クラウド移行を検討しているものの、AWS・Azure・GCPのどれを選ぶべきか、オンプレミスからどの順番で移行すればよいか、社内に十分な知見が蓄積されておらず検討が止まっている企業は少なくありません。クラウド移行の戦略立案からベンダー選定、導入後のコスト最適化の定着支援までを外部の専門家が助言・伴走するサービスが、クラウドコンサルです。
本記事では、クラウドコンサルが扱う対象領域と特化ポイント、インフラコンサルやクラウド開発/構築との違い、移行戦略の立案からベンダー選定までの支援フロー、マルチクラウド・ハイブリッドクラウドのガバナンス支援とFinOpsの考え方、契約形態とフィー体系を順に解説します。クラウドコンサルという言葉を初めて調べている担当者の方でも、自社にどう活用できるかを判断できるよう、実務の流れに沿って整理します。
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クラウドコンサルとは何か?対象領域と特化ポイント

クラウドコンサルは、クラウド活用を軸にした上流のアドバイザリーサービスです。特定のクラウド製品を売り込む立場ではなく、企業の現状を診断したうえで、移行戦略やベンダー選定、コスト最適化の方針を助言し、実行段階まで伴走する立場を取ります。「コンサル」と名の付くサービスは対象範囲が幅広くなりがちですが、クラウドコンサルは扱うテーマを絞り込んでいる点が特徴です。
扱う領域を4点に絞り込んでいます
クラウドコンサルが扱う領域は、大きく4つに整理できます。第一に、オンプレミスからクラウドへの移行計画や戦略の策定、いわゆるクラウドマイグレーションの上流設計です。第二に、AWS、Azure、GCPといった主要クラウドサービスのうち、自社の要件に適した組み合わせを選ぶベンダー選定支援です。第三に、複数クラウドを併用するマルチクラウドや、オンプレミスとクラウドを組み合わせるハイブリッドクラウドの戦略立案です。第四に、導入後も継続的にクラウド費用を最適化するFinOpsの導入・定着支援です。
この4点はいずれも、実装そのものではなく、実装前後の意思決定を支える助言業務である点が共通しています。移行先の技術選定やコスト構造の設計を誤ると、後工程の手戻りが大きくなるため、実装に入る前の診断・助言に価値が置かれています。
特定ベンダーの実装ではなく診断・助言が中心です
クラウドコンサルの担当者は、自社で稼働中のシステムのうち、稼働率や利用者数から見て継続すべきもの、縮小できるもの、クラウドへ移すべきものを多方面から精査するところから着手します。この診断結果をもとに、移行する順序や規模、想定コストを可視化し、IaaS・PaaS・SaaSのどこに割り当てるべきかを判断します。実装そのものは自社の情報システム部門や開発ベンダーが担うことも多く、クラウドコンサルはその前段階の判断材料を整えることに軸足を置きます。
インフラコンサルとの違い

「インフラコンサル」と「クラウドコンサル」は、どちらもサーバーやネットワークに関わる支援サービスのため混同されがちですが、対象とする範囲が異なります。相談先を選ぶ前に、自社の課題がどちらに近いかを整理しておくと、依頼先を絞り込みやすくなります。
インフラコンサルはオンプレミスも含む対象範囲の広さが特徴です
インフラコンサルは、オンプレミス・クラウドを問わず、サーバー、ネットワーク、ストレージ、データセンターまで含む「ITインフラ全般」の最適化・構築・運用設計を扱う、対象範囲の広いサービスです。自社データセンターの統廃合や、社内ネットワークの刷新、オンプレミスとクラウドが混在する環境全体の設計方針を検討したい場合には、この広い対象範囲が強みになります。
クラウドコンサルはクラウド移行・活用戦略に領域を絞ります
クラウドコンサルは、クラウド移行・クラウド活用戦略という特化領域に絞ったサービスです。オンプレミス設備そのものの刷新や、社内ネットワークの物理構成までは主対象にせず、クラウドへの移行判断、クラウドサービスの選定、マルチクラウド・ハイブリッドクラウドの戦略立案、コスト最適化に議論を集中させます。すでにクラウド活用の方向性が定まっており、そこから先の意思決定を深く詰めたい企業には、対象を絞ったクラウドコンサルの方が話が早く進みやすい傾向があります。
クラウド開発/構築との違い

