クラウドコンサルの進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

クラウドコンサルは、現状把握から戦略設計、実装・移行を経て、運用最適化へと進む4つの工程で構成されます。

各工程の目的と成果物を押さえ、要件と費用の前提を揃えてから着手すると、失敗やコスト超過のリスクを抑えやすくなります。

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クラウドコンサルの全体像

クラウドコンサルとは、企業がクラウドサービスを効果的に導入・活用し、業務効率の向上やコスト削減、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進につなげるための専門的な支援サービスです。

支援の範囲は広く、システムをクラウドに移行するだけでなく、ビジネス目標に沿ったクラウド戦略の策定から、運用の最適化まで及びます。そのなかには、プラットフォームの選定やセキュリティ体制の構築も含まれます。

クラウドコンサルの定義と役割

クラウドコンサルは、企業がクラウドサービスを導入・運用する際の課題を解決するため、専門知識を持つコンサルタントが伴走して支援するサービスです。コンサルタントは、AWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azure、Google Cloud Platformなどの主要クラウドプラットフォームに精通しています。

そのうえで、企業の業務特性や規模、既存システムの状況を踏まえて、最適な戦略を提案します。

業務範囲は、移行計画の策定やアーキテクチャ設計から、セキュリティ・コンプライアンス対応まで広がります。さらに、コスト最適化や運用体制の構築も含まれます。企業の課題は技術面だけでなく、組織変革や業務プロセスの見直しを伴うことも多いため、コンサルタントには技術的なスキルに加えて、ビジネス視点での問題解決能力も求められます。

クラウドコンサルが注目される背景と市場動向

国内のパブリッククラウドサービス市場は、2024年に前年比26.1%増の4兆1,423億円に達しました。2029年には約8兆8,164億円(約2.1倍)に拡大すると予測されています。この市場拡大の背景には、コロナ禍を契機としたリモートワークの普及、DX推進への経営層の意識の高まり、クラウドサービスの機能・性能の飛躍的な向上があります。

一方で、クラウド活用を進めようとしても、自社だけで適切な戦略立案や技術的な実装を行うのは難しいと感じる企業は少なくありません。クラウドプラットフォームはそれぞれ独自のサービスや料金体系を持ち、セキュリティ要件やコンプライアンス対応も年々複雑になっています。こうした背景から、専門知識を持つクラウドコンサルの需要が高まり、多くの企業がコンサルティングを活用してDXを加速させています。

クラウドコンサルは大企業に限らず、中堅・中小企業にも広がっています。

ポイント

支援の範囲は移行作業にとどまらず、戦略の策定から運用の最適化まで広がります。そのため、どこまでを任せたいかを先に決めて、各社の支援範囲を比べるのが判断の目安になります。

クラウドコンサルの進め方・具体的な工程と手順

現状把握、戦略設計、実装・移行、運用最適化の順に進むクラウドコンサルの工程図
前半で方針を固め、後半で移行と運用を整えます。

クラウドコンサルの進め方は、次の4つのフェーズで構成されます。

各フェーズを丁寧に進めることで、プロジェクトの失敗リスクを最小限に抑え、期待する効果を確実に得られます。

それぞれのフェーズで何を行い、どのような成果物が生まれるかを理解することが、成功への第一歩です。

  1. 現状把握:既存環境と課題の調査、移行対象の整理
  2. 戦略設計:クラウドの方針とアーキテクチャの設計
  3. 実装・移行:検証を経た本番環境への移行
  4. 運用最適化:コストと安全性の確認、継続的な改善

フェーズ1:現状調査・アセスメント(要件定義・企画)

クラウドコンサルの最初のフェーズでは、企業の現状を把握するアセスメントを行い、既存のITインフラやシステム、業務プロセスを包括的に調べて評価します。対象にはセキュリティ要件やコスト構造も含まれます。特に、この段階の調査が不十分だと、後工程での手戻りや予期しないコスト増加を招きます。

具体的には、次の3つを行います。

  • 現行システムの洗い出し:移行対象のシステムや業務を特定する
  • クラウド適性の評価:各システムの移行難易度・リスクを評価し、移行の順序を決める移行優先度マップを作る
  • 達成したい成果の数値化:ビジネス目標や課題をヒアリングし、コスト削減率やシステム応答速度の改善、運用工数の削減などを数値で定める

この段階の成果物には、現状分析レポート、クラウド移行適性評価書、プロジェクト目標設定書などがあります。

なかでも要件定義は、「何を達成したいのか」「どのような制約があるのか」を明確にし、その後のすべての工程の土台になります。逆に、要件定義が曖昧なまま進むと、プロジェクト後半で方針変更を迫られ、コストや工期が大幅に増える失敗パターンに陥るおそれがあります。

フェーズ2:戦略立案・アーキテクチャ設計(設計フェーズ)

アセスメントの結果を踏まえて、クラウド移行の戦略と構成を設計し、まず最適なプラットフォームを選びます。AWS、Microsoft Azure、Google Cloudの3大プラットフォームは特徴が異なり、2024年時点のシェアはAWSが33%でトップ、Azureが20%、Google Cloudが11%です。選定では、次の観点で比べます。

