総合コンサルの選定ポイント/選び方/種類

総合コンサルは、知名度や実績数ではなく、自社の経営課題と支援範囲の合い方で比べます。戦略、ガバナンス、実装のどれに強いかで得意な支援が異なるため、比べる観点をそろえることが大切です。

選定前の課題整理、出自による3つの種類、7つの評価軸、選び分けと進め方を扱い、自社に合う2〜3社まで絞り込みます。

▼全体ガイドの記事
・総合コンサルの完全ガイド

総合コンサル選定前に整理すべき自社の課題

選定でまず行うのは、ファームの一覧を集めることではなく、自社の課題がどのテーマにまたがるかを見極めることです。経営戦略から組織人事まで、どのテーマなら自社だけでは進めにくいかを特定します。課題を一文で説明できると、比べる相手や不要な機能が見えやすくなります。

戦略立案と実行フェーズの不足箇所の確認

中期経営計画や全社DX戦略の骨子があっても、実行段階の人手が足りない場合があります。そこで、要件定義・ベンダー選定・現場定着まで支援できる力を重視します。

一方で、事業戦略の方向性が固まっていない場合は、戦略立案の質と経営層との議論を優先します。同じ「総合コンサルが必要」という状態でも、比べるべき得意領域は異なります。

社内会議で「次に何を決めればよいか」まで話が出るなら、実行支援が足りない可能性があります。逆に、「そもそも何を目指すべきか」で止まるなら、戦略立案が先です。両者を混同すると、戦略立案が得意なファームに実行支援を求めることになり、早い段階で契約範囲外と説明される事態につながります。

部門間の整合不足と内製化、どちらが本質的な課題かの切り分け

経営企画・情報システム・人事が個別に計画を進めると、実行段階で食い違いが生じることがあります。その場合は、複数部門を横断して調整する力が課題です。課題の洗い出しも、経営企画部門だけで完結させず、情報システム・人事・現場のキーパーソンを交えて行います。

プロジェクトの型があってもノウハウが蓄積されないなら、内製化やノウハウ移転への対応力を確認します。また、2024年11月に施行されたフリーランス法など、外部人材との取引に関する法令への対応も見ておきます。契約形態とコンプライアンス体制まで含めて不足を洗い出すと、比べる観点がぶれにくくなります。

部門ごとに「困っていること」を持ち寄ると、同じ根本原因に行き着く場合があります。たとえば、経営層への説明資料が部門ごとに異なる形式で作られているケースです。原因が共有されれば、ファームの支援範囲が明確になります。

ポイント

戦略立案と実行のどちらが手薄か、部門間の食い違いが原因かを切り分けると、比べるべき得意領域が決まります。判断に迷うときは、課題を一文で説明できるかを確かめてください。

出自で見る総合コンサルの3つの種類

戦略系、会計・監査法人系、シンクタンク・SI系の強い領域を3つのパネルで示した図解
母体の違いが、支援の起点や得意領域に表れます。

総合コンサルは出自によって、戦略系、会計・監査法人系、シンクタンク・SI系の3つに大別できます。複数の領域を横断する点は共通していても、母体の事業によって強い領域と動き方が変わります。

戦略系ファーム:経営層との事業共創を起点とした支援

戦略系ファームは、事業戦略や経営課題の解決を起点に、業務改革・IT導入・組織改編へ支援範囲を広げてきた経緯があります。経営層との議論で大きな方針を描く一方、細かなオペレーション改善は別のパートナーと組む場合もあります。

公式サイトで「戦略」「事業共創」が先頭に置かれているかを確認します。役員インタビューや経営誌への寄稿など、経営層向けの発信も手がかりです。

初回面談では、実行フェーズを自社チームと協力会社のどちらが担うかを尋ねます。担当範囲を聞くと、支援範囲の実態を把握しやすくなります。

会計系はガバナンス、シンクタンク・SI系は実装力が強み

会計・監査法人系は、財務・内部統制・リスク管理の知見を土台にします。業務改革やIT/DX導入まで支援しており、上場企業のガバナンス対応やM&Aの統合プロセスと親和性があります。

シンクタンク・SI系は、業種別の調査知見とシステム実装力を持ちます。戦略を実行フェーズまで自社グループで進めやすい点が強みです。課題がガバナンス寄りか実装寄りかで、相性の良い出自は変わります。

