Epicor導入の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

Epicor導入は、目的と対象範囲を定め、Prepare・Plan・Design・Deployの4段階を現場と合意しながら進めます。

期間や費用には余裕を持ち、稼働後の支援まで計画します。Epicor Signature Methodologyでは、各フェーズの成果物と承認点を確認しながら進みます。

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Epicor導入の全体像と導入前の確認事項

導入前に、解決したい課題、予算と期間、社内体制を整理しておくことが大切です。目的が曖昧なままだと、範囲の変更や費用超過につながりやすくなります。

Epicorの特徴と対象企業

Epicor Kineticは、製造や流通などの業務を支援するERPです。導入前には、対象業務と必要な機能を確認しておきます。

  • 業務領域:生産・在庫・財務・調達・販売・プロジェクト管理の各業務
  • 製造・供給の機能:サプライチェーン管理、製造向けのMRP、工程・品質管理
  • 連携と生産方式:MES連携、複数の生産方式への対応

導入前に明確にすべき3つの要素

導入目的によって、優先するモジュールや設定方針は変わります。そのため、達成したい成果を先に定めておきます。たとえば、在庫の精度を高めることや、工程の状況を見えるようにすること、財務情報を把握することなどが挙げられます。

見積もりを金額だけで比べると、条件の違いを見落としやすくなります。そのため、比べる前に次の3点を押さえておきます。

  • 費用の構成:ライセンス、実装支援、移行、研修などで構成され、拠点数やカスタマイズで変わる。
  • 導入期間:標準的な1拠点の導入は9〜12ヶ月、複雑な要件では18ヶ月以上となる場合がある。
  • 範囲の確認:見積もり時に導入範囲と前提条件をそろえる。

ポイント

導入前は、課題や予算・期間、社内体制、対象業務を整理し、目的を具体的に決めておくことが判断の目安になります。見積もりは導入範囲と前提条件をそろえて比べます。

フェーズ1:Prepare(準備)——要件定義と現状分析

社内プロジェクトの役割分担を4枚のカードで示した図。
役割ごとに担当領域を分けて準備します。

Prepareでは、業務要件と現状の課題を整理するとともに、実装パートナーと作業範囲を確認します。

要件定義と業務プロセスの現状把握

各部門へのヒアリングを通じて、業務フローやデータ、課題を文書にまとめ、標準機能との適合度を確認します。

標準機能で対応できる業務と、追加開発が必要な業務は分けて捉えます。そのうえで、基本はFit to Standardとし、カスタマイズは費用や保守性も含めて判断します。

実装パートナーの選定とプロジェクト体制の構築

候補のパートナーは、技術や業界の経験に加えて、どこまで支援してもらえるかを確認します。

具体的には、同業種・同規模の導入実績とEpicor認定資格を持つ担当者の有無、プロジェクト管理・変更管理の経験、設定から稼働後支援までの範囲を見ます。

社内でも、役割ごとに担当を分けて、必要な工数を確保しておく必要があります。

  • 経営層のスポンサー:判断と予算・人員の確保
  • 社内PM:進捗・課題管理とパートナー窓口
  • 業務キーユーザー:要件整理、テスト、現場展開
  • IT・インフラ担当:セキュリティと既存連携

ポイント

要件は、標準機能で対応できる業務と追加開発が要る業務に分け、カスタマイズは費用や保守性を含めて判断します。パートナーと社内の役割分担も、この段階で決めておくと後の判断がしやすくなります。

フェーズ2:Plan(計画)——詳細計画とEPRの実施

Planでは、合意した範囲をもとに実装ロードマップを作成し、業務プロセスを検討します。

Enterprise Process Review(EPR)の実施方法

Enterprise Process Review(EPR)では、財務や製造、販売などの業務を確認し、標準機能での対応範囲を評価します。その結果は、Process Blueprintという成果物にまとめられ、後続の設計の基礎になります。

EPRには各業務の担当者が参加し、通常業務だけでなく例外処理も共有します。また、デモを使ってプロセスを確認すると、利用者が早い段階で操作に触れられます。

詳細プロジェクト計画の策定と予算管理

計画書には、各タスクの担当と期間を記し、作業同士の依存関係も明らかにします。設定から研修までの日程も含めます。

データ品質や合意形成に備えて、現実的な余裕も設けておきます。予算は、次の観点で見積もります。

  • 費目の内訳:ライセンス、実装支援、カスタマイズ、データ移行、研修、インフラを分けた見積もり
  • 複数年の総費用:クラウド費用や保守費用を含めた金額
  • 追加費用の条件:変更や追加開発が発生する条件

ポイント

EPRでは、財務や製造などの業務を標準機能でどこまで扱えるかを評価し、その結果を後続の設計の基礎にします。計画は、複数年の総費用と追加開発の条件まで含めて組みます。

フェーズ3:Design(設計)——システム設定とデータ移行準備

データ移行の抽出、変換、ロード、照合を順に並べた図。
照合までを順に進め、移行結果を確かめます。

DesignではProcess Blueprintに沿って、設定の内容を具体化します。マスタや連携、必要な追加開発も、あわせて詰めていきます。

システムコンフィグレーションと設定作業

設定は、会社や拠点に関わる共通情報を先に決め、そのあとで業務モジュールごとに進めます。

  • 共通情報:会社コード、通貨、会計期間、税率、拠点情報
  • 業務モジュール:財務・在庫・調達・製造・販売の各モジュール設定
  • マスタと連携:マスタデータと既存システム連携の仕様