  • 既存環境との親和性:今の環境と無理なくつながるか
  • ワークロードの特性:処理の性質が各クラウドに合うか
  • 運用体制と学習コスト:自社で運用でき、習得の負担が見合うか

たとえば、Microsoft製品を多く使う企業ではAzureとの相性が良い傾向があり、機械学習・AIを多く使う場合はGoogle Cloudが有利です。ほかに、セキュリティ・コンプライアンス要件や、5年間のTCO(総保有コスト)も評価の観点になります。

用途に応じて複数のクラウドを使い分けるマルチクラウド戦略を採用する企業も増えています。

アーキテクチャ設計では、非機能要件(可用性・性能・セキュリティ・拡張性)を明確にしたうえで、クラウドサービスの構成を決めます。加えて、将来の事業拡大や機能追加を見据えた拡張性の確保と、ベンダーロックインを避ける設計思想が問われます。続いて、コンサルタントは移行計画書(マイグレーションプラン)に、フェーズごとの移行スケジュールやリスクと対策、コスト試算を詳しく書き込みます。

フェーズ3:実装・移行とリリース後の運用最適化

設計で策定した計画に基づき、クラウド環境を構築したうえで、次の3種類の移行を進めます。3つは並行して進むため、綿密なスケジュール管理と関係者間のコミュニケーションが欠かせません。

  • 業務移行:新システムを用いた新業務フローへの切り替え
  • システム移行:旧システムの停止と新システムへの切り替え
  • データ移行:既存システムからのデータ抽出・変換・投入

移行作業では、まず検証環境(ステージング環境)で十分にテストします。パフォーマンステスト、セキュリティテスト、業務テスト(UAT:ユーザー受け入れテスト)を段階的に行い、問題がないことを確かめてから本番移行を行います。

万が一の際に備えて、ロールバック(切り戻し)の手順も事前に用意しておくことが、リスク管理の観点から不可欠です。

リリース後は、監視と最適化が継続的な課題になります。なかでもコストは使い方次第で大きく変わるため、定期的なレビューと、リザーブドインスタンスの活用や不要リソースの削除などが必要です。加えて、セキュリティパッチの適用やバックアップ体制の維持、障害時の対応手順の整備を進めるとともに、新機能の活用やアーキテクチャの見直しを行うと、効果を継続して引き出せます。

ポイント

工程ごとに成果物を確認し、次の工程へ進む前に要件と費用の前提がそろっているかを見ておくと、手戻りや費用超過の防止につながります。

クラウドコンサルの費用相場とコストの内訳

小規模は100万円〜300万円程度、中規模は300万円〜1,000万円程度、大規模は1,000万円〜数千万円以上の初期費用目安を示す図
規模が大きくなるほど、費用の上限も広がります。

クラウドコンサルの費用は、プロジェクトの規模、支援範囲、コンサルタントの専門性によって大きく変わります。

アセスメントだけを依頼するスポット支援から、設計・実装・運用まで一貫して任せるフルサポートまで、支援の形もさまざまです。

費用感を事前につかんでおくと、予算計画や発注先の比較がしやすくなります。

プロジェクト規模別の費用目安

費用は、主に「コンサルタントの工数(人月)× 単価」で算出されます。単価はスキルレベルや会社の規模によって異なり、一般的な目安は月額80万円〜200万円程度です。大手ITコンサルティングファームでは1人月200万円を超えることもある一方、中堅・専門コンサルや開発会社では100万円〜150万円程度で対応するところも多いです。

初期費用の目安は、プロジェクトの規模によって次のように変わります。

  • 小規模(社員50名以下・一部システムのみ移行):初期費用は100万円〜300万円程度となることが多いです。
  • 中規模(社員100〜500名・基幹システムを含む複数システムの移行):300万円〜1,000万円程度となることが多いです。
  • 大規模(グループ企業・全社的なクラウド化):1,000万円〜数千万円以上となることが一般的です。

アセスメントだけであれば、50万円〜150万円程度でスポット支援を受けられる会社もあります。

まずは現状調査から始めるという進め方も有効です。

初期費用以外のランニングコストと総コストの考え方

クラウドコンサルでかかる費用は、コンサルティング費用に加えて、総コスト(TCO:Total Cost of Ownership)として捉える必要があります。その内訳には、利用料金(月額サブスクリプションや従量課金)や、移行作業に伴うデータ転送費用があります。さらに、監視・セキュリティツールの利用料や、移行後の運用管理費用も含まれます。

クラウド化すると、オンプレミスと比べてハードウェアの購入・保守費用が不要になり、システム管理の工数が削減されるという効果があります。

クラウドの利用料は使い方次第で大きく変動するため、適切なコスト管理の仕組みを整えることが欠かせません。コストを抑える支援には、次の2つがあります。

  • 利用料の見直し:リザーブドインスタンスやスポットインスタンスの活用、オートスケーリングの適切な設定などを通じて、コンサルタントが支援します。
  • 移行後の支援期間:移行完了後も半年〜1年程度は継続して支援を受けることで、長期的なコスト削減効果を最大化できます。