ポイント

まず課題がガバナンス寄りか実装寄りかを確かめ、戦略系・会計系・シンクタンク・SI系のどれが近いかで候補を絞ると、比べやすくなります。

ファーム選定で比較すべき7つの評価軸

候補ファームを支援力、実績と体制、費用、内製化支援で確認するチェックリスト図
支援の中身から契約後のノウハウ移転まで、確認範囲を見渡せます。

候補ファームは、7つの評価軸で比べます。同じ質問を各社に示し、回答と提案内容をそろえると、適合度で判断しやすくなります。

  • 支援範囲:横断性、合意形成力、実行支援力の強さ
  • 体制と実績:業界・規模の実績と、職位・人数・稼働率
  • 費用と内製化:契約形態・算出基準と、終了後にノウハウが残る設計

横断性・合意形成力・実行支援力の確認

横断性は、経営戦略から組織人事までのどこを担当するかで確認します。あわせて、自社グループで担う範囲と、外部パートナーと連携する範囲を聞くと、実態が見えてきます。

合意形成力は、ステアリングコミッティの運営やファシリテーションで見ます。実行支援力は、要件定義やベンダー選定の支援から、パイロット導入や定着化までを確認します。

過去の類似プロジェクトの進め方を聞くと、提案後の対応が分かります。

実績・アサイン体制・費用・内製化支援の確認

実績は、自社に近い業界・規模で確認します。大手向けの実績が中心だと、中堅企業と体制やコスト感覚が合わないことがあります。加えて、アサイン体制は、職位・人数・稼働率を見ます。

費用は、常駐型・リテイナー型・成果報酬型への対応と算出基準を確認します。また、内製化支援は、OJTや混成チームによるスキル移転の実績を見ます。

比較結果は、評価担当者ごとの自由採点にせず、確認方法まで統一します。「実行支援まで対応可能」という回答も、提案書・面談・契約条項のどこで確認したかを残すと、対応範囲が見えてきます。さらに、未確認の事項は点数を付けず保留にすると、営業説明の分かりやすさに引っ張られにくくなります。

ポイント

同じ質問で各社の回答をそろえ、未確認の事項は点数を付けず保留にすると、営業説明の分かりやすさに引っ張られにくくなります。

自走・全面委託・ハイブリッドの選び分け

ノンコア業務の効率化を急ぐなら、ファームへの全面委託が適しています。一方で、コア業務で競争優位性を作るなら、自走を中心に、必要な部分だけ外部を活用します。その中間にあたるのが、ハイブリッドです。

これは、パッケージ導入とフルスクラッチ開発の仕分けにも近い考え方です。

全面委託と自走の判断基準

全面委託は、経営戦略から実行までの体制を短期間で確保しやすい方法です。ただし、依存が続くと費用が高止まりしがちです。自走は、企画部門やIT部門が主体となり、必要な局面だけ知見を借りる形です。

社内の戦略立案や合意形成の経験が乏しいと、遠回りになることがあります。体制の厚みは、フルスクラッチ開発と同じく、競争優位性に直結するかで決めます。

判断に迷う場合は、小さなテーマで全面委託を試し、進め方と出てきた成果の質を確かめてから、次のテーマで自走の範囲を広げます。いきなり全社規模で自走を宣言すると、経験不足から遠回りが生じやすくなります。一方で、成功体験を積み重ねながら、委託範囲を調整するのが実務的です。

ハイブリッドにおけるフェーズアウト計画の事前合意

ハイブリッドでは、フェーズごとに主導権を移す計画を最初に合意しておきます。構想策定と戦略立案は総合コンサルが担い、開発基盤の構築やパイロット開発は混成チームで進めます。

一方で、自律化やスケールの段階では、自社が主要な役割を担います。移行の時期と基準を決めておかないと、内製化が進まないまま止まりがちです。

ポイント

全面委託、自走、ハイブリッドのどれにするかは、競争優位性を作る業務かどうかで決まります。迷うときは、小さなテーマで全面委託を試してから範囲を広げると、遠回りを避けやすくなります。

提案依頼(RFP)とPoC・パイロット導入の進め方

RFPの条件提示からPoCの対象設定、検証期間、評価と撤退基準へ進む流れを示した図
検証前に条件をそろえると、評価後の判断まで一続きになります。

提案依頼(RFP)では、機能や実績に加えて、意思決定のプロセスと投資規模を示します。そのうえで、合格条件を設定します。PoC・パイロット導入も、説明を聞くだけで終わらせません。

PoCでは、経営層への報告までを一連の流れとして確認します。

RFPに記載する意思決定体制と投資規模

RFPには、対象部門と想定投資規模を記載します。あわせて、現行の意思決定プロセスと解決したい経営課題も書きます。さらに、ステアリングコミッティの参加者と、部門間対立が生じた際の裁定者も明示します。

各ファームには、その体制での動き方を提案してもらいます。また、要件を「必須」「望ましい」「将来」の3段階に分けると、候補を失いにくくなります。

PoCにおける撤退基準の検証前合意

PoC・パイロット導入は、1つの業務と1つのモデル部門に絞ります。対象業務サイクルの2倍以上を目安にして、最長でも3ヶ月以内に結論を出します。評価は、価値・運用・経済の3レイヤーで行います。

