奉行クラウド導入のパッケージ/クラウド製品一覧

奉行クラウドの候補は、会計、人事給与、販売在庫などの業務別製品と、上位ERP、既存環境と併存するIaaS型に分けると絞り込みやすくなります。

各テーマの詳しい内容は、関連記事もご覧ください。

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・奉行クラウド導入の完全ガイド

パッケージ型(奉行11)とクラウド型(奉行クラウド)の違い

パッケージ型は自社サーバーで運用するオンプレミス製品で、クラウド型はベンダーが運用するサービスをネット経由で使います。

奉行11はオンプレミス型の最新モデルでしたが、2025年2月末に販売を終了しました。このため、新規の検討では奉行クラウドが中心になります。

奉行11(パッケージ型)の販売・保守状況

奉行11の位置づけは、運用環境と運用負担、販売・保守の状況から判断します。

  • 運用環境:自社サーバーで運用するため、閉域網や独自カスタマイズに対応しやすい
  • 自社の運用負担:自社が担う範囲が大きく、サーバーの監視、バックアップ、バージョンアップも含まれる
  • 販売・保守:販売は2025年2月末に終了し、保守サポートは2027年4月末に終了する予定

奉行11は、新規導入や増設の候補として扱えません。一方で、既存で利用している企業は、保守期限までにクラウド版への移行を検討する必要があります。

奉行クラウド(SaaS型)の法改正対応とモジュール連携

奉行クラウドは、基盤と運用、モジュールの組み方、データ連携の面で特徴があります。

  • 提供方式:Microsoft Azure基盤のSaaS型で、サーバーを調達しなくても利用を始められる
  • 更新対応:法改正対応や機能追加は、ベンダー側で自動的に適用される
  • 業務領域:会計、人事給与、販売仕入在庫などのモジュールに分かれている
  • データ連携:DX Suiteで連携を強化でき、単体の会計ソフトとは異なる

2026年7月時点で現行の公式ページを確認できた主要7製品は、後の節で紹介します。

ポイント

奉行11を既に使っている企業は、保守サポートの終了時期から逆算して移行の時期を決めると、社内の段取りを組みやすくなります。新規の検討は、奉行クラウドの各モジュールを中心に比べてください。

製品を比較するときの共通軸

奉行クラウド製品を業務範囲、連携方法、データ移行可否、料金体系で比較する4つの観点を示した図。
同じ問いを各候補に当てると、違いを見比べやすくなります。

製品の機能は、機能一覧だけでは自社業務への適合度を判断できません。同じ条件で並べて初めて見えてくるため、どの製品にも同じ質問を当てて比べます。

対象業務の範囲とモジュール間の連携

対象業務と連携方法を並べて見ると、候補ごとの違いがはっきりします。

  • 業務範囲:会計と人事給与、販売・仕入在庫、固定資産のどこまでを扱うか
  • 連携方法:DX Suiteなどの標準連携か、CSV出力を介した手動連携か
  • 移行と料金:既存データの移行可否と、製品ごとの料金体系

CSVを介する場合は、標準連携と比べて担当者の作業量が違ってきます。そのため、既存のオンプレミス業務を洗い出し、実画面で連携をデモしてもらうと、判断の材料になります。

データ移行可否とセキュリティ

クラウド移行では、製品の違い、移行前の確認、セキュリティ条件を分けて見ていきます。

  • 製品の違い:クラウド版はオンプレミス版とは別製品として扱う
  • 移行前の確認:データコンバート事前確認ツールが必要な場合がある
  • 安全性と連携:Azure基盤のデータ管理体制、責任分界点、外部API連携の範囲

詳しい評価の手順は奉行クラウド導入の選定ポイント・選び方・種類で整理しています。評価軸ごとの比べ方を知りたいときに、参考にしてください。

ポイント

業務範囲と連携方法を先に決めておくと、機能の細部を比べる前に候補を外せます。データ移行と料金は、同じ条件で見積もった結果を並べて判断すると迷いにくくなります。

奉行クラウドの主要7製品

2026年7月時点で現行の公式ページと料金情報を確認できた7製品を、下で紹介します。掲載順は優劣を示すものではありません。

対象業務や料金体系は製品ごとに異なるため、自社が移行したいモジュールに合わせて比べます。

勘定奉行iクラウド(会計)

勘定奉行iクラウドは、会計業務を効率化するクラウド会計ソフトで、導入時の基本となるモジュールです。

  • Eシステム:月額7,750円〜、年額93,000円〜、初期費用0円(2026年7月時点の公式情報)
  • J・A・B・Sシステム:月額11,750円〜28,000円程度、初期費用50,000円〜70,000円
  • 契約と拡張:法人単位の年間契約で、仕訳伝票の明細数などはオプションで拡張可能
  • 料金確認:構成やライセンス数で変わるため、最新条件は公式サイトか問い合わせ窓口で確認

給与奉行iクラウド(人事給与)

