GLOVIA導入のPoC・プロトタイプ・モックアップ開発について

GLOVIA導入のPoCは、対象を1部門×1業務に絞り、実データで検証してからFit&Gapを整理する順に進めます。この順で進めると、契約後の手戻りや追加コストを抑えやすくなります。

PoCで確かめるのは、現場で使えるかと、標準機能で業務が足りるかです。

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GLOVIA導入におけるPoCの目的と全体像

標準機能の適合度、現場受容性、不要な追加開発の抑制、実データでの重要業務確認を4枚のカードで示した図。
導入前に確認する対象を、機能・現場・開発・業務の軸で見渡せます。

PoC・プロトタイプ・モックアップ開発は、本契約の前に、自社の実データや業務例でシステムを動かして確かめる検証工程です。この工程で確認するのは、機能面と業務への適合度です。

契約後にカスタマイズが増えると、ERP導入のコスト膨張につながります。そのため、実機検証で標準機能の適合度を確かめ、追加開発を抑えることが大切です。

統合基幹システムでは、現場の担当者が使いこなせるかという「現場受容性」も、PoCの目的のひとつです。たとえば、マニュアルなしで操作できるか、既存のフローから大きく離れていないかを確認します。

特に、決算や請求処理などの重要業務が、実データで最後まで流れるかも検証します。契約前に確かめておけば、稼働後の混乱を防ぎやすくなります。

GLOVIAは、日本企業の会計ルールや商習慣を前提に設計された国産ERPです。ただし、自社独自の商習慣や既存システムとの連携が標準機能で足りるかは、実機で確認します。

PoCの2つの目的

PoCでは、現場での適合度と、カスタマイズがどこまで必要かを確認します。主な検証対象は2つです。

  • 適合度(現場受容性):パンフレットやデモでは分からない使いやすさを、実データと業務フローに近い形で確かめる
  • 不要な追加開発の抑制:「自社特有」と思っていた業務も、標準機能で対応できれば高額な開発を避けられる

会計・人事給与・販売管理・生産管理が連動するERPでは、ある部門の入力が別部門の帳票にどう反映されるかも確かめます。

標準機能で不足する要件へのアドオン開発費は、初期導入費用の3〜4割程度を占める最大のコスト増要因とされています。そこで、譲れない要件を事前に定め、標準機能で満たせるかを見極めます。こうすると、後工程の手戻りと追加費用を抑えられます。

国産ERPとしてのPoCにおける利点

GLOVIAは国産ERPとして設計されています。そのため、PoCで基本的な適合確認を行いやすいという利点があります。

  • 日本の業務を想定:会計処理や商習慣の基本確認を短くでき、自社固有のルールを早く検証できる
  • 標準機能を確認:手形管理、独自の請求ルール、多段階の稟議・承認フローも想定されており、海外発製品に比べて全面的に非対応となる問題は起きにくい
  • 実データで検証:PoCは省かず、自社独自の細かな業務ルールに合うかを確かめる

ポイント

PoCで見るべきは、標準機能で業務が回るか、現場が使いこなせるかです。追加開発に頼る前に、実機で確かめる順を守ることが大切です。

PoCの標準的な進め方と期間・費用の目安

対象範囲の設定からFit&Gapの整理まで、PoCの4段階を矢印でつないだ図。
まず範囲を絞り、検証結果を次の対応判断につなげます。

GLOVIAのPoCは、対象範囲を絞り、検証を段階的に広げていくと進めやすくなります。期間と費用も、検証範囲の広さで大きく変わります。

PoCの進め方のステップ

PoCは、対象範囲の設定からフィット&ギャップの整理まで、4段階で進めるのが一般的です。

  1. 対象範囲を設定する:会計など全業務を一度に扱わず、「特定の1部門×1業務プロセス」に絞り込む
  2. 実データを準備する:取引・マスタデータの一部をテスト環境に取り込む
  3. 実機で検証する:現場担当者が日常業務に近いシナリオを操作する
  4. Fit&Gapを整理する:標準機能で足りない部分の対応方法を決める

