「HUE導入」で検索すると、提供元の公式サイトに「HUE」という製品名が見当たらず、戸惑う担当者も少なくありません。
HUE導入とは、2014年発表のAI型ERP「HUE」を人事・給与基盤として採用する取り組みです。2019年8月の会社分割後は、人事・給与領域の後継製品が「COMPANY」になっています。
- HUEブランドの成り立ちと、会社分割後の後継製品
- 人事・給与領域のCOMPANYと、会計・SCM領域の現行HUE
- COMPANY導入の業務範囲、主要機能、統合の仕組み
- 導入の目的と効果、導入前に確認したいポイント
HUEという名称が公式サイトで見当たらない理由から、会社分割による引き継ぎ先、COMPANYの業務範囲と主要機能、会計・SCM領域の現行HUEとの違いまで、順に見ていきます。
「HUE」という製品名を手がかりに検討を始めたものの、現行製品を正しく特定できず足踏みしている担当者が、経緯を押さえたうえで導入検討を前に進められるよう整理します。
本テーマ全体の流れは、次の全体ガイドでまとめています。
▼全体ガイドの記事
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HUE導入の意味:ブランドの成り立ちと会社分割の経緯

「HUE」という名称は、現在も存在自体は消えていません。ただし2019年を境に、人事・給与領域とそれ以外の領域とで提供会社とブランドの扱いが分かれています。この経緯を知らずに検討を進めると、古い情報のまま比較検討をしてしまうことになります。
HUEというブランドが、どのように生まれ、なぜ現在の形になったのかを、まず確認します。
2014年発表のAI型ERP「HUE」の出発点
HUEは2014年に、当時のワークスアプリケーションズが「世界初の人工知能型ERP」として発表したブランドです。発表当初は、人事・給与・就業管理といった基幹HR領域を含む幅広い業務を、AIを活用した単一の基盤でカバーする構想として広く知られていました。
「HUE導入」という検索語に人事・給与システムの刷新というイメージが強く結びついているのは、この当時の打ち出し方が影響していると考えられます。
2019年8月1日の会社分割でブランドが分かれた背景
2019年6月21日付の会社分割を経て、2019年8月1日に株式会社Works Human Intelligenceが事業を開始しました。ワークスアプリケーションズの人事関連事業(COMPANYおよびHUEの人事関連モジュール等)が、投資ファンド傘下の特別目的会社に承継される形で新会社が設立されたという経緯です。
同社の公式発表には「HUEは株式会社ワークスアプリケーションズの商標、COMPANYは当社(Works Human Intelligence)の商標」と明記されています。両社の間では、一定期間の相互ライセンス契約が結ばれました。
つまり、この時点でHUEという名称の権利はワークスアプリケーションズ側に残り、人事給与領域の事業だけがWorks Human Intelligence社へ移ったと整理されています。
人事・給与領域の現行後継製品「COMPANY」

Works Human Intelligence社の公式サイトを見ると、現在の主力製品は「COMPANY」の1ブランドに統一されており、「HUE」という語は見当たりません。
人事・給与領域で「HUE導入」を検討する場合、実務上比較すべき現行製品はCOMPANYです。この前提を押さえておけば、その後の情報収集を無駄にせずに済みます。
COMPANYが承継した人事・給与領域の機能
Works Human Intelligence社の公式サイトでは、7つのソリューションがCOMPANYブランドとして案内されています。そのうち中核となるのは、人事管理、給与計算、勤怠管理、タレントマネジメントの4領域です。そのほかの3つは、雇用手続管理、ID管理、マイナンバー管理です。
旧HUEが人事文脈で担っていた基幹HR業務は、名称を変えてこのCOMPANYに引き継がれていると理解して差し支えありません。
以前の調査でHUEの導入事例として扱っていた企業の事例も、現在の公式サイトではCOMPANYの事例として掲載されています。
「HUE(人事文脈)=現COMPANY」という対応関係の確認
社内の稟議書や過去の商談メモに「HUE」という表記が残っている場合、それが人事・給与領域を指していれば、現在のCOMPANYを指している可能性が高いといえます。
「HUE」という名称自体は、後述するように別領域で現役のため、資料の作成時期や文脈を確認せずに「HUE」という単語だけで社内外の関係者と会話をすると、指している製品が食い違ったまま話が進んでしまうおそれがあります。
導入検討の初期段階で、まず「自社が探しているのはCOMPANYなのか」を関係者間で確認しておくと、その後の情報収集や見積もり依頼がスムーズになります。
現行「HUE」ブランドが対象とする会計・SCM領域

