基幹システム/ERP改修の製品は、大きく3つに分けると選びやすくなります。会計・人事給与のクラウド化、帳票・画面のノーコード・ローコード改修、統合ERPのモジュール単位刷新の3つです。
各製品の位置づけや料金、導入前に確認したい点を、対象領域ごとに紹介します。全体像は基幹システム/ERP改修の完全ガイドもご覧ください。
▼全体ガイドの記事
・基幹システム/ERP改修の完全ガイド
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基幹システム/ERP改修におけるパッケージ・クラウド製品の位置づけ

基幹システム/ERP改修で使う製品・ツールは、全面刷新で比較される単一の統合パッケージとは、選び方の発想が異なります。そのため、改修の対象範囲に応じて、複数の製品に役割を分けて使う考え方を先に押さえておきます。
全面刷新のパッケージ選定との前提の違い
全面刷新と改修では、製品選びの前提が違います。
- 全面刷新:基幹業務全体を支える単一のERPパッケージやクラウドサービスを比べるのが一般的
- 改修:対象を会計、人事給与、特定の帳票、特定の画面などに限るため、複数の製品や開発手法を組み合わせて対応することが多い
ここで扱うのは、どの製品が総合的に優れているかではなく、どの対象領域に、どの製品が候補になり得るかです。
1社の製品だけで全モジュールをまかなおうとせず、対象ごとに合う製品を組み合わせる発想で考えてください。
改修で製品を検討する3つの入り口
改修で製品を選ぶ入り口は、大きく3つあります。
- 会計・人事給与のクラウド化:標準化しやすいモジュールを、専用のクラウドサービスへ切り出す入り口
- 帳票・画面のノーコード/ローコード改修:使い勝手を、ノーコード・ローコード基盤で改善する入り口
- 統合ERPのモジュール単位刷新:複数モジュールにまたがる中規模改修を、モジュール単位で刷新できる統合ERPパッケージで進める入り口
評価軸の詳しい考え方は、基幹システム/ERP改修の選定ポイント・選び方・種類で解説しています。
会計・人事給与モジュールをクラウド化する製品
経理や人事給与のように、複数の企業で共通化しやすい業務は、既存の基幹システムから切り出して専用のクラウドサービスへ移す改修が選択肢になります。
ここで紹介するのは、2026年7月時点で公式サイトの現行情報を確認できた2製品です。掲載の順番は、優劣を示すランキングではありません。
freee会計
freee会計は、freee株式会社が提供するクラウド会計ソフトです。2026年7月時点の公式サイトには、法人向けプランとして次の料金が掲載されています。
- ひとり法人:月額2,980円(年払い時)
- スターター:月額5,480円から(年払い時)
- スタンダード:月額8,980円から(年払い時)
- アドバンス:月額39,780円から(年払い時)
- エンタープライズ:規模の大きい企業向けで個別見積もり
既存の基幹システムから会計業務だけを切り出す改修では、現行の勘定科目体系や仕訳ルールをそのまま移せるかを確認する必要があります。あわせて、他モジュールとのデータ連携の方法も確かめておきます。
会計モジュールを切り出す改修では、移行時点の仕訳データや固定資産台帳をどこまで引き継ぐかが、実務上の論点になります。過去数年分のデータを移すのか、一定時点以降のデータだけを対象にするのかは、社内の会計方針と合わせて事前に決めておくとスムーズです。
最新の料金・プラン内容は、公式サイトでの確認をおすすめします。
マネーフォワード クラウド会計
マネーフォワード クラウド会計は、株式会社マネーフォワードが提供するクラウド会計サービスです。2026年7月時点の公式サイトには、次の料金が掲載されています。
- ひとり法人プラン:年払いで月額2,480円
- スモールビジネスプラン:年払いで月額4,480円
- ビジネスプラン:年払いで月額6,480円
- クラウド会計Plus:IPO準備や中堅・大企業向けの個別見積もり
会計モジュールの改修と合わせて他の基幹業務システムとの連携を検討する場合は、API連携やCSV連携で引き渡せる項目の範囲を確認してください。
プランごとに利用できる機能や登録できる事業所数は異なります。複数拠点や複数法人で使う想定なら、対象プランに必要な機能がすべて含まれているかを、デモや資料で確認します。
将来的に規模が広がる見込みがあれば、上位プランへの移行手順もあらかじめ質問しておくとよいでしょう。料金・キャンペーンの内容は変更されることがあるため、最新情報は公式サイトで確認することをおすすめします。
画面・帳票をノーコード/ローコードで改修するプラットフォーム
帳票のレイアウト変更や画面の表示項目の見直しは、ノーコード・ローコード基盤を使えば、既存の基幹システムに手を入れずに進められる場合があります。
