤を作る手段は、パッケージ製品の導入とフルスクラッチ開発に分かれます。両者の違いは、作らずに済む部分がどれだけあるかで大きく変わります。

MOTION BOARDは、グラフやダッシュボード、地図表現を備えたパッケージです。現場帳票やリアルタイム監視の機能も備えています。

導入時は、データソースや指標を設定します。さらに、利用者と表示画面も設定します。

フルスクラッチは、可視化の仕組みそのものを自社の要件に合わせて、一からプログラミングする方式です。たとえば、グラフ描画や画面操作、帳票出力も独自に開発します。

この違いは、開発量や費用、期間に表れます。また、必要な技術力にも大きな差が生じます。この根本的な違いを押さえることが、選択の出発点になります。続いて、各方式の特徴を具体的に見ていきます。

パッケージ製品(MOTION BOARD)導入の特徴

MOTION BOARDは、可視化に必要な機能が製品に実装済みです。そのため、開発を待たずにすぐ使い始められ、多くの画面もノーコードのドラッグ&ドロップで組み立てられます。

  • 可視化機能:グラフ、地図、帳票、リアルタイム監視やアラートを利用できます。
  • 運用負荷:インフラや基本機能の維持管理を、ベンダーに任せられます。
  • 国内対応:国産製品で日本語サポートがあり、国内特有の帳票や商習慣への適合実績も豊富です。

一方で、表現や画面の作り方は、製品の提供範囲や設定の柔軟性に左右されます。特殊な表現や独自の業務ロジックは、製品の想定を超える場合があります。

ただし、MOTION BOARDは可視化表現の幅が広く、ダッシュボードの工夫やDr.Sumなどとの連携で多くの要件に応えられます。制約が問題になるのは、独自性の高い特殊要件に限られます。

このため、多くの企業はパッケージの柔軟性の範囲で、十分に目的を達成できます。

フルスクラッチ・オーダーメイド開発の特徴

フルスクラッチなら、業務フローや画面UI、独自の可視化・分析ロジックを自由に設計できます。独自の見せ方や業界特有の複雑な帳票・画面にも、理論上は際限なく応えられます。

  • 独自設計:競争力となる可視化や操作を、他社が真似できない形で組み込めます。
  • 開発負担:描画エンジン、画面操作、データ連携、帳票、権限管理まで自前で作ります。
  • 運用負担:完成後の保守やインフラ管理も自社で担います。

自由度と引き換えに、開発費用と期間は非常に大きくなります。開発には、フロントエンドやデータエンジニアリング、システム設計の高度な技術力が必要です。こうした人材の確保も容易ではありません。

さらに、完成後も不具合対応や機能改修、ブラウザ・OS更新への追随が続きます。費用と期間だけでなく、保守運用を担う体制も欠かせません。

ポイント

迷ったときは、既製の機能で足りる部分がどれだけあるかを基準にします。足りる部分が多いほど、開発量と保守の負担を抑えやすく、パッケージ導入が向いています。

費用・期間・メリット/デメリットの比較

パッケージとフルスクラッチでは、費用や期間に大きな差があります。その差を左右するのは、既製機能をどこまで活用できるかです。具体的な数値を把握しておくことは、現実的な判断に欠かせません。

費用と期間、メリットとデメリットを並べて見ると、両方式の違いがはっきりします。

費用と期間の比較

完成後の負担まで含めると、両者の差はいっそう大きくなります。

  • パッケージ:ライセンス費は月額数万円から数十万円程度が目安です。
  • フルスクラッチ:初期費用は1,000万円から1億円以上に達することも珍しくなく、開発期間は6ヶ月から2年に及びます。
  • 開発と運用:グラフ描画やダッシュボード、連携、帳票を一から作るため、費用と期間が増えます。完成後の保守運用も自社負担となり、継続的な費用が発生します。

パッケージでは、初期費用は大きくかからないのが一般的です。ただし、データ連携やダッシュボード作成のSI費は別途かかります。可視化機能は実装済みのため、環境構築は即日から1ヶ月程度です。

初期費用や開発期間、保守負荷を踏まえると、MOTION BOARDのようなパッケージが有利になります。明確な理由がないままフルスクラッチを選ぶと、費用対効果が合わない場合もあります。

メリット・デメリットの比較

両方式には、費用と期間以外にも異なる利点と制約があります。導入後に重視する点を基準に比べると、選びやすくなります。

  • パッケージの利点:早期導入、ノーコードで現場が編集、ベンダー保守、地図や帳票など実績ある可視化機能。
  • パッケージの制約:仕様によるカスタマイズ限界と、利用者増加に伴うライセンス費用。
  • フルスクラッチの利点:業務フロー、画面UI、可視化ロジックを自由に設計できます。
  • フルスクラッチの制約:高額・長期の開発、フロントエンドやデータエンジニアの確保、インフラ保守の負担。

たとえば、特殊な表現は設定変更の範囲を超えることがあります。また、多くのデータ活用基盤はユーザー課金型のため、閲覧者が増えるとライセンス費が膨らみやすくなります。

多くの企業では、パッケージの恩恵が大きく、完全な自由度が必要になるケースは限られます。自社にとって重要な利点と、許容できない制約を見極めることが大切です。

ポイント

迷ったときは、初期費用だけで比べず、導入後の保守や運用の負担まで含めて判断してください。パッケージのライセンス費は利用者が増えるほど膨らむため、閲覧者の人数も判断に含めます。

