Qlik Sense導入の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

Qlik Senseの導入は、利用目的と分析するデータを整理したうえで、要件定義・企画、設計・構築、テスト・本番リリースの順に進みます。費用は、ライセンスに加えて構築・インフラ・保守も含めて見積もります。

プロジェクトを始める前に、目的・データ・利用者を整理しておくと、次の工程で判断に必要な材料がそろいます。詳しくは、次の全体ガイドをご覧ください。

  • 利用目的:データで支援したい意思決定や、現場の課題を明確にします。
  • 分析するデータ:データソースや量、権限、セキュリティ要件を洗い出します。
  • 導入と運用:要件定義からテストまでを進めながら、費用と定着の準備を整えます。

▼全体ガイドの記事
・Qlik Sense導入の完全ガイド

Qlik Sense導入の全体像

Qlik Senseとは何か・特徴

Qlik Senseは、Qlik Technologies(現Qlik)が開発したセルフサービス型BIツールです。AIを活用したInsight Advisorを使えば、自然言語でデータを質問することもできます。その特徴は、次の4つの面に表れます。

  • 利用者:専門知識がない現場担当者でも、ダッシュボードを構築・活用できます。
  • 分析:連想エンジン(Associative Engine)が関係性を自動で把握し、関連情報をリアルタイムに探せます。
  • 処理:インメモリ技術により、大量データの分析を支えます。
  • 導入形態:オンプレミス版、Qlik Cloud Analytics、両者を組み合わせたハイブリッド構成から選べます。

導入形態は、要件定義の段階で選ぶ事項でもあります。

導入が選ばれる理由

Qlik Senseは、TableauやPower BIと並ぶBIツールです。現場での使いやすさ、データ統合、利用範囲の広げやすさが特徴で、選ばれる理由もここにあります。

  • セルフサービス:現場担当者が必要な分析画面を作成・更新できます。
  • データ統合:ERP・CRM・DB・クラウド・Excelを集約できます。
  • 拡張性:利用者やデータ量が増えても、対象を段階的に広げられます。

現場の担当者が自分で画面を作れるので、情報システム部門への依頼待ちが減り、意思決定も速まります。

多様なコネクターを備えているため、ERPやCRM、データベースなどに分かれたデータを集めやすくなります。たとえば、共立学園ではExcelでの分析工数を約10分の1に削減した事例があり、組織のDX推進にも役立ちます。

ユーザー数やデータ量に応じて、利用範囲を段階的に広げられるのが特徴です。たとえば、村田機械では、操業データから生産効率を下げる要因を見つけ、改善のPDCAを加速させた事例があります。

ポイント

自社が現場の使いやすさ、データ統合、拡張性のどれを重く見るかを決めておくと、導入の進め方や費用の考え方がぶれにくくなります。

Qlik Sense導入の進め方

Qlik Sense導入の要件定義・企画から設計・構築を経て、テスト・本番リリースへ進む3段階の図解。
前段階の確認を次の工程へつなげる構成です。

導入は、要件定義・企画、設計・構築、テスト・本番リリースの3段階で進みます。各段階で確認を重ねることが、品質と現場定着の両方に関わります。

  1. 要件定義・企画
  2. 設計・構築
  3. テスト・本番リリース

要件定義・企画フェーズ

要件定義で導入目的・利用者・分析データを明確にしておかないと、曖昧なまま構築が進み、現場で使われず想定した効果が得られないことがあります。

まず、経営層・現場・IT部門にヒアリングし、それぞれの課題や要望、既存環境を確認します。そのうえで、ヒアリング結果からデータソース・権限・KPI・画面案を整理し、オンプレミスかクラウドかを選びます。

  • 経営層:データで支援したい意思決定を聞き取ります。
  • 現場:日常業務の課題と、知りたいことを集めます。
  • IT部門:既存の構成、データの所在、セキュリティ要件を確かめます。
  • 導入形態:セキュアなデータはオンプレミス、初期費用や展開速度の面ではクラウドも検討します。