ここまでの内容から、「HUEというブランド自体は消滅した」と受け取ってしまうかもしれませんが、それは正確ではありません。
HUEという名称は、会社分割後もワークスアプリケーションズ側の商標として現役で使われ続けています。ただし対象領域は人事・給与ではなく、会計・SCMを中心とした業務です。
会計(AC)・SCM・AIエージェントなど非HR領域の現行HUE
株式会社ワークスアプリケーションズの公式サイトでは、現行のHUEブランドとして会計(AC)、SCM、AIエージェントの領域が案内されています。SCMは購買・販売・製造原価・プロジェクト収支・賃貸不動産管理を対象とし、そのほかビジネスプラットフォーム、データプラットフォーム、マネージドクラウドサービスの領域も並んでいます。
人事管理や給与計算といった機能は含まれておらず、対象業務は前章のCOMPANYとは明確に異なります。
会計・SCM文脈の「HUE導入」と現行HUEの対応
もし自社が検討しているHUE導入が、経理部門や購買・販売部門からの要望であれば、現行のHUE(ワークスアプリケーションズ社提供)がそのまま検討対象になります。
反対に、人事部門から「HUE」という名前が出てきた場合は、前章で触れたCOMPANYを確認する必要があります。
検索の多くは人事・給与の文脈なので、ここから先はCOMPANYを中心に解説します。
COMPANY導入が対象とする業務範囲と統合の仕組み

COMPANYは、社員一人ひとりの基本情報を起点に、人事・給与・勤怠・タレントマネジメントの各データを単一の基盤上でつなぐ設計になっています。
異動や等級変更といったイベントが起きた際に、関連する情報を都度手作業で転記する必要が少なくなります。この考え方は、旧HUEの構想から受け継がれたものです。
社員マスタを起点にした人事・給与・就業の連携
従来の分散型システムでは、人事部門が持つ社員マスタ、給与計算用の勤怠データ、タレントマネジメント用の評価データが別々のシステムにあります。そのため、異動や等級変更のたびに、複数の担当者が同じ内容を転記する運用になりがちです。
COMPANYでは社員情報を中心に据え、異動・昇格・休職といったイベントを給与計算や勤怠管理側のマスタにも連動させます。これにより、転記漏れや反映タイミングのずれを抑えることを狙います。
社員マスタを起点にした連携は、自社の組織階層や等級制度、給与規定を標準のパラメータ設定に正しく落とし込めている場合に限って機能します。
グループ会社をまたいだ人事情報を集約する設計
複数のグループ会社を抱える企業では、各法人が独自の人事システムを運用していることも少なくありません。そのため、グループ全体での人員配置や人件費の把握に時間がかかる課題が生じやすくなります。
Works Human Intelligence社の公式サイトでは、グループ横断型の人事活用基盤を実現した企業の事例が紹介されています。法人ごとに異なる給与規定や就業規則を抱えながらも、グループ全体で共通の基盤に情報を集約できる点が、単一法人向けの人事システムにはない特徴として位置づけられています。
COMPANYの主要機能とカバー領域

COMPANYの機能は、公式サイト上で7つのソリューションに整理されています。中核となる4領域と、それを支える周辺機能に分けて確認すると、自社に必要な範囲を見極めやすくなります。
人事管理・給与計算・勤怠管理・タレントマネジメントの中核4領域
人事管理は社員データの集約と履歴管理を担い、給与計算は給与規定や手当体系に基づく計算処理を担います。勤怠管理は勤怠実績や各種申請の処理を、タレントマネジメントはスキル評価やキャリアプランニングの記録を担います。
これらが一つの基盤上で連携すると、異動に伴う手当の変更や、評価結果を踏まえた等級改定といった複数領域にまたがる処理を、個別システム間の連携なしに完結させられます。
どの機能を標準機能で実現できるかは、自社の給与規定や評価制度の複雑さに左右されます。そのため、導入検討の際には自社の規定一覧を洗い出しておくと役立ちます。
雇用手続管理・ID管理・マイナンバー管理を含む周辺機能
中核4領域に加えて、雇用手続管理、ID管理、マイナンバー管理という3つのソリューションが用意されています。
入退社や異動に伴う手続きの電子化、社員のシステムアクセス権限の管理、法定書類に必要なマイナンバーの安全な管理まで、基幹4領域を支える周辺業務もカバーしている点が特徴です。
公共・公益法人向けの専用ソリューションも用意されており、業種特性に応じて導入を検討できます。
COMPANY導入(旧HUE導入)の目的として期待される効果