個人情報や機密情報を含むデータは、マスキングや匿名化など適切な処理を施してから使います。そのうえで、実機検証では、受発注の入力から出荷、請求書発行、会計仕訳への反映まで、一連の流れを通して確かめます。

対応できない要件は、業務運用の見直しで吸収するか、アドオン開発で対応するかを判断します。この判断をしておくと、契約後の想定外の追加開発を減らせます。

4段階を一度で終えず、対象範囲を広げながら複数回繰り返す「反復型」も有効です。最初の知見をもとに、評価基準やシナリオを見直せます。さらに、次の対象業務でも同じサイクルを回すと、限られた期間・予算でも検証の質を高められます。

PoCの期間・費用の目安

期間と費用は、検証範囲によって異なります。小規模なテスト運用と本格的な検証では、目安に幅があります。

  • 小規模なテスト:実データを使い、2〜4週間程度が目安
  • 特定業務の本格検証:数ヶ月単位かかることがある
  • プロトタイプ構築・検証:数百万円〜数千万円規模になり得る
  • 自社メンバー中心のテスト:外部委託より30万〜80万円程度の削減が見込める

たとえば、特定の範囲には、生産管理の一部工程や会計の月次決算処理があります。費用を抑えたい場合は、全業務を横並びに検証せず、重要度やリスクに応じて優先順位を付けます。

会計処理や請求業務など、ミスが許されない領域から重点的に検証するのが現実的です。また、PoCで不要な要件を早く削ると、導入費用の3〜4割を占めるカスタマイズ費用を圧縮できます。

PoC自体にも期間と費用はかかります。ただし、後工程の手戻りコストを避けられることを踏まえると、多くの場合は投資に見合います。

ポイント

範囲を広げるかは、一度目の結果を見てから決めるのが安全です。期間と費用は検証範囲の広さで変わるため、先に範囲を決めてから考えます。

GLOVIA固有のPoCで確認すべきポイント

手形処理、原価配賦、稟議、インボイス制度をGLOVIAのPoCで確認する業務として並べた図。
業務ごとに実データを用意すると、検証対象を具体化できます。

一般的なERPの検証に加えて、GLOVIAでは、日本特有の商習慣への適合と、製品ラインナップ選定に向けたモックアップ活用を確認します。

日本特有の商習慣への適合確認

会計処理・請求ルール・承認フローなど、日本企業特有の複雑な業務に実データを流し、最後まで処理できるかを入念に確かめます。ただし、標準機能の適合範囲は、業種や企業によって異なります。

  • 手形処理:発行・裏書・割引・決済の流れ
  • 原価配賦:部門間の按分を伴う処理
  • 稟議:複数の承認者を経るフロー
  • インボイス制度:適格請求書の発行と仕入税額控除の計算

GLOVIAは日本の会計ルールを前提としています。そのため、これらがまったく想定されていない事態は起きにくいと考えられます。

取引先ごとの締め日や支払サイト、部門独自の承認権限などは、パラメータ設定で足りるか、アドオン開発が必要かを切り分けます。

製品ラインナップ選定のためのモックアップ活用

GLOVIAには、大企業向けのGLOVIA SUMMIT/G2から中小企業向けのGLOVIA きららまで、幅広い製品があります。自社の規模と業務要件に合うラインナップを見極めます。

  • 将来の拡張性:事業拡大や拠点展開を見据えて検討する
  • 業種への適合:業種特化型の機能が実務に合うかを確かめる

同じ業務範囲でも、必要な拡張性やカスタマイズの自由度によって、適した製品は変わります。そのため、複数製品のモックアップを比較すると、選定後の後悔を避けやすくなります。

2026年4月から提供が始まった統合製品「GLOVIA One」は、クラウドのマルチテナント構成、API連携、AIエージェント機能を備えます。実際に画面を触って、将来像に合うかを確認できます。一方で、特定業種に最適化された機能を重視する場合は、GLOVIA smart/OMのモックアップで業種テンプレートと実務の適合度を確かめる方法もあります。