ここでは2製品を紹介します。
kintone
kintoneは、サイボウズ株式会社が提供する業務改善プラットフォームです。2026年7月時点の公式サイトには、次の料金が掲載されています。
- ライトコース:1ユーザーあたり月額1,000円(最低10ユーザーから)
- スタンダードコース:1ユーザーあたり月額1,800円(最低10ユーザーから、連携・拡張機能を利用可能)
- ワイドコース:1ユーザーあたり月額3,000円(最低1,000ユーザーから)
帳票や入力フォームの改修を、ノーコードで進めたい場合の候補になります。ただし、既存システムとのデータ連携の方法と、対象業務の複雑さに合ったプランかどうかを確認する必要があります。
既存の基幹システムのマスタデータを、kintone側に持たせるか、都度APIで参照させるかで、運用の負荷が変わります。また、特定の部門だけで先に導入し、定着してから対象業務を広げる進め方もあります。
Microsoft Power Apps
Microsoft Power Appsは、日本マイクロソフトが提供するローコード開発プラットフォームです。2026年7月時点の公式サイトには、次の料金が掲載されています。
- 開発者向けプラン:無料
- Power Apps Premium:1ユーザーあたり月額2,998円(年払い)
- 大規模契約向け:最低2,000ライセンスから、1ユーザーあたり月額1,799円(年払い)
既存の基幹システムやERPと連携し、特定の画面や業務アプリだけを改修したい場合の候補になります。Dataverseなどのデータベース容量やCopilot Studioの追加費用も含めて見積もります。
既にMicrosoft 365を利用している企業であれば、既存のライセンス体系との組み合わせを確認することで、追加費用を抑えられる場合があります。
まず開発者向けの無料プランで試作し、実運用に移す段階で有償プランへ切り替える進め方も検討できます。
統合基幹システムをモジュール単位で刷新できるパッケージ・クラウドERP
複数モジュールにまたがる中規模の改修では、統合基幹システムのパッケージやクラウドERPを使い、対象のモジュールだけを段階的に刷新する進め方もあります。
統合ERPパッケージやクラウドERPとして、ここではOBIC7とMicrosoft Dynamics 365 Business Centralの2製品を紹介します。
OBIC7
OBIC7は、株式会社オービックが提供する統合業務ソフトウェアです。2026年7月時点の公式サイトのトップページでも、同社の中核ソリューションとして紹介されています。
OBIC7は、会計、人事給与、販売管理などを組み合わせて使える統合型のパッケージです。特定のモジュールだけを改修する場合は、次を個別に確認することをおすすめします。
- 契約・保守体制:モジュール単位での契約・保守条件
- データ連携範囲:他システムとのデータ連携範囲
統合型パッケージでは、モジュール同士がマスタデータを共有していることが多くあります。そのため、一部のモジュールだけを改修する場合でも、他のモジュールへの影響がないかを確かめる必要があります。
公式サイトでは料金が公開されていないため、対象モジュールと現状の利用状況を伝えたうえで、見積もりを依頼してください。
Microsoft Dynamics 365 Business Central
Microsoft Dynamics 365 Business Centralは、日本マイクロソフトが提供する中小規模企業向けのクラウドERPです。2026年7月時点の公式サイトには、次の料金が掲載されており、30日間の無料試用版も用意されています。
- Essentialsプラン:1ユーザーあたり月額11,994円
- Premiumプラン:1ユーザーあたり月額16,491円
- Team Membersプラン:1ユーザーあたり月額1,199円
財務管理、販売、サービス、業務管理などのモジュールを組み合わせて利用できます。既存の基幹システムのうち特定の領域だけを、クラウドERPへ切り出す改修の候補になります。
Essentialsプランは、財務管理やサプライチェーン管理が中心の構成です。Premiumプランでは、それに製造・サービス管理が加わります。そこで、改修の対象領域がどのプランに含まれるかを、事前に確認します。
Team Membersプランは閲覧や簡易入力が中心のライセンスです。そのため、改修対象の業務を実際に担当する利用者数に応じて、必要なプランを見極めます。
自社の改修対象別に製品を絞り込む方法

6製品を一律に比べるより、改修の対象がどこにあるかを先に決め、必須の要件で候補を絞り込む方が効率的です。ここでは、改修対象ごとに検討の出発点を見ていきます。