「クラウド開発/構築」も同じクラウド領域を扱いますが、こちらはシステム開発カテゴリに属し、クラウド環境の実装作業そのものが主眼です。クラウドコンサルはDX/ITコンサルカテゴリに属し、企業に対する上流のアドバイザリー・コンサルティング契約という、サービス形態・契約形態の違いに軸足を置きます。
クラウド開発/構築は実装作業そのものが主眼です
クラウド開発/構築は、マルチクラウド戦略の技術的な実現、オンプレミスとクラウドどちらで作るかという技術判断、クラウドネイティブな設計、TCOの試算といった、実際にシステムを組み上げる工程を主眼に置きます。設計書や構成図をもとに、実際に動くインフラとアプリケーションを作り上げる工程が中心です。
クラウドコンサルは診断・助言・伴走という契約形態が主眼です
クラウドコンサルは、現状アセスメント、移行戦略の策定支援、ベンダー・アーキテクチャ選定の助言、実行段階でのPMOとしての伴走という、コンサルタントが「何を診断し、何を助言し、どんな契約・料金体系で関与するか」を主役に据えます。実装作業自体は自社や開発会社が担い、クラウドコンサルはその判断の妥当性を検証し、進め方を助言する立場を取ることが多く、この役割分担を理解しておくと、実装フェーズで別途どのような体制を組む必要があるかを早い段階で見積もれます。
移行戦略とベンダー選定支援の仕組み

クラウドコンサルの支援は、思いつきで進めるのではなく、一定の段階を踏んで進みます。段階ごとに何を確定させるかを理解しておくと、依頼した会社がどの工程まで支援してくれるのかを確認しやすくなります。
アセスメントから本格移行まで4段階で進みます
一般的なクラウドコンサルのフェーズは、現状アセスメント、移行戦略の立案とアーキテクチャ選定、要件定義・設計、PoCと本格移行計画の策定という4段階で整理できます。現状アセスメントでは、稼働中・不要・縮小可能なシステムを分類し、稼働率や利用者数を多方面から精査します。移行戦略の立案・アーキテクチャ選定では、その結果から移行する順序や規模、コストを可視化し、IaaS・PaaS・SaaSのどこに割り当てるかを判断します。要件定義・設計では、対応アクセス数などのスケーラビリティ要件、稼働率などの可用性要件を数値で明確化します。最後のPoCと本格移行計画では、プロトタイプで従量課金のペースやコストを事前確認し、小規模スタートの計画を立てます。
要件定義・設計フェーズに工数を厚く配分する考え方です
開発フェーズに入った後の仕様変更は、要件定義段階での修正に比べて10倍以上のコスト・時間を要するという「デバッグコストの法則」があります。この考え方に基づくと、全体工数の20〜30%程度を要件定義・設計、つまりコンサルティング領域に充てることが、プロジェクト全体の期間短縮につながる鍵になります。移行先の技術選定を急ぎすぎず、アセスメントと設計に一定の期間を確保する会社ほど、後工程での手戻りを抑えやすい傾向があります。
マルチクラウド・ハイブリッド戦略とFinOpsの仕組み

クラウド移行が一段落した後も、複数クラウドの併用やコストの継続的な最適化という課題が残ります。この領域でも、クラウドコンサルは仕組みを持って支援します。
複数クラウドの請求・管理画面を可視化・統制します
複数のクラウドを併用すると、請求書や管理画面が分散し、コスト構造がブラックボックス化しやすくなります。クラウドコンサルは、AWS Cost ExplorerやAzure Cost Managementといったコスト最適化ツールの定期活用、CSPM(Cloud Security Posture Management)などサードパーティツールの導入支援、全社ダッシュボードでの可視化・統制構築の支援を担います。請求代行パートナーによる定期的なレポーティングも、コスト最適化提案の材料として活用されます。
FinOpsは可視化・最適化・運用統制の3フェーズを回します
FinOpsは、Finance(財務)とDevOpsを掛け合わせた考え方で、エンジニア・財務・経営がサイロ化せずに連携し、クラウドのコストパフォーマンスを継続的に最大化する実践手法です。可視化(Inform)、最適化(Optimize)、運用・統制(Operate)という3フェーズのサイクルを企業に定着させる支援に加えて、CCoE(Cloud Center of Excellence)という全社横断の推進組織の立ち上げ支援も含まれます。実務としては、夜間の自動停止による削減、リザーブドインスタンスやSavings Plansといった長期契約による割引の活用、サーバーレス移行によるアイドルコストの削減などが、継続的なコスト最適化の具体策として挙げられます。
契約形態とフィー体系

