GLOVIA導入は、構想・計画から本番稼働・定着化までの5段階で進みます。導入期間は6ヶ月〜2年以上に及ぶため、各段階の内容を承認してから次へ進むことが大切です。
大型プロジェクトのため、進め方を理解しないまま着手すると、スケジュール遅延や予算超過、現場の混乱が生じます。
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GLOVIA導入の全体像
GLOVIAは、富士通が1980年代から開発・販売を続けてきた国産ERPの代表格です。製造業の生産管理や原価管理、流通業の販売管理や購買管理まで、幅広い業務領域をカバーしています。
「GLOVIA G2」は大手・中堅製造業向けの高機能パッケージとして知られ、「GLOVIA smart」は中小企業向けに操作性を重視したSaaS型として提供されています。さらに、近年はクラウド化も進み、オンプレミスとクラウドのハイブリッド構成にも対応しています。
一般的な流れは、構想・計画から本番稼働・定着化までの5フェーズで、その間に要件定義、設計・構築、テスト・移行が入ります。期間はプロジェクト規模によって異なりますが、中堅企業(売上100億〜500億円規模)では12〜18ヶ月、大企業では18〜36ヶ月程度が一般的な目安です。また、各フェーズを確実に完了させ、次に進む前に関係者の承認を得ることが成功の鍵となります。
GLOVIAの主要ラインナップ
「GLOVIA G2」は大手・中堅製造業向けのオンプレミス型ERPです。生産管理・原価管理・品質管理など、製造業に特化した機能を豊富にそろえています。月次処理や工程管理も細かく設定できるため、複雑な製造工程を持つ企業に適しています。
「GLOVIA smart」は中小企業向けのクラウドERP(SaaS)です。販売・購買・在庫管理を中心に、会計や生産管理まで対応するオールインワン型で、初期費用を抑えてスピーディに導入できる点が特徴です。
このほか、「GLOVIA/PRO」は建設業向け、「GLOVIA/SL」は流通業向けなど、業種特化型のラインナップも充実しています。
GLOVIA導入が向いている企業の特徴
GLOVIAが向いているのは、製造業や流通業で、国内の業務を重視する企業です。日本語対応や日本の商慣習との適合性が高く、日本固有の会計基準(日本版IFRS対応を含む)や法令への対応も充実しています。
GLOVIAは、富士通という大手メーカーが提供しているため、長期的なサポートの安定性を重視する企業にも向いています。
グローバル展開を優先する多国籍企業や、導入スピードを最優先するスタートアップ企業などでは、SAP・OracleやクラウドネイティブのERPが選ばれることも多いです。
GLOVIA導入の進め方(5フェーズ)

前半の3つは導入の中身を決めて作り込む工程で、後半の2つは稼働に向けて確かめ、定着させる工程です。各フェーズは目的と成果物を明確にして、段階的に進めます。
- 構想・計画(1〜2ヶ月):導入目的・数値目標・推進体制の決定
- 要件定義(2〜4ヶ月):現状業務と将来像の整理、Fit/Gap分析
- 設計・構築(3〜6ヶ月):設定と追加開発、マスターデータ整備
- テスト・移行(2〜3ヶ月):業務テストとデータ移行の検証
- 本番稼働・定着化(稼働後3〜6ヶ月):運用支援とKPI評価による改善
フェーズ1:構想・計画(1〜2ヶ月)
最初のフェーズでは、GLOVIAを何のために導入するのかを経営層・現場・IT部門で合意し、プロジェクト全体の計画を立てます。そのうえで、「生産計画精度の向上」「在庫削減」「月次決算の迅速化」などの数値目標を決めておくと、プロジェクトの方向性がぶれにくくなります。特に経営層の強い関与は、プロジェクトを成功させる大きな要因の一つです。
次に、どの業務領域を対象とするか(生産管理のみ、販売・調達まで含めるか等)を決めます。スコープが広すぎると期間・費用が膨らむため、優先順位をつけて段階的に導入する方法も有効です。