ポイント

費用は規模と支援範囲で大きく変わるため、見積もりを比べる際は初期費用だけでなく、利用料や運用費まで含めた総コストで見ると判断を誤りにくくなります。

見積もりを取る際のポイントと発注先の選び方

発注先の比較観点として提案内容の具体性、担当コンサルタントの経験・資格、類似案件の実績、アフターサポートを並べたチェックリスト
4項目を同じ目線で確認すると、提案の違いを捉えやすくなります。

クラウドコンサルを外部に依頼する際は、適切な見積もりを取るための事前準備が欠かせません。とくに、複数社の見積もりを単純に金額だけで比べると、後々想定外のコストが生じるリスクがあります。

要件明確化と仕様書の準備

見積もりを依頼する前に、自社の要件をできるかぎり固めておく必要があります。まず、「何をクラウドに移行したいのか」「どのような課題を解決したいのか」を整理します。そのうえで、「いつまでに完了させたいのか」「予算はどの程度か」も決めておくと、各社から精度の高い見積もりを得られます。

現行システムの概要を記した資料(システム構成図、利用中のソフトウェア・ライセンス一覧、月次のアクセス数やデータ量など)を準備しておくと、コンサルタント側の見積もり作業も効率化されます。その結果、コンサルタントからより正確な提案を受けられるようになります。

また、移行後のシステムに求める性能要件(応答速度、可用性、セキュリティレベルなど)も、事前に整理しておくことをおすすめします。明確な要件定義書や仕様書がそろっていると、複数社の提案を同じ条件で比べやすくなり、最終的な意思決定の精度も高まります。

複数社比較と発注先の選び方

クラウドコンサルの発注先は、最低でも3社から見積もりと提案書を取り、比較検討することをおすすめします。

比較では、価格だけでなく次の点を総合的に評価します。

  • 提案内容の具体性:提案書の中身がどれだけ具体的か
  • 担当コンサルタントの経験・資格:AWS認定ソリューションアーキテクト、Microsoft認定資格など
  • 類似案件の実績:過去に手がけた類似プロジェクトでの実績
  • アフターサポート:導入後にどこまで支援してくれるか

発注先は、大手ITコンサルティングファームとクラウドベンダーのパートナー企業、独立系クラウド専門コンサル、SIer(システムインテグレーター)の4種類に大きく分けられます。大手ファームは実績やノウハウが豊富な一方、コストは高めになる傾向があります。専門コンサルは特定分野に強みを持つ反面、規模によっては対応できない場合もあります。

自社の予算規模や要件に合わせて、最適な発注先を選ぶことが大切です。また、コンサルティングと実装を別々の会社に頼むより、一気通貫で対応できる会社に頼むほうが、情報の伝達ロスを減らし、プロジェクト全体のリスクを抑えられるという利点があります。

注意すべきリスクと対策

クラウドコンサルを進めるうえで注意したいリスクの一つが「ベンダーロックイン」です。特定のクラウドに依存しすぎると、将来の移行が困難になったり、価格交渉の余地が狭まったりする可能性があります。そのため、特定のベンダーに偏らず、中立的な立場で助言できる会社を選ぶことが大切です。

次に、「要件の変化・スコープクリープ」があります。プロジェクト開始後に要件が追加・変更されると、コストと期間が大幅に増えることがあります。これを防ぐには、契約前に変更管理のプロセスを明確にし、追加作業の費用の扱いをあらかじめ合意しておくことが大切です。

また、「担当者の引き継ぎ問題」も見落としがちなリスクです。外部コンサルタントに頼りすぎると、プロジェクト終了後の運用を自社で担えなくなることがあります。そのため、選定の段階から、自社への知識・スキル移転(ナレッジトランスファー)を支援内容に含めておくことをおすすめします。

ポイント

見積もりは金額だけで比べず、同じ条件で出してもらった提案を実績やサポート体制と合わせて見ると、後から想定外の費用が出るリスクを減らせます。

まとめ

ここまで、クラウドコンサルの全体像から、進め方や工程、費用相場、発注先の選び方までを見てきました。

クラウドコンサルは、「現状調査・アセスメント」「戦略立案・設計」「実装・移行」「運用最適化」の4フェーズで進めるのが基本です。各フェーズで要件を丁寧に整理し、関係者間で連携することが、成功の鍵となります。

費用は、プロジェクト規模によって100万円〜数千万円以上の幅があります。コンサルティング費用だけでなく、利用料やランニングコストも含めたTCO(総コスト)で捉えると、判断しやすくなります。

発注先は、価格だけでなく担当者の専門性や実績、サポート体制を総合的に見て選びます。最低でも3社は比べることをおすすめします。自社への知識移転を意識して選ぶことが、長期的な成功につながります。

クラウドコンサルを成功させるには、まず自社の現状と目指すゴールを明確にし、それに合うパートナーを選ぶことが第一歩です。

専門知識を持つコンサルタントの力を借りながら、自社のDXを力強く推進していきましょう。

株式会社riplaは、コンサルティングから実装・運用まで一気通貫で支援する体制を整えています。クラウドコンサルに関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。