アプリ刷新のパッケージ/クラウド製品一覧

アプリ刷新に使える製品は、ローコード基盤とノーコードビルダーに大きく分かれます。業務の複雑さや対象規模、刷新範囲で選ぶと、目的に合う候補を絞れます。

ローコード基盤は、コア領域寄りの作り込みにも対応します。ノーコードビルダーは、PoCや部分刷新に向いています。それぞれの詳しい内容は、次に挙げる関連記事で確認できます。

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アプリ刷新におけるパッケージ・クラウド製品の位置づけ

アプリ刷新では、対象がコア領域かノンコア領域かによって開発方法が変わります。

開発方法には、フルスクラッチで作る方法と既存プラットフォームを活用する方法があります。このうち既存プラットフォームを活用する場合、製品は性質の異なる2つのグループに分かれます。

エンタープライズ向けローコード基盤とコア領域寄りの作り込み

エンタープライズ向けローコード基盤は、大規模組織での利用を前提とした開発基盤です。

  • 業務要件:ビジュアル開発で工数を抑えつつ、独自ロジックや複雑な要件に対応
  • 既存システム連携:カスタムコードで作り込み、標準的なノーコードでは難しい中〜大規模刷新にも対応

ローコード基盤では、プラットフォームの制約の中で作り込む必要があり、フルスクラッチほどの自由度は得られません。

ノーコードアプリビルダーのPoCと部分刷新での使いどころ

ノーコードビルダーは、プログラミングの専門知識がなくてもアプリを構築できます。

  • PoC・プロトタイプ:短期間・低コストで動くものを作って検証
  • 部分刷新:対象範囲を絞ったアプリ刷新に適する
  • 業務要件:大規模なトラフィックや複雑な業務ロジックには制約が生じやすい
  • 基幹連携:既存システムとの深い連携にも制約があり得る
  • 本開発への移行:検証で得た知見の引き継ぎ方も検討する

ポイント

パッケージやクラウド製品は、対象領域の作り込みの深さで候補のタイプが分かれます。コア領域寄りならローコード基盤、PoCや部分刷新ならノーコードビルダーが候補になります。

製品を比較するときの共通軸

製品比較で確認する対象規模、拡張性、外部連携、料金体系の4項目を示した図
同じ観点を候補ごとに当てはめると、条件の違いを見分けやすくなります。

自社のアプリ刷新に合うかを判断するには、機能の一覧に加えて、各製品の条件を同じ基準で見ておくことが必要です。候補を比べるには、どの製品にも同じ項目を当てはめるのが近道です。そのため、次の4つの軸を同じ条件で確認します。

  • 対象規模:想定する利用者数やデータ量
  • 拡張性:将来の機能追加への対応
  • 外部連携:既存システムなどとの接続範囲
  • 料金体系:課金単位や追加費用

想定する利用規模と拡張性の比較

「アプリが作れる」という説明からは、想定する規模が見えてきません。そこで、同時利用ユーザー数、データ量、将来の機能追加の見込みを確認します。

数百人規模の社内利用と、数万〜数十万人規模の一般ユーザー向けとでは、必要な構成が異なります。

PoC環境が本番規模に耐えられるかも、契約前に確かめておきます。

外部連携と将来の乗り換えやすさ

基幹システム、認証基盤、決済サービスとの連携範囲は、製品ごとに異なります。そのため、APIの有無に加えて、対象データ、同期方向、エラー時の扱いを確認します。

また、将来の移行に備えて、構築したロジックやデータをどの形式で取り出せるかも確認しておきます。乗り換えやすさは、初期選定で見落とされがちな点です。

ポイント

想定規模と拡張性、外部連携、データの取り出し方を、どの候補にも同じ条件で当てはめて比べるのが目安です。料金も同じ前提で見積もらないと、金額の差が正しく見えません。

アプリ刷新で候補になる主要クラウド製品6選

2026年7月時点で現行の公式ページと対象業務を確認できた6製品を紹介します。

掲載順は、優劣を示すランキングではありません。

エンタープライズ向けローコード基盤とノーコードアプリビルダーは性質が異なるため、各製品は刷新の規模と目的をそろえて比べます。

OutSystems

OutSystemsは、エンタープライズ向けのAI開発基盤です。

  • 機能:アプリの生成・配信・監視、カスタムAIエージェント開発、仮想データレイヤー
  • 適用例:複数部門にまたがる複雑な業務アプリ、デジタルレンディング、クレーム管理、従業員オンボーディング、顧客セルフサービスポータル

公式サイトには、具体的な料金の表示がありません。

無料トライアルの提供は確認できるものの、詳細は見積もりの際に確かめる必要があります。

Mendix

Mendixは、開発環境「Studio Pro」を中心としたローコード開発プラットフォームです。

  • 開発環境:Studio Proを中心に、AI機能の統合やエンタープライズナレッジグラフの構築に対応
  • 刷新領域:アプリ開発・刷新、レガシーシステムの近代化
  • 適用領域:デジタルトランスフォーメーション、スマート製造
  • 製品の違い:レガシーアプリ刷新を明示しており、ノーコードビルダーとは位置づけが異なる