さらに、プロジェクトオーナー(経営層)とプロジェクトマネージャーを含めて体制を組み、業務担当者やIT担当者、ベンダー担当者の役割と責任を明確にします。中心となるのはプロジェクト憲章と推進体制図で、マスタースケジュールと予算計画書も作ります。
フェーズ2:要件定義(2〜4ヶ月)
要件定義では、現状の業務フローを「As-Is(現状)」として整理し、GLOVIAを使った「To-Be(将来像)」を設計します。このフェーズは最も重要で、ここで手を抜くと後工程で大量の手戻りが発生します。
具体的には、各部門の担当者へのヒアリングやワークショップを通じて、現状業務の課題や非効率な点、将来の要件を洗い出します。そのうえで、GLOVIAの標準機能で対応できる要件と、カスタマイズが必要な要件を仕分けます。この仕分けは「Fit/Gap分析」と呼ばれ、業務プロセスをGLOVIAの標準機能に合わせる「フィット」を優先すると、カスタマイズ費用と保守リスクを抑えられます。
このフェーズで作るものは、業務フロー図(As-Is/To-Be)とFit/Gap分析表です。加えて、要件定義書とマスターデータ設計方針も作ります。要件定義書には、機能要件だけでなく、「月次決算を3営業日以内に完了する」「在庫照会のレスポンスは3秒以内」といった非機能要件も明記することが推奨されます。
フェーズ3:設計・構築(3〜6ヶ月)
設計・構築フェーズでは、要件定義をもとにGLOVIAの設計を行い、必要なカスタマイズや設定作業を進めます。このフェーズは、プロジェクト全体で最も工数がかかる期間です。
基本設計では、GLOVIAのパラメータ設定方針やカスタマイズ仕様を確定させます。帳票設計やインターフェース設計(他システムとのデータ連携)、マスターデータの移行方針も、この段階で固めます。詳細設計では、各機能の画面仕様や処理ロジック、帳票レイアウトを設計します。
構築では、設計書をもとに、パラメータ設定と追加開発を進めるとともに、帳票作成や外部システム連携を実装します。同時に、マスターデータ(得意先・仕入先・品目・工程・部門など)の整備とクレンジングも進めます。マスターデータの品質は導入後の業務品質に直結するため、専任担当者を置くことが望ましいです。
フェーズ4:テスト・移行(2〜3ヶ月)
テスト・移行フェーズでは、構築したシステムが要件を満たしているかを検証し、本番稼働に向けた移行作業を行います。テストは、単体テストと結合テストから始め、総合テスト(業務シナリオテスト)と受入テスト(UAT)へ進めます。
特に重要なのは、業務シナリオテストと受入テストです。業務シナリオテストでは、実際の業務の流れに沿ってGLOVIAを操作し、月次・年次処理を含む主要な業務が正しく動くかを確認します。受入テストでは、現場の担当者がシステムを操作し、業務要件を満たしているかを最終確認します。
ユーザー教育も、このフェーズで並行して進めます。その内容は、操作マニュアルの整備と研修の実施です。また、データ移行リハーサルとして、旧システムからGLOVIAへのデータ移行を本番想定で試し、移行手順・時間・データ品質を確認しておく必要があります。
フェーズ5:本番稼働・定着化(稼働後3〜6ヶ月)
本番稼働フェーズでは、計画どおりの日程でGLOVIAを本番環境に切り替え、運用を開始します。稼働直後は「集中サポート期間」として、ベンダーやシステム担当者が現場に常駐し、トラブルや操作の問い合わせに迅速に対応できる体制を整えます。一般的に稼働後1〜3ヶ月は問題が集中して発生するため、このサポート体制の充実度が、システムの定着率に大きく影響します。
定着化フェーズでは、当初設定したKPI(月次決算日数、在庫回転率、生産計画精度など)の実績値を計測し、導入効果を定量的に評価します。改善点は、システム設定の見直しやプロセスの改善で対処します。また、GLOVIAの機能を段階的に広げる「ステップアップ展開」の計画を立て、継続的な業務改善を進める仕組みを作ることが重要です。
保守・運用の体制として、日常のシステム監視、ヘルプデスク対応、定期バックアップのプロセスを確立します。あわせて、消費税や電子帳簿保存法などの法改正に対応する流れも整えます。