PoCでは、実データで小さなダッシュボードを試作して、要件の認識をすり合わせます。また、要件定義書や仕様書も残します。

設計・構築フェーズ

設計・構築は、環境、データモデル、ダッシュボードの順に進めます。

  1. 環境の構築
  2. データモデルの設計
  3. ダッシュボードの開発

環境構築では、利用形態ごとに必要な設定を行います。

  • オンプレミス:サーバー、OS、ミドルウェアを設定してから、Qlik Sense Enterpriseを導入します。
  • クラウド:Qlik Cloudのテナント、ユーザー、セキュリティポリシーの設定と、Qlik Data Transferなどによるデータ転送。
  • データ連携:Gatewayなどを使って、オンプレミスのデータを接続・転送します。

データモデル設計では、ロードスクリプトでデータの取得・加工・結合を定義します。スタースキーマを基本にして循環参照を避けるほか、ロード時期も決めておきます。

ダッシュボードの開発では、表示と操作の両面を要件に合わせて作り込みます。

  • 表示:棒グラフ、折れ線、地図、KPIカードなどを配置します。
  • 操作:フィルターパネルやアクションで、分析画面を組み立てます。
  • レビュー:利用者から繰り返し意見をもらい、要件とのずれを直します。

テスト・本番リリースフェーズ

構築後は、機能・データの確認と現場展開の準備を行います。テストは次の3段階で、データと使い勝手を確認します。

  • 単体テスト:ロードスクリプトが動き、想定したデータを取り込めるかを見ます。
  • 結合テスト:複数のデータソースを統合した後も、整合性が保たれているかの検証。
  • ユーザー受入テスト(UAT):利用者に操作してもらい、操作性・表示・性能の意見を集めます。

見つかった課題は、優先度を付けて修正し、再テストします。特に、ソースシステムの数値とQlik Senseの集計結果が一致するかを確かめることが大切です。

リリース前には、操作やデータの読み方を研修し、展開後の体制も整えておきます。

  • トレーニング:操作方法に加え、データの読み方や分析への活用を扱います。
  • サポート:リリース後の問い合わせや改善要望への対応。
  • 運用ルール:データモデルの更新やダッシュボードの追加について、手順を定めます。

ポイント

各段階で目的・利用者・データの前提が崩れていないかを確かめ、崩れていれば次へ進む前に直しておくことが、手戻りを減らす目安になります。

費用相場とコストの内訳

Qlik Sense導入費用をライセンス、構築、保守、インフラ、教育の項目に分け、本文にある目安を該当項目に示した図解。
初期費用と継続費用を項目ごとに見分けられます。

Qlik Sense導入の費用は、利用形態やユーザー数、データ量によって大きく変わります。ライセンス費用のほかに、導入や保守、教育などの費用がかかります。

ライセンス費用と規模別目安

オンプレミス版とクラウド版では、課金の考え方が異なります。

オンプレミス版(Qlik Sense Enterprise Client-Managed)は、ユーザーの役割ごとにライセンスを購入する形です。そのため、利用者数が増えるほど費用も積み上がります。

  • Professional:アプリの開発と作成を行う役割。
  • Analyzer:アプリの閲覧と操作を行う役割。

中小規模(20〜50ユーザー程度)では年数百万円規模、大規模企業では年1,000万円を超える例もあります。

クラウド版(Qlik Cloud Analytics)はSaaSとして提供され、基本はサブスクリプションで課金されます。課金額は、データ容量と開発者ライセンス数をもとに決まります。

  • エディション:Standard・Premium・Enterpriseの3種に加えてBusinessプランもあり、機能や管理オプションが異なります。
  • 小規模利用:月額数万円からの例があるほか、Businessプランは月数千円程度からとの報告もあります。
  • 利用者数:ユーザー数に上限がなく、多くの社員に広げやすい構成です。

導入の初期段階では、無料トライアルや評価環境を活用できます。そこで、Qlik公式サイトやパートナー企業を通じてトライアルを申し込み、自社のデータで操作性を確かめてから、ライセンスの購入に進むことが、リスク低減につながります。

初期費用以外のランニングコスト

総コストは、ライセンス以外に導入支援・インフラ・保守・教育の費用も含めて考えます。

  • 導入支援・構築:小規模100万〜300万円、大規模500万円以上の例があります。
  • サーバー・インフラ:利用形態によって、かかる費用の中身が変わります。
  • 保守・サポート:年間保守の目安は、ライセンス価格の15〜20%程度です。
  • 教育・研修:初期研修に加えて、導入後も新規利用者や機能拡張に合わせて研修を実施します。