法改正対応が中心の場合
消費税率の変更やインボイス制度対応など、期日が決まっている法改正への対応が中心になる場合もあります。
法改正対応が中心なら、会計・人事給与モジュールをクラウド化するfreee会計やマネーフォワード クラウド会計を、検討の起点にします。
ベンダー側で法改正対応が随時反映される点は、自社で改修を続けるよりも期日を守る面で有利になることがあります。ただし、既存の基幹システムとのデータ連携の方法は、個別に確認が必要です。
帳票・画面UIの改修が中心の場合
印刷帳票のレイアウトや画面の表示項目、入力フォームの操作性を改善したい場合があります。この場合は、kintoneやMicrosoft Power Appsのような、ノーコード・ローコード基盤が候補になります。
既存の基幹システムを土台にしたまま、対象の画面や帳票だけを段階的に改修できるかを、実際の業務データを使ったデモで確かめます。
複数モジュールをまたぐ中規模改修の場合
会計・人事給与・販売管理など、複数モジュールにまたがる中規模改修を検討している場合があります。この場合は、OBIC7やMicrosoft Dynamics 365 Business Centralのような統合ERPパッケージを候補にします。
モジュール単位で段階的に刷新できるかを、既存システムからのデータ移行の方法まで含めて比べる必要があります。
料金・契約前の確認事項

改修に使う製品の料金は、公開されている月額費用だけでは判断しきれません。既存の基幹システムとの並行運用の期間や、データ移行・連携にかかる費用まで含めて確かめる必要があります。
課金の対象
クラウド会計やクラウドERPは、利用者数やユーザー数に応じた課金が中心です。一方で、ノーコード・ローコード基盤では、アプリ数やデータベース容量に応じた追加費用が発生する場合があります。
現在の対象人数に加えて、改修範囲を将来広げる可能性も伝えたうえで、見積もりを取得します。
既存システムとの並行運用・データ移行費用
改修対象のモジュールだけを切り出す場合、切り替え直後は既存の基幹システムと新しいクラウドサービスを並行して運用する期間が生じることがあります。
並行運用の期間や費用、データ移行の範囲、契約終了時にデータをどの形式で受け取れるかを、契約前に確認しておく必要があります。
基幹システム/ERP改修導入前に確認しておきたいポイント
製品一覧から候補を選ぶときは、料金の安さやプラン名だけで判断せず、改修対象や既存システムとの連携条件を同じ基準で比べる必要があります。
1つの製品による全モジュールの対応
改修では、会計はクラウド会計サービス、帳票はノーコード基盤といった組み合わせが一般的です。無理に1つの製品へまとめると、既存の業務フローに合わない部分が残ることがあります。
統合ERPパッケージの必要性
複数モジュールをまたぐ中規模改修でなければ、統合ERPパッケージを新しく導入することは必須ではありません。
そうした改修であれば、OBIC7やMicrosoft Dynamics 365 Business Centralが候補になります。
対象範囲が限定的であれば、既存の基幹システムを維持しながら、該当するモジュールだけをクラウドサービスやノーコード基盤で改修する方法で十分な場合があります。
料金・プラン内容の最新情報
本記事で紹介した料金は、2026年7月時点で各社の公式サイトに掲載されていた情報です。料金プランやキャンペーンは変わることがあるため、契約前には必ず公式サイトや見積もりで、最新の条件を確かめてください。
まとめ
基幹システム/ERP改修に使う製品は、大きく3つの入り口で整理できます。会計・人事給与のクラウド化、帳票・画面のノーコード/ローコード改修、統合ERPのモジュール単位刷新の3つです。
改修対象を先に特定し、必須要件で候補を絞り込むことが、比較を効率化する近道です。
対象範囲の特定から始める製品選び
法改正対応、帳票・画面の改修、複数モジュールをまたぐ中規模改修のいずれかによって、検討すべき製品カテゴリは変わります。並行運用の期間やデータ移行費用まで含めて、総保有コストで比べる必要があります。
個別開発との組み合わせ
既製のクラウドサービスやノーコード基盤では、独自の承認フローや複雑な業務ロジックまでは吸収しきれない場合があります。そこで、個別開発を組み合わせるハイブリッドな進め方として、次の部分を検討してください。
- 既存システムとの連携部分:個別開発を組み合わせて接続する
- 製品では対応できない独自機能:個別開発で補う
riplaは、フルスクラッチ開発の立場から、既製品では対応しきれない改修範囲の整理や、既存システムとの連携開発を支援しています。
▼全体ガイドの記事
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