よくある失敗と対策

GLOVIA導入では、同じ失敗が繰り返し起きています。事前に把握しておけば、リスクを大きく減らせます。
失敗①:スコープの拡大(スコープクリープ)
プロジェクトの途中で「あの機能も追加したい」という要望が次々に出て、当初計画を大きく超えてしまうケースが頻繁に起きます。特にGLOVIAのような多機能ERPでは、他の機能を知るにつれて追加要望が増える傾向があります。
対策としては、要件定義で「変更管理プロセス」を定めることが有効です。追加要件は必ず費用や期間への影響を評価したうえで、経営層が承認する仕組みを作ります。
失敗②:マスターデータの品質不足
旧システムから移行したマスターデータ(品目コード・取引先情報など)には、重複や誤り、欠損が多く残っていることがあります。その状態で本番稼働すると、業務が混乱するケースがあります。製造業では、品目マスターの整備が不足すると、生産管理の誤作動にもつながります。
対策としては、データ移行の3〜4ヶ月前から専任担当者がマスターデータを洗い出して整備します。そのうえで、移行リハーサルで品質を検証することが重要です。
失敗③:ユーザー教育の不足
GLOVIAは機能が豊富なため、十分な研修を受けないまま本番稼働すると、「操作がわからない」「旧来のやり方でやってしまう」といった状況が生まれます。その結果、システムの定着が遅れてしまいます。
対策としては、経理担当・購買担当・生産管理担当など、ロール別の研修を用意します。稼働前に十分な実習時間を確保しておくことが欠かせません。加えて、e-learningや操作動画の整備も効果的です。
期間・体制の目安

GLOVIA導入の期間と体制は、規模によって変わります。ただし、あくまで目安で、スコープや既存システムの複雑さによって大きく変動します。
中小企業向け(GLOVIA smart・売上50億円未満)
GLOVIA smartを使うSaaS型の導入では、標準機能の活用を前提に、6〜12ヶ月での稼働を目標とします。ユーザー企業側には、プロジェクトオーナー(経営者)とプロジェクトリーダー(情報システム部または業務部門の責任者)を置き、各業務担当者(2〜5名)がこれに加わります。
ベンダー側は、プロジェクトマネージャー1名、コンサルタント1〜2名、開発者1〜2名が標準的な構成です。
中堅・大企業向け(GLOVIA G2・売上100億円以上)
GLOVIA G2を使う大規模な導入では、12〜24ヶ月の期間を見込む必要があります。ユーザー企業側には、ステアリングコミッティ(経営層・各部門長)とプロジェクト管理室(PMO)が必要です。
業務チームは、製造・販売・購買・財務など各領域から3〜5名ずつ集め、IT基盤チームも加えます。特に製造管理や原価管理は業務が複雑なため、該当業務の熟練者をキーユーザーとして専任で配置することが、成功の鍵です。
ベンダー側には、10〜20名規模のチームが必要となります。プロジェクトマネージャーと業務コンサルタント(各機能領域)を中心に、テクニカルコンサルタントや開発者、インフラエンジニアなどが加わります。
まとめ
GLOVIA導入では、経営層による目標設定、Fit/Gap分析、データ整備とユーザー教育の3点を押さえることが大切です。
- 構想・計画:経営層の合意と、明確な目標設定
- 要件定義:Fit/Gap分析の徹底と、不必要なカスタマイズの回避による費用対効果の向上
- 本番稼働・定着化:マスターデータの早期整備と、ユーザー教育の充実
GLOVIAは製造業・流通業に強い国産ERPで、日本の商慣習に沿った業務遂行を支える製品です。ただし、導入は専門的な知識と豊富な経験を持つ、実績のあるパートナーとともに進めることが、プロジェクト成功の近道です。導入パートナーの選定や費用の詳細については、関連記事をご参照ください。
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株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