オンプレミスはサーバーの調達・構築費用が必要です。一方、クラウドはサーバー費用は不要ですが、転送量・ストレージに応じた利用料がかかります。

予算には、運用支援や更新、モデル修正、ダッシュボード追加の費用も入れておきます。また、Qlik公式コースやパートナーの研修費も、見込んでおきます。

ポイント

費用は利用形態やユーザー数で大きく変わるため、ライセンス費だけで判断せず、導入支援・インフラ・保守・教育を含めた総額で比べます。

見積もりを取る際のポイント

Qlik Senseの見積もり依頼で整理するデータ、ダッシュボード、ユーザー・形態、計画、管理要件の5項目を示す図解。
依頼条件をそろえると各社の見積もりを比べやすくなります。

見積もりは、要件を整理して依頼し、複数社を比べて発注先を決める順で進めます。見積もりの取り方を誤ると、後工程でのコスト超過や品質問題につながります。

要件明確化と仕様書の準備

見積もりの条件を合わせるため、社内で目的と要件を整理してから依頼します。依頼では、次の5項目を同じ粒度で示します。

  • データ:ソース(基幹・DB・クラウド・Excelなど)と量の目安
  • ダッシュボード:数、利用部署、目的、見たい指標
  • ユーザー・形態:利用者数、権限、オンプレミスかクラウドかの希望や制約
  • 計画:稼働希望時期・スケジュール
  • 管理要件:セキュリティ・コンプライアンス要件

項目をRFP(提案依頼書)や要件定義書にまとめると、見積もりの精度が上がります。また、初めてで整理が難しい場合は、無料相談やヒアリングを行うパートナーと進める方法もあります。

複数社比較と発注先の選び方

導入支援は、Qlik公認パートナー(リセラー・SIer)が担うのが一般的です。国内の支援企業にはSCSKなどがあり、得意分野は企業ごとに異なります。そのため、2〜3社から見積もりを取ります。

各社は、次の4つの観点で比べます。

  • 実績・業種経験:自社と同じ業種・規模での導入経験の有無。
  • サポート:運用・研修・バージョンアップ対応の範囲。
  • 提案の具体性:業務の理解度と、課題への対応案。
  • 対話のしやすさ:担当者と意思疎通がスムーズに取れるか。

価格だけでなく、導入後に現場で使われるシステムを構築できるかも含めて、総合的に評価します。

注意すべきリスクと対策

導入時に想定されるリスクは、計画段階であらかじめ対策と結び付けておきます。

  • 要件変化:対象範囲を書き出して変更管理を設け、追加の要望はフェーズ2へ分けます。
  • データ品質:早い段階でサンプリングし、クレンジングの工数も含めます。
  • 現場定着:要件定義とUATの段階から担当者を巻き込み、研修や事例共有を続けます。
  • ライセンス費:更新や値上げの条件の確認と、長期のコスト計画。

ポイント

見積もりは要件を整理してから依頼し、2〜3社を実績・サポート・提案の具体性で比べたうえで、要件変化やデータ品質などのリスクも含めて発注先を決めます。

まとめ

Qlik Sense導入で押さえたい要点は、目的に合う設計、段階的な検証、運用費を含む見積もりの3つです。

Qlik Senseは、連想エンジンとセルフサービスBIを特徴とするツールで、幅広い業種で利用されています。

導入は、要件定義・企画、設計・構築、テスト・本番リリースの3段階で進みます。その際は、経営層・現場・IT部門と目的・範囲・データ要件を確かめることが欠かせません。

費用は、ライセンス形態・利用者数・データ量・工数によって変わります。ライセンスだけでなく、構築・保守・研修費も含めて試算することが大切です。

要件を仕様書にまとめたうえで、複数パートナーの費用・実績・支援体制を比べます。また、要件変化やデータ品質などのリスクにも、事前に備えます。

導入を検討する際は、目的と利用者、データの状態から計画を具体化してください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。