また、全社展開(Go)か、再設計・中止(No-Go)かを決める撤退基準も、検証前に合意しておきます。制約や課題は意思決定ログに残し、本開発の要件定義へ引き継ぎます。

検証前には、対象部門のデータがどの程度整っているかを2〜3週間かけて確かめます。拠点ごとに項目の持ち方が違うといった品質の問題を、早い段階で見つけておきます。この確認を省くと途中で不備が発覚し、3ヶ月以内に結論を出せない遅延につながります。

ポイント

RFPでは意思決定体制と投資規模を明記し、PoCでは撤退基準を検証前に決めておくと、ファームの提案を同じ条件で比べられます。

総合コンサル選定の失敗を避ける方法

よくある失敗は、提案資料の分かりやすさと知名度だけで比べてしまうことです。加えて、現場の巻き込みと内製化計画も確認します。

発注側は、導入目的と責任者を明確にし、経営企画と現場部門の視点を選定に反映します。さらに、情報システムと人事の視点も、選定の場に加えます。

知名度とプレゼン力だけで決めてしまう失敗

実績が豊富でも、自社の規模や業界で実行支援の経験が薄ければ、現場の運用は複雑です。一方で、課題に合う候補なら、規模がコンパクトでも負担を抑えられます。

必須要件を満たさない候補は除外し、残りを実行支援力と費用で比べます。候補企業は総合コンサルのパッケージ・クラウド製品一覧でも確認できます。

内製化計画と社内の役割分担

発注側は、ステアリングコミッティの参加者、現場のキーパーソン、意思決定ログの管理者を決めておきます。曖昧なままだと、終了後にノウハウが残りません。そのほか、問い合わせ窓口、契約の途中見直し条件、データや資料の引き継ぎ範囲も決めます。

対象範囲を最初から全社へ広げることも、失敗の原因になります。運営に慣れていないうちは、現場の協力を得やすい部門から始めます。1つのフェーズを完走してから広げると、手戻りを抑えられます。

成果は、一般的な値をそのまま使わず、導入前後の意思決定スピードや手戻り件数を同じ条件で計測します。試行期間中は、ファーム側の力不足と自社側の体制不足を分けて記録します。そのうえで、契約を見直す事項と自社運用の改善を区別すると、次のフェーズへ引き継ぎやすくなります。

総合コンサル導入前に確認しておきたいポイント

候補を絞ったあとは、規模や知名度だけでなく、実行支援の実態と費用の算出根拠を確認します。比較表では見えにくい条件を事前に検証しておくと、導入後に止まるリスクを抑えられます。

中堅・中小企業での活用効果とテーマの複雑さ

企業の規模よりも、複数部門を横断する調整が必要かどうかで考えます。あわせて、経営層の意思決定を後押しする材料が必要かも確かめます。単一部門の課題なら、専門特化型コンサルや自社のリソースで対応できる場合もあります。

専門特化型コンサルとの併用という選択肢

両者を併用するという選択も考えられます。総合コンサルが全体戦略と部門間調整を担い、特定テーマを専門特化型コンサルに依頼する形です。各社の役割分担と責任範囲は、契約時に明確にします。

PoCにおける経営層への報告までの一連の流れ

実在する1つの業務・部門を対象に、検証、評価、経営層への報告資料の作成までを確かめます。ファームに任せきりにせず、自社の担当者も評価基準の設定とKPIの測定に関わります。さらに、撤退基準の判断にも加わることが重要です。

まとめ

総合コンサルは、戦略立案と実行のどちらが不足しているかを見極めて選びます。部門間の整合不足と内製化のどちらが課題かも特定します。そのうえで、出自の違いから方向性を絞り、7つの評価軸で候補を比べます。

実在する1つのテーマでPoC・パイロット導入を行い、経営層への報告まで確かめます。

競争優位性の所在による、自走・全面委託・ハイブリッドの判断

自走・全面委託・ハイブリッドは、知名度ではなく競争優位性の所在で選びます。そのうえで、どのテーマを内製化し、どれを外部に委ねるかを決めます。実行フェーズまで完結できない提案に無理に合わせると、現場のノウハウが残らないことがあります。

選定前の課題整理からの着手

まずは、課題が経営戦略から組織人事までのどこで不足しているかを整理してください。総合コンサルの戦略立案やPoCを踏まえて、自社の競争優位性になるシステムを構築したい場合もあります。

既存システムとの連携が必要な場合は、riplaがフルスクラッチ開発の立場から要件整理と構築を支援しています。

▼全体ガイドの記事
・総合コンサルの完全ガイド

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。