給与奉行iクラウドは、給与計算を中心に人事給与業務を扱う製品です。導入を検討する際は、機能と契約条件を確認します。

  • 対象業務:給与計算、明細のペーパーレス配付、社会保険の電子申請や年末調整
  • 基本料金:2026年7月時点で月額5,500円〜、年額66,000円〜
  • 構成による違い:月額9,000円台からとなる場合もある
  • 見積り:従業員数と必要機能を伝えて取得する
  • 会計連携:勘定奉行iクラウドと連携すると、人件費データを会計帳票へ取り込みやすい

商蔵奉行iクラウド(販売・仕入在庫管理)

商蔵奉行iクラウドは、販売管理と仕入在庫管理を1製品でまとめて扱います。

  • 販売管理:見積・受注から売上・請求・債権入金まで対応
  • 仕入在庫管理:発注から支払まで扱い、在庫や棚卸も含めて管理する。会計連携を検討する企業の候補
  • 公式料金:2026年7月時点で月額13,000円〜、年額156,000円〜、初期費用0円〜
  • 構成例:1ライセンス・1年契約で年額330,000円(税抜)

総務・人事奉行iクラウド(人事労務管理)

従業員情報を幅広く管理できるので、必要な管理項目と給与奉行との連携を確認します。

  • 管理項目:基本情報、給与・賞与、労働契約に加え、健康診断も含めて50種類・1100項目以上を一元管理
  • 自動化:名簿作成、組織改編、証明書発行を自動化する
  • 料金:2026年7月時点で月額7,000円〜、年額84,000円〜、初期費用0円〜
  • 給与連携:給与奉行iクラウドとの連携で二重入力を減らせる可能性がある

固定資産奉行iクラウド(固定資産管理)

固定資産奉行iクラウドは、固定資産・リース資産の取得から除却までを管理します。減価償却は、税法と会計基準に沿って自動で計算されます。

税理士とのリアルタイム共有や電子申告にも対応します。会計とは切り離して単体で導入できるため、資産管理だけを先にクラウド化したい企業の候補にもなります。

2026年7月時点の公式サイトでは、月額4,750円〜、年額57,000円〜で、初期費用は0円〜です。

奉行V ERPクラウド(中堅・成長企業向け上位ERP)

複数の業務を統合する上位ERPなので、グループ管理やIFRS対応が必要かどうかが、選定の手掛かりになります。

  • 対象:中堅・成長企業、グループ企業、グローバル企業向けの上位ERP
  • 提供範囲:会計、人事労務、販売管理を統合し、業務アプリからインフラまで提供
  • 評価実績:日経コンピュータ2025年9月4号の顧客満足度調査でERP部門第1位を獲得
  • 料金:業務要件によって異なり、個別見積りが前提

個別見積りが前提のため、公式サイトに具体額の記載はありません。

奉行Smartマルチクラウド(IaaS型、既存システムと併存させたい企業向け)

奉行Smartマルチクラウドは、SaaS型の奉行クラウドと違ってIaaS型で提供されます。そのため、基盤の選択、システム構成、対象と料金、見積りの取り方が、奉行クラウドとは異なります。

  • 基盤:25以上のパートナークラウドから選択し、Microsoft Azure、AWS、FJcloud-V(旧ニフクラ)などに対応
  • システム構成:奉行システムと既存のカスタマイズシステムを同時に展開できる
  • 対象と料金:独自システムを維持したい企業向け。中堅・成長企業向けと中小・小規模企業向けの2系統
  • 見積り:公式サイトに価格表はなく、資料請求やクラウド化相談を通じた個別見積り

自社の課題別に候補を絞る方法

優先度の高い業務を決め、必須要件で候補を減らして1〜2製品に絞る流れを示した図。
細かな機能比較の前に、候補数を抑えられます。

7製品を最初から細部まで比べる代わりに、優先度の高い業務を決めて、必須要件で候補を減らします。

課題ごとに、候補となる製品を分けて見ていきます。

会計・人事給与の保守期限対応を優先する場合

奉行11の保守終了が近づき、会計と人事給与のクラウド化を急ぐ場合は、勘定奉行iクラウドと給与奉行iクラウドを中心に検討します。

両方を同時に移すか、会計を先に移すかによって、移行期間中の連携方式が変わる可能性があります。そのため、DX Suiteの連携範囲も確認しておきます。

総務・人事奉行iクラウドを含めるかどうかは、人事労務の管理項目をどこまでシステム化するかで判断します。

事業規模の拡大や独自カスタマイズを重視する場合

グループ管理やIFRS対応が必要なら奉行V ERPクラウド、独自システムを維持したままクラウド化するなら奉行Smartマルチクラウドを候補にします。

販売・在庫を標準機能で扱う企業は商蔵奉行iクラウド、固定資産管理を単体で強化する企業は固定資産奉行iクラウドを検討します。

ポイント

保守期限への対応が最優先なら、まず会計と人事給与の2製品に絞り、移行の順序によって連携方式がどう変わるかを先に見ておくと、移行の計画を立てやすくなります。

料金・契約前の確認事項

奉行クラウドの契約前に確認する基本料金、初期費用、データコンバート、データ持ち出しの4項目を示した図。
料金と移行条件を並べて確認すると、総保有コストを把握しやすくなります。