クラウドコンサルはソフトウェア製品と違い、機能一覧で比較できるものではありません。関与の深さによって契約形態とフィー体系が異なるため、自社が求める支援の深さに合わせて選ぶことが重要です。
顧問契約型は月次の助言に特化します
顧問契約型(アドバイザリー契約)は、月数回の定例会議や随時の相談を通じて、移行方針や技術選定の妥当性を確認する形態です。一般的なコンサルティング業界の相場感としては、月額10万〜50万円程度で受けられることが多く、社内にすでにクラウド移行を推進する実行部隊がいる企業に向いています。実行そのものではなく、方向性の検証に価値を置く契約形態のため、実務は自社の担当者が進め、コンサルタントはその判断の妥当性を確認する立場にとどまります。
常駐・準委任型と成果報酬型は関与の深さが異なります
常駐・準委任型は、クラウドアーキテクトやSREがチームに参画し、週数日からフルタイムで移行プロジェクトを推進する形態です。一般的な相場観では、1人月あたり100万〜200万円程度が目安とされ、継続的な現場対応が必要なプロジェクトに向いています。成果報酬型は、削減できたクラウド費用の20〜50%程度を報酬とする形態で、初年度のみの適用が一般的です。固定費をかけずコスト最適化の成果を数値化しやすいテーマと相性が良い一方、対応できるテーマが限られる会社もあるため、依頼したい範囲がカバーされるかを事前に確認する必要があります。具体的な評価軸や会社の絞り込み方は、クラウドコンサルの選定ポイント・選び方・種類で整理しています。
クラウドコンサル導入前に確認しておきたいポイント

クラウドコンサルを利用するかどうかは、名称の知名度だけで判断できるものではありません。自社の課題がクラウド特化型に合うか、社内にどこまでクラウド人材がいるかを整理してから相談することで、依頼後の認識違いを防げます。
自社の課題がクラウド特化型に合うかを見極めます
オンプレミス設備の刷新や社内ネットワークの物理構成そのものが課題の中心であれば、対象範囲の広いインフラコンサルの方が話が早く進みます。反対に、クラウドへの移行判断やクラウドサービス間の選定、マルチクラウドのコスト最適化に課題が絞られているなら、クラウドコンサルの特化した知見が生きやすくなります。相談前に、自社の課題を一文で説明できるかを確認しておくと、依頼先のミスマッチを防ぎやすくなります。
社内にどこまでクラウド人材がいるかを整理します
社内にクラウドアーキテクトが在籍していない場合、方針検証だけの顧問契約型では実行段階で行き詰まることがあります。反対に、実行部隊が社内にそろっている場合、常駐・準委任型で追加の人件費を払うと過剰投資になりかねません。現状アセスメントや要件定義・設計を自社だけで完結できるか、実行フェーズまで伴走してもらう必要があるかを事前に切り分けておくことが、契約形態を選ぶ際の判断材料になります。
提案の中立性とベンダーロックインの懸念も確認します
特定のクラウドベンダーとの資本・提携関係が強いコンサルティング会社では、提案が特定のクラウドサービスの導入に偏りやすくなります。マルチクラウドやハイブリッドクラウドの検討余地があるにもかかわらず、最初から単一クラウドありきで話が進んでいないか、提案内容を確認することが大切です。サーバーレスへの移行提案がある場合も、コールドスタートやベンダーロックインといったリスクを併せて説明しているかを確認すると、提案の中立性を見極めやすくなります。
あわせて、支援内容が現状アセスメントや移行戦略の策定といった上流工程にとどまるのか、要件定義・設計やPoCの実務まで踏み込むのかも、契約前に明確にしておく必要があります。上流の助言だけを想定していた契約で実行支援まで期待すると、途中で追加費用の交渉が発生し、プロジェクト全体のスケジュールに影響することがあります。
まとめ

クラウドコンサルは、オンプレミスからクラウドへの移行戦略策定、クラウドサービスの選定支援、マルチクラウド・ハイブリッドクラウド戦略の立案、FinOpsによるコスト最適化の定着支援という4領域に絞った、上流のアドバイザリーサービスです。オンプレミスも含むITインフラ全般を扱うインフラコンサル、実装作業そのものを担うクラウド開発/構築とは、対象範囲と契約形態の両面で役割が異なります。
対象範囲を明確にしてから相談先を選びます
顧問契約型、常駐・準委任型、成果報酬型のどれが自社に合うかは、社内のクラウド人材の有無と、依頼したい工程の範囲によって変わります。まずは自社の課題がクラウド特化型に合うのか、より広いインフラ全般の見直しが必要なのかを切り分けることから始めてください。
実装フェーズまで見据えた相談先を選びます
クラウドコンサルの支援範囲は診断・助言が中心のため、実際の移行作業や既存システムとの連携、独自業務に合わせた開発が必要になった段階で、別途の実装体制を組む必要が生じます。riplaはフルスクラッチ開発の立場から、クラウドコンサルの診断結果を踏まえたシステム構築や、既存システムとの連携を含む実装フェーズの支援を行っています。
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株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