設定内容を確認できるよう、キーユーザーへ初期トレーニングを行います。そのうえで、画面の追加や削除、レイアウト変更も、必要性を確認しながら調整します。

データ移行の準備と実施方法

データ移行では、まず移行する対象を決めたうえで、抽出から変換、ロードを経て照合へと段階的に進めます。

  • 移行対象:品目・得意先・仕入先、仕掛品・在庫、未処理受発注、期首残高
  • 事前の洗い出し:重複や表記揺れ、欠損、廃止データを、移行前に整理する。
  • テスト移行:エラーと照合結果を確認し、本番前に修正する。

フェーズ4:Deploy(展開)——テスト・トレーニング・本番稼働

単体テスト、統合テスト、UATの3段階を示す図。
個別機能から現場の業務シナリオへ検証範囲を広げます。

Deployでは、テストとユーザー受入を重ね、リハーサルと研修を経て本番稼働します。加えて、十分な検証期間を確保しておきます。

テストプロセスとユーザー受入テスト(UAT)

テストでは、各機能と業務全体の流れを段階的に検証します。

  • 単体テスト:個別機能や設定を確認する。
  • 統合テスト:受注から出荷・売上までの業務フローを検証する。

UATでは、現場の利用者が実際の業務シナリオを試し、要件を満たしているかを確かめます。見つかった問題は本番稼働の前に解消し、そのうえで切替リハーサルも行います。

全社トレーニングと本番稼働(Go-Live)の進め方

研修は役割ごとに分け、各担当が業務で使う操作を中心に行います。

  • 製造担当:生産指示・工程報告・在庫移動
  • 購買担当:発注・入荷処理
  • 財務担当:仕訳確認・月次締め

切り替えは、カットオーバーチェックリストに沿って進めます。さらに、稼働後の初期期間はハイパーケア体制を設け、問題や問い合わせに対応します。

ポイント

テストは単体から統合へ段階的に進め、現場のUATで実際の業務シナリオを確かめてから切り替えます。研修は役割ごとに分け、稼働直後はハイパーケア体制で支えます。

本番稼働後の運用と継続的な改善

稼働後の3〜6か月は、安定稼働と定着を支援します。その後は、導入目的に対する効果を測定し、改善計画を作ります。

稼働後サポート体制と社内定着の促進

各部門にスーパーユーザーを配置し、操作の質問や改善の要望を受け止めます。また、定期アップデートの内容も確認します。

KPI測定と継続的な機能拡張の計画

効果を測るため、導入前に基準値を記録し、稼働後も同じ指標で比べます。

  • 在庫・製造:在庫回転率、製造リードタイム、納品率
  • 調達・財務:調達リードタイム、月次決算日数、入力工数

初期機能が安定したら、業務の優先順位に沿って機能を段階的に追加します。その際は、導入範囲を一度に広げず、各段階で効果を確かめます。

Epicor導入で失敗しないための重要ポイント

失敗を防ぐには、範囲とデータ品質、研修と社内体制に関わるリスクを、早めに把握しておくことが大切です。

よくある失敗パターンと対策

要件の追加が続くと、費用や納期に影響します。そのため、開始時に対象範囲を決め、変更管理の手順も関係者と合意しておきます。

データ品質の評価は早い段階で行い、クレンジングと利用者研修を計画に含めておきます。また、研修では、操作だけでなく業務プロセスの背景も共有します。

成功確率を高める3つの重要要素

一つ目は、経営層が導入の目的と優先度を示し、部門間の調整や意思決定に関わることです。

二つ目は、業界知識のある実装パートナーを選び、ユーザーへ早期に情報共有することです。

三つ目として、研修と稼働後サポートを変更管理の一部として計画します。

ポイント

要件追加は変更管理で抑え、データ品質は早い段階で評価しておきます。経営層の関与やパートナー選び、研修の計画も、あわせて押さえておきます。

まとめ

Prepare・Plan・Design・Deployの各段階で成果物と判断点を確認し、目的から研修までを一貫して管理します。

期間や費用は、導入範囲と複雑さによって変わります。そのため、経営層と現場、パートナーが協働できる計画を作り、稼働後も効果を測って改善につなげます。

Epicor Software Corporationは1972年に創業し、Epicorは150カ国以上で採用されています。

FPTなどの支援先と連携する製造業DXのERPで、対象となる中堅企業の売上規模は50億円〜1000億円です。

25〜100ユーザーの導入費用は1,000万円〜4,000万円程度が目安です。ただし、複数拠点や大規模カスタマイズでは、7,500万円〜1億円以上になる場合があります。

クラウド料金は月額10万円〜が基本で、ユーザー1名あたり月額1万〜2万円です。25名規模では月額50万〜80万円を見込みます。

費用は5年のTCOで比較し、契約のSOW(Statement of Work)に範囲を記しておきます。

計画には20〜30%のバッファを確保します。

標準実装は9〜12ヶ月、複雑な案件は18ヶ月以上です。EPRは2〜4週間の業務評価で、各部門から少なくとも1名のキーユーザーが参加します。設計期間は通常3〜6ヶ月です。

データクレンジングは移行工数の40〜60%を占めることがあります。評価は移行の3〜6ヶ月前から始め、移行は最低2回行います。1回目はテスト移行として問題を確認します。

全社研修は本番稼働の4〜8週間前に行い、Go-Live後の1〜2週間はハイパーケアで即時支援します。本稼働後3〜6ヶ月は定着支援を続け、6ヶ月〜1年後にKPIを測定します。ERP導入の部分的失敗は50〜75%との研究があります。

工程では、BOM、Application Studio、UI/UXも確認します。加えて、ETL(Extract, Transform, Load)やBIとAIも押さえておきます。ROIとChange Managementについても、あわせて確認しておきます。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。