月額表示だけで選ぶと、ライセンス追加や連携オプションで想定外の費用が生じる場合があります。そのため、総保有コストで判断します。

発注側は、基本料金に加えて、初期費用とデータコンバートを確認します。教育や解約時のデータ持ち出しについても、契約前に確かめます。

課金の対象と単位

料金プランはシステムのグレードで分かれ、仕訳明細数やライセンス数が規模区分の基準になります。

モジュールごとに、初期費用と月額または年額の利用料が設定されています。見積りを取る際は、1〜3年後の事業規模も伝えます。

必要なプランと拡張オプションは、同じ条件で比べます。料金を公開していない奉行V ERPクラウドや奉行Smartマルチクラウドは、推測した額を表に入れません。

契約書で確認するデータ移行条件と契約単位

クラウド版は1契約につき1社のみを管理し、データ領域も1つに限られます。オンプレミス版とは異なる制約なので、契約書の条件として押さえておきます。

移行前には、データコンバート事前確認ツールでの検証が必要な場合があります。また、OBCインストラクターの代行は1領域あたり55,000円程度からです。

事前指導が必要かどうかは、対象モジュールによって異なります。契約前に確認してください。

ポイント

月額の表示だけで比べると、後から加わるライセンスや連携オプションで費用が膨らむおそれがあります。初期費用やデータ移行の費用も含めた総保有コストで比べてください。

デモとPoCによる製品一覧の最終候補への絞り込み

資料で比べて1〜2製品まで絞ったら、自社データに近い条件でデモか無料体験を行います。

経理、人事、情報システムの担当者に加え、日々入力する現場の担当者にも参加してもらうと、導入後の行き違いを減らせます。

30日間無料体験での入力・連携の確認

勘定奉行iクラウド、給与奉行iクラウド、商蔵奉行iクラウドなどの主要製品には、サンプルデータと専用ガイドブック付きの30日間無料体験があります。

伝票入力や給与計算、在庫確認を、実際に操作して試します。

想定している業務との差や、他モジュールとの連携で欠ける項目がないかを確かめます。

移行前後の作業時間の実測と稟議への活用

移行前に、月次締め、年末調整、棚卸しなどの所要時間を記録しておきます。無料体験や見積りの段階で想定される変化と比べます。

クラウド化するとサーバー保守は不要になります。一方で、アカウント管理や法改正時の設定確認は残るため、その工数も差し引いて投資対効果を判断します。

ポイント

候補を1〜2製品まで絞ったら、同じシナリオでデモを見てもらい、経理や人事に加えて現場の担当者にも参加してもらうと、導入後の行き違いを減らせます。

奉行クラウドの製品比較で押さえておきたいポイント

料金やおすすめ順位だけでなく、移行する業務範囲と規模を同じ条件で比べます。選定で判断が分かれやすい点は、下の3点で取り上げます。

オンプレミス版の新規導入の可否

現時点では選べません。奉行11は2025年2月末に販売を終了しているため、新規の検討ではクラウド型が中心です。

既存のオンプレミス環境を維持しつつ、独自システムと併存させたい場合は、IaaS型の奉行Smartマルチクラウドが選択肢になります。

優先課題によるおすすめ製品の違い

おすすめの製品は優先課題で変わります。保守期限への対応を急ぐ企業と、グループ管理や独自カスタマイズを重視する企業とでは、優先するモジュールが異なります。

必須要件で1〜2製品に絞ったうえで、同じシナリオのデモか無料体験で比べてください。

掲載料金の契約への利用可否

目安にはなりますが、そのまま契約できるとは限りません。料金は2026年7月時点の公式掲載情報で、プラン改定やライセンス数、オプション構成によって変わります。

契約前に、公式サイトか問い合わせ窓口で最新条件を確認します。

まとめ

奉行11は販売が終了しているため、製品比較の中心はクラウド型の各モジュールになります。紹介した7製品は、それぞれ業務上の特徴が異なります。

自社が会計や人事給与を優先するのか、上位ERPや既存環境との併存を重視するのかによって、候補は変わります。

保守期限から逆算したモジュールの絞り込み

奉行11の保守期限と、グループ管理などの将来計画を踏まえて、優先するモジュールを決めます。そのうえで、対象業務、移行可否、料金体系を同じ質問で比べます。

こうすると、掲載順位や割引に左右されずに、候補を絞り込めます。

最終段階の無料体験と実データでの確認

導入前に自社データで操作感を確かめ、不足する要件があれば、その対応方法も検討します。

  • 実データで試す:伝票、給与計算、在庫データを使い、料金や機能数だけでなく操作感を確認する
  • 不足要件に対応する:独自帳票や基幹システムとの深い連携が難しければ、個別開発やハイブリッド構成も候補にする

riplaはフルスクラッチ開発の立場から、製品比較で見えた不足機能の整理や、自社業務に合わせたシステム構築を支援しています。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。