事業承継やM&Aで子会社・関連会社を統合する企業や、数年内に海外展開を計画する企業は、現状だけでなく3〜5年後を見据えて選びます。また、モックアップで将来の利用イメージを共有しておくと、関係者間の認識合わせや経営層への説明資料としても活用できます。

ポイント

日本特有の業務は、実データを最後まで流したうえで、標準機能で通るかを判断します。迷ったときは、パラメータ設定で足りるか、アドオン開発が要るかで切り分けるのが目安です。

PoCでよくある失敗パターンと成功のポイント

PoCは進め方を誤ると、期待した効果を得られません。よくある失敗と、成功に向けた進め方を確認します。

よくある失敗パターン

GLOVIA導入のPoCでは、現場不在や範囲過大などの失敗が起こりがちです。ただし、計画段階で想定しておけば、いずれも回避できます。

  • 現場を無視する:情報システム部門だけで評価軸を決める
  • 範囲を広げすぎる:全業務を一度に検証し、適合確認がおろそかになる
  • Excel連携を軽視する:CSVの文字化けや列ずれを放置する
  • 記録を残さない:成果物や検証の記録を体系的にまとめず、終えてしまう

現場の意見が反映されないと、稼働後に「以前のExcelの方が使いやすかった」という声が上がり、システムが形骸化することがあります。

会計・人事給与・販売管理・生産管理を一度に検証すると項目が膨大になり、どこまで適合しているかを見極めにくくなります。

CSV出力・取り込みを伴う周辺システム連携は、本番直前になって気づくと、稼働後に現場の負担が急増します。

記録がないと、担当者の異動や記憶の風化で、契約後に機能を選んだ根拠が失われます。さらに、同じ論点を繰り返し検討することにもなります。そのため、検証シナリオや結果、標準機能で対応できた範囲とできなかった範囲を文書にまとめておくことが、プロジェクトの生産性を左右します。

PoCを成功させるためのポイント

成功させるには、現場の参加、範囲の絞り込み、評価基準の明文化、契約前の対応方針の合意が必要です。

  • 現場を早期に巻き込む:担当者が検証シナリオの設計から参加する
  • 範囲を絞る:「1業務×1部門」から始め、結果を踏まえて段階的に広げる
  • 譲れない要件を定める:評価基準を事前に文書化する
  • 対応方針を合意する:Fit&Gapの結果を契約前に共有する

情報システム部門だけで評価するよりも、実際に操作する担当者が加わるほうが、机上では見えない使いにくさを拾えます。

評価基準が曖昧だと担当者の主観に左右され、後工程で認識のずれが生じます。そこで、要件を一覧にして、どこまで満たせばよいかを事前に決めておきます。

標準機能に運用を合わせるか、アドオン開発で対応するかは、導入パートナーと話し合って決めておきます。こうした流れを丁寧に進めることが、契約後の手戻りとコスト超過を防ぐ方法です。

ポイント

PoCで失敗しやすいのは、現場を外すことと、範囲を広げすぎることです。計画段階で評価する人と検証の範囲を決めておくと、手戻りを減らせます。

まとめ

GLOVIA導入のPoC・プロトタイプ・モックアップでは、現場受容性を確かめ、不要なカスタマイズを減らします。国産ERPとして日本企業の業務を前提としているため、基本的な適合性を確認しやすい利点があります。また、手形管理や多段階の稟議などの業務と、自社に合う製品ラインナップは実機で確かめます。

期間の目安は、小規模テストで2〜4週間、本格検証では数ヶ月単位です。さらに、本格的なプロトタイプ構築・検証は、数百万円〜数千万円規模になり得ます。

現場を早期に巻き込み、範囲と評価基準を定め、Fit&Gapの結果を契約前に共有すると、手戻りを減らせます。そのうえで、業務要件と規模を整理し、GLOVIAの導入実績が豊富なパートナーとPoCを計画しましょう。

PoCで丁寧に検証すると、設計・開発フェーズの仕様のぶれを減らし、プロジェクト全体の期間短縮にもつながります。この投資の意義を発注側とパートナーで共有することが、成功への近道です。

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株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。