料金は非公開ですが、無料で試用を始められます。

Microsoft Power Apps

Microsoft Power Appsは、ドラッグ&ドロップ、生成AI、カスタムコードでアプリを構築できます。また、Dataverseやワークフロー自動化機能も利用できます。

適用領域は、オンボーディング、マーケティング、カスタマーサービスのほか、財務・承認プロセスや現場業務などです。

2026年7月時点の公式サイトには、開発者プランとPower Apps Premiumの料金が掲載されています。ただし、適用条件は変わる可能性があるため、契約前に最新情報を確認してください。

  • 開発者プラン:無料。3環境で開発・テスト用途
  • Power Apps Premium:月額2,998円/ユーザー(年払い相当)

Microsoft 365やAzureを利用中の企業では、既存の認証基盤との親和性も比較材料になります。

FlutterFlow

FlutterFlowは、ビジュアル操作でモバイルアプリを構築できるプラットフォームです。Firebase・Supabaseなどと連携でき、App Store・Play Store・Webへの展開にも対応します。

200以上のあらかじめ用意されたUI部品と、ロジックを組み立てるAction Flow Editorを備えています。特に、顧客向けモバイルアプリを既存のUI/UXから作り直す場合の候補になります。

2026年7月時点の公式サイトには、料金プランが4つ掲載されています。

  • Free:0ドル
  • Basic:月額39ドル
  • Growth:1席目は月額80ドル、2席目以降は月額55ドル
  • Business:1席目は月額150ドル、2〜5席目は月額85ドル

年間契約では割引があるとの記載もあります。ただし、為替や料金改定の影響を受けるため、最新額は公式サイトで確認してください。

Bubble

Bubbleは、コーディングなしでWeb・モバイルアプリを構築できるノーコードプラットフォームです。

PoCや部分刷新を短期間で形にする候補です。

  • 料金体系:公式サイトに、無料プランから利用範囲を広げられると記載
  • 料金確認:プラン名や金額は、見積もりや公式料金ページで直接確認
  • 本開発への引き継ぎ:検証したロジックをどう渡すかを、選定前に開発チームと擦り合わせる

Glide

Glideは、Google SheetsやSQLなどのデータをアプリに変換するノーコードビルダーです。在庫管理やロジスティクスなどでの利用が想定されているほか、表計算ソフトで管理している業務も、アプリに刷新する候補になります。

  • 想定される利用:在庫管理、ロジスティクス、調達、ベンダー管理
  • その他の対象業務:倉庫管理、プロジェクト管理、CRM、フィールドセールス
  • 刷新の候補:表計算ソフトで管理する業務

公式サイトには、料金の具体的な数値が示されていません。そのため、見積もりや料金ページで確かめる必要があります。

コア領域・ノンコア領域から候補を絞る方法

6製品を一度に細かく比べるより、まず対象アプリの位置づけを決め、必須要件で絞るほうが効率的です。目的や規模によって、適した製品タイプも変わります。

複雑な業務ロジックを含む中〜大規模な刷新の場合

複数部門の業務プロセス、基幹システムとの深い連携、独自の承認フローを含む刷新が対象です。

OutSystems、Mendix、Microsoft Power Appsなどのエンタープライズ向けローコード基盤を候補にします。そのうえで、カスタムコードで拡張する範囲を洗い出し、開発・保守体制も含めて比べます。

PoCや対象範囲を絞った部分刷新の場合

PoCや部分刷新では、対象業務や使う端末に合ったノーコードアプリビルダーを選びます。

  • PoC:動くものを作り、経営層へ判断材料を示す
  • 段階刷新:利用頻度の高い画面から進める
  • FlutterFlow:モバイルアプリの見た目や操作性を作り込む
  • Bubble:Webサービス寄りの業務アプリを作る
  • Glide:既存の表計算データを起点にする

扱うデータや対象デバイスで絞り込めば、候補の差が見えてきます。

ポイント

候補は、対象アプリの位置づけと必須要件で2〜3製品に絞るのが目安です。中〜大規模刷新ならローコード基盤、PoCや部分刷新ならノーコードビルダーが出発点になります。

料金・契約前に確認すべきこと

料金・契約前に見る課金単位、将来の利用規模、総保有コスト、データ持ち出しを4つのパネルで示した図
月額費用の外側にある運用や移行の負担も、選定時の比較に含められます。

公開価格の安さだけで製品を選ぶと、規模が広がったときやエンタープライズ機能を追加するときに、想定外の費用が生じることがあります。そのため、月額費用だけでなく、導入準備や連携開発、教育、将来の乗り換えまで含めた総保有コストで判断します。