どちらを選ぶべきか─判断基準

見える化、帳票作成、迅速な判断、小さく開始というパッケージ導入の目的を並べた図解
導入目的を先にそろえると、必要な開発範囲を見極めやすくなります。

「作り込みたい」という希望だけでなく、達成目的に沿った基準で選びます。

技術的な理想やベンダー提案に引かれ、必要以上に開発することもあります。

大切なのは、自社が達成したいことに立ち返り、過不足のない手段を選ぶことです。その判断では、パッケージで足りるケースと、フルスクラッチが正当化される特殊要件を分けて考えると進めやすくなります。

パッケージ(MOTION BOARD)を選ぶべきケース

可視化やダッシュボードによるモニタリング、現場帳票が主な目的で、特殊な独自アルゴリズムが不要なら、パッケージが適しています。多くの企業にとって、標準的な選択肢になります。

  • 見える化:散在するデータをダッシュボードで確認したい。
  • 帳票作成:Excelでの手作業による帳票作成から脱却したい。
  • 迅速な判断:経営や現場が数値を見て、リアルタイムに判断できる状態。
  • 小さく開始:低コストで試し、効果を見ながら段階的に広げたい。

ノーコードで短期間に画面を形にでき、低コストで試しながら効果を確認できます。さらに、国産製品のため日本語サポートがあり、国内帳票への対応実績も豊富です。

ERP、販売管理、会計システムのデータ可視化にも適しています。また、集計をDr.Sumに任せれば大量データを扱いやすく、オンプレミス版なら機密データを社外に出せない要件にも対応できます。

自社の条件に当てはまるなら、パッケージ製品の導入を中心に検討するのが賢明です。

フルスクラッチが正当化される特殊要件

初期費用が1,000万円を超えるフルスクラッチが正当化されるのは、特殊要件に該当する場合です。まずは、製品で代替できないかを事実に基づいて確かめます。

  • 独自の競争力:業界固有の分析や可視化が事業の武器で、既製品では実現できない。
  • 厳しい機密要件:データを外部サービスへ送信できない。
  • 要件の不適合:既存製品では複雑な可視化やシステム要件を満たせない。

外部送信を避ける要件は、MOTION BOARDのオンプレミス版を社内で運用すれば対応できる場合があります。そのため、必ずしもフルスクラッチだけが解決策になるとは限りません。

独自要件だと思っていた内容も、設定やダッシュボードの工夫、外部連携で実現できる場合があります。だからこそ、フルスクラッチを選ぶ前に、特殊要件に当たるかを具体的に検証することが欠かせません。

ポイント

フルスクラッチを選ぶのは、独自の競争力や厳しい機密要件など、既製品で満たせない要件がある場合に限られます。まずは、設定や外部連携で補えないかを検証してください。

中間解とコストを抑える鉄則

製品の既存機能を土台に、集計連携と不足部分の補完を重ねる中間解の3層図
必要な仕組みを上に加えるほど、独自開発の対象を絞れます。

パッケージ導入とフルスクラッチ開発は二択だと思われがちですが、製品を土台にする中間解もあります。過剰投資を避けながら、自社の要件を満たせる方法です。

「パッケージでは足りないが、フルスクラッチは重い」という悩みは、検討中の多くの企業が直面します。こうした悩みには、中間解を知ることが解決の糸口になります。

製品を土台にする中間解では、カスタマイズや外部連携で不足分を補い、先に製品で満たせないかを検証することが鍵になります。

製品+カスタマイズ・連携という中間解

製品だけでは要件を満たせず、かといってフルスクラッチは費用が大きすぎるとき、中間解が有力になります。不足部分だけを、カスタマイズや外部連携で補います。

MOTION BOARDは、豊富な可視化機能やデータ連携を備えています。そのため、ダッシュボードの作り込みや他システムとの連携によって、標準外の要件にも対応できます。

  • 既存機能を使う:標準の可視化機能を中心に組み立てる。
  • 集計を連携する:Dr.Sumなどの高速集計エンジンとの組み合わせ。
  • 不足部分を補う:特定の高度な処理だけを、外部の仕組みで実現します。

データ活用では、製品を核に必要な部分を補う方式で、フルスクラッチの5分の1から10分の1程度のコストで同等の成果を出せるケースが増えているとされています。

製品の制約を必要な範囲で補えば、すべてを自前で開発せずに済みます。製品で対応する要件と独自機能を分けて開発を絞ると、費用対効果が高まります。

「まず製品で満たせないか」を優先検証する鉄則

コストを抑える最大の鉄則は、製品や外部連携で要件を満たせるか先に検証することです。

  1. まず必要な要件を洗い出します。
  2. 先に製品で検証しないと、費用が10倍でも成果が大差ないリスクがあります。
  3. 製品で実現できないと確認され、その要件が競争優位に直結するときに、フルスクラッチが正当化されます。

自社は、要件ごとに、MOTION BOARDの標準機能やダッシュボードの作り込み、必要な外部連携で実現できるかを徹底して検討します。

MOTION BOARDは多彩な可視化機能を備え、Dr.Sumとの連携で集計から可視化まで完結できます。さらに、オンプレミスとクラウドに対応しており、独自要件も標準機能や設定でカバーできる場合があります。

判断の順序を誤ると、避けられるはずの投資を背負うことになりかねません。

ポイント

迷ったら、まず製品で満たせない要件を一覧にし、カスタマイズや外部連携で補える範囲を見てください。補えない部分だけをフルスクラッチの対象にすれば、対象を絞るぶん費用は抑えやすくなります。

まとめ

MOTION BOARDは可視化機能を備え、フルスクラッチに比べて初期費用、開発期間、保守負荷を抑えやすい製品です。自社の要件によっては、中間解も検討できます。

フルスクラッチは、独自の競争力や厳しい機密要件、既存製品で満たせない要件がある場合に検討します。まず製品で実現できる範囲を確かめることが、過剰投資を避ける判断につながります。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。