「HUE導入」で検討を始めた企業の多くが目指すのは、人事システムの刷新そのものではなく、COMPANY導入を通じた経営課題の解決です。
法改正対応の負荷軽減、グループ会社をまたいだ組織情報の把握、属人化していた定型業務の整理という3つの効果を、経営課題として位置づけたうえでプロジェクトを進めるケースが多く見られます。
法改正対応と属人化した運用の負荷軽減
自社独自の人事給与システムをフルスクラッチで運用してきた企業では、税制改正や社会保険料率の変更のたびに、相応の改修費用が発生することがあります。こうした改修が積み重なると、システムが技術的負債化し、次第に改修そのものが難しくなるケースも見られます。
COMPANYの公式サイトでは、利用機能の変更や法改正対応を含めて定額の運用費用という考え方が案内されています。法改正対応の負荷を契約の範囲内に収めやすくする狙いがうかがえます。
あわせて、特定の担当者しか把握していなかった給与計算ロジックや例外処理を標準機能の設定として見える形にできれば、属人化していた運用の引き継ぎもしやすくなります。
グループ経営に必要な人員情報の把握
グループ会社ごとに異なる人事システムが乱立していると、グループ全体での人員配置や人件費の状況を経営層が把握するまでに時間がかかります。
COMPANY導入によって複数法人の人事情報を一つの基盤に集約できれば、グループ横断での人材活用や、法人間の異動・出向に関する手続きの効率化につながる可能性があります。
ただし、法人ごとに就業規則や給与体系が大きく異なる場合、統合後のパラメータ設計は単純ではありません。そのため、どの法人の規定を標準とし、どの差異を許容範囲内のカスタマイズとして扱うかを、プロジェクトの早い段階で経営層を交えて合意しておく必要があります。
HUE導入前に確認しておきたいポイント

「HUE導入」で情報収集を始めた担当者が、実務でつまずきやすいポイントを整理します。
特に、製品名の取り違えを防ぐことは、その後の比較検討や見積もり依頼を無駄にしないための第一歩になります。
「HUEという名前の人事システム」を探している場合の確認先
人事・給与領域の刷新を目的に情報収集をしている場合、問い合わせ先はWorks Human Intelligence社であり、確認すべき製品名はCOMPANYです。
同様に、ベンダーや商社に問い合わせる際も、「HUE」という言葉だけで話を進めず、「人事・給与領域のCOMPANY」と明示したほうが資料や見積もりの取り違えを防げます。
過去の提案書や比較資料に「HUE」という表記が残っている場合は、作成時期を確認し、必要であれば現行のCOMPANYの情報に更新しておくことをおすすめします。
会計・SCM側のHUEとの取り違え
比較サイトや古い記事には、会社分割前の情報のまま「HUE」を人事・給与システムとして紹介しているものが残っている可能性があります。逆に、経理・購買部門が現行のHUE(会計・SCM領域)を検討する際に、人事領域の情報を参照してしまう取り違えも起こり得ます。
社内で複数部門が関わるプロジェクトほど、どちらの「HUE」を指しているかを最初にすり合わせておくことが重要です。より具体的な比較の進め方は、HUE導入の選定ポイント・選び方・種類で解説しています。
まとめ

2014年発表のAI型ERPブランド「HUE」を人事・給与基盤として採用するのがHUE導入です。2019年8月の会社分割を経て、人事・給与領域の後継製品は現在「COMPANY」(株式会社Works Human Intelligence)として提供されています。
HUEというブランド自体は、会計・SCMを中心とした非HR領域で、株式会社ワークスアプリケーションズの商標として現役です。
経緯を踏まえた製品名の整理
「HUE」という一つの単語の裏に、2014年からの構想と2019年の会社分割という経緯があることを踏まえておくと、社内外の関係者との会話や過去資料の読み直しで無用な混乱を避けられます。
人事・給与領域を刷新したい企業にとっての実務上の選択肢は、旧HUEの機能を承継したCOMPANYです。一方、会計・SCM領域の刷新であれば、現行のHUEがそのまま対象になります。
現状の人事基盤の整理
まずは、自社の組織階層、給与規定、就業規則がどれだけ複雑になっているか、既存システムのどこに法改正対応や属人化の負担が集中しているかを整理してください。
COMPANYのような統合HRシステムで標準化できる業務と、自社独自の業務フローや基幹システムとの連携が必要な業務を切り分けることが、導入プロジェクトを円滑に進める鍵になります。
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▼全体ガイドの記事
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