課金の対象と単位

課金単位は製品ごとに異なり、開発者のシート数、エンドユーザー数、アプリ数などのほか、処理容量も使われます。

月間アクティブユーザー数を基準にする製品もあるため、発注側は現在だけでなく、1年後・3年後の想定人数とデータ量を開発会社に伝えます。

エンタープライズプランへの移行条件や、API・サポートの追加費用も、同じ条件で見積もります。料金を公開していない製品は珍しくありません。だからこそ、確認できない金額を比較表に推測で入れてはいけません。

プラットフォーム依存と解約時のデータ持ち出し

ローコード・ノーコード基盤には固有の仕組みがあるため、構築したアプリが基盤に依存する部分も生じやすくなります。そのため、基盤に依存する分だけ、乗り換えにかかるコストは見えにくいものです。

契約前に、生成コードやロジックをエクスポートできるか、蓄積データを一般的な形式で取り出せるかを確かめておきます。

契約終了後のデータ保持・削除条件も、あわせて確認します。将来フルスクラッチへ移る場合の判断材料にもなります。

ポイント

料金は総保有コストで比べ、課金単位と乗り換え時のデータ持ち出しまで確認しておくのが目安です。月額費用の安さだけで選ぶと、規模拡大や連携開発の費用が後から膨らむことがあります。

デモとPoCによる候補の絞り込み

2〜3製品の選定から成功基準の設定、業務シナリオとデータ量・システム連携の検証へ進む流れを示した図
実際の業務条件を使うことで、契約後に表面化する制約を早めに捉えられます。

資料で比べて2〜3製品に絞ったら、実際の業務シナリオを使ってデモまたはPoCを行います。その際は、現場ユーザーにも操作してもらいます。

開発担当者以外の利用者にも試してもらうと、導入後の使い勝手をめぐる行き違いを減らせます。

実際の業務シナリオ1つの再現と検証

一般的な機能デモは抽象的になりやすいため、自社で発生する入力から結果表示までの操作を再現します。

想定データ量に近い条件で速度を確かめます。さらに、既存システムとの連携が必要な場合は、テスト環境で接続まで試します。

実際の条件で検証しておくと、契約後に判明する制約を減らせます。

検証結果の判断レポートと経営層への共有

成功基準と撤退基準は、PoCを始める前に決めておきます。

  • 検証結果:基準への達成度と、現場からの定性的なフィードバックを判断レポートにまとめる
  • リスクとコスト:想定される問題点と概算コストを、経営会議の意思決定に使える形にする
  • PoCの意義:動くプロトタイプを見せると、抽象的な説明だけより合意形成が進みやすい

ポイント

資料比較で2〜3製品に絞ったら、実際の業務シナリオ1つで検証するのが目安です。その際の成功基準と撤退基準は、PoCの開始前に定めておく必要があります。

アプリ刷新の製品比較で押さえておきたいポイント

知名度やおすすめ順位で決めず、自社の刷新規模と目的をそろえて比べます。なお、選定で判断が分かれやすいのは、コア領域の扱い、おすすめ製品の見極め、料金の比べ方です。

コア領域が中心の場合のフルスクラッチ

差別化に直結する独自機能が中心なら、ローコード・ノーコード基盤の制約が事業上の制約になることがあります。標準機能で足りるかを見極めたうえで、不足する場合はフルスクラッチ開発も比較対象に加えます。

刷新の目的によるおすすめ製品の違い

全企業に共通する1位の製品はありません。中〜大規模の刷新か、PoCや部分刷新かによって、おすすめは変わります。

必須要件で2〜3製品に絞ったうえで、同じシナリオのデモまたはPoCで比べます。

3年程度の総保有コストによる料金比較

同じ利用規模と連携条件を各社に提示したうえで、3年程度の総保有コストを比べます。初期費用と月額費用に加えて、データ移行やAPI連携開発の費用、教育や解約時のデータ出力にかかる費用も含めます。

まとめ

アプリ刷新では、まず対象アプリがコア領域かノンコア領域かを整理することから始めます。

複雑な業務ロジックを含む中〜大規模刷新には、OutSystems・Mendix・Microsoft Power Appsなどのローコード基盤が現実的な候補です。一方、PoCや部分刷新では、FlutterFlow・Bubble・Glideなどのノーコードアプリビルダーが候補になります。

領域の切り分けと2〜3製品への絞り込み

コア・ノンコア領域、想定規模、外部連携を共通軸にすると、知名度や広告的な順位に左右されず候補を絞れます。

方式選定の評価軸は、アプリ刷新の選定ポイント・選び方・種類で詳しく解説しています。

実際の業務シナリオのPoCによる確認

PoCでは、製品機能と自社業務の適合性を確かめます。

  • 処理の確認:対象アプリの処理を一気通貫で扱えるか
  • 代替案:独自のコア機能や複雑な基幹連携が難しければ、フルスクラッチやハイブリッド構成も検討

riplaはフルスクラッチ開発の立場から、不足機能の整理や自社業務に合わせたアプリ構築を支援しています。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。